この項目 こうもく では、代数 だいすう 的 てき 構造 こうぞう について説明 せつめい しています。微分 びぶん 方程式 ほうていしき の半 はん 群 ぐん 法 ほう については「C0-半 はん 群 ぐん 」をご覧 らん ください。
数学 すうがく における半 はん 群 ぐん (はんぐん、英 えい : semigroup )は、集合 しゅうごう S とその上 うえ の結合 けつごう 的 てき 二 に 項 こう 演算 えんざん とをあわせて考 かんが えた代数 だいすう 的 てき 構造 こうぞう である。い換 いか えれば、半 はん 群 ぐん とは演算 えんざん が結合 けつごう 的 てき なマグマ である。「半 はん 群 ぐん 」という名 な は群 ぐん に由来 ゆらい する。群 ぐん と異 こと なり半 はん 群 ぐん では、単位 たんい 元 もと が存在 そんざい するとは限 かぎ らず、また各 かく 元 もと は必 かなら ずしも逆 ぎゃく 元 もと を持 も たない。
半 はん 群 ぐん の演算 えんざん は多 おお くの場合 ばあい 乗法 じょうほう 的 てき に書 か く(順序 じゅんじょ 対 たい (x , y ) に演算 えんざん を施 ほどこ した結果 けっか を x • y あるいは単 たん に xy と表 あらわ す)。
半 はん 群 ぐん について本格 ほんかく 的 てき な研究 けんきゅう が行 おこな われるようになるのは20世紀 せいき に入 はい ってからである。半 はん 群 ぐん は、「無記憶 むきおく 」系 けい ("memoryless" system) すなわち各 かく 反復 はんぷく 時点 じてん でゼロから開始 かいし される時間 じかん 依存 いぞん 系 けい (time-dependent system) の抽象 ちゅうしょう 代数 だいすう 的 てき な定式 ていしき 化 か の基盤 きばん であり、数学 すうがく の様々 さまざま な分野 ぶんや において重要 じゅうよう な概念 がいねん となっている。応用 おうよう 数学 すうがく においては、半 はん 群 ぐん は線型 せんけい 時間 じかん 不変 ふへん 系 けい (英語 えいご 版 ばん ) の基本 きほん モデルである。また偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき 論 ろん では、半 はん 群 ぐん は空間 くうかん 発展 はってん 的 てき かつ時間 じかん 非 ひ 依存 いぞん な任意 にんい の方程式 ほうていしき に対応 たいおう している。有限 ゆうげん 半 はん 群論 ぐんろん は1950年代 ねんだい 以降 いこう 、有限 ゆうげん 半 はん 群 ぐん と有限 ゆうげん オートマトン との間 あいだ の自然 しぜん な関連 かんれん 性 せい から、理論 りろん 計算 けいさん 機 き 科学 かがく の分野 ぶんや で特 とく に重要 じゅうよう となっている。確率 かくりつ 論 ろん では半 はん 群 ぐん はマルコフ過程 かてい に関連付 かんれんづ けられる (Feller 1971 )。
集合 しゅうごう S とその上 うえ の二 に 項 こう 演算 えんざん • : S × S → S の対 たい (S , • ) が結合 けつごう 律 りつ (結合 けつごう 法則 ほうそく )を満 み たすとき、これを半 はん 群 ぐん という。S を半 はん 群 ぐん (S , •) の台 たい 集合 しゅうごう とよぶ。
結合 けつごう 律 りつ
S の各 かく 元 もと a , b , c に対 たい して、等式 とうしき (a • b ) • c = a • (b • c ) が成 な り立 た つ。
また誤解 ごかい のおそれがなければ「半 はん 群 ぐん S 」のように台 だい 集合 しゅうごう と同 おな じ記号 きごう で半 はん 群 ぐん を表 あらわ す。
台 たい 集合 しゅうごう が有限 ゆうげん 集合 しゅうごう である半 はん 群 ぐん を有限 ゆうげん 半 はん 群 ぐん (finite semigroup ) または有限 ゆうげん 位 い 数 すう を持 も つ半 はん 群 ぐん (semigroup with finite order) 、台 たい 集合 しゅうごう が無限 むげん 集合 しゅうごう である半 はん 群 ぐん を無限 むげん 半 はん 群 ぐん (infinite semigroup ) または無限 むげん 位 い 数 すう を持 も つ半 はん 群 ぐん (semigroup with infinite order) という。
空 そら 半 はん 群 ぐん : 空 そら 集合 しゅうごう は空 そら 写像 しゃぞう を演算 えんざん として半 はん 群 ぐん を成 な す。半 はん 群 ぐん の定義 ていぎ に台 たい 集合 しゅうごう が空 そら でないことを課 か して、空 そら 半 はん 群 ぐん を除外 じょがい することもある。
一元 いちげん 半 はん 群 ぐん : 一元 いちげん 集合 しゅうごう {a } に aa = a で演算 えんざん を定 さだ めたものは、ただひとつの元 もと からなる半 はん 群 ぐん となる。これは(同型 どうけい の違 ちが いを除 のぞ けば)本質 ほんしつ 的 てき に一 ひと つしか存在 そんざい しない。しばしばこれを自明 じめい 半 はん 群 ぐん (trivial semigroup ) と呼 よ ぶ。
二元 にげん 半 はん 群 ぐん : 台 たい 集合 しゅうごう が2元 げん からなる半 はん 群 ぐん は同型 どうけい を除 のぞ いて5種類 しゅるい の異 こと なったものが存在 そんざい する。
正 せい の整数 せいすう 全体 ぜんたい の成 な す集合 しゅうごう N は加法 かほう に関 かん して半 はん 群 ぐん を成 な す。
非負 ひふ 正方 せいほう 行列 ぎょうれつ (すべての成分 せいぶん が非負 ひふ であるような正方 せいほう 行列 ぎょうれつ )の全体 ぜんたい に行列 ぎょうれつ の積 せき を与 あた えたものは半 はん 群 ぐん を成 な す。
第 だい 一 いち 列 れつ が全 すべ て0であるような2次 じ 正方 せいほう 行列 ぎょうれつ 全体 ぜんたい に行列 ぎょうれつ の積 せき を与 あた えたものは半 はん 群 ぐん を成 な す。
任意 にんい の環 たまき のイデアル は環 たまき の乗法 じょうほう に関 かん する半 はん 群 ぐん である。
文字 もじ 集合 しゅうごう Σ しぐま を固定 こてい して、その上 うえ の有限 ゆうげん 文字 もじ 列 れつ 全体 ぜんたい を考 かんが えると、文字 もじ 列 れつ の連接 れんせつ を演算 えんざん とする半 はん 群 ぐん が得 え られる。これを Σ しぐま 上 うえ の自由 じゆう 半 はん 群 ぐん という。空文字 くうもじ 列 れつ をも含 ふく めて考 かんが えるとこの半 はん 群 ぐん は Σ しぐま 上 うえ の自由 じゆう モノイド となる。
確 かく 率 りつ 分布 ぶんぷ F に対 たい して、F の畳 たた み込 こ み冪 べき 全体 ぜんたい の成 な す集合 しゅうごう に畳 たた み込 こ みを演算 えんざん として考 かんが えたものは半 はん 群 ぐん を成 な す。これは畳 たた み込 こ み半 はん 群 ぐん (convolution semigroup) と呼 よ ばれる。
任意 にんい のモノイド は単位 たんい 元 もと を持 も つ半 はん 群 ぐん である。
任意 にんい の群 ぐん は各 かく 元 もと が逆 ぎゃく 元 もと を持 も つモノイドである。
繰 く り込 こ み群 ぐん は、繰 く り込 こ み変換 へんかん からなる半 はん 群 ぐん である(群 ぐん ではないが慣用 かんよう 的 てき にこのように呼 よ ばれる)。
任意 にんい の半 はん 群 ぐん が持 も つことのできる単位 たんい 元 もと は高々 たかだか ひとつである(これは任意 にんい のマグマについても成 な り立 た つ)。単位 たんい 元 もと を持 も つ半 はん 群 ぐん は、単位 たんい 的 てき 半 はん 群 ぐん あるいはモノイド と呼 よ ばれる。半 はん 群 ぐん S にS のどの元 もと とも異 こと なる元 もと e を添加 てんか して S ∪ {e } の各 かく 元 もと s に対 たい して es = se = s と定 さだ めることによって、半 はん 群 ぐん をモノイドに埋 う め込 こ む ことができる。S に単位 たんい 元 もと を添加 てんか して得 え られるモノイドを S 1 で表 あらわ し、S の単位 たんい 元 もと 添加 てんか あるいは 1-添加 てんか と呼 よ ぶ(誤解 ごかい のおそれがなければ、S の 1-添加 てんか も同 おな じ記号 きごう S で表 あらわ すこともある)。したがって、任意 にんい の可 か 換 かわ 半 はん 群 ぐん をグロタンディーク構成 こうせい を通 つう じて群 ぐん に埋 う め込 こ むことができる。
任意 にんい のマグマが持 も ちうる吸収 きゅうしゅう 元 もと は高々 たかだか 一 ひと つであり、半 はん 群 ぐん ではそれを零 れい 元 げん と呼 よ ぶ。零 れい 元 げん を持 も たない半 はん 群 ぐん S に S に属 ぞく さない元 もと 0 を添加 てんか して、零 れい 元 げん 付 つ き半 はん 群 ぐん S 0 に S を埋 う め込 こ むことができる。S 0 を S の零 れい 元 もと 添加 てんか あるいは 0-添加 てんか と呼 よ ぶ。
半 はん 群 ぐん (S , ∗) の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう A , B が与 あた えられたとき、A ∗ B (あるいは単 たん に AB ) で表 あらわ される S の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう を
A
B
:=
{
a
b
∣
a
∈
A
,
b
∈
B
}
{\displaystyle AB:=\{ab\mid a\in A,\,b\in B\}}
と定 さだ める。この記法 きほう を用 もち いれば、半 はん 群 ぐん S の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう A について
A が S の部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん (subsemigroup ) であるとは、AA ⊂ A であることを言 い う。
A が S の右 みぎ イデアル (right ideal ) であるとは、AS ⊂ A であることを言 い う。
A が S の左 ひだり イデアル (left ideal ) であるとは、SA ⊂ A であることを言 い う。
A が左 ひだり イデアルかつ右 みぎ イデアルであるとき、A を両側 りょうがわ イデアル (two-sided ideal ) あるいは単 たん にイデアル (ideal ) と言 い う。
半 はん 群 ぐん S の部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん からなる族 ぞく の交 まじ わりは再 ふたた び S の部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん となる。すなわち、S の部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん の全体 ぜんたい は完備 かんび 束 たば を成 な す。
極小 きょくしょう イデアル(包含 ほうがん 関係 かんけい に関 かん して極小 きょくしょう なイデアル)を持 も たない半 はん 群 ぐん の例 れい は、正 せい の整数 せいすう 全体 ぜんたい が加法 かほう に関 かん して成 な す半 はん 群 ぐん N である。可 か 換 かわ 半 はん 群 ぐん の極小 きょくしょう イデアルは(存在 そんざい するならば)群 ぐん を成 な す。
元 もと をそれが生成 せいせい する主 しゅ イデアル の言葉 ことば で特徴付 とくちょうづ ける、五 いつ つの同値 どうち 関係 かんけい からなるグリーンの関係 かんけい 式 しき (英語 えいご 版 ばん ) は半 はん 群 ぐん のイデアルや関連 かんれん する構造 こうぞう 概念 がいねん を調 しら べる重要 じゅうよう な道具 どうぐ である。
半 はん 群 ぐん 準 じゅん 同型 どうけい と半 はん 群 ぐん 合同 ごうどう [ 編集 へんしゅう ]
半 はん 群 ぐん の準 じゅん 同型 どうけい (semigroup homomorphism ) とは半 はん 群 ぐん 構造 こうぞう を保 たも つ写像 しゃぞう のことである。2つの半 はん 群 ぐん S, T の間 あいだ の写像 しゃぞう f : S → T が準 じゅん 同型 どうけい であるとは、等式 とうしき
f (ab ) = f (a )f (b )
が S の各 かく 元 もと a, b に対 たい して成立 せいりつ することを言 い う。つまり(S の中 なか で)積 せき をとってから f で写 うつ しても、f で写 うつ してから(T のなかで)積 せき をとっても同一 どういつ の結果 けっか が得 え られると言 い うことである。半 はん 群 ぐん が単位 たんい 元 もと を持 も つ場合 ばあい でも、半 はん 群 ぐん 準 じゅん 同型 どうけい は必 かなら ずしも単位 たんい 元 もと を単位 たんい 元 もと に移 うつ すとは限 かぎ らない。
ふたつの半 はん 群 ぐん S, T が同型 どうけい であるとは、全 ぜん 単 たん 射 しゃ の半 はん 群 ぐん 準 じゅん 同型 どうけい (すなわち半 はん 群 ぐん 同型 どうけい 写像 しゃぞう )f : S ↔ T が存在 そんざい することを言 い う。同型 どうけい な半 はん 群 ぐん は、半 はん 群 ぐん として同一 どういつ の構造 こうぞう を持 も つ。
半 はん 群 ぐん 合同 ごうどう (semigroup congruence ) ∼ は、半 はん 群 ぐん 演算 えんざん と両立 りょうりつ する同値 どうち 関係 かんけい である。つまり、半 はん 群 ぐん 合同 ごうどう ∼ (⊂ S × S ) は S 上 うえ の同値 どうち 関係 かんけい であって、かつ
[x ∼ y かつ u ∼ v ] ならば xu ∼ yv
が S の任意 にんい の元 もと x, y, u, v に対 たい して成立 せいりつ するものを言 い う。任意 にんい の同値 どうち 関係 かんけい と同 おな じく半 はん 群 ぐん 合同 ごうどう ∼ は合同 ごうどう 類 るい
[
a
]
=
{
x
∈
S
∣
x
∼
a
}
{\displaystyle [a]=\{x\in S\mid x\sim a\}}
を定 さだ めるが、さらに合同 ごうどう 類 るい の間 あいだ の二 に 項 こう 演算 えんざん ∘ を
[
u
]
∘
[
v
]
=
[
u
v
]
{\displaystyle [u]\circ [v]=[uv]}
で定 さだ めるとこれは矛盾 むじゅん 無 な く定義 ていぎ できて半 はん 群 ぐん 演算 えんざん となる。これにより、半 はん 群 ぐん 合同 ごうどう ∼ による合同 ごうどう 類 るい の全体 ぜんたい S /∼ は ∘ を演算 えんざん として半 はん 群 ぐん を成 な す。この半 はん 群 ぐん を剰余 じょうよ 半 はん 群 ぐん (residue class semigroup ) 、商 しょう 半 はん 群 ぐん (quotient semigroup , factor semigroup ) などと呼 よ ぶ。自然 しぜん な写像 しゃぞう
S
→
S
/
∼
;
x
↦
[
x
]
{\displaystyle S\to S/{\sim }\,;\;x\mapsto [x]}
は全 ぜん 射 い 半 はん 群 ぐん 準 じゅん 同型 どうけい であり、商 しょう 写像 しゃぞう などと呼 よ ばれる。S がモノイドならばその剰余 じょうよ 半 はん 群 ぐん は S の単位 たんい 元 もと の属 ぞく する合同 ごうどう 類 るい を単位 たんい 元 もと とするモノイドを成 な す。逆 ぎゃく に、任意 にんい の半 はん 群 ぐん 準 じゅん 同型 どうけい の核 かく は半 はん 群 ぐん 合同 ごうどう を与 あた える。これらの結果 けっか は、普遍 ふへん 代数 だいすう 学 がく における第 だい 一同 いちどう 型 がた 定理 ていり の特別 とくべつ な場合 ばあい にほかならない。
半 はん 群 ぐん の任意 にんい のイデアル I は、
x
ρ ろー
y
⟺
x
=
y
or
x
,
y
∈
I
{\displaystyle x\,\rho \,y\iff x=y{\text{ or }}x,y\in I}
で定 さだ まる半 はん 群 ぐん 合同 ごうどう ρ ろー に関 かん するリース剰余 じょうよ 半 はん 群 ぐん (英語 えいご 版 ばん ) として部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん を誘導 ゆうどう する。
S の任意 にんい の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう A に対 たい し、A を含 ふく むような S の最小 さいしょう の部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん T が存在 そんざい する。この T を A が生成 せいせい する (generate ) 部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん という。S の一 ひと つの元 もと x が(つまり単元 たんげん 集合 しゅうごう {x } が)生成 せいせい する部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん (の台 たい 集合 しゅうごう ) { x n | n は正 せい の整数 せいすう } が有限 ゆうげん 集合 しゅうごう であるとき、x は有限 ゆうげん な位 い 数 すう を持 も つ、あるいは位 くらい 数 すう 有限 ゆうげん (finite order ) であるといい、そうでないとき無限 むげん 位 い 数 すう を持 も つあるいは位 くらい 数 すう 無限 むげん (infinite order ) であるという。
半 はん 群 ぐん が周期 しゅうき 的 てき (periodic ) あるいはねじれ半 はん 群 ぐん (torsion semigroup ) であるとは、その任意 にんい の元 もと が位 くらい 数 すう 有限 ゆうげん であるときに言 い う。また、ただ一 ひと つの元 もと から生成 せいせい される半 はん 群 ぐん は単項 たんこう 生成 せいせい または巡回 じゅんかい 半 はん 群 ぐん であるという。巡回 じゅんかい 半 はん 群 ぐん が位 くらい 数 すう 無限 むげん ならばそれは正 せい の整数 せいすう 全体 ぜんたい が加法 かほう に関 かん して成 な す半 はん 群 ぐん に同型 どうけい であり、位 くらい 数 すう 有限 ゆうげん かつ空 そら でないならば少 すく なくとも一 ひと つは冪 べき 等 とう 元 もと を含 ふく まねばならない。したがって、任意 にんい の空 そら でない周期 しゅうき 的 てき 半 はん 群 ぐん は少 すく なくともひとつの冪 べき 等 とう 元 もと を含 ふく む。
半 はん 群 ぐん の部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん は、それ自身 じしん が群 ぐん を成 な すならば部分 ぶぶん 群 ぐん と呼 よ ばれる。半 はん 群 ぐん の部分 ぶぶん 群 ぐん と半 はん 群 ぐん の冪 べき 等 とう 元 もと の間 あいだ には近 ちか しい関係 かんけい が存在 そんざい する。半 はん 群 ぐん の各 かく 部分 ぶぶん 群 ぐん はちょうど一 ひと つの冪 べき 等 とう 元 もと を含 ふく み、それはつまり部分 ぶぶん 群 ぐん の単位 たんい 元 もと である。逆 ぎゃく に、半 はん 群 ぐん の各 かく 冪 べき 等 とう 元 もと e に対 たい し、e を含 ふく む極大 きょくだい 部分 ぶぶん 群 ぐん が唯 ただ 一 ひと つ存在 そんざい する。半 はん 群 ぐん の各 かく 極大 きょくだい 部分 ぶぶん 群 ぐん は必 かなら ずこのやり方 かた で得 え ることができ、したがって半 はん 群 ぐん の極大 きょくだい 部分 ぶぶん 群 ぐん と冪 べき 等 とう 元 もと との間 あいだ に一対一 いちたいいち 対応 たいおう がとれる。ここでの、極大 きょくだい 部分 ぶぶん 群 ぐん は群論 ぐんろん における標準 ひょうじゅん 的 てき な語法 ごほう とは異 こと なる。
位 くらい 数 すう 有限 ゆうげん の場合 ばあい にはさらにいろいろなことが言 い える。例 たと えば、任意 にんい の空 そら でない有限 ゆうげん 半 はん 群 ぐん は、周期 しゅうき 的 てき で、極小 きょくしょう イデアルを持 も ち、少 すく なくとも一 ひと つの冪 べき 等 とう 元 もと を持 も つ。さらなる有限 ゆうげん 半 はん 群 ぐん の構造 こうぞう についての議論 ぎろん はKrohn-Rhodes理論 りろん (英語 えいご 版 ばん ) の項 こう を参照 さんしょう せよ。
モノイド は単位 たんい 的 てき 半 はん 群 ぐん である。
部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん は半 はん 群 ぐん の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう であって、もとの半 はん 群 ぐん の演算 えんざん について閉 と じているようなものである。部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん が群 ぐん を成 な すならば、それをもとの半 はん 群 ぐん の部分 ぶぶん 群 ぐん と呼 よ ぶ。
帯 おび はその演算 えんざん が冪 べき 等 とう であるような半 はん 群 ぐん である。
消 けし 約 やく 半 はん 群 ぐん は左 ひだり 消 けし 約 やく 律 りつ 「ab = ac ならば b = c 」かつ右 みぎ 消 けし 約 やく 律 りつ 「ba = ca ならば b = c 」を満 み たす半 はん 群 ぐん である[ 1] 。
半 はん 束 たば はその演算 えんざん が冪 べき 等 とう かつ可 か 換 かわ な半 はん 群 ぐん である。
0-単純 たんじゅん 半 はん 群 ぐん
変換 へんかん 半 はん 群 ぐん は何 なん らかの集合 しゅうごう 上 じょう の変換 へんかん からなる、写像 しゃぞう の合成 ごうせい を積 せき とする半 はん 群 ぐん である。任意 にんい の有限 ゆうげん 半 はん 群 ぐん S は高々 たかだか |S | + 1 個 こ の状態 じょうたい をもつ(状態 じょうたい )集合 しゅうごう Q 上 うえ の変換 へんかん 半 はん 群 ぐん として表現 ひょうげん することができる。S の各 かく 元 もと x は Q をそれ自身 じしん に写 うつ す写像 しゃぞう x : Q → Q であり、列 れつ xy は Q の各 かく 元 もと q に対 たい して q (xy ) = (qx )y と定義 ていぎ される。変換 へんかん の列 れつ を作 つく る操作 そうさ は明 あき らかに結合 けつごう 的 てき 演算 えんざん で、ここでは写像 しゃぞう の合成 ごうせい と等価 とうか である。この表現 ひょうげん は任意 にんい のオートマトン あるいは有限 ゆうげん 状態 じょうたい 機械 きかい (FSM) に対 たい する基本 きほん である。
双 そう 巡回 じゅんかい 半 はん 群 ぐん (英語 えいご 版 ばん ) (実 じつ はモノイド)は、二 ふた つの生成 せいせい 元 もと p , q が生成 せいせい する自由 じゆう 半 はん 群 ぐん を基本 きほん 関係 かんけい 式 しき pq = 1 で割 わ ったものとして得 え られる。
C 0 -半 はん 群 ぐん は発展 はってん 方程式 ほうていしき の解 かい の時間 じかん 発展 はってん を表 あらわ す半 はん 群 ぐん である。これは解析 かいせき 学 がく における半 はん 群 ぐん の代表 だいひょう 例 れい である。
正則 せいそく 半 はん 群 ぐん は各 かく 元 もと x が少 すく なくとも一 ひと つの一般 いっぱん 化 か 逆 ぎゃく 元 もと y (xyx =x かつ yxy =y を満 み たす元 もと )を持 も つ半 はん 群 ぐん である。このとき元 もと x および y は「互 たが いに逆 ぎゃく である」("mutually inverse") ということもある。
逆 ぎゃく 半 はん 群 ぐん は任意 にんい の原 はら がちょうど一 ひと つの一般 いっぱん 化 か 逆 ぎゃく 元 もと をもつような正則 せいそく 半 はん 群 ぐん である。あるいは、正則 せいそく 半 はん 群 ぐん が逆 ぎゃく 半 はん 群 ぐん となるために必要 ひつよう 十分 じゅうぶん な条件 じょうけん として、任意 にんい の二 ふた つの冪 べき 等 とう 元 もと が互 たが いに可 か 換 かわ となることが挙 あ げられる。
アフィン半 はん 群 ぐん は Z d の有限 ゆうげん 生成 せいせい 部分 ぶぶん 半 はん 群 ぐん に同型 どうけい な半 はん 群 ぐん である。アフィン半 はん 群 ぐん は可 か 換 かわ 環 たまき 論 ろん に応用 おうよう を持 も つ。
半 はん 群 ぐん S の分数 ぶんすう 群 ぐん あるいは商 しょう の群 ぐん (group of fractions ) G = G (S ) とは、S の元 もと 全体 ぜんたい で生成 せいせい され、S において成立 せいりつ する xy = z の形 かたち の等式 とうしき すべてを基本 きほん 関係 かんけい とするような群 ぐん である[ 2] 。商 しょう の群 ぐん は S から群 ぐん への射 しゃ に対 たい する普遍 ふへん 性 せい を示 しめ す[ 3] 。
明 あき らかに S の各 かく 元 もと を G (S ) の中 なか の対応 たいおう する生成 せいせい 元 もと に写 うつ す写像 しゃぞう が存在 そんざい する。重要 じゅうよう な問題 もんだい として、この写像 しゃぞう が埋 う め込 こ みとなるような半 はん 群 ぐん の特徴 とくちょう づけの問題 もんだい がある。必 かなら ずしも埋 う め込 こ みとならないことの例 れい として、S をある集合 しゅうごう X の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう が交 まじ わり を演算 えんざん として成 な す半 はん 群 ぐん がある(実 じつ は半 はん 束 たば を成 な す)。これは、S の任意 にんい の元 もと が AA = A を満 み たすから G (S ) の生成 せいせい 元 もと もすべてそうでなければならず、したがって G (S ) は自明 じめい 群 ぐん となっている。問題 もんだい の写像 しゃぞう S → G (S ) が埋 う め込 こ みとなるためには S が消 けし 約 やく 律 りつ を満 み たすことが必要 ひつよう となるのは明 あき らかである。S が可 か 換 かわ ならばそれは十分 じゅうぶん 条件 じょうけん にもなり[ 4] 、かつ半 はん 群 ぐん のグロタンディーク群 ぐん が分数 ぶんすう 群 ぐん の構成 こうせい を与 あた える。非 ひ 可 か 換 かわ 半 はん 群 ぐん に対 たい するこの問題 もんだい は半 はん 群 ぐん について本格 ほんかく 的 てき にあつかった最初 さいしょ の論文 ろんぶん (Suschkewitsch 1928 ) で追求 ついきゅう されている[ 5] 。アナトリー・マルチェフ (英語 えいご 版 ばん ) は1937年 ねん に埋 う め込 こ み可能 かのう 性 せい についての必要 ひつよう 条件 じょうけん を与 あた えている[ 6] 。
偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき の半 はん 群 ぐん 法 ほう [ 編集 へんしゅう ]
半 はん 群論 ぐんろん は、偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき 論 ろん においてもある種 しゅ の問題 もんだい の研究 けんきゅう のために用 もち いられる。大雑把 おおざっぱ にいえば、半 はん 群 ぐん を使 つか った手法 しゅほう というのは偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき をある種 しゅ の函数 かんすう 空間 くうかん 上 じょう の常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき とみなすことである。例 たと えば、次 つぎ のような空間 くうかん 的 てき な区間 くかん (0, 1) ⊂ R と時間 じかん t ≥ 0 上 じょう の熱 ねつ 方程式 ほうていしき の初期 しょき 値 ち /境界 きょうかい 値 ち 問題 もんだい
{
∂
t
u
(
t
,
x
)
=
∂
x
2
u
(
t
,
x
)
,
(
x
∈
(
0
,
1
)
,
t
>
0
)
;
u
(
t
,
x
)
=
0
,
(
x
∈
{
0
,
1
}
,
t
>
0
)
;
u
(
t
,
x
)
=
u
0
(
x
)
,
(
x
∈
(
0
,
1
)
,
t
=
0
)
{\displaystyle {\begin{cases}\partial _{t}u(t,x)=\partial _{x}^{2}u(t,x),&(x\in (0,1),t>0);\\u(t,x)=0,&(x\in \{0,1\},t>0);\\u(t,x)=u_{0}(x),&(x\in (0,1),t=0)\end{cases}}}
を考 かんが える。X をL 2 ((0, 1); R ) とし、A を
D
(
A
)
=
{
u
∈
H
2
(
(
0
,
1
)
;
R
)
∣
u
(
0
)
=
u
(
1
)
=
0
}
{\displaystyle D(A)=\{u\in H^{2}((0,1);\mathbf {R} )\mid u(0)=u(1)=0\}}
を定義 ていぎ 域 いき とする二 に 階 かい 微分 びぶん 作用素 さようそ とすれば、先 さき ほどの初期 しょき 値 ち /境界 きょうかい 値 ち 問題 もんだい は空間 くうかん X 上 うえ の常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき の初期 しょき 値 ち 問題 もんだい
{
u
˙
(
t
)
=
A
u
(
t
)
;
u
(
0
)
=
u
0
{\displaystyle {\begin{cases}{\dot {u}}(t)=Au(t);\\u(0)=u_{0}\end{cases}}}
として解釈 かいしゃく することができる。発見 はっけん 的 てき 方法 ほうほう のレベルでいえば、この問題 もんだい の解 かい は u (t ) = exp(tA )u 0 という形 かたち をしている「はず」である。しかし厳密 げんみつ に言 い えば tA の冪 べき とは何 なに であるかということに意味 いみ を与 あた えなければならない。t の函数 かんすう としては、exp(tA ) は X から X への作用素 さようそ からなる半 はん 群 ぐん であり、時刻 じこく t = t 0 において初期 しょき 状態 じょうたい u 0 をとり、任意 にんい の時刻 じこく t において状態 じょうたい u (t ) = exp(tA )u 0 をとるものである。このとき、作用素 さようそ A はこの半 はん 群 ぐん の無限 むげん 小 しょう 生成 せいせい 作用素 さようそ と呼 よ ばれる。
半 はん 群 ぐん の研究 けんきゅう は、群 ぐん や環 たまき といったより複雑 ふくざつ な公理 こうり から決 き まるほかの代数 だいすう 的 てき 構造 こうぞう からすると、随分 ずいぶん と若 わか い。いくつかの文献 ぶんけん [ 7] [ 8] によれば、半 はん 群 ぐん に対応 たいおう する用語 ようご が用 もち いられた最初 さいしょ はフランス語 ふらんすご で、1904年 ねん に J.-A. de Séguier の著 あらわ した Élements de la Théorie des Groupes Abstraits (『抽象 ちゅうしょう 群 ぐん 原論 げんろん 』)においてである。
Anton Suschkewitsch は半 はん 群 ぐん についてのそれなりに意味 いみ のある結果 けっか を得 え た最初 さいしょ の人 ひと で、1928年 ねん の論文 ろんぶん Über die endlichen Gruppen ohne das Gesetz der eindeutigen Umkehrbarkeit (『一意 いちい 可逆 かぎゃく 性 せい の条件 じょうけん を外 はず した有限 ゆうげん 群 ぐん について』)で有限 ゆうげん 単純 たんじゅん 半 はん 群 ぐん の構造 こうぞう を決定 けってい し、有限 ゆうげん 半 はん 群 ぐん の極小 きょくしょう イデアル(あるいはグリーンの関係 かんけい 式 しき の J -系列 けいれつ )が単純 たんじゅん であることを示 しめ した[ 8] 。そういったことからすれば、有限 ゆうげん 群 ぐん 論 ろん の基礎 きそ 付 づ けが行 おこな われるのは随分 ずいぶん と後 のち になってからのことで、デヴィット・リース 、ジェイムス・アレクサンダー・グリーン 、Evgenii Sergeevich Lyapin 、アルフレッド・クリフォード およびゴードン・プレストン らによる。最後 さいご の二 に 者 しゃ は半 はん 群論 ぐんろん に関 かん する二 に 巻 かん のモノグラフを1961年 ねん と1967年 ねん にそれぞれ出版 しゅっぱん している。1970年 ねん には『半 はん 群 ぐん フォーラム 』という定期 ていき 刊行 かんこう 雑誌 ざっし (現在 げんざい はシュプリンガー・フェアラーク が編集 へんしゅう )が発行 はっこう され、半 はん 群論 ぐんろん 全般 ぜんぱん を扱 あつか う数少 かずすく ない数学 すうがく 雑誌 ざっし の一 ひと つとなっている。
近年 きんねん の在野 ざいや の研究 けんきゅう ではより分化 ぶんか が進 すす んでおり、(逆 ぎゃく 半 はん 群 ぐん のような)半 はん 群 ぐん の重要 じゅうよう なクラスに焦点 しょうてん を当 あ てたモノグラフや、代数 だいすう 的 てき オートマトン理論 りろん (特 とく に有限 ゆうげん オートマトン)や函数 かんすう 解析 かいせき 学 がく における応用 おうよう などに焦点 しょうてん を当 あ てたものなども現 あらわ れている。
半 はん 群 ぐん から演算 えんざん の結合 けつごう 性 せい の公理 こうり を落 お とせば、マグマ が得 え られる。これは 二 に 項 こう 演算 えんざん M × M → M を備 そな えた集合 しゅうごう M という意味 いみ 以上 いじょう のものではない。
別 べつ な方向 ほうこう での一般 いっぱん 化 か として、n -項 こう 半 はん 群 ぐん (n -ary semigroup ) あるいはn -半 はん 群 ぐん (n -semigroup ) 、多重 たじゅう 項 こう 半 はん 群 ぐん (polyadic semigroup ) とか多項 たこう 半 はん 群 ぐん (multiary semigroup ) などと呼 よ ばれるタイプの一般 いっぱん 化 か がある。これは演算 えんざん のアリティ を変更 へんこう し、二 に 項 こう 演算 えんざん の替 か わりに多項 たこう 演算 えんざん を備 そな えた「半 はん 群 ぐん 」G を考 かんが えるものである[ 9] 。結合 けつごう 律 りつ の一般 いっぱん 化 か は、たとえば三 さん 項 こう 版 ばん の結合 けつごう 律 りつ が
(abc )de = a (bcd )e = ab (cde )
つまり文字 もじ 列 れつ のどの隣 とな り合 あ う三 みっ つを括弧 かっこ で括 くく ったものも相等 そうとう しい、というふうに与 あた えられる。一般 いっぱん の n -項 こう 版 ばん は n + (n − 1) の長 なが さの文字 もじ 列 れつ のどの隣 とな り合 あ う n -項 こう を括 くく っても相 そう 等 ひと しいとなる。2-半 はん 群 ぐん が通常 つうじょう の半 はん 群 ぐん である。詳細 しょうさい は多項 たこう 群 ぐん (英語 えいご 版 ばん ) を参照 さんしょう
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ブリタニカ国際 こくさい 大 だい 百科 ひゃっか 事典 じてん 小 しょう 項目 こうもく 事典 じてん 『半 はん 群 ぐん 』 - コトバンク
Weisstein, Eric W. "Semigroup" . mathworld.wolfram.com (英語 えいご ).