(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ナツツバキ - Wikipedia コンテンツにスキップ

ナツツバキ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナツツバキ
ナツツバキ
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるいAPG IV
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい eudicots
階級かいきゅうなし : コア真正しんせいそう子葉しようるい core eudicots
階級かいきゅうなし : キクうえぐん superasterids
階級かいきゅうなし : キクるい asterids
: ツツジ Ericales
: ツバキ Theaceae
ぞく : ナツツバキぞく Stewartia
たね : ナツツバキ S. pseudocamellia
学名がくめい
Stewartia pseudocamellia Maxim. (1867)[2]
和名わみょう
ナツツバキ(なつ椿つばき
英名えいめい
Japanese stewartia

ナツツバキなつ椿つばき[3]沙羅さら[4][よう検証けんしょう]学名がくめい: Stewartia pseudocamellia)は、ツバキナツツバキぞく落葉らくようしょう高木たかぎ高木たかぎ別名べつめいシャラノキ、シャラなどともよばれている。樹皮じゅひうつくしいむら模様もようがあり、初夏しょかツバキしろはなかせる。

名称めいしょう

[編集へんしゅう]

和名わみょうナツツバキ由来ゆらいは、はなかたちがツバキにており、なつはなくことによる[5]

別名べつめいはシャラノキ(沙羅さら[2][3][5][6]、サラノキ[6]、シャラ[5][6]、サルナメ[6]、シャラソウジュ、サラソウジュ(しゃばいつき沙羅双樹さらそうじゅ)など。また、みきはだ次々つぎつぎがれてすべすべしているのでサルスベリの異名いみょうもある[7]

インド北部ほくぶえるフタバガキサラソウジュ別名べつめい:シャラノキ)にているとされて[ちゅう 1]江戸えど時代じだい中期ちゅうき仏教ぶっきょうせいである沙羅双樹さらそうじゅをナツツバキにあてるようになり[8]上記じょうき別名べつめいがインドのシャラノキのあやましょうとのせつがある[3]。シャラは沙羅双樹さらそうじゅのサラからてんじたといわれる[5]

学名がくめいぞくめい Stewartia は、イギリスの植物しょくぶつ学者がくしゃJ・スチュアートのによるもので、たね小名しょうみょう pseudocamellia は「ツバキた」という意味いみである[7]

分布ぶんぷ

[編集へんしゅう]

原産地げんさんち日本にっぽんから朝鮮半島ちょうせんはんとうにかけてである[9]日本にっぽんでは宮城みやぎけん福島ふくしまけん新潟にいがたけん以西いせい本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう山地さんち自生じせいする[8][6]。やや深山みやま谷間たにま自生じせい[9][10]すずしいところや[3]湿潤しつじゅん土地とちえる[8][11]。よくにわなどに栽培さいばいもされ、北海道ほっかいどう南部なんぶから九州きゅうしゅう範囲はんいうえ栽可能地のちとされる[6]

ナツツバキよりはなちいさいヒメシャラStewartia monadelpha)も山地さんち自生じせいし、栽培さいばいもされる。ナツツバキぞくStewartia)はひがしアジアときたアメリカに8しゅほど分布ぶんぷする。

特徴とくちょう

[編集へんしゅう]

落葉らくよう広葉樹こうようじゅ[6]ちゅう高木こうぼくで、樹高きだかは10 - 20メートル (m) 程度ていどになる[3]株立かぶだちで、樹皮じゅひなめらかでくろずんだ赤褐色せきかっしょくをしており、10ねんくらいから樹皮じゅひうす不規則ふきそくがれて、独特どくとく褐色かっしょくはい褐色かっしょく斑紋はんもんができよく目立めだ[10][12][3]、サルスベリともよばれた[8]きんえんヒメシャラ赤褐色せきかっしょくとの区別くべつてんである[11]いちねんえだほそくて[12]

互生ごせいし、ながさ4 - 12センチメートル (cm) 程度ていど倒卵形とうらんけい[3]さきとがり、えんこまかい鋸歯きょしがある[6]はややあつ膜質まくしつで、表面ひょうめん光沢こうたくはなく、ヒメシャラよりもおおきく、葉脈ようみゃく目立めだ[6]ツバキのなかまは常緑じょうりょくせいであるが、ほんしゅやヒメシャラは落葉らくようせいで、あきには紅葉こうようして落葉らくようする[3][7]あきには紅葉こうようし、おおくは橙色だいだいいろいろづくが、黄色おうしょくっぽいものや、条件じょうけんがよいとあかくなるなるものもある[13]

花期かき梅雨つゆ(6がつ - 7がつ初旬しょじゅん)である[11]のつけに、直径ちょっけい5 - 6 cm程度ていどしろはな上向うわむきにかせる[3][6]はなびらは5まいしろく、えんにはささやかなしわがある[3][8]。なかには、花弁はなびら一部いちぶピンク色ぴんくいろとなっているものがある[8]しべはないと黄色きいろい。あさ開花かいかし、夕方ゆうがたには落花らっかするいちにちはなである[11]

果実かじつじゅくは10がつ[6]果実かじつは、5つのりょうがあるながさ15 - 20ミリメートル (mm) のたまごがたで、先端せんたんとが[9][3]じゅくすと5きれして、はてから翌年よくねんはるまでのこ[8]

冬芽とうがいただきがわがついて互生ごせいし、紡錘形ぼうすいけいまたはちょう楕円だえんがた先端せんたんとがっている[10]外側そとがわはい褐色かっしょくうろこ2まい両側りょうがわからつつみ、もうえている[10]。その内側うちがわにもはい緑色みどりいろうろこ2まいつつまれており軟毛がえている[10]冬芽とうがのわきにあるこん半円はんえんがたで、維管たばあと1個いっこつく[12]

栽培さいばい

[編集へんしゅう]

庭木にわき公園こうえんじゅとしてよくえられる[9][3]。また、街路がいろじゅにしてえられていたり[8]沙羅双樹さらそうじゅをもらっていることから、日本にっぽんではふゆせないインドのサラソウジュの代用だいようで、ナツツバキがてら境内けいだいにもえられているところもある[7][14]ざい樹皮じゅひうつくしくなめらかで、床柱とこばしら使つかわれる[9]

西日にしびきら湿潤しつじゅん環境かんきょうこのむことから、にわ東側ひがしがわ北側きたがわ、あるいは中庭なかにわえられ、日当ひあたりの場所ばしょ乾燥かんそう場所ばしょけられる[15]なた、はん日陰ひかげ、いずれの環境かんきょうでもそだつが、はん日陰ひかげのほうがいたみにくい傾向けいこうにあり、みき直射ちょくしゃ日光にっこうてない環境かんきょう最適さいてきわれている[11]うえ栽適は3がつ下旬げじゅん - 4がつ上旬じょうじゅんと10がつ中旬ちゅうじゅん - 11月[11]、または12 - 3月とされる[6]病虫害びょうちゅうがいでは、チャドクガがい注意ちゅういようする[11]剪定せんてい適期てっきは、10がつ中旬ちゅうじゅん - 3月、はなの7がつとされる[11]

鑑賞かんしょう

[編集へんしゅう]

晩春ばんしゅんしろはなかせる花木はなのきで、株立かぶだちのがたうつくしく、はなちたのちみきはだ模様もよう面白おもしろく、観賞かんしょうせいたか[11][15]

ナツツバキの花言葉はなことばは、「あいらしさ」とされる[8]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく

[編集へんしゅう]
  1. ^ ただしこのせつについて、植物しょくぶつ生態せいたい学者がくしゃ辻井つじい達一たついちは、ナツツバキがサラソウジュ(沙羅双樹さらそうじゅ)とどこがているのかと指摘してきしている[5]

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ Rivers, M.C. (2018). Stewartia pseudocamellia. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T62086379A62086382. doi:10.2305/IUCN.UK.2018-1.RLTS.T62086379A62086382.en Downloaded on 16 February 2019.
  2. ^ a b 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Stewartia pseudocamellia Maxim. ナツツバキ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2023ねん12月17にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう 学習がくしゅう研究けんきゅうしゃへん 2000, p. 199.
  4. ^ 木村きむら修次しゅうじ黒澤くろさわ弘光ひろみつだいおさむかん現代げんだい漢和かんわ辞典じてんだいおさむかん出版しゅっぱん、1996ねん12がつ10日とおか発行はっこう(678ページ)
  5. ^ a b c d e 辻井つじいたちいち 2006, p. 137.
  6. ^ a b c d e f g h i j k l やま﨑誠 2019, p. 162.
  7. ^ a b c d 辻井つじいたちいち 2006, p. 139.
  8. ^ a b c d e f g h i 田中たなかきよし 2011, p. 126.
  9. ^ a b c d e 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん 1997, p. 82.
  10. ^ a b c d e 菱山ひしやま忠三郎ちゅうざぶろう 1997, p. 70.
  11. ^ a b c d e f g h i 正木まさきさとし 2012, p. 82.
  12. ^ a b c 鈴木すずき庸夫みちお高橋たかはしふゆやすのべ尚文なおふみ 2014, p. 62.
  13. ^ はやし将之まさゆき 2008, p. 27.
  14. ^ 長谷川はせがわ哲雄てつお 2014, p. 107.
  15. ^ a b やま﨑誠 2019, p. 163.
  16. ^ 高槻たかつき観光かんこう協会きょうかい, 公益社こうえきしゃだん法人ほうじん. “あさよるる「沙羅双樹さらそうじゅなつ椿つばき)」がられる「ひろしもんてら」をご紹介しょうかいします。 | 観光かんこう協会きょうかいからのおらせ | 高槻たかつき観光かんこう協会きょうかい公式こうしきサイト たかつきマルマルナビ”. www.takatsuki-kankou.org. 2024ねん6がつ9にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • 鈴木すずき庸夫みちお高橋たかはしふゆやすのべ尚文なおふみ樹皮じゅひ冬芽とうが四季しきつうじて樹木じゅもく観察かんさつする 431しゅまことぶんどう新光しんこうしゃ〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014ねん10がつ10日とおか、62ぺーじISBN 978-4-416-61438-9 
  • 田中たなかきよしっておきたい100の日本にっぽんらしをささえる樹木じゅもくたち』主婦しゅふ友社ともしゃ主婦しゅふともベストBOOKS〉、2011ねん7がつ31にち、126ぺーじISBN 978-4-07-278497-6 
  • 辻井つじい達一たついちぞく日本にっぽん樹木じゅもく中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ中公新書ちゅうこうしんしょ〉、2006ねん2がつ25にち、137-140ぺーじISBN 4-12-101834-6 
  • 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう 学習がくしゅう研究けんきゅうしゃへん日本にっぽん樹木じゅもく学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ増補ぞうほ改訂かいていベストフィールド図鑑ずかん 5〉、2000ねん4がつ7にち、199ぺーじISBN 978-4-05-403844-8 
  • 長谷川はせがわ哲雄てつおもりのさんぽ図鑑ずかん築地つきじしょかん、2014ねん3がつ10日とおか、107ぺーじISBN 978-4-8067-1473-6 
  • はやし将之まさゆき紅葉こうようハンドブック』ぶんいち総合そうごう出版しゅっぱん、2008ねん9がつ27にちISBN 978-4-8299-0187-8 
  • 菱山ひしやま忠三郎ちゅうざぶろう樹木じゅもく冬芽とうが図鑑ずかん主婦しゅふ友社ともしゃ、1997ねん1がつ7にち、70ぺーじISBN 4-07-220635-0 
  • 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん樹木じゅもくガイドブック』永岡書店ながおかしょてん、1997ねん5がつ10日とおか、82ぺーじISBN 4-522-21557-6 
  • 正木まさきさとし『ナチュラルガーデン樹木じゅもく図鑑ずかん講談社こうだんしゃ、2012ねん4がつ26にち、82ぺーじISBN 978-4-06-217528-9 
  • やま﨑誠うえ栽大図鑑ずかん改訂かいていばん]』エクスナレッジ、2019ねん6がつ7にち、162-163ぺーじISBN 978-4-7678-2625-7 

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]