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キタリスあたま反対はんたいがわからびているのが尻尾しっぽ

(お)、別名べつめい尻尾しっぽ(しっぽ)、っぽ(おっぽ)は、動物どうぶつ後部こうぶあたま反対はんたいがわ)である。英語えいごではtail。とくにはっきりとしたしなやかな、からだみき後方こうほう部分ぶぶんのことをいう。生物せいぶつがくてきなものと、一般いっぱんてきなものではことなる場合ばあい多々たたある。

概説がいせつ[編集へんしゅう]

柴犬の尾
柴犬しばけん

とは、動物どうぶつ一般いっぱんにおいて、からだ後端こうたん付近ふきん細長ほそながくなっているものをす。基本きほんてきには脊椎動物せきついどうぶつのものをこうび、それ以外いがい動物どうぶつではそれにえるものを類推るいすいてきにこうぶ。

脊椎動物せきついどうぶつのうち、四肢しし動物どうぶつにおいては後肢あとあし肛門こうもんひらき、いわゆる内臓ないぞうはそれよりまえおさまる。したがってそれより後方こうほう脊椎せきついこつとそれを筋肉きんにくからなり、それ以前いぜん部分ぶぶんよりはるかに単純たんじゅんである。形態けいたいてきにもそれ以前いぜん部分ぶぶんよりほそくなって区別くべつできることがおおいため、これを区別くべつしたものがである。哺乳類ほにゅうるい鳥類ちょうるいでは仙骨せんこつおよ尾骨びこつおよ周囲しゅうい筋肉きんにく皮膚ひふ場合ばあいによりもう羽毛うもうまたはうろこおおわれている。移動いどう魚類ぎょるいなど)、バランス(ネコなど)、把握はあくサルなど)、社会しゃかいてきシグナル(イヌなど)に使つかわれる。(ヒトやカエルなど)いくつかの動物どうぶつ完全かんぜんうしなっている。同種どうしゅ個体こたい信号しんごうおくさいとく便利べんりで、鹿しかおと警戒けいかいするとへそれをつたえるためにてる。

この区分くぶん魚類ぎょるいてはめると、魚類ぎょるい肛門こうもんしりびれのまえにあるため、それよりうしろの部分ぶぶんである。これはからだ全体ぜんたいくらべてかなりおおきな部分ぶぶんめ、一般いっぱん魚類ぎょるいでも体長たいちょう半分はんぶんちかく、ウナギなどでは7わりほどにもなる。しかし魚類ぎょるいではこの部分ぶぶんまえ部分ぶぶんくらべてぐっとはばせまくはなっておらず、連続れんぞくしたかたちるため、一般いっぱんてきにはこれをとはおもわれていない。世間せけん一般いっぱんではひれをさしてさかなうこともよくある。

それ以外いがい動物どうぶつでは、明確めいかくがあるれいおおくない。節足動物せっそくどうぶつぶしという該当がいとうする部位ぶいち、とくやっとこかくるい甲殻こうかくるいでは顕著けんちょである。ほかにもばれる部位ぶいがあり、昆虫こんちゅうるいでは腹部ふくぶまつはし突起とっきぶつれいがあり、それは産卵さんらんかん由来ゆらいするものなどであるが、これが往々おうおうにしてばれる。

脊椎動物せきついどうぶつ[編集へんしゅう]

この有無うむは、動物どうぶつさかいにおける前口まえぐち動物どうぶつ後口あとくち動物どうぶつだいグループを区分くぶんする特徴とくちょうである。前口まえぐち動物どうぶつ身体しんたい後端こうたん肛門こうもん存在そんざいするが、後口あとくち動物どうぶつ大半たいはん肛門こうもんよりうしろに身体しんたい一部いちぶ突出とっしゅつする。これが脊椎動物せきついどうぶつにおけるである[1]後口あとくち動物どうぶつのうち最初さいしょ分化ぶんかしたウニなどはたないが、ナメクジウオなどあたまさく動物どうぶつではがわからだぶしとして脊索せきさく形成けいせいされ、その延長線えんちょうせんじょう遊泳ゆうえい器官きかんとして発達はったつしている[2]脊椎動物せきついどうぶつでは、魚類ぎょるいにとっての多量たりょう筋肉きんにく支持しじする部分ぶぶんであり、抵抗ていこうおお水中すいちゅうにおける推進すいしんりょく獲得かくとくおおきく役立やくだった。

しかし、陸上りくじょう生活せいかつおこな四肢しし動物どうぶつではこのことはあまり意味いみがない。運動うんどう四肢ししはたらきにおおきく依存いぞんするようになったことから、ぜん後肢あとあしあいだは、そこに主要しゅよう内臓ないぞうかこい、肋骨あばらぼね骨盤こつばんなどの発達はったつによってひとかたまりのしっかりした構造こうぞう発達はったつさせる。これは運動うんどう重心じゅうしんともなる。それよりまえ部分ぶぶんくち感覚かんかくのうあつまった頭部とうぶささえ、それとどうをつなぐくびとして生命せいめい維持いじ重要じゅうよう部分ぶぶんとなる。

それにたいして、どうよりうしろの脊椎せきついかかえるすくなくとも生命せいめいかかわるような重要じゅうようせいうしなった。むしろながおも全身ぜんしん運動うんどうせいたいする負担ふたんとなる。一部いちぶ動物どうぶつでは退化たいかられる(カエルカメヒトなど)。鳥類ちょうるいにおいてはそのものはその進化しんかのごく初期しょきにごくみじか退化たいかし、そこにえる羽毛うもうわりに発達はったつさせた。また、ドーベルマンなどのいぬしゅではおさなころとしてしまうが、これもそのような意味合いみあいをしめしている。さらに、動物どうぶつ本体ほんたいみずかはなす、いわゆるきりもトカゲなどでられる。なお、昆虫こんちゅうかくいと下記かき参照さんしょう)も刺激しげきけるとれることがよくある。

したがって、はそれ以外いがい役割やくわりになうようになった。たとえば全身ぜんしん運動うんどう補助ほじょ意思いし表示ひょうじのための仕組しくみ、獲物えもの捕獲ほかくすることなどである。

哺乳類ほにゅうるい[編集へんしゅう]

形態けいたい[編集へんしゅう]

イヌの骨格こっかく

哺乳類ほにゅうるいは、祖先そせん初期しょきたんゆみるい進化しんか途上とじょうにおいて、四肢しし配置はいち身体しんたい側面そくめんがわかたがた)から直下ちょっか直立ちょくりつがた)へと移行いこうした。運動うんどう四肢しし中心ちゅうしんおこなわれるようになり、寄与きよすくなくなった。それにともない、後半こうはんささえる腰帯こしおびとその周囲しゅうい筋肉きんにく変化へんかしている。中殿ちゅうでんすじ発達はったつし、身体しんたい推進すいしん体重たいじゅう支持しじ同時どうじになようになったかわりに、付着ふちゃくとしあし後方こうほうへと後引あとひきすじ縮小しゅくしょうしている。また同時どうじしい背面はいめん神経しんけいとげおよ下面かめん血管けっかんとげしも後方こうほうびるVほね)も縮小しゅくしょうしている。このため外観がいかんじょう胴体どうたい境界きょうかいははっきりしている。ただし、カンガルーアリクイアルマジロなど、明確めいかくでないグループも存在そんざいする[3]

シャチの

水中すいちゅう生活せいかつはいったものでは、ひれじょうになったれいもある。

  • 腹背ふくはい扁平へんぺいになったれいとして、ビーバークジラなど。
  • 左右さゆう扁平へんぺいになったれいとしてはマスクラットなど。

とく水中すいちゅうへと完全かんぜん適応てきおうしたクジラるいジュゴンでは腰帯こしおび消失しょうしつし、遊泳ゆうえいするさい推進すいしんりょくになう。こうした運動うんどう様式ようしき祖先そせん魚類ぎょるいおなじであるが、魚類ぎょるい左右さゆうるのにたいし、クジラやジュゴンは哺乳類ほにゅうるい地上ちじょうでの走行そうこう様式ようしき反映はんえいした上下じょうげ運動うんどうとなる[4]またこれにともない筋肉きんにく付着ふちゃくあたえる神経しんけいとげ血管けっかんとげおおきく発達はったつしている[5]

大型おおがた陸棲りくせい動物どうぶつでは尻尾しっぽ比較的ひかくてきちいさくなっており、実用じつようてき意味いみすくない。ゆう蹄類などの大抵たいていたいくらべてはるかにちいさい。

役割やくわり[編集へんしゅう]

四肢しし運動うんどうたいする重要じゅうよう低下ていかしたが、様々さまざま役割やくわりえんじさせる独特どくとくれい多々たたある。運動うんどう寄与きよするれいでは、

  • カンガルーおもながく、跳躍ちょうやくには上半身じょうはんしん反動はんどうおさえるバランサーとしての役割やくわりたし、また休息きゅうそくにはからだささえる。闘争とうそうにはのみで体重たいじゅうささえ、四肢しし使用しよう相手あいて攻撃こうげきくわえることもある[6][3]
  • チーターなどの場合ばあい直接ちょくせつ寄与きよではないが、比較的ひかくてきふとくてながはしさいまわしてバランスをる。

じょう生活せいかつをするものでは、はバランスをったり、からだささえたりといった役割やくわりになれいおおい。

  • リスには、じょうでバランスを役割やくわりがあり、さらに雨除あまよけの役割やくわりもある[7]。また、もうおおふとであり跳躍ちょうやく空気くうきかかえる役割やくわりもある。
  • 先端せんたんけられるようになっており、これでえだつかめるものもある。クモザルキノボリヤマアラシなど。
  • シマウマなどの先端せんたんにはぼうのようについており、これをまわすことでむしはら役割やくわりがある[7]

水中すいちゅう生活せいかつをするアメリカビーバーなどのにはかじ(かじ)の役割やくわりがある[7]

さらに、感情かんじょうあらわし、個体こたいあいだ情報じょうほう伝達でんたつのために尻尾しっぽ使つかわれるれいおおい。

  • いぬは、相手あいて好意こういあまえるときにしきりに尻尾しっぽる(いかりや恐怖きょうふ、その表現ひょうげんは、イヌ参照さんしょう)。
  • ねこは、くさむらで獲物えものがけての匍匐ほふく(ほふく)運動うんどうをしながらでも、てた尻尾しっぽをフリフリと左右さゆうる(ひょう迷彩めいさいしょくうらいろちがうことがおおい)ことで「わたし獲物えものである。手出てだしをするな」というメッセージを後方こうほうにいる(とおもわれる)仲間なかまおくっているというせつがある(シートン動物どうぶつ)。
  • ワオキツネザルたかかかげることで仲間なかま同士どうし目印めじるしにしている[7]
  • アメリカビーバーは水面すいめんでたたくことで仲間なかまてき接近せっきんらせている[7]

ヒトの場合ばあい[編集へんしゅう]

ヒトをふく類人猿るいじんえんのシッポの骨格こっかく

ヒトのはい全体ぜんたいの1/6ほどのをもっていて、胎児たいじ成長せいちょうするにつれてからだ吸収きゅうしゅうされる。外見がいけんじょうまったがないのだが、骨格こっかくとしてはそれにたる部分ぶぶん存在そんざいし、尾骨びこつ骶骨)とばれる。

ヒトにおける極端きょくたん退化たいかは、直立ちょくりつ姿勢しせいり、草原そうげん生活せいかつすることからその利用りようがなくなったためとするせつ存在そんざいするが、実際じっさいには類人猿るいじんえんはすべて外見がいけんじょううしなっており[8]うえせいオランウータンテナガザルにおいても同様どうようである。

まれに、脊椎せきついなしの血管けっかん筋肉きんにく神経しんけいだけの子供こどもまれる。これをHUMAN TAILといい、おおむねの意味いみとして、腫瘍しゅようせい病変びょうへんのぞ腰部ようぶから肛門こうもんえんられる突起とっきぶつ定義ていぎされている[9]

現在げんざいでは医師いしがそのような切除せつじょすることがみとめられている。ヒトの最長さいちょう記録きろくきゅうフランスりょうインドシナ在住ざいじゅうの12さい少年しょうねんの229mm(9インチ)である[10]

鳥類ちょうるい[編集へんしゅう]

鳥類ちょうるい尾骨びこつ通常つうじょう6前後ぜんこうであるが、末端まったんほねは「尾端びたんこつ」とばれ、胎児たいじ段階だんかいで4 - 7椎骨ついこつ癒合ゆごうしている[11]。そのためえる部分ぶぶん大半たいはん羽毛うもうだけであり、通常つうじょう尾羽おは部分ぶぶんふくめてぶ。

始祖しそとりなど最初さいしょのグループは、祖先そせん恐竜きょうりゅう特徴とくちょういでおりながつが、現生げんなまぐんなどより派生はせいてきなグループでは短縮たんしゅくしている。そのわりにみじかにはなが羽毛うもうならび、外見がいけんじょうはそれなりのながさを維持いじする。飛行ひこうさいにはこれをひろげ、あるいはそのきやかたちえることでかじなどの効果こうかげる。またこれにより始祖しそとりなどではこし付近ふきんにあった重心じゅうしんはより前方ぜんぽうへと移動いどうし、揚力ようりょく発生はっせいされるつばさ付近ふきん存在そんざいする。これは、揚力ようりょく中心ちゅうしん重心じゅうしんちかほう飛翔ひしょう有利ゆうりであるためだと推定すいていされている[12]

クジャク尾羽おは

また、鳥類ちょうるい性的せいてき二形ふたなりがある場合ばあい尾羽おはとくによく発達はったつし、大抵たいていゆうであるが、尾羽おは性的せいてきなディスプレイに使つかわれるれいおおい。極端きょくたんれいクジャクである。これは、つばさ羽毛うもう飛行ひこう直結ちょっけつするためにそのかたち制約せいやくおおきいのにたいして、はそれがすくなく、多少たしょうながいものでもそれをひろげなければ飛行ひこう邪魔じゃまにはならないことがかんがえられる。そのために、とく装飾そうしょくてき尾羽おはつものは人間にんげん装飾そうしょくよう利用りようするれいおおく、なかにはその捕獲ほかくあつのために絶滅ぜつめつしたれいもある。

爬虫類はちゅうるい[編集へんしゅう]

トカゲるいいくつかのグループのは、ときとして逃走とうそうのためにみずか切断せつだんされ(きり)、のち再生さいせいする。かれらのしい中間ちゅうかんにはきりめんとよばれるよわめんがあり、トカゲが危機ききかんじ、筋肉きんにく収縮しゅうしゅくさせることでこの部分ぶぶん破断はだんし、切断せつだんする[13]

地表ちひょう棲のヤモリなどはラクダのコブのように、脂肪しぼうをためているものもあるが、こうしたたねきりすることで体力たいりょくち、よわってしまうことがある[14]

ワニちからつよく、殴打おうだ攻撃こうげき武器ぶきとしてもちいられる。

魚類ぎょるい[編集へんしゅう]

魚類ぎょるい上記じょうきのように肛門こうもん位置いち以降いこうとすることが出来できるが、外見がいけんてきにはなじみにくいであろう。これは、上記じょうきれいとはことなり、肛門こうもん前後ぜんご幹部かんぶ区切くぎれなくつづいていることがある。一方いっぽう後部こうぶまでなめらかにびておらず、後端こうたんでほぼ垂直すいちょくたれたあとにひれつづくものもある。

ホホジロザメ

しかし、これはおおにする硬骨魚こうこつぎょるい一般いっぱんえることであり、本来ほんらいかたちとしてはやはり後方こうほうながびるものであったとかんがえられる。たとえばえんこうるいかたちはそれで、ほぼまっすぐにびたにひれが発達はったつしている。このかたち両尾もろおがたといい、現在げんざい肺魚はいぎょるいシーラカンスるいもこれにるいするかたちである。軟骨なんこつ魚類ぎょるいサメるいでも後方こうほうながびているが、ひれはしたがわおおきく発達はったつし、はそれと対象たいしょうをなすように上側うわがわがる。これはがたという。チョウザメるいもこれにちかい。それにたいして一般いっぱん魚類ぎょるいかたせいがたという。古代こだいぎょひとつであるアミアではかけじょうせいがただが骨格こっかくがたちかく、このようなてんからもせいがたがたからみちびかれたものとかんがえられる。

節足動物せっそくどうぶつ[編集へんしゅう]

節足動物せっそくどうぶつでは、ぶしtelson)というからだ末端まったん付属ふぞくし、相当そうとうする部分ぶぶんがある。それ以外いがいにも便宜べんぎてきに「」とばれる構造こうぞうがいくつかある。たとえばエビトンボサソリなどの細長ほそなが腹部ふくぶばれることもあるが、これは胴体どうたい一部いちぶであり、そのものではない[15]

やっとこかくるい[編集へんしゅう]

サソリの ""(腹部ふくぶぶし

ぶしやっとこかくるいすくなからずに存在そんざいする。カブトガニではぶし細長ほそながけんじょうで「けん」ともいい、このるい別名べつめいけんるい」はこれに由来ゆらいする。絶滅ぜつめつしたウミサソリおおくがたようなぶしをもつが、ダイオウウミサソリるいなどはへらじょうひろがっている[16][17]ヤイトムシぶしみじか突起とっきで、雌雄しゆうによりかたちことなる[15]サソリモドキコヨリムシぶし細長ほそなが数珠じゅずじょうで、「むちじょうからだ」とばれる[15]一部いちぶやっとこかくるいたとえばサソリ腹部ふくぶ幅広はばひろ前部ぜんぶはばせま後部こうぶかれ、後者こうしゃ往々おうおうにして "" とばれる。ただし、これはほとんどが腹部ふくぶ後半こうはん後腹あとばら)のからだぶしであり、ぶし該当がいとうする部分ぶぶん末端まったんどくはりのみである[15]

昆虫こんちゅうるい[編集へんしゅう]

昆虫こんちゅうるいではばれる部分ぶぶんがあるが、ぶしではない。以下いかのようなれいがある。

シミ

おおくの昆虫こんちゅうとく比較的ひかくてき原始げんしてきるいにおいて、腹部ふくぶまつはし肛門こうもんぶしには一対いっついかく一本いっぽんいとという構造こうぞうつ。とくシミイシノミではそのさんほん全部ぜんぶカゲロウではさんほんないしほんがよく発達はったつしており、とき本体ほんたい体長たいちょう以上いじょうびている。

甲殻こうかくるい[編集へんしゅう]

ケンミジンコ

おおくの甲殻こうかくるい円柱えんちゅうじょうぶし肛門こうもんぶし)に一対いっつい分節ぶんせつした構造こうぞうたいがあり[18]、これをまたもしくはむちという。これはえだじょうであったり糸状いとじょうであったりと様々さまざまで、たとえばウオジラミではみじか突起とっきカブトエビではながむちじょうになっている。

エビぶし(ハイライト部分ぶぶん
エビフライ
おうぎにもから同様どうようカルシウムキチンアスタキサンチンふくまれる

おおくの軟甲るいではぶし扁平へんぺいまたをもたないが、その直前ちょくぜん最終さいしゅうからだぶしからばれる附属ふぞくる。これらはぐんによって様々さまざまであるがまとまって部分ぶぶんとなる。とくにそれらが全体ぜんたい扇子せんすのようになったものをおうぎという[19]。いわゆるエビのてんぷらやエビフライのこす「エビの尻尾しっぽ」はこの部分ぶぶんにあたる。

その節足動物せっそくどうぶつ[編集へんしゅう]

上述じょうじゅつぐんてはまらない絶滅ぜつめつぐん化石かせき節足動物せっそくどうぶつにおいても、ぶしべれる部分ぶぶんれいがある。たとえばひかりだてるいはカブトガニにけんじょうぶしゆうし、ワプティアなどは甲殻こうかくるいのように1つい突起とっきぶつぶし[20]アノマロカリスなどの一部いちぶラディオドンタるいオパビニアるいは、末端まったんすうついひれおうぎをなしている[21][22]さん葉虫はむしなどではからだ末端まったんすうせつからだぶし甲羅こうらじょう合体がったいぶし融合ゆうごうし、これはばれる[23]

ひとによる利用りよう[編集へんしゅう]

食料しょくりょう[編集へんしゅう]

  • ウシ - ウシ尻尾しっぽは、テールばれ、おおくはスープひとし材料ざいりょうとして、利用りようされている。
  • ブタ - ブタ尻尾しっぽは、もの煮物にもの利用りようされる。
  • クジラ - 食用しょくようにされるがあるが、部分ぶぶんではない。

道具どうぐ[編集へんしゅう]

比喩ひゆ派生はせい[編集へんしゅう]

日本語にほんご[編集へんしゅう]

、あるいは尻尾しっぽ本体ほんたいうしろにくっついていて、それ自身じしんはさほど重要じゅうようではない部分ぶぶん意味いみ使つかわれる。他方たほうで、つかむのはおおくの動物どうぶつ捕獲ほかくほうでもある。本体ほんたい確実かくじつむすびついており、攻撃こうげきけやすい背後はいごさえるので、捕獲ほかくへの糸口いとぐちとしては有効ゆうこうになる。

  • たん後部こうぶにあるという意味いみで、日本語にほんごはじめ、おおくの言語げんごでは、物事ものごとやアイデアとうわり、最後さいごまたは、後方こうほうしめす。
例文れいぶん: この行列ぎょうれつ尻尾しっぽは、何処どこ
また、てんじて「臀部でんぶ」のことを意味いみすることもある。自動車じどうしゃ鉄道てつどう車両しゃりょうなどのもの後部こうぶにあるライトのことを尾灯びとうう。
  • 犯罪はんざいなどかくされた物事ものごとちいさな証拠しょうこなどをつけたときに、「尻尾しっぽつかまえた」、また正体しょうたいがわずかにばれたときに「尻尾しっぽした」と表現ひょうげんする。重要じゅうよう部分ぶぶん場合ばあいは「くびっこをさえた」「あたました」などするのとは対照たいしょうてきである。
例文れいぶん: かくれていた共犯きょうはんしゃが、尻尾しっぽした。
  • とくいぬ行動こうどうから、権力けんりょくしゃにへつらう行為こういを「尻尾しっぽをふる」という。また、おなじく、恐怖きょうふかんけをみとめたときなどに「尻尾しっぽをまく」という。

に、、あるいは尻尾しっぽという言葉ことばふく慣用かんよう熟語じゅくごとしてつぎのようなものがある。

  • トカゲの尻尾しっぽ - トカゲきり行動こうどうから、組織そしき問題もんだい危機きききたときに、一部いちぶ成員せいいん解雇かいこするなどして、組織そしき全体ぜんたいまもるような場合ばあいにも使つかわれる。これはした場合ばあい使つかわれる表現ひょうげんであり、より大胆だいたん保身ほしんをする場合ばあいは「くびをすげえる」という。
  • とら(とらのおをふむ) - 危険きけんなことをすることをたとえることわざ。
  • しりがつく(しりにひがつく)の誤用ごようとして、尻尾しっぽがつく(しっぽにひがつく)とうことがある。
  • 竜頭蛇尾りゅうとうだび(りゅうとうだび) - 最初さいしょりゅうあたまごと威勢いせいがよかったのに、最後さいごちかづくとへびのようにほそってしまう状態じょうたいをいうのにもちいる。とらあたま蛇尾だび(ことうだび)ともいう。
  • 首尾しゅび一貫いっかん(しゅびいっかん) - 方針ほうしん態度たいどなどが最初さいしょから最後さいごまでずっとわらずにつづいていることをいう。
  • 徹頭徹尾てっとうてつび(てっとうてつび) - 首尾しゅび一貫いっかんおなじ。
  • いぬ続貂ぞくちょう(くびぞくちょう) - いぬテン毛皮けがわつづくという状態じょうたいから、下等かとうものたかくらいいたことを揶揄やゆするのにもちいる。
  • たいよりいわしあたま(たいのおよりいわしのあたま) - 立派りっぱだい組織そしきなか下働したばたらきをするよりも、たとえちいさな組織そしきでもトップにほうがよいというたとえ。
  • はなし尾鰭おびれ(はなしにおひれがつく) - うわさひろまる途中とちゅうで、本来ほんらいなかった部分ぶぶん付加ふかされることをいう慣用かんよう

外国がいこく外来がいらい[編集へんしゅう]

  • ながかみうしろでしばって、げる。「おげ」のことを、英語えいごうま尻尾しっぽをあらわす、ポニーテールという(言語げんごでもどうれいあり、れいとして中国ちゅうごくの「馬尾ばび」など)。

文学ぶんがく、ことわざ、マンガ、その[編集へんしゅう]

人魚にんぎょ

マンガ、アニメなどでの尻尾しっぽについては、サブカルチャーにおける尻尾しっぽ参照さんしょう

雑学ざつがく[編集へんしゅう]

  • かぞかたは、一般いっぱんにはほん
  • は、きゅう尾張おわりくにりゃくとして使用しようされる(しゅう〔びしゅう〕)。
  • 黒板こくばんなどにえがいたロバぶた目隠めかくしをして、尻尾しっぽはりしたり、白墨はくぼくえが子供こどもあそびがある。
  • 陰茎いんけい俗語ぞくごで、まえ尻尾しっぽたとえることがある。
  • たい尾頭付おかしらつは、めでたいせきなどできゅうされる。
  • 日本にっぽんでは、大名だいみょう行列ぎょうれつ使用しようする尾長鳥おながどり有名ゆうめいである。
  • 日本にっぽんねこは、カギのようにがっていることが特徴とくちょうひとつである(カギねこでは)。
  • 恐竜きょうりゅう仲間なかまには、尻尾しっぽてつだま棍棒こんぼうのような形状けいじょう発達はったつしたものもいた。また、りゅうあしるいとうでは、ながくびのバランスをとるためにながっていた。
  • きつねは、しょう動物どうぶつなど素早すばや獲物えものって小回こまわりするときに、尻尾しっぽ重量じゅうりょう利用りようして、コマのようにまわいきおいをかせぐといわれる。
  • 狩猟しゅりょういえ(ハンター)とうが、小型こがた獲物えもの(サルなどの)の尻尾しっぽをつかんではこぶことがあるが、闘牛とうぎゅうロデオひとしでも、うし尻尾しっぽをつかんで、突進とっしんするのをめたり、反対はんたいげるものラクダトカゲひとし)をつかまえるときに、をつかむことがある。

脚注きゃくちゅう出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 『「退化たいか」の進化しんかがく』 101 - 102ぺーじ
  2. ^ 『かたちの進化しんか設計せっけい』 53ぺーじ
  3. ^ a b 『「退化たいか」の進化しんかがく』 103ぺーじ
  4. ^ 哺乳類ほにゅうるい進化しんか』 181 - 183ぺーじ
  5. ^ ほね骨組ほねぐみなはなし』 126ぺーじ
  6. ^ ほね骨組ほねぐみのはなし』 124 - 125ぺーじ
  7. ^ a b c d e 解説かいせつ 高知こうち県立けんりつのいち動物どうぶつ公園こうえん、2020ねん4がつ10日とおか閲覧えつらん
  8. ^ 國松くにまつゆたか、「ヒト出現しゅつげん ちゅうしんにおけるヒトうえ展開てんかい」 『地學ちがく雜誌ざっし』 2002ねん 111かん 6ごう p.798-815, doi:10.5026/jgeography.111.6_798
  9. ^ 吉岡よしおか秀人ひでと, 後藤ごとう隆文たかふみ, 秋山あきやま卓士たくし、「Human tail の 1 れい : 本邦ほんぽう報告ほうこく 49 れい検討けんとう」 『日本にっぽん小児しょうに外科げか学会がっかい雑誌ざっし』 2001ねん 37かん 5ごう p.831-836, doi:10.11164/jjsps.37.5_831, 日本にっぽん小児しょうに外科げか学会がっかい
  10. ^ Humans Evolved from Ape-like Ancestors”. 2009ねん1がつ18にち閲覧えつらん[リンク]
  11. ^ 『フライドチキンの恐竜きょうりゅうがく』 194ぺーじ
  12. ^ 『ありえない!? 生物せいぶつ進化しんかろん』 110 - 112ぺーじ
  13. ^ 爬虫類はちゅうるい進化しんか』 30ぺーじ
  14. ^ 両生類りょうせいるい爬虫類はちゅうるいのふしぎ』 86ぺーじ
  15. ^ a b c d Dunlop, Jason A.; Lamsdell, James C. (2017-05-01). “Segmentation and tagmosis in Chelicerata” (英語えいご). Arthropod Structure & Development 46 (3): 395–418. doi:10.1016/j.asd.2016.05.002. ISSN 1467-8039. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1467803916300731. 
  16. ^ Tollerton, V. P. (1989-09). “Morphology, taxonomy, and classification of the order Eurypterida Burmeister, 1843” (英語えいご). Journal of Paleontology 63 (5): 642–657. doi:10.1017/S0022336000041275. ISSN 0022-3360. https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-paleontology/article/abs/morphology-taxonomy-and-classification-of-the-order-eurypterida-burmeister-1843/F3D57FFFD0549E9F0947E562D8307055. 
  17. ^ Plotnick, Roy E.; Baumiller, Tomasz K. (1988-01). “The pterygotid telson as a biological rudder” (英語えいご). Lethaia 21 (1): 13–27. doi:10.1111/j.1502-3931.1988.tb01746.x. ISSN 0024-1164. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1502-3931.1988.tb01746.x. 
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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]