ツガ

ツガ
	ツガ
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
	NEAR THREATENED; (IUCN Red List Ver.3.1 (2001));
分類ぶんるい（新しんエングラー体系たいけい）
学名がくめい
	Tsuga sieboldii Carrière (1855)
和名わみょう
	ツガ（栂つが）、トガ
英名えいめい
	Southern Japanese Hemlock

ツガ（栂つが^[3]、学名がくめい：Tsuga sieboldii）は、マツ科かツガ属ぞくに分類ぶんるいされる常緑じょうりょく性せいの針葉樹しんようじゅ。山地さんちに生はえる。別名べつめいをトガ^[2]、ツガマツ^[3]という。細こまかな葉はが次々つぎつぎに展開てんかいしていくことから「継つぐ」が展てん化かしてツガと命名めいめいされた。一般いっぱん家庭かていでの植うえ栽は稀まれであり、公園こうえんや神社じんじゃの御ご神木しんぼくなどに使つかわれる。

分布ぶんぷと生育せいいく環境かんきょう

日本にっぽんの本州ほんしゅう中部ちゅうぶ（福島ふくしま県けん以西いせい）、四国しこく、九州きゅうしゅう、屋久島やくしまにかけてと^[3]、韓国かんこくの鬱うつ陵りょう島とうに分布ぶんぷする。暖帯だんたい林りん（照葉樹しょうようじゅ林りん）から温帯おんたい林りん（落葉らくよう広葉樹こうようじゅ林りん）にかけて主おもに分布ぶんぷする^[3]。その範囲はんいでは比較的ひかくてき普通ふつうに見みられる樹木じゅもくであり、時ときに優ゆう占うらない種しゅとなる。モミと混成こんせいすることがあるが^[3]、モミが山腹さんぷくに生育せいいくするのに対たいして、ツガは標高ひょうこう約やく1500メートル（m）以上いじょうの尾根おね筋すじによく生はえる^[3]。なお、一部いちぶの地域ちいきではトガサワラも混成こんせいする。

形態けいたい・生態せいたい

常緑じょうりょく針葉樹しんようじゅの高木たかぎで、直立ちょくりつする大木たいぼくになり、高たかさ20 - 30メートル（m）^[3]、胸むね高だか直径ちょっけい1 mに達たっする。樹き形がたは枝えだを横よこに広ひろげて、広ひろい円錐えんすい形がたになる^[4]。樹皮じゅひは赤褐色せきかっしょくから灰はい褐色かっしょくで、縦たてに深ふかく裂さけて亀甲きっこう状じょうにはがれ落おちる^[3]^[4]。枝えだは混こんでいて、葉はも密みつにつく^[3]。若わかい枝えだは無む毛けである^[4]。冬芽とうがは小ちいさな卵たまご形がたから楕円だえん形がたの鱗うろこ芽めで、枝えだの先さきや葉はの基部きぶにつき、芽め鱗うろこも楕円だえん形がたをしている^[4]。

葉はは扁平へんぺいな針はり状じょうで、長ながさ7 - 25ミリメートル（mm）で長短ちょうたんがあり、表面ひょうめんは深緑しんりょくでつやがあり主軸しゅじくに沿そって窪くぼみがある^[3]^[4]。先端せんたんが少すこしくぼんでおり、葉は先さきが二ふたつに分わかれたようになっている。その点てんでモミにも似にているが、モミは二ふたつの先端せんたんが鋭するどく尖とがっているのに対たいして、ツガは丸まるまっている。また、枝えだからの葉はの付つき方かたがモミとは若干じゃっかん異ことなっていることで識別しきべつできる。

花期かきは2月がつ^[3]。雌雄しゆう同どう株かぶ^[3]。雄花おばなは枝えだに先さきにつき、紫色むらさきいろの長ちょう卵たまご形がた^[3]。果はて期きは10月がつ^[3]。球たま果はては小柄こがらで長ながさ2 - 3センチメートル（cm）の楕円だえん形がたで、枝えだ先さきにやや下したを向むいてぶら下さがり、秋あきに淡あわ褐色かっしょくに熟じゅくす^[3]。

葉は
葉はと若わか枝えだ・裏側うらがわ
球たま果はて

保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか

NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))^[1]

IUCNレッドリスト2013年版ねんばんで準じゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐと評価ひょうかされている^[1]。

人間にんげんとの関かかわり

材ざいは硬かたく強度きょうどがあり、良材りょうざいは建材けんざいとして柱はしら・梁りょう・敷居しきいに用もちいられるほか^[3]、樹皮じゅひからタンニンを取とり、漁網ぎょもうを染そめるのに使つかわれた。

秋篠宮あきしののみや文ぶん仁じん親王しんのうのお印しるしに用もちいられている。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ ^a ^b ^c ^d ^e Katsuki, T. & Luscombe, D (2010). "Tsuga sieboldii Carrière". IUCN Red List of Threatened Species. Version 3.1. International Union for Conservation of Nature. （英語えいご）
^ ^a ^b ^c 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Tsuga sieboldii Carrière ツガ（標準ひょうじゅん）”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2022年ねん12月24日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう学習がくしゅう研究けんきゅう社しゃ編へん 2009, p. 32.
^ ^a ^b ^c ^d ^e 鈴木すずき庸夫みちお・高橋たかはし冬ふゆ・安やす延のべ尚文なおふみ 2014, p. 251

参考さんこう文献ぶんけん

鈴木すずき庸夫みちお・高橋たかはし冬ふゆ・安やす延のべ尚文なおふみ『樹皮じゅひと冬芽とうが：四季しきを通つうじて樹木じゅもくを観察かんさつする 431種しゅ』誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年ねん10月がつ10日とおか、251頁ぺーじ。ISBN 978-4-416-61438-9。
西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう学習がくしゅう研究けんきゅう社しゃ編へん『日本にっぽんの樹木じゅもく』学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ〈増補ぞうほ改訂かいていフィールドベスト図鑑ずかん5〉、2009年ねん8月がつ4日にち、32頁ぺーじ。ISBN 978-4-05-403844-8。

北村きたむら四郎しろう、村田むらた源はじめ『原色げんしょく日本にっぽん植物しょくぶつ図鑑ずかん木本もくほん編へん2』保育ほいく社しゃ〈保育ほいく社しゃの原色げんしょく図鑑ずかん〉、1979年ねん。ISBN 4-586-30050-7。OCLC 47396876。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:80002955。
茂木もき透とおる写真しゃしん『樹きに咲さく花はな合弁ごうべん花はな・単たん子葉しよう・裸子植物らししょくぶつ』高橋たかはし秀男ひでお・勝山かつやま輝男てるお監修かんしゅう、山やまと溪谷社けいこくしゃ〈山やま溪けいハンディ図鑑ずかん〉、2001年ねん、608-609頁ぺーじ。ISBN 4-635-07005-0。

外部がいぶリンク

"Tsuga sieboldii Carrière". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2013年ねん12月6日にち閲覧えつらん。（英語えいご）
"Tsuga sieboldii". National Center for Biotechnology Information（NCBI） (英語えいご).（英語えいご）
"Tsuga sieboldii" - Encyclopedia of Life（英語えいご）
波田なみた善夫よしお. “ツガ”. 植物しょくぶつ雑学ざつがく事典じてん. 岡山理科大学おかやまりかだいがく生物せいぶつ地球ちきゅう学部がくぶ. 2013年ねん12月6日にち閲覧えつらん。

[IUCN-1] Katsuki, T. & Luscombe, D (2010). "Tsuga sieboldii Carrière". IUCN Red List of Threatened Species. Version 3.1. International Union for Conservation of Nature. （英語えいご）

[YList-2] 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Tsuga sieboldii Carrière ツガ（標準ひょうじゅん）”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2022年ねん12月24日にち閲覧えつらん。

[FOOTNOTE西田尚道監修_学習研究社編200932-3] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう学習がくしゅう研究けんきゅう社しゃ編へん 2009, p. 32.

[鈴木ほか2014-4] 鈴木すずき庸夫みちお・高橋たかはし冬ふゆ・安やす延のべ尚文なおふみ 2014, p. 251

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