吸血鬼 きゅうけつき :フィリップ・バーン=ジョーンズ 画 が (1897)
吸血鬼 きゅうけつき (きゅうけつき、古 こ 東 ひがし スラヴ語 ご : вѫпырь )は、民話 みんわ や伝説 でんせつ などに登場 とうじょう する存在 そんざい で、生命 せいめい の根源 こんげん とも言 い われる血 ち を吸 す い栄養 えいよう 源 げん とする、蘇 よみがえ った死人 しにん または不死 ふし の存在 そんざい [ 1] 。その存在 そんざい や力 ちから には実態 じったい が無 な いとされる[ 2] 。
狼 おおかみ 男 おとこ 、フランケンシュタインの怪物 かいぶつ と並 なら び、世界中 せかいじゅう で知 し られている怪物 かいぶつ のひとつ。また、用語 ようご の転用 てんよう として、不当 ふとう に人々 ひとびと から利益 りえき を搾 しぼ り取 と る人間 にんげん なども指 さ す[ 3] [ 4] 。
ブラム・ストーカー の『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ 』、シェリダン・レ・ファニュ の『カーミラ 』など、多 おお くの創作 そうさく において登場 とうじょう してきた。生 なま と死 し を超 こ えた者 もの 、または生 なま と死 し の狭間 はざま に存在 そんざい する者 もの 、不 ふ 死者 ししゃ の王 おう とされる。凶悪 きょうあく な犯罪 はんざい 者 しゃ の通称 つうしょう としても使 つか われる[ 1] 。ヴァンパイア、バンパイヤ、ヴァンピールなどとも書 か かれる。
現代 げんだい の吸血鬼 きゅうけつき ・ヴァンパイアのイメージは、ヨーロッパにルーツがある伝承 でんしょう のイメージが強 つよ い[ 5] 。吸血鬼 きゅうけつき の伝承 でんしょう は古 ふる くから世界 せかい 各地 かくち で見 み られ、古代 こだい ギリシア のラミアー やエンプーサ 、古代 こだい バビロニア のアフカルを皮切 かわき りにテッサリア の巫女 ふじょ 、ブルーカ(ポルトガル )、ドルド(ドイツ )[ 5] 、東 ひがし ヨーロッパ のヴァンパイアに加 くわ え、アラビア のグール 、中国 ちゅうごく のキョンシー 等 ひとし がある。この場合 ばあい 、吸血鬼 きゅうけつき という名称 めいしょう が用 もち いられているが、人間 にんげん の血 ち を吸 す う行為 こうい は全 すべ ての吸血鬼 きゅうけつき 伝承 でんしょう に共通 きょうつう するものではない。
諸説 しょせつ 有 あ るが、1730年代 ねんだい における英語 えいご の出版 しゅっぱん 物 ぶつ に「vampyre 」の文字 もじ があるため、それ以前 いぜん の時期 じき から使 つか われていた語 かたり とされている。一般 いっぱん 的 てき にはリトアニア語 ご の「Wempti (飲 の む)」由来 ゆらい とされる他 ほか 、トルコ語 ご の「uber (魔女 まじょ )」[ 6] 、セルビア・クロアチア語 ご の「Pirati (吹 ふ く)」も提唱 ていしょう される。
ただしヴァンパイアという言葉 ことば が一般 いっぱん 的 てき に使用 しよう されるようになる18世紀 せいき [ 5] 以前 いぜん から世界 せかい 各地 かくち に吸血鬼 きゅうけつき 伝説 でんせつ があり、それぞれの名前 なまえ で呼 よ ばれている[ 1] 。中国 ちゅうごく では、殭屍 ( キョンシー ) 以外 いがい にも、古来 こらい より「吸血鬼 きゅうけつき 」という語 かたり があり、これは血 ち を吸 す う悪霊 あくりょう ・亡者 もうじゃ という様 よう な意味 いみ であったが、転 てん じて現代 げんだい では欧米 おうべい 風 ふう のヴァンパイアの意味 いみ としても使 つか われている[ 7] 。東 あずま 雅夫 まさお は、日本 にっぽん で初 はじ めて「Vampire」の訳語 やくご に「吸血鬼 きゅうけつき 」と当 あ てたのは南方 みなかた 熊楠 くまぐす ではないかと主張 しゅちょう していた。その根拠 こんきょ が、1914年 ねん に芥川 あくたがわ 龍之介 りゅうのすけ がテオフィル・ゴーティエのクラリモンド において「vampire」を「夜叉 やしゃ 」と訳 やく した。その1年 ねん 後 ご 、南方 みなかた 熊楠 くまぐす が「人類 じんるい 学 がく 雑誌 ざっし 1915年 ねん 4月 がつ 号 ごう 」に寄稿 きこう した「詛 のろい 言 ごと について」でvampireを「吸血鬼 きゅうけつき 」として訳 やく した[ 8] 。以上 いじょう から南方 みなかた 熊楠 くまぐす 造語 ぞうご 説 せつ を唱 とな えていたのだが、1914年 ねん 6月 がつ の押川 おしかわ 春浪 しゅんろう の小説 しょうせつ 「武 たけ 侠小説 しょうせつ 怪 かい 風 ふう 一 いち 陣 じん 」でも「吸血鬼 きゅうけつき 」という言葉 ことば が使 つか われていたことが判明 はんめい したほか、更 さら に古 ふる い用例 ようれい があることが判明 はんめい したことを東 あずま 雅夫 まさお は紹介 しょうかい している[ 9] 。
ノスフェラトゥ (Nosferatu) という呼 よ び名 な も19世紀 せいき 末 まつ 頃 ごろ から見 み られるが、その由来 ゆらい は判然 はんぜん としない。
ぶよぶよした血 ち の塊 かたまり のようなものであるか、もしくは生前 せいぜん のままであるとされることが多 おお い。両者 りょうしゃ とも、一定 いってい の期間 きかん を経 へ れば完全 かんぜん な人間 にんげん になるとされることもある。また、様々 さまざま な姿 すがた に変身 へんしん することが出来 でき るとされる。吸血鬼 きゅうけつき は、虫 むし に変身 へんしん する、ネズミ に変身 へんしん する、霧 きり に変身 へんしん するなどの手段 しゅだん を用 もち いて棺 かん の隙間 すきま や小 ちい さな穴 あな から抜 ぬ け出 だ し、夜中 よなか から夜明 よあ けまでの間 あいだ に活動 かつどう するものとされた。また、地域 ちいき によって異 こと なるが、特定 とくてい の月齢 げつれい や曜日 ようび 、キリスト教 きょう の祭日 さいじつ などの日 ひ には活動 かつどう できないとされる場合 ばあい が多 おお い。吸血 きゅうけつ する際 さい は、長 なが い牙 きば が出現 しゅつげん するとされている。また、最近 さいきん では、獲物 えもの である人間 にんげん を惹 ひ きつけるために、美 うつく しい容姿 ようし を持 も つとされることが多 おお い。
吸血鬼 きゅうけつき の概念 がいねん は、数 すう 千 せん 年 ねん もの前 まえ から存在 そんざい していた。メソポタミア 、古代 こだい イスラエル 、古代 こだい ギリシア 、古代 こだい マニプル 、古代 こだい ローマ などの各 かく 文化 ぶんか には、現代 げんだい の吸血鬼 きゅうけつき の前身 ぜんしん と考 かんが えられるような悪魔 あくま や精霊 せいれい が登場 とうじょう する物語 ものがたり が存在 そんざい した。このように世界 せかい 各地 かくち の文化 ぶんか に吸血鬼 きゅうけつき のような存在 そんざい が伝承 でんしょう されている一方 いっぽう で、今日 きょう の吸血鬼 きゅうけつき に関 かん する民間 みんかん 伝承 でんしょう は、専 せん ら18世紀 せいき 初頭 しょとう 、東南 とうなん ヨーロッパ において口承 こうしょう されてきた伝説 でんせつ が記録 きろく ・出版 しゅっぱん されて広 ひろ まったものが元 もと になっている[ 10] 。多 おお くの場合 ばあい 、吸血鬼 きゅうけつき の正体 しょうたい は邪悪 じゃあく な存在 そんざい や自殺 じさつ 者 もの 、魔女 まじょ などの亡霊 ぼうれい とされるが、他 ほか にも死体 したい に悪霊 あくりょう が憑りついたり、吸血鬼 きゅうけつき に咬 か まれたりすることによって生 う まれることもある。この種 たね の伝承 でんしょう は広 ひろ く拡散 かくさん され、一部 いちぶ の地域 ちいき では吸血鬼 きゅうけつき であると言 い いがかりをつけられた人々 ひとびと が公開 こうかい 処刑 しょけい されるというような集団 しゅうだん ヒステリーを引 ひ き起 お こしたことさえあった。
エドヴァルド・ムンク による『吸血鬼 きゅうけつき (英語 えいご 版 ばん ) 』
ヨーロッパにおける各地 かくち の吸血鬼 きゅうけつき 伝承 でんしょう には共通 きょうつう する要素 ようそ もいくつかあるが、一 ひと つの言葉 ことば として説明 せつめい するのは難 むずか しい。吸血鬼 きゅうけつき は通常 つうじょう 、太 ふと った外見 がいけん をしており、色 いろ は血色 けっしょく 、紫色 むらさきいろ などの暗 くら い色 いろ をしていると言 い われている[ 14]
。
元来 がんらい の民間 みんかん 伝承 でんしょう では、吸血鬼 きゅうけつき が発生 はっせい する要因 よういん は多種 たしゅ 多様 たよう であった。スラブ や中国 ちゅうごく における伝承 でんしょう では、動物 どうぶつ 、特 とく に犬 いぬ や猫 ねこ に飛 と び越 こ えられた死体 したい は甦 よみがえ ると言 い われ恐 おそ れられていた。また、熱湯 ねっとう を通 とお していない外傷 がいしょう を負 お った遺体 いたい もそうなる危険 きけん があるとされていた。ロシア の民間 みんかん 伝承 でんしょう では、吸血鬼 きゅうけつき は生前 せいぜん 魔女 まじょ だったか、ロシア正教会 せいきょうかい に反逆 はんぎゃく した者 もの たちの成 な れの果 は てだと言 い われていた[ 16] 。ドイツでは胞衣 えな を纏 まつわ ったまま生 う まれた者 もの は死後 しご ナハツェーラーと成 な ると言 い われた[ 1] 。
南 みなみ スラブの一部 いちぶ では吸血鬼 きゅうけつき はいくつかの段階 だんかい を経 へ てその身体 しんたい を形成 けいせい すると考 かんが えられた。特 とく に最初 さいしょ の40日間 にちかん は吸血鬼 きゅうけつき に決定的 けっていてき な影響 えいきょう を与 あた えるとされた。吸血鬼 きゅうけつき のはじめの姿 すがた は目 め に見 み えない影 かげ であり、次第 しだい に生 い き血 ち で活性 かっせい 化 か し、骨 ほね の無 な いゼリー状 じょう の塊 かたまり の肉体 にくたい を形成 けいせい した。最終 さいしゅう 的 てき には生前 せいぜん とほぼ同 おな じ身体 しんたい を獲得 かくとく し、墓場 はかば を出 で て、人間 にんげん としての生活 せいかつ を始 はじ めることができるようになった。この吸血鬼 きゅうけつき は大抵 たいてい の場合 ばあい 男性 だんせい で、性的 せいてき に活発 かっぱつ であった。彼 かれ らは生前 せいぜん の妻 つま 、あるいは新 あたら しい妻 つま とともに子供 こども をもうけることもあった。子供 こども は親 おや 同様 どうよう の吸血鬼 きゅうけつき 、あるいは吸血鬼 きゅうけつき を殺 ころ す能力 のうりょく を持 も つ吸血鬼 きゅうけつき ハンターになるとされていた[ 17] 。アルバニア の民間 みんかん 伝承 でんしょう では、ダンピール (dhampir)は、ククディ (英語 えいご 版 ばん ) あるいはルガット (英語 えいご 版 ばん ) とヒトとの間 あいだ に生 う まれた混血 こんけつ 児 じ とされている。ダンピールはククディやルガットを探知 たんち する特異 とくい な能力 のうりょく を持 も っており、通常 つうじょう 不死 ふし のルガットを殺 ころ すことができるのはその子 こ であるダンピールのみである。地域 ちいき によっては、動物 どうぶつ や睡眠 すいみん 中 ちゅう のヒトがルガットに変化 へんか するということも伝 つた えられている。なお、ダンピラージ(Dhampiraj)はアルバニアにおける姓 せい の一 ひと つとなっている[ 18] 。
死者 ししゃ が吸血鬼 きゅうけつき のようなアンデッドになるのを防 ふせ ぐためのしきたりがしばしば考 かんが えられてきた。遺体 いたい を逆 さか さに埋葬 まいそう したり、遺体 いたい の近 ちか くに鎌 かま などの物体 ぶったい を置 お いておくことは、遺体 いたい に侵入 しんにゅう しようとする悪霊 あくりょう を立 た ち退 の かせたり、遺体 いたい が棺 かん から起 お き上 あ がれないようにするためとして広 ひろ く普及 ふきゅう した。この慣 なら わしは、古代 こだい ギリシアにおける、死者 ししゃ が冥界 めいかい でステュクス の川 かわ を渡 わた れるように代金 だいきん として死者 ししゃ の口 くち にコインを入 い れ込 こ むという習慣 しゅうかん に類似 るいじ しており、またこのコインは死者 ししゃ の体内 たいない の悪霊 あくりょう を追 お い払 はら うことも目的 もくてき としていた可能 かのう 性 せい が指摘 してき されている。そのため、これが後世 こうせい の吸血鬼 きゅうけつき 伝承 でんしょう に影響 えいきょう を与 あた えた可能 かのう 性 せい が取 と り上 あ げられている。現代 げんだい ギリシアのヴリコラカス (英語 えいご 版 ばん ) 伝承 でんしょう にも、人間 にんげん が死後 しご ヴリコラカスになるのを防 ふせ ぐために遺体 いたい に蝋 ろう の十字架 じゅうじか と "Jesus Christ conquers" の文字 もじ が刻 きざ まれた陶器 とうき を置 お くという習慣 しゅうかん が残 のこ っている[ 20] 。
他 ほか にもヨーロッパでは、吸血鬼 きゅうけつき であると思 おも われる遺体 いたい の膝 ひざ の腱 けん を切断 せつだん したり、墓 はか の地面 じめん にケシ の実 み やキビ 、砂 すな を置 お くなどのしきたりが一般 いっぱん に行 おこな われてきていた。後者 こうしゃ は吸血鬼 きゅうけつき の計算 けいさん 癖 へき (英語 えいご 版 ばん ) な性質 せいしつ に基 もと づいたものであり、墓 はか の前 まえ に落 お ちた実 み などを一 いち 晩 ばん 中 ちゅう 数 かぞ え上 あ げさせることによって活動 かつどう させないことを目的 もくてき としているとされる[ 22] 。中国 ちゅうごく の伝承 でんしょう でも同様 どうよう に、吸血鬼 きゅうけつき のような存在 そんざい が米袋 こめぶくろ を見 み るとその中 なか の米 こめ を一 いち 粒 つぶ ずつ数 かぞ えたくなるという描写 びょうしゃ がある。これらのい伝 いつた えは、インドの民間 みんかん 伝承 でんしょう (英語 えいご 版 ばん ) や、南米 なんべい の魔女 まじょ 、その他 た 邪悪 じゃあく な存在 そんざい に関 かん する物語 ものがたり などにも見 み られるテーマとなっている[ 23] 。
吸血鬼 きゅうけつき のいる墓 はか を識別 しきべつ するしきたりも多 おお く為 な された。その一 ひと つは、女性 じょせい 経験 けいけん のない男子 だんし を同 おな じく交尾 こうび を経験 けいけん した事 こと の無 な い牡馬 ぼば に乗 の せて墓地 ぼち や教会 きょうかい の土地 とち を周 しゅう るというものである。すると、馬 うま は問題 もんだい のある墓 はか の手前 てまえ でたじろぎするという[ 16] 。一般 いっぱん にこのしきたりには黒 くろ い馬 うま が必要 ひつよう とされているが、アルバニアでは白 しろ い馬 うま を要 よう している。また、墓 はか の地面 じめん の上 うえ に穴 あな が空 あ いているのは、そこに吸血鬼 きゅうけつき がいる一 ひと つの兆候 ちょうこう であった。
吸血鬼 きゅうけつき と思 おも われる死体 したい は、普通 ふつう 以上 いじょう に健康 けんこう な外観 がいかん をしており、ふくよかで、腐敗 ふはい がほとんど、あるいは全 まった く見 み られないと説明 せつめい されている。また、人々 ひとびと が吸血鬼 きゅうけつき と思 おも われる遺体 いたい の入 はい る棺 かん を開 あ けた時 とき 、遺体 いたい の顔 かお に鮮血 せんけつ がびっしりと付 つ いていたという話 はなし も言 い われている。吸血鬼 きゅうけつき の活動 かつどう の根拠 こんきょ には、牛 うし 、羊 ひつじ などの家畜 かちく や、親戚 しんせき 、隣人 りんじん などの死亡 しぼう が挙 あ げられていた。民俗 みんぞく 上 じょう の吸血鬼 きゅうけつき の行動 こうどう の特徴 とくちょう には、屋根 やね に石 いし を投 な げたり、家財 かざい を移動 いどう させたり、眠 ねむ っている人 ひと に触 ふ れたり することなどを通 つう じてその存在 そんざい を知 し らしめるという、ポルターガイスト 的 てき な要素 ようそ も含 ふく まれていた。
ニンニク、
十字架 じゅうじか 、
聖書 せいしょ 、
聖水 せいすい 、
鏡 かがみ 、
各地 かくち の
民間 みんかん 伝承 でんしょう の
中 なか で、これらは
吸血鬼 きゅうけつき に
対 たい する
厄除 やくよ けあるいは
識別 しきべつ 手段 しゅだん として
使 つか われてきた
[ 31] 。
多 おお くの民間 みんかん 伝承 でんしょう によると、吸血鬼 きゅうけつき を苦手 にがて なアイテムは、十字架 じゅうじか 、ニンニク 、太陽光 たいようあきら 、聖水 せいすい などが一般 いっぱん 的 てき な例 れい で、他 ほか にもノバラ やサンザシ の枝 えだ も吸血鬼 きゅうけつき に害 がい を与 あた えるものと連想 れんそう されることがあり、ヨーロッパでは吸血鬼 きゅうけつき を除 のぞ けるために家屋 かおく の屋根 やね にカラシ の種子 しゅし が撒 ま かれていたことがある[ 33] 。他 ほか にも神聖 しんせい なアイテムが、吸血鬼 きゅうけつき の厄除 やくよ けとして考 かんが えられていた。一部 いちぶ の民間 みんかん 伝承 でんしょう では、吸血鬼 きゅうけつき は教会 きょうかい や寺院 じいん などの神聖 しんせい な空間 くうかん や、流水 りゅうすい の上 うえ を歩 ある くこともできないとされていた[ 31] 。
伝統 でんとう 的 てき に鏡 かがみ に吸血鬼 きゅうけつき を除 のぞ けるための効果 こうか があるとは考 かんが えられていないが、扉 とびら の外側 そとがわ に鏡 かがみ を置 お くと吸血鬼 きゅうけつき を避 さ けられるとして使用 しよう されてきたことがある。一部 いちぶ の文化 ぶんか では、吸血鬼 きゅうけつき には魂 たましい が無 な いため鏡 かがみ に反射 はんしゃ せず、また影 かげ を落 お とさないとされるが[ 34] 、これは普遍 ふへん 的 てき な設定 せってい ではなく[ 注 ちゅう 1] 、『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ 』を書 か いたブラム・ストーカー によって、後世 こうせい の作家 さっか や映画 えいが 制作 せいさく 者 しゃ に普及 ふきゅう したものである。
また、一部 いちぶ の伝承 でんしょう では、吸血鬼 きゅうけつき は家 いえ の主人 しゅじん に招待 しょうたい を受 う けない限 かぎ り、家屋 かおく に入 はい ることができないとされている。一度 いちど 招待 しょうたい を受 う ければ、その家 いえ に自由 じゆう に出入 でい り出来 でき るようになる[ 34] 。民俗 みんぞく 上 じょう 、吸血鬼 きゅうけつき は夜 よる に活動 かつどう すると信仰 しんこう されてきたが、日光 にっこう に弱 よわ いという設定 せってい は一般 いっぱん 的 てき ではなかった。
ポーランド とロシア における吸血鬼 きゅうけつき について言及 げんきゅう している1693年 ねん と1694年 ねん の報告 ほうこく では、吸血鬼 きゅうけつき の墓 はか が発見 はっけん された時 とき 、小麦粉 こむぎこ に吸血鬼 きゅうけつき の血 ち を混 ま ぜて焼 や いたパンを食 た べるか、あるいは単 たん にその血 ち を飲 の むと、吸血鬼 きゅうけつき から保護 ほご されるのではないかと主張 しゅちょう されている[ 36] 。アーノルド・パオール (英語 えいご 版 ばん ) の吸血鬼 きゅうけつき 事件 じけん の話 はなし においては、吸血鬼 きゅうけつき の墓 はか の周 まわ りの土 ど を食 く えば同 おな じ効果 こうか があると言 い われた[ 37] 。
死者 ししゃ を墓 はか の中 なか に留 と めておくために造 つく られたルーン文字 もじ で書 か かれた碑石 ひせき [ 38] 。
吸血鬼 きゅうけつき を対峙 たいじ する方法 ほうほう は様々 さまざま で、南 みなみ スラブ においては杭 くい を打 う つのが最 もっと も一般 いっぱん 的 てき である。ロシアとバルト三 さん 国 こく においてはトネリコ 材 ざい が[ 40] 、セルビア においてはサンザシ 材 ざい が好 この まれ[ 41] 、シレジア においてはオーク が使 つか われたと記録 きろく されている[ 42] [ 43] 。キリストの十字架 じゅうじか はアスペン 製 せい であるとも言 い われていたため、アスペンも杭 くい の材料 ざいりょう に使用 しよう された[ 44] 。吸血鬼 きゅうけつき と思 おも われた人物 じんぶつ に対 たい しては心臓 しんぞう に杭 くい が打 う たれることが最 もっと も多 おお かったが、ロシアとドイツ北部 ほくぶ では口 くち が[ 45] [ 46] 、セルビア北東 ほくとう 部 ぶ では胃 い が狙 ねら われた[ 47] 。胸 むね を狙 ねら うことにより、肥大 ひだい 化 か した吸血鬼 きゅうけつき を「萎 しぼ ませる」効果 こうか があったという。この方法 ほうほう は、吸血鬼 きゅうけつき になる可能 かのう 性 せい がある遺体 いたい の棺 かん に、吸血鬼 きゅうけつき になろうとして体 からだ が肥大 ひだい 化 か した時 とき に鋭利 えいり なものが皮膚 ひふ が貫通 かんつう するように遺体 いたい に側 がわ に鎌 かま を置 お くという「吸血鬼 きゅうけつき 埋葬 まいそう (英語 えいご 版 ばん ) 」の方法 ほうほう と類似 るいじ 性 せい がある。
ドイツ と西 にし スラブ においては斬首 ざんしゅ が好 この まれ、頭部 とうぶ は臀部 でんぶ の後 うし ろ、両脚 りょうきゃく の間 あいだ 、あるいは胴体 どうたい と離 はな れたところに埋葬 まいそう された。一部 いちぶ の文化 ぶんか では魂 たましい が死体 したい の中 なか に残 のこ ると言 い われていたため、これによって魂 たましい の肉体 にくたい からの離脱 りだつ を早 はや めるとされた。また、頭部 とうぶ 、胴体 どうたい 、衣服 いふく は吸血鬼 きゅうけつき として遺体 いたい が起 お き上 あ がるのを防 ふせ ぐために、スパイクで地面 じめん に固定 こてい されることもあった。
ブルガリアで発見 はっけん された800年 ねん 前 まえ の人骨 じんこつ 。胸部 きょうぶ を鉄 てつ の棒 ぼう で刺 さ された状態 じょうたい で見 み つかった[ 50] 。
ジプシー の人々 ひとびと は、埋葬 まいそう 時 じ に鉄 てつ の針 はり を遺体 いたい の心臓 しんぞう に打 う ち込 こ み、その上 うえ で口 くち の中 なか 、目 め 、耳 みみ の上 うえ 、指 ゆび の間 あいだ に鋼 はがね 片 へん を置 お いた。また、遺体 いたい の靴下 くつした の中 なか にサンザシを入 い れたり、脚 あし にサンザシの杭 くい を打 う ち込 こ んだりした。ベネチア 近郊 きんこう に16世紀 せいき に埋葬 まいそう された女性 じょせい の口 くち の中 なか にレンガが押 お し込 こ まれているのは、吸血鬼 きゅうけつき 退治 たいじ の儀式 ぎしき の一貫 いっかん であると考古 こうこ 学者 がくしゃ は解釈 かいしゃく している[ 51] 。ブルガリア では、胴体 どうたい に鋤 すき の破片 はへん のような金属 きんぞく が埋 う め込 こ まれた100以上 いじょう の人骨 じんこつ が発見 はっけん されている[ 50] 。
さらには、遺体 いたい に熱湯 ねっとう をかけたり、完全 かんぜん に焼却 しょうきゃく したりするのも吸血鬼 きゅうけつき 退治 たいじ として行 おこな われた。東南 とうなん ヨーロッパでは、吸血鬼 きゅうけつき は射殺 しゃさつ 、溺 おぼれ 殺 ころせ 、葬儀 そうぎ のやり直 なお し、悪魔 あくま 祓 ばら いや体 からだ に聖水 せいすい を振 ふ りかけることによって退治 たいじ されたことがあったという。ルーマニア ではニンニクを口 くち の中 なか に入 い れたり、棺 かん に銃弾 じゅうだん を撃 う ち込 こ んで予防 よぼう したりするという策 さく が採 と られていた。なおも問題 もんだい がある場合 ばあい は、遺体 いたい は解体 かいたい ・焼却 しょうきゃく された後 のち に水 みず と混 ま ぜられ、厄除 やくよ けとしてその家族 かぞく に与 あた えられた。ドイツのザクセン 地方 ちほう では、吸血鬼 きゅうけつき だと疑 うたが われている人 ひと の口 くち にはレモン が入 い れられた。
大阪 おおさか 市 し 道頓堀 どうとんぼり で、キョンシー (中国 ちゅうごく 神話 しんわ の吸血鬼 きゅうけつき のような怪物 かいぶつ )に扮 ふん した男女 だんじょ 。
マレーシア では空 そら を飛 と ぶ頭 あたま と首 くび のペナンガラン (宗教 しゅうきょう 的 てき な苦行 くぎょう の最中 さいちゅう に誤 あやま って首 くび を切 き り落 お とした女性 じょせい が成 な る)、インドネシア では強姦 ごうかん されて妊娠 にんしん した女性 じょせい が甦 よみがえ り、男性 だんせい の血 ち を吸 す うスンダル・ボロンが伝 つた えられている[ 1] 。また、同 おな じくマレーシアとインドネシアには、ポンティアナック と呼 よ ばれる白 しろ い服 ふく を着 き た女性 じょせい の吸血鬼 きゅうけつき の存在 そんざい が伝 つた えられている。
永遠 えいえん の若 わか さをもつとされるのはヴィクトリア朝 あさ 時代 じだい に入 はい ってからである。現在 げんざい の吸血鬼 きゅうけつき の多 おお くは、不老不死 ふろうふし で知性 ちせい 的 てき な、多 おお くの不思議 ふしぎ な力 ちから を持 も つ者 もの として描 えが かれる。吸血鬼 きゅうけつき は霧 きり 、オオカミあるいはコウモリに変身 へんしん することができるとされる。また、古来 こらい から鏡 かがみ には人間 にんげん の魂 たましい を映 うつ し出 だ す力 ちから があると信 しん じられていた為 ため 、肉体 にくたい と魂 たましい の結 むす びつきが弱 よわ いとされる吸血鬼 きゅうけつき は、鏡 かがみ にその実像 じつぞう が映 うつ らないとされる。
吸血鬼 きゅうけつき の存在 そんざい を信 しん じていた人々 ひとびと にとっては現実 げんじつ に差 さ し迫 せま った脅威 きょうい であり、とくに農村 のうそん 部 ぶ などにおいては、不可解 ふかかい な事件 じけん が発生 はっせい した際 さい に、多 おお くの吸血鬼 きゅうけつき 退治 たいじ が現実 げんじつ に行 おこ なわれた。この吸血鬼 きゅうけつき 退治 たいじ は、ごくわずかではあるが20世紀 せいき になってからも行 おこ なわれたことが資料 しりょう によって確認 かくにん されている。
具体 ぐたい 的 てき な退治 たいじ 方法 ほうほう としては、首 くび を切 き り落 お とす、心臓 しんぞう に杭 くい を打 う つ、死体 したい を燃 も やす、銀 ぎん の弾丸 だんがん もしくは呪文 じゅもん を刻 きざ んだ弾丸 だんがん で撃 う つ、などの方法 ほうほう が挙 あ げられる。また、葬儀 そうぎ をやり直 なお す、死体 したい を聖水 せいすい やワインで洗 あら う、呪文 じゅもん などを用 もち いて壜 びん や水差 みずさ しに封 ふう じ込 こ める、などの死体 したい を損壊 そんかい しない方法 ほうほう がとられることもあった。
吸血鬼 きゅうけつき 退治 たいじ は、聖俗 せいぞく の両 りょう 権力 けんりょく から不当 ふとう に死体 したい を損壊 そんかい する不道徳 ふどうとく な行為 こうい であると考 かんが えられていたらしく、吸血鬼 きゅうけつき 退治 たいじ に関 かん する禁令 きんれい が出 で ることもしばしばであり、少 すく なくとも近世 きんせい 以降 いこう は、吸血鬼 きゅうけつき という概念 がいねん は知識 ちしき 階層 かいそう にはあまり真 しん に受 う けられるものではなくなっていたことが窺 うかが える。ただし農村 のうそん 部 ぶ などでは、農民 のうみん の反発 はんぱつ を恐 おそ れた地方 ちほう 領主 りょうしゅ や役人 やくにん が吸血鬼 きゅうけつき 退治 たいじ を看過 かんか することはとくに珍 めずら しいことではなく、禁令 きんれい はたいていの場合 ばあい 無視 むし されていた。
21世紀 せいき になった現代 げんだい でも、一部 いちぶ の地域 ちいき では吸血鬼 きゅうけつき 伝説 でんせつ が色濃 いろこ く残 のこ っている。2017年 ねん には、マラウイ で、吸血鬼 きゅうけつき だと疑 うたが われた男性 だんせい 2人 にん が自警 じけい 団 だん に殺 ころ される事件 じけん が起 お きている。124人 にん が殺人 さつじん 罪 ざい で逮捕 たいほ された[ 53] 。
ポルフィリン症 しょう - 患者 かんじゃ の外観 がいかん および日光 にっこう を避 さ ける生活 せいかつ と吸血鬼 きゅうけつき 伝説 でんせつ との関係 かんけい
レンフィールド症候群 しょうこうぐん (英語 えいご 版 ばん ) - 1980年代 ねんだい に精神 せいしん 医学 いがく のパロディとして、吸血 きゅうけつ 衝動 しょうどう を持 も つ人間 にんげん の症候群 しょうこうぐん というものが創作 そうさく されたが、真実 しんじつ として受 う け取 と ってしまう人 ひと もいた。名前 なまえ はブラム・ストーカーのホラーフィクション小説 しょうせつ 『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ』の登場 とうじょう 人物 じんぶつ からつけられた。実際 じっさい に血 ち を飲 の む欲求 よっきゅう にかられた人 ひと も報告 ほうこく されているが、なんらかの精神 せいしん 疾患 しっかん として処理 しょり され、特定 とくてい の症候群 しょうこうぐん としては扱 あつか われていない。
現代 げんだい 的 てき な吸血鬼 きゅうけつき の特徴 とくちょう [ 編集 へんしゅう ]
腕力 わんりょく は人間 にんげん を超 こ え、体 からだ の大 おお きさを自由 じゆう に変 か えたり、コウモリや狼 おおかみ などの動物 どうぶつ 、霧 きり や蒸気 じょうき に変身 へんしん でき、どんな場所 ばしょ にも入 はい り込 こ む。また、催眠 さいみん 術 じゅつ やフクロウ 、コウモリ、狼 おおかみ 、狐 きつね 、昆虫 こんちゅう といった動物 どうぶつ 、嵐 あらし や雷 かみなり などを操 あやつ るとされる。トランシルヴァニア の伝説 でんせつ を元 もと にしたブラム・ストーカーの小説 しょうせつ 『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ 』は現代 げんだい の吸血鬼 きゅうけつき のイメージに強 つよ い影響 えいきょう を及 およ ぼしており、従 したが って東 ひがし ヨーロッパの吸血鬼 きゅうけつき は現代 げんだい のそれに近 ちか い。『ドラキュラ』の登場 とうじょう 人物 じんぶつ の一人 ひとり であるヴァン・ヘルシング 教授 きょうじゅ は、吸血鬼 きゅうけつき を「怪力 かいりき 無双 むそう 、変幻 へんげん 自在 じざい 、神出鬼没 しんしゅつきぼつ 」と称 しょう する[ 1] 。
現代 げんだい の吸血鬼 きゅうけつき が持 も つという特徴 とくちょう の源泉 げんせん は東 ひがし ヨーロッパにあった吸血鬼 きゅうけつき に限 かぎ られない様々 さまざま な魔物 まもの が持 も っていた特徴 とくちょう にある。教皇 きょうこう ベネディクトゥス14世 せい はキリスト教 きりすときょう 啓蒙 けいもう のために土着 どちゃく 信仰 しんこう を弾圧 だんあつ したが、それが却 かえ って埋 うず もれていた魔物 まもの の説話 せつわ を広 ひろ めることになった。キリスト教 きょう 布教 ふきょう 以前 いぜん に信 しん じられていた魔物 まもの の特徴 とくちょう は以下 いか のようなものである。
日光 にっこう を嫌 きら う(人工 じんこう 光 こう には強 つよ い)ため、昼間 ひるま は墓地 ぼち や洞窟 どうくつ などに身 み を隠 かく す(ただし青色 あおいろ 以上 いじょう のエネルギーを持 も つ可視 かし 光 こう や電離 でんり 放射線 ほうしゃせん には大 だい ダメージを受 う ける設定 せってい の作品 さくひん もある)日光 にっこう を浴 あ びると灰 はい になるというのは近年 きんねん の映画 えいが 作品 さくひん において作 つく られた設定 せってい である[ 54] )
緩 ゆる い水流 すいりゅう や穏 おだ やかな海面 かいめん を歩 ある いて渡 わた る
ニンニク や匂 にお いの強 つよ い香 こう 草 そう 等 ひとし を苦手 にがて とする
瞳 ひとみ が赤 あか い
美 うつく しい女性 じょせい ばかりを好 この んで血 ち を吸 す う
赤 あか ワインや生肉 せいにく などを血 ち の代 だい 用品 ようひん としている
これらは吸血鬼 きゅうけつき の特徴 とくちょう に引 ひ き継 つ がれ、ドラキュラ伯爵 はくしゃく の逸話 いつわ と結 むす び付 つ けられてヴァンパイア像 ぞう の源泉 げんせん になった[ 5] 。
吸血鬼 きゅうけつき とコウモリの関連 かんれん は、大 だい 航海 こうかい 時代 じだい 以降 いこう にアメリカ大陸 あめりかたいりく 熱帯 ねったい 雨林 うりん 地域 ちいき を踏破 とうは し太平洋 たいへいよう を目指 めざ したスペイン人 じん が発見 はっけん した動物 どうぶつ の血 ち を吸 す うコウモリの種類 しゅるい を吸血 きゅうけつ コウモリ(ヴァンパイア)と名付 なづ けたことに由来 ゆらい する[ 5] 。
19世紀 せいき のロマン主義 しゅぎ 文学 ぶんがく は、吸血鬼 きゅうけつき を異端 いたん として描 えが き、その印象 いんしょう を確立 かくりつ する大 おお きな役割 やくわり を担 にな った。その中 なか でもシェリダン・レ・ファニュ の小説 しょうせつ 『カーミラ 』は女性 じょせい の吸血鬼 きゅうけつき を描 えが き「(女 おんな 吸血鬼 きゅうけつき は)魅惑 みわく 的 てき でしたたか」という特徴 とくちょう を与 あた えた。この影響 えいきょう からそのような性質 せいしつ の女性 じょせい にヴァンプという俗称 ぞくしょう をつけるようになった[ 5] 。
ブラム・ストーカー の小説 しょうせつ 『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ 』は、ドイツなどヨーロッパにあった怪奇 かいき 小説 しょうせつ (ゴシック・ノヴェル)で描 えが かれた魔物 まもの の特徴 とくちょう を取 と り込 こ みつつ、キリスト教 きょう 的 てき な要素 ようそ も加 くわ えて巧 たく みに吸血鬼 きゅうけつき 像 ぞう を創 つく り出 だ した。前者 ぜんしゃ からは「初 はじ めて訪問 ほうもん した家 いえ では、その家人 かじん に招 まね かれなければ侵入 しんにゅう できない」とし、後者 こうしゃ の例 れい である「十字架 じゅうじか を非常 ひじょう に嫌 きら う。護符 ごふ や聖 せい 餅 もち も同様 どうよう に、打 う ち払 はら う効果 こうか を持 も つ」「十字架 じゅうじか 、聖水 せいすい 、イコン のような宗教 しゅうきょう 的 てき 象徴 しょうちょう は、それ自体 じたい には効能 こうのう が無 な くそれを持 も つ者 もの の信仰 しんこう が重要 じゅうよう であり、また力 ちから のある吸血鬼 きゅうけつき には通用 つうよう しないことがある[ 1] 」という部分 ぶぶん は当時 とうじ のヨーロッパでは常識 じょうしき とも受 う け止 と められていた考 かんが えである[ 5] 。
その他 た に以下 いか のような特徴 とくちょう が挙 あ げられる。
吸血鬼 きゅうけつき についての報告 ほうこく は複数 ふくすう の被害 ひがい 者 しゃ の主観 しゅかん から語 かた られるのみで、一向 いっこう に詳細 しょうさい が見 み えてこない。吸血鬼 きゅうけつき とは実態 じったい が無 な い存在 そんざい であり、それは吸血鬼 きゅうけつき の力 ちから と符合 ふごう している[ 2] 。
種 たね などを見 み るとその粒 つぶ を集 あつ めなければ気 き が済 す まない、縄 なわ の結 むす び目 め を解 と こうと躍起 やっき になるという習性 しゅうせい を利用 りよう したものとされる[ 1] 。
映画 えいが ・漫画 まんが ・小説 しょうせつ などで吸血鬼 きゅうけつき は棺桶 かんおけ で寝起 ねお きするというのが定番 ていばん のようになっている。
創作 そうさく 物 ぶつ の題材 だいざい としての吸血鬼 きゅうけつき [ 編集 へんしゅう ]
現代 げんだい の吸血鬼 きゅうけつき 像 ぞう に多大 ただい な影響 えいきょう を与 あた えた『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ』の作者 さくしゃ ブラム・ストーカー の写真 しゃしん
現代 げんだい において、吸血鬼 きゅうけつき はフィクションにおける定番 ていばん の存在 そんざい となっている。このようなフィクションでの登場 とうじょう は、18世紀 せいき の詩 し から始 はじ まり、19世紀 せいき の短編 たんぺん 小説 しょうせつ へと発展 はってん していったが、その最初 さいしょ 期 き の最 もっと も影響 えいきょう 力 りょく があったものが、吸血鬼 きゅうけつき ルスヴン卿 きょう (英語 えいご 版 ばん ) が登場 とうじょう するジョン・ポリドリ の『吸血鬼 きゅうけつき 』(1819年 ねん )であった[ 55] 。
ルスヴン卿 きょう は、アンチヒーローとしての吸血鬼 きゅうけつき 像 ぞう を広 ひろ めた。その後 ご 、吸血鬼 きゅうけつき というテーマは『吸血鬼 きゅうけつき ヴァーニー 』(1847年 ねん )に代表 だいひょう されるペニー・ドレッドフル のような連続 れんぞく 掲載 けいさい 作品 さくひん を経由 けいゆ し、最終 さいしゅう 的 てき に1897年 ねん のブラム・ストーカー による『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ 』によって頂点 ちょうてん に達 たっ した[ 56] 。
現在 げんざい では当 あ たり前 まえ となっている吸血鬼 きゅうけつき の設定 せってい もまた徐々 じょじょ に確立 かくりつ されていったものである。ヴァーニーとドラキュラ伯爵 はくしゃく に見 み られるように、突 つ き出 で た2本 ほん の歯 は を持 も ち、致命 ちめい 的 てき ではないが日光 にっこう を苦手 にがて とする設定 せってい は19世紀 せいき に登場 とうじょう した。20世紀 せいき に入 はい るとムルナウ の映画 えいが 『吸血鬼 きゅうけつき ノスフェラトゥ 』(1922年 ねん )にて、吸血鬼 きゅうけつき にとって日光 にっこう が致命 ちめい 的 てき な弱点 じゃくてん として加 くわ わった。
マントは、高 たか い襟 えり と共 とも に1920年代 ねんだい の舞台 ぶたい 作品 さくひん で登場 とうじょう し、これは舞台 ぶたい 上 じょう でドラキュラが消 き える演出 えんしゅつ のために、劇 げき 作家 さっか ハミルトン・ディーン (英語 えいご 版 ばん ) によって導入 どうにゅう されたものであった。
ルスヴン卿 きょう とヴァーニーは月光 げっこう によって自 みずか らの肉体 にくたい を治癒 ちゆ したが、これも伝統 でんとう 的 てき な民間 みんかん 伝承 でんしょう には存在 そんざい しない設定 せってい である。
必 かなら ずしも明示 めいじ 的 てき ではないが、民間 みんかん 伝承 でんしょう でよく見 み られたのは「不死 ふし 性 せい 」であり、これは吸血鬼 きゅうけつき 映画 えいが や文学 ぶんがく でも大 おお きく取 と り上 あ げられている特徴 とくちょう の一 ひと つである。永遠 えいえん の命 いのち の代償 だいしょう として、血液 けつえき を絶 た え間 ま なく必要 ひつよう としていることが一般 いっぱん に扱 あつか われる。
『吸血鬼 きゅうけつき ヴァーニー 』の表紙 ひょうし
吸血鬼 きゅうけつき ――ヴァンパイア(Vampire)やレヴィナント(Revenant)―― の最初 さいしょ 期 き の例 れい は、ハインリヒ・アウグスト・オッセンフェルターの『吸血鬼 きゅうけつき 』(1748年 ねん )、ゴットフリート・アウグスト・ビュルガーの『レノーア』(1773年 ねん )、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ の『コリントの花嫁 はなよめ 』(1797年 ねん )、バイロン の『The Giaour』(1813年 ねん )などの詩 し であった。
バイロンはまた、吸血鬼 きゅうけつき をテーマとした最初 さいしょ の散文 さんぶん 小説 しょうせつ 『吸血鬼 きゅうけつき 』(1819年 ねん )の作者 さくしゃ ともされていた。実際 じっさい には彼 かれ の主治医 しゅじい であったジョン・ポリドリ の作品 さくひん であったが、その着想 ちゃくそう の元 もと になったのはバイロンの断片 だんぺん 的 てき な小説 しょうせつ 『Fragment of a Novel』(別名 べつめい :『The Burial: A Fragment』、1819年 ねん )であった[ 56] 。
また、この作品 さくひん に登場 とうじょう する吸血鬼 きゅうけつき ルスヴン卿 きょう はバイロンがモデルとされている。そもそもルスヴンという名前 なまえ が、1816年 ねん にバイロンの恋人 こいびと であったキャロライン・ラムが出版 しゅっぱん したゴシック小説 しょうせつ 『グレナヴォン』の主人公 しゅじんこう グレナヴォン伯爵 はくしゃく クラレンス・ド・ルスヴンに由来 ゆらい したものと考 かんが えられている。『グレナヴォン』はバイロンの放縦 ほうしょう な生活 せいかつ を基 もと に書 か かれたものであり、主人公 しゅじんこう グレナヴォン伯 はく は、バイロンの支配 しはい 的 てき な性格 せいかく を現 あらわ した人物 じんぶつ であった。
ヴィクトリア朝 あさ 中期 ちゅうき に吸血鬼 きゅうけつき 小説 しょうせつ として人気 にんき を博 はく したのが、一般 いっぱん にペニー・ドレッドフル と呼 よ ばれる形態 けいたい で1845年 ねん から1847年 ねん にかけて連載 れんさい された、ジェームズ・マルコム・ライマーとトーマス・ペケット・プレストによるゴシックホラー小説 しょうせつ 『吸血鬼 きゅうけつき ヴァーニー 』であった。1847年 ねん に単行本 たんこうぼん として出版 しゅっぱん されたこの作品 さくひん は2段 だん 組 ぐみ 868ページに及 およ び、ヴァーニーの恐 おそ ろしい活躍 かつやく を描写 びょうしゃ するために生々 なまなま しく、はっきりとサスペンスに満 み ちた作風 さくふう であった[ 55] 。
このジャンルのもう1つ重要 じゅうよう な作品 さくひん は、シェリダン・レ・ファニュ による、同性愛 どうせいあい 者 しゃ の女性 じょせい 吸血鬼 きゅうけつき が登場 とうじょう する『カーミラ 』(1871年 ねん )である。ヴァーニーと同様 どうよう に、吸血鬼 きゅうけつき カーミラは、吸血鬼 きゅうけつき ゆえの制約 せいやく ごとが強調 きょうちょう されており、やや同情 どうじょう 的 てき な描 えが かれ方 かた をしている。
『カーミラ 』の挿絵 さしえ
大衆 たいしゅう 小説 しょうせつ における吸血鬼 きゅうけつき 描写 びょうしゃ の試 こころ みにおいて、他 た 作品 さくひん が比肩 ひけん できないほどの影響 えいきょう 力 りょく と決定 けってい 力 りょく を持 も ったのが1897年 ねん に発表 はっぴょう されたブラム・ストーカー の『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ 』であった。
吸血鬼 きゅうけつき を、伝染 でんせん 性 せい を持 も った悪魔 あくま 憑きの病気 びょうき とし、性 せい ・血 ち ・死 し を下敷 したじ きとした描写 びょうしゃ は、結核 けっかく と梅毒 ばいどく が一般 いっぱん 的 てき であったヴィクトリア朝 あさ 時代 じだい のヨーロッパにおいて琴線 きんせん に触 ふ れるものであった。ストーカーの作品 さくひん に描 えが かれた吸血鬼 きゅうけつき の特徴 とくちょう は、民間 みんかん 伝承 でんしょう と融合 ゆうごう して決定的 けっていてき なものとなり、最終 さいしゅう 的 てき に現代 げんだい におけるフィクションの吸血鬼 きゅうけつき 像 ぞう を形作 かたちづく った[ 55] 。
『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ』の創作 そうさく にあたってストーカーは、ポリドリの『吸血鬼 きゅうけつき 』や、『カーミラ』といった先行 せんこう 作品 さくひん を始 はじ め、エミリー・ジェラード (英語 えいご 版 ばん ) の『森 もり の彼方 かなた の国 くに 』(1888年 ねん )などの作品 さくひん やトランシルヴァニア や吸血鬼 きゅうけつき についての書籍 しょせき を参考 さんこう にしていた。ロンドンで同僚 どうりょう が言及 げんきゅう した「史実 しじつ のドラキュラ」であるヴラド・ツェペシュ の物語 ものがたり に興味 きょうみ を持 も つと、すぐに作品 さくひん に取 と り入 い れた。1897年 ねん の出版 しゅっぱん 時 じ には第 だい 1章 しょう が省略 しょうりゃく されたが、これは1914年 ねん に『ドラキュラの客 きゃく 』というタイトルの短編 たんぺん 小説 しょうせつ として発表 はっぴょう された。
20世紀 せいき 後半 こうはん には何 なん 巻 かん からもなる吸血鬼 きゅうけつき の大作 たいさく 作品 さくひん が台頭 たいとう し、書籍 しょせき の題材 だいざい としての関心 かんしん が再 ふたた び高 たか まった。この嚆矢 こうし となったのはゴシックロマンス作家 さっか マリリン・ロス(W.E.D.ロス (英語 えいご 版 ばん ) )の『バーナバス・コリンズ (英語 えいご 版 ばん ) 』シリーズ(1966年 ねん -1971年 ねん )であり、この作品 さくひん はアメリカの人気 にんき テレビドラマシリーズ『ダーク・シャドウ 』のノベライズ版 ばん であった。この作品 さくひん では吸血鬼 きゅうけつき を伝統 でんとう 的 てき な悪 あく の化身 けしん としてではなく、詩的 してき な悲劇 ひげき の主人公 しゅじんこう として描 えが く方向 ほうこう を作 つく り出 だ した。この形式 けいしき は、小説 しょうせつ 家 か アン・ライス の大人気 おとなげ 小説 しょうせつ 『ヴァンパイア・クロニクルズ 』シリーズ(1976年 ねん -2003年 ねん )や、ステファニー・メイヤー の『トワイライト 』シリーズ(2005年 ねん -2008年 ねん )[ 68] でも踏襲 とうしゅう された。
ベラ・ルゴシ が演 えん じるドラキュラ伯爵 はくしゃく (『魔 ま 人 じん ドラキュラ 』、1931年 ねん )
古典 こてん ホラー映画 えいが において傑出 けっしゅつ したキャラクターの1つと考 かんが えられている吸血鬼 きゅうけつき は、映画 えいが ・テレビといった映像 えいぞう 作品 さくひん においてよく用 もち いられている題材 だいざい である。特 とく にドラキュラ伯爵 はくしゃく は、シャーロック・ホームズ に次 つ いで多 おお くの映画 えいが に登場 とうじょう し、初期 しょき の吸血鬼 きゅうけつき 映画 えいが の多 おお くはストーカーの『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ』を原作 げんさく とするか、もしくはそこから密接 みっせつ して派生 はせい したものであった。この中 なか には初 はじ めてドラキュラを描 えが いたとされる、F・W・ムルナウ 監督 かんとく による1922年 ねん のドイツ表現 ひょうげん 主義 しゅぎ のサイレント映画 えいが 『吸血鬼 きゅうけつき ノスフェラトゥ 』が含 ふく まれる。この作品 さくひん は『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ』を無断 むだん で翻案 ほんあん したものであり、舞台 ぶたい をドイツ、吸血鬼 きゅうけつき の名 な はオルロック伯爵 はくしゃく といった改変 かいへん 点 てん も多々 たた あった。特 とく に伯爵 はくしゃく の最期 さいご について朝日 あさひ を浴 あ びて消滅 しょうめつ するというラストに置 お き換 か えられたが、これは吸血鬼 きゅうけつき は日光 にっこう を致命 ちめい 的 てき な弱点 じゃくてん とする、という現代 げんだい ではオーソドックスな吸血鬼 きゅうけつき 設定 せってい の元 もと となった[ 69] 。
その後 ご 、トーキーの時代 じだい に入 はい って最初 さいしょ に描 えが かれたドラキュラ作品 さくひん が、トッド・ブラウニング が監督 かんとく し、ベラ・ルゴシ がドラキュラ伯爵 はくしゃく を演 えん じたユニバーサルの『魔 ま 人 じん ドラキュラ 』(1931年 ねん )である。ルゴシの演技 えんぎ と映画 えいが の総合 そうごう 的 てき な出来 でき はホラーというジャンルの黎明 れいめい 期 き に大 おお きな影響 えいきょう を与 あた えた。これは、サイレント時代 じだい よりも、はるかに効率 こうりつ 的 てき に音響 おんきょう や特殊 とくしゅ 効果 こうか を用 もち いることを意味 いみ していた。
この1931年 ねん の映画 えいが の影響 えいきょう は、20世紀 せいき 後半 こうはん から現代 げんだい に至 いた るまで続 つづ いている。スティーヴン・キング 、フランシス・フォード・コッポラ 、ハマー・フィルム 、フィリップ・サヴィル (英語 えいご 版 ばん ) などは、直接 ちょくせつ にインスピレーションを受 う け、演出 えんしゅつ や引用 いんよう を行 おこな っている。
ロールプレイングゲーム『ヴァンパイア:ザ・マスカレード 』は、現代 げんだい の吸血鬼 きゅうけつき 作品 さくひん に影響 えいきょう を与 あた え、特 とく に「抱擁 ほうよう (エンブレイス、embrace)」や「サイヤ(sire)」といった用語 ようご は吸血鬼 きゅうけつき 小説 しょうせつ に影響 えいきょう を与 あた えた[ 55] (抱擁 ほうよう (embrace)は吸血鬼 きゅうけつき が人間 にんげん を吸血鬼 きゅうけつき に変 か える行為 こうい を指 さ す。サイヤ(sire)は「主君 しゅくん 」の意味 いみ で、吸血鬼 きゅうけつき と、その吸血鬼 きゅうけつき によって吸血鬼 きゅうけつき 化 か された人間 にんげん との主従 しゅうじゅう 関係 かんけい を意味 いみ し、主人 しゅじん と下僕 げぼく という絶対 ぜったい 的 てき な関係 かんけい を指 さ す)。
吸血鬼 きゅうけつき をテーマとして人気 にんき を博 はく したテレビゲームには『悪魔 あくま 城 じょう ドラキュラ 』や『レガシー・オブ・ケイン (英語 えいご 版 ばん ) 』などがあり、ストーカーの『吸血鬼 きゅうけつき ドラキュラ』を下敷 したじ きにしている[ 70] 。
ロールプレイングゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ 』には吸血鬼 きゅうけつき が登場 とうじょう する[ 71] 。
ゴス系 けい サブカルチャー においては、他人 たにん の血 ち を吸 す うことを娯楽 ごらく とする「ヴァンパイア・ライフスタイル (英語 えいご 版 ばん ) 」と呼 よ ばれる現代 げんだい サブカルチャーの用語 ようご がある。これは、カルトの象徴 しょうちょう 的 てき 行為 こうい やホラー映画 えいが 、アン・ライスの小説 しょうせつ 、ヴィクトリア朝 あさ イングランドの風俗 ふうぞく といった大衆 たいしゅう 文化 ぶんか 史 し に由来 ゆらい する[ 72] 。
吸血鬼 きゅうけつき サブカルチャーの中 なか でもよく見 み られる吸血 きゅうけつ 行為 こうい は、一般 いっぱん 的 てき に「サングワン・ヴァンパイアリズム」(sanguine vampirism、直訳 ちょくやく :享楽 きょうらく 的 てき 吸血鬼 きゅうけつき 主義 しゅぎ )と呼 よ ばれる血液 けつえき に関連 かんれん したものと、「サイキック・ヴァンパイアリズム」(psychic vampirism、直訳 ちょくやく :精神 せいしん 的 てき 吸血鬼 きゅうけつき 主義 しゅぎ )と呼 よ ばれる霊的 れいてき なエネルギーを摂食 せっしょく するものの両方 りょうほう を含 ふく む[ 73] [ 74] 。
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