幕まくが上あがる

幕まくが上あがる
監督かんとく	本ほん広こう克行かつゆき
脚本きゃくほん	喜安きやす浩平こうへい
原作げんさく	平田ひらたオリザ
製作せいさく	石原いしはら隆たかし、遠藤えんどう茂行しげゆき、加太かだ孝明たかあき、中村なかむら理一郎りいちろう、鈴木すずき伸しん育そだて、山崎やまざき浩一こういち ［プロデューサー］片山かたやま玲子れいこ、守屋もりや圭けい一郎いちろう ［アソシエイトプロデューサー］紀伊きい宗之むねゆき、蔵本くらもと憲昭のりあき、小出こいで真しん佐さ樹じゅ ［ラインプロデューサー］巣立すだて恭平きょうへい
出演しゅつえん者しゃ	#主おもなキャストを参照さんしょう
音楽おんがく	菅野かんの祐ゆう悟さとる
主題歌しゅだいか	青春せいしゅん賦ふ
撮影さつえい	佐さ光こう朗ろう
制作せいさく会社かいしゃ	ROBOT
製作せいさく会社かいしゃ	フジテレビジョン 東映とうえい ROBOT 電通でんつう 講談社こうだんしゃ パルコ
配給はいきゅう	ティ・ジョイ 東映とうえい（配給はいきゅう協力きょうりょく）
公開こうかい	2015年ねん2月がつ28日にち
上映じょうえい時間じかん	119分ふん
製作せいさく国こく	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご

『幕まくが上あがる』（まくがあがる）は、2015年ねんに公開こうかいされた日本にっぽんの青春せいしゅん映画えいが。作品さくひんおよび出演しゅつえん者しゃは、日本にっぽんアカデミー賞しょう、TSUTAYA映画えいがファン賞しょう、報知ほうち映画えいが賞しょうなどを受賞じゅしょう。先生せんせい役やくとして、黒木くろき華はなやムロツヨシが、生徒せいと役やくとしてももいろクローバーZのメンバー全員ぜんいんに加くわえて吉岡よしおか里さと帆ほ、芳よし根ね京子きょうこ、伊藤いとう沙すな莉らが出演しゅつえん。

原作げんさくは、2012年ねんに出版しゅっぱんされた同名どうめいの小説しょうせつ。劇げき作家さっかである平田ひらたオリザが、自みずからもワークショップなどで関かかわりを持もち続つづけてきた高校こうこう演劇えんげきをテーマに書かき下おろし、累計るいけい10万まん部ぶの売うり上あげを記録きろくした。

概要がいよう

『踊おどる大だい捜査そうさ線せん』シリーズを手てがけた本ほん広こう克行かつゆきの監督かんとくのもと、「世代せだい年代ねんだいを問とわず幅広はばひろい方々かたがたに共感きょうかんし感動かんどうしてもらえる青春せいしゅん映画えいが」を目標もくひょうに製作せいさくされた。

第だい40回かい報知ほうち映画えいが賞しょうでは、本ほん広こう監督かんとくの演出えんしゅつ生徒せいと役やく5人にん（ももいろクローバーZ）の演技えんぎが認みとめられ、両者りょうしゃに特別とくべつ賞しょうが贈おくられた。第だい39回かい日本にっぽんアカデミー賞しょうの話題わだい賞しょう、TSUTAYA映画えいがファン賞しょうなども受賞じゅしょう。

出演しゅつえん者しゃや演劇えんげきに興味きょうみがない人ひとであっても楽たのしめる作品さくひんに仕上しあがっていると、映画えいが関係かんけい者しゃ・評論ひょうろん家からは評価ひょうかをしている。

文部もんぶ科学かがく省しょう選定せんてい作品さくひん、東京とうきょう都と優良ゆうりょう映画えいがに指定していされており、学校がっこうの授業じゅぎょうなどでも活用かつようされている。

ストーリー

映像えいぞう外部がいぶリンク
『幕まくが上あがる』映画えいが予告編よこくへん - YouTube 撮影さつえいにはフィルムのような質感しつかんを出だせるアレクサというシネマカメラが用もちいられ、実際じっさいの演劇えんげきコンクール会場かいじょうや学校がっこうでもロケが行おこなわれるなど、透明とうめい感かんと臨場りんじょう感かんの追求ついきゅうがなされた。

とある地方ちほう高校こうこうの弱小じゃくしょう演劇えんげき部ぶ。顧問こもんの溝口みぞぐちは演劇えんげきの知識ちしきも無なければ指導しどう力りょくも無ない。部長ぶちょうを務つとめるさおりに加くわえ、お姫様ひめさまキャラのユッコ、ムードメーカーのがるる、しっかり者しゃの明美あけみちゃんなど個性こせい豊ゆたかなメンバーがそろう。

かつて「学生がくせい演劇えんげきの女王じょおう」と呼よばれていた新任しんにん教師きょうしの吉岡よしおかとの出会であいによって、彼女かのじょたちの運命うんめいは一転いってん。ある日吉岡ひよしおかが、「肖像しょうぞう画が」と呼よばれる衝撃しょうげき的てきな一人ひとり芝居しばいを演えんじて見みせたことをきっかけに、部員ぶいんたちの潜在せんざい能力のうりょくが開花かいかし始はじめる。

地方ちほう大会たいかいすら勝かったことのない彼女かのじょらであったが、吉岡よしおかの「私わたしは行いきたいです。君きみたちと、全国ぜんこくに。行いこうよ、全国ぜんこく!!」という気迫きはくの一言ひとことに触発しょくはつされ、全国ぜんこく大会たいかいを目指めざし、青春せいしゅんの全すべてを懸かけることに。

そんな折おり、強豪きょうごう校こうの演劇えんげき部ぶに属ぞくしていたはずの中西なかにしさんが転校てんこうしてくる。なかなか心しんを開ひらかない中西なかにしさんであったが、部長ぶちょうのさおりと夜よるのホームで語かたり合あい、辞やめた経緯けいいを明あかす。しかし、さおりのある言葉ことばによって、彼女かのじょは再ふたたび演劇えんげきの道みちを進すすむことを決意けつい。

新あらたな仲間なかまを加くわえた演劇えんげき部ぶは『銀河ぎんが鉄道てつどうの夜よる』を大会たいかいでの演目えんもくに決きめ、合宿がっしゅくのため上京じょうきょう。高層こうそうビル群ぐんの星ほしのような輝かがやきに浸ひたる少女しょうじょたち。そして、練習れんしゅうに明あけ暮くれる日々ひびが始はじまった。

高校こうこうの演劇えんげき大会たいかいは年としにたったの一いち度ど、負まけたらそこで終おわりの一発いっぱつ勝負しょうぶ。吉岡よしおかは「答こたえはすべて稽古けいこ場じょうにある」と励はげます。ひたむきに青春せいしゅんを駆かけ抜ぬけた彼女かのじょらが、最初さいしょの難関なんかんである地区ちく大会たいかいに挑いどむ。

だがその頃ころ、吉岡よしおかの心しんにはある迷まよいが生しょうじる。上京じょうきょうした際さいに会あった演出えんしゅつ家かから役者やくしゃとしての才能さいのうを認みとめられ、演劇えんげきの世界せかいへ誘さそわれていたのだ。教師きょうしを辞やめる決意けついをする吉岡よしおか

――そして演劇えんげき部ぶに運命うんめいの瞬間しゅんかんが訪おとずれる。

主おもなキャスト

高橋たかはしさおり（さおり）

演えんじ - 百田ひゃくだ夏なつ菜子さいこ

静岡しずおか県立けんりつ富士ふじケ丘おか高等こうとう学校がっこう 演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい。

橋爪はしづめ裕子ゆうこ（ユッコ）

演えんじ - 玉井たまい詩織しおり

同校どうこう演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい。

西条さいじょう美紀みき（がるる）

演えんじ - 高城たかぎれに

同校どうこう演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい。

中西なかにし悦子えつこ（中西なかにしさん）

演えんじ - 有安ありやす杏果きょうか

同校どうこう演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい。

加藤かとう明美あけみ（明美あけみちゃん）

演えんじ - 佐々木ささき彩夏あやか

同校どうこう演劇えんげき部ぶ2年生ねんせい。

高田たかだ梨奈りな

演えんじ - 伊藤いとう沙すな莉

同校どうこう演劇えんげき部ぶ2年生ねんせい。

成田なりた香かおり穂ほ

演えんじ - 大岩おおいわさや

同校どうこう演劇えんげき部ぶ2年生ねんせい。

村上むらかみ舞まい

演えんじ - 吉岡よしおか里さと帆ほ

同校どうこう演劇えんげき部ぶ2年生ねんせい。

坂下さかした綾乃あやの

演えんじ - 金井かない美樹みき

同校どうこう演劇えんげき部ぶ1年生ねんせい。

袴田はかまだ葵まもる

演えんじ - 芳よし根ね京子きょうこ

同校どうこう演劇えんげき部ぶ1年生ねんせい。

松永まつなが美緒みお

演えんじ - 那な月がつ千せん隼はやぶさ

同校どうこう演劇えんげき部ぶ1年生ねんせい。

八木やぎ美咲みさき

演えんじ - 松原まつばら菜さい野花のばな

同校どうこう演劇えんげき部ぶ1年生ねんせい。

吉岡よしおか美佐子みさこ先生せんせい

演えんじ - 黒木くろき華はな

同校どうこう・新任しんにんの先生せんせい。

溝口みぞぐち先生せんせい（グッチ）

演えんじ - ムロツヨシ

同校どうこう・演劇えんげき部ぶ顧問こもん。

滝田たきた先生せんせい

演えんじ - 志賀しが廣太ひろた郎ろう

同校どうこう・国語こくご教師きょうし。

杉田すぎた先輩せんぱい

演えんじ - 秋月あきづき成美まさみ

同校どうこう・演劇えんげき部ぶOG。

生徒せいと会長かいちょう

演えんじ - 大西おおにし礼あや芳かおる

さおりのお母かあさん　

演えんじ - 清水しみずミチコ

さおりのお父とうさん

演えんじ - 片山かたやま正ただし通どおり

ユッコのお父とうさん

演えんじ - 天龍てんりゅう源一郎げんいちろう

がるるのおじいちゃん

演えんじ - 笑福亭鶴瓶しょうふくていつるべ

中西なかにしさんのお母かあさん

演えんじ - 内田うちだ春菊しゅんぎく

中西なかにしさんのお父とうさん

演えんじ - 藤村ふじむら忠ただし寿ことぶき

明美あけみちゃんのお母かあさん

演えんじ - 辛島からしま美登里みどり

明美あけみちゃんのお父とうさん

演えんじ - 松崎まつざきしげる

ライバル校こうの顧問こもん

演えんじ - 畑澤はたざわ聖きよし悟さとる

製作せいさく

監督かんとくの本ほん広こう克行かつゆきは仕事しごとはあるものの、昔むかしほど映像えいぞう制作せいさくに熱中ねっちゅうできなくなってきたことから映像えいぞう監督かんとくを辞やめようかと思おもい悩なやんでいた。

そんな折おりに、平田ひらたオリザの「現代げんだい口語こうご演劇えんげき理論りろん」を知しり、新あらたな活路かつろを見みい出だすこととなった。平田ひらたの主宰しゅさいする劇団げきだん「青年せいねん団だん」に興味きょうみを持もち、2010年ねんには舞台ぶたい『演劇えんげき入門にゅうもん』の演出えんしゅつを担当たんとうするまでになる。

そして、平田ひらたの小説しょうせつ『幕まくが上あがる』を「自分じぶんの作つくった青春せいしゅんドラマや映画えいがで一番いちばん見みたくなる作品さくひんにしなくては、という異常いじょうな使命しめい感かんを持もち」、監督かんとく業ぎょうとしての集大成しゅうたいせいとすべく映画えいが化かにこぎつけたとしている。

映画えいがのテーマは「あきらめない心しん」であり、本もと広ひろが主役しゅやくに抜擢ばってきしたのは、ももいろクローバーZとしても活躍かつやくするメンバー5人にん（当時とうじ）である。

5人にんは、数すう人にんの客きゃくしか集あつまらなかった路上ろじょうライブから始はじまる数々かずかずの試練しれんを経へて、女性じょせいグループ初はつとなる国立こくりつ競技きょうぎ場じょうライブの実現じつげんまで辿たどり着ついたという経歴けいれきを持もつ。本もと広ひろは、「本当ほんとうの喜よろこび、悲かなしみ、大切たいせつなことに気きづききらめいていくというストーリーに、今いま、もっとも輝かがやいている少女しょうじょたちに演えんじてもらいたい」想おもいがあったと明あかしている。

メンバー全員ぜんいんが北川きたがわ景子けいこ・柴しば咲さきコウ・竹内たけうち結子ゆうこらを擁ようする俳優はいゆう事務所じむしょスターダストプロモーションに所属しょぞくしており、結成けっせい（2008年ねん）以前いぜんから演技えんぎレッスンを重かさねてきていた。

映画えいが『シロメ』やNHKクリスマスドラマ『天使てんしとジャンプ』ですでに5人にんでの主演しゅえん経験けいけんもあることに加くわえ、今回こんかいの撮影さつえいに先立さきだって平田ひらたオリザによる演劇えんげきワークショップを約やく25時じ間あいだに渡わたって受講じゅこう。平田ひらたは総括そうかつとして、「彼女かのじょたちは、このひと夏なつで、役者やくしゃとして驚異きょうい的てきな成長せいちょうを遂とげました」と講評こうひょうした。

脚本きゃくほんは、映画えいが『桐島きりしま、部活ぶかつやめるってよ』（2012年ねん）で日本にっぽんアカデミー賞しょう優秀ゆうしゅう脚本きゃくほん賞しょうを受賞じゅしょうした喜安きやす浩平こうへいが担当たんとう。原作げんさくでは演劇えんげきの楽たのしい側面そくめんばかりに焦点しょうてんが当あてられていたが、喜安きやすは本業ほんぎょうの舞台ぶたい役者やくしゃとして抱いだき続つづけてきた「迷まよい」も主人公しゅじんこうらに投影とうえい。”何なにのために演えんじ続つづけているのか”、そしてどんなに上達じょうたつしても拭ぬぐえない「不安ふあん感かん」の正体しょうたいに迫せまるストーリーとなった。配役はいやくは個人こじん面談めんだんにより決定けっていし、本人ほんにんの個性こせいを活いかした脚本きゃくほんが書かき下おろされた。

1年ねん前まえからスケジュールが確保かくほされ、2か月げつ間あいだをほぼ撮影さつえいにあてることができた。プロデューサーの守屋もりや圭一けいいち郎ろうは、5人にんが現場げんばどころか移動いどうの車くるまでも台本だいほんを見みないことを挙あげ、「セリフを完璧かんぺきに頭あたまに入いれて来きていることに驚おどろきました」と述のべている。監督かんとくの本ほん広ひろも、「若わかい女優じょゆうさんだと、待まち時間じかんに寝ねちゃったりするんですけど、彼女かのじょたちは一切いっさいそういう瞬間しゅんかんを見みたことがない。その姿勢しせいがスタッフにも移うつり、いい作品さくひんにしようといういい効果こうかが生うまれています」と評価ひょうかした。

また監督かんとくは、「80年代ねんだい頃ごろの骨太ほねぶとなアイドル映画えいがを狙ねらいたい」などと話はなし、クランクイン前まえにアイドル映画えいがの名手めいしゅ・大林おおばやし宣彦のぶひこのもとを訪たずね、制作せいさく方法ほうほうのアドバイスをもらった後のち、本ほん作さくの演出えんしゅつに挑いどんだ。女優じょゆうとしての成長せいちょう過程かていも浮うき彫ぼりにするため、順じゅん撮とり（物語ものがたりの時とき系列けいれつどおりの撮影さつえい方法ほうほう）を採用さいようした。

公開こうかい

宣伝せんでん予算よさんが通常つうじょうの映画えいがの3分ぶんの1しかなく、上映じょうえい館かん数すうも127館かんと小規模しょうきぼであったため、「史上しじょう最大さいだいのプロモーション大だい作戦さくせん」と銘打めいうった低てい予算よさん・口くちコミ重視じゅうしのキャンペーンが展開てんかいされた。

一般いっぱん公開こうかい前まえの2月がつ13日にちより1か月げつ以上いじょうをかけて、主演しゅえんキャストが手分てわけをする形かたちで全すべての上映じょうえい館かんを廻まわり、舞台ぶたい挨拶あいさつ付づけ上映じょうえいを実施じっし。2月20日にちには、さぬき映画えいが祭さいでライヴとトークイベント付づけ先行せんこう上映じょうえいを行おこない、全国ぜんこくの映画えいが館かんでもライヴビューイングを開催かいさいした。

このプロモーションが奏功そうこうし、2月がつ28日にちからの一般いっぱん公開こうかい週末しゅうまつ2日間にちかんで観客かんきゃく動員どういん数すうは5位い、興行こうぎょう収入しゅうにゅうは『アメリカン・スナイパー』、『ベイマックス』、『テラスハウス クロージング・ドア』に次つぐ4位いにランクインした。トップ10に入はいった映画えいがの中なかで上映じょうえい館かん数すうが2番目ばんめに少すくなかったため、1館かんあたりの平均へいきん興行こうぎょう収益しゅうえきでは『アメリカン・スナイパー』に次つぐ2位いであった。

一部いちぶの劇場げきじょうでは6月がつまでロングラン上映じょうえいが行おこなわれ、その後ごに上映じょうえいを開始かいしした劇場げきじょうもあった。

作品さくひんの評価ひょうか

山田やまだ洋次ようじをはじめとする複数ふくすうの映画えいが監督かんとくから高たかく評価ひょうかされており、東京国際映画祭とうきょうこくさいえいがさいなどで数々かずかずの受賞じゅしょう経験けいけんのある松江まつえ哲明てつあきも、2015年ねん1月がつの試写ししゃ会かい後ごに次つぎのようにコメントしている。

『幕まくが上あがる』が一番いちばん突つき刺ささるのは、ももクロにも演劇えんげきにも興味きょうみがない人ひとだと思おもう。夢中むちゅうになることの説得せっとく力りょくがもの凄すごく強つよい映画えいがだから、まだ夢中むちゅうになれるものを見みつけてない人ひとが見みたら爆発ばくはつしちゃうような作品さくひん。そういう人ひとに届とどくといいな、と『キッズ・リターン』に人生じんせいを決きめられた僕ぼくは思おもいました。 — 松江まつえ哲明てつあき、Twitter

コラムニストの三浦みうら崇たかし宏ひろしも本ほん作さくを「アイドル映画えいがではない」とした上うえで、仕事しごとに悩なやみを抱かかえた人ひとたちが観みても勇気ゆうきづけられ、辛つらい出来事できごとをどう解釈かいしゃくし乗のり越こえるかのヒントが得えられる作品さくひんだと評ひょうした。

加くわえて、生徒せいと役やくの自然しぜんな演技えんぎに対たいして肯定こうてい的てきな意見いけんが多おおく挙あがっている。『転校生てんこうせい』、『時どきをかける少女しょうじょ』などの青春せいしゅん映画えいがを手てがけてきた監督かんとく・大林おおばやし宣彦のぶひこは以下いかの様ように述のべている。

最初さいしょは、近ちかくにいそうな普通ふつうの女おんなの子こに見みえて、「この子こたちと2時じ間あいだ付つき合あうのはつらいぞ」と思おもったんです。でも、映画えいがが進すすんでいくにつれてどんどんチャーミングになり、見み終おわった時ときには、ハグしたいくらいになっていた。［中略ちゅうりゃく］プロの女優じょゆうになっていく過程かていを、ドキュメンタリーのように見みることができる。それが、この映画えいがを感動かんどうさせる大おおきな力ちからになっていると思おもいます。 — 大林おおばやし宣彦のぶひこ、『日経にっけいエンタ』2015年ねん3月がつ号ごう

また、数々かずかずの文学ぶんがく賞しょうを受賞じゅしょうしている映画えいが評論ひょうろん家かの川本かわもと三郎さぶろうは、主演しゅえんの5人にんの存在そんざいを知しらないとしながら、以下いかの様ように論ろんじた。

まだ成長せいちょう過程かていにある彼女かのじょたちが、この映画えいがに出演しゅつえんすることで演劇えんげきの好すきな高校生こうこうせいを大事だいじに演えんじたいという思おもいと、映画えいがのなかのいい舞台ぶたいを作つくりたいという［ストーリ上じょうの］少女しょうじょたちの切実せつじつな思おもいが、素直すなおに重かさなり合あっている。虚実きょじつが一致いっちしている。出演しゅつえんした少女しょうじょたちは、演えんじている役やくをまさに自分じぶんだと思おもったのではないか。［中略ちゅうりゃく］涙なみだを禁きんじ得えない。ただの感動かんどうの涙なみだではない。安部あべ公房こうぼうが『第だい四よん間あいだ氷ごおり期き』で言いったあの、「星ほしをみながら、じっと宇宙うちゅうの無限むげんを考かんがえたりしていると、ふと涙なみだがあふれそうになったりする」涙なみだ――。 — 川本かわもと三郎さぶろう、『キネマ旬報きねまじゅんぽう』2015年ねん3月がつ下旬げじゅん号ごう

演劇えんげきワークショップに携たずさわる田野たの邦彦くにひこ（特定とくてい非ひ営利えいり活動かつどう法人ほうじん PAVLIC代表だいひょう）は、「（上映じょうえい時間じかんの）110分ふん過すぎくらいまで、ももクロの映画えいがだってことすっかり忘わすれてた」と述のべるなど、いわゆる「アイドル映画えいが」としては捉とらえられていない向むきがある。この点てんに関かんして日経にっけいエンタテインメントは、「ファン以外いがいも楽たのしめる上質じょうしつの映画えいがに仕上しあがった理由りゆうのひとつは、通常つうじょうの映画えいがではなかなかできない周到しゅうとうな準備じゅんびをしたことにある」と分析ぶんせきしている。

以下いかは『シネマトゥデイ』に掲載けいさいされた、編集へんしゅう部ぶ認定にんていの専門せんもん家かによるレビュー・スコアである。

専門せんもん家か	スコア	要点ようてん
くれい響ひびき（映画えいが評論ひょうろん家か）		近年きんねんの本ほん広こう監督かんとく作品さくひんでは「断だんトツの出来でき」であり主演しゅえんの5人にんに女優じょゆう魂たましいを感かんじるとしながらも、ストーリーが原作げんさくを活いかしきれていない点てんに関かんして批判ひはんしている。
ミルクマン斉藤さいとう（映画えいが評論ひょうろん家か）		「自分じぶんのやりたいこと・やるべきことを見みつけていく過程かてい」と、その先さきにある「人間にんげんの至福しふくと苦悶くもん」を描えがいた普遍ふへん的てきな作品さくひんだと評ひょうしている。
清水しみず節たかし（編集へんしゅう者しゃ･映画えいが評論ひょうろん家か）		5人にんが演技えんぎを通とおして「アイドルの仮面かめんを脱ぬぎ、思春期ししゅんきの素もとを露あらわにする」瞬間しゅんかんを丁寧ていねいにすくいとった、ドキュメントの様ような作品さくひんだと評ひょうしている。

受賞じゅしょう

• 第だい40回かい報知ほうち映画えいが賞しょう（2015年ねん）
  • 特別とくべつ賞しょう（ももいろクローバーZ、本ほん広こう克行かつゆき）
• 第だい89回かいキネマ旬報きねまじゅんぽうベスト・テン
  • 助演じょえん女優じょゆう賞しょう（黒木くろき華はな、『母ははと暮くらせば』『ソロモンの偽証ぎしょう』と合あわせて受賞じゅしょう）
• 第だい70回かい毎日まいにち映画えいがコンクール
  • TSUTAYA映画えいがファン賞しょう・日本にっぽん映画えいが部門ぶもん
• 全国ぜんこく映連えいれん（映画えいが愛好あいこう者しゃによる全国ぜんこく組織そしき）による賞しょう。
  • 2015年ねん日本にっぽん映画えいがベストテン 入賞にゅうしょう
  • 女優じょゆう賞しょう（黒木くろき華はな、『母ははと暮くらせば』『繕つくろい裁たつ人ひと』『ソロモンの偽証ぎしょう』と合あわせて受賞じゅしょう）
• 第だい39回かい日本にっぽんアカデミー賞しょう
  • 話題わだい賞しょう 俳優はいゆう部門ぶもん（ももいろクローバーZ）

公的こうてき機関きかんによる推奨すいしょう

• 東京とうきょう都と優良ゆうりょう映画えいが
• 静岡しずおか県けん優良ゆうりょう映画えいが（中学生ちゅうがくせい以上いじょう向むき）
• 文部もんぶ科学かがく省しょう選定せんてい（少年しょうねん・青年せいねん・成人せいじん向むき）

映画えいが誌しなどでの特集とくしゅう

すべて2015年ねん、主おもなもののみ

• キネマ旬報きねまじゅんぽう 12月下旬げじゅん号ごう
• キネマ旬報きねまじゅんぽう 3月がつ上旬じょうじゅん号ごう - 表紙ひょうし & 28ページに渡わたる特集とくしゅう
• キネマ旬報きねまじゅんぽう 3月がつ下旬げじゅん号ごう
• キネマ旬報きねまじゅんぽう 別冊べっさつ『アクチュール』 3月がつ号ごう
• ピクトアップ #93 - 表紙ひょうし & 41ページに渡わたる特集とくしゅう
• 別冊べっさつFLIX Vol.2 - 表紙ひょうし & 28ページに渡わたる特集とくしゅう
• クイック・ジャパン 118号ごう - 表紙ひょうし & 100ページに渡わたる特集とくしゅう
• 日経にっけいエンタテインメント 3月がつ号ごう - 表紙ひょうし & 19ページに渡わたる特集とくしゅう

Blu-ray & DVD、動画どうが配信はいしん

映像えいぞう作品さくひんとして発売はつばいされているのは「Blu-ray豪華ごうか盤ばん」「Blu-ray通常つうじょう盤ばん」「DVD通常つうじょう盤ばん」の3形態けいたい。副ふく音声おんせいとしてオーディオコメンタリーが収録しゅうろくされている（主演しゅえんの5人にん、本ほん広こう監督かんとく、片山かたやまプロデューサー、守屋もりやプロデューサーが出演しゅつえん）。発売はつばい日びは2015年ねん8月がつ5日にち。各種かくしゅ動画どうがプラットフォームでも有料ゆうりょう配信はいしんされている（#外部がいぶリンク参照さんしょう）。

「Blu-ray豪華ごうか盤ばん」にはボーナスディスクが付属ふぞくし、以下いかの内容ないようが収おさめられている。

• 劇げき中ちゅう劇げき・ロミオとジュリエット
• 劇げき中ちゅう劇げき・肖像しょうぞう画が（フル版ばん）
• 劇げき中ちゅう劇げき・銀河ぎんが鉄道てつどうの夜よる（フル版ばん）
• 未み公開こうかい集しゅう（映画えいが本編ほんぺんに使用しようされていない「長ちょう回まわし」などの映像えいぞう）
• イベント集しゅう（完成かんせい披露ひろう試写ししゃ会かい、初日しょにち舞台ぶたい挨拶あいさつ、行おこなったぞ！舞台ぶたい挨拶あいさつ全国ぜんこく行脚あんぎゃ最終さいしゅう日び）
• 公開こうかい記念きねん特別とくべつ番組ばんぐみ『ももいろ演出えんしゅつ論ろん』（劇場げきじょう公開こうかい時じにテレビ放送ほうそうされた番組ばんぐみ）
• 公開こうかい記念きねんメイキング番組ばんぐみ『「幕まくが上あがる」のここが熱あつい！』（同上どうじょう）

また店舗てんぽレンタル用ようDVDには、上記じょうきとは異ことなる映像えいぞう特典とくてん（サイネージムービー）が収録しゅうろくされている。

主題歌しゅだいか・サウンドトラック

• 青春せいしゅん賦ふ - 主題歌しゅだいかと挿入歌そうにゅうかの全ぜん4曲きょくを収録しゅうろく
• 映画えいが「幕まくが上あがる」オリジナル・サウンドトラック - 全ぜん26曲きょくと、映画えいがのハイライトシーンの音声おんせいを収録しゅうろく

ドキュメンタリー映画えいが

幕まくが上あがる、その前まえに。 彼女かのじょたちのひと夏なつの挑戦ちょうせん
監督かんとく	佐々木ささき敦あつし規ぶんまわし（演出えんしゅつ）
出演しゅつえん者しゃ	百田ひゃくだ夏なつ菜子さいこ 玉井たまい詩織しおり 高城たかぎれに 有安ありやす杏果きょうか 佐々木ささき彩夏あやか
制作せいさく会社かいしゃ	FILM Design Works
製作せいさく会社かいしゃ	フジテレビジョン 東映とうえい ROBOT 電通でんつう 講談社こうだんしゃ パルコ
配給はいきゅう	ティ・ジョイ 東映とうえい（配給はいきゅう協力きょうりょく）
公開こうかい	2015年ねん3月11日にち
上映じょうえい時間じかん	94分ふん
製作せいさく国こく	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご

『幕まくが上あがる、その前まえに。彼女かのじょたちのひと夏なつの挑戦ちょうせん』（まくがあがる、そのまえに。かのじょたちのひとなつのちょうせん）というドキュメンタリー映画えいがが『幕まくが上あがる』の制作せいさく現場げんばの舞台裏ぶたいうらに約やく400時じ間あいだにわたって密着みっちゃくして製作せいさくされ、2015年ねん3月11日にちから劇場げきじょう公開こうかいされた。

ももいろクローバーZのメンバーたちが、映画えいが原作げんさく者しゃで劇げき作家さっか・演出えんしゅつ家かの平田ひらたオリザによるワークショップを通つうじて“演えんじる”ことを学まなび、撮影さつえいに臨のぞむ姿すがたを追おったメイキングドキュメンタリー。

本編ほんぺん94分ふんで「Blu-ray」「DVD」の2形態けいたいで発売はつばいされ、DVDのみレンタルにも対応たいおうしている。発売はつばい日びは2015年ねん8月がつ5日にち。

原作げんさく小説しょうせつ

平田ひらたオリザが提唱ていしょうする、自然しぜんな会話かいわとやりとりで舞台ぶたいを進行しんこうする現代げんだい口語こうご演劇えんげき理論りろんというものが、ストーリーの中なかで示しめされている。文体ぶんたいにもその理論りろんが反映はんえいされ、「…って感かんじ」「…みたいな」「…とか」といったカジュアルでつたないい回いまわしによる、主人公しゅじんこうの一人称いちにんしょう語かたりが多用たようされている。

書評しょひょう家かの土佐とさ有明ありあけは、「『感動かんどう的てき』と評ひょうされることの多おおい本書ほんしょだが、その感動かんどうはこうした細部さいぶへの巧緻こうちな配慮はいりょに支ささえられている」と評価ひょうかした。また、俳優はいゆうの堺さかい雅人まさとが推薦すいせんをしており、「スタニスラフスキーに『俳優はいゆう修業しゅうぎょう』という役者やくしゃの教科書きょうかしょみたいな本ほんがあるけれど、これはまるで『演出えんしゅつ修行しゅぎょう』」だと評ひょうした。

「幕まくが上あがる」は、同名どうめいで3種類しゅるいの本ほんが出版しゅっぱんされている。1つめは2012年ねんに平田ひらたオリザが書かき下おろした単行本たんこうぼん（ISBN 978-4-06-218070-2）。2つめはそれを文庫本ぶんこぼんとして出版しゅっぱんしたもの（講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ、ISBN 978-4-06-293001-7）。3つめは古閑こが万希子まきこが映画えいがをノベライズしたもの（講談社こうだんしゃ青あおい鳥とり文庫ぶんこ、ISBN 978-4-06-285472-6）。

このうち1つめ2つめと、3つめの間あいだには内容ないように相当そうとうの差異さいがあるため、前ぜん2者しゃを「小説しょうせつ版ばん」、後こう1者しゃを「ノベライズ版ばん」として、区別くべつして記載きさいする。

幕まくが上あがる
著者ちょしゃ	平田ひらたオリザ
発行はっこう日び	2012年ねん11月8日にち（単行本たんこうぼん） 2014年ねん12月12日にち（講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ） 2015年ねん2月がつ13日にち（講談社こうだんしゃ青あおい鳥とり文庫ぶんこ - 映画えいがのノベライズ版ばん）
発行はっこう元もと	講談社こうだんしゃ
ジャンル	青春せいしゅん小説しょうせつ
国くに	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご
ページ数すう	314（単行本たんこうぼん）
公式こうしきサイト	講談社こうだんしゃBOOK倶楽部くらぶ『幕まくが上あがる』
コード	ISBN 978-4-06-218070-2（単行本たんこうぼん） ISBN 978-4-06-293001-7（講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ）
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小説しょうせつ版ばん

主おもな登場とうじょう人物じんぶつ

• さおり（高橋たかはしさおり）：演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい
• ユッコ（橋爪はしづめ裕子ゆうこ）：演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい
• ガルル（西条さいじょう美紀みき）：演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい（映画えいが版ばんはひらがなの「がるる」だが、文庫ぶんこ版ばんはカタカナの「ガルル」）
• わび助すけ（桃木もものき）：演劇えんげき部ぶ2年生ねんせい
• 中西なかにしさん（中西なかにし悦子えつこ）：演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい
• 孝史たかし先輩せんぱい：さおり達たちの1年ねん先輩せんぱい
• 明美あけみちゃん：わび助すけと2人ふたりだけの2年生ねんせい
• 成田なりたさん：演劇えんげき部ぶ1年生ねんせい
• 溝口みぞぐち先生せんせい：演劇えんげき部ぶ顧問こもん
• 滝田たきた先生せんせい：国語こくご科かの教師きょうし
• 吉岡よしおか先生せんせい（吉岡よしおか美佐子みさこ）：演劇えんげき部ぶ副ふく顧問こもん

映画えいが版ばんとの違ちがい

• 舞台ぶたいとなっている高校こうこうは、映画えいが版ばんでは「静岡しずおか県立けんりつ富士ふじケ丘おか高等こうとう学校がっこう」であるが、小説しょうせつ版ばんでは群馬ぐんま県けんの公立こうりつ高校こうこうである（名称めいしょうは記載きさいされていない）
• 映画えいが版ばんでは演劇えんげき部員ぶいんが全員ぜんいん女性じょせいであるが、小説しょうせつ版ばんでは男子だんし部員ぶいんもいる
• エピソードが多おおく、具体ぐたい的てきな演劇えんげきの技術ぎじゅつやノウハウなども盛もり込こまれている
• さおりたちが3年ねんになったときの新入生しんにゅうせい歓迎かんげい公演こうえんは、映画えいが版ばんでは「ロミオとジュリエット」を演えんじて失敗しっぱいするが、小説しょうせつ版ばんでは他校たこうの先生せんせいが書かいた既存きそんの台本だいほんを基もとに演えんじて好評こうひょうとなる
• 中西なかにしさんの転校てんこう時期じきは、映画えいが版ばんでは「肖像しょうぞう画が」を学内がくないで演えんじる前まえだが、小説しょうせつ版ばんでは学内がくないで演えんじた翌々日よくよくじつ
• 部員ぶいんと吉岡よしおか先生せんせいは、映画えいが版ばんではたまたま美術びじゅつ室しつで稽古けいこをしたことで知しり合あうが、小説しょうせつ版ばんでは「大学だいがくで演劇えんげきをしていた」という噂うわさが先さきに流ながれ、噂うわさをもとに部員ぶいんが会あいに行いく
• さおりと中西なかにしさんが全国ぜんこく大会たいかいに行いくシーンは、映画えいが版ばんではボランティアスタッフとして参加さんかするが、小説しょうせつ版ばんでは普通ふつうの見学けんがく者しゃとして参加さんかする
• さおりが「銀河ぎんが鉄道てつどうの夜よる」を題材だいざいにすると決きめるきっかけは、映画えいが版ばんでは夜よるに入線にゅうせんする電車でんしゃを見みて中西なかにしさんがつぶやいた台詞せりふだが、小説しょうせつ版ばんでは車窓しゃそうからの夜空よぞらを見みてさおりがつぶやいた台詞せりふ
• 中西なかにしさんの転校てんこう理由りゆうは、映画えいが版ばんでは声こえがでなくなったことだが、小説しょうせつ版ばんでは顧問こもんの先生せんせいとの不和ふわがきっかけ
• 映画えいが版ばんでは県けん大会たいかいの幕まくが上あがったところで終おわっているが、小説しょうせつ版ばんでは翌年よくねんの全国ぜんこく大会たいかいにさおりたちが応援おうえんに行いくシーンまで記載きさいされている

ノベライズ版ばん

映画えいが版ばんを元もとにノベライズしたもので、児童じどう向むけ小説しょうせつという青あおい鳥とり文庫ぶんこの性質せいしつ上じょう、数字すうじ以外いがいの漢字かんじや英語えいごにはルビがついている。

映画えいが版ばんとの違ちがい

• さおりの夢ゆめのシーンや、カメオ出演しゅつえんしている役者やくしゃのシーンといった、映画えいがの「遊あそび」の部分ぶぶんが全すべてカットされている
• 1、2年生ねんせいが各かく3人にん（映画えいが版ばんでは各かく4人にん）
• 溝口みぞぐち先生せんせいがしっかりものとして描写びょうしゃされている（映画えいが版ばんでは狂言回きょうげんまわし）
• さおりが部長ぶちょうを引ひき受うけさせられた場所ばしょや、中西なかにしさんに初はじめて声こえをかけたときの場所ばしょ等とうが違ちがう
• さおりが「銀河ぎんが鉄道てつどうの夜よる」を題材だいざいにすると決きめたきっかけとなる中西なかにしさんの台詞せりふが、映画えいが版ばんでは夜よるに入線にゅうせんする電車でんしゃを見みてつぶやいたものだが、ノベライズ版ばんでは夜空よぞらを見みてつぶやいたもの
• ショッピングセンターで、ももクロでは赤あか担当たんとうの百田ひゃくだ演えんじるさおりがアイスティー（赤あか）を、緑みどり担当たんとうの有安ありやす演えんじる中西なかにしさんがメロンソーダ（緑みどり）を飲のむシーンがあるが、ノベライズ版ばんではさおりがメロンソーダを、中西なかにしさんがアイスティーを飲のんでいる

舞台ぶたい

2015年版ねんばん

2015年ねん5月1日にち - 5月24日にち、Zeppブルーシアター六本木ろっぽんぎにおいて上演じょうえんされた。演出えんしゅつは映画えいが版ばんの監督かんとくを務つとめた本ほん広こう克行かつゆき、脚本きゃくほんは原作げんさくの作者さくしゃでもある平田ひらたオリザが新あらたに書かき下おろした。主要しゅようキャストは映画えいが版ばんと同おなじだが、下級生かきゅうせい役やくについては演者えんじゃの変更へんこうが行おこなわれた。

舞台ぶたいは映画えいがのストーリーをそのままなぞったものではなく、原作げんさくの一部分いちぶぶんを深ふかく掘ほり下さげ、原作げんさくや映画えいがには描えがかれない登場とうじょう人物じんぶつの心情しんじょうに焦点しょうてんを当あてた内容ないようとなっている。実際じっさい、舞台ぶたいには登場とうじょうしていないが、映画えいがに登場とうじょうしていた「吉岡よしおか先生せんせい」や「グッチ」といった人物じんぶつの名前なまえが出だされている。しかし、学校がっこうの設定せっていが微妙びみょうに異ことなり、下級生かきゅうせいの学年がくねんの変更へんこう、名前なまえの変更へんこうなども行おこなわれ、パラレルワールド的てきな要素ようそも存在そんざいする。

平田ひらたオリザ率ひきいる青年せいねん団だんの演劇えんげきでは、客きゃく入いれの時点じてんから演者えんじゃが演技えんぎを始はじめる「0場じょう（ゼロば）」というものが特徴とくちょう的てきで、本ほん作さくでも0場じょうが行おこなわれた。ムロツヨシや志賀しが廣太ひろた郎ろう、笑福亭鶴瓶しょうふくていつるべが特別とくべつ出演しゅつえんした公演こうえん回かいもあった。

5月24日にちの千秋楽せんしゅうらく公演こうえんは全国ぜんこくの40の映画えいが館かんにてライブビューイングが実施じっしされた。

ストーリー（2015年版ねんばん）

地区ちく大会たいかいを無事ぶじ通過つうかした演劇えんげき部ぶだが、精神せいしん的てき支柱しちゅうであった吉岡よしおか先生せんせいが学校がっこうを退職たいしょくしてしまった。県けん大会たいかい出場しゅつじょうのために、残のこされた部員ぶいん達たちはさおりを中心ちゅうしんに稽古けいこを続つづけるが、吉岡よしおか先生せんせいがいなくなったショックは非常ひじょうに大おおきかった。

部員ぶいんたちは落おち込こんでしまい、部活ぶかつを休やすむ生徒せいとも出でてくる。一方いっぽう、さおりは吉岡よしおか先生せんせいのことに言及げんきゅうすることを拒絶きょぜつするほど気負きおいすぎてしまう。

そんな中なか、さおりが改変かいへんしたセリフを中西なかにしさんが声こえに出だせなかったことをきっかけとして、3年生ねんせいの間あいだで話はなし合あいがもたれた。その過程かていでさおりは精神せいしん的てきに成長せいちょうすることで気負きおいがとれ、さおりを中心ちゅうしんとした演劇えんげき部ぶは再ふたたび活気かっきを取とり戻もどす。

キャスト（2015年版ねんばん）

高橋たかはしさおり（さおり）

演えんじ - 百田ひゃくだ夏なつ菜子さいこ

静岡しずおか県立けんりつ富士ふじケ丘おか高等こうとう学校がっこう（パンフレットでは私立しりつ） 演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい

橋爪はしづめ裕子ゆうこ（ユッコ）

演えんじ - 玉井たまい詩織しおり

同校どうこう演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい

西条さいじょう美紀みき（がるる）

演えんじ - 高城たかぎれに

同校どうこう演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい

中西なかにし悦子えつこ（中西なかにしさん）

演えんじ - 有安ありやす杏果きょうか

同校どうこう演劇えんげき部ぶ3年生ねんせい

加藤かとう明美あけみ（明美あけみちゃん）

演えんじ - 佐々木ささき彩夏あやか

同校どうこう演劇えんげき部ぶ2年生ねんせい

村上むらかみ舞まい

演えんじ - 藤松ふじまつ祥子さちこ

同校どうこう演劇えんげき部ぶ2年生ねんせい

松永まつなが美緒みお

演えんじ - 多賀たが麻美あさみ

同校どうこう演劇えんげき部ぶ2年生ねんせい

成田なりた香かおり穂ほ

演えんじ - 井上いのうえみなみ

同校どうこう演劇えんげき部ぶ2年生ねんせい

袴田はかまだ葵まもる

演えんじ - 芳よし根ね京子きょうこ

同校どうこう演劇えんげき部ぶ1年生ねんせい

坂下さかした綾乃あやの

演えんじ - 金井かない美樹みき

同校どうこう演劇えんげき部ぶ1年生ねんせい

高田たかだ梨奈りな

演えんじ - 伊藤いとう沙すな莉

同校どうこう演劇えんげき部ぶ1年生ねんせい

八木やぎ美咲みさき

演えんじ - 坂倉さかくら花はな奈

同校どうこう演劇えんげき部ぶ1年生ねんせい

スタッフ（2015年版ねんばん）

• 原作げんさく・脚本きゃくほん - 平田ひらたオリザ
• 演出えんしゅつ - 本ほん広こう克行かつゆき
• 美術びじゅつ - 土岐とき研一けんいち
• 照明しょうめい - 佐藤さとう啓あきら
• 音響おんきょう - 井上いのうえ正弘まさひろ
• 演出えんしゅつ助手じょしゅ - 草くさ光こう純じゅん太ふと
• 舞台ぶたい監督かんとく - 本田ほんだ和男かずお
• 主催しゅさい - Zepp ブルーシアター六本木ろっぽんぎ運営うんえい委員いいん会かい
• 協力きょうりょく - 映画えいが「幕まくが上あがる」製作せいさく委員いいん会かい
• 企画きかく製作せいさく - 株式会社かぶしきがいしゃパルコ

Blu-ray & DVD（2015年版ねんばん）

2017年ねん3月28日にち発売はつばい。舞台ぶたいの千秋楽せんしゅうらくの模様もようを収録しゅうろくしている。「舞台ぶたい「幕まくが上あがる」［ブルーレイ特とく装そう盤ばん］」「舞台ぶたい「幕まくが上あがる」（DVD）」の2形態けいたい。

副ふく音声おんせいとしてオーディオコメンタリーを収録しゅうろく（ももいろクローバーZと本ほん広こう監督かんとくが出演しゅつえん）。また特典とくてん映像えいぞうとして、映画えいが版ばんで溝口みぞぐち先生せんせい役やくを演えんじたムロツヨシが舞台ぶたい鑑賞かんしょうに来きた際さいに、特別とくべつ出演しゅつえんした「0場じょう」（本編ほんぺん開始かいし前まえ）の映像えいぞうを約やく33分ふん収録しゅうろくしている。

「ブルーレイ特とく装そう盤ばん」の特典とくてんは下記かきの３みっつ

• 96ページ写真しゃしん集しゅう
• 特製とくせい三さん方ぽう背せケース
• オリジナルポストカード

2023年版ねんばん

2023年ねん7月がつ12日にち - 7月がつ17日にち、サンシャイン劇場げきじょうにおいて上演じょうえんされた。演出えんしゅつ・脚本きゃくほんは久保田くぼた唱。

キャスト（2023年版ねんばん）

さおり

演えんじ - 森本もりもと茉莉まり（日向ひなた坂ざか46）

ユッコ

演えんじ - 山口やまぐち陽よう世よ（日向ひなた坂ざか46）

中西なかにしさん

演えんじ - 浜浦はまうら彩乃あやの

ガルル

演えんじ - 高井たかい千帆ちほ　

わび助すけ

演えんじ - 宮本みやもと龍之介りゅうのすけ

明美あけみちゃん

演えんじ - 飛香あすかまい

成田なりたさん

演えんじ - 高野たかの渚なぎさ

高田たかださん

演えんじ - 竹内たけうち麗うらら

孝史たかし先輩せんぱい

演えんじ - 宮地みやじ樹いつき（劇団げきだん4ドル50セント）

さおり父ちち

演えんじ - 千賀せんが功こう嗣（劇団げきだん俳優座はいゆうざ）

さおり母はは

演えんじ - 田野たの聖子せいこ

吉岡よしおか先生せんせい

演えんじ - 片山かたやま萌もえ美び

溝口みぞぐち先生せんせい

演えんじ - なだぎ武たけし

滝田たきた先生せんせい

演えんじ - 酒井さかい敏也としや

スタッフ（2023年版ねんばん）

• 原作げんさく - 平田ひらたオリザ
• 演出えんしゅつ・脚本きゃくほん - 久保田くぼた唱
• 主催しゅさい - （株）かぶしきがいしゃキョードーファクトリー
• 後援こうえん - 公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじんとしま未来みらい文化ぶんか財団ざいだん
• 企画きかく製作せいさく - 舞台ぶたい「幕まくが上あがる」製作せいさく委員いいん会かい

外部がいぶリンク

映画えいが

• 幕まくが上あがる（動画どうが配信はいしん） - Amazonプライム・ビデオ
• 幕まくが上あがる（動画どうが配信はいしん） - U-NEXT
• 幕まくが上あがる（動画どうが配信はいしん） - Lemino（旧きゅうdTV）
• 映画えいが『幕まくが上あがる』 (MakugaAgaru) - Facebook
• 映画えいが『幕まくが上あがる』 (@makuga_agaru) - X（旧きゅうTwitter）
• 幕まくが上あがる - KINENOTE
• 幕まくが上あがる - YouTubeプレイリスト

小説しょうせつ

• 講談社こうだんしゃBOOK倶楽部くらぶ『幕まくが上あがる』

舞台ぶたい

• 2015年版ねんばん特設とくせつサイト
• 2023年版ねんばん特設とくせつサイト

舞台ぶたい「幕まくが上あがる」 (@makugaagaru2023) - X（旧きゅうTwitter）（2023年ねん5月がつ2日にち - ）

幕まくが上あがる、その前まえに。彼女かのじょたちのひと夏なつの挑戦ちょうせんに関かんするカテゴリ:

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