井い土ケ谷つちがや

環状かんじょう1号線ごうせんと京急けいきゅう本線ほんせんが交差こうさする井い土ケ谷つちがやガード。左側ひだりがわは井土いどヶ谷たに駅えき。

井い土ケ谷つちがや（いどがや）は、神奈川かながわ県けん横浜よこはま市し南みなみ区くの地名ちめい。現在げんざい、「井い土ケ谷つちがや」のつく町まち丁ひのとは井土ケ谷上いどがやかみ町まち・井土ケ谷中いどがやなか町まち・井土ケ谷下いどがやしも町まちがあり、いずれも「ケ」は大文字おおもじで表記ひょうきする。

井土いどヶ谷たに東ひがし市街地しがいち住宅じゅうたく

地理ちり

南みなみ区く中部ちゅうぶの大岡おおおか川がわ北側きたがわに、川かわの上流じょうりゅうにあたる西側にしがわより井土ケ谷上いどがやかみ町まち・井土ケ谷中いどがやなか町まち・井土ケ谷下いどがやしも町まちが設もうけられている。保土ケ谷ほどがや駅えき方面ほうめんと鎌倉かまくら街道かいどう通とおり町まち1丁目ちょうめ交差点こうさてんを結むすぶ横浜よこはま市し主要しゅよう地方ちほう道どう84号ごう保土ヶ谷ほどがや宮元みやもと線せん（環状かんじょう1号線ごうせん）を境さかいに東側ひがしがわが井土ケ谷下いどがやしも町まち、西側にしがわが井土ケ谷中いどがやなか町まちで、さらにその西側にしがわが井土ケ谷上いどがやかみ町まちとなる。北部ほくぶを東西とうざいに京浜急行けいひんきゅうこう本線ほんせん、その南みなみに桜木さくらぎ町まち方面ほうめんと平戸ひらど方面ほうめんを結むすぶ幹線かんせん道路どうろ神奈川かながわ県けん道どう218号ごう弥生台やよいだい桜木町さくらぎちょう線せん（平戸ひらど桜木さくらぎ道路どうろ）が並行へいこうする。京浜急行けいひんきゅうこうと環状かんじょう1号線ごうせんが交差こうさする位置いちには井土いどヶ谷たに駅えきがある。

歴史れきし

戦国せんごく時代じだいから見みられる地名ちめいで、井出いでケ谷だに、井土いどヶ谷だに、井土いど谷たにとも書かかれた。『新編しんぺん武蔵むさし風土記ふどき稿こう』によると「此地殊ことに地ち窪くぼなるゆえ、井戸谷いどだにの名な起おこりしと云いう。或ある云うん、鎌倉かまくら将軍しょうぐん時代じだい村むら内ないに清冽せいれつの井いにありし故こ起おこりし」とある。また、同書どうしょによると江戸えどから9里さと、東西とうざい10町まち・南北なんぼく5町まちほどで家数やかずは47軒けん。地内じないを金沢かなざわ道みちと鎌倉かまくら往還おうかんが通とおった。大岡おおおか川がわ支流しりゅうの永田川ながたがわ・六ろくッ川かわに挟はさまれた低地ていちに位置いちし、引越ひっこし村むらの溜池ためいけからの農業のうぎょう用水ようすいも利用りようできたことから水利すいりに恵めぐまれ、水田すいでんが多おおくつくられた。横浜よこはま港こうが開港かいこうして間あいだもない1863年ねん10月14日にち（文久ぶんきゅう3年ねん9月2日にち）には、攘夷じょうい派はの浪士ろうしがフランス士官しかんを襲撃しゅうげき・殺害さつがいした井土いどヶ谷たに事件じけんが発生はっせいした。

1889年ねん（明治めいじ22年ねん）4月がつ1日にち、井土いどヶ谷村たにむらとその周辺しゅうへんの堀之内ほりのうち村むら、蒔田まきた村むら、下した大岡おおおか村むら、上大岡かみおおおか村むら、弘明寺ぐみょうじ村むら、永田ながた村むら、引越ひっこし村むら、中里なかさと村むら、別所べっしょ村むら、最戸さいど村むら、久保くぼ村むらが合併がっぺいして久良ひさよし岐郡大岡おおおか川村かわむらが成立せいりつし、井土いどヶ谷だにはその大字だいじとなる。1891年ねん（明治めいじ24年ねん）には鳥山とりやま肥料ひりょう第だい一いち工場こうじょう、1911年ねん（明治めいじ44年ねん）には豊田とよだ化か製せい場じょうなどができた。1911年ねん4月がつ1日にちに横浜よこはま市しに編入へんにゅう、横浜よこはま市井しせい土ケ谷つちがや町まちとなる。鎌倉かまくら街道かいどう沿ぞいは古ふるくから発展はってんしていたが、大岡おおおか川がわで隔へだてられていたため大正たいしょう時代じだいまでは農村のうそん風景ふうけいが広ひろがっていた。1914年ねん（大正たいしょう3年ねん）、3代目だいめ井上いのうえ良りょう斎ときは東京とうきょうの浅草あさくさ橋場はしば町まちからこの地ちに陶とう窯かまを移うつし、「良りょう斎とき焼しょう」を始はじめた。1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）には、弘明寺ぐみょうじ町まちにあった遊廓ゆうかくから芸妓げいぎの置屋おきやの一部いちぶが移うつってきた。

1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）9月がつ1日にちの関東大震災かんとうだいしんさいでは家屋かおくの倒壊とうかいがあったが火災かさいは免まぬかれたため、横浜よこはま市し中心ちゅうしん部ぶから多おおくの人ひとが移うつり住すんだ。震災しんさい復興ふっこう事業じぎょうとして井土いどヶ谷たに通どおり町まち線せんなどの街路がいろが整備せいびされた。1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）10月がつ1日にちには区く制せい施行しこうにより中ちゅう区くの町名ちょうめいとなる。1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）には湘南しょうなん電気でんき鉄道てつどう（現在げんざいの京浜急行電鉄けいひんきゅうこうでんてつ）が開通かいつうし井土いどヶ谷たに駅えきが開設かいせつされた。1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）11月1日にちには井い土ケ谷つちがや町まちを廃止はいしし、新あらたに井土ケ谷上いどがやかみ町まち・井土ケ谷中いどがやなか町まち・井土ケ谷下いどがやしも町まちが設もうけられた。左記さき3町まちは、1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）12月1日にちに中なか区くから南みなみ区くが分ぶん区くしたことに伴ともない、南みなみ区くに編入へんにゅうされた。

経済けいざい

産業さんぎょう

かつて存在そんざいした企業きぎょう

• 横浜よこはま屠場とじょう
• 横浜よこはま畜産ちくさん興業こうぎょう

畜産ちくさん

• 横浜よこはま屠場とじょう - 横浜よこはま畜産ちくさん興業こうぎょう経営けいえい。取とり扱あつかう家畜かちくの種類しゅるいは牛うし、馬うま、犢、羊ひつじ、豚ぶた。屠場とじょう主ぬしは島崎しまざき一郎いちろう。

参考さんこう文献ぶんけん

• 商業しょうぎょう興信所こうしんじょ編へん『日本にっぽん全国ぜんこく諸しょ会社かいしゃ役員やくいん録ろく 明治めいじ44年ねん』商業しょうぎょう興信所こうしんじょ、1893 - 1911年ねん。
• 横浜よこはま市し商工しょうこう課か編へん『横浜よこはま市し工業こうぎょう名鑑めいかん・横浜よこはま市し会社かいしゃ名鑑めいかん 大正たいしょう10年ねん12月がつ現在げんざい』横浜よこはま市し商工しょうこう課か、1922年ねん。
• 『神奈川かながわの畜産ちくさん 昭和しょうわ九きゅう年ねん三さん月がつ』神奈川かながわ縣けん内務ないむ部ぶ、1934年ねん。
• 商業しょうぎょう興信所こうしんじょ編へん『日本にっぽん全国ぜんこく諸しょ会社かいしゃ役員やくいん録ろく 第だい44回かい』商業しょうぎょう興信所こうしんじょ、1936年ねん。
• 南みなみ区くの歴史れきし発刊はっかん実行じっこう委員いいん会かい『南みなみ区くの歴史れきし』1976年ねん3月がつ30日にち。 
• 『角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん 14 神奈川かながわ県けん』角川書店かどかわしょてん、1984年ねん6月がつ8日にち。 
• 南みなみ区く制せい50周年しゅうねん記念きねん誌し編集へんしゅう委員いいん会かい『南みなみ区く制せい50周年しゅうねん記念きねん誌し 「南みなみ・ひと・街まち・こころ」～南みなみの風ふうはあったかい～』1994年ねん6月がつ20日はつか。 
• 横浜よこはま市し市民しみん局きょく総務そうむ部ぶ住居じゅうきょ表示ひょうじ課か『横浜よこはまの町名ちょうめい』1996年ねん12月。 
• 「井戸いどヶ谷村たにむら」『新編しんぺん武蔵むさし風土記ふどき稿こう』 巻まきノ78久良ひさよし岐郡ノ6、内務省ないむしょう地理ちり局きょく、1884年ねん6月がつ。NDLJP:763986/46。