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グラム陰性いんせいきん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
グラム陰性いんせい細菌さいきんから転送てんそう
グラム陰性いんせいみどりうみきん桃色ももいろの桿状構造こうぞうぶつ

グラム陰性いんせいきん(グラムいんせいきん、えい: gram-negative bacteria)とは、グラム染色せんしょくにおいてクリスタルバイオレットによる染色せんしょく脱色だっしょくされる細菌さいきん総称そうしょう[1]。グラム染色せんしょくでは対比たいひ染色せんしょくとして通常つうじょうサフラニンがクリスタルバイオレットののちくわえられ、すべてのグラム陰性いんせいきんあかあるいは桃色ももいろ染色せんしょくされる。これにたいしてグラム陽性ようせいきんではクリスタルバイオレットは脱色だっしょくされず、紺青こんじょうしょくあるいは紫色むらさきいろ染色せんしょくされる。

グラム染色せんしょくほうでのグラム陽性ようせいきんとのは、ペプチドグリカンそううすいためクリスタルバイオレットが脱色だっしょくされやすいことによる。大半たいはんうちまくくわえてそとまくつDD細菌さいきんじゅうまく細菌さいきん)である。

かつてグラム陰性いんせい細菌さいきんには、グラキリクテス(Gracilicutes)というラテン語らてんご分類ぶんるいめいあたえられ、もん相当そうとうとしてあつかわれた。命名めいめいはグラム陰性いんせいきんうす細胞さいぼうかべにちなんでおり、ラテン語らてんごのグラキリス(gracilis : ほそい、貧弱ひんじゃくな)とクティス(cutis : 皮膚ひふ)の合成ごうせいであった。

特徴とくちょう

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グラム陰性いんせい細菌さいきん細胞さいぼうかべ構造こうぞう

典型てんけいてきなグラム陰性いんせいきん特徴とくちょう下記かきのとおりである。

  1. 細胞さいぼうしつせっするうちまく
  2. うすペプチドグリカンそう(グラム陽性ようせいきんではよりあつそうである)
  3. ペプチドグリカンそう外側そとがわそとまくリポとうるいリピドA、グラム陽性ようせいきんにはない)、とうるいO抗原こうげんより構成こうせいされる)によりおおわれている
  4. 特定とくてい分子ぶんしのための微細びさいあなのようにはたらポリンそとまく存在そんざいする
  5. ペプチドグリカンそう番目ばんめ細胞さいぼうまくあいだペリプラズムばれる領域りょういき存在そんざいする
  6. Sそうはペプチドグリカンよりもむしろそとまく直接ちょくせつ接触せっしょくしている
  7. むち細菌さいきんではむちには2つではなく4つの補助ほじょのリングが存在そんざいする
  8. タイコさんおよびリポタイコさん存在そんざいしない
  9. リポタンパク質たんぱくしつ糖類とうるい基部きぶ接触せっしょくする
  10. おおくのたね芽胞がほう形成けいせいしない(例外れいがいとしてCoxiella burnetti (Qねつ)は芽胞がほうさま構造こうぞうぶつ形成けいせいする)

例外れいがいとして細菌さいきん存在そんざいがある。細菌さいきん細菌さいきん同様どうようにグラム染色せんしょくおこなわれ、おおくは陰性いんせいである。しかし細胞さいぼうかべ構造こうぞうおおきくことなっており、そもそもそとまくやペプチドグリカンそう自体じたい欠如けつじょしている。そのまくむち構造こうぞうことなる。

代表だいひょうてきたね

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プロテオバクテリアはグラム陰性いんせいきん主要しゅようなグループであり、大腸菌だいちょうきんサルモネラちょうない細菌さいきんシュードモナスモラクセラヘリコバクターステノトロフォモナブデロビブリオ酢酸さくさんきんレジオネラ、そしてボルバキアなどのαあるふぁ-プロテオバクテリアがふくまれる。代表だいひょうてきなグラム陰性いんせいきんのグループとしてシアノバクテリアスピロヘータ緑色みどりいろ硫黄いおう細菌さいきんバクテロイデスふくまれる。

グラム陰性いんせいきん細菌さいきん系統けいとうだい部分ぶぶんめる。代表だいひょうてきなグラム陽性ようせいきんであるフィルミクテスもん放線ほうせんきんもん一部いちぶたねがグラム陽性ようせいまるクロロフレクサスもんデイノコックス・テルムスもんのぞけば、ほとんどすべての細菌さいきんがグラム陰性いんせいまるとっても過言かごんではない。ただし、ドメイン細菌さいきんなかフィルミクテスもん放線ほうせんきんもんは2番目ばんめと3番目ばんめおおきなもんなので、記載きさいしゅすうはややグラム陽性ようせいきんほうおおい。

医学いがく関係かんけいのグラム陰性いんせい球菌きゅうきんせい感染かんせんしょう淋菌りんきん)、ずいまくえんずいまくえんきん)、呼吸こきゅう症状しょうじょうカタラリスきん)をこす3しゅふくまれる。

医学いがく関係かんけいのグラム陰性いんせい桿菌かんきん多数たすう存在そんざいする。おも呼吸こきゅうけい障害しょうがいこす桿菌かんきんとしてインフルエンザきん肺炎はいえん桿菌かんきんレジオネラ・ニューモフィラみどりうみきんなどがあり、泌尿器ひにょうきけい障害しょうがいこす桿菌かんきんとして大腸菌だいちょうきんミラビリス変形へんけいきん (en:Proteus mirabilis)、Enterobacter cloacaeセラチアきん などがあり、消化しょうかけい障害しょうがいこすヘリコバクター・ピロリゲルトネルきん (en:Salmonella enteritidis)、チフスきん などがある。

グラム陰性いんせいきん病院びょういん集中しゅうちゅう治療ちりょうしつにおいてきんしょうこし、てきずいまくえん人工じんこう呼吸こきゅう関与かんよした肺炎はいえんこすAcinetobacter baumanii関連かんれんがある。

病原びょうげんせい

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グラム陰性いんせいきん病原びょうげんせいには、細胞さいぼうかべのあるしゅ成分せいぶん関与かんよしている[1]

グラム陰性いんせいきんまくそと脂質ししつ部位ぶいうち毒素どくそとして機能きのうする複雑ふくざつリポ糖類とうるい (LPS) により構成こうせいされている。 循環じゅんかんけいうち毒素どくそ侵入しんにゅうした場合ばあい発熱はつねつ呼吸こきゅう促拍、てい血圧けつあつこす。エンドトキシンショックこすと死亡しぼうすることがある。ヒトではLPSはサイトカインさんせい免疫めんえきけい活性かっせいともな自然しぜん免疫めんえきけい活性かっせいする。炎症えんしょうはサイトカインさんせいによる通常つうじょうはんおうであるが、宿主しゅくしゅにとってはがいともなりる。

治療ちりょうほう

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グラム陰性いんせいきん特徴とくちょうの1つであるそとまくは、細胞さいぼうかべうちまくペプチドグリカン)に作用さようする抗生こうせい物質ぶっしつ色素しきそ洗剤せんざいから細菌さいきん保護ほごしている。 このためグラム陰性いんせいきんリゾチームペニシリンたいする抵抗ていこうせいゆうする。 一方いっぽうEDTAともなうリゾチーム、抗生こうせい物質ぶっしつアンピシリンなどは病原びょうげんせいつグラム陰性いんせいきんそとまく対抗たいこうするために発展はってんした。クロラムフェニコールストレプトマイシンナリジクスさん有効ゆうこうである。

引用いんよう文献ぶんけん

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  1. ^ a b Salton MJR, Kim KS (1996). Structure. in: Baron's Medical Microbiology (Baron S et al, eds.) (4th ed. ed.). Univ of Texas Medical Branch. ISBN 0-9631172-1-1. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/bv.fcgi?rid=mmed.section.289 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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