カルノス

カルノス（古希こき: Κάρνος, Karnos）は、ギリシア神話しんわの人物じんぶつである。アカルナーニア地方ちほうの出身しゅっしんで、アポローン神かみの予言よげん者しゃ。ヘーラクレイダイの帰還きかんの物語ものがたりに登場とうじょうする。コノーンによるとアポローンの恋人こいびとという。

神話しんわ

ヘーラクレイダイ率ひきいるテーメノスがポーキス地方ちほうの都市としナウパクトスでペロポネーソス半島はんとうに帰還きかんする準備じゅんびを進すすめていると、神かみ懸かかりした予言よげん者しゃが現あらわれて予言よげんの言葉ことばを叫さけんだ。ヘーラクレイダイたちはペロポネーソス側がわの人間にんげんが災わざわいをなすために送おくり込こんだ魔術まじゅつ師しと考かんがえ、彼かれらの1人ひとりヒッポテースは槍やりを投なげて予言よげん者しゃを殺ころした。するとこの出来事できごとの後のちに彼かれらに災厄さいやくが降ふりかかり、建造けんぞうした軍船ぐんせんはことごとく破壊はかいされ、兵へいも飢饉ききんで離散りさんしてしまった。神託しんたくは災厄さいやくの原因げんいんが予言よげん者しゃの殺害さつがいにあり、殺害さつがい者しゃを追放ついほうして、3つ眼めの男おとこを帰還きかんの案内あんない人じんとするべしと告つげたため、ヒッポテースは追放ついほうされ、片かた眼めの馬うまに乗のったオクシュロスを案内あんない者しゃとすることで帰還きかんを果はたした。

パウサニアースによると、ヒッポテースに殺ころされた予言よげん者しゃの名前なまえはカルノスであり、彼かれはアポローン神かみの予言よげんを授さずかっていたため、予言よげん者しゃを殺ころされたアポローンの怒いかりがヘーラクレイダイを襲おそったと述のべている。そのためヒッポテースは殺人さつじんの罪つみで追放ついほうされ、カルノスを慰霊いれいするためにアポローン・カルネイオスを崇拝すうはいすることがドーリス人じんの間あいだで習慣しゅうかんになった。

ただし、パウサニアースは予言よげん者しゃカルノスとアポローン・カルネイオスを結むすびつける伝承でんしょうには懐疑かいぎ的てきで、アポローン・カルネイオスはドーリス人じん以前いぜんからスパルタの、予言よげん者しゃクリオスの館かんで祭祀さいしされていたという。

参考さんこう文献ぶんけん

• アポロドーロス『ギリシア神話しんわ』高津たかつ春繁はるしげ訳わけ、岩波いわなみ文庫ぶんこ（1953年ねん）
• パウサニアス『ギリシア記き』飯尾いのお都と人じん訳やく、龍渓りゅうけい書しょ舎しゃ（1991年ねん）
• 高津たかつ春繁はるしげ『ギリシア・ローマ神話しんわ辞典じてん』岩波書店いわなみしょてん（1960年ねん）