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マラヤーラム文字もじ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
マラヤーラム文字もじ
類型るいけい: アブギダ
言語げんご: マラヤーラム
時期じき: 11~12世紀せいきごろから
おや文字もじ体系たいけい:
姉妹しまい文字もじ体系たいけい: トゥル文字もじ英語えいごばん
シンハラ文字もじ
タミル文字もじ
Unicode範囲はんい: U+0D00-U+0D7F
ISO 15924 コード: Mlym
注意ちゅうい: このページはUnicodeかれた国際こくさい音声おんせい記号きごう (IPA) をふく場合ばあいがあります。
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マラヤーラム文字もじ(マラヤーラムもじ、マラヤーラム: മലയാളലിപി, malayāḷalipi、えい: Malayalam script)は、インド南部なんぶおもケーララしゅうはなされているマラヤーラム筆記ひっきするために使用しようされる文字もじ歴史れきしてきにはグランタ文字もじタミル文字もじおよヴァッテルットゥ文字もじ影響えいきょうくわわって出来でき文字もじである。現行げんこう字母じぼひょうについては、しばしば、17世紀せいきごろ文献ぶんけんによっては16世紀せいき)に活躍かつやくした詩人しじんトゥンチャットゥ・ラーマーヌジャン・エルッタッチャン(തുഞ്ചത്ത് രാമാനുജൻ എഴുത്തച്ഛൻ, Tuñcattŭ Rāmānujan Eḻuttacchan)の功績こうせきにより普及ふきゅうしたとされ、かれ文学ぶんがくじょう業績ぎょうせきたたえる意味いみふくめてマラヤーラムちちばれ、敬愛けいあいされている[1][2]。それ以前いぜんには、一般いっぱんには、マラヤーラム表記ひょうきにはヴァッテルットゥがもちいられた。現在げんざいちかいマラヤーラム文字もじ体系たいけい完成かんせいしたのちでも、ヴァッテルットゥおよびその変種へんしゅは19世紀せいきごろまで完全かんぜんにはすたれなかった。

現在げんざいのアルファベットは、マラヤーラム本来ほんらい音素おんそサンスクリット音素おんそ両方りょうほうについて、グランタ文字もじ基礎きそとしているが、そこにないഴ, റなどはヴァッテルットゥからられた可能かのうせいがある。ヴァッテルットゥの影響えいきょう歴史れきしてき筆記ひっき媒体ばいたい制約せいやくのためか、角張かくばった部分ぶぶんすくない曲線きょくせんてき字形じけいおおい。マラヤーラムはサンスクリットからつよ影響えいきょうけた言語げんごで、結果けっかてきデーヴァナーガリー基本きほん文字もじ対応たいおうするぜん文字もじっている(ただしr̥̄対応たいおうする文字もじなどは現代げんだいでは事実じじつじょう消滅しょうめつ)。そのため文字数もじすうは、言語げんごてき姉妹しまいのはずのタミル文字数もじすうくらべ、かなりおおくなっている。ただしタミル文字もじとく文字数もじすうすくないだけで、マラヤーラム文字もじ異様いようおおわけではない。また文字もじやく半分はんぶんおもにサンスクリットけい雅語がごくときにだけ必要ひつようになるもので、それらの語彙ごいなかには日常にちじょうしているものも若干じゃっかんあるとはいえ、がいして日常にちじょう一般いっぱん常用じょうようされる文字もじ文字もじひょうながめてかんじるほどおおくない。もっとも他方たほうにおいて、基本きほん字母じぼひょうにはないごうすうじゅうしゅ程度ていど伝統でんとうてき正書法せいしょほうではさらに多数たすう常用じょうようされる。

マラヤーラム文字もじアブギダで、ひだりからみぎかれる。子音しいん文字もじはデフォルトでみじかい a の母音ぼいん正確せいかく発音はつおんは [ɐ] だが、以下いか簡略かんりゃくのため /a/しめす)をともない、そのままの状態じょうたいで「子音しいん + a」の音節おんせつあらわす。この場合ばあい母音ぼいん記号きごう必要ひつようない。母音ぼいんみじかい a 以外いがいの「子音しいん + 母音ぼいん」の音節おんせつあらわ場合ばあいは、母音ぼいん記号きごう併用へいようされる。36しゅ子音しいん文字もじと13しゅ現在げんざい使つかわれないものふくめれば16しゅ)の母音ぼいん文字もじ、そのほか若干じゃっかん記号きごう文字もじ体系たいけいふくまれる。

マラヤーラム文字もじはんからだ符号ふごう子音しいん結合けつごうなどが複雑ふくざつからって形成けいせいされるために「わかりにくい文字もじ体系たいけい」とひょうされる[3]。たとえば、 /ka/、 //、 /r/ という文字もじ使つかって /kka/ 、/ṅka/、/kra/ というわせをつく場合ばあい字形じけいはそれぞれ ക്ക, ങ്ക, ക്ര というようになる。

母音ぼいん

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  • 以下いかしめ母音ぼいん記号きごうのうち括弧かっこかこんだ表記ひょうきは1971ねん以前いぜん使用しようされていたきゅう表記ひょうきである。
母音ぼいん独立どくりつがた 対応たいおうする母音ぼいん記号きごう 母音ぼいん記号きごう使用しようれい 転写てんしゃ IPA表記ひょうき
なし a [a](より正確せいかくにはɐ
കാ ā [aː]
ി കി i i
കീ ī [iː]
കു() u u
കൂ ū [uː]
കൃ [rɨ]
◌ ൢ കൢ [lɨ]
കെ e e
കേ ē [eː]
കൈ ai [ai]
കൊ o o
കോ ō [oː]
ൗ(ൌ) കൗ(കൌ) au [au]

子音しいん

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文字もじ 転写てんしゃ IPA表記ひょうき おとめい 備考びこう
ka [ka] 無声むせい軟口蓋なんこうがい破裂はれつおん 日本語にほんごのカ
kha [kʰa] 無声むせいゆう軟口蓋なんこうがい破裂はれつおん 日本語にほんごのカ、いき
ga [ɡa] ゆうごえ軟口蓋なんこうがい破裂はれつおん 日本語にほんごのガ
gha [ɡʱa] ゆうごえゆう軟口蓋なんこうがい破裂はれつおん 日本語にほんごのガ、いき
ṅa [ŋa] 軟口蓋なんこうがい鼻音びおん 鼻濁音びだくおんのガ
ca [tʃa] 無声むせい歯茎はぐきやぶおと 日本語にほんごのチァ
cha [tʃʰa] 無声むせいゆう歯茎はぐきやぶおと チァ、いき
ja [dʒa] ゆうごえ歯茎はぐきやぶおと 日本語にほんごのジャ
jha [dʒʱa] ゆうごえゆう歯茎はぐきやぶおと 日本語にほんごのジャ、いき
ña [ɲa] かた口蓋こうがい鼻音びおん 日本語にほんごのニャ
ṭa [ʈa] 無声むせいそりした破裂はれつおん おく発音はつおんするタ
ṭha [ʈʰa] 無声むせいゆうそりした破裂はれつおん おく発音はつおんするタ、いき
ḍa [ɖa] ゆうごえそりした破裂はれつおん おく発音はつおんするダ
ḍha [ɖʱa] ゆうごえゆうそりした破裂はれつおん おく発音はつおんするダ、いき
ṇa [ɳa] そりした鼻音びおん おく発音はつおんするナ
ta [t̪a] 無声むせい破裂はれつおん うら発音はつおんするタ
tha [t̪ʰa] 無声むせいゆう破裂はれつおん うら発音はつおんするタ、いき
da [d̪a] ゆうこえ破裂はれつおん うら発音はつおんするダ
dha [d̪ʱa] ゆうごえゆう破裂はれつおん うら発音はつおんするダ、いき
na [n̪a] 鼻音びおん うら発音はつおんするナ
pa [pa] 無声むせいりょうくちびる破裂はれつおん 日本語にほんごのパ
pha [pʰa] 無声むせいゆうりょうくちびる破裂はれつおん 日本語にほんごのパ、いき
ba [ba] ゆうごえりょうくちびる破裂はれつおん 日本語にほんごのバ
bha [bʱa] ゆうごえゆうりょうくちびる破裂はれつおん 日本語にほんごのバ、いき
ma [ma] りょうくちびる鼻音びおん 日本語にほんごのマ
ya [ja] かた口蓋こうがい接近せっきんおん 日本語にほんごのヤ
ra [r̪a] ふるえおん  
la [la] 歯茎はぐき側面そくめん接近せっきんおん 英語えいごのla
va [ʋa] くちびる接近せっきんおん  
śa [ɕa] 無声むせい歯茎はぐきかた口蓋こうがい摩擦音まさつおん 日本語にほんごのシャ
ṣa [ʃa] 無声むせい後部こうぶ歯茎はぐき摩擦音まさつおん 英語えいごのsh
sa [sa] 無声むせい歯茎はぐき摩擦音まさつおん 英語えいごのsa
ha [ɦa] ゆう声声こえごえもん摩擦音まさつおん  
ḷa [ɭa] そりした側面そくめん接近せっきんおん おく発音はつおんするla
ḻa [ɻa] そりした接近せっきんおん  
ṟa [ra] 歯茎はぐきふるえおん  

子音しいん結合けつごう

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  • 現行げんこう正書法せいしょほうではヴィラーマもちいて子音しいん結合けつごう表現ひょうげんすることがおおいが、以下いかのように例外れいがいおおふくむ。
    • 子音しいん+(l)は変形へんけいさせ、したがわ配置はいちする。(れい:ക്ല(kla))。
    • 子音しいん+(r)は変形へんけいさせ、左側ひだりがわ配置はいちする。(れい:ക്ര(kra))。きゅう表記ひょうきではのようなせんくわえて表記ひょうきした(れい:)
    • 子音しいん+(y)は変形へんけいさせ、右側みぎがわ配置はいちする(れい:ക്യ(kya))。ただし、連続れんぞくさせるときは例外れいがいてきかたちになる(യ്യ)。
    • 子音しいん+(v)も変形へんけいさせ、右側みぎがわ配置はいちする(れい:ക്വ(kva))。ただし、連続れんぞくさせるときは例外れいがいてきかたちになる(വ്വ)。

数字すうじ

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マラヤーラム数字すうじ ൦
アラビア数字すうじ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

コンピュータ

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Unicode では、以下いか領域りょういきつぎ文字もじ定義ていぎされている。

U+ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
0D00
0D10
0D20
0D30 ി
0D40
0D50
0D60  ൢ  ൣ
0D70 ൿ

キーボード

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Windowsのマラヤーラムキーボードの配列はいれつ以下いかとおり。

赤字あかじ部分ぶぶんは「AltGr(みぎAlt)」をもちいて入力にゅうりょく。[Shift]+[7]のക്ഷは、ക്‌ഷごう。このほか、[Ctrl]+[Shift]+[1]と[Ctrl]+[Shift]+[2]でZWJZWNJ(あるしゅ字形じけい表示ひょうじなどに関係かんけいする制御せいぎょ文字もじ)をそれぞれ入力にゅうりょくできる。[Shift]+[AltGr]によりൠ, ൡ, ഌ入力にゅうりょく可能かのう

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Thunchathu Ezhuthachan”. Information & Public Relations Department, Government of Kerala. 2009ねん10がつ29にち閲覧えつらん
  2. ^ Malayalam Script Details” (PDF). विश्वभारत @ tdil. Department of Information Technology, Government of India (2002ねん4がつ). 2009ねん9がつ24にち閲覧えつらん
  3. ^ 世界せかい文字もじ研究けんきゅうかい へん世界せかい文字もじてん』(普及ふきゅうばん吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2009ねん、271ぺーじISBN 978-4-642-01451-9