グループ合同ごうどう選抜せんばつ制度せいど

グループ合同ごうどう選抜せんばつ制度せいどとは、1982年ねんから1993年ねんまで東京とうきょう都立とりつ高校こうこう全ぜん日にち制せい普通ふつう科か（島嶼とうしょ部ぶを除のぞく）を対象たいしょうに行おこなわれた入試にゅうし制度せいどである。

概要がいよう

1982年ねん、学校がっこう群ぐん制度せいどが廃止はいしされ、グループ選抜せんばつが採用さいようされる。同時どうじに受験じゅけん科目かもく数すうが3教科きょうかから5教科きょうかに変更へんこうされた。

同どう制度せいどの実施じっしに伴ともない、学区がっくの改編かいへんが行おこなわれた。すなわち、従来じゅうらい多摩たま地区ちく（第だい七なな・八はち・九きゅう学区がっく）は実質じっしつ的てきに1つの学区がっくとして扱あつかわれていたが、以降いこうは第だい七なな～十じゅうの4つの学区がっくに分割ぶんかつされた。
学区がっく内ないの高校こうこうを2つのグループに分わけ、調査ちょうさ書しょ（内申ないしん点てん）と学力がくりょく検査けんさでグループ合格ごうかく者しゃを決定けってい。第だい一いち志望校しぼうこうが不ふ合格ごうかくであっても、グループ内ないで定員ていいんに達たっしていない高校こうこうに希望きぼう順位じゅんいをつけて3校こうまで第だい二に志望しぼうとすることができた。
また、それでも定員ていいんを充足じゅうそくできない学校がっこうは、その学校がっこうを第だい一いち志望しぼうとしていた者しゃを成績せいせき順じゅんに「繰くり上あげ合格ごうかく者もの」とした。
上記じょうきの通とおり、同どう制度せいどは都立とりつ高校こうこう全盛ぜんせい時代じだいの学区がっく合同ごうどう選抜せんばつ制度せいどに準じゅんじたものであった。グループに分わけたのは特定とくてい校こうへの受験じゅけん集中しゅうちゅうを緩和かんわする意図いとがあったためである。
この制度せいどの最大さいだいの利点りてんは第だい一いち志望校しぼうこうの合格ごうかく者しゃはその志望校しぼうこうに入学にゅうがくできること、グループ内ないでは合格ごうかく者しゃより成績せいせきの良よい不ふ合格ごうかく者しゃが出でないという受検じゅけんの公平こうへい性せいが担保たんぽされていることにあった（繰くり上あげ合格ごうかくを除のぞく）。
また学校がっこう群ぐん制度せいどでは学校がっこう群ぐんに合格ごうかくしながら希望きぼうする学校がっこうに進学しんがくできないという問題もんだいが生しょうじ、学校がっこう群ぐん自体じたいに不ふ合格ごうかくとなると二に次じ募集ぼしゅう受検じゅけん・私立しりつ高校こうこう受験じゅけんの必要ひつようがあったが、グループ制せいではグループ内ないのある学校がっこうを第だい一いち志望しぼうとして受検じゅけんし合格ごうかくすればその志望校しぼうこうに入学にゅうがくでき、第だい一いち志望しぼうに不ふ合格ごうかくでも一定いっていの成績せいせき（グループ基準きじゅん点てん）を満みたせばグループ内ないのどこかの学校がっこうに入学にゅうがくできる可能かのう性せいが極きわめて高たかく、中学ちゅうがく浪人ろうにんというリスクが少すくないという利点りてんもあった。

グループ

1982年ねんの制度せいど発足ほっそく当時とうじ

第だい一いち学区がっく（千代田ちよだ区く、港みなと区く、品川しながわ区く、大田おおた区く）
- 11グループ - 九きゅう段だん、一いち橋きょう、日比谷ひびや、赤坂あかさか、城南じょうなん、三田みた
- 12グループ - 大崎おおさき、小山台こやまだい、八潮やしお、大森おおもり、田園調布でんえんちょうふ、南みなみ、大森東おおもりひがし、雪谷ゆきたに、羽田はた、蒲田かまた
第だい二に学区がっく（新宿しんじゅく区く、渋谷しぶや区く、目黒めぐろ区く、世田谷せたがや区く）
- 21グループ - 赤城台あかぎだい、戸山とやま、青山あおやま、新宿しんじゅく、広尾ひろお、駒場こまば、都立とりつ大学だいがく附属ふぞく、目黒めぐろ
- 22グループ - 桜さくら町まち、玉川たまがわ、千歳ちとせ、千歳ちとせ丘たかし、深沢ふかざわ、松原まつばら、明正あきまさ
第だい三さん学区がっく（中野なかの区く、杉並すぎなみ区く、練馬ねりま区く）
- 31グループ - 鷺宮わしのみや、富士ふじ、武蔵丘むさしがおか、荻窪おぎくぼ、杉並すぎなみ、豊ゆたか多摩たま、西にし、永福えいふく
- 32グループ - 井草いぐさ、大泉おおいずみ、石神井しゃくじい、練馬ねりま、光丘ひかりがおか、大泉北おおいずみきた、大泉学園おおいずみがくえん、田柄たがら
第だい四よん学区がっく（文京ぶんきょう区く、豊島としま区く、板橋いたばし区く、北きた区く）
- 41グループ - 小石川こいしかわ、竹早たけはや、向丘むこうがおか、豊島としま、文京ぶんきょう、北きた、城北しろきた
- 42グループ - 板橋いたばし、大山おおやま、北園きたぞの、北野きたの、志村しむら、高島たかしま
第だい五ご学区がっく（中央ちゅうおう区く、台東たいとう区く、荒川あらかわ区く、足立あだち区く）
- 51グループ - 京橋きょうばし、日本橋にほんばし、紅葉こうよう川がわ、上野うえの、忍しのぶ岡おか、白しろ鷗、竹たけ台だい
- 52グループ - 足立あだち、江北こうほく、淵江ふちえ、足立あだち西にし、足立あだち東ひがし、青井あおい、足立あだち新田にった
第だい六ろく学区がっく（墨田すみだ区く、江東こうとう区く、葛飾かつしか区く、江戸川えどがわ区く）
- 61グループ - 墨田すみだ川がわ、本所ほんじょ、両国りょうこく、葛飾かつしか野の、南みなみ葛飾かつしか、水元みずもと
- 62グループ - 深川ふかがわ、東ひがし、城東じょうとう、江戸川えどがわ、小岩こいわ、小松川こまつがわ、葛西かさい南みなみ、篠崎しのざき
第だい七なな学区がっく（八王子はちおうじ市し、町田まちだ市し、日野ひの市し）
- 71グループ - 富士ふじ森もり、南多摩みなみたま、片倉かたくら、八王子はちおうじ東ひがし、八王子はちおうじ北きた、館たて、日野台ひのだい、日野ひの、松まつが谷や
- 72グループ - 町田まちだ、忠生ただお、野津田のづた、成瀬なるせ、小川おがわ
第だい八はち学区がっく（立川たつかわ市し、青梅おうめ市し、昭島あきしま市し、福生ふっさ市し、東大和ひがしやまと市し、武蔵村山むさしむらやま市し、秋川あきかわ市し、羽村はむら町まち、瑞穂みずほ町まち、日ひの出で町まち、五日市いつかいち町まち、檜原ひのはら村むら、奥多摩おくたま町まち）
- 81グループ - 北多摩きたたま、立川たちかわ、昭和しょうわ、拝島はいじま、東大和ひがしやまと、武蔵村山むさしむらやま、武蔵村山むさしむらやま東ひがし、砂川すながわ
- 82グループ - 多摩たま、青梅おうめ東ひがし、福生ふっさ、秋あき留とめ台だい、羽村はむら、五日市いつかいち
第だい九きゅう学区がっく（武蔵野むさしの市し、小金井こがねい市し、小平こだいら市し、東村山ひがしむらやま市し、国分寺こくぶんじ市し、田無たなし市し、保谷ほうや市し、清瀬きよせ市し、東久留米ひがしくるめ市し）
- 91グループ - 武蔵むさし、久留くる米よね、久留くる米べい西にし、保谷ほや、武蔵野むさしの北きた、小金井こがねい北きた
- 92グループ - 小平こだいら、小平こだいら西にし、東村山ひがしむらやま、国分寺こくぶんじ、清瀬きよせ、清瀬きよせ東ひがし
第だい十じゅう学区がっく（三鷹みたか市し、府中ふちゅう市し、調布ちょうふ市し、国立こくりつ市し、狛江こまえ市し、多摩たま市し、稲城いなぎ市し）
- 101グループ - 三鷹みたか、神代かみしろ、調布ちょうふ北きた、調布ちょうふ南みなみ、狛江こまえ
- 102グループ- 府中ふちゅう、府中ふちゅう西にし、府中ふちゅう東ひがし、国立こくりつ、永山ながやま、稲城いなぎ、南野みなみの

1983年ねん入試にゅうし以降いこうの新設しんせつ校こう

1983年ねん開校かいこう
- 山崎やまざき（72グループ）- 小平こだいら南みなみ（92グループ）
1984年ねん開校かいこう
- 東大とうだい和南わなみ（81グループ）- 東村あずまむら山西さんせい（92グループ）
1985年ねん開校かいこう
- 南平みなみだいら（71グループ）- 田無たなし（91グループ）
1986年ねん開校かいこう
- 墨田すみだ川がわ堤つつみ校舎こうしゃ（61グループ）

移転いてん

紅葉こうよう川がわ（51グループ→62グループ）

備考びこう

1989年ねんに赤城台あかぎだい、1991年ねんに赤坂あかさか（普通ふつう科か）が募集ぼしゅう停止ていし。
羽田はた・田柄たがら（1990年ねん）、九きゅう段だん・白しろ鷗・五日市いつかいち（1992年ねん）、大泉学園おおいずみがくえん（1993年ねん）はコース制せい移行いこうとともに全ぜん都と学区がっくに変更へんこうの上うえ、単独たんどく選抜せんばつ校こうとなった。
羽村はむら町まちは1991年ねんに市制しせい施行しこうにより羽村はむら市しに昇格しょうかく

廃止はいし

この制度せいどは、「黄金おうごん時代じだい」とも呼よばれた学区がっく合同ごうどう選抜せんばつ制度せいど時代じだいの都立とりつ高校こうこうの高たかい水準すいじゅんを目指めざしたものだった。

しかし学区がっく合同ごうどう選抜せんばつ制度せいどの時代じだいがベビーブームを中心ちゅうしんとする受験じゅけん人口じんこう過多かた期きであったのに対たいし、1980年代ねんだいにはすでに受検じゅけん人口じんこうは漸減ぜんげん傾向けいこうにあり制度せいど導入どうにゅうのメリットはほとんど無なく、強しいて言いえば1983年ねん～1990年ねんの団塊だんかいジュニアをピークとした世代せだいの高校こうこう進学しんがく時期じきに都立とりつ高校こうこう普通ふつう科かの入学にゅうがく定員ていいんの増加ぞうかが間まに合あったことが挙あげられる。

結果けっかとしてはデメリットばかりが目立めだつこととなり、多おおくの受検じゅけん者しゃは私立しりつ志向しこうとなり相対そうたい的てきに都立とりつ高校こうこうの水準すいじゅんは低下ていかしてしまった。

バブル崩壊ほうかい前後ぜんごの1990年代ねんだい前半ぜんはんには都立とりつ高校こうこうの水準すいじゅん（偏差へんさ値ち・現役げんえき大学だいがく合格ごうかく率りつ）は、戦後せんご学校がっこう教育きょういく法ほう施行しこう後ご最悪さいあくというレベルにまで落おち込こんでいた。

ただしバブル崩壊ほうかい以後いごにおける不ふ況きょう下かにおいては、学力がくりょくの高たかい学校がっこうに挑戦ちょうせんしながら滑すべり止とめが確保かくほされているグループ合同ごうどう選抜せんばつのメリットを評価ひょうかする意見いけんがあり、中堅ちゅうけん・下位かい高だかを中心ちゅうしんにむしろ入試にゅうし倍率ばいりつ自体じたいは上昇じょうしょうし都立とりつ回帰かいき等とうと受験じゅけん誌しに書かかれたこともあった。

1994年ねんにグループ選抜せんばつは廃止はいしされ、単独たんどく選抜せんばつ制度せいどに移行いこう。学区がっく外がい受検じゅけんが認みとめられるようになり、2003年ねん4月入学にゅうがく生せいからは学区がっく制せいが廃止はいしされ「全ぜん都と一いち学区がっく」となった。