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しんせかい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
しんせかい
作者さくしゃ 山下やました澄人すみと
くに 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
初出しょしゅつ情報じょうほう
初出しょしゅつ新潮しんちょう』2016ねん7がつごう
2016ねん6月7にち発売はつばい
刊本かんぽん情報じょうほう
出版しゅっぱんもと 新潮社しんちょうしゃ
出版しゅっぱん年月日ねんがっぴ 2016ねん10月31にち
受賞じゅしょう
だい156かい芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけしょう
ウィキポータル 文学ぶんがく ポータル 書物しょもつ
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しんせかい」は山下やました澄人すみとによる日本にっぽん小説しょうせつ作品さくひん。『新潮しんちょう2016ねん7がつごう掲載けいさいされ、2016ねん10がつ31にち新潮社しんちょうしゃより単行本たんこうぼん刊行かんこうされた。2017ねんだい156かい芥川賞あくたがわしょう受賞じゅしょうした。

あらすじ

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高倉たかくらけんブルース・リーあこがれる、役者やくしゃ志望しぼう主人公しゅじんこうスミトは、年間ねんかん自給自足じきゅうじそくてき生活せいかつをしながらシナリオ作法さほう演技えんぎまな演劇えんげきじゅくたに】を主宰しゅさいした脚本きゃくほん先生せんせい】がシナリオをいたテレビドラマ主題歌しゅだいかを、道中どうちゅうカーステレオいてもなんきょくおもせないことを、わせた同期生どうきせいたちにおどろかれる。

スミトは農作業のうさぎょうなかたおれたり【先生せんせい】にめられたりしかられたりしながら、【たに】での生活せいかつ郷里きょうりにいる「てん」というおんな友達ともだち手紙てがみらせる。てんには恋人こいびとができ結婚けっこん妊娠にんしんする。

同期どうきの「マーコさん」が退すさじゅくする。のこされたスミトや塾生じゅくせいたちは、年末年始ねんまつねんしのさまざまな余興よきょうプレゼント制作せいさくわれながらも、農作業のうさぎょう受講じゅこう日々ひびごしてゆく。スミトは、どうよわいの「けいこ」と一緒いっしょ地元じもと成人せいじんしき参加さんかしたのちに、【たに】でも成人せいじんしきむかえられる。あるよるスミトは、【たに】にみなてたはずの建物たてものえ、いはずの建物たてものる、という光景こうけいゆめる。ゆめてきたくろふくおとこは「おれはおまえだ」とった。

卒業そつぎょうした前期ぜんきなまわかれたスミトたちは、かれらが生活せいかつしていたむねうつる。「ベンさん」という従順じゅうじゅんなタイプの塾生じゅくせい個室こしつむことを頑固がんこ主張しゅちょうしてかね個室こしつゆずってもらおうとしたことに、スミトはおどろき、戸惑とまどう。

次期じきせいおとずれるまえ月夜つきよ、スミトの同期生どうきせいたち全員ぜんいんだれからともなく自然しぜんせいぞろいして、卒業そつぎょうしきなみだせなかった職員しょくいんたちの本心ほんしんや【たに】のすえについてかたう。スミトは、もういちねんたに】でらし、そこをる。

評判ひょうばん

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芥川賞あくたがわしょう選考せんこう委員いいん選評せんぴょう

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肯定こうていてき評価ひょうか

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  • 川上かわかみ弘美ひろみは、どこがいいのかとかれるとくちごもるような作品さくひんだが、いちばんにした。見分みわけがつきにくいほどに平凡へいぼん名字みょうじ人物じんぶつじゅうにん以上いじょうてくるのに、かれらを区別くべつできたというあたりにほんさく真髄しんずいがあるのだろう、とも[1]
  • 吉田よしだ修一しゅういちは、ほんさくは、わかころだれもが自分じぶんのいる環境かんきょうなまぬるいとおもって「むなぐらをつかまれたい」くらいの気持きもちであらたな環境かんきょうんでゆくのだがそこでもたいしたことはこらないとさとるという、現実げんじつの「空振からぶかん」をえがいた一流いちりゅう青春せいしゅん小説しょうせつだと評価ひょうかした[1]
  • 小川おがわ洋子ようこは、ほんさく作家さっか本能ほんのうさからったユニークな作品さくひんだとした。[1]
  • 山田やまだ詠美えいみは、この作品さくひん美点びてんを「シンプル・イズ・ベスト」という常套句じょうとうくあらわした。[1]
  • 堀江ほりえ敏幸としゆきは「最小限さいしょうげんいと自分じぶん過去かこう」ような作品さくひんだとめた[1]

中立ちゅうりつてき評価ひょうか

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  • 奥泉おくいずみひかりは、「出来事できごと」との距離きょりあいだ細心さいしん計算けいさんされているという魅力みりょくげた一方いっぽうで、自意識じいしきかげがちらついて邪魔じゃまになったという欠点けってんげたが、授賞じゅしょうには賛成さんせいした。[1]
  • 島田しまだ雅彦まさひこは、人間にんげん関係かんけいなやみや機微きび排除はいじょした結果けっかとしてナンセンスあじたのはいが、ほんさくがなぜ受賞じゅしょうさくなのかはからないとった[1]

否定ひていてき評価ひょうか

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  • 高樹たかぎのぶは、難解なんかい作風さくふうぜん候補こうほさくよりも格段かくだんかりやすくなったが、モデルとなった脚本きゃくほん演劇えんげきじゅくのイメージをはずせば、うすあじ青春せいしゅん小説しょうせつだとひょうした[1]
  • 宮本みやもとあきらは、主人公しゅじんこう寡黙かもくなのではなく作者さくしゃ語彙ごい不足ふそくなのではないかとうたがった[1]
  • 村上むらかみりゅうは、強烈きょうれつ要素ようそひとつもなく、「つまらない」とかんじた[1]

その評価ひょうか

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関連かんれん項目こうもく

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出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k 文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう2017ねん3がつごう366ぺーじ 芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけしょう選評せんぴょう
  2. ^ 文芸ぶんげい時評じひょう. 東京とうきょう新聞しんぶん. (2016ねん6がつ30にち). http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/jihyou/CK2016063002000260.html 
  3. ^ “【書評しょひょう二十歳はたち混乱こんらん現実げんじつかん欠如けつじょよみがえらせる語順ごじゅん文体ぶんたい. NEWSポストセブン. https://www.news-postseven.com/archives/20170201_488531.html 
  4. ^ 小谷野こやのあつし芥川賞あくたがわしょう偏差へんさ二見ふたみ書房しょぼう 
  5. ^ a b 芥川賞あくたがわしょう受賞じゅしょうしゃインタビュー」『文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう』2017ねん3がつ、378ぺーじ 
  6. ^ 作家さっか山下やました澄人すみとかたる 「富良野ふらのじゅく入塾にゅうじゅく秘話ひわ. エキサイトニュース. https://www.excite.co.jp/news/article/Sinkan_7352/ 
  7. ^ 本書ほんしょ単行たんこうほん題字だいじ担当たんとうとして記載きさいされている

外部がいぶリンク

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