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オオハキリバチ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
オオハキリバチ
オオハキリバチ
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 節足動物せっそくどうぶつもん Arthropoda
つな : 昆虫こんちゅうつな Insecta
: ハチまく翅目) Hymenoptera
: ハキリバチ Megachilidae
ぞく : ハキリバチぞく Megachile
たね : オオハキリバチ M. sculpturalis
学名がくめい
Megachile (Callomegachile) sculpturalis Smith1853
和名わみょう
オオハキリバチ

オオハキリバチ Megachile sculpturalisハキリバチぞくする大型おおがたハナバチ松脂まつやにつく習性しゅうせいつ。

特徴とくちょう

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大型おおがたのハナバチで、体長たいちょうめすで20-25mm、ゆうでは13-20mm。全身ぜんしんくろく、胸部きょうぶ腹部ふくぶだい1せつばん褐色かっしょく赤褐色せきかっしょく密生みっせいする[1]。翅の基部きぶ褐色かっしょくで、先端せんたんかって次第しだいくろくなり、紫紺しこん光沢こうたく[2]。翅脈はくろい。頭部とうぶにはくろくてみじかおおい。腹部ふくぶの2せつ以降いこうにもくろたんがあり、とく側面そくめん尾端びたんおおい。あしには褐色かっしょくたんおおく、こうあし内側うちがわくろい。ゆうでは頭部とうぶ褐色かっしょくたんがあり、また腹部ふくぶまつはしまるい。

習性しゅうせい

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成虫せいちゅうは6-8がつめす成虫せいちゅうは8-10月に出現しゅつげんする。ハキリバチるい植物しょくぶつり、それを使つかってつくることからこのがあるが、ほんしゅではなく松脂まつやに使つかう。

ハギるいクズアオギリカラスザンショウトウネズミモチなどがおとずれはな植物しょくぶつとしてあげられる[1]しゅたるはな資源しげん植物しょくぶつはクズで、このはなから花粉かふんみつあつめ、花粉かふん団子だんごとして幼虫ようちゅうえさとする。幼虫ようちゅうのためのは、竹筒たけづつなど、既存きそんつつじょう構造こうぞう利用りようしてつくる。かんおくからあつめてきた松脂まつやにかべつくり、そこに花粉かふん団子だんごみ、一定いっていりょうたっするとそのうえ産卵さんらんし、松脂まつやにかべつくってふうじる。そうやって出来できあらたな松脂まつやにかべうえに、あたらしい花粉かふん団子だんごめ、産卵さんらんしては松脂まつやにふうをするので、かん一定いってい間隔かんかく仕切しきられた部屋へや数珠繋じゅずつなぎになった状態じょうたいになり、おくのものほどふる部屋へやである。最後さいごかんくちふうをするが、このふうだけは使つかわれる[3]

分布ぶんぷ

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日本にっぽんでは北海道ほっかいどうから奄美あまみ大島おおしまにかけてひろられる。沖縄おきなわ八重山やえやまからの報告ほうこくもあるが、後述こうじゅつたねとの関係かんけいもあり、さい検討けんとう必要ひつようとのこと。国外こくがいでは中国ちゅうごく朝鮮ちょうせん台湾たいわん分布ぶんぷする。ただしアメリカ東部とうぶヨーロッパ南部なんぶ移入いにゅうしゅとして侵入しんにゅう分布ぶんぷ拡大かくだいしつつある[4]

類似るいじしゅ

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よくたものにズグロハキリバチ M. monticola がある。外形がいけい色彩しきさいとうはよくているが、ほんしゅよりややおおきく(めす体長たいちょう22-27mm)、腹部ふくぶてんこくがよりこまかいことなどで区別くべつ出来できる。また、分布ぶんぷ奄美あまみ以南いなん琉球りゅうきゅう列島れっとうで、日本にっぽん本土ほんどでは混同こんどうのしようはない[4]

ちなみにズグロハキリバチはハキリバチるいでは日本にっぽん最大さいだいたねであり、ほんしゅはほぼそのおおきさにせまる。安松やすまつ(1965)ではほんたねをもって『本邦ほんぽうさん最大さいだいのハキリバチ』としている[5]が、このたねふくめているのかもれない。

なお、分類ぶんるいてきにはちかくないが、キムネクマバチとは大型おおがたくろ胴体どうたいくろい翅、それに黄色おうしょく密生みっせいする胸部きょうぶというてん共通きょうつうである。ただしほんたねほう体形たいけい細長ほそながい。

利害りがい

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大型おおがたのハチであり、よく目立めだつのでこわがられることがある。とくに8-10月に、めす羽化うかする直前ちょくぜん周囲しゅういバチがあつまり、ときすうじゅうとうたか羽音はおとててぐんすることがあり、おそれられる。ただし、ひとおそったりはしない[6]

どくはりっているからせば有毒ゆうどくである。梅谷うめたにへん(1994)では有毒ゆうどくとしながらも、危険きけんなハチるいれいにはげていない[7]。ただし、ごくまれじゅうあつし症状しょうじょうこすことがられており、60さい男性だんせい右手みぎてほんしゅされ、がり水疱すいほうしょうじ、10日とおか右手みぎて壊疽えそし、最終さいしゅうてき右手みぎて切断せつだんいたったれいられる。ここまでおもあつかつ長期ちょうきわたれいはちとげしょう全体ぜんたいてもれいがないという[8]

出典しゅってん

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  1. ^ a b 多田おおたない村尾むらお(2014),p.306
  2. ^ 以下いかしゅとして石井いしいへん(1950),p.1488
  3. ^ 前田まえだ(2001),p.71,77
  4. ^ a b 多田おおたない村尾むらお(2014),p.305
  5. ^ 安松やすまつ(1965),p.308
  6. ^ 梅谷うめたにへん(1994),p.98
  7. ^ 梅谷うめたにへん(1994),p.58
  8. ^ 吉江よしえ松井まつい(1978)

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 石井いしい悌他へん、『日本にっぽん昆虫こんちゅう圖鑑ずかん』、(1950)、きたたかしかん
  • 安松やすまつ京三きょうぞう、『原色げんしょく日本にっぽん甲虫かぶとむしだい圖鑑ずかんだい3かん〕』、(1965)、きたたかしかん
  • 田内たうちおさむ村尾むらおりゅうおこりへん、『日本にっぽんさんハナバチ図鑑ずかん』、(2014)、ぶんいち総合そうごう出版しゅっぱん
  • 梅谷うめたにけんじ、『野外やがい毒虫どくむし不快ふかいむし』、(1994) 、全国ぜんこく農村のうそん教育きょういく協会きょうかい
  • 前田まえだ泰生やすお、「オオハキリバチとその労働ろうどう寄生きせいはち生活せいかつ」:『ハチとアリの自然しぜん本能ほんのう進化しんかがく】』、(2002)、北海道大学ほっかいどうだいがく図書としょ刊行かんこうかい:p.71-94
  • 吉江よしえ治彦はるひこ松井まついたけし、「じゅうあつしはちとげしょうの1れい」、(1978)、臨床りんしょう皮膚ひふ、32かん8ごう