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ローファー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ペニーローファー

ローファーえい: penny loafers)は、革靴かわぐつ一種いっしゅ別名べつめいノーウィージャン・フィッシャーマンズ・シューズくつひもをむす必要ひつようのないくつスリッポン英語えいごばん、slip-on)の一種いっしゅ

概要がいよう

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くつひもをむす必要ひつようのないくつ(スリッポン、slip-on)で、気楽きらくいだりいたりできる。おもかわつくられることがおおい。ひもがなくかわ弾力だんりょく利用りようしてあしにフィットさせる構造こうぞうから、一般いっぱんてきにはちいさめのサイズをえらんでらし、厚手あつで靴下くつしたわせてフィットするサイズをえらひと多数たすうである。

ローファーはアメリカで男性だんせいようくつとして進歩しんぽした歴史れきしがあり、アメリカントラッドの定番ていばんであるが、現在げんざいはイギリス、フランス、イタリア各国かっこく独自どくじ魅力みりょくったローファーが作成さくせいされている。また、くろちゃカーフコードバン定番ていばんとされているが、リザードやオーストリッチなどエキゾチックレザーを使用しようしてドレッシーなデザイン、またグローブレザーやオイルドレザーなどを使用しようしてワーク・アウトドアなデザインなど様々さまざまである。また、きやすさとたかいデザインせいのため、男性だんせいだけではなく女性じょせいにもあいされている。

歴史れきし

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最初さいしょのローファーは1926ねんロンドンのオーダーメードシューズてんとして名高なだかいワイルドスミス(Wildsmith)において王室おうしつ上流じょうりゅう階級かいきゅうへカントリー調ちょう室内しつないくつとして作成さくせいされた(異説いせつあり。ちゅう参照さんしょう[1]。ワイルドスミスのくつ職人しょくにんRaymond Lewis Wildsmith(初代しょだいWildsmith夫妻ふさいまご)はジョージ4せい狩猟しゅりょうちゅう休憩きゅうけい使用しようする室内しつないくつとしてカジュアルなスリッポンを作成さくせいした。その、このくついくつかのモデルチェンジをおこない、最終さいしゅうてきに「ワイルドスミスローファー(Wildsmith Loafer) 」とばれるようになった。その、ロンドンのべつくつてんでも同様どうようくつが「ハローウ(Harrow)」とばれあつかわれていた[2]

もうひとつのルーツとして、ノルウェーくつ職人しょくにんNils Gregoriusson Tveranger(1874~1953)がこのデザインのくつ作成さくせいしている。Tveranger は13さいきたアメリカをおとずれ、そこでアメリカのくつづくりの手法しゅほうまなんだ。その、20さいにノルウェーに帰国きこくし、1930ねんころに「Aurland moccasin」とばれるくつ作成さくせいした。(のちに「Aurland shoe」とばれる。) そのくつはアメリカ先住民せんじゅうみんモカシンくつよりむしろ、ノルウェーオーランド地方ちほう伝統でんとうてきなモカシンふうくつをベースにつくられていた[3]

このくつはヨーロッパちゅう輸出ゆしゅつされ、当時とうじのヨーロッパ に滞在たいざいしていたアメリカじんにも注目ちゅうもくされた。当時とうじのアメリカの男性だんせいファッションEsquireではノルウェーの農夫のうふ搾乳さくにゅうじょうまえうし待機たいき場所ばしょ(loafing area)での作業さぎょうくつとして紹介しょうかいされた。その1930ねん初頭しょとうにアメリカニューハンプシャーしゅうかわ工場こうじょうスポルティング(Spaulding family)がこのくつをベースにデザインされたくつをローファー (Loafer)とづけ販売はんばいした[よう出典しゅってん]動詞どうし「loaf」(なまける、浮浪ふろうする)の語源ごげんについて、えいえい辞典じてんでは「くつのローファー(lofer)を語源ごげんとしてつくられたものではないか」と説明せつめいする[4]が、一方いっぽううし待機たいきじょう 「loaf」に由来ゆらいするというせつもある[5][6][よう検証けんしょう]

その1934ねん(BASSしゃ公式こうしきHPでは、1936ねんアメリカ・メインしゅうくつジョン・R・バス(John R. Bass[7])が、ノルウェーのスリッパータイプのモカシンをもとに「ウィージャンズ(Weejuns)(ノーウェイジャンズ=ノルウェーじんからとった)」とづけたローファーを作成さくせいし、だい流行りゅうこうした。Weejunsはサドル部分ぶぶんにダイアモンドのみをつ、最初さいしょペニーローファー/ コインローファーである。 ペニーローファーには諸説しょせつあり、ひとつは1950年代ねんだいのアメリカの学生がくせい1セント硬貨こうかペニー)をWeejunsのみにみ、ファッションの主張しゅちょうとしてれたことがはじまりというせつ、また1930ねんだいには2セントで電話でんわがかけられたため、緊急きんきゅうようにそれぞれのくつのスリットにしのばせたというせつがある[8]

当初とうしょローファーはアメリカではなつ室内しつないくつとして使用しようされていたが、その急速きゅうそく浸透しんとうし、アメリカ男性だんせいのワードローブにおいて、とくにアイビー・ルック重要じゅうようなアイテムとして認識にんしきされるようになっていった。

オールデンタッセルローファー

ローファーのもうひとつのスタイルとして、タッセルローファーげられる。タッセルローファーは1948ねんAlden Shoe Company[9] により作成さくせいされた。起源きげんハリウッド俳優はいゆうPaul Lukas[10]イギリスれたくつひもぼうかざり(タッセル)がついたくつをよりシンプルなデザインにできないかと、アメリカ帰国きこくニューヨークロサンジェルスべつくつメーカーにそれぞれのくつあづ依頼いらいした。しかし、いずれのメーカーもAldenくつ作成さくせい依頼いらいしたため、Aldenがタッセルローファー(くつひもはいし、ぼうかざりをもつスリップオン)をはじめて作成さくせいし、Paul Lukasはタッセルローファーのはじめての所有しょゆうしゃとなった[11]。このタッセルローファーは1950年代ねんだいのアメリカ東海岸ひがしかいがんで、学生がくせい時代じだいをローファーでごしたビジネスマンや弁護士べんごしが、ひもくつのようにフォーマルで、ローファーのように軽快けいかいであるタッセルローファーを愛用あいようした。そのため、弁護士べんごしくつばれることもある。

1950年代ねんだいから1960年代ねんだいにかけて、アメリカではヨーロッパの影響えいきょうからローファーがカジュアルなくつからスーツにわせるようなより洗練せんれんされたデザインになっていった。(ただし、フォーマルなスーツにローファーをわせるのはアメリカのみである。) 1966ねんにイタリアの服飾ふくしょくブランドGucci金属きんぞくしょううまのハミの一種いっしゅ)をサドル部分ぶぶんにデザインしたローファーを発売はつばいした。ビットローファーばれるこのデザインのローファーは、スーツスタイルでもカジュアルスタイルでも利用りようできることから1970ねんだいから1980ねんだいにかけてアメリカのビジネスマンにあいされ、ウォールストリートのユニフォームとばれるほどであった。

日本にっぽんでは1960ねんだい流行りゅうこうしたアイビースタイルの定番ていばんくつとしてローファーが愛用あいようされ、そのもトラディショナルなファッションとして定着ていちゃくした。また日本にっぽんでは日常にちじょう生活せいかつくついだりいたりするシーンがおおく、きが容易よういなローファーがビジネスマンにもあいされている。また、日本にっぽんではアイビーを基本きほんとするブレザースタイルの学生がくせいふくではくつにはローファーをわせる場合ばあいおおいため、学生がくせいようくつとしてもひろ認知にんちされると同時どうじに、女子じょし校生こうせいくつとしての認知にんちたかい。

ローファーの種類しゅるい

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ハーフサドルでビーフロールがあるペニーローファー
ペニー・ローファー(コイン・ローファー)
かぶと部分ぶぶん1セント硬貨こうかであるペニー(penny)をはさんだりすることから、「ペニー・ローファー」「コイン・ローファー」とうばれることもある。「アイビールック」の典型てんけいてきアイテム。サドルがみじかいのを「ハーフサドル」、ながいのを「フルサドル」とう。
ビーフロール・ローファー
ペニー・ローファーのサドルのベルトをモカシンみの部分ぶぶんおおきくきつけてげたデザインを「ビーフロール」とび、このデザインをつペニー・ローファーを「ビーフロール・ローファー」と場合ばあいがある。また、かかとに「スキー・モック」とばれるステッチがはいっているものがおおい。これらステッチはローファーの強度きょうどすためであり、アメリカメインしゅうSebago-Mocしゃ最初さいしょれたとわれている。日本にっぽん一般いっぱんてきられているローファーはこのタイプであり、リーガルしゃハルタしゃ有名ゆうめいである。
タッセルとブローグがあるローファー
タッセル・ローファー(tasseled loafer)
ぼうがついたくつでアメリカでは弁護士べんごし象徴しょうちょうとされている。現在げんざいのスタイルのタッセル・ローファーはAldenしゃ作成さくせいした。
キルトローファー
サドルがキルトでできたローファー。ペニーローファーとわせたものもおおい。通常つうじょうのサドルとサドルがベルトになったものが存在そんざいする。わせたものはコインキルトローファーとぶ。
ビット・ローファー
馬具ばぐかたちをもした金具かなぐいているものは「ビット・ローファー」とぶ。このデザインはイタリアのグッチが最初さいしょれた。
ヴァンプ・ローファー(コヴラ・ヴァンプ)
かざりのないローファーは「ヴァンプ・ローファー」とぶ。かぶとにうねりがあるものは「コヴラ・ヴァンプ」とぶ。通常つうじょうのペニーローファーよりサドルにベルトがないぶんシンプルだが、うねりのある大胆だいたんなモカシンいがされているくつおおく、よりワイルドな印象いんしょうあたえる。アイビー・ルックもちいられ、アメリカシカゴフローシャイムしゃせいとく有名ゆうめい。ヴァンプローファー/コヴラヴァンプは日本にっぽん特有とくゆうで、海外かいがいではヴェネシアン(Venetian)とばれる場合ばあいおおい。
エラスティックシューズ
ひもくつふうくつこうにゴム(エラスティック)をほどこし、きしやすいようつくられたくつこうよこがわにゴムがついたくつをサイドエラスティックシューズ(elastic sided shoe)、なかにゴムがついたくつをセンターエラスティックシューズ(elastic on instep shoe)とぶ。なかにゴムがいているので甲高こうだかひとにはサイドエラスティックシューズより心地ごこちいこともある。

一覧いちらん

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ワイルドスミスの歴史れきし、オールドファッション Old Fashioned Men-●一番いちばんくわしいローファーの歴史れきし(4)(5)http://shinnosukejedi.blog.fc2.com/blog-entry-157.html
  2. ^ Lewis, Neil (November 3, 1993). "The Politicization of Tasseled Loafers". The New York Times. [1]
  3. ^ Aurlandskoen.no. Retrieved 2013-06-15
  4. ^ ロングマン現代げんだいえいえい辞典じてん「loaf」[2]
  5. ^ 「Loaferは牧場ぼくじょう搾乳さくにゅうまえ乳牛にゅうぎゅうが「loaf」する場所ばしょから命名めいめいされる。loafはland-loaferの短縮たんしゅくであり、ドイツのLandläuferが語源ごげんの「地面じめんはしる」ことをあらわすのではないか。(landlöuferはふるドイツ語どいつごのland(地面じめん)+löufer(はしる)である。) この「地面じめんはしる」という由来ゆらいから、同様どうようにならずもの(vagabond)、なまくらしゃ(idler)という意味いみ派生はせいしている。」ブルックスブラザーズより [3]
  6. ^ ほんせつについては、Esquireにloafing areaで使用しようされていたという記事きじおよびSpaulding familyがLoaferというくつ作成さくせいしたという資料しりょう存在そんざいしないため真偽しんぎ不明ふめいである。「Loafer」という商標しょうひょうは1937ねんいまはなき米国べいこく老舗しにせくつメーカーNettletonしゃ商標しょうひょう登録とうろくしている。このためNettletonしゃがなまくらぶつあらわすLoaferという名前なまえ自社じしゃ製品せいひんとして発売はつばいし、80年代ねんだいにNettletonしゃがなくなったのち、Loaferという言葉ことば一般いっぱんてき使つかわれるようになったともかんがえられる。[4]
  7. ^ George Henry Bassの息子むすこであり、くつのブランドは現存げんそんするG.H. Bass & Coである。
  8. ^ ペニーローファーについて・ブルックスブラザーズより
  9. ^ アメリカニューイングランド地方ちほう代表だいひょうする老舗しにせのシューメーカー
  10. ^ [:en]
  11. ^ Lewis, Neil (November 3, 1993). "The Politicization of Tasseled Loafers". The New York Times. [5] ニューヨークタイムズ記事きじのアーカイブから。政治せいじ局面きょくめんで、弁護士べんごし、プレップスクールそう揶揄やゆする隠語いんごとして登場とうじょうするタッセルローファーについての記事きじ。この記事きじではタッセルローファーの起源きげんについてもれている。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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