佐々ささ弘雄ひろお

日本にっぽんの政治せいじ家か 佐々ささ 弘雄ひろお さっさ ひろお
生年月日せいねんがっぴ	1897年ねん1月がつ23日にち
出生しゅっしょう地ち	東京とうきょう府ふ四谷よつや区く
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(1948-10-09) 1948年ねん10月9日にち（51歳さい没ぼつ）
死没しぼつ地ち	東京とうきょう都と
出身しゅっしん校こう	東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく法学部ほうがくぶ政治せいじ学科がっか
前ぜん職しょく	九州きゅうしゅう帝国ていこく大学だいがく法文学部ほうぶんがくぶ教授きょうじゅ、ジャーナリスト
所属しょぞく政党せいとう	緑風りょくふう会かい
子女しじょ	佐々ささ克明かつあき（長男ちょうなん）、佐々淳行さっさあつゆき（次男じなん）、紀平きひら悌子ていこ（娘むすめ）
参議院さんぎいん議員ぎいん
選挙せんきょ区く	全国ぜんこく区く
当選とうせん回数かいすう	1回かい
在任ざいにん期間きかん	1947年ねん - 1948年ねん

佐々ささ 弘雄ひろお（さっさ ひろお、1897年ねん〈明治めいじ30年ねん〉1月がつ23日にち - 1948年ねん〈昭和しょうわ23年ねん〉10月9日にち）は、日本にっぽんの政治せいじ学者がくしゃ、ジャーナリスト、参議院さんぎいん議員ぎいん。

生涯しょうがい

戦前せんぜん

1897年ねん（明治めいじ30年ねん）1月がつ23日にち、衆議院しゅうぎいん議員ぎいん佐々ささ友とも房ぼうの三男さんなんとして東京とうきょう府ふ東京とうきょう市し四谷よつや区く四谷よつや箪笥たんす町まちに生うまれる。

東京とうきょう府立ふりつ第だい四よん中学校ちゅうがっこう・第だい五ご高等こうとう学校がっこうを経へて、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく法学部ほうがくぶ政治せいじ学科がっかに入学にゅうがく。吉野よしの作造さくぞうや美濃部みのべ達吉たつきちの薫陶くんとうを受うけ法学ほうがく者しゃ・政治せいじ学者がくしゃとして将来しょうらいを嘱望しょくぼうされる。東京帝大とうきょうていだいでは新人しんじん会かいに参加さんかした。1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）卒業そつぎょう。

卒業そつぎょう後ごは直ただちに東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく法学部ほうがくぶ副手ふくしゅ・助手じょしゅを経へて、外務省がいむしょう欧米おうべい局きょくの嘱託しょくたくとなり英えい仏ふつ独どくに2年間ねんかん留学りゅうがく。特とくにドイツにおいては、ハイパーインフレの惨状さんじょうやヴァイマル共和きょうわ国こくの行いき詰づまり、そしてナチス勃興ぼっこうを目まの当あたりにし、反はんヒトラー派はとなって帰国きこくした。

蠟山政道せいどうに次つぐ吉野よしのの二に番ばん弟子でしとして位置いちづけられていた佐々ささは、帰国きこくしてまもなく新設しんせつの九州きゅうしゅう帝国ていこく大学だいがく法文学部ほうぶんがくぶ教授きょうじゅに就任しゅうにんして政治せいじ学がくを担当たんとうした。自身じしんは議会ぎかい制せい民主みんしゅ主義しゅぎや立憲りっけん君主くんしゅ制せいを志向しこうしていたが、同僚どうりょうでマルクス経済けいざい学者がくしゃの向坂さきさか逸郎いつおと交遊こうゆうがあったのが仇かたきとなり、1928年ねん（昭和しょうわ3年ねん）の三さん・一いち五ご事件じけんの余波よはによる九大きゅうだい事件じけんで、「赤化せっか教師きょうし」として大学だいがくを追放ついほうされる。

大学だいがく辞職じしょく後ごは、中野なかの正ただし剛つよしが経営けいえいする『九州きゅうしゅう日報にっぽう』に論説ろんせつを書かき、さらに上京じょうきょうして雑誌ざっし『改造かいぞう』や『中央公論ちゅうおうこうろん』の常連じょうれん執筆しっぴつ者しゃとして政治せいじ評論ひょうろんを書かいた（後のちに警察けいさつ官僚かんりょうとして知しられることとなる、次男じなんの淳じゅん行ぎょうが生うまれたのは、この頃ころとなる。）。そして頭山とうやま満みつる、中野なかの正ただし剛つよし、緒方おがた竹虎たけとら、風見かざみ章あきららに認みとめられ、1934年ねん（昭和しょうわ9年ねん）3月がつに東京とうきょう朝日新聞社あさひしんぶんしゃに入社にゅうしゃして編集へんしゅう局きょく勤務きんむを経へて、大阪おおさか朝日新聞あさひしんぶん論説ろんせつ委員いいん（東京とうきょう在勤ざいきん）となる。

1933年ねん近衛このえ文麿ふみまろのブレーントラスト昭和しょうわ研究けんきゅう会かいに参加さんかして、同おなじ朝日新聞あさひしんぶん論説ろんせつ委員いいんの笠りゅう信太郎しんたろう、記者きしゃの尾崎おざき秀実ひでみらとともに中心ちゅうしんメンバーの一人ひとりとなり、また近衛このえを囲かこむ「朝食ちょうしょく会かい（朝飯あさめし会かい）」の主要しゅようメンバーとして近衛このえ新しん体制たいせい運動うんどうの政治せいじ理論りろん面めんを担当たんとうした。1938年ねん（昭和しょうわ13年ねん）9月がつ、平たいら貞蔵ていぞうとともに、昭和しょうわ研究けんきゅう会かいの教育きょういく機関きかん的てき性格せいかくを持もった昭和しょうわ塾じゅくを設立せつりつする。

当時とうじ麻布あざぶ区く材木ざいもく町まちにあった佐々ささの自宅じたくには、皇すめらぎ道どう派は重鎮じゅうちんの柳川やながわ平助へいすけや小畑おばた敏さとし四郎しろう、二・二六事件ににろくじけんで知しられることとなる安藤あんどう輝三てるぞうと栗原くりはら安秀やすひでら青年せいねん将校しょうこう、海軍かいぐん左派さはの高木たかぎ惣そう吉きち、自由じゆう主義しゅぎ者しゃの高山たかやま岩男いわおらなど、多種たしゅ多様たような者ものが出入でいりしていた。血盟けつめい団だん事件じけんで服役ふくえきし恩赦おんしゃにより出所しゅっしょしていた四元よつもと義隆よしたかを近衛このえに紹介しょうかいし、四よん元げんは1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）から近衛このえの秘書ひしょになっている。

佐々ささは東條とうじょう派はに睨にらまれ、特高警察とっこうけいさつや憲兵けんぺい隊たいの監視かんし対象たいしょうとなった。特とくに当時とうじの警視総監けいしそうかん安倍あべ源みなもと基はじめは「佐々ささ弘雄ひろおは必かならず捕つかまえてやる」と豪語ごうごしていた。一方いっぽうで、佐々ささを監視かんししていた憲兵けんぺいの塚本つかもと誠まこと大佐たいさは「佐々ささ弘雄ひろおという人物じんぶつはリンゴだ。外側そとがわは赤あかいが中身なかみは白しろい」と報告ほうこくしている。自みずからの紹介しょうかいで昭和しょうわ研究けんきゅう会かいのメンバーとなっていた尾崎おざきがゾルゲ事件じけんで逮捕たいほされると佐々ささは動揺どうようし、風呂ふろ焚たきに偽装ぎそうして長男ちょうなん克明こくめいと次男じなん淳じゅん行ぎょうらに尾崎おざきとの交遊こうゆうを示しめすメモや手紙てがみを焼却しょうきゃくさせた。なお、ゾルゲ事件じけん後ごに昭和しょうわ研究けんきゅう会かい・朝飯あさめし会かいが解散かいさんしたとき、佐々ささは近衛このえから5万まん円えんを渡わたされており、そのうちの1万まん円えんを四よん元げんに分配ぶんぱいしている。特高警察とっこうけいさつの監視かんしを躱かわすため、このとき現金げんきんを運はこんで四よん元げんに渡わたす役目やくめを追おったのは当時とうじ中学生ちゅうがくせいであった淳あつし行ぎょうであった。

1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）7月がつ、緒方おがた竹虎たけとら主筆しゅひつの下したで嘉治よしはる隆一りゅういちとともに朝日新聞社あさひしんぶんしゃ副ふく主筆しゅひつとなる。1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）12月、村山むらやま長ちょう挙きょ社長しゃちょうら反はん緒方おがた勢力せいりょくとの社内しゃない権力けんりょく抗争こうそうに敗やぶれた緒方おがたが主筆しゅひつを解任かいにんされて副ふく社長しゃちょうに棚上たなあげされると、佐々ささと嘉治よしはるは同時どうじに主任しゅにん論説ろんせつ委員いいん、1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）3月がつにはともに論説ろんせつ主幹しゅかんとなった。8月15日にちの朝日新聞社あさひしんぶんしゃ説せつ「一いち億おく相そう哭の秋あき」は、佐々ささが執筆しっぴつした。

戦後せんご

敗戦はいせんにより朝日新聞社あさひしんぶんしゃ内ないで緒方おがた派はと反はん緒方おがた派はの対立たいりつが再燃さいねんして、1945年ねん11月に村山むらやま社長しゃちょう、上野うえの精一せいいち会長かいちょうらが退陣たいじんする際さい、嘉治よしはるとともに編集へんしゅう局きょく参与さんよの閑職かんしょくに回まわされる。

佐々ささは「戦争せんそうを止とめられなかった責任せきにん、そしてここまでの大だい敗北はいぼくを防ふせげなかった敗戦はいせん責任せきにんをとる」として朝日あさひを退職たいしょくして浪人ろうにんとなるが、九大きゅうだいの法文学部ほうぶんがくぶ教授きょうじゅ会かいがかつて追放ついほうした佐々ささらを復帰ふっきさせる決定けっていをしたため、講師こうしとして学究がっきゅう生活せいかつを再開さいかいし、父ちちが社長しゃちょうを務つとめた熊本くまもと日にち日にち新聞しんぶん社長しゃちょう伊豆いず富とみ人じん（安達あだち謙蔵けんぞうの側近そっきん）が公職こうしょく追放ついほうとなると、佐々ささが社長しゃちょう兼けん主筆しゅひつに就任しゅうにんした。

1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）、父ちちの政治せいじ的てき後継こうけい者しゃである安達あだち謙蔵けんぞうらからの勧すすめで第だい1回かい参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょに全国ぜんこく区くから立候補りっこうほし当選とうせん、緑風りょくふう会かいに参画さんかくする。 その後ご心しん内ない膜まく炎えんを患わずらい東大とうだい病院びょういんに入院にゅういんするが、強心剤きょうしんざい投与とうよ量りょうの過誤かごで危篤きとく状態じょうたいに陥おちいり、1948年ねん（昭和しょうわ23年ねん）10月がつ9日にち死去しきょ。51歳さい没ぼつ。墓所はかしょは熊本くまもと市し小峰こみね墓地ぼち。

家族かぞく

妻つまは図書館としょかん学がく者ものの和田わだ万吉まんきちの娘むすめ。

朝日新聞社あさひしんぶんしゃの幹部かんぶ社員しゃいんで歴史れきし作家さっかの佐々ささ克明かつあきは長男ちょうなん、防衛施設庁ぼうえいしせつちょう長官ちょうかんや初代しょだい内閣ないかく安全あんぜん保障ほしょう室しつ長ちょうをつとめた評論ひょうろん家かの佐々淳行さっさあつゆきは次男じなん、参議院さんぎいん議員ぎいんを務つとめた紀平きひら悌子ていこは娘むすめである。他たに尚子しょうこという娘むすめがいたが、1942年ねんに病気びょうきで失うしなった。

著書ちょしょ

単たん著ちょ

• 『政治せいじの貧困ひんこん 転換期てんかんきの政治せいじ批判ひはん』千倉ちくら書房しょぼう、1931年ねん2月がつ。 NCID BN05599830。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47004434。 
• 『大衆たいしゅう政治せいじ読本とくほん』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1932年ねん3月がつ。 NCID BN12491663。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47006478。 
• 『日本にっぽんファッシズムの発展はってん過程かてい』浅野あさの書店しょてん、1932年ねん4月がつ。 NCID BN06262457。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47015372。 
• 『哲学てつがくと政治せいじ学がくとの交渉こうしょう』岩波書店いわなみしょてん〈岩波いわなみ講座こうざ哲学てつがく〉、1932年ねん6月がつ。 NCID BN10053858。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:46078804 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:51002675。 
• 『政局せいきょく危機ききの動向どうこう』千倉ちくら書房しょぼう、1932年ねん11月。 NCID BA31409861。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47004553。 
• 『街頭がいとう政治せいじ読本とくほん 政治せいじ認識にんしきの基礎きそ知識ちしき』千倉ちくら書房しょぼう、1933年ねん4月がつ。 NCID BA43142521。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:46089445。 
• 『人物じんぶつ春秋しゅんじゅう』改造かいぞう社しゃ、1933年ねん7月がつ。 NCID BN15854027。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47003558。 
  • 『人物じんぶつ春秋しゅんじゅう』 続つづけ、改造かいぞう社しゃ、1935年ねん5月がつ。 NCID BN15854027。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47024507。 
• 『強力きょうりょく政治せいじの将来しょうらい』河出かわで書房しょぼう、1934年ねん2月がつ。 NCID BA32448654。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:46082720。 
• 『西郷さいごう隆盛たかもり伝でん』改造かいぞう社しゃ〈偉人いじん伝でん全集ぜんしゅう 第だい11巻かん〉、1936年ねん10月がつ。 NCID BA44732768。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:46044083 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:53009405。 
• 『東亜とうあ新しん秩序ちつじょ論ろん』神戸こうべ実業じつぎょう組合くみあい聯合れんごう会かい〈研究けんきゅう資料しりょう 第だい11輯〉、1939年ねん4月がつ。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:44030068。 
• 『昭和しょうわ政治せいじ悲史』日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい〈ラジオパンフレット 2〉、1946年ねん6月がつ。 NCID BN05096705。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:20098094。 
  • 『昭和しょうわ政治せいじ悲史』佐さ佐さ縫子ぬいこ、1977年ねん10月がつ。 NCID BA64864284。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:78001228。 
• 『世界せかいの命運めいうん』国立こくりつ書院しょいん〈国立こくりつ選書せんしょ〉、1948年ねん7月がつ。 NCID BA36121816。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:46008496 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:48011418。 

執筆しっぴつ

• 「フアツシズムと現代げんだい」『フアツシズム研究けんきゅう』改造かいぞう社しゃ、1932年ねん7月がつ、339-365頁ぺーじ。 NCID BN07061778。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47018469 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:60008454。 
• 「戦後せんごの日本にっぽん政党せいとう論ろん」『五大ごだい政党せいとうを解剖かいぼうする』政治せいじ経済けいざい評論ひょうろん社しゃ〈政治せいじ経済けいざい評論ひょうろん 第だい2輯〉、1948年ねん5月がつ、1-14頁ぺーじ。 NCID BN12771411。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:48012367 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:21620164。 

共とも訳やく

• H.W.シュナイダー 著ちょ、佐々ささ弘雄ひろお・戸野との原はら史朗しろう 訳やく『ファッシズム国家こっか学がく』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1934年ねん8月がつ。 NCID BN05189599。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47032139 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:49004350。 

参考さんこう文献ぶんけん

• 佐々淳行さっさあつゆき『私わたしを通とおり過すぎた政治せいじ家かたち』文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2014年ねん8月がつ。ISBN 978-4163901138。 
• 佐々淳行さっさあつゆき『私わたしを通とおりすぎたスパイたち』文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2016年ねん3月がつ。ISBN 978-4163904276。 

外部がいぶリンク

• 『佐々ささ弘雄ひろお』 - コトバンク
• 『佐々ささ 弘雄ひろお』 - コトバンク
• 佐々ささ弘雄ひろお著作ちょさく目録もくろく。松田まつだ義男よしお編へん