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対称たいしょうせい (物理ぶつりがく)

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物理ぶつりがく
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複数ふくすう空間くうかん対称たいしょうせいをもつグラファイト結晶けっしょう構造こうぞう

物理ぶつりがくにおける対称たいしょうせい(たいしょうせい、えい: symmetry)とは、物理ぶつりけい対称たいしょうせい — すなわち、ある特定とくてい変換へんかんしたでの、けい様相ようそうの「不変ふへんせい」である。

概要がいよう

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物理ぶつりけい対称たいしょうせいは、ある変化へんかしたで「保存ほぞんする」けい物理ぶつりてきまたは数学すうがくてきな(観測かんそくりょう、または内在ないざいりょうの)特徴とくちょうである。変換へんかんには「連続れんぞくてき」な変換へんかんえん回転かいてんなど)または「離散りさんてき」な変換へんかん左右さゆう対称たいしょうぞう反射はんしゃ正多角形せいたかっけい回転かいてんなど)のファミリーがある。連続れんぞくてきまたは離散りさんてき変換へんかんにより、それぞれに対応たいおうするかた対称たいしょうせいあらわれる。連続れんぞく対称たいしょうせいリーぐんによって記述きじゅつすることができ、一方いっぽう離散りさん対称たいしょうせい有限ゆうげんぐん記述きじゅつすることができる(対称たいしょう変換へんかんぐん英語えいごばん参照さんしょう)。対称たいしょうせいは、おおくの場合ばあいぐん表現ひょうげんのような数学すうがくてき形式けいしきがしやすく、おおくの問題もんだい単純たんじゅんするために有効ゆうこう使つかうことができる。

こういった対称たいしょうせい重要じゅうようれいとして、任意にんい微分びぶん可能かのう座標ざひょう変換へんかん一般いっぱん座標ざひょう変換へんかん)のしたでの物理ぶつり法則ほうそく不変ふへんせい一般いっぱんども変性へんせい原理げんり)がある。

不変ふへんせいとしての対称たいしょうせい

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不変ふへんせいは、あるりょう変化へんかさせないままにする変換へんかんによって数学すうがくてき規定きていされる。この概念がいねんじつ世界せかい観測かんそくされる基本きほんてき現象げんしょうたいして適用てきようすることができる。たとえば、温度おんど理想りそうてきには部屋へやなかではどこも一定いっていである。このとき、温度おんど部屋へやなか位置いち依存いぞんしないので、温度おんど測定そくていしゃ位置いち移動いどうかんして「不変ふへん」である。

同様どうように、均一きんいつ球体きゅうたいをその中心ちゅうしんたいして回転かいてんさせても、回転かいてんおこなまえとまったくおな状態じょうたいとなる。このとき、その球体きゅうたいたま対称たいしょうせいしめしたとうことができる。たまのどのじくについて回転かいてんさせても、この操作そうさっきゅうがどのように「える」かを保存ほぞんする。

ちから不変ふへんせい

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上述じょうじゅつのように、観測かんそくされた物理ぶつりてき対称たいしょうせいについて議論ぎろんするとき、「不変ふへんせい」という有用ゆうよう概念がいねん着目ちゃくもくすることができる。これはちからにおける対称たいしょうせいについても同様どうよう適用てきようすることができる。

たとえば、電線でんせん円筒えんとう対称たいしょうせいしめす。これは、ある帯電たいでんした無限むげんながさの電線でんせんからの距離きょりr における電界でんかい強度きょうどかんがえるとき、電線でんせん中心ちゅうしんじくとする半径はんけいr円筒えんとう表面ひょうめんじょうてんはどこでもおな強度きょうどしめすことからえる。電線でんせんじくとして回転かいてんさせても、もと位置いち電界でんかい強度きょうど(また移動いどうしたさき電界でんかい強度きょうど)はわらないので、この操作そうさ電界でんかい保存ほぞんする。回転かいてんされた位置いち電界でんかい強度きょうどおなじであるが、その方向ほうこうはこの操作そうさしたがって回転かいてんする。これらのふたつの性質せいしつは、チャージ任意にんいけい回転かいてんはそれに対応たいおうする回転かいてんしょうじるというより一般いっぱんてき性質せいしつとおして相互そうご関連かんれんしている。

ニュートンの力学りきがく理論りろんにおけるれいについてかんがえる。あたえられた質量しつりょうmふたつの物体ぶったいが、はじめは原点げんてん静止せいしした状態じょうたいから、x じく沿っておたが反対はんたい方向ほうこうひとつは速度そくどv1、もう一方いっぽう速度そくどv2運動うんどうするとする。このけいぜん運動うんどうエネルギーは(原点げんてんにいる観測かんそくしゃから計算けいさんされるとして)12m(v12 + v22)であり、もし速度そくど交換こうかんされるならおなじままである。ぜん運動うんどうエネルギーはy じくない反射はんしゃした保存ほぞんする。

うえ運動うんどうエネルギーのれいは、対称たいしょうせい表現ひょうげんする方法ほうほうとして、物理ぶつりけいのある側面そくめん記述きじゅつする方程式ほうていしきもちいている。ここでは、もしv1 およびv2交換こうかんされるなら、ぜん運動うんどうエネルギーはおなじであることをしめしている。

局所きょくしょてきおよび大局たいきょくてき対称たいしょうせい

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対称たいしょうせいは「大局たいきょくてき」または「局所きょくしょてき対称たいしょうせいおおきく分類ぶんるいすることができる。「大局たいきょくてき対称たいしょうせい」は時空じくうすべてのてんにおいて成立せいりつするものである。一方いっぽう、「局所きょくしょてき対称たいしょうせい」は時空じくうことなるてんにおいてことなる対称たいしょうせい変換へんかんつものである。とく局所きょくしょてき対称たいしょうせい変換へんかん時空じくう座標ざひょうによってパラメータされている。局所きょくしょてき対称たいしょうせいゲージ理論りろん基礎きそ形成けいせいするなど物理ぶつりがくにおいて重要じゅうよう役割やくわりたしている。

連続れんぞくてき対称たいしょうせい

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対称たいしょうせいラベルをしめめんこころ立方りっぽう格子こうし構造こうぞうだいいちブリュアンゾーン

うえ記述きじゅつされた回転かいてん対称たいしょうせいふたつのれいたま対称たいしょうせいおよび円筒えんとう対称たいしょうせいはそれぞれ連続れんぞくてき対称たいしょうせい英語えいごばんである。これらはけい幾何きかにおける連続れんぞくてき変化へんかしたが不変ふへんせいによって特徴付とくちょうづけられる。たとえば、電線でんせんはそのじくについてどんな角度かくど回転かいてんしても、電界でんかい強度きょうどじく中心ちゅうしんとする円筒えんとうじょうおなじである。数学すうがくてきに、連続れんぞくてき対称たいしょうせい連続れんぞく関数かんすうまたはなめらかな関数かんすうによって記述きじゅつされる。物理ぶつりがくにおける連続れんぞくてき対称たいしょうせい重要じゅうようなものは時空じくう対称たいしょうせいである。

時空じくう対称たいしょうせい

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連続れんぞくてき時空じくう対称たいしょうせい」 (spacetime symmetry) は、空間くうかん時間じかん変換へんかんふく対称たいしょうせいである。これらはさらに、物理ぶつりけい関連かんれんする空間くうかん幾何きかてき変化へんかのみをふくむ「空間くうかん対称たいしょうせい」、時間じかんにおける変化へんかのみをふくむ「時間じかん対称たいしょうせい」、または空間くうかん時間じかん変化へんか両方りょうほうふくむ「空間くうかん時間じかん対称たいしょうせい」に分類ぶんるいされる。

時間じかん並進へいしん
このことは、任意にんい時刻じこくt およびa (実数じっすう)についての変換へんかんしたでの不変ふへんせいとして数学すうがくてき表現ひょうげんされる。たとえば、古典こてん力学りきがくでは重力じゅうりょく影響えいきょうだけをけているある粒子りゅうしは、地表ちひょうからたかhかれたとき重力じゅうりょくポテンシャルエネルギー mghつ。粒子りゅうしたかさに変化へんかがないなら、どの時点じてんでもこの位置いちエネルギーはぜん重力じゅうりょくポテンシャルエネルギーであろう。いいかえれば、ある時間じかんt0t0 + 3 (びょう)における粒子りゅうし状態じょうたいかんがえたとき、どちらの状態じょうたいでもその粒子りゅうしぜん重力じゅうりょくポテンシャルエネルギーは保存ほぞんされているということである[1]
空間くうかん並進へいしん
この空間くうかん対称たいしょうせい任意にんい位置いちベクトル たいして、形式けいしき変換へんかん表現ひょうげんされ、けい性質せいしつ場所ばしょにおける連続れんぞくてき変化へんかによっても不変ふへんけい状況じょうきょう記述きじゅつする[2]たとえば、理想りそうてき状態じょうたいでは、部屋へや温度おんど部屋へやなかのどこに温度おんどけいくかに独立どくりつであるとえる[3]
空間くうかん回転かいてん
この空間くうかんてき対称たいしょうせい回転かいてん操作そうさおよびかいうつ操作そうさ分類ぶんるいされる。前者ぜんしゃたんに「通常つうじょうの」回転かいてんであり、数学すうがくてき正方せいほう行列ぎょうれつによって表現ひょうげんされる。後者こうしゃ行列ぎょうれつしき−1の正方せいほう行列ぎょうれつによって表現ひょうげんされ、通常つうじょう回転かいてん空間くうかん反射はんしゃ反転はんてん)のわせで構成こうせいされている。たとえば、たま回転かいてん対称たいしょうせいっている。空間くうかん回転かいてんほかかたについては回転かいてん対称たいしょうせい記事きじ参照さんしょうのこと。
ポアンカレ変換へんかん
これはミンコフスキー時空じくうにおける距離きょり保存ほぞんする空間くうかん時間じかん対称たいしょうせいである。たとえば、ポアンカレ変換へんかんはミンコフスキー空間くうかんひとしちょう写像しゃぞうである。それらはおも特殊とくしゅ相対性理論そうたいせいりろんにおいて研究けんきゅうされている。原点げんてん固定こていからはなれた場合ばあいのこの変換へんかんとうちょう写像しゃぞう[訳語やくご疑問ぎもんてん]ローレンツ変換へんかんばれ、ローレンツきょうへんとしてられる対称たいしょうせいしょうじる。
射影しゃえい対称たいしょうせい
これは時空じくう構造こうぞう測地そくちせん保存ほぞんする空間くうかん時間じかん対称たいしょうせいである。それらは任意にんいなめらかな多様たようたいうえ定義ていぎされる。これは一般いっぱん相対性理論そうたいせいりろん厳密げんみつかい英語えいごばん研究けんきゅうにおいておお応用おうようされている。
反転はんてん変換へんかん
これはポアンカレ変換へんかん時空じくう座標ざひょうじょうでのほか一対一いちたいいちきょうかたち変換へんかんふくむように一般いっぱんする空間くうかん時間じかん対称たいしょうせいである。ながさは反転はんてん変換へんかんした不変ふへんではないが、不変ふへんよんてんじょう調和ちょうわ英語えいごばん存在そんざいする。

時空じくう対称たいしょうせい通常つうじょうなめらかな多様たようたいうえなめらかなベクトルじょうによって数学すうがくてき記述きじゅつされる。ベクトルじょう関連かんれんする内在ないざいてき局所きょくしょ微分びぶん同相どうしょう写像しゃぞうはより直接的ちょくせつてき物理ぶつりてき対称たいしょうせい対応たいおうする。ベクトルじょうそれ自身じしんは、物理ぶつりけい対称たいしょうせい分類ぶんるいするときにさらによく使つかわれる。

ベクトルじょうもっと重要じゅうようなもののなかにはキリングベクトルじょうがある。これは多様たようたい内在ないざいてき計量けいりょう構造こうぞう保存ほぞんする時空じくう対称たいしょうせいである。おおまかにって、キリングベクトルじょう多様たようたいのどんなてんあいだ距離きょり保存ほぞんする。キリングベクトルはひとしちょう写像しゃぞうとよくばれる。物理ぶつりがくにおけるひとしちょう写像しゃぞう記事きじでこれらの対称たいしょうせいについての詳細しょうさい議論ぎろんがなされている。

離散りさんてき対称たいしょうせい

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離散りさんてき対称たいしょうせい (discrete symmetry) は、けいない連続れんぞく変化へんか記述きじゅつする対称たいしょうせいである。たとえば、正方形せいほうけい離散りさん対称たいしょうせいっている。直角ちょっかく倍数ばいすうによる回転かいてん操作そうさのみ正方形せいほうけいもと形状けいじょう保存ほぞんする。離散りさん対称たいしょうせいときに「交換こうかん (swapping) 」のいくつかのかたふくむ。これらの交換こうかん (swap) は通常つうじょう、「反射はんしゃ」または「交換こうかん」(interchange) とばれる。

時間じかん反転はんてん
おおくの物理ぶつり法則ほうそくは、時間じかんきを反転はんてんした場合ばあいでも、現実げんじつ現象げんしょう記述きじゅつする。数学すうがくてきには、変換へんかんによって表現ひょうげんされる。たとえば、ニュートンの運動うんどうだい2法則ほうそくは、もし, という方程式ほうていしきによってえられたとしても依然いぜん成立せいりつする。このことは真上まうえげられた粒子りゅうし運動うんどう空気くうき抵抗ていこう無視むしする)を記述きじゅつすることによって例示れいじすることができるだろう。このような運動うんどうをする粒子りゅうしでは、位置いち物体ぶったい最高さいこう到達とうたつてんにいる瞬間しゅんかんについて対称たいしょうである。反転はんてんされた時間じかんにおいては、速度そくど反転はんてんされる。
空間くうかん反転はんてんパリティ
これは形式けいしき変換へんかんによって表現ひょうげんされ、座標ざひょうが '反転はんてん'したときのけい不変ふへんせいしめす。
うつすすむ英語えいごばん
これは並進へいしん反射はんしゃわせによって表現ひょうげんされる。これらの対称たいしょうせいはいくつかの結晶けっしょうおよび壁紙かべがみ対称たいしょうせいとしてられるいくつかの平面へいめん対称たいしょうせいられる。

C, P, およびT対称たいしょうせい

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素粒子そりゅうし物理ぶつりがく標準ひょうじゅん模型もけいは、3つの関連かんれんした自然しぜん近似きんじてき対称たいしょうせいつ。これらの対称たいしょうせいにより、われわれの実際じっさい宇宙うちゅうつぎのようなものと区別くべつすることができない。

T対称たいしょうせい直観ちょっかんはんする(たしかに未来みらい過去かこ非対称ひたいしょうてきである)が、標準ひょうじゅん模型もけいエントロピーのような大局たいきょくてき性質せいしつではなく局所きょくしょてき性質せいしつ記述きじゅつするという事実じじつによって説明せつめいされる。時間じかんきを適切てきせつ反転はんてんさせるには、ビッグバンそして結果けっかとしてこるていエントロピー状態じょうたいを「未来みらい」に必要ひつようがある。われわれは「過去かこ」(「未来みらい」)を現在げんざいよりひくい(たかい)エントロピーとして知覚ちかくするので(en:Entropy (arrow of time)参照さんしょう)、この仮説かせつじょう時間じかん反転はんてん宇宙うちゅう住人じゅうにんはわれわれが過去かことして知覚ちかくするものとおなじものを未来みらいとして知覚ちかくするだろう。

これらの対称たいしょうせい近似きんじてき対称たいしょうせいである。なぜなら、それらは現在げんざい宇宙うちゅうやぶれているためである。しかしながら、標準ひょうじゅん模型もけいはCPTのみっつのわせ(みっつの変換へんかん同時どうじ適用てきようした結果けっか)は対称たいしょうでなければならないと予測よそくしている。すなわちCPT対称たいしょうせい成立せいりつするとかんがえられている。CP対称たいしょうせいやぶ(CおよびP対称たいしょうせいやぶれのわせ)は、宇宙うちゅうバリオン物質ぶっしつおお存在そんざいするために不可欠ふかけつであり、ひいては生命せいめい存在そんざい要件ようけんとなっている[よう出典しゅってん]。CP対称たいしょうせいやぶれの研究けんきゅうは、現在げんざい素粒子そりゅうし物理ぶつりがくにおいてみのりのおお分野ぶんやとなっている。

ちょう対称たいしょうせい

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ちょう対称たいしょうせいとしてられるかた対称たいしょうせい標準ひょうじゅん模型もけい理論りろん進展しんてんさせるために導入どうにゅうこころみられてきた。ちょう対称たいしょうせいは、すでに標準ひょうじゅん模型もけいなかまれている対称たいしょうせいえた対称たいしょうせいとくボース粒子りゅうしフェルミ粒子りゅうしあいだ対称たいしょうせい存在そんざいするという発想はっそうもとづいている。ちょう対称たいしょうせいは、ボース粒子りゅうしのそれぞれのかたちょう対称たいしょうパートナーとしてのフェルミ粒子りゅうしち、フェルミ粒子りゅうし場合ばあい同様どうようのパートナーをつと主張しゅちょうしている。ちょう対称たいしょうせい実験じっけんてきにはいまだ検証けんしょうされていない。現在げんざいつかっている既知きちのどの粒子りゅうしも、既知きち粒子りゅうしちょう対称たいしょうせいパートナーとしての適切てきせつ性質せいしつそなえていない。もしちょう対称たいしょうせいパートナーが存在そんざいするなら、それらは現状げんじょう粒子りゅうし加速器かそくき生成せいせいできるよりおおきい質量しつりょうつはずである。

物理ぶつりてき対称たいしょうせい数学すうがく

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物理ぶつりてき対称たいしょうせい記述きじゅつする変換へんかんは、典型てんけいてき数学すうがくにおけるぐん形成けいせいする。群論ぐんろん物理ぶつりがくのための数学すうがくとして重要じゅうよう分野ぶんやである。

連続れんぞくてき対称たいしょうせいは「連続れんぞくぐん」(リーぐんばれる)によって数学すうがくてき規定きていされる。おおくの物理ぶつりてき対称たいしょうせいひとしちょう写像しゃぞうであり対称たいしょうぐんによって規定きていされる。この用語ようごはときに対称たいしょうせいのより一般いっぱんてきかたのためにもちいられる。たま任意にんいじくについて(どんな角度かくどでも)すべての回転かいてん操作そうさ集合しゅうごう特殊とくしゅ直交ちょっこうぐん SO(3) とばれるリーぐん形成けいせいする(3通常つうじょうたまさん次元じげん空間くうかん言及げんきゅうしている)。それゆえ、回転かいてん操作そうさたま対称たいしょうぐんは SO(3) である。どんな回転かいてんもボールの表面ひょうめんじょう距離きょり保存ほぞんする。すべてのローレンツ変換へんかん集合しゅうごうローレンツぐん(これはポアンカレぐんへと拡張かくちょうされるうる)とばれるぐん形成けいせいする。

離散りさん対称たいしょうせい離散りさんぐんによって記述きじゅつされる。たとえば、正三角形せいさんかっけい対称たいしょうせい対称たいしょうぐん S3 によって記述きじゅつされる。

局所きょくしょてき対称たいしょうせいもとづく物理ぶつり理論りろん重要じゅうようかたゲージ理論りろんばれ、そのような理論りろん自然しぜん対称たいしょうせいゲージ対称たいしょうせいばれる。標準ひょうじゅん模型もけいにおけるゲージ対称たいしょうせいは、SU(3) × SU(2) × U(1)ぐんもとづいており、基本きほん相互そうご作用さようみっつを記述きじゅつするためにもちいられる(おおまかにって、SU(3) ぐん対称たいしょうせいつよ相互そうご作用さようを、SU(2) ぐんでんじゃくりょくを、そしてU(1) ぐん電磁でんじりょく記述きじゅつする。)。

また、ぐんによる作用さようしたでのエネルギーひろし関数かんすう英語えいごばん対称たいしょうせいによる減少げんしょうおよび対称たいしょうぐん変換へんかん自発じはつてき対称たいしょうせいやぶ素粒子そりゅうし物理ぶつりがくのトピック(たとえば、物理ぶつりてき宇宙うちゅうろんにおける電磁気でんじきりょくおよびよわちから統一とういつ)を解明かいめいするためにあらわれる。

保存ほぞんそく対称たいしょうせい

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物理ぶつりけい対称たいしょうせい性質せいしつけい特徴付とくちょうづける保存ほぞんそくふか関係かんけいしている。ネーターの定理ていりはこの関係かんけい厳密げんみつ記述きじゅつしている。この定理ていりによると、物理ぶつりけい連続れんぞくてき対称たいしょうせいけいのある物理ぶつりてき性質せいしつ保存ほぞんすることを暗示あんじしている。反対はんたいに、ある保存ほぞんされたりょうはそれに対応たいおうする対称たいしょうせいっている。たとえば、空間くうかんひとしちょう写像しゃぞう線形せんけい運動うんどうりょう保存ほぞんそくしょうじ、時間じかんとうちょう写像しゃぞうエネルギー保存ほぞんそくしょうじる。

以下いかひょうにいくつかの基本きほんてき対称たいしょうせいおよび関連かんれんする保存ほぞんりょう概要がいようしめす。

クラス 不変ふへんせい 保存ほぞんりょう
じゅん (proper orthochronous)
ローレンツ対称たいしょうせい(Lorentz symmetry)

[疑問ぎもんてん]

時間じかん並進へいしん
  均質きんしつせい英語えいごばん
エネルギー
空間くうかん並進へいしん
  均質きんしつせい
線形せんけい運動うんどうりょう
空間くうかん回転かいてん
  ひとしかたせい
かく運動うんどうりょう
離散りさんてき対称たいしょうせい英語えいごばん P, 座標ざひょう反転はんてん 空間くうかんパリティ
C, 荷電かでん共役きょうやく変換へんかん Cパリティ
T, 時間じかん反転はんてん Tパリティ
CPT パリティのせき
内部ないぶ対称たいしょうせい時空じくう座標ざひょう独立どくりつ U(1) ゲージ変換へんかん 電荷でんか
U(1) ゲージ変換へんかん レプトン生成せいせいすう
U(1) ゲージ変換へんかん ちょう電荷でんか
U(1)Y ゲージ変換へんかん じゃくちょう電荷でんか
U(2) [U(1) × SU(2)] でんじゃくりょく
SU(2) ゲージ変換へんかん アイソスピン
SU(2)L ゲージ変換へんかん じゃくアイソスピン
P × SU(2) Gパリティ
SU(3) "回転かいてんすう" バリオンすう
SU(3) ゲージ変換へんかん クォークカラー
SU(3)近似きんじてき クォークフレーバー
S(U(2) × U(3))
[ U(1) × SU(2) × SU(3) ]
標準ひょうじゅん模型もけい

対称たいしょうせい縮退しゅくたい

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縮退しゅくたいすんでやく表現ひょうげん次元じげんです。

参考さんこう文献ぶんけん

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一般いっぱんしょ

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  • Leon Lederman and Christopher T. Hill (2004). Symmetry and the Beautiful Universe. Amherst NY: Prometheus Books. ISBN 978-1591022428 
  • Schumm, Bruce (2004). Deep Down Things. Johns Hopkins Univ. Press. ISBN 978-0801879715 
  • Victor J. Stenger (2000). Timeless Reality: Symmetry, Simplicity, and Multiple Universes. Buffalo NY: Prometheus Books. ISBN 978-1573928595  だい12しょう対称たいしょうせい普遍ふへんせい保存ほぞんそくへのやさしい入門にゅうもんへんとなっている。
  • Anthony Zee. Fearful Symmetry: The search for beauty in modern physics (2nd ed. ed.). Princeton University Press. ISBN 978-0-691-00946-9. http://press.princeton.edu/titles/8509.html  初版しょはんはMacmillanより1986ねん発行はっこう

専門せんもんしょ

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ より正確せいかくには、具体ぐたいてき粒子りゅうしにかかるちからかんがえるのではなく、重力じゅうりょく発生はっせいしているそれ自体じたい時間じかんにより変化へんかがなく、時間じかんによらず位置いちだけでポテンシャルがさだまる場合ばあい時間じかん並進へいしん対称たいしょうせいがあるとかんがえられるので、この場合ばあい粒子りゅうし位置いち関係かんけいなく、けい全体ぜんたいつね時間じかん並進へいしん対称たいしょうせいがあるとえる。
  2. ^ 連続れんぞくてき変化へんかたいして不変ふへんであることを、無限むげんちいさな変位へんいベクトルεいぷしろん変換へんかんかんがえることがある。
  3. ^ 温度おんど状態じょうたいりょうであって、平衡へいこう状態じょうたいでは一定いっていであると定義ていぎされるりょうであるので、重力じゅうりょくけいでの、ポテンシャルが水平すいへい方向ほうこうたいして不変ふへんであることなどをかんがえる場合ばあいおおい。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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