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マーヴィン・ゲイ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
マーヴィン・ゲイ
1973年ねん撮影さつえい
基本きほん情報じょうほう
出生しゅっしょう名めい マーヴィン・ペンツ・ゲイ・ジュニア
Marvin Pentz Gay Jr.
生誕せいたん
死没しぼつ
ジャンル
R&B[1]
職業しょくぎょう
担当たんとう楽器がっき
活動かつどう期間きかん 1958年ねん - 1984年ねん
レーベル
共同きょうどう作業さぎょう者しゃ

マーヴィン・ペンツ・ゲイ・ジュニア（Marvin Pentz Gay Jr.、1939年ねん4月がつ2日にち - 1984年ねん4月がつ1日にち）,職業しょくぎょう的てきにはマーヴィン・ゲイ (Marvin Gaye) として知しられている, は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのミュージシャン、作曲さっきょく家か。

2010年ねん発表はっぴょうの「ローリング・ストーンの選えらんだ歴史れきし上じょう最もっとも偉大いだいな100組くみのアーティスト」において第だい18位い[2]。

経歴けいれき

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首都しゅとワシントンD.C.にて、ペンテコステ派はの説教せっきょう師しであった父ちちマーヴィン・シニアと母ははアルバータ（旧姓きゅうせいクーパー）のもとに生うまれる。出生しゅっしょう名めいはマーヴィン・ペンツ・ゲイ・ジュニア（Marvin Pentz Gay, Jr.）。地元じもとの教会きょうかいで聖歌せいか隊たいに参加さんかしたことがシンガーとしての第一歩だいいっぽである。歌うたと同時どうじにピアノやドラムといった、いくつかの楽器がっきの演奏えんそう技術ぎじゅつも習得しゅうとくし、音楽おんがくの下地したじを養やしなった。しかし、音楽おんがくに没頭ぼっとうするきっかけは、厳格げんかくな父ちちによる躾しつけの範囲はんいを越こえた精神せいしん的てき虐待ぎゃくたいであった。これが後こうの彼かれの人生じんせいにトラウマとして遺のこることとなった。

学業がくぎょうを終おえ、空軍くうぐんに入隊にゅうたい・除隊じょたいした後のちにドゥーワップ・コーラスグループ「マーキーズ」の一員いちいんとして活動かつどうを開始かいしする。いくつかのグループを渡わたり歩あるくうちに実力じつりょくをつけた彼かれは、公演こうえん先さきのデトロイトでモータウンレコードの社長しゃちょうであるベリー・ゴーディ・ジュニアにその才能さいのうを見出みいだされ、同どうレーベルでソロシンガーとしてのキャリアを踏ふみ出だすこととなる。このプロデビューの頃ころ、姓せいの表記ひょうきを「Gay」から「Gaye」に変更へんこうした。

モータウンに雇やとわれた当初とうしょはドラマーとしても活動かつどうしており、同どうレーベルの優すぐれたスタジオ・ミュージシャンとの親交しんこうを深ふかめた。この経験けいけんはミュージシャンを効果こうか的てきに起用きようすることで、その技術ぎじゅつを最大限さいだいげんに引ひき出だす手法しゅほうとして生いかされていくこととなる。特とくにベーシストであるジェームス・ジェマーソンは彼かれの作品さくひんに大おおきな貢献こうけんを果はたし、数々かずかずの作品さくひんを生うみ出だすこととなる。やがて、ソロシンガーとしていくつかの作品さくひんを出だすうちに、少すこしずつシングルの売上うりあげも伸のび始はじめ、また、社長しゃちょうの実みの姉あねであるアンナと結婚けっこんしたことも弾はずみとなってか「悲かなしいうわさ[3]」、「キャン・アイ・ゲット・ア・ウィットネス」、「プライド・アンド・ジョイ」「ハウ・スウィート・イット・イズ」「アイル・ビー・ドゴーン」などのヒット曲きょくを生うみ出だした。ナット・キング・コールの洗練せんれんとゴスペルの影響えいきょうを受うけたサム・クックやジャッキー・ウィルソンの力強ちからづよさを兼かねそろえた彼かれの資質ししつは、モータウン所属しょぞくの歌手かしゅの中なかでも、高たかい人気にんきを得えることとなった。

特とくに1960年ねん代だいの中期ちゅうきで彼かれの人気にんきを決定けってい付つけたのは、同どうレーベル所属しょぞく歌手かしゅのタミー・テレルとのデュエットである。息いきの合あった二人ふたりのデュエットは高たかい人気にんきを誇ほこり、「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」や「エイント・ナッシング・ライク・ザ・リアル・シング」「ユア・プレシャス・ラヴ」などの曲きょくを数多かずおおく世よに送おくり出だした。また、69年ねんにはソロとして「悲かなしいうわさ」の大だいヒットを放はなった。

しかし、1970年ねんにテレルが脳腫瘍のうしゅようにより24歳さいで夭折ようせつしたことがきっかけで、一時期いちじき音楽おんがく活動かつどうを休止きゅうししてしまう。パートナーであった彼女かのじょの不在ふざいと共ともに、刻々こくこくと変化へんかする時代じだいに対たいする自分じぶんの音楽おんがく性せいに疑問ぎもんを持もち始はじめたことも大おおきな要因よういんであった。やがて、ベトナム戦争せんそうから復員ふくいんしてきた弟おとうとフランキーと再会さいかいしたことをきっかけに、また新あらたな音楽おんがく性せいを示しめすこととなる。

1971年ねん1月がつ、シングル「ホワッツ・ゴーイン・オン」[4]を発表はっぴょう。この曲きょくの成功せいこうを受うけて、同年どうねん5月がつに同名どうめいのアルバム『ホワッツ・ゴーイン・オン』を発表はっぴょうする。華麗かれいで美うつくしい楽曲がっきょくと隙すきのない緻密ちみつなアレンジによる音楽おんがく性せいは絶賛ぜっさんを受うけ、シングル・カットされた「マーシー・マーシー・ミー」[注ちゅう 1]もヒットを記録きろくする。アルバムには他たに「インナー・シティ・ブルース」[注ちゅう 2]が収録しゅうろくされていた。音楽おんがく以上いじょうに人々ひとびとに衝撃しょうげきを与あたえたのは、このアルバムがベトナム戦争せんそうや公害こうがい、貧困ひんこんといった社会しゃかい問題もんだいを取とり上あげた歌詞かしと、それに対たいする苦悩くのうを赤裸々せきららに表現ひょうげんしたマーヴィンの歌唱かしょうであった。当時とうじ、シングル盤ばんが中心ちゅうしんであった黒人こくじん音楽おんがくの世界せかいに、一ひとつのテーマ、特とくに社会しゃかい情勢じょうせいなどを元もとにしたコンセプト・アルバムを制作せいさくすることは画期的かっきてきなことだった。またこのアルバムの内容ないようについてモータウンは消極しょうきょく的てきな態度たいどだったが、マーヴィン自身じしんがセルフ・プロデュースという制作せいさく体制たいせいで望のぞんだことも注目ちゅうもくを集あつめた。自分じぶんの感かんじたままのことを干渉かんしょうされずに作品さくひんにまとめ上あげるというセルフ・プロデュースの姿勢しせいは、同どう世代せだいに活躍かつやくした黒人こくじんミュージシャンに大おおきな影響えいきょうを与あたえた。マーヴィンの行動こうどうに触発しょくはつされたダニー・ハサウェイやスティーヴィー・ワンダー、カーティス・メイフィールドなどのアーティストが、より自分じぶんの才能さいのうで個人こじん的てき世界せかいを音楽おんがくに反映はんえいし、意欲いよく的てきで充実じゅうじつした作品さくひんを生うみ出だすことになった。彼かれらの音楽おんがくは「ニュー・ソウル」と呼よばれた。また、ニュー・ソウルは80年代ねんだいのアレクサンダー・オニールら次世代じせだいの黒人こくじんアーティストにも受うけ継つがれていった。

マーヴィンは、より私小説ししょうせつ的てきな内容ないようの作品さくひんを数多かずおおく生うみ出だしていく。72年ねんには同名どうめい映画えいがのサウンドトラック『トラブル・マン』を発表はっぴょう。恋人こいびとへの愛情あいじょうと性せいへの欲求よっきゅうを表現ひょうげんした『レッツ・ゲット・イット・オン』(1973）、孤独こどくと愛あいへの欲求よっきゅうを表あらわした『アイ・ウォント・ユー』（1976）などの充実じゅうじつしたアルバムが制作せいさく・発表はっぴょうされた。だが、やがて先妻せんさいとの泥沼どろぬまの離婚りこん調停ちょうていや二に度目どめの結婚けっこん生活せいかつの破綻はたん、自身じしんの薬物やくぶつ依存いぞんなどが原因げんいんで、70年代ねんだい後半こうはんは公私こうし共どもに低迷ていめいしていった。それでも77年ねんにはディスコ風ふうの「黒くろい夜よる」（Got to Give It Up）がビルボードのチャートの1位いになった。その翌年よくねんに発表はっぴょうしたアルバム『離婚りこん伝説でんせつ』（ Here, My Dear）は離婚りこんの顛末てんまつを赤裸々せきららに吐露とろしたアルバムだった。ライターのマーク・ラパポートはこのアルバムを10年ねん以上いじょう聴きき続つづけたという。

復活ふっかつと死し

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一いち度どは破産はさんなどのどん底ぞこの状態じょうたいにあったマーヴィンではあったが、彼かれの才能さいのうを惜おしむ後援こうえん者しゃが積極せっきょく的てきに援助えんじょに回まわってくれたことがきっかけとなり、途切とぎれがちだった音楽おんがく活動かつどうも徐々じょじょに復調ふくちょうし始はじめた。1980年ねんのモントルーでのライヴを皮切かわきりに、1982年ねんには移籍いせきしたCBSコロムビアより『ミッドナイト・ラヴ』をリリースする。ドイツのミュンヘンにてレコーディングがおこなわれ、シンセサイザーを使用しようした本ほん作さくは発表はっぴょうと同時どうじに評判ひょうばんを呼よび、シングルカットされた「セクシャル・ヒーリング」も全米ぜんべいシングルチャートの3位いを記録きろくするヒットとなった。翌よく1983年ねんには、マイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダーらを抑おさえ、グラミー賞しょうを受賞じゅしょうするなど健在けんざい振ふりを見みせつけた。しかし、彼かれのキャリアで最大さいだいの成功せいこうを収おさめた本ほん作さくが遺作いさくとなった。

1984年ねん4月がつ1日にちの12時半じはん頃ごろ、自宅じたくで両親りょうしんの喧嘩けんかを仲裁ちゅうさいした際さいに父ちちマーヴィン・シニアと口論こうろんになり、激昂げっこうした父ちちが拳銃けんじゅうを発砲はっぽう、至近しきん距離きょりから放はなたれた2発はつの弾たまがそれぞれ胸部きょうぶと肩かたに命中めいちゅうし、病院びょういんに運はこばれる前まえに死亡しぼうした。その日ひはマーヴィンの45回かい目めの誕生たんじょう日びの前日ぜんじつだった。また、父ちちが使用しようした拳銃けんじゅうは生前せいぜんに息子むすこからプレゼントされたものであった。4月がつ5日にちには自宅じたく前まえでマーヴィンの告別こくべつ式しきが行おこなわれ、モータウン時代じだいの盟友めいゆうを含ふくめ1万まん人にん以上いじょうの人々ひとびとが参列さんれつした。その後ご、父ちちマーヴィン・シニアは裁判さいばんで故殺こさつ（w:Voluntary manslaughter）の認定にんていを受うけ、判決はんけつで6年ねんの執行しっこう猶予ゆうよと5年ねんの保護ほご観察かんさつをい渡いわたされ、1998年ねんに肺炎はいえんで死去しきょした。

評価ひょうか

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現在げんざいでも彼かれの作品さくひんに対たいする評価ひょうかは高たかく、「アイ・ウォント・ユー」(1976)などは私生活しせいかつの混乱こんらんやレコード会社かいしゃよりアルバム制作せいさくのノルマを課かせられていたことにより、リオン・ウェアが発表はっぴょうする予定よていであった楽曲がっきょくをそのまま譲ゆずり受うけたものであるが、その独特どくとくのコーラス・ワークなどは彼かれのオリジナリティと創造そうぞう性せいが十じゅう二に分ふんに発揮はっきされている。

そして、2015年ねんにはチャーリー・プースがメーガン・トレイナーをフィーチャーして「Marvin Gaye」の名なをタイトルに刻きざんだ曲きょくを発表はっぴょうした。

映画えいが『マトリックス』シリーズなどに出演しゅつえんした歌手かしゅ・女優じょゆうのノーナ・ゲイは娘むすめである。

ディスコグラフィ

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「マーヴィン・ゲイの作品さくひん」も参照さんしょう

代表だいひょう曲きょく

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書籍しょせき

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  • 『マーヴィン・ゲイが聴きこえる / Inner City Blues 』(著ちょ) 紺野こんの 慧とし Toshi Konno : ヤマハミュージックメディア
  • 『マーヴィン・ゲイ物語ものがたり 引ひき裂さかれたソウル』 デイヴィッド・リッツ (著ちょ)、吉岡よしおか正晴まさはる (翻訳ほんやく) ISBN 4860203186
  • 『ハーヴィー・フークワ　もうひとつのマーヴィン・ゲイ物語ものがたり（ソウルサーチン R&Bの心しんを求もとめて　Vol.2 [電子でんし書籍しょせき版ばん]）』 吉岡よしおか正晴まさはる (著ちょ)

脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 環境かんきょう問題もんだいについて歌うたった楽曲がっきょくである。
  2. ^ 黒人こくじん街がい、ゲットー、スラムの貧困ひんこんを取とり上あげた曲きょく。

出典しゅってん

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  1. ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Marvin Gaye Biography, Songs & Albums”. AllMusic. All Media Network. 2021年ねん12月16日にち閲覧えつらん。
  2. ^ 100 Greatest Artists（Rolling Stone）
  3. ^ http://www.songfacts.com/detail.php?id=644
  4. ^ http://www.allmusic.com/song/whats-going-on-mt0030380519

関連かんれん人物じんぶつ

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関連かんれん項目こうもく

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  • ソウル・ミュージック
  • The DAY（DEENのアルバム）- 収録しゅうろく曲きょくの「君きみのいないholiday」の歌詞かしにマーヴィン・ゲイが登場とうじょうする。

外部がいぶリンク

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