スロバキア語ご

スロバキア語ご
slovenčina
話はなされる国くに	スロバキア チェコ オーストリア ハンガリー ポーランド ウクライナ ルーマニア セルビア クロアチア
地域ちいき	東ひがしヨーロッパ
話者わしゃ数すう	520万まん人にん(2011-2012)
話者わしゃ数すうの順位じゅんい	106
言語げんご系統けいとう	インド・ヨーロッパ語族ごぞく スラヴ語ご派は 西にしスラヴ語ご群ぐん チェコ・スロバキア語ご スロバキア語ご
表記ひょうき体系たいけい	ラテン文字もじ(スロバキア語ごアルファベット)
公的こうてき地位ちい
公用こうよう語ご	スロバキア ヴォイヴォディナ自治じち州しゅう 欧州おうしゅう連合れんごう
統制とうせい機関きかん	スロバキア文化ぶんか省しょう
言語げんごコード
ISO 639-1	sk
ISO 639-2	slo (B) slk (T)
ISO 639-3	slk

スロバキア語ご（slovenčina, slovenský jazyk）は、スロバキア人じんの典型てんけい的てき母語ぼごであり、スロバキア共和きょうわ国こくの公用こうよう語ごである。インド・ヨーロッパ語族ごぞく、スラヴ語ご派はに属ぞくする。スラヴ語ご派はではチェコ語ご、ポーランド語ごなどと同様どうよう西にしスラヴ語ご群ぐんに属ぞくし、とりわけチェコ語ごには近ちかく、チェコ語ごの話者わしゃとスロバキア語ごの話者わしゃとが互たがいの言語げんごで会話かいわが成立せいりつする程ほどである。言語げんごコードはISO 639-1はsk, ISO 639-2は SLO/SLK.

歴史れきし

詳細しょうさいは「スロバキア語ごの歴史れきし」を参照さんしょう

話者わしゃ分布ぶんぷ

スロバキア語ごは、スロバキア共和きょうわ国こくでおよそ500万まん人にんが使用しようしている。国外こくがいでは、アメリカで移民いみんを中心ちゅうしんに50万まん人にんが使用しようしているほか、チェコで32万まん人にん、ハンガリーで11万まん人にん、セルビアで8万まん人にん、ルーマニアに22,000人にん、ポーランドに2万まん人にん、カナダに2万まん人にん、オーストラリア、ウクライナ、ブルガリア、クロアチアなどに各かく5,000人にんずつ存在そんざいする。またロシアやその他たの国くににも少数しょうすう存在そんざいする。

スロバキア語ごは、スロバキア共和きょうわ国こくの公用こうよう語ごであるほか、セルビアのヴォイヴォディナ自治じち州しゅうでも公用こうよう語ごのひとつになっている。スロバキア語ごの話者わしゃが伝統でんとう的てきに存在そんざいする地域ちいきは、現在げんざいのスロバキアを領有りょうゆうしていた旧きゅうハンガリー王国おうこくの全域ぜんいきにわたっており、スロバキア、ハンガリーのほかにセルビアのヴォイヴォディナ自治じち州しゅう、ルーマニア、ウクライナのザカルパッチャ州しゅうなどがこれに含ふくまれる。

方言ほうげん

三みっつに大別たいべつされる。

• 東ひがしスロバキア方言ほうげん
• 中央ちゅうおうスロバキア方言ほうげん
• 西にしスロバキア方言ほうげん

音韻おんいん

音声おんせい上じょうの特徴とくちょうとしては、著いちじるしい口蓋こうがい化かが認みとめられる。

• 語末ごまつの子音しいんは無声むせい化かする。
• 文中ぶんちゅうで、対応たいおうする有ゆう声ごえ子音しいん・無声むせい子音しいんを持もつ子音しいんが、子音しいんの直前ちょくぜんに置おかれた場合ばあい、有ゆう声ごえ子音しいんの前まえなら有ゆう声こえ化か、無声むせい子音しいんの前まえなら無声むせい化かする。
• 音節おんせつ末まつの "v" は /u̯/ になる。ただし直後ちょくごに "n" か "ň" が続つづく場合ばあいはならない。
• "ia" "ie" "iu" は /i̯a/ /i̯e/ /i̯u/ 。ただし外来がいらい語ご、借用しゃくよう語ごを除のぞく。
• "r" と "l" は母音ぼいんのようにみなされることもあり、母音ぼいんと同様どうように長音ちょうおんにはアキュートアクセントが書かかれる。

文字もじと発音はつおんの対応たいおう

文字もじ	IPA発音はつおん記号きごう
a	a
á	aː
ä	æ, ɛ
b	b
c	t͡s
č	t͡ʃ
d	d
ď	ɟ, dʲ
dz	d͡z
dž	d͡ʒ
e	e
é	eː
f	f
g	ɡ
h	ɦ
ch	x
i	ɪ
í	iː
j	j
k	k
l	l, l̩
ĺ	l̩ː
ľ	ʎ, lʲ
m	m
n	n
ň	ɲ, nʲ
o	ɔ
ó	ɔː
ô	u̯o
p	p
q	kv
r	r, r̩
ŕ	r̩ː
s	s
š	ʃ
t	t
ť	c, tʲ
u	u
ú	uː
v	v
w	v
x	ks
y	ɪ
ý	iː
z	z
ž	ʒ

「スロバキア語ごアルファベット」も参照さんしょう

アクセント

• スロバキア語ごのアクセントはほぼ常つねに第だい一いち音節おんせつに置おかれる。主おもな例外れいがいは、語かたりが単音たんおん節ぶしから成なる場合ばあいなどである。
• 注意ちゅうい：ダイアクリティカルマークがあるからと言いってその音節おんせつにアクセントが置おかれるというわけではない。
• スロバキア語ごの単語たんごではアクセントは表記ひょうきされない。

文字もじ

• 表記ひょうきにはラテン字母じぼに DZ と CH の合ごう字じを加くわえて用もちい、ダイアクリティカルマークを併用へいようする。
• ダイアクリティカルマーク（ˇ, ´, ¨, ^）はある状況じょうきょうで特定とくていの文字もじにつく。ほとんどの文字もじは大概たいがい（ダイアクリティカルマークがなければ）アルファベット通どおりの発音はつおんとなる。
• アキュートマーク（または長音ちょうおん記号きごう）は長ちょう母音ぼいんを示しめす。例たとえば í は「イー」と読よむ。この記号きごうは全すべての母音ぼいんに付つく可能かのう性せいがあり、子音しいん l と r の上うえにも付つくことができる。（そのような場合ばあいの l と r は母音ぼいんとみなされる。）
• 曲折きょくせつアクセントは o の上うえにのみ現あらわれる。（文字もじ：ô）
• ウムラウトはaの文字もじの上うえにのみ使つかわれる。（文字もじ：ä）
• ハーチェクは口蓋こうがい化かや、歯茎はぐき摩擦音まさつおんが後部こうぶ歯茎はぐき音おんに変化へんかすることを示しめし、非公式ひこうしきなスロバキア語学ごがくでは単たんに口蓋こうがい化かと呼よばれている。全すべての子音しいんがハーチェクを伴ともなうことができるわけではなく、8つの子音しいんがハーチェクと一緒いっしょに使つかえる。
  • ハーチェクは　̌または ’ の二ふたつの形かたちで文字もじとして表現ひょうげんされる

  č, dž, š, ž, ň

  ľ, ď, ť

文法ぶんぽう

概要がいよう

動詞どうしは主語しゅごの数かず・人称にんしょうに応おうじて6つの格かくへ変化へんかする。単数たんすうと複数ふくすうの区別くべつがある。 形容詞けいようし・動詞どうしおよび一部いちぶの数詞すうしは修飾しゅうしょくする名詞めいしの性せい・数かずに応おうじて変化へんかする。また形容詞けいようしはつねに名詞めいしに前ぜん置おけされる。一般いっぱんに SVO 構文こうぶんを取とる。

人称にんしょう代名詞だいめいしが主語しゅごであるとき、しばしば省略しょうりゃくされる。 過去かこ時制じせいは二ふたつ、未来みらい時制じせいは一ひとつである。またふたつの条件じょうけん法ほうをもつ。

その他たの文法ぶんぽう現象げんしょう

能動のうどう分詞ぶんし

能動のうどう分詞ぶんしは、動詞どうしの三人称さんにんしょう複数ふくすう形がたに接尾せつび辞じ-ci/ca/ceを付つけることで作つくられる。形容詞けいようしの形かたちをしており、cudzíのように格かく変化へんかする。

受動じゅどう分詞ぶんし

動詞どうしの基本形きほんけいから語末ごまつ–ťを取とり除のぞき、-ný　（動詞どうしによっては-enýまたは-tý）を付つけることで受動じゅどう分詞ぶんしができる。

‘ty’の形かたちと’vy’の形かたち

スロバキア語ごでは話はなし相手あいてにあたる他者たしゃ(二人称ににんしょう）を示しめす際さいに2通とおりの方法ほうほうがある。

・’ty’の形かたち：フォーマルでない形かたちの呼よびかけ。友人ゆうじんや子こども、家族かぞくのメンバー、学校がっこうの他ほかの生徒せいとなどに対たいして話はなしかけるときに使つかう形かたち。

・’vy’の形かたち：フォーマルな形かたちの呼よびかけ。丁寧ていねいな呼よびかけで用もちいる。事務所じむしょや店みせなどで子こどもや生徒せいとが大人おとなや教師きょうしに話はなしかけるときにも使つかう。

語順ごじゅん

肯定こうてい文ぶん

一般いっぱん的てきな語順ごじゅん：　主語しゅご＋述語じゅつご／述じゅつ部ぶ＋その他たの文ぶんの要素ようそ＋終止符しゅうしふ

スロバキア語ごの語順ごじゅんはかなり自由じゆうである。

例れい：「今日きょうペテルは初はじめて学校がっこうに行いく。」

• Peter ide dnes prvý raz do školy.
• Dnes ide Peter prvý raz do školy.
• Do školy ide dnes Peter prvý raz.
• Prvý raz ide dnes Peter do školy.

文ぶんの意味いみは変かわらないが、語順ごじゅんを変かえることで、個々ここの語かたりを強調きょうちょうすることが可能かのう。

疑問ぎもん文ぶん

一般いっぱん的てきな語順ごじゅん：　（疑問ぎもん代名詞だいめいし）＋述語じゅつご／述じゅつ部ぶ＋主語しゅご＋その他たの文ぶんの要素ようそ＋疑問符ぎもんふ

• Jano býva v Bratislave.
• Býva Jano v Bratislave?

• Jano ide do školy.
• Kam ide Jano?

命令めいれい文ぶん

一般いっぱん的てきな語順ごじゅん：　命令めいれい形がた＋述語じゅつご／述じゅつ部ぶ＋その他たの文ぶんの要素ようそ＋強調きょうちょう符ふ

• Spite osem hodín!
• Deti, čítajte knihy!

複文ふくぶん

複文ふくぶんとは、二ふたつまたはそれ以上いじょうの文ぶんを組くみ合あわせたものである。複文ふくぶんの語順ごじゅんは複文ふくぶんの種類しゅるいによって異ことなる。

与格よかくと対格たいかくの出でてくる文ぶんの語順ごじゅん

与格よかくと対格たいかくの出でてくる文ぶんの語順ごじゅんは、主おもに次つぎの二ふたつのルールに従したがって決きまる。

1. どちらも代名詞だいめいしである場合ばあい、順番じゅんばんは「与格よかく＋対格たいかく」
2. 一方いっぽうが名詞めいしで、もう一方いっぽうが代名詞だいめいしで表あらわされている場合ばあい、代名詞だいめいしのものが名詞めいしのものよりも前まえに出でる。

例れい：

• Požičaj mu ju.

代名詞だいめいし与格よかく + 代名詞だいめいし対格たいかく

• Požičaj ju Petrovi.

代名詞だいめいし対格たいかく + 名詞めいし与格よかく

• Požičaj mu knihu.

代名詞だいめいし与格よかく + 名詞めいし対格たいかく

挨拶あいさつ表現ひょうげん

Ahoj! Čau!　やあ。

Dobrý deň.　こんにちは。

Dobré ráno.　おはようございます。

Dobrý večer.　こんばんは。

Ahoj! Čau!　 バイバイ！

Dovidenia. / Dovi. さようなら。

Dobrú noc. おやすみなさい。

Zbohom. さようなら。

Teší ma. はじめまして。

関連かんれん項目こうもく

• スロバキア語ごの歴史れきし
• スロバキア人じん

外部がいぶリンク

• Ethnologue report for language code slk （英語えいご） - エスノローグ
• Slovake. eu　(英語えいご）
• Slovak Republic. Org ―Language　（英語えいご）