平井ひらい三郎さぶろう

平井ひらい 三郎さぶろう

1955年ねん撮影さつえい
基本きほん情報じょうほう
国籍こくせき	日本にっぽん
出身しゅっしん地ち	徳島とくしま県けん徳島とくしま市し
生年月日せいねんがっぴ	1923年ねん9月4日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(1969-07-23) 1969年ねん7月がつ23日にち（45歳さい没ぼつ）
身長しんちょう 体重たいじゅう	167 cm 60 kg
選手せんしゅ情報じょうほう
投球とうきゅう・打席だせき	右みぎ投とう右みぎ打だ
ポジション	遊撃手ゆうげきしゅ
プロ入いり	1948年ねん
初はつ出場しゅつじょう	1948年ねん
最終さいしゅう出場しゅつじょう	1957年ねん
経歴けいれき（括弧かっこ内ないはプロチーム在籍ざいせき年度ねんど）
選手せんしゅ歴れき
徳島とくしま商業しょうぎょう学校がっこう 明治大学めいじだいがく 全ぜん徳島とくしま 阪急はんきゅうブレーブス (1948 - 1949) 西日本にしにほんパイレーツ (1950) 読売よみうりジャイアンツ (1951 - 1957)
コーチ歴れき
近鉄きんてつバファロー (1959 - 1961) 阪神はんしんタイガース (1963 - 1964)
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平井ひらい 三郎さぶろう（ひらい さぶろう、旧姓きゅうせい：生田いくた、1923年ねん9月4日にち - 1969年ねん7月がつ23日にち）は、徳島とくしま県けん徳島とくしま市し出身しゅっしんの元もとプロ野球やきゅう選手せんしゅ（内野ないや手しゅ）・コーチ。

経歴けいれき

徳島とくしま商業しょうぎょうでは1939年ねんから1940年ねんにかけて、甲子園こうしえんに春はる夏なつ通つうじて3度ど出場しゅつじょう。先輩せんぱいに林はやし義一ぎいち、同級生どうきゅうせいに蔦つた文也ふみやがいる。当時とうじの徳とく商しょうは後のちに「徳島とくしま県けん高校こうこう野球やきゅう育そだての親おや」と言いわれる稲原いなはら幸雄ゆきお監督かんとくが率ひきいて、猛もう練習れんしゅうで有名ゆうめいで、練習れんしゅう見学けんがくで恐おそれをなした蔦つたは野球やきゅう部ぶを避さけてテニス部ぶに入はいるほどであったという。卒業そつぎょう後ごは明治大学めいじだいがくを経へて、恩師おんしの稲原いなはらが監督かんとくを務つとめる地元じもとのノンプロチーム「全ぜん徳島とくしま」でプレー。1946年ねん・1947年ねんと2年ねん連続れんぞくで都市とし対抗たいこうに出場しゅつじょうし、当時とうじはプロ化かの動うごきもあったほど人気にんきのあったチームで、メンバーにはエースで4番ばんの林はやし、蔦つたらがいた。

1948年ねんに阪急はんきゅうブレーブスへ入団にゅうだん。阪急はんきゅうではすぐに遊撃手ゆうげきしゅのレギュラーとなり、打率だりつ.279（打撃だげき成績せいせき14位い）はチームトップであった。1950年ねんにセ・パ両りょうリーグが分立ぶんりつすると、宇高うだか勲いさおの引ひき抜ぬきにより宮崎みやざき剛つよし・日比野ひびの武たけし・永利ながとし勇吉ゆうきちと共ともに新設しんせつ球団きゅうだんの西日本にしにほんパイレーツへ移籍いせき。西日本にしにほんでも1番ばん打者だしゃ・遊撃手ゆうげきしゅとして打率だりつ.309（リーグ11位い）を挙あげる。この年としは1シーズンで2度ど20試合しあい以上いじょう連続れんぞく安打あんだを記録きろくしている。NPBの一軍いちぐん公式こうしき戦せんでこの記録きろくを達成たっせいしたのは平井ひらいの他ほかに1994年ねんのイチロー、2014年ねんの菊池きくち涼介りょうすけのみである。

同年どうねんオフに西日本にしにほんは西鉄にしてつクリッパースと合併がっぺいすることとなり、西日本にしにほんの主力しゅりょく選手せんしゅであった日比野ひびの・南村なんそん不可ふか止とめと共ともに西鉄にしてつと読売よみうりジャイアンツとの選手せんしゅ争奪そうだつ戦せんに巻まき込こまれる。2リーグ分裂ぶんれつ時じに戦前せんぜんからの正せい遊撃手ゆうげきしゅであった白石しらいし敏男としおを広島ひろしまカープに譲渡じょうとし、後釜あとがまとして三塁手さんるいしゅの山川やまかわ喜作きさくをコンバートしたものの穴あなは埋うめられず、遊撃手ゆうげきしゅが弱点じゃくてんとなっていた巨人きょじんはどうしても平井ひらいの獲得かくとくが必要ひつような状況じょうきょうであった。西鉄にしてつの西にし亦また次郎じろう球団きゅうだん代表だいひょうは宇高うこうと共ともに3選手せんしゅを東京とうきょうの宿泊しゅくはく施設しせつに缶詰かんづめにしたのち、一緒いっしょに福岡ふくおかへ連つれ戻もどそうとするが、混雑こんざつする東京とうきょう駅えきで平井ひらいは一いち行ぎょうとはぐれ巨人きょじん側がわに連つれ去さられてしまったという。あるいは、12月下旬げじゅんに大阪おおさか球場きゅうじょうで行おこなわれる東西とうざい対抗たいこう試合しあいに平井ひらいが出場しゅつじょうすることを知しった巨人きょじん監督かんとくの水原みずはら茂しげるが、百ひゃく円えん札さつで50万まん円えん分ぶんを抱かかえて大阪おおさかへ向むかい、水原みずはら自みずから平井ひらいの幼子おさなごのおむつ替かえまでやるとの苦心くしんの末すえ、平井ひらいと夫人ふじんの承諾しょうだくを得えて契約けいやくを果はたす。その後ご、平井ひらいが九州きゅうしゅうへ戻もどろうとする際さい、西鉄にしてつの監視かんしの目めを潜もぐって神戸こうべの三ノ宮さんのみや駅えきで東京とうきょう行ゆきの列車れっしゃに潜もぐり込こみ、水原みずはらと名古屋なごや駅えきで合流ごうりゅう。東京とうきょうでは水原みずはらがしばらく平井ひらいを匿かくまったともされる。こうした人ひとさらいのようなゴタゴタを経へて、平井ひらい・南村なんそんは巨人きょじんへ、日比野ひびのは西鉄にしてつへ移籍いせきすることになった。

巨きょ人じんでは1951年ねんから1953年ねんまで正せい遊撃手ゆうげきしゅを務つとめ、千葉ちば茂しげるとの二に遊ゆう間あいだコンビを結成けっせいして守備しゅびの要ようとなり、3年ねん連続れんぞく日本一にっぽんいちに大おおきく貢献こうけんする。平井ひらい自身じしんも3年ねん連続れんぞくでベストナインのタイトルを獲得かくとくすると共ともに、オールスターゲームにも出場しゅつじょうした。また、平井ひらい正明まさあきから平井ひらい三郎さぶろうに改名かいめいした1953年ねんには、1番ばん打者だしゃに座すわって打率だりつ.291でリーグ10位いに入はいり、リーグトップの97得点とくてんを記録きろくしている。なお、1953年ねん3月がつにアメリカのサンタマリアで行おこなったニューヨーク・ジャイアンツとのオープン戦せんではサヨナラ本塁打ほんるいだを打うち、日本にっぽんプロ野球やきゅうの単独たんどくチームによるメジャーリーグに対たいする初はつ白星しろぼしをもたらせている。ジャイアンツはオフに日米にちべい野球やきゅうで来日らいにちし、巨人きょじんは10月31日にちにも2-1で勝利しょうり。この時ときも平井ひらいは2回かいに適時てきじ打だ、8回かいには好投こうとうしていたホイト・ウィルヘルムをとらえて本塁打ほんるいだを放はなった。この試合しあいでは先発せんぱつの大友おおとも工たくみが日本にっぽんの投手とうしゅとして2人ふたり目めとなるMLB相手あいてに完投かんとう勝利しょうりを果はたしている。

1954年ねんにルーキーの広岡ひろおか達朗たつろうにレギュラーを奪うばわれて出場しゅつじょう機会きかいが減へり、1956年ねん以降いこうは遊撃手ゆうげきしゅのポジションを広岡ひろおかに譲ゆずって二塁手にるいしゅに回まわるが、1957年ねんに心臓しんぞう弁膜べんまく症しょうを患わずらって現役げんえきを引退いんたい。

引退いんたい後ごは1959年ねんに新任しんにんの千葉ちば茂しげる監督かんとくに誘さそわれ、近鉄きんてつバファロー一軍いちぐん内野ないやコーチに就任しゅうにん。二に軍ぐんチーフコーチとなった1961年ねん限かぎりで千葉ちばと共ともに近鉄きんてつを退団たいだんし、1962年ねんには阪神はんしんタイガースにスカウトとして移籍いせき。辻つじ恭彦やすひこなどを入団にゅうだんさせ、1963年ねんから1964年ねんには内野ないや守備しゅび・走塁そうるいコーチを務つとめ、1965年ねんには再ふたたびスカウトに戻もどる。阪神はんしん退団たいだん後ごは名古屋なごや市しで現役げんえき時代じだいの背番号せばんごうに因ちなんで喫茶店きっさてん「エイト」を経営けいえい。1969年ねん7月がつ23日にち、風邪かぜをこじらせた事ことによる合併症がっぺいしょうにより死去しきょ。45歳さい没ぼつ。

選手せんしゅとしての特徴とくちょう

当時とうじ遊撃手ゆうげきしゅは守備しゅびが重要じゅうようで、打撃だげきは打率だりつ.250打うてれば及第きゅうだいとされていたが、平井ひらいは並なみの体格たいかくながら鋭するどいスイングで通算つうさん打率だりつ.277を記録きろくし、打うてる遊撃手ゆうげきしゅの第だい一いち号ごうともされた。

巨人きょじん時代じだいに二に遊ゆう間あいだを組くんだ千葉ちば茂しげるは、守備しゅび範囲はんいが特別とくべつ広ひろいとか、肩かたが並外なみはずれて強つよいわけではないが、自分じぶんとのコンビネーション・呼吸こきゅうは巨人きょじんの歴代れきだいで一番いちばんだったと評ひょうしている。平井ひらいの二塁手にるいしゅへの送球そうきゅうが非常ひじょうに安定あんていしていたため、千葉ちばは一塁いちるい手しゅへ見みずに投なげるプレーができたという。また、別所べっしょ毅彦たけひこと組くんでの二塁にるい走者そうしゃの牽制けんせいプレーは絶妙ぜつみょうで、ノーサインで牽制けんせいしてしばしば二塁にるい走者そうしゃを刺さした。特とくに、1952年ねんにはシーズンで8回かいも牽制けんせい死しを奪うばっている。

1976年ねん当時とうじ、水原みずはら茂しげるは巨人軍きょじんぐんの歴代れきだいベストナインの遊撃手ゆうげきしゅに平井ひらいを推おしている。

逸話いつわ

• 当時とうじのプロ野球やきゅうの遠征えんせいでは、よく寝台しんだい車しゃのない夜行やこう列車れっしゃを利用りようしていたことから、車両しゃりょうの通路つうろで寝ねることになり衣服いふくが汚よごれ苦労くろうしていた。あるとき平井ひらいはござを準備じゅんびして列車れっしゃに乗のり、夜よるになるとござを広ひろげてその上うえで寝ね始はじめた。それを見みた巨人きょじんの選手せんしゅは、次つぎの遠征えんせいからみなバットケースにござを巻まいて遠征えんせいに行いくようになったという。平井ひらいはござの上じょうにユニフォームを広ひろげて蒲団ふとん代かわりに使つかうこともやっていた。
• 日米にちべい野球やきゅうで本塁打ほんるいだを放はなった日ひの晩ばんは銀座ぎんざへは呑のみに行いかず、新宿しんじゅく西口にしぐちの「ほしの」でとんかつを食たべていた。
• 当時とうじ、遠征えんせいに行いくと選手せんしゅたちはよく麻雀まーじゃんを楽たのしんでいたが、平井ひらいは麻雀まーじゃんが全まったくできないのに、みなが麻雀まーじゃんをする様子ようすを最後さいごまでずっと見みていた。また、食事しょくじの際さいは、チームメイトが揃そろって食事しょくじをしているのを尻目しりめに、自分じぶんのお膳ぜんを持もって台所だいどころへ行いってしまい、旅館りょかんの人ひとと話はなしをしながら食たべていたという。

詳細しょうさい情報じょうほう

年度ねんど別べつ打撃だげき成績せいせき

年とし 度ど	球たま 団だん	試ためし 合ごう	打だ 席せき	打だ 数かず	得とく 点てん	安やす 打だ	二に 塁るい 打だ	三さん 塁るい 打だ	本ほん 塁るい 打だ	塁るい 打だ	打だ 点てん	盗ぬすめ 塁るい	盗ぬすめ 塁るい 死し	犠 打だ	犠 飛ひ	四よん 球たま	敬けい 遠とお	死し 球たま	三さん 振ふ	併 殺ころせ 打だ	打だ 率りつ	出で 塁るい 率りつ	長なが 打だ 率りつ	O P S
1948	阪急はんきゅう	123	487	458	51	128	24	9	2	176	43	26	7	0	--	26	--	1	16	--	.279	.320	.384	.704
1949		120	528	476	69	132	18	11	6	190	43	18	19	3	--	46	--	3	26	--	.277	.345	.399	.744
1950	西日本にしにほん	103	476	437	76	135	15	3	13	195	56	28	9	2	--	37	--	0	27	8	.309	.363	.446	.809
1951	巨人きょじん	112	511	471	80	132	20	7	7	187	63	27	10	8	--	31	--	1	28	10	.280	.326	.397	.723
1952		120	489	427	63	118	19	6	4	161	52	21	7	15	--	44	--	3	26	4	.276	.348	.377	.725
1953		120	533	471	97	137	23	4	11	201	65	21	12	5	--	55	--	2	27	9	.291	.367	.427	.794
1954		79	226	206	21	52	9	4	0	69	21	8	1	3	1	15	--	1	20	4	.252	.306	.335	.641
1955		111	410	353	47	99	17	0	5	131	32	14	10	24	3	27	0	2	35	3	.280	.335	.371	.706
1956		93	278	232	30	51	8	2	3	72	29	5	5	18	1	26	0	1	20	6	.220	.301	.310	.612
1957		28	41	35	5	4	0	1	0	6	4	0	0	3	0	3	0	0	7	1	.114	.184	.171	.356
通算つうさん：10年ねん		1009	3979	3566	539	988	153	47	51	1388	408	168	80	81	5	310	0	14	232	45	.277	.337	.389	.727

• 各かく年度ねんどの太字ふとじはリーグ最高さいこう

表彰ひょうしょう

• ベストナイン：3回かい （遊撃手ゆうげきしゅ部門ぶもん：1951年ねん - 1953年ねん）
• オールスターゲームMVP：1回かい （1953年ねん 第だい2戦せん）

記録きろく

節目ふしめの記録きろく

• 1000試合しあい出場しゅつじょう：1957年ねん8月がつ13日にち ※史上しじょう41人にん目め

その他たの記録きろく

• オールスターゲーム出場しゅつじょう：3回かい （1951年ねん - 1953年ねん）

背番号せばんごう

• 8 （1948年ねん - 1957年ねん）
• 11 （1959年ねん）
• 1 （1960年ねん - 1961年ねん）
• 67 （1963年ねん - 1964年ねん）

登録とうろく名めい

• 平井ひらい 正明まさあき （ひらい まさあき、1948年ねん - 1952年ねん）
• 平井ひらい 三郎さぶろう （ひらい さぶろう、1953年ねん - 1964年ねん）

参考さんこう文献ぶんけん

• 『巨人軍きょじんぐん5000勝しょうの記憶きおく』 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ、ベースボールマガジン社しゃ、2007年ねん。ISBN 9784583100296。 p.22〜日本にっぽんプロ野球やきゅう初はつの完全かんぜん試合しあいを喫きっした西日本にしにほんの1番ばん打者だしゃとして出場しゅつじょう、p.36 3年ねん連続れんぞくベストナイン、広岡ひろおかのポジション定着ていちゃく
• 『日本にっぽんプロ野球やきゅう 歴代れきだい名めい選手せんしゅ名鑑めいかん』恒文社こうぶんしゃ、1976年ねん
• 『日本にっぽんプロ野球やきゅうトレード大鑑たいかん』ベースボールマガジン社しゃ、2001年ねん
• 坂本さかもと邦夫くにお『プロ野球やきゅうデータ事典じてん』PHP研究所けんきゅうじょ、2001年ねん
• 『報知ほうちグラフ 別冊べっさつ 巨人軍きょじんぐん栄光えいこうの40年ねん』報知新聞社ほうちしんぶんしゃ、1974年ねん
• 千葉ちば茂しげる『巨人軍きょじんぐんの男おとこたち』東京とうきょうスポーツ新聞しんぶん社しゃ、1984年ねん
• 千葉ちば茂しげる『猛もう牛うし一いち代だい』恒文社こうぶんしゃ、1977年ねん
• 別所べっしょ毅彦たけひこ『剛球ごうきゅう唸うなる！ - 栄光えいこうと熱ねつ投とうの球たま譜ふ （野球やきゅう殿堂でんどうシリーズ）』ベべースボすぼール・マガジン社るまがじんしゃ、1989年ねん

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