上野動物園 うえのどうぶつえん のヤマシマウマ(動画 どうが )
シマウマ (縞馬 しまうま 、斑馬 しまうま [1] )は、哺乳 ほにゅう 綱 つな 奇 き 蹄目ウマ科 か ウマ属 ぞく (Equus )のうち、白 しろ 黒 くろ の縞 しま 模様 もよう を持 も つ系統 けいとう である。
数 すう 種 しゅ (現代 げんだい 的 てき な分類 ぶんるい では3種 しゅ )からなり、それらは単 たん 系統 けいとう であるシマウマ亜 あ 属 ぞく (Hippotigris )をなす。和名 わみょう はシマ「ウマ」だが、ウマ よりロバ の系統 けいとう と近 きん 縁 えん である[2] 。
草 くさ を食 た べるシマウマの群 む れ(ナミビア )
水 みず を飲 の むシマウマ
シマウマの最大 さいだい の外見 がいけん 的 てき 特徴 とくちょう は、黒 くろ と白 しろ の縞 しま 模様 もよう (黒 くろ の地 ち 毛 げ に白 しろ の縞 しま 模様 もよう )である。大 おお きな耳 みみ 、先端 せんたん がふさ状 じょう になった尾 お など、その姿 すがた は野生 やせい のロバ とよく似 に ており、鳴 な き声 ごえ もロバに近 ちか い。ゆえに「縞 しま 模様 もよう のロバ」と呼 よ ぶ言語 げんご もある。
ヌーと混 こん 群 ぐん をなすサバンナシマウマ
概 がい して草 くさ を食 しょく す植物 しょくぶつ 食 しょく である。
ヌー 、トムソンガゼル 、トピ などのレイヨウ 類 るい 、キリン 、ダチョウ などと混 こん 群 ぐん をなすことがある。
天敵 てんてき はライオン 、ブチハイエナ 、リカオン 、ナイルワニ である。
分類 ぶんるい と系統 けいとう [ 編集 へんしゅう ]
シマウマ3種 しゅ の系統 けいとう は以下 いか のようになる[2] 。
ウマ属 ぞく の亜 あ 属 ぞく 分類 ぶんるい では、グレビーシマウマを Dolichohippus 亜 あ 属 ぞく 、他 た の2種 しゅ を Hippotigris 亜 あ 属 ぞく に分類 ぶんるい するが、実際 じっさい はグレビーシマウマとサバンナシマウマが近 きん 縁 えん であり、亜 あ 属 ぞく 分類 ぶんるい は系統 けいとう 的 てき ではない。
系統 けいとう が近 ちか いウマやロバと交雑 こうざつ することがある[3] (詳細 しょうさい はゼブロイド の項 こう を参照 さんしょう のこと)。
最大 さいだい のシマウマ。ケニア 北部 ほくぶ からエチオピア 、ソマリア にかけて生息 せいそく している。他 た のシマウマに比 くら べ、細 こま かい縞 しま がたくさんある。
アフリカ東部 とうぶ のサバンナ に棲息 せいそく 。以下 いか の亜種 あしゅ に分 わ かれる。かつてはクアッガ は他 た のサバンナシマウマと別種 べっしゅ とされており、サバンナシマウマの種 たね 名 めい は Equus burchelli だった。
近代 きんだい の絶滅 ぜつめつ 種 しゅ 。頭部 とうぶ 、首 くび および肩 かた だけに縞 しま のあるシマウマだったが、乱獲 らんかく により1880年 ねん 頃 ころ に野生 やせい では絶滅 ぜつめつ した。アムステルダム 動物 どうぶつ 園 えん で飼育 しいく されていた最後 さいご の一 いち 頭 とう も1883年 ねん に死亡 しぼう し、剥製 はくせい でしかその姿 すがた を見 み ることはできない。
アフリカ南部 なんぶ に棲息 せいそく 。以下 いか の亜種 あしゅ に分 わ かれる。2004年 ねん 、ケープヤマシマウマとハートマンヤマシマウマを別種 べっしゅ とする説 せつ がグローヴズ とベルにより提唱 ていしょう された[4] が、分子 ぶんし 系統 けいとう では否定 ひてい された[5] 。
シマウマの中 なか では最 もっと も小型 こがた の亜種 あしゅ 。南 みなみ アフリカ の山地 さんち に生息 せいそく している。腰 こし から尾 お にかけてハシゴ 状 じょう の縞 しま 模様 もよう がある。
各種 かくしゅ の写真 しゃしん [ 編集 へんしゅう ]
縞 しま 模様 もよう の効果 こうか についての研究 けんきゅう [ 編集 へんしゅう ]
サバンナシマウマ の縞 しま 模様 もよう の拡大 かくだい 画像 がぞう
シマウマの縞 しま 模様 もよう の効果 こうか は、捕食 ほしょく 者 しゃ が狩 か りの獲物 えもの とする個体 こたい を識別 しきべつ しにくくすることといわれてきた。これは、霊長 れいちょう 類 るい 以外 いがい の哺乳類 ほにゅうるい は色 いろ の識別 しきべつ 能力 のうりょく が低 ひく いことと関連 かんれん している。つまり、シマウマの白黒 しろくろ の模様 もよう は、霊長 れいちょう 類 るい 以外 いがい の哺乳類 ほにゅうるい が遠 とお くから見 み た場合 ばあい には草原 そうげん の模様 もよう に埋 うず もれ判別 はんべつ しにくいとされる。また、縞 しま 模様 もよう は身体 しんたい の部位 ぶい ごとに向 む きが異 こと なり、群 む れをなすと各 かく 個体 こたい の縞 しま 模様 もよう が混 ま ざって視覚 しかく 的 てき に同化 どうか してしまう。しかしMelinらの研究 けんきゅう により、天敵 てんてき の大型 おおがた 肉食 にくしょく 獣 じゅう は人間 にんげん ほど縞 しま の認識 にんしき ができておらず、このため同 おな じところに暮 く らす他 た 種 しゅ の植物 しょくぶつ 食 しょく 動物 どうぶつ の単一 たんいつ の色 いろ の被 ひ 毛 け に対 たい して、縞 しま 模様 もよう が特 とく に天敵 てんてき を混乱 こんらん させることに優位 ゆうい ではないということが判明 はんめい した[6] 。他 ほか にも説 せつ があり、日 ひ よけや草食 そうしょく 動物 どうぶつ のため群 む れている方 ほう が被害 ひがい が少 すく なく、仲間 なかま 同士 どうし で群 む れを見 み つけるのに役立 やくだ っているとも言 い われている[7] 。
シマウマなど縞 しま 模様 もよう を持 も つ生物 せいぶつ は、体 からだ 表面 ひょうめん で温度 おんど 差 さ を形成 けいせい して微細 びさい な空気 くうき の流 なが れを生 しょう じさせ体温 たいおん 調節 ちょうせつ に役立 やくだ てているとする研究 けんきゅう [8] がある。しかしNHK の『ダーウィンが来 き た! 〜生 い きもの新 しん 伝説 でんせつ 〜 』の2017年 ねん (平成 へいせい 29年 ねん )10月 がつ 1日 にち 放送 ほうそう で、独自 どくじ にこの説 せつ の真偽 しんぎ を実際 じっさい の生息 せいそく 環境 かんきょう で検証 けんしょう したところ、黒 くろ 縞 しま の部分 ぶぶん は温度 おんど が大 おお きく上 あ がり、白 しろ 縞 しま の部分 ぶぶん も黒 くろ 縞 しま よりは低 ひく いが温度 おんど が上昇 じょうしょう し、低下 ていか を見 み せたのは温度 おんど 差 さ が生 う む風 ふう でなく自然 しぜん の風 かぜ が吹 ふ いたときだけということが判明 はんめい した[9] 。
2014年 ねん には、カリフォルニア大学 だいがく デービス校 こう のティム・カロ(Tim Caro)博士 はかせ らの研究 けんきゅう チームが、シマウマの縞 しま 模様 もよう は、吸血 きゅうけつ 性 せい のハエ の仲間 なかま が媒介 ばいかい する伝染 でんせん 病 びょう から身 み を守 まも るためである可能 かのう 性 せい が高 たか いとの研究 けんきゅう 成果 せいか を発表 はっぴょう した[10] 。カロらの研究 けんきゅう チームは、ウマ科 か の動物 どうぶつ から吸血 きゅうけつ し、その際 さい に睡眠 すいみん 病 びょう を媒介 ばいかい するツェツェバエ などの吸血 きゅうけつ 性 せい ハエの仲間 なかま とシマウマの生息 せいそく 域 いき は地理 ちり 的 てき に重複 じゅうふく し、またシマウマの体毛 たいもう は極端 きょくたん に短 みじか く吸血 きゅうけつ が容易 ようい であるにもかかわらず、ツェツェバエの体内 たいない からシマウマの血液 けつえき がほとんど検出 けんしゅつ されないこと、ツェツェバエは色彩 しきさい が均一 きんいつ な面 めん を好 この んで着地 ちゃくち しシマウマのような模様 もよう のある面 めん は避 さ ける傾向 けいこう にあることが実験 じっけん により確認 かくにん されたこと等 とう により、吸血 きゅうけつ 性 せい ハエの被害 ひがい からの防御 ぼうぎょ と縞 しま 模様 もよう との関係 かんけい は「きわめて高 たか い」と結論 けつろん づけた。縞 しま 模様 もよう はアブ にも効果 こうか があることが確認 かくにん されている[11] 。
模様 もよう の無 な いウマやウシの体 からだ 表 ひょう に縞 しま 模様 もよう を施 ほどこ すことでも効果 こうか を発揮 はっき することが判明 はんめい している。日本 にっぽん の山形 やまがた 県 けん では2021年 ねん に肉牛 にくぎゅう の体 からだ 表 ひょう を白黒 しろくろ の縞 しま 模様 もよう に塗 ぬ ったところ、アブ をはらう動作 どうさ が減 へ ったことが確認 かくにん された[12] 。ブリストル大学 だいがく の研究 けんきゅう チームがウマの胴体 どうたい に縞 しま 模様 もよう のコートをかけたところ、アブが着地 ちゃくち する回数 かいすう が減 へ ったことが確認 かくにん された[11] 。この実験 じっけん では様々 さまざま な柄 え で実験 じっけん が行 おこな われたが、白黒 しろくろ のチェックと正方形 せいほうけい のランダムに並 なら べた柄 え が効果 こうか 的 てき だったという[11] 。
家畜 かちく 化 か の試 こころ み[ 編集 へんしゅう ]
シマウマの馬車 ばしゃ に乗 の る第 だい 2代 だい ロスチャイルド男爵 だんしゃく ウォルター・ロスチャイルド (1895年 ねん )
シマウマは加 か 齢 よわい に伴 ともな い気性 きしょう が荒 あら くなる。また人間 にんげん になつくことはほとんど無 な く、騎乗 きじょう や運搬 うんぱん 用 よう に馴致 じゅんち することが困難 こんなん である。
シマウマの家畜 かちく 化 か は、特 とく にヨーロッパ人 じん がアフリカ植民 しょくみん 地 ち 化 か 統治 とうち していた19世紀 せいき から、たびたび試 こころ みられた。ヨーロッパ人 じん の持 も ち込 こ んだウマ は、アフリカでは病気 びょうき にかかってばかりいた。特 とく にツェツェバエに刺 さ されて眠 ねむ り病 びょう にかかることが多 おお く、使 つか い物 もの にならなかった。そのため、眠 ねむ り病 びょう にほとんどかからない現地 げんち のシマウマが注目 ちゅうもく されたのである。
しかし、成功 せいこう した例 れい は少 すく なかった。シマウマは気性 きしょう が荒 あら くて警戒 けいかい 心 しん が強 つよ く、人間 にんげん に懐 いだ かなかった[13] 。この強 つよ い警戒 けいかい 心 しん を持 も つようになった理由 りゆう として「アフリカでは古 ふる くからシマウマは食料 しょくりょう として狩 か り の対象 たいしょう であったため、シマウマが人 ひと に対 たい して強 つよ い警戒 けいかい 心 しん を持 も った」あるいは「アフリカではライオン やハイエナ などの強力 きょうりょく な肉食 にくしょく 獣 じゅう が多 おお く、身 み を守 まも るために攻撃 こうげき 的 てき な性質 せいしつ を獲得 かくとく した」との説 せつ もあるが、はっきりしない[13] 。
また、シマウマの体 からだ は、ウマと比 くら べて小柄 こがら で、さらに背 せ の骨格 こっかく も貧弱 ひんじゃく なため、人 ひと が乗 の ったり、重 おも い荷物 にもつ を運 はこ ばせたりするのは難 むずか しい。このため、家畜 かちく 化 か できたとしても、ウマと比 くら べて利点 りてん が少 すく ない[13] 。時代 じだい が進 すす み、ウマすらも自動車 じどうしゃ に取 と って代 か わられる時代 じだい が訪 おとず れると、シマウマを家畜 かちく 化 か する試 こころ みは、一部 いちぶ の研究 けんきゅう 者 しゃ を除 のぞ いて、試 ため されなくなった[13] 。
ボツワナの国 くに 章 あきら
献上 けんじょう 品 ひん
日本 にっぽん に初 はじ めて上陸 じょうりく したシマウマは、1675年 ねん にアルメニア人 じん 商人 しょうにん のホジャ・ムラードが「エチオピア諸王 しょおう の大使 たいし 」として天皇 てんのう に贈 おく った2頭 とう である[14] 。
ゼブラゾーン
横断 おうだん 歩道 ほどう や導 しるべ 流 りゅう 帯 たい を、その縞 じま 模様 もよう から「ゼブラゾーン」と呼 よ ぶことがある。ボールペン などを製造 せいぞう するゼブラ では、コマーシャル で「ゼブラゾーンを渡 わた りましょう」という台詞 せりふ を流 なが していたことがある。
シマウマをテーマとした作品 さくひん
言葉 ことば
ゼブラ (医学 いがく ) (英語 えいご 版 ばん ) - アメリカの医療 いりょう 現場 げんば で使 つか われる業界 ぎょうかい 用語 ようご 。一般 いっぱん 的 てき な病気 びょうき の症状 しょうじょう に対 たい して、それと似 に たような稀 まれ な病気 びょうき を診断 しんだん してしまうこと。
^ 松村 まつむら 明 あきら 編 へん 「しまうま(縞馬 しまうま ・斑馬 しまうま )」『大辞林 だいじりん 4.0 』三省堂 さんせいどう 、2019年 ねん 。
^ a b Steiner, C. C.; Mitelberg, A.; Tursi; Ryder, O. A. (2012), “Molecular phylogeny of extant equids and effects of ancestral polymorphism in resolving species-level phylogenies.”, Mol Phylogenet Evol. 65 (2), doi :10.1016/j.ympev.2012.07.010.
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Published by: American Society of Ichthyologists and Herpetologists(ASIH))
^ 第 だい 524回 かい 白黒 しろくろ つけます!シマウマの謎 なぞ 。ちなみに天敵 てんてき 攪乱 かくらん 説 せつ が誤 あやま りであることについても、Melinらとの論文 ろんぶん の共同 きょうどう 執筆 しっぴつ 者 しゃ の九州大学 きゅうしゅうだいがく の平松 ひらまつ 千尋 ちひろ が番組 ばんぐみ に出演 しゅつえん し紹介 しょうかい した。
^ The function of zebra stripes nature (Published:01 April 2014)2021年 ねん 12月29日 にち 閲覧 えつらん
^ a b c “シマウマのしま模様 もよう には血 ち を吸 す うアブをよける効果 こうか がある ”. GIGAZINE . 2023年 ねん 2月 がつ 23日 にち 閲覧 えつらん 。
^ 「シマウマ柄 がら アブよけ効果 こうか 払 はら う動作 どうさ 8割 わり 減 げん 山形 やまがた 県 けん ・牛 うし で実証 じっしょう 」『日本農業新聞 にほんのうぎょうしんぶん 』2021年 ねん 11月24日 にち 11面 めん
^ a b c d “なぜシマウマは人間 にんげん に恐 おそ れを抱 いだ くのか?” . ログミー (SciShow (英語 えいご 版 ばん ) ). (2019年 ねん 5月 がつ 2日 にち ). https://logmi.jp/business/articles/321166 2019年 ねん 5月 がつ 6日 にち 閲覧 えつらん 。
^ 古川 ふるかわ 哲史 てつし 「第 だい 42章 しょう 二 ふた つの国 くに の「出会 であ い」――近世 きんせい より明治 めいじ 期 き まで」『エチオピアを知 し るための50章 しょう 』(岡倉 おかくら 登志 とし 編著 へんちょ 、明石書店 あかししょてん 〈エリア・スタディーズ68〉、東京 とうきょう 、2007年 ねん 12月25日 にち 、初版 しょはん 第 だい 1刷 さつ )2933頁 ぺーじ 。ISBN 978-4-7503-2682-5 。
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