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シイ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
シイぞく
スダジイCastanopsis sieboldii)の花序かじょ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
階級かいきゅうなし : バラるい Rosids
: ブナ Fagales
: ブナ Fagaceae
ぞく : シイぞく Castanopsis
たね
  • 本文ほんぶん参照さんしょう
スダジイの

シイしい)は、ブナクリ (Castaneoideae) シイぞく (Castanopsis) の樹木じゅもく総称そうしょうである、シイぞくおもにアジアにやく100種類しゅるい分布ぶんぷ日本にっぽんはこのぞく分布ぶんぷ北限ほくげんとなり2しゅ自生じせいする。ほかに日本にっぽんではシイぞくきんえんマテバシイぞく (Lithocarpus) のマテバシイ (Lithocarpus edulis) もこのばれている[1]。ブナぞくし、果実かじつはいわゆるドングリふくまれるが、食用しょくようてきしているため、個別こべつに『しい』と俗称ぞくしょうされる。

名称めいしょう

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シイにてられている漢字かんじの「しい」は、スイとまれるのがなまって使つかわれたとされる[1]。柯(もくへんに)は中国ちゅうごくのシイの一種いっしゅてられている漢字かんじであるといわれ、本来ほんらい日本語にほんごでも「柯」とくべきだという主張しゅちょうもあったが、現代げんだい日本語にほんごではしいいてシイとむのが一般いっぱんしている[1]

シイの語源ごげんについては、めしを「く」あるいは「き」からたというせつもある[1]。しかし、さらわりとするにはそれほどおおきくないので、このせつ懐疑かいぎてき見方みかたもなされている[1]

シイぞくではないマテバシイぞくのマテバシイもたんに「シイ」とよばれることもあるが、べつにマテバガシ、トウジイなどのもある[2]

特徴とくちょう

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すべてが常緑じょうりょく高木たかぎであり、雌雄しゆうどうかぶは2れつ配列はいれつ基部きぶいびつがたほしじょうまたは鱗片りんぺんがあり、おおくのたね鋸歯きょしがある。はな雌雄しゆうべつ花序かじょで、雄花おばなわきせいじょう花序かじょで、雌花めばなわきせい穂状すいじょう花序かじょ花序かじょじく1個いっこずつ、または3ないし7ずつつく、はなばしら棍棒こんぼうじょうで1ほんあるいは3ほん退化たいかしたしべが10 - 12ある。シイは雄花おばな雌花めばながつくえだかれていて、上部じょうぶえだ雄花おばな花序かじょ下部かぶえだ雌花めばな花序かじょだけがつく[3]けんはて翌年よくねんじゅくし、ひとつのえだ数個すうこならぶ。からすべてあるいは中央ちゅうおう以下いかつつまれている。カシるいおおくが風媒花ふうばいかはなびらとうたないのとおな構造こうぞうであるが、シイの雄花おばなえださき密生みっせい全体ぜんたい黄色きいろあかるくいろづく虫媒花ちゅうばいかで、きんえんクリぞく雄花おばな生臭なまぐさかおりがつよ[3]昆虫こんちゅうがよくあつまる。

おおくのたね果実かじつは、3つのけんはてがクリぞくのようにイガの密生みっせいしたからつつまれる。インドグリ (Castanopsis argentea) はからふくめクリそのもののような果実かじつをつけ、常緑じょうりょくではあるものの落葉樹らくようじゅてき形質けいしつっている、ほかにも海外かいがいさんのシイぞくにはこのようなたねおお存在そんざいする。このことからシイぞくは“ぐりかし”という意味いみからクリガシぞく別名べつめいがある、ぞく学名がくめいである Castanopsis もクリにたものという意味いみである。また、北米ほくべいに2しゅあるトゲガシぞく Chrysolepis はかつてシイぞくであったが、イガのあるから最初さいしょかられていること、中身なかみ複数ふくすうけんはてひとつずつからへん仕切しきられているてんから現在げんざいべつぞくとされる。

日本にっぽんのシイぞく

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日本にっぽんのシイぞくには、以下いかの2しゅ分布ぶんぷしている。両者りょうしゃ共通きょうつうてんおおく、また交雑こうざつにより区別くべつ困難こんなん場合ばあいや、中間ちゅうかんおもわれるものもある[3]りょうたねとも暖帯だんたい平地ひらちにおける普通ふつうしゅで、琉球りゅうきゅう列島れっとう九州きゅうしゅうから本州ほんしゅう福島ふくしま新潟にいがたけん以西いせい)にかけての照葉樹しょうようじゅりん代表だいひょうてき構成こうせいしゅ照葉樹しょうようじゅりんおおられ[3]、また都市としでも神社じんじゃなどによくのこっている。また、おおきいものは25メートル (m) にもたっする大木たいぼくとなる。大木たいぼくでは樹冠じゅかんまるかさじょうになる。おなじブナ常緑樹じょうりょくじゅであるカシるいくらちいさめで、つやのある深緑しんりょく、ややたまごがた先端せんたんびたするどとんがあたまぜんえんあるいはよわ鋸歯きょしがある、またうら金色きんいろがかってえる。花期かきは5 - 6がつ[3]はて翌年よくねんの10がつ[3]果実かじつ完全かんぜんからにつつまれて2ねんじゅく[3]、それがけてそとる。果実かじつはいわゆるドングリけんはて)であるが[3]、やや小型こがたいろくろく、おしりしろ部分ぶぶんとのさかい段差だんさが、ややはっきりしない。からるとなか種子しゅししろく、せいべるとややあまみがある。

  • ツブラジイ(コジイ、C. cuspidata)- 関東かんとう以西いせい分布ぶんぷする。果実かじつ球形きゅうけいちかく、スダジイにくらちいさい。
  • スダジイ(ナガジイ、イタジイ、C. sieboldii)- シイぞくなかではもっときた進出しんしゅつしてきたしゅであり、おおきなでは、樹皮じゅひたてしょうじる。福島ふくしまけん新潟にいがたけん佐渡さどとうにまで生育せいいくがある、果実かじつ細長ほそながい。琉球りゅうきゅう諸島しょとうのスダジイを区別くべつして亜種あしゅオキナワジイ (C. sieboldii ssp. lutchuensis) とする場合ばあいがある。沖縄おきなわでは伝統でんとうてきにイタジイの和名わみょうとしてもちいられてきた。両者りょうしゃ共存きょうぞんする地域ちいきでは、スダジイが海岸かいがんちかくに、コジイが内陸ないりく出現しゅつげんすることがおおい。

りょうたね果実かじつ冬芽とうが扁平へんぺいうろこが2れつ配列はいれつし、から表面ひょうめんにはイボじょう突起とっきがある、このてん海外かいがいさんするシイぞくおおくのたねことなっており、特殊とくしゅ形態けいたいである、かつて日本にっぽんさんのシイるいおよび近似きんじしゅをシイぞくShiia、その海外かいがいさんおおくのシイるいをクリガシぞくCastanopsisとして分離ぶんりさせることもあった(現在げんざいCastanopsis統合とうごうされている)[4]

ひととのかかわり

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北九州きたきゅうしゅう八幡やはた起業きぎょうさい縁日えんにち(2007ねん

シイの果実かじつ、すなわち「しい」は、縄文じょうもん時代じだいにはクリいで重要じゅうよう食料しょくりょうであったといわれている[3]近年きんねんでは子供こどものおやつにもちいられた。現在げんざいでも博多はかた放生会ほうじょうえ八幡やはた北九州きたきゅうしゅう)の起業きぎょうさいといったおまつりではったしい夜店よみせられている。かつては、九州きゅうしゅうなどの街角まちかどでもってられていた[5]

なまでもべられるが、かるってべることがおおい。紙袋かみぶくろれて電子でんしレンジ加熱かねつするのもよい。べるにあたってはまずみずあらい、いてきた虫食むしくいのててからもちいる。

ざいとくにスダジイ)は建材けんざいほかシイタケ栽培さいばいようのホダとしてもちいられる[5]樹皮じゅひにはタンニンがおおく、ぬのくろめる染料せんりょうになる[3]

暖帯だんたいにおいては、身近みぢか里山さとやま樹木じゅもくとして、現在げんざいまでしたしまれている。照葉樹しょうようじゅりん重要じゅうよう構成こうせいしゅであるが、伐採ばっさいなどにもつよく、人間にんげんによる軽微けいび攪乱かくらん(かくらん)があると、シイのじゅんはやしちかいものがしょうじやすい。攪乱かくらんがなく放置ほうちされればタブノキなどの樹木じゅもく侵入しんにゅうして、より複雑ふくざつ森林しんりんになるものとかんがえられる。

万葉集まんようしゅうまきに、反逆はんぎゃくざいらえられた有間皇子ありまのおうじ護送ごそうちゅうんだ「いえにあればめし草枕くさまくらたびにしあればしいる」といううた収録しゅうろくされている。ただししいめしるにはあまりにちいさすぎるため、スダジイかマテバシイではないかとのせつもある[6]

町村ちょうそん)の指定していしている日本にっぽん自治体じちたい

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出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e 辻井つじいたちいち 1995, p. 109.
  2. ^ 辻井つじいたちいち 1995, p. 111.
  3. ^ a b c d e f g h i j 田中たなかきよし 2011, p. 88.
  4. ^ 週刊しゅうかん朝日あさひ百科ひゃっか 世界せかい植物しょくぶつ 81シラカンバブナ 1924ぺーじ 初島はつしまじゅう彦「シイ」(朝日新聞社あさひしんぶんしゃ昭和しょうわ52ねん6がつ12にち
  5. ^ a b 辻井つじいたちいち 1995, p. 110.
  6. ^ 足田たらだ輝一きいち文化ぶんか朝日あさひ選書せんしょ、400ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 田中たなかきよしっておきたい100の日本にっぽんらしをささえる樹木じゅもくたち』主婦しゅふ友社ともしゃ主婦しゅふともベストBOOKS〉、2011ねん7がつ31にち、88ぺーじISBN 978-4-07-278497-6 
  • 辻井つじい達一たついち日本にっぽん樹木じゅもく中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ中公新書ちゅうこうしんしょ〉、1995ねん4がつ25にちISBN 4-12-101238-0 

関連かんれん項目こうもく

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