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テングタケぞく

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テングタケぞく
分類ぶんるい
さかい : きんかい Fungi
もん : 担子きんもん Basidiomycota
つな : きんじんつな Hymenomycetes
: ハラタケ Agaricales
: テングタケ Amanitaceae
ぞく : テングタケぞく Amanita Pers.
ぞく

テングタケぞく(Amanita Pers.)は、ハラタケテングタケぞくひとつ。

形態けいたい

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実体じったい形成けいせいにschizohymenial development(和名わみょう未定みてい)という様式ようしきるのがこのぞく共通きょうつうする最大さいだい特徴とくちょうである。これは実体じったい形成けいせい時期じきになるとたまごじょう構造こうぞうぶつないには完成かんせいされたちいさな実体じったい形成けいせいされ、成長せいちょうともにこれをやぶっててくるもの。実体じったいたまごなかにある時点じてん胞子ほうし成熟せいじゅくしており、胞子ほうし成熟せいじゅくしても散布さんぷされないセコチオイドがた (secotioid)の一種いっしゅといえる。かつ、成熟せいじゅくしたたまご地中ちちゅうあさ位置いち形成けいせいされることから、トリュフのように胞子ほうし地下ちか成熟せいじゅくする地下ちかせいきん(hypogeous)の要素ようそつ。胞子ほうし散布さんぷには実体じったい急激きゅうげき伸長しんちょう肥大ひだい成長せいちょうする。

形態けいたいめんではたまごしたがわ部分ぶぶん根元ねもとのこること(通称つうしょうツボ)はおおきな特徴とくちょうである。その本属ほんぞく典型てんけいてき共通きょうつう特徴とくちょうとしてよくわれるのが、実体じったいはハラタケがた(agaricoid)、ひだが白色はくしょくたいしてはなれせいにはツバをつなどである。これらはおおむただしいが、ツボもふくめいずれも例外れいがい存在そんざいする。

生態せいたい

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現在げんざいられているすべてのたね実体じったい地面じめんから発生はっせいさせるものである。おおくのたね樹木じゅもく共生きょうせいしたそとせいきん形成けいせいしているとかんがえられている。ただし、一部いちぶくさなまきんがいるともいわれ近年きんねん分類ぶんるいける研究けんきゅうしゃもいる。きん形成けいせいじゅしゅマツブナカバノキヤナギおおく、南半球みなみはんきゅう分布ぶんぷするフトモモナンキョクブナにも一部いちぶられるものがあるが、これらの樹木じゅもくくような地域ちいき(たとえば南米なんべい熱帯ねったい雨林うりん)ではしゅすう大幅おおはばるという[1]

有毒ゆうどくしゅ多数たすう報告ほうこくされている本属ほんぞく実体じったいえさとして繁殖はんしょくするそう翅目昆虫こんちゅう報告ほうこくされている[2]。これら昆虫こんちゅうはイボテンさんどくたいするたいせいゆうしている。なお実体じったい成熟せいじゅくによりどく成分せいぶん分布ぶんぷ濃度のうど変化へんかするため、利用りようする部位ぶい選択せんたくしている可能かのうせいると報告ほうこくされている[2]

人間にんげんとの関係かんけい

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しょく毒性どくせい

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いくつかの種類しゅるい食用しょくようになる。分類ぶんるいしょく毒性どくせいかならずしも一致いっちしない。タマゴタケぶしやツルタケぶしぞくするいくつかのたね食用しょくようになるが、これらのふしすべてのたね食用しょくようになるわけではなく有毒ゆうどくたねられており、しょくどく不明ふめいしゅはさらにおおい。ぎゃく猛毒もうどくしゅおおいタマゴテングタケぶしにおいても中国ちゅうごくさんAmanita manginiana和名わみょう未定みてい中国ちゅうごくめい:隐花あお鹅膏きん)というたね食用しょくようとされている。タマシロオニタケぶし、キリンタケぶしにも少数しょうすう食用しょくようしゅられている。

どく成分せいぶん致死ちしせいのものから、致死ちしせいのものまで幅広はばひろい。とく毒性どくせいつよいのはアマトキシンるい(amatoxin、学名がくめい由来ゆらいのアマニタトキシンともよくばれる)とばれるペプチド細胞さいぼうないのRNAに作用さようし、タンパク質たんぱくしつ合成ごうせいなどの重要じゅうようはたらきをめてしまい致命ちめいてきである。

利用りよう

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ころせハエ作用さようち、ハエトリきのことしてもちいられたたねがテングタケぶし中心ちゅうしんにいくつかある。

タマゴテングタケなどにふくまれるファロトキシンるいなかひとつ、ファロイジン(phalloidin)は細胞さいぼう骨格こっかくおおアクチンタンパク質たんぱくしつ(actin)に強力きょうりょく結合けつごうするという性質せいしつ発見はっけんされており、蛍光けいこう色素しきそ標識ひょうしきしたファロイジンを使つかうことで間接かんせつてきにアクチンを染色せんしょくすることができる[3]。これにより微細びさい細胞さいぼう骨格こっかく構造こうぞうなどをることが可能かのうになった。ただし、細胞さいぼうかくないのアクチンには2020年代ねんだい現在げんざいでも染色せんしょくできないものもあるという[4]

名前なまえ

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学名がくめいAmanitaトルコにあるテングタケぞくきんおお生息せいそくしているやま由来ゆらいするというせつ一般いっぱんてき

下位かい分類ぶんるい

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2ぞくないし、3ぞくけたあとさらにふし単位たんいけるのが一般いっぱんてきほんこうではテングタケのきのこの分類ぶんるい専門せんもんサイトAmanitaceae.org の分類ぶんるいしたがい3ぞくせつ記載きさいする。この分類ぶんるいではぞく(subgenus)のしたふし(section)、さらにしたぶし(subsection)、れつ(series)やけい(stirps)までもちいてこまかく分類ぶんるいしているが、煩雑はんざつになるためほんこうではふし単位たんいまでの分類ぶんるいとし、必要ひつようおうじて主要しゅようぶし以下いかのごとのおおまかな分類ぶんるいほうしるす。また、旧来きゅうらい形態けいたい重視じゅうし分類ぶんるいほうとして日本語にほんごめる本郷ほんごう(1982)[1]参考さんこうおおまかな判別はんべつポイントもしるす。なお、旧来きゅうらい分類ぶんるい現在げんざい分類ぶんるいふしえた移動いどうがあったものがいくつかあり、詳細しょうさいたね一覧いちらんぞく記事きじゆずる。

Amanitaceae.org では胞子ほうしヨウもと水溶液すいようえきていしょくしないことをぞく唯一ゆいいつ共通きょうつう事項じこうとしてげているグループである。本郷ほんごう(1982)では胞子ほうし着色ちゃくしょくほかにも、かさえんじょうせんみぞせん)がてん指摘してきしている[1]かたぎしきしゅベニテングタケAmanita muscaria)で700しゅちかくが所属しょぞくすることになっている。

-Section Amanita テングタケぶし

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150しゅあまりがふくまれる基部きぶ球根きゅうこんじょうふくらむグループである。本郷ほんごう(1982)では外皮がいひまくがもろく不完全ふかんぜんなツボになるてんしょうひだの形態けいたい指摘してきしている[1]日本にっぽんにはテングタケA. pantherina)、ベニテングタケ(A, muscaria)、ウスキテングタケAmanita orientigemmata)などが分布ぶんぷする。

-Section Amarrendiae 和名わみょう未定みていふし

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10しゅあまりがふくまれるちいさなグループであたらしい分類ぶんるいである。日本にっぽん分布ぶんぷする種類しゅるいられていない。本郷ほんごう(1982)ではこのふしみとめていない[1]

-Section Caesaereae タマゴタケぶし

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100しゅあまりがふくまれる。旧来きゅうらい分類ぶんるいではしばしばツルタケぶしふくまれており、本郷ほんごう(1982)でもどうふしないのうち膜質まくしつぶくろじょうのツボをぶしとしてあつかっておりふしとしてはみとめていない[1]日本にっぽんにはタマゴタケAmanita caesareoides)、ドウシンタケAmanita esculenta)、ツルタケダマシ(Amanita spreta)などが分布ぶんぷする。

-Section Vaginatae ツルタケぶし

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430しゅあまりがふくまれるおおきなグループで実体じったいはらはじめのほぼ中央ちゅうおうからなが実体じったいばすこと、内皮ないひまくくもしくは不完全ふかんぜんかたちつグループである。かたぎしきしゅツルタケAmanita vaginata)。本郷ほんごう(1982)では基部きぶふくらまないてん外皮がいひまく丈夫じょうぶ大半たいはんたねはツボとしてのこるが一部いちぶ例外れいがいがあるてん指摘してきしている[1]

Subgenus Amanitina マツカサモドキぞく

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Amaniticeae.orgでは旧来きゅうらいのマツカサモドキぞくぞくしていたたねおおくがあらたにこのグループにうつされている。500しゅちかくが所属しょぞくすることになっている。

-Section Amidella 和名わみょう未定みていふし

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50しゅあまりが記録きろくされている。かたぎしきしゅフクロツルタケAmanita volvata)。本郷ほんごう(1982)では外皮がいひまく丈夫じょうぶだが内皮ないひまくもろくツバが不完全ふかんぜんてんにく変色へんしょくせい実体じったい乾燥かんそうのひだの変色へんしょくせい指摘してきしている[1]

-Section Arenaire 和名わみょう未定みていふし

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7しゅあまりがられるちいさいグループである。本郷ほんごう(1982)ではこのふしみとめていない[1]

-Section Phalloideae タマゴテングタケぶし

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80しゅあまりをふくむ。かたぎしきしゅタマゴテングタケAmanita phalloides)。本郷ほんごう(1982)では外皮がいひまくない皮膜ひまくともに丈夫じょうぶてんにく変色へんしょくせいがあまりないてん、ひだが乾燥かんそうもあまり変色へんしょくしないてん指摘してきしている[1]日本にっぽんさんしゅではドクツルタケA, virosa)、タマゴタケモドキA. subjunquiellea)、コテングタケモドキA. pseudoporphyria)などがここにはいる。

-Section Roanokoensesae タマシロオニタケぶし

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170しゅあまりをふくむ。本郷ほんごう(1982)ではこのふしみとめていない[1]

しきしゅはアメリカさんのタマシロオニタケ(Amanita abrupta)、日本にっぽんのものとは最近さいきん別種べっしゅあつかいになっている。日本にっぽんさんタマシロオニタケAmanita sphaerobulbosa)、コトヒラシロテングタケAmanita kotohiraensis)などもここにはいる。

-Section Strobiformisae マツカサモドキぶし

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20しゅあまりをふくむグループである。日本にっぽんにはマツカサモドキ(Amanita strobiliformis)などが分布ぶんぷする。本郷ほんごう(1982)では外皮がいひまくもろくつぼが不完全ふかんぜんてんかさいろ明色めいしょくてんかさえん被膜ひまくらすてん胞子ほうし形状けいじょう指摘してきしている[1]

-Section Validae キリンタケぶし

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140しゅあまりをふくおおきなグループである。本郷ほんごう(1982)では外皮がいひまくもろくつぼが不完全ふかんぜんてんかさいろ暗色あんしょくてんかさえん被膜ひまくらさないてん胞子ほうし形状けいじょう指摘してきしている[1]かたぎしきしゅはキリンタケ(Amanita excelsa)。日本にっぽん分布ぶんぷするしゅではガンタケA. rubescens)がここにはいる。

Subgenus Lepidella 和名わみょう未定みていぞく

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Amaniticeae.orgではヨウ素水もとみ溶液ようえきていしょくするAmanitaぞくないいちグループとしてあつかわれているが、簡易かんいてき判定はんていとしてはかさえんじょうせんないものをあつめただいグループとしてられていたが、おおくのたねがsubgenus Amanitania移行いこうしだいぶ縮小しゅくしょうした。本郷ほんごう(1982)をはじめ[1]旧来きゅうらいはこのグループを和名わみょうマツカサモドキぞくてられていた。かたぎしきしゅAmanita vittadinii下位かいふしはSection Lepidellaeひとつだけとなり、40しゅ程度ていど所属しょぞくすることになっている。このグループのなかにはくさなまきんうたがわれるたねがあり、べつぞくSaproamanitaなどとして独立どくりつさせる意見いけんもある。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 本郷ほんごう次雄つぐお (1982) 日本にっぽんさんテングタケぞく菌類きんるい. 植物しょくぶつ分類ぶんるい地理ちり. 33, p.116-126. doi:10.18942/bunruichiri.KJ00001079145
  2. ^ a b 新田にった真之まさゆき、「テングタケぞく実体じったい繁殖はんしょくするそう翅目昆虫こんちゅう群集ぐんしゅう」『日本にっぽんきん学会がっかい大会たいかい講演こうえん要旨ようししゅう』 2014ねん 58かん 日本にっぽんきん学会がっかいだい58かい大会たいかい, セッションID:P05, p.85-, doi:10.11556/msj7abst.58.0_85, 日本にっぽんきん学会がっかい
  3. ^ E Wulf, A Deboben, F A Bautz, H Faulstich, T Wieland (1979) Fluorescent phallotoxin, a tool for the visualization of cellular actin. Proceedings of the National Academy of Sciences 76(9), pp4498-4502. doi:10.1073/pnas.76.9.4498
  4. ^ 長崎ながさきあきら上田うえだ太郎たろう(2022)ファロイジンで染色せんしょくされないかくないアクチンフィラメント. 生物せいぶつ物理ぶつり 62(5), p.288-290. doi:10.2142/biophys.62.288

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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  • Amanitaceae.org (英語えいご) テングタケ専門せんもんサイトで各種かくしゅ記載きさい論文ろんぶんへのリンクや新種しんしゅ論文ろんぶんなどもおおしている。