カラカサタケ

カラカサタケ
分類ぶんるい
界さかい : 菌きん界かい Fungi 門もん : 担子菌きん門もん Basidiomycota 亜あ門もん : 菌きん蕈亜門もん Hymenomycotina 綱つな : 真正しんしょう担子菌きん綱つな Agaricomycetes 目め : ハラタケ目め Agaricales 科か : ハラタケ科か Agaricaceae 属ぞく : カラカサタケ属ぞく Macrolepiota 種たね : カラカサタケ M. procera
学名がくめい
Macrolepiota procera (Scop. : Fr.) Sing.
英名えいめい
Parasol mushroom

カラカサタケ（唐から傘かさ茸だけ、学名がくめい: Macrolepiota procera）は、ハラタケ科かカラカサタケ属ぞくの特大とくだい型がたのキノコ。ニギリタケ（古名こみょう）、オシコンボ（香川かがわ県けん）、キジタケ、ツルタケと呼よばれることもある。ヨーロッパ、北米ほくべいをはじめ分布ぶんぷは世界中せかいじゅうに広ひろがる。夏なつから秋あきにかけて、雑木林ぞうきばやしや公園こうえんの草くさむらなどに生はえる。和名わみょうの由来ゆらいは、傘かさが開ひらいたときに唐から傘かさが開ひらいたように見みえるからとされる。加熱かねつして食用しょくようされるが、生食なましょくすると毒どく。

特徴とくちょう

夏なつから秋あきにかけて、竹林ちくりんや雑木林ぞうきばやしの林はやし床ゆか、草地くさち、公園こうえんの植うえ込こみ、道端みちばたなどの光ひかりが差さし込こむ場所ばしょに単たん生なままたは散ち生なまする。一いち列れつに並ならぶ菌きん輪わをつくることもある。腐くさ生なま菌きん（腐くさ生なま性せい）。ときにモミなどの針葉樹しんようじゅ林りんに発生はっせいすることもある。

常つねに高たかさは30センチメートル (cm) を超こえ、大おおきなものでは40 - 50 cmほどになるものもある。傘かさは径みち8 - 20 cmで中なかには30 cmに達たっするものもあり、はじめ卵たまご形がた、成長せいちょうすると丸山まるやま形がたになり、さらに中高なかだかで平たいらに開ひらく。表皮ひょうひは淡あわ褐色かっしょくから淡あわ灰ばい褐色かっしょくで、傘かさの成長せいちょうに従したがい亀裂きれつができ、それが褐色かっしょくの鱗片りんぺんとなる。傘かさの裏うらはヒダが密みつで白色はくしょく、柄えに隔へだた生むしている。柄えは全体ぜんたいに細ほそく長ながさ15 - 40 cmにもなり、基部きぶが太ふとく中空ちゅうくうで、表皮ひょうひは生長せいちょうするとひび割われて褐色かっしょくの鱗片りんぺんを帯おびてだんだら模様もようとなる。柄えの上部じょうぶには、リング状じょうで厚あついツバをもち、このツバは柄えに付着ふちゃくしておらず、上下じょうげに動うごかすことができ、時ときにずれ下さがっている。

肉にくは白色はくしょくで無味むみ無臭むしゅう。傷きずによる変色へんしょくは見みられない。成長せいちょうすると弾力だんりょく性せいのある海面かいめん状じょう。傘かさを握にぎっても離はなすと元もとの形かたちに戻もどることから、「ニギリタケ」の名称めいしょうが生うまれた。柄えは繊維せんい質しつ。

なお、外観がいかんが類似るいじする猛毒もうどく種しゅがいくつか存在そんざいする。オオシロカラカサタケやドクキツネノカラカサ、ドクカラカサタケの幼よう菌きんをカラカサタケと間違まちがって食たべ、中毒ちゅうどくを起おこした例れいも存在そんざいする。

利用りよう

無味むみ・無臭むしゅうで従来じゅうらいから食用しょくようとされるが生食なましょくは禁物きんもつで、必かならず湯ゆがくなどの下しも処理しょりをしてから料理りょうりに利用りようする。大型おおがたのキノコのため傘かさと柄えに分わけて、天てんぷら、フライ、すき焼やき、炒いため物ぶつ、きのこ汁じるなど加熱かねつしたうえで利用りようされる。

毒性どくせい

生せいで食たべると消化しょうか器き系けいの中毒ちゅうどく症状しょうじょうが現あらわれ、蕁麻疹じんましん、下痢げり、ぜんそく、ショックなどのアレルギーに至いたることもある。毒どく成分せいぶんについてはわかっていない。

文化ぶんか

植物しょくぶつ学者がくしゃの牧野まきの富太郎とみたろうは、傘かさを握にぎっても元もとに戻もどる性状せいじょうの古名こみょうニギリタケとよばれる本ほん種しゅから、「ニギリタケ握にぎり甲斐かいなき細ほそさかな」の俳句はいくを残のこしている。

ギャラリー

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  ヒダの様子ようす
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  草くさむらに発生はっせいした個体こたい
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  成なり菌きんは傘かさが平たいらに開ひらく
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  生長せいちょう途中とちゅうでは丸山まるやま形がたの傘かさ
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  林はやし床ゆかの発生はっせいした個体こたい
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  傘かさの表面ひょうめんには褐色かっしょくの鱗片りんぺんが多数たすうつく
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  A breaded parasol mushroom
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参考さんこう文献ぶんけん

• 牛島うしじま秀爾ひでじ『道端みちばたから奥山おくやままで採とって食たべて楽たのしむ菌きん活かつ きのこ図鑑ずかん』つり人社びとしゃ、2021年ねん11月1日にち。ISBN 978-4-86447-382-8。 
• 大作たいさく晃一こういち『きのこの呼よび名な事典じてん』世界文化社せかいぶんかしゃ、2015年ねん9月がつ10日とおか。ISBN 978-4-418-15413-5。 
• 瀬せら畑はた雄三ゆうぞう監修かんしゅう 家かの光ひかり協会きょうかい編へん『名人めいじんが教おしえる きのこの採とり方かた・食たべ方かた』家いえの光協会ひかりきょうかい、2006年ねん9月がつ1日にち。ISBN 4-259-56162-6。 
• 長沢ながさわ栄さかえ史し監修かんしゅう Gakken編へん『日本にっぽんの毒どくきのこ』Gakken〈増補ぞうほ改訂かいていフィールドベスト図鑑ずかん 13〉、2009年ねん9月がつ28日にち。ISBN 978-4-05-404263-6。 
• 吹春俊光としみつ『おいしいきのこ 毒どくきのこ』大作たいさく晃一こういち（写真しゃしん）、主婦しゅふの友社ともしゃ、2010年ねん9月がつ30日にち。ISBN 978-4-07-273560-2。 

• 長沢ながさわ栄さかえ史し監修かんしゅう　安藤あんどう洋子ようこほか著ちょ『日本にっぽんの毒どくきのこ』　学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、2003年ねん ISBN 4054018823
• 本郷ほんごう次雄つぐお監修かんしゅう　幼よう菌きんの会かい編へん　『カラー版ばん　きのこ図鑑ずかん』　家いえの光協会ひかりきょうかい、2001年ねん ISBN 4259539671
• 大だい舘たて一夫かずお・長谷川はせがわ明あきら監修かんしゅう　都会とかいのキノコ図鑑ずかん刊行かんこう委員いいん会かい著ちょ　『都会とかいのキノコ図鑑ずかん』　八坂やさか書房しょぼう、2007年ねん ISBN 4896948912
• 前川まえかわ二に太郎たろう監修かんしゅう　トマス･レソェ著ちょ　『世界せかいきのこ図鑑ずかん』　新樹あらき社しゃ、2005年ねん ISBN 4787585401
• 小宮山こみやま勝司しょうじ著ちょ　『きのこ大だい図鑑ずかん』　永岡書店ながおかしょてん、2008年ねん ISBN 9784522423981
• 今関いまぜき六ろく也ほか編へん　『日本にっぽんのきのこ』　山やまと渓谷社けいこくしゃ、1988年ねん ISBN 4635090205
• 佐久間さくま大輔だいすけ監修かんしゅう　大だい舘たて一夫かずおほか著ちょ　『考かんがえるキノコ　摩訶不思議まかふしぎワールド』　INAX出版しゅっぱん、2008年ねん ISBN 9784872758467

関連かんれん項目こうもく

• ドクカラカサタケ - 類似るいじする毒どくキノコ
• イロガワリシロカラカサタケ
• ツブカラカサタケ
• マントカラカサタケ - 類似るいじするキノコで、傘かさの色いろは白色はくしょくで膜質まくしつのツバは垂たれ下さがりマント状じょうになるのが特徴とくちょう。
• オオシロカラカサタケ - 類似るいじする毒どくキノコ

外部がいぶリンク

• 野生やせいきのこの世界せかい 社団しゃだん法人ほうじん 農林のうりん水産すいさん技術ぎじゅつ情報じょうほう協会きょうかい