同性愛どうせいあい

同性愛どうせいあい、またはそれに関かんする表現ひょうげんや結社けっしゃの自由じゆうに対たいする法的ほうてき状況じょうきょうを色分いろわけした世界せかい地図ちず

	同性愛どうせいあいを合法ごうほうとする国くに
	結婚けっこん1		結婚けっこんは認みとめられているが法的ほうてき適用てきようは無むし1
	シビル・ユニオン		事実じじつ婚こん
	同性どうせい結婚けっこんは認みとめられていない		表現ひょうげんや団体だんたいの自由じゆうを法的ほうてきに制限せいげん
	同性愛どうせいあいを違法いほうとする国くに
	強制きょうせい的てき罰則ばっそくはない2		拘禁こうきん
	終身しゅうしん刑けい		死刑しけい

輪わで示しめした地域ちいきは通常つうじょうケースバイケースの適用てきようがされている法律ほうりつや地域ちいきではない場合ばあいに地元じもとの裁判所さいばんしょが結婚けっこんを容認ようにんしたり認みとめなかったり死刑しけい判決はんけつを下くだした場合ばあいがある地域ちいき。
¹このカテゴリに入はいっている一部いちぶの地域ちいきでは現在げんざい他たの種類しゅるいのパートナーシップも存在そんざいするとされている。
²過去かこ3年間ねんかん、もしくはモラトリアムにより法的ほうてきな逮捕たいほはない。

同性愛どうせいあい（どうせいあい）、ホモセクシュアリティ（英えい: Homosexuality）は、男性だんせい同士どうしまたは女性じょせい同士どうしの間あいだでの性愛せいあいや、同性どうせいへの性的せいてき指向しこうを指さす。同性愛どうせいあいの性質せいしつを持もっている人ひとのことを同性愛どうせいあい者しゃ（どうせいあいしゃ）、ホモセクシュアル（英えい: Homosexual）という。ホモセクシャルの略語りゃくごであるホモが主おもに男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃに対たいして使つかわれる場合ばあいがあるが、差別さべつ的てきに使つかわれてきた歴史れきし的てき文脈ぶんみゃくから蔑称べっしょうだとする考かんがえもある。

本ほん項こうでは同性愛どうせいあいの一般いっぱん概要がいようについて記しるす。「日本にっぽんにおける同性愛どうせいあい」は同どう項こうを参照さんしょう。

概説がいせつ

かつて同性愛どうせいあいは多おおくの国くに・地域ちいきで違法いほうまたは異端いたん視しされた。世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）は同性愛どうせいあいを、1990年ねんに疾病しっぺい及および関連かんれん保健ほけん問題もんだいの国際こくさい統計とうけい分類ぶんるい（ICD）からの削除さくじょを決議けつぎするまで、病気びょうきの一種いっしゅとみなしていた。

近年きんねんは普遍ふへん的てきな人権じんけんとして尊重そんちょうされるべきと欧米おうべいでは行動こうどうしている。2001年ねん、世界せかいで初はじめてオランダが同性どうせいカップルに結婚けっこんする権利けんり（同性どうせい結婚けっこん）を認みとめ、2006年ねん、カナダで開催かいさいされたLGBTの競技きょうぎ大会たいかい「ワールドアウトゲームズ」の第だい1回かい大会たいかいの場ばで宣言せんげんされた「モントリオール宣言せんげん」、2006年ねんに採択さいたくされ2007年ねんに国連こくれん人権じんけん理事りじ会かいで承認しょうにんされた「ジョグジャカルタ原則げんそく」、2008年ねんに国際こくさい連合れんごうに提出ていしゅつされた「性的せいてき指向しこうと性せい自認じにんに関かんする声明せいめい」は、同性愛どうせいあい者しゃやLGBTなど性的せいてき少数しょうすう者しゃの権利けんりを高たからかに謳うたい、差別さべつの撤廃てっぱいを求もとめている。2011年ねん12月には世界せかい人権じんけんデーに合あわせてジュネーヴの欧州おうしゅう国連こくれん本部ほんぶでアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくヒラリー・クリントン国務こくむ長官ちょうかんが演説えんぜつし、「同性愛どうせいあい者しゃの権利けんりは人権じんけんであり、人権じんけんは同性愛どうせいあい者しゃの権利けんりだ」と述のべた。

ゲイ（Gay）という単語たんごは、男性だんせいだけでなく女性じょせいの同性愛どうせいあい者しゃであるレズビアン（Lesbian）も含ふくんだ「同性愛どうせいあい者しゃ一般いっぱん」という意味いみで用もちいられることもあり、さらに性的せいてき少数しょうすう者しゃ一般いっぱんを指さすこともある。しかし近年きんねんは、両りょう性愛せいあい者しゃ（バイセクシュアル、Bisexual）とトランスジェンダー（Transgender、性せい同一どういつ性せい障害しょうがい）も含ふくめた性的せいてき少数しょうすう者しゃ一般いっぱんを指さす頭字かしらじ語ごとして、「LGBTQ+」が推奨すいしょうされている。

関連かんれんする用語ようご

性的せいてき指向しこう

　　詳細しょうさいは「性的せいてき指向しこう」を参照さんしょう

性的せいてき指向しこうとは、人ひとの恋愛れんあい・性愛せいあいがどういう対象たいしょうに向むかうのかを示しめす概念がいねんであり、具体ぐたい的てきには、恋愛れんあい・性愛せいあいの対象たいしょうが異性いせいに向むかう異性いせい愛あい（ヘテロセクシュアル）、同性どうせいに向むかう同性愛どうせいあい、男女だんじょ両方りょうほうに向むかう両りょう性愛せいあい（バイセクシュアル）などを指さす。

同性愛どうせいあいは性的せいてき嗜好しこうではなく性的せいてき指向しこうである。

性的せいてき嗜好しこう（sexual preference）と性的せいてき指向しこう（sexual orientation）はその意味いみが大おおきく重かさなる用語ようごである。心理しんり学がく研究けんきゅうでは英語えいごの含意がんいから、性的せいてき嗜好しこうは自発じはつ的てき選択せんたくの結果けっか得えられた後天的こうてんてき性質せいしつ、性的せいてき指向しこうは生来せいらい不変ふへんである先天的せんてんてき性質せいしつとして区別くべつされている。

異い性愛せいあいが性的せいてき指向しこうであるのと同おなじように、同性愛どうせいあいや両りょう性愛せいあいも性的せいてき指向しこうである。

ホモセクシュアル

ホモセクシュアルとは、同性愛どうせいあい者しゃのことである。男性だんせいが男性だんせいに対たいして、女性じょせいが女性じょせいに対たいして性的せいてき指向しこうを持もっていることを同性愛どうせいあいといい、同性愛どうせいあい的てき指向しこうを持もった人ひとを同性愛どうせいあい者しゃ、英語えいごでホモセクシュアルという。語源ごげんは「同おなじ」という意味いみのギリシャ語ご起源きげんの接頭せっとう辞じ「Homo-」に性せいを意味いみする英単語えいたんご「Sexual」を付属ふぞくしたもの。日本にっぽんではこの言葉ことばの本来ほんらいの意味いみが十分じゅうぶんに認知にんちされておらず、男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃをホモセクシュアル、女性じょせい同性愛どうせいあい者しゃをレズビアンと呼よんできた歴史れきしがあり、男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃ（ゲイ）の意味いみで用もちいられることが今いまも多おおい。それゆえにホモセクシュアルが男性だんせい同性どうせい者しゃのみを指さす言葉ことばであるとの誤解ごかいも存在そんざいするが、実際じっさいは同性愛どうせいあい者しゃ全般ぜんぱんを指さす言葉ことばである。しかし、ホモセクシュアルの略りゃくである「ホモ」は差別さべつ的てきなニュアンスがある蔑称べっしょうであるという考かんがえがある。

ゲイ

詳細しょうさいは「ゲイ」を参照さんしょう

ゲイカップル

男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃのことを特とくにゲイと呼よぶ。「Queer（クィア）」などの言葉ことばが侮蔑ぶべつ的てきな意味いみを持もつというので、英語えいご圏けんの男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃらが自分じぶんたちを肯定こうてい的てきに再さい定義ていぎするために、「陽気ようきな」「派手はでな」などの意味いみを持もつ英単語えいたんごの「Gay（ゲイ）」を使つかい始はじめた。ただ「ホモ」やクィアほどでないにせよ、この言葉ことばには差別さべつ的てきな意味いみの内包ないほうされる場合ばあいがあり、しばしばそうした使つかい方かたをされる。広義こうぎには性別せいべつを問とわず同性愛どうせいあい者しゃ全すべてを含ふくむが、日本語にほんご社会しゃかいでは単たんにゲイという場合ばあいは、後述こうじゅつのレズビアンと区別くべつし、男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃのみを指さすことがほとんどである。ただし、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどの英語えいご圏けんではゲイは男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃを指さす場合ばあいが多おおいものの、レズビアンも含ふくめ全ぜん同性愛どうせいあい者しゃを指さす場合ばあいもある。

この単語たんご（名詞めいし）の英語えいごの文献ぶんけんにおける初出しょしゅつは、オックスフォード英語えいご辞典じてんによれば1935年ねんである。ヴィクトリア朝あさのイギリスでは、売春ばいしゅん婦ふ・男娼だんしょうが「Gay（ゲイ）」と呼よばれていた（これは彼かれらが「Gaily（ゲイリー）」、つまり「派手はでに」「華はなやかに」着飾きかざっていたからである）。それが語源ごげんとなり男性だんせいの同性愛どうせいあい者しゃを指さして用もちいられるようになった。1990年代ねんだい以降いこう、海外かいがいではLGBTが一般いっぱん認識にんしきとして広ひろまり、「ゲイ」を男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃを指さす言葉ことばという認識にんしきが世界せかい的てきにも標準ひょうじゅん化かされつつある。

レズビアン

レズビアンのカップル、 フランスの首都しゅとパリのプライド・パレードにて、2005年ねん6月がつ

詳細しょうさいは「レズビアン」を参照さんしょう

女性じょせい同性愛どうせいあい者しゃのことをレズビアンと呼よぶ。

日本にっぽんでは「レズ」という略語りゃくごが良よく用もちいられるが、歴史れきし的てきに含ふくまれてしまった侮蔑ぶべつ的てきなニュアンスを嫌きらい、フランス語ふらんすごの「Bien（ビアン）」が「素敵すてき」を意味いみすることから、意図いと的てきに「ビアン」と略りゃくす者ものもいる。

語源ごげんはギリシアのレスボス島とうに因ちなむ。古代こだいギリシア時代じだいにこの島しまに暮くらしていた詩人しじんのサッポーが、少女しょうじょの教育きょういくを担になっていたと考かんがえられる宗教しゅうきょう的てき女性じょせい結社けっしゃの指導しどう者しゃで、アプロディタ女神めがみへの讃歌さんかや官能かんのう的てきな恋愛れんあいの詩しを多数たすう作つくり、古代こだいにおいて恋愛れんあい詩しの閨ねや秀しゅう詩人しじんとして著名ちょめいだったためである。サッポーは1度ど男性だんせいと結婚けっこんし1女じょを儲もうけているが、彼女かのじょが女性じょせいに宛あてた恋愛れんあい詩しは男性だんせいへのそれより多おおい。

同性愛どうせいあいの定義ていぎ

アメリカ心理しんり学会がっかい、アメリカ精神せいしん医い学会がっかいは、次つぎのように同性愛どうせいあいを定義ていぎする。

同性愛どうせいあいは性的せいてき指向しこうの一種いっしゅで、先天的せんてんてきに同性どうせい（男性だんせい、女性じょせい）間あいだに、性的せいてき・愛情あいじょう的てき・ロマンチックな魅力みりょくの経験けいけんの持続じぞく的てきなパターンを意味いみする。これは性的せいてき行動こうどうだけでなく、パートナー共有きょうゆうの目標もくひょうと価値かち、相互そうご支援しえん、持続じぞく的てきな努力どりょく、非ひセクシャル物理ぶつり的てきな愛情あいじょうを含ふくむ。そして同性愛どうせいあい者しゃらが共有きょうゆうするコミュニティメンバーシップと同性愛どうせいあいを表現ひょうげんする行動こうどうと魅力みりょくを根幹こんかんとする社会しゃかい的てきアイデンティティを意味いみする。

同性愛どうせいあい感情かんじょうを経験けいけんした人ひと

同性愛どうせいあい感情かんじょうを有ゆうしている、もしくは有ゆうしていた人ひとのことを同性愛どうせいあい者しゃと定義ていぎする考かんがえ方かたもある。

同性愛どうせいあいに抑圧よくあつ的てきな文化ぶんかにおいては、調査ちょうさの回答かいとう者しゃが同性愛どうせいあい感情かんじょうの経験けいけんを隠かくそうとする可能かのう性せいも高たかい。この意味いみでの同性愛どうせいあい者しゃの割合わりあいは実じつは安定あんていしており、それを公おおやけにする人ひとの割合わりあいが異ことなるだけではないかという指摘してきもある。

唯一ゆいいつ確実かくじつだと見みなされていることは、この定義ていぎのもとで、同性愛どうせいあい者しゃが人口じんこうの100%を占しめる文化ぶんかや、0%の文化ぶんかは知しられていないということである。

欧米おうべいにおける2006年ねんの匿名とくめい下かの研究けんきゅうでは母はは数すうの20%の人ひとが幾いく分ふんかの同性愛どうせいあい感情かんじょうを抱だいたことを報告ほうこくしているが、自身じしんを「同性愛どうせいあい者しゃ」としてラベリングしている人ひとはごく僅わずかだったとされる。

同性愛どうせいあい感情かんじょうの素因そいんを持もっている人ひと

「生育せいいく環境かんきょうが同性愛どうせいあい感情かんじょうを育はぐくむ要因よういんを持もっており、よい出会であいに恵めぐまれたならば、異い性愛せいあい感情かんじょうを抱だいた可能かのう性せいがある人ひと」を同性愛どうせいあい者しゃと定義ていぎする考かんがえ方かたがある。い換いかえるなら、「生物せいぶつ学がく的てきにどうしても異い性愛せいあい感情かんじょうを抱いだき得えないというわけではない人ひと」である。

フロイトの考かんがえによれば、全すべての人間にんげんはこの意味いみでの同性愛どうせいあい者しゃである。これは、彼かれが「先天的せんてんてきにはいかなる対象たいしょうとも不可ふか逆ぎゃく的てきに結むすびついているわけではない幼児ようじ性欲せいよくが、後天的こうてんてきにいかなる対象たいしょうに結むすびつけられるか」が同性愛どうせいあい/異い性愛せいあいを決定けっていすると考かんがえていたことによる。ただし、フロイト自身じしんはこの意味いみで同性愛どうせいあい者しゃという言葉ことばを使つかったことはない。

より穏当おんとうな意見いけんの人々ひとびとからも、同性愛どうせいあいに抑圧よくあつ的てきでない文化ぶんかにおいては同性愛どうせいあい感情かんじょうを経験けいけんしたことがある人ひとが多おおく見みられることから、この意味いみでの同性愛どうせいあい者しゃの割合わりあいは極きわめて高たかいと見積みつもられている。

ただし、この定義ていぎにおける「同性愛どうせいあい者しゃ（ホモセクシャル）」は「異性愛者いせいあいしゃ（ヘテロセクシャル）」と背反はいはんな概念がいねんではないため、その大だい部分ぶぶんは「両りょう性愛せいあい者しゃ（バイセクシャル）」とみなすこともできる。「両りょう性愛せいあい者しゃ」を除のぞく狭せまい意味いみでの「同性愛どうせいあい者しゃ」、すなわち「生物せいぶつ学がく的てきにどうしても同性どうせい以外いがいに恋愛れんあい感情かんじょうを抱いだき得えない人ひと」はより少すくない。厳密げんみつなパーセンテージについては諸説しょせつあるが、人口じんこうの10パーセントを超こえるとする報告ほうこくは最近さいきんでは見みられない。

医学いがく的てきに、人ひとの一生いっしょうの心しんの変遷へんせんの中なかでは、思春期ししゅんきに恋愛れんあいや同性愛どうせいあいを経験けいけんするのが普通ふつうとされる 。

同性どうせい間あいだの性行為せいこういを経験けいけんした人ひと

同性どうせい間あいだの性行為せいこうい、すなわち同性どうせい同士どうしでの性的せいてきな接触せっしょくを取とり上あげて、その経験けいけんの有無うむによって同性愛どうせいあい者しゃであるか否ひかを区別くべつしようとする考かんがえ方かたもある。ただし、この場合ばあい日本語にほんごにおいては同性どうせい「愛あい」となっているので言語げんご上じょうの問題もんだいがある。また、異性愛者いせいあいしゃに関かんしては、性行為せいこういがなくても異性愛者いせいあいしゃと呼よぶことを（異性愛者いせいあいしゃとも呼よばないほど自然しぜんに）受うけ入いれるのに対たいし、同性愛どうせいあい者しゃを性行為せいこういの経験けいけんの有無うむによって定義ていぎするのは非対称ひたいしょうであり、整合せいごう性せいはないといえ、同性愛どうせいあいをもっぱら性行為せいこういのみに限定げんていしようとする多数たすう派は意識いしきの反映はんえいという指摘してきもある。

この定義ていぎを、感情かんじょう経験けいけんといった主観しゅかん的てきなものに比くらべて科学かがく的てきな優すぐれた尺度しゃくどであると考かんがえる人ひともいる。しかし、幾いくつかの点てんで問題もんだいもある。

• 同性どうせい間あいだの性交せいこう行為こういは文化ぶんか・制度せいど的てきに強つよく規制きせいされることも多おおく、感情かんじょうという内面ないめん的てきなものに比くらべて文化ぶんか・制度せいどが影響えいきょうしやすい
• 同性どうせい間あいだの性行為せいこういに及およぶに必要ひつようとされるパートナーは、人口じんこう密度みつどの低ひくい地域ちいきでは全まったく見みつけられない可能かのう性せいがある。

そのため、同性愛どうせいあいの生物せいぶつ学がく的てきな側面そくめんを検討けんとうする上じょうでは、この定義ていぎは役やくにたないと考かんがえる人ひともいる。

また、同性愛どうせいあい感情かんじょうが無なくても同性どうせい間あいだの性交せいこう行為こういをすることは可能かのうであるので、このことが統計とうけい的てきなズレをもたらしている可能かのう性せいもあると指摘してきされる。単たんなる興味きょうみ本位ほんいや、制度せいど的てきな強制きょうせい、売春ばいしゅん、強姦ごうかん、刑務所けいむしょや寄宿舎きしゅくしゃなどで、異性いせいと接せっする機会きかいがない場合ばあいは、そのような事態じたいになるのは実際じっさいに知しられている（参考さんこう：機会きかい的てき同性愛どうせいあい）。

同性どうせいに対たいして性欲せいよくを感かんじる人ひと

これは定義ていぎとは言いいがたいものではあるが、これは同性愛どうせいあいであるとする/ないとするで意見いけんが分わかれがちである。いわゆる同性どうせいの画像がぞう・映像えいぞうに性欲せいよくを抱いだく人ひと、同性どうせいの身体しんたいやその一部いちぶに性欲せいよくを抱いだく人ひとのことである。

多おおくの場合ばあい、（同性どうせいに対たいして恋愛れんあい感情かんじょうを持もつ）同性愛どうせいあい者しゃから見みると、「これは同性愛どうせいあいには含ふくめない」と考かんがえる人ひとが多おおく、（同性どうせいには一切いっさい性欲せいよくを感かんじない）異性愛者いせいあいしゃから見みると、「これは同性愛どうせいあいの一種いっしゅである」と考かんがえる人ひとが多おおいようである。

• 前者ぜんしゃの人ひとから見みた場合ばあい、これらの人ひとは単たんに性欲せいよくを感かんじているだけであり、実際じっさいに同性どうせいに対たいして恋愛れんあい感情かんじょうがある訳わけではなく、単純たんじゅんに生理せいり的てきな欲求よっきゅうの対象たいしょうとしていると感かんじられるため、実質じっしつ的てきな同性愛どうせいあいではないとしている事ことが多おおい。なんとなれば、恋愛れんあい感情かんじょうという極きわめて個人こじん的てきで繊細せんさいな主観しゅかんを以って選択せんたく的てきに対象たいしょうへ臨のぞむ行動こうどう様式ようしき、つまり「ほれた、すき」を抜ぬきにしており、たとえば異性愛者いせいあいしゃがいちいち雑誌ざっしの異性いせいグラビア頁ぺーじに恋愛れんあいしないのと同等どうとうである、といえよう。
• 逆ぎゃくに後者こうしゃの人ひとから見みた場合ばあい、これらの人ひとは多おおかれ少すくなかれ、異性いせいではない同性どうせいに性的せいてきな感情かんじょうを抱だいていると感かんじられるため、同性愛どうせいあいの一種いっしゅとみなしている事ことが多おおい。同性愛どうせいあい者しゃとは常つねに必かならず同性どうせいを、なんらかの感情かんじょう、対象たいしょうとして視野しやにおいている、という前提ぜんていの固定こてい観念かんねんに基もとづいている。

偏見へんけんと実像じつぞう

同性愛どうせいあいの割合わりあい

近年きんねんの多おおくの英えい米べいの調査ちょうさでは人口じんこうの2-13%（50人にんに1人ひとりから8人にんに1人ひとり）の割合わりあいで同性愛どうせいあい者しゃが存在そんざいしていると言いわれている。

電通でんつうダイバーシティ・ラボが、2018年ねん10月がつに全国ぜんこく20～59歳さいの個人こじん60,000名めいを対象たいしょうに、LGBTを含ふくむ性的せいてき少数しょうすう者しゃ＝セクシュアル・マイノリティに関かんする広範こうはんな調査ちょうさを行おこなった結果けっか、LGBT層そうに該当がいとうする人ひとは8.9％だった。

治療ちりょう対象たいしょうからの除外じょがい

WHO（世界せかい保健ほけん機関きかん）の疾病しっぺい分類ぶんるい「ICD-10」、アメリカ精神せいしん医い学会がっかい「DSM」では、同性愛どうせいあいは「異常いじょう」「倒錯とうさく」「精神せいしん疾患しっかん」とはみなさず、治療ちりょうの対象たいしょうから外はずされている。そして同性愛どうせいあいなどの性的せいてき指向しこうについて、矯正きょうせいするのは間違まちがいであると記載きさいしている。

かつて「DSM-Ⅰ」で同性愛どうせいあいは「病的びょうてき性欲せいよくをともなった精神病せいしんびょう質しつ人格じんかく」と規定きていされていたが、1973年ねん12月、アメリカ精神せいしん医い学会がっかいの理事りじ会かいが、同性愛どうせいあい自体じたいは「精神せいしん障害しょうがいとして扱あつかわない」と決議けつぎした。それにより、1974年ねんの『DSM-Ⅱ第だい7刷さつ』以降いこうは「同性愛どうせいあい」という診断しんだん名めいは削除さくじょされ、代かわって「性的せいてき指向しこう障害しょうがい」という診断しんだん名めいになった。

1980年ねんの「DSM-Ⅲ」では「自我じが異い和わ的てき同性愛どうせいあい」という診断しんだん名めいが登場とうじょうした。「自我じが異い和わ的てき同性愛どうせいあい」とは、自みずからの性的せいてき指向しこうで悩なやみ、それを変かえたいという持続じぞく的てき願望がんぼうを持もつ場合ばあいの診断しんだん名めいである（同性愛どうせいあい者しゃであることを自みずから肯定こうていできている場合ばあいは病気びょうきではない）。しかし、この診断しんだん名めいも同性愛どうせいあい自体じたいが障害しょうがいと考かんがえられているとの誤解ごかいを生うんだことや、自みずからの性的せいてき指向しこうで悩なやむのは本人ほんにんに問題もんだいがあるからではなく、社会しゃかいの偏見へんけんに起因きいんするという問題もんだい意識いしきから、1987年ねんのDSM-Ⅲの修正しゅうせい版ばん「DSM-Ⅲ-R」では、これも性せい障害しょうがいから除外じょがいされた。そして1990年ねんの「DSM-Ⅳ」で、精神せいしん疾患しっかんリストから同性愛どうせいあいは完全かんぜんに削除さくじょされた。

またWHOのICD国際こくさい疾病しっぺい分類ぶんるいの第だい9版はん「ICD-9」（1975年ねん）では「性的せいてき逸脱いつだつ及および障害しょうがい」の項こうの1つに「同性愛どうせいあい」という分類ぶんるい名めいが挙あげられていたが、1979年ねんには「精神せいしん障害しょうがいと考かんがえられるべきか否ひかにかかわらず、同性愛どうせいあいをここに分類ぶんるい」との注釈ちゅうしゃくがついた。そして1990年ねん採択さいたくの「ICD-10」では「同性愛どうせいあい」の分類ぶんるい名めいは廃止はいしされ、「自我じが異い和わ的てき性的せいてき定位ていい」という分類ぶんるい名めいが用もちいられたが、「性的せいてき指向しこう自体じたいは、障害しょうがいと考かんがえられるべきではない。」と注釈ちゅうしゃくがついた。これにより、同性愛どうせいあい自体じたいは精神せいしん障害しょうがいとされなくなった。1993年ねん、WHOは再ふたたび「同性愛どうせいあいは、いかなる意味いみでも治療ちりょうの対象たいしょうにならない」と宣言せんげんした。

日本にっぽんの厚生省こうせいしょうは、1994年ねんにWHOの見解けんかいを踏襲とうしゅうし、日本にっぽん精神せいしん神経しんけい学会がっかいも1995年ねんにWHOなどの見解けんかいを尊重そんちょうすると表明ひょうめいし、「同性愛どうせいあいは、いかなる意味いみでも治療ちりょうの対象たいしょうとはならない」と宣言せんげんしている。文部省もんぶしょうも1994年ねんに、指導しどう書しょの「性せい非行ひこう」の項目こうもくから同性愛どうせいあいを削除さくじょした。

このように、同性愛どうせいあいそのものは疾患しっかんでは無ないとされるようになった。ただ同性愛どうせいあいである事ことによって差別さべつされたり、社会しゃかい規範きはんとの適合てきごう性せいから思おもい悩なやみ、鬱うつ病びょうなど精神せいしん障害しょうがいを発症はっしょうするケースがある（後述こうじゅつも参照さんしょう）。その場合ばあいは『同性愛どうせいあい者しゃを差別さべつする社会しゃかい病理びょうりに根ねざした鬱うつ病びょう』として捉とらえられる。

同性愛どうせいあい者しゃは異性いせい装そうをするのか

同性愛どうせいあい者しゃは異性いせい装そう（女装じょそう、男装だんそう）をする人ひとがいる。一般いっぱん的てきには、性せい同一どういつ性せい障害しょうがい（持もって生うまれた身体しんたいに違和感いわかんがあり、異性いせいになりたい人ひと。例れい：はるな愛あい）、異性いせい装そうをする同性愛どうせいあい者しゃ（異性いせい装そうはするが身体しんたいは元もとの性せいでいたい同性愛どうせいあい者しゃ。例れい：ミッツ・マングローブ）、異性いせい装そうをする異性愛者いせいあいしゃ、そして同性愛どうせいあい者しゃの違ちがいが分わからないという人ひとが多おおく、ニューハーフやMtF-GIDや女装じょそう家かとゲイを混同こんどうしている場合ばあい、ゲイの多おおくが女装じょそうをしているように見みえてしまうことがある。

しかし、実際じっさいには大だい部分ぶぶんの同性愛どうせいあい者しゃは異性いせい装そうをしない。異性いせい装そうをする同性愛どうせいあい者しゃは極少きょくしょう数すうであり、異性いせい装そうをする異性愛者いせいあいしゃもいる。

同性愛どうせいあい者しゃと異性いせいの関係かんけい

特とくにレズビアンに対たいし、男性だんせい恐怖症きょうふしょうではないかという誤解ごかいが見受みうけられる。『ゲイ 新あたらしき隣人りんじんたち』（モートン・ハント著ちょ、窪田くぼた高明こうめい訳やく、河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ）では、男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃの場合ばあい、約やく半数はんすうはいずれかの時点じてんで女性じょせいとの性交せいこうを経験けいけんしており、女性じょせいに関心かんしんも性的せいてき感情かんじょうも過去かこに1度ども抱だいたことのないゲイ男性だんせいは、全体ぜんたいの4分ぶんの1としている（ただし、『ゲイ 新あたらしき隣人りんじんたち』の出版しゅっぱん年ねんが1982年ねんであることを考慮こうりょすると、この本ほんではバイセクシュアル男性だんせいをゲイに含ふくめていた可能かのう性せいが高たかい。1982年ねん当時とうじはゲイとバイセクシュアル男性だんせいの区別くべつが曖昧あいまいであった）。

同性愛どうせいあいカップルには男役おとこやくと女おんな役やくがいるのか

イェール大学だいがくのQ Magazineは、「ゲイ男性だんせいはタチ（Top）とネコ（Bottom）に分わかれる」、「同性どうせい間あいだのリレーションシップは片方かたがたが女性じょせい的てきな役割やくわりでもう一方いっぽうが男性だんせい的てき役割やくわりである」といった異い性愛せいあい社会しゃかいの通念つうねんや慣習かんしゅうをに当あてはめる考かんがえは、彼かれらの実態じったいに則そくしていないとしている。それでも敢あえてその無意味むいみな性せい役割やくわりの概念がいねんを同性愛どうせいあい者しゃに適用てきようしていうならば、そのような状態じょうたいに近ちかいカップルと、そうでないカップルが存在そんざいするということになる。

自覚じかく・カミングアウト

自分じぶんが同性愛どうせいあい者しゃと自覚じかくしはじめた初期しょき段階だんかいにおいて、少すくなからずの者ものが自己じこ嫌悪けんおや自己じこ否定ひていの感情かんじょうに苛さいなまれることがあるとされる。そして、初期しょき段階だんかいを経過けいかし、ゲイやレズビアンであることを受うけ容いれ、自己じこ承認しょうにんすることは、受容じゅよう(アクセプタンス)段階だんかいとなるは。カミングアウトの一ひとつ前まえの段階だんかいで、セクシュアル・アイデンティティを自己じこ肯定こうていするための大切たいせつな過程かていとされる。一方いっぽうのカミングアウトは自みずからが同性愛どうせいあい者しゃであることを確認かくにんした上うえで、それを自分じぶんや周囲しゅういに隠かくさず素直すなおに生いきることを指さす。カミングアウトで自身じしんの性的せいてき指向しこうや性せい自認じにんをカミングアウトしたレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの人々ひとびとを祝いわい、人々ひとびとの認識にんしき向上こうじょうを目的もくてきとした記念きねん日びが10月11日にちにある。モントリオール大学だいがく系けいのラ・フォンテーヌ病院びょういんのチームは、カミングアウトした同性愛どうせいあい者しゃは、それをしていない同性愛どうせいあい者しゃよりもストレスが少すくなく、異性愛者いせいあいしゃよりもリラックスしていることがあるとする研究けんきゅう結果けっかを発表はっぴょうした。

同性愛どうせいあい者しゃと健康けんこう

詳細しょうさいは「LGBTとヘルスケア」を参照さんしょう

同性愛どうせいあい者しゃの精神せいしん疾患しっかん

差別さべつや偏見へんけんのせいでうつ病びょうになる同性愛どうせいあい者しゃもいる。

1989年ねんのアメリカの保健ほけん社会しゃかい福祉ふくし省しょうの調査ちょうさによれば、思春期ししゅんきの自殺じさつ者しゃのうち約やく30%が同性愛どうせいあい者しゃを中心ちゅうしんにしたセクシャルマイノリティである。

ゲイ・バイセクシュアル男性だんせいを対象たいしょうとして、2005年ねん、京都きょうと大学だいがく大学院だいがくいん医学いがく研究けんきゅう科かの日高ひだか庸いさお晴はれ氏し（当時とうじ。現在げんざいは関西かんさい看護かんご医療いりょう大学だいがく講師こうし）らが国くにの補助ほじょを受うけてインターネット・ホームページ上じょうで行おこなったアンケート調査ちょうさ（2005年ねん8月がつ～11月がつ調査ちょうさ実施じっし）によると、約やく6000人にんが回答かいとうしたうち、3人にんに2人ふたりがこれまでに自殺じさつを考かんがえたことがあり、14%は実際じっさいに自殺じさつ未遂みすいの経験けいけんがあるとの結果けっかが出でた（有効ゆうこう回答かいとう数すう5731）。この割合わりあいは1999年ねん実施じっし調査ちょうさ（有効ゆうこう回答かいとう数すう1025）とほぼ同率どうりつであった。

同性愛どうせいあいの歴史れきし

詳細しょうさいは「LGBT史し年表ねんぴょう」を参照さんしょう

日本にっぽんでの同性愛どうせいあいの歴史れきしは、「日本にっぽんにおける同性愛どうせいあい」に詳くわしく書かかれている。

男性だんせいの同性愛どうせいあいを指さす言葉ことばとして、「男色なんしょく」「断だん袖そで（だんしゅう）」がある。どちらも中国ちゅうごく由来ゆらいの言葉ことばで、武士ぶし同士どうしの男色なんしょくの場合ばあいは衆道しゅどうとも言いう。断だん袖そでは、紀元前きげんぜんの中国ちゅうごく皇帝こうてい哀あい帝みかど (漢かん)が同衾どうきんした董ただし賢けんを起おこさぬよう、董ただし賢けんの頭あたまの下したにあった自分じぶんの衣ころもの片かた袖そでを切きったという故事こじから男色なんしょくの別称べっしょうとなった。

古代こだいギリシャのアテナイなどにおいて、男色なんしょく（少年しょうねん愛あい）は公然こうぜんと行おこなわれており、プラトンの著作ちょさく（『プロタゴラス』『饗宴きょうえん』『パイドロス』など）でも、頻繁ひんぱんに描えがかれている。テーバイの精鋭せいえい部隊ぶたいである神聖しんせい隊たいは男性だんせいの恋人こいびと同士どうしによって編成へんせいされていたとされる。

1969年ねん6月28日にち未明みめいに、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくニューヨーク市内しないグリニッジ・ヴィレッジにあったゲイバー「ストーンウォール・イン（Stonewall Inn）」に警察けいさつの弾圧だんあつ的てき手入ていれが行おこなわれ、これに端はしを発はっした数すう千せん人にん規模きぼの暴動ぼうどう「ストンウォールの反乱はんらん」が発生はっせいした。この事件じけんは世界中せかいじゅうでLGBTの権利けんりを求もとめる声こえが拡まる大おおきな契機けいきとなり、事件じけんの翌年よくねん（1970年ねん）に行おこなわれた暴動ぼうどう発生はっせい1年ねんを記念きねんするデモンストレーションがアメリカ国内こくないの各地かくちで行おこなわれ、これがプライド・パレードの始はじまりとなった。1989年ねん5月26日にちにデンマークで、世界せかいで初はじめて登録とうろくパートナーシップ法ほうが成立せいりつし、10月1日にちに施行しこうされた。

1990年ねん5月17日にち、世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）が疾病しっぺい及および関連かんれん保健ほけん問題もんだいの国際こくさい統計とうけい分類ぶんるい（ICD）から同性愛どうせいあいを削除さくじょし、同性愛どうせいあいは病気びょうきの一種いっしゅではないことを決議けつぎする。

2001年ねん4月がつ1日にちに世界せかい初はつの同性どうせい結婚けっこん（異性いせい同士どうしの結婚けっこんと全まったく同一どういつの婚姻こんいん制度せいど）が、オランダで認みとめられた。

アイスランドの女性じょせい政治せいじ家か、ヨハンナ・シグルザルドッティルは、私生活しせいかつではレズビアンで、2009年ねん2月がつ1日にちに同国どうこく首相しゅしょうに就任しゅうにんし、同性愛どうせいあい者しゃを公言こうげんした世界せかい初はつの国家こっか首脳しゅのうになった。さらに、2010年ねん6月27日にちに女性じょせい脚本きゃくほん家かと結婚けっこんし、同性どうせい結婚けっこんをした世界せかい初はつの国家こっか首脳しゅのうとなった。

2019年ねん5月17日にち、中華民国ちゅうかみんこく（台湾たいわん）で、アジアで初はじめて法的ほうてきに同性どうせい婚こんが認みとめられた。

文化ぶんか・宗教しゅうきょうにおける同性愛どうせいあい

同性愛どうせいあいに対たいする文化ぶんか・宗教しゅうきょうの態度たいどは様々さまざまである。文化ぶんか・宗教しゅうきょうで同性愛どうせいあいに言及げんきゅうする場合ばあい、そのほとんどは男性だんせい同性愛どうせいあいへの言及げんきゅうであり、女性じょせい同性愛どうせいあいについての記述きじゅつは非常ひじょうに限かぎられている。

宗教しゅうきょうにおける同性愛どうせいあい

同性愛どうせいあいに対たいする宗教しゅうきょう上じょうの解釈かいしゃくも人ひとや宗派しゅうはによりさまざまであるが、同性愛どうせいあいをさほどタブー視ししない日本にっぽんに比くらべ、概おおむね欧米おうべいの伝統でんとう的てきな文化ぶんかでは同性愛どうせいあいは否定ひてい的てきに評価ひょうかされている。同性愛どうせいあいを表向おもてむき禁止きんししている文化ぶんか・宗教しゅうきょうは幾いくつか存在そんざいし、例たとえば、アブラハムの宗教しゅうきょうの中なかの少すくなからぬ宗派しゅうはは同性愛どうせいあいを禁きんじている。欧米おうべいの否定ひてい的てき評価ひょうかは、この宗教しゅうきょう的てき倫理りんりによるものである。

キリスト教きりすときょうの中なかでも比較的ひかくてき保守ほしゅ的てきな宗派しゅうはにおいては、『コリントの信徒しんとへの手紙てがみ一いち』の6章しょう9節せつ、『ローマの信徒しんとへの手紙てがみ』の1章しょう26-27節せつなどを基もとに、同性愛どうせいあいを罪つみであると見み做している場合ばあいが多おおい。そのためカトリック教会きょうかいでは、ヨーロッパにおいて中世ちゅうせい・近世きんせいを経へて近代きんだいに至いたるまで、同性愛どうせいあい者しゃに対たいする厳きびしい迫害はくがいが行おこなわれ、多数たすうの者ものが処刑しょけいされた。現代げんだいでは、同性愛どうせいあいは異い性愛せいあいと同様どうように神かみの意思いしに従したがった自然しぜんな存在そんざいであると考かんがえる宗派しゅうはもある。同性どうせい間あいだの性的せいてき行為こういについても、容認ようにんしている教派きょうはと許ゆるされないとする教派きょうはに分わかれる。2020年ねん10月がつ21日にち、カトリック教会きょうかいの最高さいこう位い聖職せいしょく者しゃであるローマ教皇きょうこうのフランシスコは、「彼かれらは神かみの子こであり、家族かぞくになる権利けんりがある」と、同性どうせいカップルの法的ほうてき権利けんりを認みとめるパートナーシップ制度せいど「シビル・ユニオン」への支持しじを表明ひょうめいした。

また、イスラム教いすらむきょうも教義きょうぎ上じょうは同性愛どうせいあいについては否定ひてい的てきな見解けんかいを示しめしている信者しんじゃが少すくなくない。『クルアーン』の7章しょう80節せつ～81節せつと26章しょう162節せつ～166節せつには、預言よげん者しゃルート（聖書せいしょではロト）が男性だんせいに性欲せいよくを抱いだく人々ひとびとを非難ひなんする記述きじゅつがある。これを受うけてイスラム国家こっかでは同性愛どうせいあいが犯罪はんざいとして処罰しょばつの対象たいしょうとなり、現在げんざいでもサウジアラビアやイランのように同性愛どうせいあい者しゃを死刑しけいに処しょする国くにや地域ちいきも存在そんざいする。その一方いっぽう、前ぜん近代きんだいイスラームにおいて同性どうせい間あいだ性行為せいこういが許容きょようされた地域ちいきがあり、同性どうせい間あいだ性行為せいこういを謡うたった詩しなども多おおく詠よまれている。現代げんだいでは同性愛どうせいあい差別さべつに反対はんたいしているムスリムも存在そんざいする。同性愛どうせいあい者しゃやトランスジェンダーのムスリムの団体だんたい「アル＝ファーティハ財団ざいだん」がある。

仏教ぶっきょうにおいては、『正法しょうぼう念ねん処しょ経けい』の十じゅう六ろく小しょう地獄じごくで不倫ふりんをした者ものが落おちる地獄じごく、女性じょせいの口くちを使つかってみだらな行為こういをした者ものが落おちる地獄じごくなどと並ならんで、多た苦悩くのう処しょという男色なんしょく者しゃが落おちる地獄じごくがあると設定せっていされている。迦才の『浄土じょうど論ろん』、源信みなもとのまこと著ちょ『往生おうじょう要よう集しゅう』でも、この多た苦悩くのう処しょについて言及げんきゅうされている。

ヒンドゥー教きょうにおいては、アイヤッパンやアルダーナリシュヴァラのように性せいの垣根かきねを越こえたような神格しんかくが登場とうじょうするものの、地上ちじょう世界せかいにおける同性愛どうせいあいには否定ひてい的てきで法典ほうてん類るいでは罰金ばっきんが定さだめられている。ただし『マヌ法典ほうてん』などではカーストからの追放ついほうといった厳罰げんばつを定さだめている。

日本にっぽんの宗教しゅうきょうである神道しんとうは、教祖きょうそ・教典きょうてんのない創そう唱宗教きょうで、これといった戒律かいりつはないため、同性愛どうせいあいをタブー視ししていない。

今日きょうの日本にっぽんで、一般いっぱんに向むけて強制きょうせい的てきに行使こうしすれば、人権じんけん侵害しんがいやテロ行為こうい等とうの犯罪はんざいとなるような宗教しゅうきょう上じょうの禁止きんし事項じこうに実質じっしつ的てきな意味いみはまったくないが、禁止きんしや罪つみとなる理由りゆうが「聖典せいてんに書かかれているから」といったものである以上いじょう、これにより聖典せいてんの信頼しんらい性せいが問とわれることがある。現時点げんじてんでは、聖典せいてんの作成さくせい者しゃ、及および作成さくせい経緯けいいなどを含ふくめ、その成立せいりつについては、各かく宗派しゅうはの信者しんじゃからの推定すいていのみに留とどまっており、諸説しょせつに実証じっしょうがあるというわけではない。すなわち、「神かみ」が判断はんだんしたのではなく、「神かみ」の判断はんだんと思おもい込こんだ考かんがえ方かたの異ことなる複数ふくすうの人間にんげんの判断はんだんである可能かのう性せいが聖典せいてんには常つねに横よこたわっている。「神かみ」と呼よばれる存在そんざいの解釈かいしゃくひとつをとっても、あらゆる宗派しゅうはや教義きょうぎによって多少たしょう異ことなっており、一貫いっかんしているわけではない（参考さんこう：宗教しゅうきょう戦争せんそう）。

制度せいど化かされた同性愛どうせいあい

歴史れきし的てきには、中世ちゅうせいから近世きんせい初期しょきにかけての日本にっぽんの武士ぶしや、古代こだいギリシア・古代こだいローマのように、男性だんせい間あいだの同性愛どうせいあい行為こういが制度せいど化かされていたり、公然こうぜんと行おこなわれた文化ぶんかも存在そんざいする。

古代こだいギリシアでは、制度せいど化かされていた少年しょうねん愛あいを同性愛どうせいあいとして含ふくめると、同性愛どうせいあいは単たんなる恋愛れんあい・性愛せいあいのバリエーションの1つだったともいえる。異性いせい愛あいとの区別くべつ自体じたいが無なく、同性どうせいと肉体にくたい関係かんけいを持もっても同性愛どうせいあい者しゃという概念がいねん自体じたいが存在そんざいしなかったという。当時とうじのギリシアにおける自由じゆう民みん成人せいじん男性だんせいの性せい対象たいしょうは女性じょせい、少年しょうねん、奴隷どれい、外国がいこく人じんのうちどれを選えらんでもよく、むしろ生涯しょうがいで片方かたがたの性せいにしか性欲せいよくが湧わかないことは通常つうじょうではないとされていたという。但ただし、制度せいど少年しょうねん愛あいにおける同性愛どうせいあい的てき関係かんけいは、概おおむね成人せいじん男性だんせいと思春期ししゅんき前後ぜんこうの少年しょうねんのあいだで結むすばれるもので、これらが集団しゅうだんの結束けっそくを強固きょうこにする目的もくてきがあったり、何なんらかの意味いみで現代げんだい的てきな同性愛どうせいあいとは異ことなるものだと指摘してきする見方みかたもある。周辺しゅうへん時代じだいに登場とうじょうする主おもな史し説せつに、アレクサンドロス3世せい（大王だいおう）のヘファイスティオンとの同性愛どうせいあい関係かんけいやユリウス・カエサルのスエトニウスによるニコメデス4世せいとの関係かんけいなどがある。

ニューギニアではサンビアなどメラネシアの幾いくつかの社会しゃかいで通過つうか儀礼ぎれいの一環いっかんとして男性だんせい同士どうしのフェラチオや肛交が定さだめられているという。但ただし、これは同性どうせいどうしの行為こういという意味いみでは一般いっぱん的てきであるが、これが社会しゃかい的てきな義務ぎむ観念かんねんであることから、「性愛せいあい」ないし「愛情あいじょう」をともなう同性愛どうせいあいの行為こういであるとは必かならずしもいえない。

同性愛どうせいあいに関かんする法ほうと政治せいじ

「国くに・地域ちいき別べつのLGBTの権利けんり」、「ヘイトクライム」、および「同性どうせい結婚けっこん」も参照さんしょう

同性愛どうせいあい、またはそれに関かんする表現ひょうげんや結社けっしゃの自由じゆうに対たいする法的ほうてき状況じょうきょうを色分いろわけした世界せかい地図ちず

	同性愛どうせいあいを合法ごうほうとする国くに
	結婚けっこん1		結婚けっこんは認みとめられているが法的ほうてき適用てきようは無むし1
	シビル・ユニオン		事実じじつ婚こん
	同性どうせい結婚けっこんは認みとめられていない		表現ひょうげんや団体だんたいの自由じゆうを法的ほうてきに制限せいげん
	同性愛どうせいあいを違法いほうとする国くに
	強制きょうせい的てき罰則ばっそくはない2		拘禁こうきん
	終身しゅうしん刑けい		死刑しけい

輪わで示しめした地域ちいきは通常つうじょうケースバイケースの適用てきようがされている法律ほうりつや地域ちいきではない場合ばあいに地元じもとの裁判所さいばんしょが結婚けっこんを容認ようにんしたり認みとめなかったり死刑しけい判決はんけつを下くだした場合ばあいがある地域ちいき。
¹このカテゴリに入はいっている一部いちぶの地域ちいきでは現在げんざい他たの種類しゅるいのパートナーシップも存在そんざいするとされている。
²過去かこ3年間ねんかん、もしくはモラトリアムにより法的ほうてきな逮捕たいほはない。

世界せかいにおいては、同性愛どうせいあい自体じたいが合法ごうほうである国家こっかと、違法いほうである国家こっかが存在そんざいする。同性愛どうせいあいが合法ごうほうである地域ちいきの中なかには、同性どうせい結婚けっこんを認みとめている地域ちいき（スペインやオランダ、カナダ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、イギリスなど）や、婚姻こんいんとは別べつの形かたちで、パートナーシップ制度せいどや内縁ないえん関係かんけいを認みとめている国家こっか（ドイツ、オーストラリア、台湾たいわんなど） がある。

一方いっぽうで違法いほうでなくても、同性どうせいカップルに関かんする認知にんち制度せいどが無なく、同性どうせいカップル自体じたいは社会しゃかい制度せいど上じょう認みとめられていない地域ちいき （日本にっぽんや中国ちゅうごくなど）も多おおく存在そんざいする。但ただし日本にっぽんでは養子ようし縁組えんぐみを結むすべば、対等たいとうなカップルではなく親子おやこ関係かんけいになるものの、婚姻こんいん者しゃとほぼ同等どうとうの権利けんりが認みとめられる。南みなみアフリカ共和きょうわ国こくは、1996年ねんに制定せいていした新しん憲法けんぽうでアパルトヘイトの禁止きんしと同時どうじに、性的せいてき指向しこうにも言及げんきゅうし、同性愛どうせいあいと異性いせい愛あいについて一切いっさいの差別さべつを行おこなわないことを宣言せんげんしている。

サウジアラビアなどイスラム国家こっかでは、同性愛どうせいあいは違法いほうである場合ばあいが多おおい（イスラム教いすらむきょうが多数たすうを占しめる国家こっかであっても、トルコやインドネシアのように世俗せぞく主義しゅぎを採とる国家こっかは、社会しゃかい的てき認知にんち制度せいどは無ないものの合法ごうほう）。違法いほうである国家こっかにおいては、リベリアのように軽犯罪けいはんざいに分類ぶんるいされる国家こっかはほとんど無なく、多おおくの国家こっかで重罪じゅうざいとみなされ、場合ばあいによっては終身しゅうしん刑けいが適用てきようされうる国家こっか（パキスタンなど）、さらには死刑しけいが適用てきようされうる国家こっか（イラン、サウジアラビアなど）もある。

2008年ねん12月に、国際こくさい連合れんごう総会そうかいにおいて「性的せいてき指向しこうと性せい自認じにんに基もとづく差別さべつの撤廃てっぱいと人権じんけん保護ほごの促進そくしんを求もとめる」旨むねの声明せいめいが出だされた。日本にっぽんはこれに賛同さんどうしている。なお賛同さんどうした66ヶ国かこく中ちゅうアジア圏けんで賛同さんどうした国家こっかは日本にっぽんのみで、先進せんしん諸国しょこくのなかでもアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくは賛同さんどうしなかった。ただしアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくは、後のちにオバマ政権せいけんに移行いこうしたこともあり、賛同さんどうする方針ほうしんに転換てんかんしている。

加くわえて、以前いぜんは重罪じゅうざいであった国家こっかでも、合法ごうほう化かへと進すすんでいる国家こっかも存在そんざいする。インドは以前いぜんは重罪じゅうざい (終身しゅうしん刑けいが適用てきようされうる) であった。これはイギリス領りょうインド帝国ていこくの時ときに作つくられた法律ほうりつであったが、2008年ねんには国連こくれんが非ひ違法いほう化かすべきであると提案ていあんし、2009年ねん7月がつにインドの高等こうとう裁判所さいばんしょが、同性愛どうせいあいは違法いほうではないという判決はんけつを出だした。詳くわしくはインドにおける同性愛どうせいあいを参照さんしょう。

日本にっぽんでは、1872（明治めいじ5）年ねんに発令はつれいされた「鶏姦けいかん律りつ条例じょうれい」および1873（明治めいじ6）年ねんに発令はつれいされた「改定かいてい律りつ例れい」では男性だんせい同士どうしの肛門こうもん性交せいこう（鶏姦けいかん）が犯罪はんざいとされた（後者こうしゃの第だい266条じょうでは懲役ちょうえき刑けい）。しかし、1880（明治めいじ13）年ねんに制定せいてい（施行しこうは1882年ねん1月がつ1日にち）された旧きゅう刑法けいほうには、この規定きていはなくなった。それ以来いらい日本にっぽんの法ほうにおいて、同性愛どうせいあいは違法いほうとされておらず、現在げんざい法務省ほうむしょうは性的せいてき指向しこうによる差別さべつをなくす呼よびかけを行おこなっている。一方いっぽうで、同性どうせい結婚けっこんを認みとめる法律ほうりつは存在そんざいしない。G7（フランス、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、イギリス、ドイツ、日本にっぽん、イタリア、カナダ）のうち、同性どうせい結婚けっこんもシビル・ユニオンも法制ほうせい化かされていない国くには日本にっぽんのみである。

詳細しょうさいは「日本にっぽんにおけるLGBTの権利けんり」および「日本にっぽんにおける同性どうせい結婚けっこん」を参照さんしょう

2013年ねん現在げんざい、ロシアにおいては、同性どうせい結婚けっこんは認みとめられておらず、同性愛どうせいあいそのものが、異い性愛せいあいよりも下等かとうであるとされている。2013年ねん6月がつ30日にち、ウラジーミル・プーチン大統領だいとうりょうは、同性愛どうせいあいの宣伝せんでん行為こういに対たいして罰則ばっそくを与あたえる法案ほうあんに署名しょめい、法律ほうりつは成立せいりつした。この法律ほうりつでは、同性愛どうせいあいと異性いせい愛あいの関係かんけいが「社会しゃかい的てきに同等どうとう」であるという「歪いがんだ理解りかい」を持もたせる情報じょうほうを、未成年みせいねん者しゃに広ひろめた者ものに対たいし、最大さいだい5000 ルーブル（約やく1万まん5000円えん）の罰金ばっきんを科かすとしている。外国がいこく人じんにも適用てきようされ、罰金ばっきんだけでなく、身柄みがら拘束こうそく、国外こくがい退去たいきょも可能かのうとしている。

同性愛どうせいあいと社会しゃかい

「同性愛どうせいあいに対たいする社会しゃかい的てきな態度たいど」も参照さんしょう

同性愛どうせいあい者しゃ同士どうしのコミュニケーションや運動うんどう

「ホワイトリボンキャンペーン」、「日本にっぽんにおける同性愛どうせいあい#ゲイのコミュニケーション」、「日本にっぽんにおけるLGBTの権利けんり」、「プライド・パレード」、および「ゲイ雑誌ざっし」も参照さんしょう

パリのプライド・パレード(仏ふつ:La Marche des fiertés)の先頭せんとう、左ひだりからイル＝ド＝フランス地域ちいき圏けん議会ぎかいのジャン・リュック・ロメロ議員ぎいん(国民こくみん運動うんどう連合れんごう)、ヤン・ヴェーリング緑みどりの党とう・党首とうしゅ(当時とうじ)、Inter-LGBTのアラン・ピルウー代表だいひょう、パリ市長しちょうのベルトラン・ドラノエ, 2005年ねん6月25日にち

古来こらいから、通過つうか儀礼ぎれいとして社会しゃかい的てきに同性愛どうせいあいが認みとめられている場合ばあいを除のぞき、自身じしんが同性愛どうせいあい者しゃであると公おおやけに明あかすことをためらう人ひとが少すくなくない。また同性愛どうせいあい者しゃの数かずも相対そうたい的てきには少すくない。ゆえに、同性愛どうせいあい者しゃ同士どうしのコミュニケーションは時とき・場所ばしょが異性愛者いせいあいしゃ同士どうしのそれと比くらべると、ウェブサイトの同性愛どうせいあい者しゃ専用せんようの掲示板けいじばんやSNS、同性愛どうせいあい者しゃを客層きゃくそうとするバーなど狭せまい範囲はんいに限かぎられている。

但ただし、異い性愛せいあい社会しゃかいの中なかでは時とき・場所ばしょが限かぎられているからといって、特とくにゲイ男性だんせい同士どうしの場合ばあい、出会であいが少すくないことは意味いみしない。

日本にっぽんでは、1980年代ねんだい半なかばまでは同性愛どうせいあい者しゃ同士どうしのコミュニケーションはゲイ雑誌ざっしの出会であい投稿とうこう欄らんやバー、発展はってん場じょうなどに限かぎられていたが、1980年代ねんだい後半こうはんに伝言でんごんダイヤルやダイヤルQ2が普及ふきゅうしたことで様変さまがわりした。90年代ねんだい半なかば以降いこうはインターネットの急激きゅうげきな普及ふきゅうと出会であい系けいサイトの登場とうじょうで、同性愛どうせいあい者しゃ同士どうしの出会であいは更さらに容易よういになった。（参照さんしょう：日本にっぽんにおける同性愛どうせいあい#ゲイのコミュニケーション）

近年きんねんでは、自己じこに誇ほこりを持もとうとするための運動うんどうとして、プライド・パレードのようなイベントや、インターネット上じょうでのコミュニケーション、同性愛どうせいあい者しゃへの差別さべつ意識いしき（参考さんこう：ホモフォビア）撤廃てっぱいなどを訴うったえる運動うんどうが行おこなわれている。

インターネットが発達はったつすることによって、かつて少数しょうすう派はとして孤独こどくになりがちだった同性愛どうせいあい者しゃは、世界中せかいじゅうの同性愛どうせいあい者しゃと繋つながることができる環境かんきょうになった。

アイルランドの作家さっかで、同性愛どうせいあい者しゃであるコルム・トビーンは「インターネットができる前まえは大おおいなる孤独こどくがあった。今いまは連帯れんたいがある」と語かたり、インターネットを始はじめとするテクノロジーの発達はったつが、同性愛どうせいあい者しゃの生活せいかつを変かえたと指摘してきしている。

異性愛者いせいあいしゃの同性愛どうせいあいの受容じゅよう

同性愛どうせいあい者しゃに対たいする異性愛者いせいあいしゃの受容じゅようといった観点かんてんにおいての心理しんり学がく的てきなアプローチでは、男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃと女性じょせい同性愛どうせいあい者しゃに対たいして、女性じょせい異性愛者いせいあいしゃは双方そうほうの受容じゅよう傾向けいこうに差さは見みられなかったが、男性だんせい異性愛者いせいあいしゃについては男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃに対たいしてのみ受容じゅようの傾向けいこうが有意ゆういに低ひくいという実験じっけん結果けっかが複数ふくすうの実験じっけんで出でている。これについては、男性だんせいと女性じょせいの「性せいの対象たいしょう」としての視線しせんに慣なれているかいないか、い換いかえれば、女性じょせいは水着みずぎのグラビアなどを筆頭ひっとうに性的せいてきな対象たいしょうとしての視線しせんに晒さらされることが多おおくある程度ていど耐たい性せいがついているが、男性だんせいにはそれがついておらず自身じしんが性せいの対象たいしょうになる可能かのう性せいのある男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃに対たいして拒絶きょぜつ感かんがあるからではないかという推察すいさつもある。ちなみに、カミングアウトされた経験けいけんがある（つまり友人ゆうじんといった他人たにんから自身じしんは同性愛どうせいあい者しゃであると告つげられたことがある）人にんは、全体ぜんたい的てきに受容じゅよう傾向けいこうが強つよいとする実験じっけん結果けっかが出でている。

ポルノ等とうにおける同性愛どうせいあい者しゃ

ポルノ雑誌ざっしやポルノ媒体ばいたいなどにおける男性だんせい同性愛どうせいあいや、「レズもの」における女性じょせい同性愛どうせいあいなどに対たいしては、性的せいてき観点かんてんを重視じゅうしし過すぎている、娯楽ごらく的てき観点かんてんに偏重へんちょうしているとして不快ふかいに感かんじる人ひともいる。また男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃの性せいを商品しょうひん化かしている、男性だんせい同性愛どうせいあい者しゃを異性いせい愛あい社会しゃかいに隷属れいぞくさせるためのステレオタイプに押おし込こめている、などの批判ひはんもある。佐藤さとう雅樹まさきは「異性いせい愛あい女性じょせいが自分じぶんより弱よわい立場たちばの存在そんざい（ゲイ）にステレオタイプを押おし付つけることが『差別さべつ』なのだ」といっている。

同性愛どうせいあいにまつわる事件じけん

アメリカ

• ストーンウォールの反乱はんらん

• ローレンス対たいテキサス州しゅう事件じけん

ドイツ

• ブロンベルク罷免ひめん事件じけん
• ハルデン＝オイレンブルク事件じけん

日本にっぽん

• 東京とうきょう都と青年せいねんの家いえ事件じけん（府中ふちゅう青年せいねんの家いえ事件じけん） - 現在げんざい同どう施設しせつは閉鎖へいさ。

原因げんいん

同性愛どうせいあいになる原因げんいんとして、以下いかで触ふれる脳のうの機能きのう説せつや環境かんきょうホルモン説せつのほか、妊娠にんしん中ちゅうの母親ははおやのストレス説せつ、或あるいは育そだて方かたが影響えいきょうするとする環境かんきょう説せつなどがある。

脳のうの機能きのう説せつ

同性愛どうせいあいなど人間にんげんの性的せいてきな傾向けいこうは、自律じりつ神経しんけいをつかさどる脳のうの機能きのうに規定きていされている可能かのう性せいが有力ゆうりょくであり、研究けんきゅうがなされている。有名ゆうめいなものとしてはスウェーデンの研究けんきゅうがある。

環境かんきょうホルモン説せつ

環境かんきょうホルモン説せつは週刊しゅうかん誌しやいわゆる実用じつよう書しょ、また陰謀いんぼう論ろん的てきテクスト等とうによく登場とうじょうする説せつであり、医学いがく界さかい・心理しんり学がく界さかい等とうの大勢おおぜいの評価ひょうかを得えている説せつではないが、概おおむね19世紀せいき以後いごに開発かいはつ・使用しようされた人工じんこう的てきな化学かがく物質ぶっしつが人間にんげんおよび動物どうぶつの同性愛どうせいあい化かに影響えいきょうを与あたえているという説せつである（現時点げんじてんにおいては、少すくなくともいわゆる環境かんきょうホルモンの人体じんたいへの影響えいきょうは極小きょくしょうのものであると考かんがえられており、この点てんに関かんして、本ほん説せつは疑似ぎじ科学かがくに近ちかい説せつであるという見解けんかいが有力ゆうりょくである。環境かんきょうホルモンの項目こうもく参照さんしょう）。

本ほん説せつがもしも事実じじつであれば、一般いっぱん販売はんばいされている農薬のうやく汚染おせん・肥料ひりょう汚染おせんされた食品しょくひん、化粧けしょう品ひんや石鹸せっけん、ペンキ等ひとしの工業こうぎょう品ひんなどを通つうじて、同性愛どうせいあい傾向けいこうを備そなえる可能かのう性せいが高たかくなるということになるが、これには遺伝子いでんしの持もつ免疫めんえき力ちからの強つよさに応おうじて個人こじん差さが出でるという。つまり、この裏うらづけには人ひとの遺伝子いでんしの免疫めんえき力りょくへの影響えいきょう度どそのものの検証けんしょうデータが必要ひつようとなってくる。しかし、現在げんざいまでのところこうしたことに関かんする信頼しんらい性せいの高たかい確実かくじつなデータが提示ていじされているわけではない。また現状げんじょうとして現代げんだい社会しゃかいにおいても、それらの製品せいひんによって、何なんら影響えいきょうを受うけた形跡けいせきのない異性愛者いせいあいしゃがほとんどであることからも、この説せつの信憑しんぴょう性せいは現げん段階だんかいでかなり低ひくいものとなっている。

動物どうぶつの同性愛どうせいあい

ニューヨークのセントラル・パーク動物どうぶつ園えんのロイとシロは雄お同士どうしでありながら子育こそだてを行おこなうペンギンとして有名ゆうめいになった

「動物どうぶつの同性愛どうせいあい」も参照さんしょう

人間にんげん以外いがいの生物せいぶつにおいても同性愛どうせいあいと解釈かいしゃくできる行動こうどうは決けっして珍めずらしいものではなく、オス同士どうしで互たがいに精子せいしをかけ合あうクジラをはじめ、猿さるや昆虫こんちゅうの間あいだで見みられた等ひとし多数たすうの例れいが報告ほうこくされている。2006年ねんにノルウェーのオスロ自然しぜん史し博物館はくぶつかんでは、世界せかいで初はじめて「生物せいぶつの同性愛どうせいあい」をテーマとした展示てんじ会かいが開催かいさいされた。同性愛どうせいあい的てき行動こうどうが確認かくにんされた動物どうぶつは1500種しゅ以上いじょうであり、そのうち500種しゅの同性愛どうせいあいが立証りっしょうされている。

関連かんれん文献ぶんけん

• 『クィア・サイエンス―同性愛どうせいあいをめぐる科学かがく言説げんせつの変遷へんせん』（サイモン・ルベイ著しる、伏見ふしみ憲明のりあき監修かんしゅう、玉野たまの真しん路ろ・岡田おかだ太郎たろう訳わけ、勁草書房しょぼう、2002年ねん） ISBN 4326601507
• 『同性愛どうせいあいの基礎きそ知識ちしき』（伊藤いとう悟さとる、あゆみ出版しゅっぱん、1996年ねん）
• 『同性愛どうせいあい者しゃとして生いきる』（伊藤いとう悟さとる 他た、明石書店あかししょてん、1998年ねん）
• 『同性愛どうせいあいがわかる本ほん』（伊藤いとう悟さとる、明石書店あかししょてん、2000年ねん）
• 『同性愛どうせいあいって何なに？』（伊藤いとう悟さとる、緑風りょくふう出版しゅっぱん、2003年ねん）
• 『310人にんの性せい意識いしき―異性愛者いせいあいしゃではない女おんなたちのアンケート調査ちょうさ』（性せい意識いしき調査ちょうさグループ、七ななつ森もり書しょ館かん、1998年ねん）
• 『江戸えどの性愛せいあい術じゅつ』（渡辺わたなべ信一郎しんいちろう、新潮社しんちょうしゃ）
• 『カミングアウト・レターズ』（砂川すなかわ秀樹ひでき、RYOJI、太郎たろう次じ郎ろう社しゃエディタス、2007年ねん）
• 『同性愛どうせいあい者しゃにおける他者たしゃからの拒絶きょぜつと受容じゅよう―ダイアリー法ほうと質問しつもん紙しによるマルチメソッド・アプローチ 臨床りんしょう心理しんり学がく研究けんきゅうの最前線さいぜんせん 1』（石丸いしまる径みち一郎いちろう、ミネルみねるヴァ書房ぁしょぼう、2008年ねん）
• 『同性愛どうせいあい入門にゅうもん［ゲイ編へん］』（伏見ふしみ憲明のりあき、ポット出版しゅっぱん、2003年ねん）
• 『現代げんだいロックの基礎きそ知識ちしき』（鈴木すずきあかね、渋谷しぶや陽一よういち、ロッキング・オン、1999年ねん）
• 『ボクの彼氏かれしはどこにいる？』（石川いしかわ大我だいが、講談社こうだんしゃ、2002年ねん）
• 『戦後せんご日本にっぽん女装じょそう・同性愛どうせいあい研究けんきゅう 中央大学ちゅうおうだいがく社会しゃかい科学かがく研究所けんきゅうじょ研究けんきゅう叢書そうしょ』（矢島やじま正ただし見み、中央大学ちゅうおうだいがく出版しゅっぱん部ぶ、2006年ねん）
• 『セクシュアルマイノリティ―同性愛どうせいあい、性せい同一どういつ性せい障害しょうがい、インターセックスの当事とうじ者しゃが語かたる人間にんげんの多様たような性せい』（セクシュアルマイノリティ教職員きょうしょくいんネットワーク、明石書店あかししょてん、2006年ねん）
• 『ゲイ@パリ 現代げんだいフランス同性愛どうせいあい事情じじょう』（及川おいかわ健二けんじ、長崎ながさき出版しゅっぱん、2006年ねん）
• 『先生せんせいのレズビアン宣言せんげん―つながるためのカムアウト』（池田いけだ久美子くみこ、かもがわ出版しゅっぱん、1999年ねん）
• 『もうひとつの青春せいしゅん 同性愛どうせいあい者しゃたち』（井田いだ真木子まきこ、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2006年ねん）
• 『バニラセックス』（柿澤かきざわあずき、日本にっぽん文学ぶんがく館かん、2008年ねん）
• 『アレクサンドロスの征服せいふくと神話しんわ (興亡こうぼうの世界せかい史し)』 (森谷もりたに公俊きみとし、講談社こうだんしゃ、2007年ねん)
• 『医療いりょう・看護かんごスタッフのためのLGBTIサポートブック』(藤井ふじいひろみ他た編へん、メディカ出版しゅっぱん、2007年ねん)
• 『NHK「ハートをつなごう」LGBT BOOK』(NHK「ハートをつなごう」制作せいさく班はん編へん、太田出版おおたしゅっぱん、2010年ねん)

関連かんれん項目こうもく

• 人間にんげんの性せい
• クィア / クィア理論りろん / ジュディス・バトラー
• キンゼイ報告ほうこく
• ホモソーシャル
• 百ひゃく合ごう (ジャンル)
• 少年しょうねん愛あい - 少年しょうねん性愛せいあい
• 男色なんしょく - 衆道しゅどう - 若衆わかしゅ
• サークル・ジャーク

外部がいぶリンク

• 法務省ほうむしょう - 人権じんけん擁護ようご局きょく 「人権じんけん週間しゅうかん・強調きょうちょう事項じこう」
• 47NEWS「オバマ氏し、同性愛どうせいあい差別さべつ根絶こんぜつに賛同さんどう ブッシュ前ぜん政権せいけんの方針ほうしん転換てんかん」 - ウェイバックマシン（2009年ねん5月がつ21日にちアーカイブ分ぶん）
• 南みなみアフリカ共和きょうわ国こく憲法けんぽう