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寓話ぐうわ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

寓話ぐうわ(ぐうわ、えい: allegory, fable)とは、比喩ひゆによって人間にんげん生活せいかつ馴染なじみのふかいできごとをせ、それによってさとすことを意図いとした物語ものがたり名指なざしされることのない、つまりは名無ななしの登場とうじょうしゃは、動物どうぶつ植物しょくぶつ自然しぜん現象げんしょうなど様々さまざまであるが、かなら擬人ぎじんされている。主人公しゅじんこうが、もしくは主人公しゅじんこう敵対てきたいしゃが、ある結果けっかをひきこしたり、ある出来事できごと遭遇そうぐうする始末しまつ表現ひょうげんしたりする本筋ほんすじは、なぞなぞと同様どうよう文学ぶんがくてき構造こうぞうち、面白おもしろく、不可解ふかかい印象いんしょうあたえることによって読者どくしゃ興味きょうみをひき、解釈かいしゃく方向ほうこう道徳どうとくてき訓話くんわける特性とくせいつ。民話みんわによくられるように、物語ものがたりかたまつには寓意ぐういてき解釈かいしゃくくわえることが習慣しゅうかんてきおこなわれてきた。

歴史れきし

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古代こだいオリエント

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寓話ぐうわは、神話しんわ同様どうようにとてもふる文献ぶんけん発見はっけんされている。現時点げんじてんでは古代こだいオリエントのものがもっとふるい。古代こだいギリシャローマ以前いぜん寓話ぐうわは、アイソーポス(イソップ)以前いぜん寓話ぐうわ Ante-Aesopic fable と総称そうしょうされている。19世紀せいき後半こうはんから古代こだいオリエントの楔形文字くさびがたもじ解読かいどくされ、1931ねんドイツアッシリア学者がくしゃエーベリングがいくつかの文献ぶんけんをまとめて「バビロニア寓話ぐうわ」としてやくした[1]。その文献ぶんけん発掘はっくつされたが、寓話ぐうわ研究けんきゅうおとろえた。

最近さいきんではアキモトの研究けんきゅうヴァンダービルト大学だいがくから発表はっぴょうされているのみである。かれ研究けんきゅうによると、古代こだいオリエント(メソポタミアエジプト地中海ちちゅうかい東岸とうがんアナトリア)では、寓話ぐうわ口承こうしょう文学ぶんがくとして文字もじ以前いぜんからあり、文字もじ発達はったつとともに粘土ねんどばんにもあらわれた。シュメールアッカドみじか寓話ぐうわが、ことわざやその民話みんわといっしょに収集しゅうしゅうされた粘土ねんどばんは、そのほとんどが学校がっこう遺跡いせきから発見はっけんされている。

ヒッタイトフルリバイリンガルのこ寓話ぐうわしゅうは、神話しんわ伝説でんせつなかまれていて、あるはなつぎからつぎへと寓話ぐうわかたっては解釈かいしゃくしてかせていくという形式けいしきをとっているもっとふるいもので、ヒッタイトばん紀元前きげんぜん1400ねんごろ、その原本げんぽんとなったフルじん寓話ぐうわはもっとふるく、紀元前きげんぜん16から17世紀せいきごろのものと推定すいていされている。Ninurta-uballitsu ニヌルタ・ウバルリトゥスウの古代こだいアッシリア寓話ぐうわしゅうは、紀元前きげんぜん883ねん完成かんせいしるされていて、編纂へんさんしゃ名前なまえ編纂へんさんねん判明はんめいしている最古さいこ寓話ぐうわしゅうである。古代こだいアッシリア王家おうけ書簡しょかんなかにも寓話ぐうわ使つかったものが発見はっけんされている[2]

古代こだいギリシャ

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寓話ぐうわえばイソップ寓話ぐうわである。かれかんする寓話ぐうわがこのギリシャじん作品さくひんであるかは不明ふめいで、ヘロドトス記述きじゅつがいでのかれ歴史れきしてき存在そんざいたしかではないにせよ、紀元前きげんぜん6世紀せいき以降いこう寓話ぐうわは、イソップの寓話ぐうわ Aesop's fable またはイソップてき寓話ぐうわ Aesopic fable と総称そうしょうされている。伝説でんせつてきイソップと文芸ぶんげいジャンルとしての寓話ぐうわは、ローマひがしローマ寓話ぐうわ収集しゅうしゅうおよび作家さっかによりギリシャラテン語らてんご文献ぶんけん伝承でんしょうされた。

サンスクリットかれた説話せつわしゅうパンチャタントラ』では、釈迦しゃかまれわるたびに色々いろいろ動物どうぶつとしてらすはなしを、教訓きょうくんてき寓話ぐうわとして表現ひょうげんしている[3]

欧州おうしゅう

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ギリシャラテン語らてんごきするキリスト教きりすときょう聖職せいしょくしゃにより、寓話ぐうわ中世ちゅうせいからルネサンスつうじてがれた。グーテンベルグ印刷いんさつ発明はつめいのすぐに、ハイリッヒ・シュタインヘーベル英語えいごばんラテン語らてんごドイツのバイリンガルによる「エソプス」というだい寓話ぐうわしゅう出版しゅっぱんしてから民間みんかんひろまっていった。近世きんせいには個性こせいてき寓話ぐうわ作家さっかあらわれ、チョーサーラ・フォンテーヌなどの作品さくひんはよくられている。

えいふつ: Fable英語えいごばん)(フランス語ふらんすごばん, どく: Fabelドイツばん, : Favolaイタリアばん, 西にし: Fábulaスペインばんなどのかく言語げんごばんウィキペディアにある寓話ぐうわ記事きじには、こくごとの寓話ぐうわ発展はってんしるされている。

日本にっぽん

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イソップは、日本にっぽんにおける寓話ぐうわ祖先そせんでもある。16世紀せいきキリシタン切支丹きりしたん)によって欧文おうぶんから日本語にほんご翻訳ほんやくされた『曾保物語ものがたり』は、イソップ寓話ぐうわもとにした寓話ぐうわしゅうである[4]。なお、『イソホノファビュラス』のマ字まじはんは、だいえい博物館はくぶつかん所蔵しょぞうされている。

寓話ぐうわてき著作ちょさくいた作家さっかれい

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文学ぶんがくにおける「寓話ぐうわてき表現ひょうげんとは、寓話ぐうわ同様どうよう比喩ひゆ使つかうことで、作品さくひんたのしくめるように面白おもしろおかしくし、本質ほんしつてき作品さくひん意図いとかく手法しゅほうである。実際じっさいには、一般いっぱんアレゴリーを「寓話ぐうわてき表現ひょうげん」と邦訳ほうやくして、ジャンルの区別くべつがないままに使つかわれている。以下いかげる作家さっかは、イソップやラ・フォンテーヌなどの専門せんもんてき寓話ぐうわ作家さっかではないことに注意ちゅうい必要ひつようである。

出典しゅってん

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  1. ^ Ebeling, Die Babylonishe Fabel und ihre Bedeutung für die Literaturgeschichte (1931).
  2. ^ Kazya Akimoto, Ante-Aesopica: Fable Traditions of Ancient Near East. (Vanderbilt University: 2010, UMI/ProQuest AAT 3441951)
  3. ^ Dharma, Krishna (transl.) Panchatantra - A vivid retelling of India's most famous collection of fables (2004: Badger CA, USA: Torchlight Publishing: ISBN 978-1-887089-45-6)
  4. ^ 国文学研究資料館こくぶんがくけんきゅうしりょうかん物語ものがたり

関連かんれん項目こうもく

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