エンメルカル

エンメルカル
ウルク王おう
子女しじょ	ルガルバンダ
王朝おうちょう	ウルク第だい1王朝おうちょう
父親ちちおや	メスキアッガシェル?、ウトゥ?

エンメルカル（Enmerkar）は、古代こだいメソポタミア、ウルク第だい1王朝おうちょうの伝説でんせつ的てきな王おう。

略歴りゃくれき

シュメール王おう名めい表ひょうによれば、エンメルカルはウルク第だい1王朝おうちょうの最初さいしょの王おうメスキアッガシェルの息子むすことして生うまれ、420年間ねんかん在位ざいいしたとされる。他たの伝説でんせつではエンメルカルは太陽たいよう神しんウトゥ（Utu）の息子むすことされている。

ウルクを建設けんせつしたる者ものとして記録きろくされる他ほか、シュメール神話しんわにおいては文字もじの発明はつめい者しゃとされる。

エンメルカルは後世こうせい、ルガルバンダやギルガメシュと並ならんで尊崇そんすうの対象たいしょうとなった王おうであるが、その実在じつざいの可能かのう性せいについては議論ぎろんがある。

エンメルカル伝説でんせつ

エンメルカルに関かんする主要しゅような伝説でんせつは『エンメルカルとアラッタの領主りょうしゅ』、『エンメルカルとエン・スフギル・アナ』の二ふたつである。

エンメルカルとアラッタ市しの領主りょうしゅ

『エンメルカルとアラッタ市しの領主りょうしゅ』によれば、エンメルカルが金属きんぞく細工ざいくや工芸こうげい品ひんで知しられた都市としアラッタを服属ふくぞくさせようとした。しかしアラッタ市しはウルクから7つの山やまを越こえた地ちにあった（場所ばしょは不明ふめい。エラムもしくはアルメニアのあたりと推測すいそくされている）。降伏ごうぶくを勧告かんこくする使者ししゃを立たてるものの彼かれはエンメルカルの長大ちょうだいな言葉ことばを覚おぼえることができず、何なん度ど練習れんしゅうしても復唱ふくしょうできなかった。そこでエンメルカルは粘土ねんど板ばんを整ととのえ言葉ことばを粘土ねんど板ばんの上うえに置おいた（即すなわち文字もじを記しるした）。使者ししゃはアラッタに到着とうちゃくし、粘土ねんど板ばんに書かかれた言葉ことば通どおりに降伏ごうぶくを勧告かんこくし、アラッタの領主りょうしゅを威圧いあつした。これが最初さいしょの文字もじ記録きろくであるとされている。

…使者ししゃはアラッタの領主りょうしゅに告つげた。「これは我わが主人しゅじんが語かたった言葉ことばである。これは彼かれの言葉ことばである。…光ひかり輝かがやく王おう、支配しはい者しゃであるウトゥ神しんの息子むすこエンメルカルは私わたしにこの粘土ねんど板ばんを与あたえた。アラッタの領主りょうしゅよ、この粘土ねんど板ばんを調しらべ返答へんとうを述のべられよ。」…

これは考古学こうこがく的てき事実じじつから分わかっている楔形文字くさびがたもじの歴史れきしとは相容あいいれないが、シュメール人じん達たちが文字もじの発生はっせいを語かたった神話しんわとして重要じゅうよう性せいは計はかり知しれない。

エンメルカルとエン・スフギル・アナ

『エンメルカルとエン・スフギル・アナ』はエンメルカルとアラッタの領主りょうしゅの戦たたかいを語かたった伝説でんせつである。この中なかで魔術まじゅつを用もちいてアラッタと戦たたかったという。最終さいしゅう的てきにアラッタはエンメルカルに服属ふくぞくしたとされる。また彼かれの8人にんの息子むすこは、エンメルカルの遠征えんせいに従軍じゅうぐんしたとされている。その末弟ばっていが彼かれの後継こうけい者しゃとされるルガルバンダであった。