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ヤブイヌ

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ヤブイヌ
ヤブイヌ
ヤブイヌ Speothos venaticus
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1][2][3]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょI
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 哺乳ほにゅうつな Mammalia
: 食肉しょくにく Carnivora
: イヌ Canidae
ぞく : ヤブイヌぞく
Speothos Lund, 1839[4]
たね : ヤブイヌ S. venaticus
学名がくめい
Speothos venaticus (Lund, 1842)[4][5]
シノニム

Cynogale venatica Lund, 1842[4]

和名わみょう
ヤブイヌ[5][6]
英名えいめい
Bush dog[4][5][6][7]

分布域

ヤブイヌSpeothos venaticus)は、哺乳ほにゅうつな食肉しょくにくイヌヤブイヌぞく分類ぶんるいされる食肉しょくにくるい現生げんなましゅではほんしゅのみでヤブイヌぞく構成こうせいする[4]別名べつめいブッシュドッグ[5]

分布ぶんぷ

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アルゼンチン北東ほくとうコロンビアガイアナスリナムパナマ東部とうぶパラグアイブラジルふつりょうギアナベネズエラペルー東部とうぶボリビア東部とうぶ[5][6]

形態けいたい

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体長たいちょうは57 - 75センチメートル[5][6]尾長おながは11 - 15センチメートル[6]かただかは30センチメートル[5][6]体重たいじゅうは4 - 7キログラム[4]体型たいけい頑丈がんじょう[7][5]鼻面はなづらみじかく、幅広はばひろ[5][6]全身ぜんしんみじか体毛たいもうあらおおわれる[5][6]からだしょくくら褐色かっしょく[5][6]頭部とうぶや頸部は褐色かっしょくはらめん四肢ししくろ[5][6]

みみかい小型こがたで、まるみをびる[4][5][7][6]れつ門歯もんし上下じょうげ6ほん犬歯けんし上下じょうげ2ほんしょう臼歯きゅうし上下じょうげ8ほんだい臼歯きゅうし上顎じょうがく2ほんしもあご4ほんけい38ほん[4][5][7]盲腸もうちょうじれない[5]四肢ししみじか[4][7]やぶなか移動いどうしたりおよいだりするのにてきしているとかんがえられている[5]ゆびあいだにはみずかきがあり[4][6]ゆび趾のにくだまつながる[5]

乳頭にゅうとうかずは8[4][5]

分類ぶんるい

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ヤブイヌぞく化石かせきしゅ Speothos pacivorus のみから構成こうせいされるぞくとして1839ねん記載きさいされたが、のち現生げんなまするほんしゅ発見はっけんされた[4]ぞくめいSpeothos は「洞窟どうくつのオオカミ」のだが、化石かせきしき標本ひょうほん由来ゆらいするため、現生げんなまするほんしゅ洞窟どうくつには生息せいそくしない[4]

現生げんなまのイヌではもっと原始げんしてきしゅかんがえられていた[5][6]形態けいたいからコミミイヌぞくきんえんとするせつもあった[4][5]ミトコンドリアDNAシトクロムbシトクロムcオキシダーゼのサブユニットIおよびサブユニットIIの分子ぶんし解析かいせきでは、現生げんなましゅではタテガミオオカミぞくたん系統けいとうぐん形成けいせいすると推定すいていされている[4]

以下いか亜種あしゅ分類ぶんるい分布ぶんぷは、Beisiegel & Zuercher (2005) にしたが[4]

Speothos venaticus venaticus (Lund, 1842)
エクアドル東部とうぶ、ガイアナ、パラグアイ北部ほくぶ、ブラジル中部ちゅうぶ、ベネズエラ南部なんぶ、ペルー北東ほくとう、ボリビア東部とうぶ
Speothos venaticus panamensis (Goldman, 1912)
みなみアメリカ大陸あめりかたいりく北西ほくせいかたぎしき産地さんちはパナマ。
Speothos venaticus wingei Ihering, 1911
ブラジル南東なんとうかたぎしき産地さんちサンタカタリーナしゅう(ブラジル)。

生態せいたい

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川辺かわべりんはやしゆかり湿度しつどたかいサバンナなどに生息せいそくし、水辺みずべこの[4]昼間ひるま夜間やかん活動かつどうする[4]一方いっぽう狩猟しゅりょうあつつよ地域ちいきでは夜間やかん活動かつどうする[6]。ペアもしくはそのようじゅうから構成こうせいされる小規模しょうきぼれを形成けいせいし、生活せいかつする[6]頻繁ひんぱんごえわしあい、見通みとおしのわる下生したばえのなかでも連絡れんらくうことでれを維持いじしているとかんがえられている[5][7]逆立さかだちして(メスは後肢あとあしなどにてかける)放尿ほうにょうし、くさいつけ(マーキング)をおこな[5][7][6]。メスのほうがマーキングの頻度ひんどたかくペアを形成けいせいしたときにとく回数かいすう増加ぞうかすることから、マーキングがペアの形成けいせい維持いじ役立やくだっているとかんがえられている[5]。アルマジロやアリクイの古巣ふるす根元ねもといわ隙間すきまなどをあなにする[4]水中すいちゅうおよぐことやくぐることができる[4][5][7][6]

アグーチぞくDasyproctaカピバラ・パカるいなどのかじるいアルマジロクビワペッカリーアメリカバクマザマぞくMazamaなどの哺乳類ほにゅうるいレアシギダチョウなどの鳥類ちょうるいなどをべる[4]くそ内容ないようぶつ調査ちょうさでは上記じょうきかじるいくわえ、パラグアイではヘビやCecropiaぞく種子しゅしなどが、ペルーではアカハナグマ体毛たいもう検出けんしゅつされた報告ほうこくれいもある[4]れでりをおこな[7][6]たね小名しょうみょうvenaticus は「狩人かりゅうど猟師りょうし」の[4]飼育しいくではオポッサムぞく、ココノオビアルマジロ、モリウサギるいべたれいもある[4]

繁殖はんしょく様式ようしき胎生たいせい。メスのちつないでオスの陰茎いんけい基部きぶ膨張ぼうちょうして射精しゃせいするまでけなくなり、しりわせの姿勢しせい交尾こうび結合けつごう、タイ)になって交尾こうびすることがない[5]妊娠にんしん期間きかんは65 - 83にち[4]根元ねもとほら倒木とうぼくしたなどで1かいに1 - 6とうおもに3 - 5とう)を[6]授乳期じゅにゅうきあいだは4 - 5かげつ[6]。オスも子育こそだてに参加さんかし、授乳じゅにゅうちゅうのメスに食物しょくもつ運搬うんぱんする[7][6]ようじゅう生後せいご14 - 19にち開眼かいがんする[4]生後せいご38 - 71にちかた食物しょくもつべることができるようになる[6]飼育しいくでは生後せいご10かげつせい成熟せいじゅくしたれいがある[6]飼育しいくでの寿命じゅみょうは13ねん4かげつれいがある[6]

人間にんげんとの関係かんけい

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農地のうち開発かいはつ・プランテーションや牧草ぼくそうへの転換てんかんなどによる生息せいそく破壊はかい密猟みつりょうイヌによる捕食ほしょくによる獲物えもの減少げんしょう、イヌからの感染かんせんしょう伝播でんぱなどにより、生息せいそくすう減少げんしょうしている[3]。ブラジルやペルーでは、法的ほうてき保護ほご対象たいしょうとされている[6]1977ねんに、ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょIに掲載けいさいされている[2]

高知こうち県立けんりつのいち動物どうぶつ公園こうえんによれば飼育しいくでの繁殖はんしょくむずかしく、国内こくないのヤブイヌは2012ねんに29とうだったのが2020ねんには15とう減少げんしょうしたという[8]

画像がぞう

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脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ I, II and III (valid from 28 August 2020) (PDF, 1.5 MiB) <https://cites.org/eng> 2021ねん1がつ8にち閲覧えつらん
  2. ^ a b UNEP (2021). Speothos venaticus. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. 2021ねん1がつ8にち閲覧えつらん
  3. ^ a b DeMatteo, K., Michalski , F. & Leite-Pitman, M.R.P. 2011. Speothos venaticus. The IUCN Red List of Threatened Species 2011: e.T20468A9203243. doi:10.2305/IUCN.UK.2011-2.RLTS.T20468A9203243.en. Downloaded on 08 January 2021.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z Beatriz de Mello Beisiegel and Gerald L. Zuercher, "Speothos venaticus," Mammalian Species, No. 783, American Society of Mammalogists, 2005, Pages 1 - 6.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 増井ますい光子みつこ 「イヌ分類ぶんるい」『世界せかい動物どうぶつ 分類ぶんるい飼育しいく2 (食肉しょくにく)』今泉いまいずみよしのり監修かんしゅう東京とうきょう動物どうぶつえん協会きょうかい、1991ねん、124 - 149ぺーじ
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 小原おはら秀雄ひでお 「ヤブイヌ」『動物どうぶつ世界せかい遺産いさん レッド・データ・アニマルズ2 アマゾン』小原おはら秀雄ひでおうらほん昌紀まさき太田おおた英利ひでとし松井まつい正文まさふみ編著へんちょ講談社こうだんしゃ、2001ねん、123ぺーじ
  7. ^ a b c d e f g h i j David W. Macdonald「そののイヌ動物どうぶつ山本やまもと伊津子いつこやく動物どうぶつだい百科ひゃっか 1 しょく肉類にくるい今泉いまいずみよしのり監修かんしゅう D.W.マクドナルドへん平凡社へいぼんしゃ、1986ねん、96 - 97ぺーじ
  8. ^ 今林いまばやしひろし (2022ねん8がつ17にち). “「もっと原始げんしてきなイヌ」お見合みあだい作戦さくせん つづけるヤブイヌ、繁殖はんしょくいどむ”. 朝日新聞あさひしんぶんデジタル (朝日新聞社あさひしんぶんしゃ). https://www.asahi.com/articles/ASQ8J6RP4Q83PTLC015.html 2022ねん8がつ17にち閲覧えつらん 

外部がいぶリンク

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  • ウィキメディア・コモンズには、Speothos venaticus (カテゴリ)にかんするメディアがあります。
  • ウィキスピーシーズには、ヤブイヌかんする情報じょうほうがあります。