ナレンドラ・モディ

インドの政治せいじ家か ナレンドラ・モディ नरेन्द्र मोदी નરેન્દ્ર દામોદરદાસ મોદી Narendra Modi
2022年ねん 撮影さつえい
生年月日せいねんがっぴ	(1950-09-17) 1950年ねん9月17日にち（74歳さい）
出生しゅっしょう地ち	インド ボンベイ州しゅうワタナガル
出身しゅっしん校こう	グジャラート大学だいがく
所属しょぞく政党せいとう	インド人民じんみん党とう
配偶はいぐう者しゃ	ジャショダベン・モディ
宗教しゅうきょう	ヒンドゥー教きょう
サイン
公式こうしきサイト	Narendra Modi
インド 第だい18代だい首相しゅしょう
内閣ないかく	ナレンドラ・モディ内ない閣かく
在任ざいにん期間きかん	2014年ねん5月26日にち - 現職げんしょく
大統領だいとうりょう	プラナブ・ムカルジー ラーム・ナート・コーヴィンド ドラウパディ・ムルム
グジャラート州しゅう 第だい14代だい首相しゅしょう
選挙せんきょ区く	マニナガル
在任ざいにん期間きかん	2001年ねん10月7日にち - 2014年ねん5月26日にち
州しゅう知事ちじ	カマラ・ベニワル

ナレンドラ・ダモダルダス・モディ（ヒンディー語ご: नरेन्द्र दामोदरदास मोदी、グジャラート語ご: નરેન્દ્ર દામોદરદાસ મોદી、英語えいご: Narendra Damodardas Modi、1950年ねん9月17日にち - ）は、インドの政治せいじ家か。インド人民じんみん党とう党首とうしゅ。第だい18代だいインド首相しゅしょう。 ヒンドゥー至上しじょう主義しゅぎ（インドはヒンドゥー教きょう国家こっかであり、国内こくないの少数しょうすう派は、とくにイスラム教徒きょうとは、ヒンドゥー教きょうの優位ゆうい性せいを認みとめなくてはならないとするイデオロギー）寄よりの政府せいふを生うみ出だし、一部いちぶでは国父こくふといわれたガンジーを暗殺あんさつしたナトラム・ゴドセを崇拝すうはいする者ものも現あらわれている。ヒンドゥー極右きょくう団体だんたい「民族みんぞく義勇ぎゆう団だん(RSS)」の元もと運動うんどう家かであり、同どう団体だんたいも政権せいけん基盤きばんとなっている。第だい14代だいグジャラート州しゅう首相しゅしょうを務つとめた。インド史上しじょうで初はじめての「独立どくりつ後ご世代せだい」の首相しゅしょうであり、州しゅう首相しゅしょうの経験けいけんを持もつ初はじめての首相しゅしょうである。「神かみの使つかい」を自称じしょうしている。

経歴けいれき

首相しゅしょうに就任しゅうにんするモディ

1950年ねん9月がつ17日にち、インド西部せいぶの北きたグジャラート（現在げんざいのグジャラート州しゅう）のメサーナ地区ちくにあるワタナガルで誕生たんじょうした。貧まずしい紅茶こうちゃ売うりの子こで、上位じょういカーストに比くらべて社会しゃかい進出しんしゅつや教育きょういく水準すいじゅんで遅おくれているその他た後進こうしん諸しょ階級かいきゅうの生うまれであり、不可ふか触さわ民みんが属ぞくする「指定していカースト」とともに公的こうてき雇用こようの確保かくほ措置そちの対象たいしょうになっていた。インド人民じんみん党とう（RJP）の支持しじ基盤きばんであるヒンズー至上しじょう主義しゅぎ組織そしき「民族みんぞく義勇ぎゆう団だん（RSS）」の活動かつどうに参加さんか。1987年ねん、グジャラート州しゅう議会ぎかい議員ぎいん（RJP）となる。グジャラート大学だいがくにおいて政治せいじ学修がくしゅう士し号ごうを習得しゅうとくした。

2001年ねんから2014年ねんまでグジャラート州しゅう首相しゅしょうを務つとめ、3度ど再選さいせんされている。インフラ整備せいびや外資がいしの受うけ入いれなどにより、同どう州しゅうの経済けいざい成長せいちょうを実現じつげんした。ヒンドゥー至上しじょう主義しゅぎ、反はんイスラーム主義しゅぎ的てき言動げんどうでも知しられるが、2014年ねんのインド総そう選挙せんきょ後ごには「全ぜん国民こくみんとともに」を掲かかげて国内こくないが分断ぶんだんすることは避さけた。一方いっぽうで、後述こうじゅつするように現在げんざいにかけて非ひヒンディー教徒きょうとなどへの弾圧だんあつを行おこなっている。

2001年ねんにモディがグジャラート州しゅう首相しゅしょうに就任しゅうにんした後のち、ファシズムを美化びかする教育きょういく方針ほうしんを打うち立たて「至高しこうの英雄えいゆうヒトラー」「ナチスの偉業いぎょう」というセクションが入はいった教科書きょうかしょが採択さいたくされた。メディアや各国かっこくの人権じんけん活動かつどう家かは、インドでナチス的てきな選民せんみん思想しそうが現在げんざいにかけて人気にんきを博はくし、ネオナチ的てき民族みんぞく主義しゅぎ者しゃが台頭たいとうしている事ことへの警鐘けいしょうを鳴ならしている。ナチズムに対たいするシンパシーはイスラム教徒きょうとをユダヤ系けいと見立みたててのものであり、イスラエルがイスラム教徒きょうとの敵てきということでモディ政権せいけん自体じたいは親しんイスラエルである。

2014年ねん5月がつの総そう選挙せんきょ開票かいひょう前まえに、RJPの選挙せんきょ運動うんどう委員いいん会かい会長かいちょうに任命にんめいされた。長ながらく妻つまはいないとしてきたが、総そう選挙せんきょに立候補りっこうほするとき、書類しょるいに配偶はいぐう者しゃ欄らんに記入きにゅうして提出ていしゅつ、妻つまがいたことを告白こくはくした。結婚けっこん生活せいかつは破綻はたんしているという。

2014年ねん5月がつに開票かいひょうされた総そう選挙せんきょでインド人民じんみん党とうが勝利しょうりを収おさめたことにより、5月26日にち、第だい18代だい首相しゅしょうとなり就任しゅうにん式しきを執とり行おこなった。

インドでは国くに全体ぜんたいで100言語げんご以上いじょうが使つかわれ、公用こうよう文書ぶんしょでもヒンディー語ごと英語えいごに加くわえて20言語げんごが採用さいようされていた。ヒンディー語ごを話はなす国民こくみんは人口じんこうの約やく40％にすぎないが、モディ政権せいけん及およびインド人民じんみん党とうは「ヒンディー語ご強制きょうせい策さく」をインド北部ほくぶ諸もろ州しゅうで執行しっこうした。反はんヒンディー語ごのタミル民族みんぞくは焼身しょうしん自殺じさつなどでの抵抗ていこうを行おこなっている。

モディは英語えいごを流暢りゅうちょうに話はなせるが、外国がいこくの要人ようじんとの会談かいだんではヒンディー語ごを使つかい、通訳つうやくを介かいして話はなす。

ナレンドラ・モディとマハティール・ビン・モハマド

政策せいさく

外交がいこう

日本にっぽん

ナレンドラ・モディと安倍晋三あべしんぞう

日本にっぽんはグジャラート州しゅうで産業さんぎょう・投資とうしについて協力きょうりょくをしており、モディとはグジャラート州しゅう首相しゅしょう時代じだいから友好ゆうこう的てきな関係かんけいを持もっている。2007年ねん4月がつに訪日ほうにちし、当時とうじ首相しゅしょうであった安倍晋三あべしんぞうらと会談かいだんしており、2012年ねん7月がつに再度さいど日本にっぽんを訪問ほうもんし厚遇こうぐうを受うけた。2012年ねん12月、第だい46回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょに圧勝あっしょうした安倍あべが首相しゅしょうに就任しゅうにんすることが決きまった時とき、最初さいしょに祝福しゅくふくの意いを伝つたえた海外かいがい要人ようじんの一人ひとりがモディだったとされる。このようにモディは安倍あべと個人こじん的てきな信頼しんらい関係かんけいがあり、また、様々さまざまな点てんで安倍あべと共通きょうつう点てんを有ゆうすることから、モディが首相しゅしょうに就任しゅうにんした際さい、プレジデント社しゃはWebサイト「PRESIDENT Online」の記事きじでモディについて「インドで誕生たんじょうした『安倍あべ派は』の新しん首相しゅしょう」と表現ひょうげんしている。日本にっぽんの自動車じどうしゃメーカー・スズキの鈴木すずき修おさむ会長かいちょうとも親したしく、これらのことから親日しんにち家いえと報ほうじられることもある。

2014年ねん8月がつ30日にち、モディが首相しゅしょうとして初はつ来日らいにちし、安倍あべ首相しゅしょう主催しゅさいによる非公式ひこうしきの夕食ゆうしょく会かいが京都きょうと市しの京都きょうと迎賓館げいひんかんで開ひらかれた。翌よく31日にちには安倍あべとともに東寺とうじを訪おとずれ、大日如来だいにちにょらい像ぞうの前まえで二人ふたりで合掌がっしょうした。日にち印しるし首脳しゅのう会談かいだんは9月1日にちに東京とうきょうで行おこなわれ、共同きょうどう声明せいめいの「日にち印いん特別とくべつ戦略せんりゃく的てきグローバル・パートナーシップに関かんする東京とうきょう宣言せんげん」では「特別とくべつな関係かんけい」が明記めいきされ、安全あんぜん保障ほしょう面めんでは、外務がいむ・防衛ぼうえい閣僚かくりょう協議きょうぎ（2プラス2）の設置せっち検討けんとうで合意ごうい、シーレーンの安全あんぜん確保かくほに向むけた海上かいじょう自衛隊じえいたいとインド海軍かいぐんの共同きょうどう訓練くんれんの定期ていき化かと、経済けいざい分野ぶんやでは日にち印しるし投資とうし促進そくしんパートナーシップを立たち上あげ、対たい印しるしの直接ちょくせつ投資とうし額がくと日本にっぽん企業きぎょう数すうを5年間ねんかんで倍増ばいぞうさせる目標もくひょうを決定けっていした。同日どうじつ夜よるに開ひらかれた夕食ゆうしょく会かいでモディは、極東きょくとう国際こくさい軍事ぐんじ裁判さいばん（東京とうきょう裁判さいばん）で被告ひこく全員ぜんいんの無罪むざいを主張しゅちょうしたインド人じん判事はんじラダ・ビノード・パールに言及げんきゅうし、「インド人じんが日本にっぽんに来きてパール判事はんじの話はなしをすると尊敬そんけいされる。自慢じまんできることだ。パール判事はんじが東京とうきょう裁判さいばんで果はたした役割やくわりは我々われわれも忘わすれていない」と述のべ、その功績こうせきを称となえた。

2015年ねん、インド軍ぐん内ないにも反対はんたい意見いけんがある中なか、モディ政権せいけんは米べい印しるし海上かいじょう共同きょうどう訓練くんれん「マラバール」に日本にっぽんを招待しょうたいすることを決定けっていした。日本にっぽんの海上かいじょう自衛隊じえいたいは、「マラバール」に過去かこ数すう回かい参加さんかしたことがあるが、初はつ参加さんかした2007年ねん以外いがいはいずれも日本にっぽん近海きんかいでのものであり、日本にっぽんが参加さんかすることで中国ちゅうごくを刺激しげきすることを避さけたいインドはインド洋いんどよう・ベンガル湾わんでの訓練くんれんに日本にっぽんが参加さんかをすることに難色なんしょくを示しめしてきた。しかし、モディ政権せいけんは中国ちゅうごくの抑止よくしも考かんがえ、ベンガル湾わんでの訓練くんれんに日本にっぽんが参加さんかすることを容認ようにんしたといわれる。

2018年ねん11月にはG20で史上しじょう初はつの日米にちべい印しるし首脳しゅのう会談かいだんを行おこなった。

2022年ねん9月22日にち、来きたる27日にちに実施じっし予定よていの故こ安倍晋三あべしんぞう国こく葬儀そうぎにモディ首相しゅしょうがインド代表だいひょうとして参列さんれつすることが、日本国にっぽんこく外務省がいむしょうにより発表はっぴょうされた。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

ナレンドラ・モディとバラク・オバマ

モディがグジャラート州しゅう首相しゅしょうを務つとめていた2002年ねんに発生はっせいした2002年ねんグジャラート州しゅう暴動ぼうどうは700人にん以上いじょうの死者ししゃが生しょうじたが、モディが暴動ぼうどうを阻止そしするために適切てきせつな行動こうどうをしなかったと疑うたがわれ、ジョージ・W・ブッシュ政権せいけんは2005年ねんよりモディへのビザ発給はっきゅうを停止ていししていたが、モディ政権せいけん誕生たんじょうに伴ともないビザ停止ていしを解除かいじょした。

2014年ねん8月がつ、ジョン・ケリー国務こくむ長官ちょうかんがインドを訪問ほうもんし、モディと会談かいだんし米べい印しるし関係かんけいの改善かいぜんを演出えんしゅつした。

2015年ねんの共和きょうわ国こく記念きねん日びの式典しきてんには、バラク・オバマを招待しょうたいした。共和きょうわ国こく記念きねん日びの式典しきてんにアメリカ大統領だいとうりょうが主賓しゅひんとして招まねかれるのは史上しじょう初はじめてのことであり、米べい印しるし関係かんけい強化きょうかの方針ほうしんを明確めいかくに打うち出だした形かたちである。タイムズ・オブ・インディア紙しによると、インド外務省がいむしょうが用意よういした招待しょうたい者しゃ候補こうほ名簿めいぼにはオバマの名なはなく、オバマの招待しょうたいはモディの強つよい意向いこうで実現じつげんしたものである。

2017年ねんに誕生たんじょうしたドナルド・トランプ政権せいけんとも安全あんぜん保障ほしょうではオバマ前ぜん政権せいけんと同様どうように密接みっせつなのに対たいして経済けいざい面めんでは貿易ぼうえき摩擦まさつも起おきており、アメリカに対たいして報復ほうふく関税かんぜいと追加ついか関税かんぜいも行おこなった。

2019年ねん9月がつに訪米ほうべい。同月どうげつ22日にち、テキサス州しゅうヒューストン市しNRGスタジアムで開催かいさいされた5万まん人にん規模きぼのインド系けいアメリカ人じん集会しゅうかいにトランプ大統領だいとうりょうとともに参加さんかし、緊密きんみつな米べい印しるし関係かんけいをアピールした。

中国ちゅうごく

ナレンドラ・モディと習近平ひらた

2014年ねん2月がつには、中国ちゅうごくに対たいし「拡大かくだいという思考しこうを捨すて去さる必要ひつようがある」と述のべ、中国ちゅうごくの領土りょうど拡大かくだい的てきな動うごきを牽制けんせいした。2014年ねんの選挙せんきょ期間きかん中ちゅう、モディは中国ちゅうごくに対たいする厳きびしい態度たいどを表明ひょうめいし、首相しゅしょう就任しゅうにん式しきでも中国ちゅうごくが真珠しんじゅの首飾くびかざり戦略せんりゃくを進すすめている南みなみアジアの国々くにぐにや、チベット亡命ぼうめい政府せいふのロブサン・センゲ首相しゅしょうを招まねくなど、中国ちゅうごくを牽制けんせいする狙ねらいを示しめした。首相しゅしょう就任しゅうにんの後のち、モディは初はつの外遊がいゆう先さきにブータンを選択せんたくしており、これもブータンと中国ちゅうごくが接近せっきんしていることに懸念けねんを抱だいているからとされる。国境こっきょうを完全かんぜんに画定かくていさせてない中国ちゅうごくへの安全あんぜん保障ほしょう上じょうの警戒けいかい心しんから対たい中ちゅう防衛ぼうえいを目的もくてきとした安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくもまた重視じゅうししている。

一方いっぽうで、首相しゅしょう就任しゅうにん後ごの5月がつ27日にち、中国ちゅうごく側がわの提案ていあんで李り克かつ強きょう首相しゅしょうと電話でんわ会談かいだんを行おこなった。在中ざいちゅうインド大使館たいしかんによれば、この電話でんわ会談かいだんで、モディはインドの外交がいこう政策せいさくにとって常つねに優先ゆうせん国こくだと述のべたとされる。首相しゅしょうとなったモディが、外国がいこくの首脳しゅのうと行おこなった電話でんわ会談かいだんは、これが初はじめてとなる。

2014年ねん9月がつ17日にち、習近平ひらた国家こっか主席しゅせきを故郷こきょうのグジャラートに招待しょうたいしてモディの64歳さいの誕生たんじょう日びを祝いわい、翌よく18日にちには首都しゅとニューデリーで会談かいだんして国境こっきょうの平和へいわと安定あんていに向むけて協力きょうりょくすることで一致いっちした。習近平たいらはチベット亡命ぼうめい政府せいふに中国ちゅうごくとの和解わかいを打診だしんしていたとされ、ジャーナリストのソニア・シンは訪おとずれ印しるした習近平へいがダライ・ラマ14世せいとの面会めんかいを快諾かいだくするも対たい中ちゅう関係かんけいを重視じゅうしするモディによって中止ちゅうしされたと主張しゅちょうするもチベット亡命ぼうめい政府せいふは中国ちゅうごくが提案ていあんに応おうじなかったとして否定ひていした。同年どうねん7月がつ15日にちにはブラジルのフォルタレザでのBRICSサミットで中国ちゅうごくなどとともに新しん開発かいはつ銀行ぎんこうと外貨がいか準備じゅんび基金ききんの設立せつりつ文書ぶんしょに署名しょめいした。

2015年ねん5月がつ7日にち、モディは首相しゅしょう就任しゅうにん後ごでは初はじめて中国ちゅうごくを公式こうしき訪問ほうもんし、新しん浪なみ微ほろ博はく（ウェイボー）にアカウントを開設かいせつした。また、習国家こっか主席しゅせきの故郷こきょうである陝西せんせい省しょうに招まねかれて三蔵さんぞう法師ほうし玄げん奘がインドから持もち帰かえった仏像ぶつぞうや経典きょうてんを収蔵しゅうぞうする大だい慈恩寺じおんじに案内あんないされて菩提樹ぼだいじゅの苗なえを植うえた。2015年ねんに中国ちゅうごくの提唱ていしょうで設立せつりつされたアジアインフラ投資とうし銀行ぎんこう（AIIB）にインドは参加さんかしてAIIBの最大さいだい借入かりいれ国こくにもなっており、インド最大さいだいの貿易ぼうえき相手あいて国こくにもなった中国ちゅうごくとは経済けいざい協力きょうりょくを深ふかめた。また、安全あんぜん保障ほしょう面めんでも中国ちゅうごくとロシアが主導しゅどうする上海しゃんはい協力きょうりょく機構きこうへのインドの正規せいき加盟かめいを認みとめられたことからその枠組わくぐみでの中国ちゅうごくとの協力きょうりょくを重視じゅうししており、2015年ねんと2016年ねんには中印なかいん合同ごうどう演習えんしゅうを行おこなっている。南シナ海みなみしなかいで中国ちゅうごくを封ふうじ込こめる共同きょうどう軍事ぐんじ作戦さくせんへの参加さんかを拒否きょひし、反はん中ちゅう活動かつどう家かの入国にゅうこく拒否きょひなど中国ちゅうごくに配慮はいりょする行為こういも行おこなった。

2017年ねん5月、モディは他たの閣僚かくりょうとともに中国ちゅうごくで開催かいさいされ一帯いったい一路いちろ国際こくさい協力きょうりょくサミットフォーラムに招待しょうたいされるも、国境こっきょう紛争ふんそう地帯ちたいであるカシミール地方ちほうが一帯いったい一路いちろ構想こうそうに位置付いちづけられていることについて双方そうほうの溝みぞは埋うずまらず、出席しゅっせきしなかった。同年どうねん8月がつ、2ヶ月かげつ超ちょう続つづいた中国ちゅうごく軍ぐんとの国境こっきょう地帯ちたいでの睨にらみ合あいは双方そうほうの合意ごういで終結しゅうけつさせた。経済けいざい面めんではインドは密接みっせつな関係かんけいが続つづき、2018年ねん時点じてんでモディ政権せいけんのICT政策せいさくである「デジタル・インディア」に不可欠ふかけつなインドのスマートフォン市場いちばの3分ぶんの2を中国ちゅうごくのメーカーが占しめ、野党やとうインド国民こくみん会議かいぎ派はの総裁そうさいで対抗たいこう馬ばだったラーフル・ガンディーからは莫大ばくだいな米べい中ちゅう貿易ぼうえき赤字あかじを築きずいたことに対たいしてモディ政権せいけんの製造せいぞう業ぎょう支援しえん政策せいさくである「メイク・イン・インディア」（インドでつくろう）は事実じじつ上じょうの「バイ・フロム・チャイナ」（中国ちゅうごくから買かおう）と批判ひはんされた。

2018年ねん11月にはG20で初はつの日米にちべい印しるし3カ国かこく首脳しゅのう会談かいだんの前後ぜんごに中印なかいん首脳しゅのう会談かいだんと12年ねんぶりの中ちゅう露ろ印しるし首脳しゅのう会談かいだんを開催かいさいしてバランスを保たもった。

2021年ねん7月がつ6日にち、チベット仏教ぶっきょうの精神せいしん的てき指導しどう者しゃであるダライ・ラマ14世せいの86歳さいの誕生たんじょう日びにあたり、誕生たんじょう日びを祝いわう電話でんわをかけたことを公表こうひょうした。モディは、SNSを通つうじて「ダライ・ラマ14世せいの86歳さいの誕生たんじょう日びを祝いわうため彼かれと電話でんわで話はなした」として、「今後こんごも末永すえながく健康けんこうでいられるよう祈願きがんしたい」と伝つたえたことを明あかした。2020年ねん、インドと中国ちゅうごくの係争けいそう地域ちいきで死者ししゃの出でる衝突しょうとつが起おこった際さい、ダライ・ラマ14世せいの誕生たんじょう日びにメッセージを送おくらなかったことを野党やとうから「中国ちゅうごくの顔色かおいろをうかがい過すぎている」と批判ひはんされており、今回こんかいの交流こうりゅうを誇示こじしたのは、中国ちゅうごくに対たいする国内こくないの強硬きょうこう世論せろんを意識いしきしたものとみられる。

2020年ねんのインドと中国ちゅうごくの係争けいそう地域ちいきで死者ししゃの出でる衝突しょうとつにより、インドでは中国ちゅうごく製品せいひんの不買ふばい運動うんどうが起おこり、インド政府せいふが中国ちゅうごく製せいスマートフォンアプリの使用しようを禁止きんしするなどの国内こくないの対たい中ちゅう感情かんじょうの悪化あっかから、モディは2021年ねん7月がつ1日にちの中国共産党ちゅうごくきょうさんとう建けん党とう100周年しゅうねんを祝いわうメッセージを中国ちゅうごくに送おくらなかった。

北朝鮮きたちょうせん

インドは北朝鮮きたちょうせんにとって3番目ばんめの貿易ぼうえき相手あいて国こくだったが、2017年ねん4月がつにモディ政権せいけんはインド国内こくないの北朝鮮きたちょうせん関連かんれん資産しさんをすべて凍結とうけつして食料しょくりょうと医薬品いやくひんを除のぞく全ぜん品目ひんもくを禁輸きんゆする対たい北きた経済けいざい制裁せいさいを初はじめて実施じっしした。

パキスタン

ヒンドゥー至上しじょう主義しゅぎの傾向けいこうのあるモディは、3度どの印しるしパ戦争せんそうで領土りょうど問題もんだいが残のこるパキスタンに対たいして強硬きょうこう路線ろせんを取とる可能かのう性せいが指摘してきされていたが、2014年ねん5月がつ26日にちのモディの首相しゅしょう就任しゅうにん式しきでは、パキスタン首相しゅしょうのナワーズ・シャリーフが出席しゅっせきした。両国りょうこくの独立どくりつ以降いこう、首脳しゅのうが相手あいて国こくの首相しゅしょう就任しゅうにん宣誓せんせい式しきに出席しゅっせきするのは初はじめてとなる。パキスタン側がわは招待しょうたいを受うけた後のち、3日間にちかんに渡わたり政府せいふや軍ぐんが出席しゅっせきの是非ぜひを検討けんとう、新あらたな印しるしパ関係かんけいを築きずく貴重きちょうな機会きかいとして出席しゅっせきを決きめた。モディは、首相しゅしょう就任しゅうにん式しきにパキスタンのシャリフ首相しゅしょう以下いか、南みなみアジア地域ちいき協力きょうりょく連合れんごうの全ぜん加盟かめい国こくの首脳しゅのうかその代理だいりを初はじめて招まねいた。2015年ねん12月25日にち、パキスタンを予告よこくなしでインド首相しゅしょうでは12年ねんぶりに訪おとずれ、シャリフ首相しゅしょうと会談かいだんした。2018年ねん8月がつには上海しゃんはい協力きょうりょく機構きこうに加盟かめいしている中国ちゅうごく・ロシア・インド・パキスタン・中央ちゅうおうアジア諸国しょこくによる初はつの合同ごうどう軍事ぐんじ演習えんしゅうを行おこなった。インドとパキスタンにとって独立どくりつ以来いらい初はつの国連こくれん平和へいわ維持いじ活動かつどう以外いがいでの軍事ぐんじ協力きょうりょくとなった。

しかし、カシミールを巡めぐっては対立たいりつを続つづけており、予定よていされた協議きょうぎも中止ちゅうしし、双方そうほうの砲撃ほうげきや銃撃じゅうげき戦せんも起おきるなど両国りょうこくで非難ひなんの応酬おうしゅうがされている。2019年ねん2月がつには48年ねんぶりにパキスタンの越境えっきょう空爆くうばく（バーラーコート空爆くうばく）を行おこない、パキスタン空軍くうぐんとインド空軍くうぐんがカシミール地方ちほうで空中くうちゅう戦せんを行おこなってパキスタンはインド空軍くうぐん機き2機き、インドはパキスタン空軍くうぐん機き1機きを撃墜げきついしたとそれぞれ発表はっぴょうして緊張きんちょう状態じょうたいになった。また、インドで唯一ゆいいつイスラム教徒きょうとが多数たすう派はとなっている州しゅうでパキスタンとの係争けいそう地ちでもあるジャンムー・カシミール州しゅうの自治じち権けんを剥奪はくだつしてインターネット通信つうしんなどを遮断しゃだんし、デモなどで抗議こうぎする住民じゅうみんに対たいしてインド軍ぐんの治安ちあん部隊ぶたいが暴行ぼうこうや拷問ごうもんなど弾圧だんあつを行おこなったとも報ほうじられ、これに対たいしてパキスタンは人権じんけん侵害しんがいと反発はんぱつした。

イスラエル

2017年ねん7月がつ、同国どうこくの首相しゅしょうとして初はじめてイスラエルを訪問ほうもんし、エルサレムでベンヤミン・ネタニヤフ首相しゅしょうと会談かいだんした 。かねてから農業のうぎょう面めんの成功せいこうなどからモディはイスラエルとの関係かんけいを重視じゅうししていた。イスラエルにとってインドは最大さいだいの武器ぶきの買かい手てでインドにとってイスラエルはロシアに次つぐ武器ぶき供給きょうきゅう国こくという関係かんけいにあり、印しるしパ戦争せんそうの英雄えいゆうでインドとイスラエルの軍事ぐんじ協力きょうりょくを推進すいしんしているユダヤ系けいインド人じんのJ・F・R・ジェイコブ元もとゴア州しゅう・パンジャーブ州しゅう知事ちじはインド人民じんみん党とうの安全あんぜん保障ほしょう顧問こもんを務つとめてモディとも交流こうりゅうを持もっていた。モディの尊敬そんけいするヴィナーヤク・ダーモーダル・サーヴァルカルらヒンドゥー至上しじょう主義しゅぎ者ものは反はんムスリムの立場たちばからシオニズムを支持しじしており、国際こくさい世論せろん調査ちょうさでもインドは親しんイスラエル的てきな意見いけんがアメリカを上回うわまわっている。

経済けいざい

グジャラート州しゅうはインドで最もっとも高たかい経済けいざい成長せいちょうを遂とげている州しゅうであり、モディはその立役者たてやくしゃとされる。そのグジャラートの繁栄はんえいの象徴しょうちょうとしてモディによって建設けんせつを推おし進すすめられたインドの初代しょだい副ふく首相しゅしょうヴァッラブバーイー・パテールの世界せかい最大さいだいの像ぞう「統一とういつの像ぞう」も2018年ねんに完成かんせいした。

モディの経済けいざい政策せいさくは新しん自由じゆう主義しゅぎに近ちかく、小ちいさな政府せいふや民営みんえい化かの推進すいしんを主張しゅちょうしており、イギリスのマーガレット・サッチャー首相しゅしょうに例たとえられることもある。

モディの経済けいざい手腕しゅわんは海外かいがいからも期待きたいされており、モディが選挙せんきょに圧勝あっしょうして首相しゅしょうに就任しゅうにんすると、インドの会社かいしゃの株かぶが数多かずおおく買かわれた。2014年ねん6月がつ9日にち、インドの株式かぶしき時価じか総額そうがくは過去かこ最さい高値たかねを付つけた。

モディ政権せいけんが2014年ねん6月がつ9日にちに発表はっぴょうした経済けいざい政策せいさくは、ニューズウィークなどの海外かいがいマスコミ報道ほうどうからは「モディノミクス」と呼よばれる。これには中国ちゅうごくの方式ほうしきが一部いちぶに取とり入いれられてるとされ、モディは中国ちゅうごくとの経済けいざい関係かんけいを重視じゅうししているとも指摘してきされる。

2016年ねん11月8日にち午後ごご8時じに、500ルピー（当時とうじの為替かわせレートで約やく800円えん）と1000ルピー（同どう約やく1600円えん）の2種類しゅるいの高額こうがく紙幣しへいについて、突如とつじょ「4時じ間あいだ後ごの11月9日にち午前ごぜん0時じに廃止はいしにする」とテレビを通つうじて発表はっぴょうした。このためインド全土ぜんどで、この発表はっぴょう直後ちょくごから、市民しみんが銀行ぎんこうやATMに殺到さっとうして大だい混乱こんらんに陥おちいった。インド経済けいざいのキャッシュレス社会しゃかい化かの他ほか、偽札にせさつが多おおく出回でまわっているため、500ルピーと1,000ルピー紙幣しへいを廃止はいしにして、強引ごういんに通貨つうか回収かいしゅうすることで、偽札にせさつ撲滅ぼくめつや地下ちか経済けいざいで取引とりひきされている富裕ふゆう層そうのタンス預金よきん炙あぶり出だしを狙ねらったものと発表はっぴょうされている。

2019年ねん11月、2013年ねん以来いらい約やく6年ねんぶりの低てい成長せいちょう率りつでモディ政権せいけん発足ほっそく後ご最低さいていとなったことが発表はっぴょうされた。2019年ねんは米べい中ちゅう貿易ぼうえき戦争せんそうによる世界せかい経済けいざいの減速げんそくやノンバンクの信用しんよう危機ききの影響えいきょうを受うけたとされる。また、同どう時期じきに対たい中ちゅう貿易ぼうえき赤字あかじを理由りゆうにRCEPの交渉こうしょうからインドを離脱りだつさせた。

宗教しゅうきょう

モディは若わかい頃ころからヒンドゥー至上しじょう主義しゅぎを掲かかげる民族みんぞく義勇ぎゆう団だんに所属しょぞくしており、イスラム教いすらむきょうに対たいする憎悪ぞうおを煽あおる演説えんぜつを行おこなっていた。イスラム教徒きょうとのヒンドゥー教徒きょうとへの列車れっしゃ焼やき討うち事件じけん を、きっかけに起おきた2002年ねんグジャラート州しゅう暴動ぼうどうでは、ヒンドゥー教徒きょうととイスラム教徒きょうと双方そうほう合あわせて1000人にん以上いじょう死亡しぼうする事件じけんを黙認もくにんしたマスコミに指弾しだんされ、グジャラート州しゅうのモディ政権せいけんは西側にしがわ諸国しょこくから「犯罪はんざい政権せいけん」と見み做された。事件じけん当初とうしょからモディ自身じしんは事件じけんへの関与かんよを否定ひていしていたが、後ごの裁判さいばんで改あらためて関与かんよ否定ひていが確定かくていしたが、一部いちぶの側近そっきんは事件じけんに関与かんよしたと判断はんだんされた。この事件じけんを理由りゆうに、英えいエコノミストは、モディを支持しじしないと表明ひょうめいしていたが、2014年ねん5月がつに開票かいひょうされた総そう選挙せんきょでインド人民じんみん党とうが勝利しょうりを収おさめると、一転いってんして、「モディの素晴すばらしい勝利しょうりはインドの繁栄はんえいの過去かこ最高さいこうのチャンスを与あたえる」と表明ひょうめいした。

モディは2014年ねんの選挙せんきょにおいて、イスラム教徒きょうとへの融和ゆうわ姿勢しせいや配慮はいりょを強調きょうちょうする場面ばめんも見みられた。インドのイスラム教徒きょうとの中なかには、モディのグジャラート州しゅうでの政治せいじを見みて、経済けいざい成長せいちょうからイスラム教徒きょうとが巧妙こうみょうに疎外そがいされる「少数しょうすう派はの社会しゃかい的てき疎外そがい化か」を懸念けねんする声こえや、将来しょうらいを悲観ひかんする声こえが上あがっている。一方いっぽうで、国民こくみん会議かいぎ派はの腐敗ふはいへの失望しつぼうや、モディの経済けいざい手腕しゅわんへの期待きたいから、モディや人民じんみん党とうに票ひょうを投とうじたイスラム教徒きょうとも少すくなくなく、グジャラート州しゅうのイスラム教徒きょうとも発展はってんの恩恵おんけいを受うけたという指摘してきもある。

2014年ねん5月がつ26日にちの首相しゅしょう就任しゅうにん式しきでは、イスラム教いすらむきょう国家こっかのパキスタンのナワーズ・シャリーフ首相しゅしょうや、仏教ぶっきょうを信仰しんこうするシンハラ人じんを支持しじ基盤きばんにヒンドゥー教徒きょうとが多おおいタミル人じんの反はん政府せいふ武装ぶそう組織そしきタミル・イーラム解放かいほうのトラを中国ちゅうごく・パキスタンの支援しえんで壊滅かいめつさせたスリランカのマヒンダ・ラージャパクサ大統領だいとうりょうなども招待しょうたいされ、出席しゅっせきした。これには、自身じしんがヒンドゥー至上しじょう主義しゅぎ者ものであるとの懸念けねんを払拭ふっしょくする狙ねらいがあるとされる。

2014年ねん6月がつ11日にち、首相しゅしょう就任しゅうにん後ご、議会ぎかいで初はつの主要しゅよう演説えんぜつを行おこなった際さいには、インドで近年きんねん起おこったレイプ事件じけんとともに、ヒンズひんずー教きょう原理げんり主義しゅぎ集団しゅうだんメンバーの仕業しわざとされるイスラム教徒きょうとの若者わかものの殺害さつがいに言及げんきゅう、「これらの事件じけんは深ふかい内省ないせいを必要ひつようとする。政府せいふは厳きびしく処置しょちしなければならない」と述のべ、「国民こくみんは長ながく待まっていないだろうし、われわれ自身じしんの良心りょうしんもわれわれを許ゆるさないだろう」と語かたった。

2014年ねんに首相しゅしょうとして来日らいにちした際さいは、仏教ぶっきょう・真言宗しんごんしゅうの寺院じいんである東寺とうじを訪おとずれ、大日如来だいにちにょらい像ぞうの前まえで合掌がっしょうした。

2018年ねん7月がつ、インド国民こくみんであることを示しめす国民こくみん登録とうろく簿ぼ（NRC）を発表はっぴょうしたが、ムスリム住民じゅうみん400万まん人にんの市民しみん権けんを否定ひていする内容ないようから批判ひはんされた。

2019年ねん12月、パキスタン、アフガニスタン、バングラデシュなどから逃のがれた非ひイスラム教徒きょうとの不法ふほう移民いみんに国籍こくせきを与あたえる市民しみん権けん改正かいせい法ほう（CAA）を成立せいりつさせたことに対たいしてインド全土ぜんどでデモや暴動ぼうどうが起おきて日本にっぽんの安倍あべ首相しゅしょうの訪おとずれ印しるしも中止ちゅうしする事態じたいとなり、首都しゅとのニューデリーをはじめとするインドの各地かくちでは度々たびたびインターネットと携帯けいたい通信つうしんの遮断しゃだんおよび集会しゅうかいの禁止きんし措置そちが行おこなわれた。

軍事ぐんじ

モディの所属しょぞくするインド人民じんみん党とうは、総そう選挙せんきょにおける公約こうやくに、核兵器かくへいきに関かんする政策せいさく見直みなおしを表明ひょうめいしている。モディは核かくの先制せんせい不ふ使用しようは堅持けんじすると発言はつげんしているが、インド人民じんみん党とうは、以前いぜんの政権せいけん担当たんとう時じ（バジパイ政権せいけん時代じだい）に核かく実験じっけんを実行じっこうしたこともあり、外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょうの面めんでは、強硬きょうこうな路線ろせんに傾かたむく懸念けねんが指摘してきされている。

環境かんきょう衛生えいせい

インドでは急速きゅうそくな経済けいざい発展はってんに伴ともなって世界せかい最悪さいあくの大気たいき汚染おせんが起おきており、2018年ねん時点じてんで世界せかい保健ほけん機関きかんによれば世界せかいで最もっとも大気たいき汚染おせんが深刻しんこくな14都市としの全すべてはインドである。モディ政権せいけんは大気たいき汚染おせん対策たいさくとして二に輪りん車しゃおよび三さん輪りんタクシーなどの電気でんき自動車じどうしゃ化かを推おし進すすめた。

また、インドでは、ヒンドゥー教きょうの思想しそうの影響えいきょうからトイレを有ゆうしていない家庭かていが多おおい。人口じんこう約やく13億おく人にんのうち、5億おく2,300万まん人にんが屋外おくがい排泄はいせつしている推計すいけいもあり、衛生えいせい状態じょうたいの悪化あっかから感染かんせん症しょうの発生はっせいも見みられるなど深刻しんこくな社会しゃかい問題もんだいとなりつつある。モディ首相しゅしょうは、2019年ねんまでに約やく1億おく2,000万まん世帯せたいへトイレを新設しんせつすることを目指めざす「きれいなインド」キャンペーンを行おこなっている。

ヒンドゥー至上しじょう主義しゅぎと弾圧だんあつ問題もんだい

モディが属ぞくする人民じんみん党とうはヒンドゥー教きょうの規範きはんを統治とうち原理げんりにし、日本にっぽんでは「ヒンドゥー至上しじょう主義しゅぎ政党せいとう」と呼よばれている。略称りゃくしょうのBJPは、「Bharatiya（インドを示しめす古来こらいの名称めいしょう）Janata（人民じんみん）Party」の頭文字かしらもじである。そして党とうの基盤きばんとなっているのが、国父こくふガンジーの暗殺あんさつ者しゃ、ナトラム・ゴドセを出だしたヒンドゥー至上しじょう主義しゅぎの極右きょくう・ファシスト団体だんたい民族みんぞく義勇ぎゆう団だん（RSS）であり、モディもこのRSSの元もと活動かつどう家かである。

モディの出身しゅっしん並ならびに現在げんざいの後援こうえん団体だんたいでもあるRSSはアドルフ・ヒトラー及およびナチス・ドイツと第だい三さん帝国ていこくを称賛しょうさん並ならびに踏襲とうしゅうしており、モディがグジャラート州しゅう首相しゅしょうに就任しゅうにん後ご、「至高しこうの英雄えいゆうヒトラー」「ナチスの偉業いぎょう」というセクションが入はいった教科書きょうかしょが採択さいたくされた。イスラエル系けいメディアや各国かっこくの人権じんけん活動かつどう家かは、インドでナチス的てきな選民せんみん思想しそうが現在げんざいにかけて人気にんきを博はくし、ネオナチ的てき民族みんぞく主義しゅぎ者しゃが台頭たいとうしている事ことへの警鐘けいしょうを鳴ならしている。またモディ政権せいけんにおけるナチズムに対たいするシンパシーはイスラム教徒きょうとをユダヤ系けいと見立みたててのものであるとされており、イスラエルがイスラム教徒きょうとの敵てきということでモディ政権せいけんは親しんイスラエルであり、共ともにイスラム教徒きょうとの弾圧だんあつを行おこなっている。

2014年ねんより開始かいしされたモディ政権せいけん以降いこう、「インドでは真実しんじつを語かたることは犯罪はんざいになり得える」とされる程ほどに宗教しゅうきょう的てき少数しょうすう派はに対たいする組織そしき的てきな差別さべつ、偽いつわりの容疑ようぎによる平和へいわ活動かつどう家かや政府せいふ批判ひはん者しゃの拘禁こうきん、表現ひょうげんの自由じゆうを弾圧だんあつするテクノロジーの利用りようが進すすんでいる。

インドでは国くに全体ぜんたいで100言語げんご以上いじょうが使つかわれ、公用こうよう文書ぶんしょでもヒンディー語ごと英語えいごに加くわえて20言語げんごが採用さいようされていた。ヒンディー語ごを話はなす国民こくみんは人口じんこうの約やく40％にすぎないが、モディ政権せいけん及およびインド人民じんみん党とうは「ヒンディー語ご強制きょうせい策さく」をインド北部ほくぶ諸もろ州しゅうで執行しっこうした。反はんヒンディー語ごのタミル民族みんぞくは焼身しょうしん自殺じさつなどでの抵抗ていこうを行おこなっている。2022年ねん10月がつ、インド南部なんぶのタミル・ナドゥ（TN）州しゅう議会ぎかいは中央ちゅうおう政府せいふによるヒンディー語ごの強制きょうせいに反対はんたいする決議けつぎを可決かけつした。

モディは「ヒンドゥー教きょう国家こっか」を唱となえ、ガンジー暗殺あんさつへの関与かんよが疑うたがわれた人物じんぶつを英雄えいゆう視しさせるように歴史れきし修正しゅうせいをさせた教科書きょうかしょを閣議かくぎ決定けっていし、イスラム教徒きょうとやキリスト教徒きりすときょうとを「外来がいらい者しゃ」と位置いちづけたり、国父こくふマハトマ・ガンジーを暗殺あんさつしたRSS（民族みんぞく義勇ぎゆう団だん）の愛唱あいしょう歌かを加くわえ、タージマハルを利用りようし「歴史れきしと神話しんわ」を現実げんじつに混同こんどうさせている事ことが問題もんだい視しされる。

デリー大学だいがくのサンジャイ・スリバスタバ教授きょうじゅ（社会しゃかい学がく）は「モディ氏しは古代こだいインドの優越ゆうえつ性せいを強調きょうちょうしてヒンドゥー教徒きょうとの誇ほこりを刺激しげきする。これを世界せかいでのインドの存在そんざい感かんの向上こうじょうや経済けいざい成長せいちょうなどが後押あとおししている」とみる。インド憲法けんぽうはすべての宗教しゅうきょうを平等びょうどうに扱あつかう「世俗せぞく国家こっか」を掲かかげるが、人民じんみん党とうにはこれを削除さくじょすべきだと公言こうげんする閣僚かくりょうがいる事こともあげられる。

歴史れきし教科書きょうかしょの執筆しっぴつに携たずさわってきたアルジュン・デブは、「今いまの動うごきは、ゲルマン民族みんぞくの優秀ゆうしゅうさを歴史れきしから強調きょうちょうし、ユダヤ人じんを迫害はくがいしたナチスと重かさなってみえる」としている。

2021年ねん、オーストラリア上院じょういん議員ぎいんで反はんレイシズム活動かつどうを行おこなうデビッド・シューブリッジは、RSSとその傘下さんかの「バジュラング・ダル」や「ヴィシュワ・ヒンドゥー・パリシャッド（VHP）」などの組織そしきがもたらす脅威きょういについて問題もんだいを提起ていきし、「特とくにシドニー西部せいぶのシーク教徒きょうとコミュニティに対たいして、極右きょくう過激かげき派はによる暴力ぼうりょく事件じけんがすでにあまりにも多おおく起おきている」とシューブリッジは述のべ、RSSらを「ネオナチ」であると発言はつげんした。

2002年ねんグジャラート暴動ぼうどう事件じけんへの関与かんよ疑うたがい

2001年ねん、当時とうじ政権せいけん与党よとうだったインド人民じんみん党とう（BJP）が、選挙せんきょで選出せんしゅつされた当時とうじのグジャラート州しゅうの州しゅう首相しゅしょうを突然とつぜん退任たいにんさせ、その後任こうにんとして州しゅう議会ぎかい議員ぎいんでもなかったモディを送おくり込こんだ。そしてモディが州しゅう知事ちじに就任しゅうにんしてか5ヵ月かげつ後ご、ヒンドゥー教徒きょうとの参拝さんぱい客きゃく59人にんを乗のせた列車れっしゃの車両しゃりょうが、突如とつじょ何者なにものかに火ひを放はなたれて全員ぜんいんが生いきたまま殺ころされるという放火ほうか事件じけんが発生はっせい。その復讐ふくしゅうとしてヒンドゥー教徒きょうとの自警じけい団だんがイスラム教徒きょうとを標的ひょうてきとした組織そしき的てきな大だい暴動ぼうどうを起おこし、グジャラート州しゅう内ないで白昼はくちゅう堂々どうどうと約やく2500人にんの虐殺ぎゃくさつ、数すう万まん人にんのイスラム女性じょせいが道みちに引ひきずり出だされ性的せいてき暴行ぼうこうを受うけた「グジャラート暴動ぼうどう事件じけん」が発生はっせいした。

この事件じけんでモディは、暴動ぼうどうを起おこしたヒンデゥー至上しじょう主義しゅぎ者しゃ達たちを止とめず、寧むしろ扇動せんどうしたとの見方みかたがされている。モディへの個人こじん崇拝すうはいや神格しんかく化かを推おし進すすめるような「ストーリー」を完成かんせいさせる目的もくてきの一環いっかんとして、グジャラートでの暴動ぼうどうで暴徒ぼうとが攻撃こうげき対象たいしょうを割わり出だすために、投票とうひょう者しゃ名簿めいぼや納税のうぜい記録きろくが使つかわれたとの報告ほうこくも挙あげられている。組織そしき的てき大だい虐殺ぎゃくさつの直後ちょくご、モディは州しゅう議会ぎかいを解散かいさんして総そう選挙せんきょ実施じっしを発表はっぴょう。モディはこの虐殺ぎゃくさつ事件じけんにより選挙せんきょに勝利しょうりしたとされている。最高さいこう裁判所さいばんしょは2012年ねん、モディを訴追そついするのに十分じゅうぶんな証拠しょうこがなかったとの結論けつろんに達たっした。被害ひがい者しゃや活動かつどう家か、さらには警察けいさつ幹部かんぶも、モディが治安ちあん部隊ぶたいに介入かいにゅうしないよう要請ようせいしたとしてその責任せきにんを非難ひなんしている。また、2023年ねんにBBCはモディの暴動ぼうどうの関与かんよに関かんする報道ほうどうを行おこなったが、インド政府せいふはTVやYouTubeなどのネットサービス上じょうでBBCの番組ばんぐみを視聴しちょう禁止きんしにする措置そちを行おこなった。

BBCによるドキュメンタリーの上映じょうえい

2023年ねん5月がつ2日にち、BBC制作せいさくのモディのドキュメンタリーがキャンベラの国会こっかい議事堂ぎじどうで上映じょうえいされた。40分間ふんかんのドキュメンタリー上映じょうえい後ご、オーストラリア緑みどりの党とう上院じょういん議員ぎいんジョーダン・スティール・ジョン氏し、デビッド・シューブリッジ、元もとIPS職員しょくいんサンジブ・バット（2002年ねんのグジャラート暴動ぼうどうにおけるモディの役割やくわり疑惑ぎわくに関かんして、当時とうじのグジャラート政府せいふ首相しゅしょうナレンドラ・モディに対たいしてインド最高さいこう裁判所さいばんしょに宣誓せんせい供述きょうじゅつ書しょを提出ていしゅつした警察官けいさつかん。提出ていしゅつした証拠しょうこ資料しりょうは全すべて棄却ききゃくされ、2019年ねん6月がつ20日はつか、グジャラート州しゅうジャムナガル地区ちくのセッションズ裁判所さいばんしょにより、1990年ねんの拘留こうりゅう死亡しぼう事件じけんの当事とうじ者しゃであるして終身しゅうしん刑けいがい渡いわたされた。）の娘むすめアーカシ・バット、南みなみアジア地域ちいき協力きょうりょく連合れんごうのカルパナ・ウィルソン博士はかせらを含ふくむパネルディスカッションが開催かいさいされた。

オーストラリア緑みどりの党とうのジョーダン・スティールジョン上院じょういん議員ぎいんは、アルバニーズ首相しゅしょうがインドの悪化あっかする人権じんけん状況じょうきょうについてモディ首相しゅしょうと会談かいだんしなかったことに懸念けねんを表明ひょうめいした。

「インドでは真実しんじつを話はなすことは犯罪はんざいになる可能かのう性せいがあります。このドキュメンタリーは、インドの人々ひとびとがインド政府せいふとともに経験けいけんしてきたことのほんの一部いちぶです。私わたしは（インド系けいオーストラリア人じんの）ディアスポラの多おおくの人々ひとびとと話はなしましたが、声こえを上あげるのはとても難むずかしいと多おおくの人ひとが言いいます。彼かれらは、「家族かぞくが危険きけんにさらされるのではないか、帰国きこくしたら私わたしも危険きけんにさらされるのではないか」と言いいました。そのため、彼かれらは（オーストラリアの）首相しゅしょうや他たの政治せいじ指導しどう者しゃに、自分じぶんたちのためにその仕事しごとをしてくれるよう期待きたいしている。20年ねん前まえ、オーストラリアは中国ちゅうごくを疑うたがいなく受うけ入いれ、人権じんけん擁護ようごを拒否きょひする過程かていを経へました。私わたしたちがその教訓きょうくんを学まなんでいることを願ねがっています。」

クリケットとの関係かんけい

ナレンドラ・モディ・スタジアム（収容しゅうよう人数にんずうは13万まん2000人にん）

クリケットはインドで圧倒的あっとうてきに一番いちばん人気にんきのスポーツであり、モディとも深ふかい関係かんけいにある。モディは2009年ねんから2014年ねんまで出身しゅっしん州しゅうのグジャラート・クリケット協会きょうかい（GCA）で代表だいひょうを務つとめた。2020年ねんにはアメリカのドナルド・トランプ大統領だいとうりょうが就任しゅうにん後ご初はじめてインドを訪問ほうもんし、モディの出身しゅっしん州しゅうのグジャラート州しゅう最大さいだい都市としアフマダーバードを訪問ほうもんした。同どう市内しないに完成かんせいした世界せかい最大さいだいのクリケット専用せんようスタジアムの「モテラスタジアム」で、トランプと10万まん人にんを超こえる聴衆ちょうしゅうを前まえに演説えんぜつした。同どうスタジアムは2021年ねんにナレンドラ・モディ・スタジアムと名付なづけられた。

関連かんれん項目こうもく

• インド人民じんみん党とう
• ナレンドラ・モディ内ない閣かく
• ヒンドゥー・ナショナリズム
• プラナブ・ムカルジー
• スシュマ・スワラージ
• ナレンドラ・モディ・スタジアム

外部がいぶリンク

• Narendra Damodardas Modi Official Site
• Narendra Damodardas Modi Official Blog
• ナレンドラ・モディ (@narendramodi) - X（旧きゅうTwitter）
• ナレンドラ・モディ (268475866502370) - Facebook

公職こうしょく
先代せんだい マンモハン・シン	インド首相しゅしょう 第だい18代だい：2014年ねん5月がつ26日にち -	次代じだい -