山本やまもと英一郎えいいちろう

山本やまもと英一郎えいいちろう（やまもとえいいちろう、1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）5月12日にち - 2006年ねん（平成へいせい18年ねん）5月26日にち）は、日本にっぽんのアマチュア野球やきゅう組織そしきに携たずさわった人物じんぶつである^[1]。

来歴らいれき・人物じんぶつ

岡山おかやま県けん出身しゅっしん。台北たいぺい第だい一いち中なか、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがくを卒業そつぎょう後ご、社会しゃかい人じん野球やきゅうの鐘しょう淵ふかし紡績ぼうせき（鐘紡かねぼう、現在げんざいは廃部はいぶ）でプレー（いずれも外野がいや手しゅ）。その後ごアマチュアの審判しんぱん員いんや解説かいせつ者しゃを経へて、1964年ねんに社会しゃかい人じん野球やきゅう協会きょうかい（現げん日本にっぽん野球やきゅう連盟れんめい）へ。

1955年ねんからNHKで高校こうこう野球やきゅう解説かいせつ者しゃを務つとめ^[2]、1980年ねん頃ごろには、松永まつなが怜れい一いち、池西いけにし増夫ますお、光沢こうたく毅あつし、篠原しのはら一豊かずとよ、渡辺わたなべ博之ひろゆき、河合かわい貞雄さだお、川崎かわさき孝たかしとともに高校こうこう野球やきゅうの"解説かいせつ八はち人にん衆しゅ" とも呼よばれた^[2]。ゲーム展開てんかいの読よみに支ささえられた独特どくとくの勘かんで知しられ^[2]、1973年ねんの第だい45回かい春はるの選抜せんばつ準決勝じゅんけっしょう、江川えがわ卓たくを擁ようする作新学院さくしんがくいん×広島ひろしま商業しょうぎょう戦せんで、8回かい裏うらの作新学院さくしんがくいん捕手ほしゅの三塁さんるい悪あく送球そうきゅうをピタリと予測よそくした場面ばめんは、後々あとあとまで語かたり草ぐさになった^[2]。

山本やまもとは野球やきゅうの国際こくさい化かを自みずからのライフワークとしており、国際こくさい野球やきゅう連盟れんめい(IBAF)の日本にっぽん代表だいひょうとして派遣はけんされるたびに、野球やきゅうをオリンピックの競技きょうぎとして世界せかいに普及ふきゅうすべきであるとの持論じろんを繰くり返かえし主張しゅちょう、またIOC総会そうかいが開ひらかれるたびにIBAFの一員いちいんとしてロビー活動かつどうに精力せいりょく的てきに取とり組くんだ。その結果けっかIBAF加盟かめい国こくは100を超こえ、1984年ねんのロサンゼルスオリンピックで野球やきゅうは公開こうかい競技きょうぎとして採用さいようされ、1992年ねんのバルセロナオリンピックにおいては、正式せいしき競技きょうぎとして採用さいようされた。このとき山本やまもとは、国内こくないで選手せんしゅ派遣はけんのばらつきがあってはならないとして、国内こくないのアマチュア野球やきゅうの団体だんたいを統括とうかつする組織そしきとして全日本ぜんにほんアマチュア野球やきゅう連盟れんめいを発足ほっそくさせた。

1997年ねんに日本にっぽん野球やきゅう連盟れんめいの会長かいちょうに就任しゅうにん。その後ごIBAFの副ふく会長かいちょうにも就任しゅうにんした。高齢こうれいながらエネルギッシュに野球やきゅうの国際こくさい化かに向むかって行動こうどうする姿すがたは世界せかいの野球やきゅう界かいのみならずIOCの間あいだでも有名ゆうめいであったという。2000年ねんのシドニーオリンピックからプロ野球やきゅう選手せんしゅの参加さんかが解禁かいきんになるという情報じょうほうが入はいるや否いなや山本やまもとは、プロ野球やきゅう側がわに積極せっきょく的てきな話はなし合あいを持もちかけ、1999年ねん、ソウルで行おこなわれた第だい20回かいアジア野球やきゅう選手権せんしゅけん（シドニー五輪ごりんアジア予選よせん）に8人にんのプロ野球やきゅう選手せんしゅを参加さんかさせることにこぎつけた。また、2004年ねんのアテネオリンピックでは金きんメダルを獲得かくとくするという至上しじょう命令めいれいのもと、アマチュア組織そしきの最高峰さいこうほうにいる人物じんぶつであるにもかかわらず、全員ぜんいんがプロ野球やきゅう選手せんしゅによるオールジャパンの編成へんせいをプロ側がわに要請ようせいした。

またキューバの国家こっか元首げんしゅであったフィデル・カストロと大変たいへん親したしく、2001年ねんから2002年ねんにかけては同国どうこくの代表だいひょう選手せんしゅとして活躍かつやくしていたオマール・リナレス（元もと中日ちゅうにち）・オレステス・キンデラン・アントニオ・パチェコ（いずれもシダックス）の招聘しょうへいに成功せいこうしている。

高齢こうれいを理由りゆうに、2005年ねん2月がつに日本にっぽん野球やきゅう連盟れんめいの会長かいちょうを退任たいにんし、松田まつだ昌士まさたけ JR東日本ひがしにっぽん会長かいちょうにその座ざを譲ゆずった。また同年どうねん6月がつにIBAF副ふく会長かいちょうの座ざも辞任じにんした。

彼かれにとって会長かいちょう職しょく最後さいごとなった2004年ねんの第だい75回かい都市とし対抗たいこう野球やきゅう最終さいしゅう日び、表彰ひょうしょう式しきの中なかで挨拶あいさつを求もとめられた山本やまもとは感極かんきわまり、「都市とし対抗たいこうバンザイ! 社会しゃかい人じん野球やきゅうバンザイ!」と叫さけんだ。