創憲そうけん

創憲そうけん（そうけん）は、日本国にっぽんこく憲法けんぽうに対たいする政治せいじ的てき立場たちば・主張しゅちょうの一ひとつ。憲法けんぽう無効むこう論ろんに基もとづく自主じしゅ憲法けんぽう制定せいてい論ろんから護憲ごけん論ろんを発展はってんさせたものまでのそれぞれ異ことなるものを指さして用もちいられる。

憲法けんぽう無効むこう論ろんに基もとづく立場たちばとしての創憲そうけん論ろん

草案そうあん作成さくせいから議会ぎかい審議しんぎまで一貫いっかんしてGHQの統制とうせいがおよぶ中なかで成立せいりつした日本国にっぽんこく憲法けんぽうは無効むこうである、若もしくは破棄はきすべきものであるから、自主じしゅ憲法けんぽうを制定せいていすべき、とする主張しゅちょうで、一般いっぱんに自主じしゅ憲法けんぽう論ろんと同質どうしつとされるが、憲法けんぽう無効むこう論ろんや改憲かいけん論ろんともあまり区別くべつされない。

主張しゅちょうしている主おもな政党せいとう・政治せいじ団体だんたい

• 参政さんせい党とう
• 新党しんとう大地だいち
• 日本にっぽん第だい一いち党とう
• 新党しんとうくにもり
• 維新いしん政党せいとう・新風しんぷう

かつて主張しゅちょうしていた政党せいとう・政治せいじ団体だんたい

• 自民党じみんとう
• 生長せいちょうの家いえ政治せいじ連合れんごう
• 自由党じゆうとう
• たちあがれ日本にっぽん
• 民主党みんしゅとう、民進党みんしんとう　
• 日本にっぽんのこころ

主おもな論者ろんしゃ

• 菅かん直人なおと
• 小沢おざわ一郎いちろう
• 福山ふくやま哲郎てつろう
• 平沼ひらぬま赳夫たけお

1990年代ねんだいにおける創憲そうけん論ろん

1990年代ねんだいにおいては護憲ごけん的てき立場たちばを発展はってんさせた立場たちばとして「創憲そうけん」の語かたりが使つかわれていた。

1991年ねんに創憲そうけん論ろんを提唱ていしょうした政治せいじ学者がくしゃの山口やまぐち二郎じろうは、当時とうじの立場たちばを後のちに「国連こくれん平和へいわ維持いじ活動かつどう（ＰＫＯ）への参加さんかや非核ひかく三さん原則げんそく、武器ぶき禁輸きんゆなどの原則げんそくを新あらたな条文じょうぶんとして追加ついかし、専守防衛せんしゅぼうえいに徹てっしてきた平和へいわ的てきな国家こっか像ぞうを守まもるのが狙ねらい」と回想かいそうしている。

創憲そうけん論ろんを提唱ていしょうしていた日本にっぽん社会党しゃかいとう委員いいん長ちょうの山花やまはな貞夫さだおは1993年ねん4月がつに発表はっぴょうした『私わたしの創憲そうけん論ろん』のなかで憲法けんぽう第だい九きゅう条じょうの維持いじと憲法けんぽうの基本きほん理念りねんの創造そうぞう的てきな発展はってんを前提ぜんていとしつつ、「創憲そうけん」を「…大おおきく変動へんどうしつつある世界せかいと日本にっぽんの状況じょうきょうをふまえ、国民こくみんのコンセンサスを得えつつ、「新あたらしい憲法けんぽうを創つくる」ほどの意欲いよくをもって、日本国にっぽんこく憲法けんぽうの有ゆうする平和へいわ主義しゅぎ、基本きほん的てき人権じんけんの尊重そんちょう、国民こくみん主権しゅけんという三みっつの基本きほん的てきな内容ないようをいっそう発展はってんさせ、現代げんだいにふさわしい、時代じだいの精神せいしんに沿そう新あたらしい政治せいじ・社会しゃかいシステムの基本きほんを創つくりあげようという」というものであるとした。さらにその内容ないようとして

①日本国にっぽんこく憲法けんぽうの理念りねんと条文じょうぶんに基もとづき、その示しめす方向ほうこうを現状げんじょうの状況じょうきょうにみあって、積極せっきょく的てきな法ほう制度せいどとして発展はってんさせていく憲法けんぽう政策せいさく

②平和へいわ、人権じんけん、民主みんしゅ主義しゅぎの現代げんだい的てきな発展はってんをはかるための各種かくしゅの市民しみん運動うんどうの展開てんかいとそのネットワークづくりからなる創造そうぞう的てきな憲法けんぽう運動うんどう

③現在げんざいと将来しょうらいのわが国くにの基本きほん方向ほうこうを明あきらかにするための、日本国にっぽんこく憲法けんぽうの条文じょうぶんの内容ないようにわたる憲法けんぽう議論ぎろん

があるとした。具体ぐたい的てきな政策せいさくとしては、安全あんぜん保障ほしょうの分野ぶんやにおいては憲法けんぽうの精神せいしん（理念りねん）にのっとった安全あんぜん保障ほしょう基本きほん法ほうの制定せいてい、PKOを含ふくむ国際こくさい貢献こうけんのための自衛隊じえいたいとは別べつ組織そしきの設立せつりつ、これらの政策せいさくの前提ぜんていの上うえでの自衛隊じえいたいの再編さいへん・削減さくげんが挙あげられていた。

2000年代ねんだいにおける創憲そうけん論ろん

2000年代ねんだいにおいては民主党みんしゅとうが自みずからの立場たちばとして創憲そうけんの語かたりを用もちいた。

民主党みんしゅとうは2003年ねん第だい４３回かい衆議院しゅうぎいん総そう選挙せんきょのマニフェストで「憲法けんぽうを「不磨ふまの大典たいてん」とすることなく、またその時々ときどきに都合つごうのよい憲法けんぽう解釈かいしゃくを編あみ出だすのではなく、憲法けんぽうが国民こくみんと国くにの基本きほん的てき規範きはんであることをしっかりと踏ふまえ、国民こくみん的てきな憲法けんぽう論議ろんぎを起おこし、国民こくみん合意ごういのもとで「論ろん憲けん」から「創憲そうけん」へと発展はってんさせます。」と明記めいきした。 　

菅かん直人なおとは2004年ねん1月がつに民主党みんしゅとう代表だいひょうとして「…単たんに批判ひはんするのではなく、日本にっぽんの国くにのあるべき姿すがたを示しめす新あらたな憲法けんぽうを創つくる「創憲そうけん」を主導しゅどうしてまいりたいと思おもいます。できれば憲法けんぽう発布はっぷから60年ねん目めに当あたる2006年ねんまでに、国民こくみん的てき運動うんどうを集約しゅうやくする形かたちで民主党みんしゅとうとして新あらたな憲法けんぽうのあり方かたを国民こくみんに示しめせるようにしたいと考かんがえます。」と発言はつげんした。 　

仙谷せんごく由人よしとは民主党みんしゅとう憲法けんぽう調査ちょうさ会かいが2004年ねん6月がつに発表はっぴょうした「創憲そうけんに向むけて、憲法けんぽう提言ていげん　中間なかま報告ほうこく」で「民主党みんしゅとうが掲かかげる「創憲そうけん」は、このような危あやうい政治せいじの現実げんじつに対たいして、立憲りっけん政治せいじを立たて直なおし、「法ほうの支配しはい」が確立かくりつされた社会しゃかいを創つくり出だすことにその大おおきなねらいがある。そして、過去かこを振ふり返かえるのではなく、未来みらいに向むかって新あたらしい憲法けんぽうのあり方かたを考かんがえ、積極せっきょく的てきに構想こうそうしていくという意味いみでの「創憲そうけん」がいま最もっとも求もとめられているものである。」とした。

関連かんれん項目こうもく

• 日本国にっぽんこく憲法けんぽう
• 憲法けんぽう学会がっかい