ギョイコウ

ギョイコウ
分類ぶんるい
学名がくめい
	Cerasus Sato-zakura Group ‘Gioiko’ Koidz.
シノニム
	Cerasus lannesiana ‘Gioiko’ Koidzumi; Cerasus serrulata ‘Gioiko’
和名わみょう
	ギョイコウ（御衣おんぞ黄き）

ギョイコウ（御衣おんぞ黄き、学名がくめい：Cerasus Sato-zakura Group ‘Gioiko’ Koidz.）は、バラ科かサクラ属ぞくの植物しょくぶつ。オオシマザクラを基もとに生うまれた日本にっぽん原産げんさんの栽培さいばい品種ひんしゅのサトザクラ群ぐんのサクラ。名前なまえは江戸えど時代じだい中期ちゅうきから見みられ^[3]、その由来ゆらいは貴族きぞくの衣服いふくの萌黄色もえぎいろに近ちかいため^[5]。別名べつめいは「ミソギ（御祓おはらい）」^[6]。

特徴とくちょう

江戸えど時代じだいに京都きょうとの仁和寺にんなじで栽培さいばいされたのが始はじまりとされる^[5]、荒川あらかわ堤つつみで栽培さいばいされていたサトザクラの一ひとつ^[7]。江戸えど時代じだいにシーボルトが持もち帰かえった標本ひょうほんが現存げんそんしている^[8]。

最大さいだいの特徴とくちょうは、ウコン（鬱金うこん）、スマウラフゲンゾウ（須磨すま浦うら普ひろし賢けん象ぞう）、ソノサトキザクラ（園えん里さと黄き桜さくら）^[9]、ソノサトリョクリュウ（園えん里さと緑みどり龍りゅう）^[10]と同おなじく、黄色おうしょく・黄き緑みどり・緑色みどりいろ系けいの花はなを咲さかせることである。DNA解析かいせきにより枝えだ変かわりの可能かのう性せいが指摘してきされている^[11]。花弁はなびらに黄色おうしょくのカロテノイドと緑色みどりいろのクロロフィルを含ふくむ葉は緑みどり体たいをもつ性質せいしつはウコンなどと同おなじであるが、ウコンは緑色みどりいろのクロロフィルが少量しょうりょうのため黄き緑みどり（淡あわ黄色きいろ）に見みえ、ギョイコウはクロロフィルが多量たりょうのためより濃こい緑色みどりいろに見みえると考かんがえられている^[12]^[13]。

樹き形がたは高木たかぎの盃さかずき状じょう、八重咲やえざきの黄き緑みどりに近ちかい緑色みどりいろの中なか輪わの花はなをつけるヤエザクラである。東京とうきょう、京都きょうと市し、石川いしかわ県けん白山はくさん市しでの花期かきは4月がつ下旬げじゅん^[7]^[4]。


開花かいか初期しょき		最盛さいせい期きを過すぎると赤あかみを帯おびる

場所ばしょや時期じきによって、花はなの大おおきさや色合いろあいなどに大おおきな差さがあり、花はなの大おおきさは、京都きょうと市しや結城ゆうき市しで直径ちょっけい2から2.5センチメートル、北海道ほっかいどう松前まさき町まちで4から4.5センチメートルなど、場所ばしょによって異ことなる^[4]^[14]。花弁はなびら数すうは10から15程度ていど^[3]^[15]の八重咲やえざきで、花弁はなびらは肉にく厚あつで外側そとがわに反そり返かえる。色いろは白色はくしょくから淡あわ緑色みどりいろである。中心ちゅうしん部ぶに紅色こうしょくの条じょう線せんがあり、開花かいか時じには目立めだたないが、次第しだいに中心ちゅうしん部ぶから赤あかみが増ましてきて（紅べに変へん）、散ちる頃ころにはかなり赤あかくなる。また濃緑こみどり色しょくの部分ぶぶんの裏側うらがわには、ウコンの花はなにはない気孔きこうも存在そんざいする。

珍めずらしいサクラではあるが、沖縄おきなわ県けんを除のぞく日本にっぽん各地かくちの100ヶ所かしょ以上いじょうで見みることができる。また、現在げんざいは合併がっぺいしてなくなったが、かつては秋田あきた県けん東由利ひがしゆり町まちの町まち花はなであった。

ギョイコウと同おなじ黄き緑みどり系けいのソノサトキザクラ（上野うえの恩賜おんし公園こうえんにて）
同左どうさ

派生はせい種しゅ

理化学研究所りかがくけんきゅうしょでは、2007年ねんにギョイコウに重じゅうイオンビームを照射しょうしゃし、開花かいか頃ごろには淡あわ黄き緑みどり白色はくしょく、終おわりの頃ころに淡あわ黄きピンク色ぴんくいろの新しん品種ひんしゅ「ニシナザオウ（仁科にしな蔵王ざおう）」を開発かいはつした。重じゅうイオンビームを照射しょうしゃしてサクラの新あたらしい栽培さいばい品種ひんしゅを作出さくしゅつしたのは世界せかい初はつの試こころみであった^[16]。なお理研りけんは、重じゅうイオンビームを照射しょうしゃして、ニシナザオウの他ほかにも、ケイオウザクラ（啓けい翁おう桜さくら、敬たかし翁おう桜さくら）からニシナオトメ（仁科にしな乙女おとめ）を、シュンゲッカ（春月しゅんげつ花はな）からニシナハルカ（仁科にしな春はる果はて）とニシナコマチ（仁科にしな小町こまち）を作出さくしゅつしている^[17]。

出典しゅってん

^ 勝木かつき俊雄としお『桜さくら』p28、岩波いわなみ新書しんしょ、2015年ねん、ISBN 978-4004315346
^ 勝木かつき俊雄としお, サクラの分類ぶんるいと形態けいたいによる同定どうてい」『樹木じゅもく医学いがく研究けんきゅう』 21巻かん 2号ごう 2017年ねん p.93-104(p.97), 樹木じゅもく医い学会がっかい, doi:10.18938/treeforesthealth.21.2_93。
^ ^a ^b ^c 勝木かつき俊雄としお『日本にっぽんの桜さくら増補ぞうほ改訂かいてい版ばん』学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、2009年ねん、ISBN 978-4-05-403796-0
^ ^a ^b ^c 大場おおば秀章ひであき・川崎かわさき哲也てつや・田中たなか秀明ひであき『新日本しんにほんの桜さくら』山やまと渓谷社けいこくしゃ、2007年ねん、ISBN 978-4-635-06192-6
^ ^a ^b 緑色みどりいろの桜さくら!? ウェザーニュース
^ 多摩たま森林しんりん科学かがく園えんサクラデータベース森林しんりん総合そうごう研究所けんきゅうじょ
^ ^a ^b 御衣おんぞ黄き日本にっぽん花はなの会かい桜さくら図鑑ずかん
^ 大原おおはら隆明たかあき『サクラハンドブック』文ぶん一いち総合そうごう出版しゅっぱん、2009年ねん、ISBN 978-4-8299-0181-6
^ 園えん里さと黄き桜さくら日本にっぽん花はなの会かい桜さくら図鑑ずかん
^ 信州しんしゅう須坂すざかの臥竜がりょう公園こうえんでは、日本にっぽんで認定にんていされた黄き緑みどり系けい桜さくら5品種ひんしゅを全すべてご覧らん頂いただけます！須坂すざか市し観光かんこう協会きょうかい
^ 加藤かとう珠理じゅり, 勝木かつき俊雄としお, 津田つだ吉よし晃あきらほか, 「DNAマーカーを用もちいたサクラ栽培さいばい品種ひんしゅの識別しきべつ』『日本にっぽん森林しんりん学会がっかい大会たいかい発表はっぴょうデータベース』 2010年ねん 121巻かん, 第だい121回かい日本にっぽん森林しんりん学会がっかい大会たいかい, セッションID:Pa2-94, p.689, doi:10.11519/jfsc.121.0.689.0。
^ 勝木かつき俊雄としお『桜さくら』p104、岩波いわなみ新書しんしょ、2015年ねん、ISBN 978-4004315346
^ “桜さくら図鑑ずかん｜公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん花はなの会かい”. 桜さくら図鑑ずかん｜公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん花はなの会かい. 2023年ねん12月がつ20日はつか閲覧えつらん。
^ 勝木かつき（2009）では3.2から4.0センチメートル、大原おおはら（2009）では3.4から4.3センチメートル
^ 大原おおはら（2009）では11から16、大場おおばほか（2007）では約やく13
^ 重じゅうイオンビームで世界せかい初はつのサクラの新しん品種ひんしゅの作成さくせいに成功せいこう理化学研究所りかがくけんきゅうしょ archeivwdate=2012-3-7 Internet Archive
^ 新種しんしゅのサクラ理化学研究所りかがくけんきゅうしょ

外部がいぶリンク

緑みどりの桜さくらホームページ - 全国ぜんこくの開花かいか地ちの一覧いちらんが掲載けいさいされている。

[katsuki2015-1] 勝木かつき俊雄としお『桜さくら』p28、岩波いわなみ新書しんしょ、2015年ねん、ISBN 978-4004315346

[katsuki2017-2] 勝木かつき俊雄としお, サクラの分類ぶんるいと形態けいたいによる同定どうてい」『樹木じゅもく医学いがく研究けんきゅう』 21巻かん 2号ごう 2017年ねん p.93-104(p.97), 樹木じゅもく医い学会がっかい, doi:10.18938/treeforesthealth.21.2_93。

[katsuki-3] 勝木かつき俊雄としお『日本にっぽんの桜さくら増補ぞうほ改訂かいてい版ばん』学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、2009年ねん、ISBN 978-4-05-403796-0

[oba_et_al-4] 大場おおば秀章ひであき・川崎かわさき哲也てつや・田中たなか秀明ひであき『新日本しんにほんの桜さくら』山やまと渓谷社けいこくしゃ、2007年ねん、ISBN 978-4-635-06192-6

[news-5] 緑色みどりいろの桜さくら!? ウェザーニュース

[6] 多摩たま森林しんりん科学かがく園えんサクラデータベース森林しんりん総合そうごう研究所けんきゅうじょ

[zukan-7] 御衣おんぞ黄き日本にっぽん花はなの会かい桜さくら図鑑ずかん

[ohara-8] 大原おおはら隆明たかあき『サクラハンドブック』文ぶん一いち総合そうごう出版しゅっぱん、2009年ねん、ISBN 978-4-8299-0181-6

[9] 園えん里さと黄き桜さくら日本にっぽん花はなの会かい桜さくら図鑑ずかん

[10] 信州しんしゅう須坂すざかの臥竜がりょう公園こうえんでは、日本にっぽんで認定にんていされた黄き緑みどり系けい桜さくら5品種ひんしゅを全すべてご覧らん頂いただけます！須坂すざか市し観光かんこう協会きょうかい

[11] 加藤かとう珠理じゅり, 勝木かつき俊雄としお, 津田つだ吉よし晃あきらほか, 「DNAマーカーを用もちいたサクラ栽培さいばい品種ひんしゅの識別しきべつ』『日本にっぽん森林しんりん学会がっかい大会たいかい発表はっぴょうデータベース』 2010年ねん 121巻かん, 第だい121回かい日本にっぽん森林しんりん学会がっかい大会たいかい, セッションID:Pa2-94, p.689, doi:10.11519/jfsc.121.0.689.0。

[katsuki20152-12] 勝木かつき俊雄としお『桜さくら』p104、岩波いわなみ新書しんしょ、2015年ねん、ISBN 978-4004315346

[13] “桜さくら図鑑ずかん｜公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん花はなの会かい”. 桜さくら図鑑ずかん｜公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん花はなの会かい. 2023年ねん12月がつ20日はつか閲覧えつらん。

[14] 勝木かつき（2009）では3.2から4.0センチメートル、大原おおはら（2009）では3.4から4.3センチメートル

[15] 大原おおはら（2009）では11から16、大場おおばほか（2007）では約やく13

[16] 重じゅうイオンビームで世界せかい初はつのサクラの新しん品種ひんしゅの作成さくせいに成功せいこう理化学研究所りかがくけんきゅうしょ archeivwdate=2012-3-7 Internet Archive

[17] 新種しんしゅのサクラ理化学研究所りかがくけんきゅうしょ

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特徴とくちょう

派生はせい種しゅ

出典しゅってん

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