割わり (相撲すもう)

大相撲おおずもうでいう割わり（わり）は取組とりくみのこと。また取組とりくみを書かいた紙かみも割われ（正式せいしきには割わり紙し、または幕内まくうち、十じゅう両りょうだけのものは「小割こわり」「顔かおぶれ」とも呼よぶ）。相あい星ほし同士どうしの力士りきしの間あいだで、優勝ゆうしょう決定けってい戦せんは割わりは組くまれるものの、正式せいしきな取組とりくみとはされない。あくまでも本場所ほんばしょの取組とりくみに限かぎることで、「割わり」とは本ほん割わりの略称りゃくしょうともいえる。

概要がいよう

取組とりくみを編成へんせいすることを「割わりを組くむ」という。本場所ほんばしょにおける正規せいきの取組とりくみを「本ほん割わり」と言いい、公式こうしきな勝敗しょうはいはこの本ほん割わりだけが対象たいしょうになる。

また、横綱よこづな対たい大関おおぜき・大関おおぜき同士どうし・大関おおぜき対たい関脇せきわけなどの対戦たいせんを、消滅しょうめつさせることを「割わり崩くずし」と言いい、一度いちど編成へんせいした取組とりくみを、組くみ替かえることを「割わり返がえし」と言いう。

割わり崩くずし

横綱よこづな・大関おおぜき同士どうしは、休場きゅうじょうなどで対戦たいせんが不可能ふかのうな場合ばあいを除のぞき、毎まい場所ばしょ必かならず対戦たいせんが組くまれることが慣例かんれいである。

しかし、通常つうじょう、上位じょうい力士りきしとは当あたらない平幕ひらまくの下位かい力士りきしが、終盤しゅうばんまで優勝ゆうしょう争あらそいに絡からんできた場合ばあいには横綱よこづな・大関おおぜきとの取組とりくみを組くみ、本来ほんらい組くまれるはずの横綱よこづな対たい大関おおぜき・大関おおぜき同士どうし・大関おおぜき対たい関脇せきわけなどの対戦たいせんを消滅しょうめつさせることがある。これを「割わり崩くずし」や「割わりを崩くずす」または「割わりを壊こわす」という。平成へいせいまではあまり見みられなかったが、令れい和わになってからはそのような事例じれいが頻繁ひんぱんに起おこっている。

令れい和わに入はいってからの割わり崩くずし（横綱よこづな・大関おおぜき）

年とし	場所ばしょ	割わり崩くずされた取とり組くみ		理由りゆう
		東方とうほう力士りきし	西方せいほう力士りきし
2019年ねん（令れい和わ元年がんねん）	夏なつ	豪ごう栄さかえ道どう	髙安	朝あさ乃山が好成績こうせいせきで豪ごう栄さかえ道どう戦せんが組くまれたため。
2020年ねん（令れい和わ2年ねん）	初はつ	貴き景勝けいしょう	豪ごう栄さかえ道どう	徳とく勝かつ龍りゅうが好成績こうせいせきで貴き景勝けいしょう戦せんが組くまれたため。
	春はる	白はく鵬ほう	貴き景勝けいしょう	碧あお山やまが好成績こうせいせきで白はく鵬ほう戦せんが組くまれたため。
2021年ねん（令れい和わ3年ねん）	夏なつ	正代しょうだい	照あきらノ富士ふじ	逸いっノ城しろが好成績こうせいせきで照あきらノ富士ふじ戦せんが組くまれたため。
	秋あき	正代しょうだい	貴き景勝けいしょう	妙義みょうぎ龍りゅうが好成績こうせいせきで貴き景勝けいしょう戦せんが組くまれたため。
	九州きゅうしゅう	照あきらノ富士ふじ	正代しょうだい	阿おもね炎ほのおが好成績こうせいせきで照あきらノ富士ふじ戦せんが組くまれたため。
2022年ねん（令れい和わ4年ねん）	初はつ
	春はる	正代しょうだい	御嶽みたけ海かい	髙安、琴きんノ若わかが好成績こうせいせきで、大関おおぜき戦せんが組くまれたため。
	秋あき	貴き景勝けいしょう	御嶽みたけ海かい	錦にしき富士ふじが好成績こうせいせきで貴き景勝けいしょう戦せんが組くまれたため。
	九州きゅうしゅう	貴き景勝けいしょう	正代しょうだい	王おう鵬ほうが好成績こうせいせきで、大関おおぜき戦せんが組くまれたため。
2023年ねん（令れい和わ5年ねん）	秋あき	霧島きりしま	貴き景勝けいしょう	髙安が好成績こうせいせきで、霧島きりしま戦せんが組くまれたため。
	九州きゅうしゅう	豊昇ほうしょう龍りゅう	霧島きりしま	熱海あたみ富士ふじが好成績こうせいせきで、霧島きりしま戦せんが組くまれたため。
2024年ねん（令れい和わ6年ねん）	春はる	霧島きりしま	豊昇ほうしょう龍りゅう	尊みこと富士ふじが好成績こうせいせきで、大関おおぜき戦せんが組くまれたため。

このような事例じれいが生しょうじたのは昭和しょうわ40年代ねんだい以降いこうで、それまでは幕内まくうち下位かいの力士りきしがいくら勝かち進すすんでも、割わりを崩くずさずに済すむ場合ばあいも含ふくめて横綱よこづな、大関おおぜきと対戦たいせんさせること自体じたいなかった。但ただし、横綱よこづな同士どうしの割わりを崩くずすことは通常つうじょう行おこなわない。

割わり返がえし

一度いちど編成へんせいした取組とりくみを、休場きゅうじょう力士りきしが出でたりしたために組くみ替かえることがある。これを「割わり返がえし（割わり返がえし）」という。かつて長谷川はせがわが幕下まくした上位じょういだった時ときに叔父おじの四季しきの花はなと割わりが組くまれたが、四季しきの花はなの師匠ししょうである宮城野みやぎの親方おやかた（元もと横綱よこづな吉よし葉山はやま）が「十じゅう両りょう昇進しょうしんがかかる大事だいじな場所ばしょで親戚しんせき同士どうしを対戦たいせんさせてあらぬ疑うたがいでもかかっては困こまる」と割わり返がえしを求もとめ、これが認みとめられて対戦たいせんを回避かいひした例れいがある（現在げんざいの規則きそくでは本ほん割わりで甥おいと叔父おじの対戦たいせんは組くまれない）。

幕内まくうちでの割わり返がえしはあまり見みられないものの、2015年ねん（平成へいせい27年ねん）3月がつ場所ばしょ初日しょにちに、東ひがし横綱よこづな・鶴つる竜りゅうが左肩ひだりかたの怪我けがが悪化あっか、初日しょにちの西にし前頭まえがしら筆頭ひっとう・逸いっノ城しろ戦せんは不戦敗ふせんぱい・休場きゅうじょうとなった。その事情じじょうにより、同どう場所ばしょ2日にち目めの鶴つる竜りゅう－西にし小結こむすび・妙義みょうぎ龍りゅう戦せんを含ふくめて急遽きゅうきょ割わり返がえしが行おこなわれたが、これは2014年ねん（平成へいせい26年ねん）5月がつ場所ばしょ3日にち目め以来いらい5場所ばしょ振ぶりとなる取組とりくみの組くみ直なおしだった。

2017年ねん（平成へいせい29年ねん）3月がつ場所ばしょで東ひがし横綱よこづな・白はく鵬ほうが5日にち目めの取とり組くみ直後ちょくごに古傷ふるきずの右足みぎあし親指おやゆびのねんざと右みぎ太ふとももの筋肉きんにく損傷そんしょうで休場きゅうじょうしたため、同どう場所ばしょ6日にち目めの白はく鵬ほう－西にし前頭まえがしら2枚まい目め・貴たかノ岩いわ戦せんを含ふくめて、急せきょ割わり返がえしが行おこなわれた。 但ただし2012年ねん（平成へいせい24年ねん）5月がつ場所ばしょの千秋楽せんしゅうらくでは、東大とうだい関せき3枚まい目め・琴きん欧おう洲しゅうが不戦敗ふせんぱい・休場きゅうじょうとなった際さい、協会きょうかい側がわのコメントに「せめて前日ぜんじつの14日にち目め夜よる迄までに休場きゅうじょう届とどけを提出ていしゅつすれば割わり返がえしにする可能かのう性せいが有あったのに」とあり、重要じゅうような取組とりくみの場合ばあいは有あり得えるとの見解けんかいである。この時ときの対戦たいせん相手あいては11勝しょう3敗はいで優勝ゆうしょう争あらそい先頭せんとう集団しゅうだんの一角いっかくだった東ひがし前頭まえがしら4枚まい目め・栃とち煌山で、本ほん割わりの不戦勝ふせんしょうが優勝ゆうしょう決定けっていの一番いちばんに成なるという事態じたいも起おこりえた。

2018年ねん（平成へいせい30年ねん）7月がつ場所ばしょでは西にし横綱よこづな・白はく鵬ほうが4日にち目めの取組とりくみ前まえに右足みぎあしの故障こしょうを理由りゆうに突然とつぜん休場きゅうじょうを決きめ、その休場きゅうじょうの届とどけ出でが当日とうじつの14時じ頃ごろだったため、日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい審判しんぱん部ぶは既すでに組くんでいた5日にち目めの取組とりくみ割わりを変更へんこうする割わり返がえしを急遽きゅうきょ行おこなうこととなった。

2019年ねん（令れい和わ元年がんねん）11月場所ばしょでは東ひがし横綱よこづな・鶴つる竜りゅうが初日しょにちの朝あさになって突如とつじょ休場きゅうじょうを発表はっぴょう。初日しょにちの幕内まくうち取組とりくみの割わり返がえしはさすがに行おこなわれず、初日しょにちの鶴つる竜りゅうの相手あいての小結こむすび・朝あさ乃山は初日しょにちは不戦勝ふせんしょうとなり、既すでに決きまっていた二日ふつか目めの幕内まくうち取組とりくみが割わり返がえしを実施じっしする ｡ さらに、西にし大関おおぜき・髙安が中日ちゅうにちに幕内まくうち土俵入どひょういりをこなしたものの、腰痛ようつうを理由りゆうに急遽きゅうきょ休場きゅうじょうを決断けつだんしたことから、日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい審判しんぱん部ぶは9日にち目めに割わり返がえしを行おこなった。

2020年ねん（令れい和わ2年ねん）7月がつ場所ばしょでは、7日にち目めに東ひがし前頭まえがしら5枚まい目め・阿おもね炎ほのお（錣山部屋へや）が突然とつぜん休場きゅうじょうを発表はっぴょう。この日ひの阿おもね炎ほのおの対戦たいせん相手あいてだった西にし関脇せきわけ・御嶽みたけ海かいが不戦勝ふせんしょうとなったのみならず、師匠ししょうの錣山からの休場きゅうじょう届出とどけでと協会きょうかいからの発表はっぴょうが14時じを回まわっており、既すでに8日にち目めの取組とりくみ編成へんせいが行おこなわれた後のちで阿おもね炎ほのおの対戦たいせん相手あいてが西にし大関おおぜき・朝あさ乃山と決きまっていた為ため、急遽きゅうきょ割わり返がえしが行おこなわれた。

関連かんれん項目こうもく

• 取組とりくみ
• 八はち番ばん相撲すもう