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イノシシ属 ぞく (イノシシぞく、Sus )は、哺乳 ほにゅう 綱 つな 偶蹄 ぐうてい 目 め (鯨 くじら 偶蹄 ぐうてい 目 め とする説 せつ もあり)イノシシ科 か に分類 ぶんるい される属 ぞく 。
雑食 ざっしょく 性 せい で、大 だい 食 ぐ い であると思 おも われがちである一方 いっぽう 、概 がい して社会 しゃかい 性 せい と知性 ちせい を持 も った動物 どうぶつ である。
英語 えいご では "pig" や "hog" と表 あらわ され、この言葉 ことば は通常 つうじょう はイノシシ属 ぞく の中 なか でも特 とく に「ブタ 」のことを表 あらわ す。また、英語 えいご を含 ふく む多 おお くの国 くに の言葉 ことば で、しばしば悪口 わるぐち として用 もち いられる。
ブタ(Sus domestica )とイノシシ (Sus scrofa )を同種 どうしゅ とみなす科学 かがく 者 しゃ もおり、その場合 ばあい ブタはSus scrofa domestica という学名 がくめい で呼 よ ばれる。
コビトイノシシ を本属 ほんぞく に含 ふく む説 せつ もある。一方 いっぽう でコビトイノシシを含 ふく んだ場合 ばあい でも、前 ぜん 臼歯 きゅうし と乳頭 にゅうとう の数 かず が他 た 種 たね よりも少 すく ないことからコビトイノシシのみでコビトイノシシ亜 あ 属 ぞく Porcula を構成 こうせい する説 せつ もあった[3] 。2007年 ねん に発表 はっぴょう されたミトコンドリアDNA の制御 せいぎょ 領域 りょういき ・シトクロムb ・16S rRNAの塩基 えんき 配列 はいれつ を決定 けってい してベイズ法 ほう による系統 けいとう 推定 すいてい から、コビトイノシシのみで独立 どくりつ した属 ぞく を構成 こうせい する説 せつ もある[4] 。
以下 いか のコビトイノシシを除 のぞ いた分類 ぶんるい ・英名 えいめい はMSW3(Grubb,2005)に従 したが う(MSW3では本属 ほんぞく にコビトイノシシを含 ふく めている)[1] 。和名 わみょう は川田 かわた ら(2018)に従 したが う[2] 。
イノシシ属 ぞく は突 つ き出 で た鼻 はな 、小 ちい さな目 め 、巻 ま いて短 みじか い尾 お 、太 ふと い体 からだ 、短 みじか い脚 あし を持 も つ。それぞれの足 あし には4本 ほん の蹄 があり、真 ま ん中 なか の2本 ほん の大 おお きい蹄は歩 ある くのに用 もち いられる[5] 。
熱帯 ねったい では年中 ねんじゅう 飼育 しいく が行 おこな われるが、出産 しゅっさん のピークは雨季 うき である。メスはおおよそ8カ月 かげつ から18カ月 かげつ の頃 ころ に妊娠 にんしん し、21日 にち ごとに発情 はつじょう 期 き を迎 むか える。イノシシはオスは5 - 7か月 げつ で性 せい 成熟 せいじゅく し、メスは生後 せいご 10か月 げつ ほどで出産 しゅっさん ができるようになる[6] 。イノシシは1回 かい に5 - 6頭 とう の幼 よう 獣 じゅう を、年 とし に2回 かい 以上 いじょう に分 わ けて産 う むこともある[6] 。オスは8カ月 かげつ から10カ月 かげつ で性的 せいてき に成熟 せいじゅく し[7] 、一腹 いっぷく から、6匹 ひき から12匹 ひき の子供 こども が生 う まれる[8] 。子供 こども が乳離 ちばな れすると、2つかそれ以上 いじょう の家族 かぞく が次 つぎ の交配 こうはい 時期 じき まで一緒 いっしょ に暮 く らす。
イノシシ属 ぞく の汗腺 かんせん はほとんどがアポクリン腺 せん で、ヒトなどで体温 たいおん 調節 ちょうせつ に用 もち いられるエクリン腺 せん はほぼないため[9] 、暑 あつ い時期 じき には水 みず や泥 どろ を使 つか って体温 たいおん を下 さ げる。皮膚 ひふ を日焼 ひや けから保護 ほご するためにも泥 どろ が用 もち いられる。また泥 どろ によってハエや寄生虫 きせいちゅう から身 み を守 まも ることにもなる[8] 。
イノシシ属 ぞく は、大 おお きな顔 かお の中央 ちゅうおう に、前 ぜん 鼻骨 びこつ と軟骨 なんこつ で支持 しじ された、真 ま っ直 す ぐに突 つ き出 で た鼻 はな を持 も つ[7] 。その鼻 はな は、食糧 しょくりょう を探 さが すために土 ど に穴 あな を掘 ほ るのに用 もち いられ、非常 ひじょう に敏感 びんかん な感覚 かんかく 器 き になっている。
イノシシ属 ぞく は44本 ほん の歯 は を持 も つ。犬歯 けんし は生涯 しょうがい に渡 わた って成長 せいちょう し、上下 じょうげ が擦 す れ合 あ うことで鋭 するど くなる[7] 。
世界中 せかいじゅう に約 やく 20億 おく 匹 ひき が存在 そんざい し、特 とく に家畜 かちく 化 か されたブタは地球 ちきゅう 上 じょう でもっとも多 おお い哺乳類 ほにゅうるい の種 たね の1つである。ブタはイノシシを家畜 かちく 化 か したもので、最 もっと も数 かず が多 おお く広範囲 こうはんい に分布 ぶんぷ する動物 どうぶつ の1つである[10] [11] 。多 おお くの亜種 あしゅ が、厳 きび しい気候 きこう のユーラシア大陸 たいりく 及 およ びその周囲 しゅうい の島 しま 、アイルランド、インドから日本 にっぽん 、シベリアにかけて以外 いがい の世界中 せかいじゅう の地域 ちいき に生息 せいそく する。既 すで に絶滅 ぜつめつ してしまった地域 ちいき もあるが、急増 きゅうぞう している地域 ちいき もあり、個体 こたい 数 すう は安定 あんてい している。インドネシア、マレーシア、フィリピン等 とう の多 おお くの島 しま では、野生 やせい のイノシシと長 なが い間 あいだ 隔離 かくり され、多 おお くの異 こと なった種 たね に進化 しんか している。人間 にんげん がオーストラリアや南北 なんぼく アメリカ等 とう に持 も ち込 こ んだ家畜 かちく のブタが逃 に げ 出 だ して野生 やせい 化 か することもある。これらは環境 かんきょう に良 よ く適応 てきおう し、人間 にんげん のコントロールの外 そと で個体 こたい 数 すう を増 ふ やして生息 せいそく 範囲 はんい を広 ひろ げている[要 よう 出典 しゅってん ] 。
イノシシ属 ぞく は雑食 ざっしょく 性 せい で、植物 しょくぶつ も動物 どうぶつ も食 た べる。野生 やせい では狩猟 しゅりょう 採集 さいしゅう を行 おこな い、主 おも に葉 は 、草 くさ 、根 ね 、果実 かじつ 、花 はな 等 とう を食 た べる。
人間 にんげん との関係 かんけい [ 編集 へんしゅう ]
農作物 のうさくもつ を食害 しょくがい する害 がい 獣 じゅう とみなされることもある[3] [12] 。
森林 しんりん 伐採 ばっさい などによる生息 せいそく 地 ち の破壊 はかい 、乱獲 らんかく 、野生 やせい 化 か したブタとの交雑 こうざつ による遺伝子 いでんし 汚染 おせん などにより、生息 せいそく 数 すう が減少 げんしょう している種 たね ・個体 こたい 群 ぐん もいる[3] [12] 。
イノシシ属 ぞく は知能 ちのう が高 たか く[13] 、教 おし えれば様々 さまざま な仕事 しごと や芸 げい をこなせるようになる[14] 。近年 きんねん では、特 とく に小型 こがた のものがペットとしても人気 にんき がある。
ブタは、豚肉 ぶたにく や皮革 ひかく を得 え る目的 もくてき で、畜産 ちくさん 農家 のうか によって飼育 しいく される。また剛毛 ごうもう もブラシとして用 もち いられる。アジアのポットベリー・ピッグ はペットとして飼 か われている。
ヨーロッパの多 おお くの国 くに では、ブタの優 すぐ れた嗅覚 きゅうかく をトリュフ を探 さが すのに利用 りよう している。
20世紀 せいき 初頭 しょとう のスウェーデンの養豚 ようとん 業者 ぎょうしゃ
イノシシ属 ぞく は、旧 きゅう 世界 せかい で古代 こだい から家畜 かちく 化 か されてきた。考古学 こうこがく 的 てき な証拠 しょうこ から、13,000年 ねん 前 まえ から12,700年 ねん 前 まえ 頃 ごろ から中東 ちゅうとう のチグリス盆地 ぼんち で、今日 きょう ニューギニア で野生 やせい のイノシシを管理 かんり しているのと似 に たような方法 ほうほう で家畜 かちく 化 か が始 はじ まったと考 かんが えられている[15] 。イノシシ属 ぞく の遺物 いぶつ は、11,400年 ねん 以上 いじょう 前 まえ のキプロス の地層 ちそう から発見 はっけん されており、その頃 ころ までに大陸 たいりく からもたらされたものと考 かんが えられている[16] 。中国 ちゅうごく でも独自 どくじ に家畜 かちく 化 か が始 はじ められている[17] 。
インドでは主 おも にゴア州 しゅう で家畜 かちく としての長 なが い歴史 れきし があり、田舎 いなか には豚 ぶた 便所 べんじょ がある。
イノシシ属 ぞく はエルナンド・デ・ソト やその他 た の初期 しょき のスペインの探検 たんけん 家 か によって、ヨーロッパから北 きた アメリカ大陸 あめりかたいりく 南東 なんとう 部 ぶ に持 も ち込 こ まれた。
ブタの学名 がくめい はSus scrofa であるが、S. scrofa はイノシシに対 たい して用 もち い、家畜 かちく 化 か されたブタはS. domesticus とする学者 がくしゃ もいる。約 やく 5,000年 ねん 前 まえ から7,000年 ねん 前 まえ に家畜 かちく 化 か されたと考 かんが えられている。毛 け は固 かた くごわごわしている。皮膚 ひふ の色 いろ は生 う まれた時 とき は茶色 ちゃいろ だが、年 とし を経 へ るごとに灰色 はいいろ がかってくる。上顎 じょうがく の犬歯 けんし は牙 きば として外側 そとがわ にカーブし、突 つ き出 で ている。他 た の偶蹄 ぐうてい 目 め と比 くら べると、頭 あたま は比較的 ひかくてき 長 なが く、いぼ がない。体長 たいちょう は0.9mから1.8mで、体重 たいじゅう は50kgから350kgである。
環境 かんきょう への影響 えいきょう [ 編集 へんしゅう ]
フロリダ州 しゅう の野生 やせい のイノシシ
逃 に げ出 だ した家畜 かちく のブタや野生 やせい に放 はな されたもの、また時 とき には狩猟 しゅりょう 用 よう に持 も ち込 こ まれた野生 やせい のイノシシ等 とう が、南北 なんぼく アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイやその他 た の、もともとイノシシ属 ぞく が生息 せいそく していなかった地域 ちいき で大 だい 繁殖 はんしょく している。外来 がいらい 種 しゅ として野生 やせい に還 かえ ったブタやイノシシは、その場所 ばしょ の生態 せいたい 系 けい を大 おお きく変 か える原因 げんいん になる。雑食 ざっしょく 性 せい 、攻撃 こうげき 性 せい 、植物 しょくぶつ を根 ね ごと引 ひ き抜 ぬ いて食 た べる習性 しゅうせい によって、生態 せいたい 系 けい が大 おお きく変 か わってしまう。また、小 しょう 動物 どうぶつ も食 た べ、鳥 とり の巣 す を破壊 はかい することもある[7] 。国際 こくさい 自然 しぜん 保護 ほご 連合 れんごう は、野生 やせい のブタを世界 せかい の侵略 しんりゃく 的 てき 外来 がいらい 種 しゅ ワースト100 に選定 せんてい している[18] 。
イノシシ属 ぞく は様々 さまざま な寄生 きせい 生物 せいぶつ の宿主 しゅくしゅ となり、人間 にんげん への感染 かんせん を引 ひ き起 お こす。その中 なか には、旋毛 せんもう 虫 むし 症 しょう 、有 ゆう 鉤 かぎ 条 じょう 虫 ちゅう 、嚢虫症 しょう 、ブルセラ症 しょう 等 ひとし もある。消化 しょうか 管 かん の中 なか に大量 たいりょう の回虫 かいちゅう がいることも知 し られている[19] 。このように寄生虫 きせいちゅう や病原 びょうげん 体 たい が多 おお いことが、豚肉 ぶたにく をあまり生 せい では食 た べない理由 りゆう の1つである。いくつかの宗教 しゅうきょう では、豚肉 ぶたにく を不浄 ふじょう なものとしている[20] 。
イノシシ属 ぞく は気管支炎 きかんしえん や肺炎 はいえん にも感染 かんせん しやすい。体 からだ の大 おお きさに比 くら べて肺 はい が小 ちい さいため、気管支炎 きかんしえん や肺炎 はいえん は致死 ちし 性 せい になりやすい[21] 。インフルエンザ やエボラ出血熱 えぼらしゅっけつねつ のウイルスを拡散 かくさん する懸念 けねん も持 も たれている。
イノシシ属 ぞく は攻撃 こうげき 的 てき で、野生 やせい のイノシシ属 ぞく が存在 そんざい する地域 ちいき では、イノシシ属 ぞく が原因 げんいん となる怪我 けが も多 おお い[22] 。
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