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マーティン (楽器がっきメーカー)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
C. F. Martin & Company
業種ぎょうしゅ 弦楽器げんがっき
設立せつりつ 1833ねん (191ねんまえ) (1833) in New York City, New York, United States. In 1839, relocated to current location.
創業そうぎょうしゃ クリスチャン・フレデリック・マーティン
本社ほんしゃ
主要しゅよう人物じんぶつ
クリスチャン・フレデリック・マーティン4せい (CEO)
製品せいひん アコースティックギター
ウクレレ
ギターようつる
ウェブサイト martinguitar.com

マーティン (MartinC.F.Martin & Co., Inc.) しゃは、アメリカギターマンドリンウクレレメーカーアコースティックギターのトップ・ブランドとしてられる。1970年代ねんだい当時とうじ日本にっぽん輸入ゆにゅう代理だいりてんであった東海とうかい楽器がっきのカタログ表記ひょうきでは「マーティン」と表記ひょうきされているが、「マーチン」と表記ひょうきされることもある。

ハンク・ウイリアムスエルヴィス・プレスリージョニー・キャッシュクラレンス・ホワイトポール・サイモンポール・マッカートニーエリック・クラプトンボブ・ディランジョニ・ミッチェルジミー・ペイジクロスビー・スティルス&ナッシュニール・ヤングなど、列挙れっきょにいとまがないほど世界中せかいじゅうのミュージシャンに愛用あいようされてきた。

日本にっぽんでも1950年代ねんだい後半こうはんごろから駐留ちゅうりゅうまいぐん関係かんけいしゃんだ楽器がっき出回でまわはじめ、やがて一部いちぶ楽器がっきてん取扱とりあつかいを開始かいしかまやつひろし同社どうしゃのアコースティックギターD-281960年代ねんだい前半ぜんはんには入手にゅうしゅしていた。1960年代ねんだい中頃なかごろからのフォークブームおおくのフォークシンガーギタリストから愛用あいようされるようになる。スタジオミュージシャンの石川いしかわたか1966ねんせいのD-18を、森山もりやま良子りょうこ1970ねんせいの00-45Sをとも使用しよう
もとガロ堀内ほりうちまもる(MARK)と日高ひだかとみあきら(TOMMY)、ザ・フォーク・クルセダースサディスティックミカバンドとう活躍かつやくした加藤かとう和彦かずひこ石川いしかわたか彦らは、日本にっぽん最初さいしょD-45ったミュージシャンともわれている。

1971ねんから東海とうかい楽器がっき日本にっぽん正規せいき輸入ゆにゅう代理だいりてんとなり1984ねん同社どうしゃ会社かいしゃ更生こうせいほう申請しんせいまで継続けいぞく

1989ねん以降いこう黒澤くろさわ楽器がっきてん正規せいき輸入ゆにゅう代理だいりてんとなり2020ねん現在げんざい輸入ゆにゅう販売はんばい継続けいぞくしている。

概要がいよう

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創業そうぎょう

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Martin D-18 modell, 1979
(Artist : Jahn Teigen)
Foto: Profero 2002

創業そうぎょうしゃドイツじんクリスチャン・フレデリック・マーティン(Christian Frederick Martin:1796ねん-1867ねん)。代々だいだい家具かぐ職人しょくにんいえまれたかれは、15さいとき当時とうじウィーン有名ゆうめいだったギターせい作家さっかヨハン・シュタウファー弟子でしりした。たちまちギター職人しょくにんとして頭角とうかくあらわしたマーティンは、まれ故郷こきょうでギター製作せいさくはじめようとしたが、職人しょくにんギルドとの関係かんけいがこじれて自由じゆう製作せいさく活動かつどうができなかった。

1833ねん、マーティンは、ギター製作せいさくのためにドイツからアメリカへの移住いじゅう決意けついニューヨーク楽器がっきてんひらき、同時どうじにギター製作せいさくはじめた。ニューヨークでの事業じぎょうけっしてらくなものではなく、物々交換ぶつぶつこうかん横行おうこうするなど安定あんていした事業じぎょう展開てんかいのぞむべくもなかった。1838ねんにはペンシルベニアしゅうナザレスに移住いじゅうし、本格ほんかくてきにギター製作せいさく開始かいしした。

スチールつるギターの改良かいりょう

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1867ねん初代しょだいクリスチャン・フレデリックがくなったのち、かれの息子むすこクリスチャン・フレデリックJRが事業じぎょういだ。以降いこうだい資本しほん買収ばいしゅうされることなく創業そうぎょう一族いちぞくによる経営けいえいが2006ねん現在げんざい(クリスチャン・フレデリック・マーティン4せい)までつづいている。

マーティンしゃ伝統でんとうてきなデザインの小型こがたボディーをつギター[1]製作せいさくする一方いっぽうで、アメリカ大衆たいしゅう音楽おんがく変化へんかおうじてギターを発展はってんさせていった。当時とうじだい流行りゅうこうしていたカントリー音楽おんがくバンジョー奏者そうしゃえてはじけるよう、ガットつるわりにバンジョーとおなじスチールつるれるよう自社じしゃのギターを設計せっけい変更へんこうし、1920年代ねんだいから商品しょうひん[2]。また現在げんざいスティールつるアコースティックギター(フラットトップギター)のほぼすべてに使つかわれているXブレーシングによるひょうばん補強ほきょうも、マーティンしゃ発明はつめいわれている[注釈ちゅうしゃく 1]。その00(ダブルオー)、000(トリプルオー)、D(ドレッドノート)と、音量おんりょうおおきくするためにボディサイズをおおきくしたモデルを相次あいついで発表はっぴょう。なかでもドレッドノート[3] タイプはだい大戦たいせん大人気おとなげとなり、現在げんざいのアコースティックギターの基礎きそとなった。 なお、戦前せんぜんに40ほん製造せいぞうされたいわゆる“オリジナルOM-45”や91ほんだけ製造せいぞうされたいわゆる“プリウォーD-45”モデルは、当時とうじのフラッグシップモデルであることにくわおお生産せいさんされなかったため、ヴィンテージギターとしてはきわめて希少きしょう価値かちたかいものである。

経営けいえい盛衰せいすい

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需要じゅようおうじて1900ねんころからマンドリンを、ハワイアンミュージックブーム[注釈ちゅうしゃく 2]1920ねんころからウクレレを量産りょうさん開始かいし[4] したが流行りゅうこう変化へんか販売はんばいりょう低下ていか製造せいぞう中止ちゅうし1929ねんからの世界せかい恐慌きょうこう端緒たんしょとする長引ながび不景気ふけいき1930ねんにはギターを4474ほん製造せいぞうしていたのが1933ねんには2494ほん生産せいさんりょう激減げきげんしてしまい[5]労働ろうどう時間じかんしゅう3にちへの短縮たんしゅく他社たしゃのヴァイオリンの部品ぶひん玩具おもちゃ製造せいぞうとう苦境くきょうった[6][7]

だい世界せかい大戦たいせん、アメリカにおけるカントリーミュージックフォークソングだい流行りゅうこうささえられて順調じゅんちょうにアコースティックギターの生産せいさんりょう増加ぞうかし、1970ねんには22,637ほん[5]製造せいぞうするが音楽おんがく流行りゅうこう変化へんか楽器がっき人気にんきエレクトリックギターうつり、やがてシンセサイザーだい流行りゅうこう。アコースティックギターの生産せいさんりょう急速きゅうそく減少げんしょうし、1981ねんには6,174ほん[5]とどまった。マーティンでも人員じんいん削減さくげん実施じっしされ[8]同業どうぎょうのライバルであるギブソン1894ねん創業そうぎょうから継続けいぞくしてきたアコーティックギターの生産せいさん1984ねん一旦いったん中断ちゅうだんしてしまう[9]

アンプラグド・ブームでさい浮上ふじょう

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1989ねん放送ほうそう開始かいししたMTVのテレビ番組ばんぐみMTVアンプラグドのヒットなどにより、アコースティックギターの人気にんきさい上昇じょうしょう1994ねんには16,473ほん[5]製造せいぞうし、急激きゅうげき業績ぎょうせき回復かいふくした。需要じゅようえるとマーティンしゃあらたに積極せっきょくてき商品しょうひん戦略せんりゃく展開てんかい過去かこには一切いっさい発売はつばいされなかったエリック・クラプトンモデル(000-28EC)などのアーティスト・シグネチャーモデルや戦前せんぜんモデルの仕様しよう復活ふっかつさせたヴィンテージシリーズ(HD-28Vなど)、コレクターきのちょう高級こうきゅうモデル(D-100 Deluxeなど)、希少きしょうざい使用しようした過去かこモデルの復刻ふっこくばん(D-28 Authentic 1937など)などを販売はんばいしている。

近代きんだい商品しょうひんラインナップの拡大かくだい

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創業そうぎょう以来いらい職人しょくにん手作業てさぎょうによる楽器がっき製造せいぞうおこなってたが1990年代ねんだいから機械きかいがすすめられ、部品ぶひん切削せっさくようNCルーター接着せっちゃく保持ほじようのバキュームクランプ、レーザー彫刻ちょうこくなどの自動じどう工作こうさく機械きかい導入どうにゅうし、伝統でんとうてき手作業てさぎょう機械きかい加工かこう作業さぎょう分担ぶんたんして生産せいさん効率こうりつ向上こうじょうする近代きんだいすすめられた[10]。 また、従来じゅうらいマーティンでは製造せいぞうしてなかった初心者しょしんしゃにも入手にゅうしゅしやすい廉価れんかモデル(1シリーズやROADシリーズなど)を開発かいはつ従来じゅうらい本社ほんしゃ工場こうじょうほかにメキシコ工場こうじょう開設かいせつしてはこびしやすい小型こがたモデル(バックパッカーシリーズ)や廉価れんかばんのウクレレとう製造せいぞう開始かいしした。楽器がっきよう木材もくざい僅少きんしょうになるなかでハイプレッシャーラミネートとしょうするしん素材そざい開発かいはつ高級こうきゅうひんのラインナップにもエレクトリックアコースティックギターくわえるなど2020ねん現在げんざい盛業せいぎょうちゅうである。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 19世紀せいきのギターせい作家さっかがXブレーシングのギターを製作せいさくしており、CFマーティンしゃ発明はつめい異説いせつがある。ドイツ時代じだいのクリスチャン・フレデリック・マーティンは師匠ししょうのヨハン・シュタウファーさくはじ既存きそんのギターを模倣もほうして製作せいさくしており、博物館はくぶつかん個人こじん所有しょゆう複数ふくすう現存げんそんする。
  2. ^ アメリカ本土ほんど流行りゅうこうしたハワイアン「ふう」ミュージックのことで、本来ほんらいハワイアンミュージックとはことなる。

出典しゅってん

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  1. ^ ワイ・ジー・ブック編集へんしゅう『Martin Guitar BOOK』34ぺーじ室内しつないしょう人数にんずうのききて対象たいしょう演奏えんそうするよう設計せっけいされており、パーラーサイズとばれる。マーティンではかくサイズを数字すうじ呼称こしょうしたが規格きかくはまちまちで、1854ねんに0(オーとむ)サイズが発売はつばいされてちいさいじゅんに5・4・3・2・1・0とぶシステムに統一とういつした。サイズをあらわ番号ばんごうもしくは記号きごう使用しようする木材もくざい装飾そうしょくあらわすスタイルの番号ばんごうわせて表記ひょうきし、現在げんざいまで使用しようされている(れい・5-18、2-17、0-15、OM-28、000-18、D-45)。
  2. ^ 『Guitar Graphic Vol.5』16ぺーじ。ギターせい作家さっかのラーソンブラザーズが1900ねんごろからスチールつるのフラットトップギターを製作せいさくしており、マーティンがはじめてではない。
  3. ^ まるごといちさつマーティンD-28』4ぺーじ、5ぺーじ当時とうじ英国えいこく巨大きょだい軍艦ぐんかん名前なまえ当時とうじのギターとしては桁外けたはずれだったボディのおおきさから名付なづけられた。大手おおて楽器がっきしょうディッドソンしゃけのOEM生産せいさんひん(ディッドソン111がた)がそのルーツで、ディッドソンしゃ廃業はいぎょう改良かいりょうしたうえ1931ねんマーティンから発売はつばい開始かいし
  4. ^ ヴィンテージ・ギター編集へんしゅう『マーティンD-28という伝説でんせつ』36ぺーじ、38ぺーじ
  5. ^ a b c d まるごといちさつマーティンD-28』133ぺーじ
  6. ^ ヴィンテージ・ギター編集へんしゅう『マーティンD-28という伝説でんせつ』38ぺーじ
  7. ^ ワイ・ジー・ブック編集へんしゅう『Martin Guitar BOOK』53ぺーじ
  8. ^ まるごといちさつマーティンD-28』26ぺーじ
  9. ^ ワイ・ジー・ブック編集へんしゅう『Gibson GUITAR BOOK』57ぺーじ
  10. ^ まるごといちさつマーティンD-28』54ぺーじ-61ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 『Guitar Graphic Vol.5』〈リットー・ミュージックムックだい48ごうリットーミュージック、1996ねん
  • ワイ・ジー・ブック編集へんしゅう『Martin Guitar BOOK』シンコーミュージック、1996ねん
  • ワイ・ジー・ブック編集へんしゅう『Gibson GUITAR BOOK』シンコーミュージック、1997ねん
  • ワイ・ジー・ブック編集へんしゅう『Martin Guitar BOOK2』シンコーミュージック、1998ねん
  • まるごといちさつマーティンD-28』〈Vintage Guitar Vol.1〉出版しゅっぱんしゃ、2000ねん
  • まるごといちさつマーティン000/OM』〈Vintage Guitars Vol.4〉出版しゅっぱんしゃ、2001ねん
  • ヴィンテージ・ギター編集へんしゅう『マーティンD-28という伝説でんせつ』〈枻文025〉出版しゅっぱんしゃ、2003ねん
  • トニー・ベーコン『世界せかい一番いちばんうつくしいアメリカン・ギターだい名鑑めいかん ヴィジュアルでたどるヴィンテージ・ギターの歴史れきし』(DU BOOKS、2013ねんISBN 978-4-92506-472-9

外部がいぶリンク

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