惑星わくせい

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惑星わくせいわくせいまれ: πλανήτης[注釈ちゅうしゃく 1]: planētaえい: planet)とは、恒星こうせいまわりをまわ天体てんたいのうち、比較的ひかくてきひく質量しつりょうのものをいう。正確せいかくには、褐色かっしょく矮星理論りろんてき下限かげん質量しつりょう木星もくせい質量しつりょうじゅうすうばい程度ていど)よりも質量しつりょうひくいものをす。ただし太陽たいようまわりをまわ天体てんたいについては、これにくわえて後述こうじゅつ定義ていぎたすものが惑星わくせいである。英語えいごplanetプラネット」の語源ごげんギリシアの『プラネテス』(「さまようしゃ」「放浪ほうろうしゃ」などの)。

宇宙うちゅうのスケールかられば惑星わくせい全体ぜんたい影響えいきょうあたえることはほとんどく、宇宙うちゅう形成けいせいろんからすれば考慮こうりょ必要ひつようはほとんどい。だが、天体てんたいなかでは非常ひじょう多種たしゅ多様たよう複雑ふくざつなものである。そのため、天文学てんもんがくだけでなく地質ちしつがく化学かがく生物せいぶつがくなどの学問がくもん分野ぶんやでは重要じゅうよう対象たいしょうとなっている[1]

惑星わくせい定義ていぎ[編集へんしゅう]

惑星わくせい上限じょうげん[編集へんしゅう]

便宜べんぎてき木星もくせい質量しつりょうの13ばい以下いか惑星わくせい、13-75ばい程度ていどのものを褐色かっしょく矮星、75ばい以上いじょうのものを恒星こうせいとする見方みかたがある。実際じっさい理論りろんてき上限じょうげん質量しつりょう木星もくせい質量しつりょうの80ばい程度ていどである。ただし、こうした質量しつりょうのみを定義ていぎすることには議論ぎろんがある。

恒星こうせいまわりの惑星わくせい観測かんそくてき検出けんしゅつしようとする場合ばあいには、褐色かっしょく矮星の上限じょうげん質量しつりょう以下いか見出みいだされる天体てんたいのうち、褐色かっしょく矮星候補こうほ惑星わくせい候補こうほとを見分みわける必要ひつようしょうじる。そこで、両者りょうしゃ区別くべつするために、進化しんか途上とじょう重水素じゅうすいそねつかく融合ゆうごうこす可能かのうせいのある質量しつりょうたっしていない天体てんたい、すなわち「褐色かっしょく矮星の理論りろんてき下限かげん質量しつりょうにその質量しつりょうたっしていない天体てんたい」を惑星わくせい定義ていぎしてはどうかという提案ていあんが2001ねん国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう (IAU) のワーキンググループからされた。この提案ていあん恒星こうせい進化しんかろんもとづいた立場たちばからのものといえ、現在げんざいいたるまで、暫定ざんてい定義ていぎとして便宜べんぎてきもちいられる場合ばあいがしばしばある。

観測かんそくてきには、4000える太陽系たいようけいがい惑星わくせい発見はっけんされている。恒星こうせい観測かんそくしてみるまでは褐色かっしょく矮星と惑星わくせいのいずれが存在そんざいするのか、あるいは存在そんざいしないのかは不明ふめいであるから、惑星わくせい存在そんざいする恒星こうせい選択せんたくてき観測かんそくすることはできない。したがって、とく観測かんそくかたよることなく、惑星わくせいとされる天体てんたいほかに、褐色かっしょく矮星と推定すいていされる天体てんたい発見はっけんされている。しかし、質量しつりょうごとの天体てんたいすう統計とうけいてきると、木星もくせい質量しつりょうの20ばいをややえる程度ていどからすうじゅうばいまでの質量しつりょう範囲はんいにはごく少数しょうすう天体てんたいがあるだけで、かず分布ぶんぷが2つのグループにけられることが見出みいだされている。これを惑星わくせい形成けいせいろん立場たちばからると、褐色かっしょく矮星が分子ぶんしくもから直接ちょくせつ形成けいせいされるのにたいして、惑星わくせい原始げんし惑星わくせいけい円盤えんばん固体こたい成分せいぶんかくとして形成けいせいされることを反映はんえいしたものであるとする見方みかたになる。このような惑星わくせい形成けいせいろんてき立場たちばからは、重水素じゅうすいそねつかく融合ゆうごう可能かのうせい有無うむではなく、観測かんそくてき上限じょうげん質量しつりょう木星もくせい質量しつりょうの20ばいをややえる程度ていど)を惑星わくせい質量しつりょう上限じょうげんとする見解けんかいている。

21世紀せいき初頭しょとうでは褐色かっしょく矮星の形成けいせい過程かてい理論りろんてき見直みなおされつつあり、質量しつりょうあるいは質量しつりょう分布ぶんぷのみから褐色かっしょく矮星と惑星わくせい定義ていぎするのではなく、要素ようそをも考慮こうりょしようとする研究けんきゅう傾向けいこうられる。いちれいとしては、サイズと組成そせい加味かみして区分くぶんすべきであるという見通みとおしをしめ研究けんきゅうグループがある。また、褐色かっしょく矮星の理論りろんてき下限かげん質量しつりょうえる質量しつりょう天体てんたい恒星こうせいまわりをまわっている場合ばあいでも、その恒星こうせいめぐ天体てんたいがさらに存在そんざいする場合ばあいには、れんぼしけいとするか惑星わくせいけいとするかの定義ていぎがなく、褐色かっしょく矮星と惑星わくせい区分くぶん境界きょうかいがぼやけてくる。

以上いじょうのように、低質ていしつりょう褐色かっしょく矮星だい質量しつりょう惑星わくせいとの区分くぶん意図いとした定義ていぎは、複数ふくすう混在こんざいしている状況じょうきょうにあり、今後こんごあらたな定義ていぎ合意ごういされる可能かのうせいもある。ほんこうでは、多少たしょう曖昧あいまいさをのこして「木星もくせい質量しつりょうじゅうすうばい程度ていどよりも低質ていしつりょう」という定義ていぎしめしたが、ほんこうふくめ、各種かくしゅ文献ぶんけん議論ぎろんせっするさいには、どのような定義ていぎ前提ぜんていとしているかに注意ちゅういする必要ひつようがある

太陽系たいようけい惑星わくせい定義ていぎ[編集へんしゅう]

太陽系たいようけい場合ばあい太陽たいよう木星もくせいとのあいだのギャップは明瞭めいりょうであり、上限じょうげん問題もんだいとなることはない。しかしぎゃくに、多数たすうしょう天体てんたい発見はっけんされているため、下限かげん議論ぎろん中心ちゅうしんとなる。

近代きんだい以前いぜん惑星わくせいとしては、肉眼にくがん天球てんきゅうじょううごよう観察かんさつできる7つの天体てんたい太陽たいようつき水星すいせい金星かなぼし火星かせい木星もくせい土星どせいかぞえられた。これは地球ちきゅう惑星わくせいではなく、宇宙うちゅう中心ちゅうしん、または土台どだいであるとかんがえられていたためである。

近代きんだいはいり、地球ちきゅう太陽たいようめぐ惑星わくせいひとつであると認識にんしきされ、太陽たいようつき惑星わくせいではないと認識にんしきされるようになった。また天体てんたい力学りきがく進展しんてん観測かんそく技術ぎじゅつ発達はったつにより、1781ねん天王星てんのうせい1846ねん海王星かいおうせい発見はっけんされた。また、1801ねん発見はっけんされたケレス翌年よくねん発見はっけんされたパラスなども当初とうしょ惑星わくせいとしてあつかわれていたが、火星かせい木星もくせいあいだ同様どうようしょう天体てんたい次々つぎつぎ発見はっけんされ、1850ねんだいには惑星わくせいかずが20えたことから、それらをまとめて小惑星しょうわくせいび、惑星わくせいとは区別くべつしてあつかうようになった。そして1930ねんには冥王星めいおうせい発見はっけんされ、だい9ばん惑星わくせいとされた。

このあいだ惑星わくせいぶべき天体てんたい慣習かんしゅうてきさだめられてきた。しかし1990年代ねんだい以降いこうカイパーベルト発見はっけんされ[2]海王星かいおうせい以遠いえん冥王星めいおうせい海王星かいおうせいあいだられるものと類似るいじ共鳴きょうめい関係かんけいをもつ軌道きどうめぐ天体てんたいや、質量しつりょう冥王星めいおうせい比較ひかく天体てんたい桁違けたちがいに質量しつりょうことなることがない天体てんたい)が相次あいついでつかり、これらも惑星わくせいぶべきかかについて論争ろんそうこった。さらにけいがい惑星わくせい恒星こうせい惑星わくせいなかあいだてき褐色かっしょく矮星、また惑星わくせいさま天体てんたい恒星こうせいあいだ単独たんどく存在そんざいするれい放浪ほうろう惑星わくせい)も発見はっけんされた[2]。そして2005ねん冥王星めいおうせいよりもおおきな (136199) エリスかり符号ふごう2003 UB313)の発見はっけん[2]契機けいきとして、惑星わくせいとはなにかを定義ていぎする機運きうんたかまった。

2006ねんIAU総会そうかい[編集へんしゅう]

2006ねん8がつ14にちから25にちまでプラハおこなわれていただい26かい国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう総会そうかいにて、Planet Definition Committee惑星わくせい定義ていぎ委員いいんかい)による惑星わくせい定義ていぎあん公表こうひょうされた[2]

惑星わくせい概念がいねん拡張かくちょうするあん(いわゆる12惑星わくせいあん[編集へんしゅう]
当初とうしょ定義ていぎあん可決かけつされていれば惑星わくせいは12になっていた。

最初さいしょに、アメリカのサウスウエスト研究所けんきゅうじょのアラン・スターンとハロルド・レビソンからされたあん[2]では、惑星わくせいとは以下いかの2条件じょうけん同時どうじたす天体てんたいとした。

  • 自己じこ重力じゅうりょく分子ぶんしあいだりょく上回うわまわって静水せいすいあつ平衡へいこう形状けいじょう(ほぼ球形きゅうけい)をとるのに十分じゅうぶん質量しつりょうがあり、
  • 恒星こうせいまわりをめぐ軌道きどうにあって、かつ恒星こうせいでも衛星えいせいでもない

ここで、共通きょうつう重心じゅうしん天体てんたい内部ないぶにないものは、これを衛星えいせいとはなさず、多重たじゅう惑星わくせいとしてその双方そうほう惑星わくせいみとめるとの注記ちゅうきえられていた。

この定義ていぎもとづけば、上記じょうき冥王星めいおうせいふくむ9つの惑星わくせい以外いがいに、すくなくともケレスカロン冥王星めいおうせいとのじゅう惑星わくせい)、2003 UB313エリス命名めいめいされたのは総会そうかい翌月よくげつである)の3つが惑星わくせいとなる。およそ直径ちょっけい800 km以上いじょうであれば質量しつりょう条件じょうけんたすことができるとかんがえられる。このうち、水星すいせいから海王星かいおうせいまでの8classic planetクラシック・プラネット としてそれ以後いご発見はっけんされた惑星わくせいとは区別くべつし、ケレスをふくむそれ以外いがいplanetdwarf planetドワフ・プラネット冥王星めいおうせいふく太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい惑星わくせい条件じょうけんたすものは plutonプルートンしょうする。

今後こんご観測かんそくによって惑星わくせい条件じょうけんたす可能かのうせいのある小惑星しょうわくせい多数たすうあるとされており、以下いかの12げられていた。

しかしこの定義ていぎあんには反対はんたい意見いけんおおかった。まず、球形きゅうけいとはどこまでの扁平へんぺいやずれを許容きょようするか線引せんひきの曖昧あいまいさが指摘してきされた[2]。また今後こんご発見はっけんされる可能かのうせいのある大型おおがた小惑星しょうわくせい海王星かいおうせい以遠いえん天体てんたい惑星わくせい分類ぶんるいすると、惑星わくせい際限さいげんなくえる可能かのうせいがあるという指摘してきがなされた。また、冥王星めいおうせいえて惑星わくせいとするための基準きじゅんであり、政治せいじてき意図いとふくまれているとの批判ひはんもあったが、委員いいんかいはこれを公式こうしき否定ひていしている。

惑星わくせい概念がいねんせま限定げんていするあん(いわゆる8惑星わくせいあん[編集へんしゅう]
可決かけつされた定義ていぎ惑星わくせいは8になった。

批判ひはんけて複数ふくすう修正しゅうせいあんしめされた。結果けっかだい3の条件じょうけんとしてスターンとレビソンが追加ついかした[2]以下いかくわえられた。

さらに、だい2の条件じょうけんも「恒星こうせい周囲しゅうい」が「太陽たいよう周囲しゅうい」と変更へんこうされ、ここで定義ていぎするものは太陽系たいようけい天体てんたい限定げんていすることが明示めいじされた。

この条件じょうけんにおいて、地球ちきゅうつき巨大きょだい惑星わくせいしたがえる衛星えいせいぐん、また木星もくせいトロヤぐんなど安定あんてい共鳴きょうめい軌道きどうにある天体てんたいは、惑星わくせい重力じゅうりょく影響えいきょう固定こていてき軌道きどうっている。「排除はいじょ」の意味いみは、天体てんたい軌道きどうえてはじきばしたり、引力いんりょく吸収きゅうしゅうしたり、または軌道きどう支配しはいしたりする状態じょうたいい、衛星えいせいなどは「天体てんたい」にふくまれない[2]

討議とうぎ結果けっか上記じょうきの3つの条件じょうけんたすものを惑星わくせいとする決議けつぎあんが2006ねん8がつ24にち13:30 (UT) に賛成さんせい多数たすう採択さいたくされ、その定義ていぎもとで、当初とうしょあんclassic planet定義ていぎされていた8惑星わくせいとされた。惑星わくせいが8であるのは、定義ていぎをこの時点じてん理解りかいされていた太陽系たいようけいの描像にてはめた結果けっかぎず、8のみを惑星わくせい定義ていぎしているわけではないことには注意ちゅういすべきである。ただし、軌道きどう領域りょういきめる天体てんたい質量しつりょうると、8惑星わくせいは5000以上いじょうつまり軌道きどう領域りょういきじょうにあるほか物質ぶっしつ質量しつりょうは1/5000以下いかなのにたいし、冥王星めいおうせい・ケレス・エリスは1以下いかつまりどうりょう以上いじょう物質ぶっしつ軌道きどう領域りょういき存在そんざいしており、あきらかにこの定義ていぎからはずれる[2]。 また、この決議けつぎあん太陽系たいようけい限定げんていされており、太陽系たいようけいがい天体てんたい種別しゅべつについては、それを惑星わくせいぶことを制限せいげんするものではない。

なお、学術がくじゅつ用語ようごについて学会がっかいなどが「定義ていぎ」を明言めいげんすることはきわめて異例いれいで、通常つうじょう関連かんれん研究けんきゅうしゃ内部ないぶ随時ずいじ提唱ていしょうされたものが自然しぜん淘汰とうたてきまる。これは、一般いっぱん言語げんごにおいて、単語たんご意味いみ明示めいじてき定義ていぎすることがないのと同様どうようである(辞書じしょなどで、使つかわれる単語たんご意味いみ解説かいせつすることはあるが、それは単語たんご意味いみ定義ていぎすることとはべつである)。

また国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう公式こうしき用語ようごには、それを各国かっこくでどのように使用しようしどのようにやくすかについて、強制きょうせいりょくはない。

太陽系たいようけい惑星わくせい[編集へんしゅう]

太陽系たいようけい惑星わくせいは、「太陽系たいようけい惑星わくせい定義ていぎ」にもとづき、水星すいせい金星かなぼし地球ちきゅう火星かせい木星もくせい土星どせい天王星てんのうせい海王星かいおうせいの8天体てんたいとされる。

これら共通きょうつう特徴とくちょうは、ほぼ同一どういつ軌道きどうめんにあることかく軌道きどうはほぼせいえんであること外側そとがわくほど惑星わくせい軌道きどう間隔かんかくひろくなることである[3]惑星わくせい質量しつりょうをすべてあつめても太陽たいようの1/1000程度ていどぎない。しかし、軌道きどうかく運動うんどうりょう太陽たいよう自転じてんにおけるかく運動うんどうりょうやく200ばいしめ[3]

惑星わくせい条件じょうけんのうち、採択さいたくされた決議けつぎあん追加ついかされた、天体てんたいとの関係かんけいかんするだい3項目こうもくたさない天体てんたいdwarf planetじゅん惑星わくせい日本語にほんご表記ひょうきについての詳細しょうさい後述こうじゅつ)とぶ。なお、じゅん惑星わくせい小惑星しょうわくせい呼称こしょうに「惑星わくせい」がはいっているが、惑星わくせいではない。

2016ねん1がつ21にち、「太陽系たいようけいの9番目ばんめ惑星わくせい存在そんざいしめ証拠しょうこ発見はっけんされた」とほうじられた[注釈ちゅうしゃく 2]プラネット・ナイン)。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

太陽系たいようけい惑星わくせい分類ぶんるい
地球ちきゅうがた惑星わくせい
岩石がんせき惑星わくせい固体こたい惑星わくせい
水星すいせい うち惑星わくせい
金星かなぼし
地球ちきゅう -
火星かせい そと惑星わくせい
広義こうぎ
木星もくせいがた惑星わくせい
だい惑星わくせい
木星もくせいがた惑星わくせい
巨大きょだいガス惑星わくせい
木星もくせい
土星どせい
天王星てんのうせいがた惑星わくせい
巨大きょだいごおり惑星わくせい
天王星てんのうせい
海王星かいおうせい

うち惑星わくせいそと惑星わくせい[編集へんしゅう]

太陽系たいようけい惑星わくせいのうち、地球ちきゅうよりも内側うちがわにある水星すいせい金星きんぼしうち惑星わくせい地球ちきゅうよりも外側そとがわにある火星かせい木星もくせい土星どせい天王星てんのうせい海王星かいおうせいそと惑星わくせいぶ。このため地球ちきゅううち惑星わくせいそと惑星わくせいのいずれにも分類ぶんるいされない。

惑星わくせい地球ちきゅうはさんで太陽たいよう反対はんたい方向ほうこうにある状態じょうたい太陽たいようおな方向ほうこうにある状態じょうたいごうう。うち惑星わくせいには衝はなく、またごう位置いちも、太陽たいよう手前てまえにあるうちごう太陽たいようこうがわにあるそとあいふたつの場合ばあいがある。

惑星わくせい通常つうじょう天球てんきゅう西にしからひがし移動いどうするようにえる。この状態じょうたい順行じゅんこうぶ。ぎゃくひがしから西にし移動いどうするようにえる状態じょうたい逆行ぎゃっこうぶ。そと惑星わくせい場合ばあい地球ちきゅうからて衝の位置いちにあるとき地球ちきゅうがその惑星わくせいすため、衝の時期じき逆行ぎゃっこうする。うち惑星わくせい場合ばあいにはうちごう位置いちにあるとき地球ちきゅうがその惑星わくせいされるため、うちごう時期じき逆行ぎゃっこうする。惑星わくせい順行じゅんこうから逆行ぎゃっこう、または逆行ぎゃっこうから順行じゅんこうわるときにはしばらくのあいだ天球てんきゅうじょううごかなくなるようにえる。この状態じょうたいとめう。

地球ちきゅうがた惑星わくせい木星もくせいがた惑星わくせい[編集へんしゅう]

水星すいせい金星かなぼし地球ちきゅう火星かせい比較的ひかくてきちいさく、岩石がんせき金属きんぞく主成分しゅせいぶんとしているという共通きょうつうてんがあるため、「地球ちきゅうがた惑星わくせい」とばれる[3]

それにたいして木星もくせい土星どせい天王星てんのうせい海王星かいおうせいは、比較的ひかくてきおおきく、地球ちきゅう質量しつりょうえる大気たいきつという共通きょうつうてんがある。このうち、木星もくせい土星どせいはその組成そせい太陽系たいようけい形成けいせい星雲せいうんガスにちかく、木星もくせいがた惑星わくせいばれる。巨大きょだいガス惑星わくせいばれることもある[3]天王星てんのうせい海王星かいおうせいは、みずこおりのマントルをっており、天王星てんのうせいがた惑星わくせいばれる。その組成そせい物質ぶっしつ存在そんざい形態けいたいから巨大きょだいごおり惑星わくせいまたは巨大きょだい固体こたい惑星わくせい[3]場合ばあいもしばしばある。

なお、かつて太陽系たいようけい惑星わくせいの1つとされていた冥王星めいおうせいは、みずメタンこおり主成分しゅせいぶんで、どちらにも分類ぶんるいされていなかった。

惑星わくせい以外いがい天体てんたい[編集へんしゅう]

太陽系たいようけい天体てんたい分類ぶんるい
恒星こうせい太陽たいよう
太陽たいよう
まわりを
まわ
天体てんたい
惑星わくせい 地球ちきゅうがた惑星わくせい
木星もくせいがた惑星わくせい
天王星てんのうせいがた惑星わくせい
じゅん惑星わくせい
小惑星しょうわくせいたいにあるもの
ケレスのみ)
冥王星めいおうせいがた天体てんたい
太陽系たいようけい
しょう天体てんたい
冥王星めいおうせいがた天体てんたい以外いがい
太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい
小惑星しょうわくせい
彗星すいせい
惑星わくせいあいだちり
太陽たいよう以外いがい
天体てんたいまわりを
まわ天体てんたい
衛星えいせい未定義みていぎ
■Portal ■Project ■Template

冥王星めいおうせいは2006ねんまでは惑星わくせいとされていたが、20世紀せいきまつ以降いこう研究けんきゅう進捗しんちょく結果けっか、その性質せいしつ成因せいいん惑星わくせいとはことなるとの認識にんしきふかまったため、これとはことなる種類しゅるい天体てんたいである dwarf planet としてさい分類ぶんるいされることとなった。

海王星かいおうせい以遠いえんにはほかにも直径ちょっけい1,000 kmをえるような大型おおがた天体てんたい発見はっけんされており、なんも「だい10ばん惑星わくせい発見はっけんか?」と報道ほうどうされた。太陽たいようからの距離きょり冥王星めいおうせいの2ばいから20ばいというちょう楕円だえん軌道きどう公転こうてんするセドナ直径ちょっけい1,700 km)をはじめ、オルクス直径ちょっけい1,600km)、クワオアー直径ちょっけい1,200 km)、エリス直径ちょっけい2,700 - 3,000 km)などはすべて冥王星めいおうせいなみまたはそれ以上いじょう太陽たいようからはなれた軌道きどうつが、2006ねん8がつしめされた国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうだい26かい総会そうかい決議けつぎ5Aによって、これらのうち最大さいだいの2003 UB313(エリス)についても惑星わくせいではないとする公式こうしき見解けんかいしめされた。これらの軌道きどうちょう半径はんけいが30 AUえーゆー以上いじょう公転こうてん周期しゅうきが166ねん以上いじょうおよ天体てんたいは、太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい(TNO)[注釈ちゅうしゃく 3]総称そうしょうされる。

太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいかつ dwarf planet である天体てんたいについては、2008ねん6がつ11にちのIAU執行しっこう委員いいんかいにおいて plutoidしょうすることが決定けっていされた。

これらにくわえ、火星かせい軌道きどう木星もくせい軌道きどうあいだ小惑星しょうわくせいたいなどで発見はっけんされた多数たすう小惑星しょうわくせい[注釈ちゅうしゃく 4]、ガスやちりからなるコマを彗星すいせいなどがある。惑星わくせいdwarf planet 以外いがい太陽たいようまわりをまわちいさな天体てんたいは SSSBs[注釈ちゅうしゃく 5]総称そうしょうされる。現在げんざいは、彗星すいせい以外いがい小惑星しょうわくせいえい: asteroid)と太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいなどを minor planet訳語やくごおなじく小惑星しょうわくせい)と分類ぶんるいしているが、変更へんこう示唆しさされている。なお、惑星わくせいなどのまわりをまわるものは衛星えいせいばれる。

日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎ対外たいがい報告ほうこく[編集へんしゅう]

日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎは、2006ねん国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう総会そうかい決議けつぎされた惑星わくせいやその天体てんたい定義ていぎなどについて、近年きんねんあきらかになった太陽系たいようけいあたらしい姿すがた惑星わくせい形成けいせいかんする理論りろんもとづいて「太陽系たいようけい天体てんたい名称めいしょうとうかんする検討けんとうしょう委員いいんかい」で審議しんぎし、2007ねん3月21にちまでにりまとめられた最終さいしゅうあんもとに、同年どうねん4がつ9にちだい35かい幹事かんじかいあたらしい概念がいねん日本語にほんごやくやそのあつかいにかんする対外たいがい報告ほうこくだいいち報告ほうこくを、同年どうねん6月21にちだい39かい幹事かんじかいあたらしい太陽系たいようけい全体ぜんたいぞう学校がっこう教育きょういくにおけるそれらのあつかかたかんする対外たいがい報告ほうこくだい報告ほうこく了承りょうしょうした。太陽系たいようけい天体てんたい分類ぶんるいについての国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうへの要望ようぼうかんするだいさん報告ほうこく作成さくせいされたが、ぜん2しゃとは性格せいかくことなるものであるため対外たいがい報告ほうこくあつかいとはなっていない[5]

だいいち報告ほうこくでは以下いか提言ていげんがなされた。

  1. dwarf planet について
    dwarf planet はその概念がいねんにあいまいな部分ぶぶんがあり、また別々べつべつのプロセスによって形成けいせいされたとおもわれる天体てんたい小惑星しょうわくせいたいのケレスとTNOの冥王星めいおうせいやエリス)をおなじカテゴリーにふくめることは、それらを理解りかいするじょう混乱こんらんまね可能かのうせいがあると指摘してきされている。
    よって国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうさらなる検討けんとうもとめるとともに、学校がっこう教育きょういく一般いっぱん社会しゃかいでは積極せっきょくてき使用しよう推奨すいしょうしない。
    dwarf planet基準きじゅんに、直接ちょくせつ観測かんそくによって比較的ひかくてき容易ようい判定はんてい可能かのう直径ちょっけいくわえるあん検討けんとうしている(たとえば直径ちょっけい1,000km以上いじょうとするなど)。
    そのうえで、dwarf planet日本語にほんご名称めいしょう社会しゃかいてき要請ようせいされる場合ばあいじゅん惑星わくせい」の使用しよう推奨すいしょうするかりわけとして一時いちじもちいられた「矮惑ぼし」は推奨すいしょうしない
  2. 太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいについて
    海王星かいおうせい外側そとがわには無数むすうしょう天体てんたいめぐっており、冥王星めいおうせいはそのひとつであったという発見はっけんおおきな進歩しんぽであり、適切てきせつ名称めいしょうによってそれを明確めいかくにする必要ひつようがある。
    これらの天体てんたいは、従来じゅうらいエッジワース・カイパーベルト天体てんたい」「カイパーベルト天体てんたい」「TNO」などとばれ、統一とういつした呼称こしょうはなかった。
    そこで、これらの天体てんたいおよ天体てんたいぐん名称めいしょう太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい」を推奨すいしょうする。なお場合ばあいによっては「太陽系たいようけい」を省略しょうりゃくしてもよい
    オールトくも発見はっけんのため、明確めいかく太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいふくまれるわけではない。しかし観測かんそくすすむにつれて「外縁がいえん天体てんたい」の領域りょういきひろがると予測よそくされるため、概念がいねんとしては「外縁がいえん天体てんたい」の延長えんちょうなされるようになるだろう。
  3. small solar system bodies について
    dwarf planet概念がいねんにあいまいさがのこっているため、small solar system bodies概念がいねんにも曖昧あいまいてんがある。また現在げんざい使つかわれている「小惑星しょうわくせい」「彗星すいせい」などの用語ようごとの関係かんけいについても将来しょうらい整理せいりされることを前提ぜんていに、当面とうめん使用しようする和名わみょう必要ひつようである。
    それらを念頭ねんとうにおいたうえで、small solar system bodies日本語にほんご名称めいしょう太陽系たいようけいしょう天体てんたい」を推奨すいしょうする
  4. 冥王星めいおうせい代表だいひょうするTNO(=太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいないあたらしいサブグループの名称めいしょうあつかいについて
    IAUだい26かい総会そうかい決議けつぎ6Aで設定せっていされたあたらしいサブグループの名称めいしょうとして、決議けつぎ6Bで提案ていあんされた plutonian objects否決ひけつされたため、国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうではさら検討けんとうつづけ、2007ねん6がつあらたな名称めいしょうについて決定けっていする方針ほうしんである。
    現在げんざいまでに1,000以上いじょう太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい発見はっけんされ、また直径ちょっけい1,000km以上いじょう天体てんたい多数たすうふくまれていることは、太陽系たいようけいについて理解りかいするためにおおきな意義いぎつ。
    上記じょうき視点してんかんがみて、あたらしいサブグループの日本語にほんご名称めいしょう冥王星めいおうせいがた天体てんたい」を推奨すいしょう、また適切てきせつ英語えいごめい国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう提案ていあんする。

太陽系たいようけいがい惑星わくせい[編集へんしゅう]

けいがい惑星わくせいHD 209458 b想像そうぞう
太陽たいようじゅん褐色かっしょく矮星Cha 110913-773444木星もくせい質量しつりょうの8ばい)、木星もくせい比較ひかく
地球ちきゅう比較ひかくしたグリーゼ581c岩石がんせきがた惑星わくせいであるとかんがえられている。

1990年代ねんだい以降いこう観測かんそく技術ぎじゅつ発達はったつにより、太陽系たいようけい以外いがい天体てんたいでも惑星わくせいゆうしている恒星こうせい発見はっけんされつつある。これらを太陽系たいようけいがい惑星わくせい、あるいはけいがい惑星わくせいぶ。

21世紀せいき初頭しょとうまでに発見はっけんされたけいがい惑星わくせいはすでに300をえているが、それらはほとんどすべ間接かんせつてき証拠しょうこによるものであり、ホットジュピターエキセントリック・プラネットのような、太陽系たいようけいしょ惑星わくせいとはおおきくことなる軌道きどうけいがい惑星わくせいほど発見はっけんされやすかった。しかし継続けいぞくてき観測かんそくによるデータの蓄積ちくせき画像がぞう解析かいせき技術ぎじゅつ改良かいりょうすすんだ結果けっか木星もくせい土星どせいのような軌道きどうけいがい惑星わくせい発見はっけんされはじめた。また、2008ねんにはフォーマルハウトbがかβべーたほしbなどを皮切かわきりにけいがい惑星わくせい姿すがた画像がぞう直接ちょくせつ確認かくにんできるようになっている(けいがい惑星わくせい表面ひょうめん模様もようえがかれている画像がぞうについては、すべ想像そうぞうである)。

けいがい惑星わくせいには木星もくせいよりずっとおもいものもつかっているので、ばんほしとの区別くべつ問題もんだいになる。国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうけいがい惑星わくせいワーキンググループは、つぎ条件じょうけんたす天体てんたい暫定ざんていてき惑星わくせい定義ていぎしている[6]

上限じょうげん質量しつりょう組成そせいなどによってわるが、太陽たいようおな組成そせい仮定かていすると木星もくせいの13ばいとなるので、この数字すうじ一律いちりつ使つかわれることがおおい(なお、ねつかく融合ゆうごう永続えいぞくしないので、現在げんざいねつかく融合ゆうごうこしていないからといって惑星わくせいとはかぎらない)。

ねつかく融合ゆうごうこす質量しつりょうたっしている、つまり、ねつかく融合ゆうごうきているか過去かここった天体てんたい褐色かっしょく矮星ぶ。ほしまたはほし残骸ざんがいまわりをまわっていない天体てんたいは、従来じゅうらい浮遊ふゆう惑星わくせいなどとぶこともあったが、sub-brown dwarf(じゅん褐色かっしょく矮星褐色かっしょく矮星などとやくす)とぶよう、ワーキンググループはさだめている。

なお、惑星わくせい科学かがくしゃおおくは、惑星わくせい褐色かっしょく矮星のちがいはその形成けいせい過程かていにあり、惑星わくせい原始げんしぼし原始げんし惑星わくせいけい円盤えんばんない形成けいせいされ、褐色かっしょく矮星は分子ぶんしくもそのものから直接ちょくせつ形成けいせいされたとかんがえている。惑星わくせい形成けいせいには固体こたいかく木星もくせい質量しつりょうえる惑星わくせいができる場合ばあいには、かく地球ちきゅう質量しつりょうの10ばい程度ていど)がまずつくられ、これに周囲しゅういのガスが(大気たいきではなく)惑星わくせい材料ざいりょうとして付加ふかされるとかんがえられている。このような過程かてい形成けいせいされた天体てんたい重水素じゅうすいそねつかく融合ゆうごうこすほどの質量しつりょうたっする場合ばあいまれ存在そんざいし、形成けいせい過程かていもとづいて分類ぶんるいすれば、惑星わくせい褐色かっしょく矮星の質量しつりょう分布ぶんぷ一部いちぶかさなる可能かのうせいがある[7]木星もくせい質量しつりょうすうじゅうばい以下いか褐色かっしょく矮星が恒星こうせいまわりをまわっていて惑星わくせい区別くべつできないような状況じょうきょうまれではあるが、それでも一定いってい割合わりあい発見はっけんされるので、そのときはワーキンググループの定義ていぎ援用えんようされる。

惑星わくせい遊星ゆうせいという呼称こしょう由来ゆらい[編集へんしゅう]

漢字かんじの「惑星わくせい」という呼称こしょうは、長崎ながさきオランダ通詞つうじ本木もとぎりょうひさし1792ねん寛政かんせい4ねん)、コペルニクスの地動説ちどうせつ翻訳ほんやくするさいはじめてもちいたかん訳語やくご和製わせい漢語かんご)とかんがえられている。天球てんきゅうじょういちてんまらずうろうろと位置いちえる様子ようすを「まどほし」と表現ひょうげんしたことからたとわれている。つまり天動説てんどうせつ主流しゅりゅうであったころ星座せいざ形作かたちづく夜空よぞらほし々が北極星ほっきょくせい中心ちゅうしん天球てんきゅうじょうてい位置いち大空おおぞらまわるのにたいし、一部いちぶ金星きんぼし火星かせいなどはごとに位置いちあきらかに不規則ふきそくうごきをするため「まどわすほし」とえたのである(→順行じゅんこう逆行ぎゃっこう)。

天文学てんもんがく発達はったつする以前いぜんは、天動説てんどうせつ見地けんちから太陽たいようつき惑星わくせいなか分類ぶんるいされており、七曜しちようしゅう曜日ようび占星術せんせいじゅつにそのかんがえかたの名残なごりがある(なお、現在げんざい天文学てんもんがくじょう定義ていぎでは、太陽たいよう恒星こうせいつき衛星えいせい分類ぶんるいされる)。

惑星わくせいは、ふるくは遊星ゆうせいゆうせいともった。「遊星ゆうせい」と「惑星わくせい」はともに江戸えど時代じだいにまでさかのぼる言葉ことばであり(ただしふるれいでは「ゆうほし」となっている)、に「くだりぼし」の表記ひょうき使つかわれた(参考さんこう惑星わくせい遊星ゆうせい)。

明治めいじ学術がくじゅつ用語ようご統一とういつはかさいに、東京大学とうきょうだいがくばつが「惑星わくせい」、京都大学きょうとだいがくばつが「遊星ゆうせい」を主張しゅちょうした。結局けっきょく東大とうだいばつち、天文学てんもんがく分野ぶんやでは「惑星わくせい」の表記ひょうき統一とういつされた。しかし、機械きかい工学こうがくにおける「遊星ゆうせい歯車はぐるま機構きこう」など分野ぶんや用語ようごとしてもちいられるほか、フィクションない表現ひょうげんとして「遊星ゆうせい」の使つかわれるれいもある(れい:『遊星ゆうせいからの物体ぶったいX』、『遊星ゆうせい仮面かめん』、『遊星ゆうせい王子おうじ』、『遊星ゆうせい少年しょうねんパピイ』、遊星ゆうせいばくだん(『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト』)、移動いどう遊星ゆうせい(『21エモン』)、スタント遊星ゆうせい(『ファイブスター物語ものがたり』)、遊星ゆうせいから兄弟きょうだい(『ウルトラマン』)、遊星ゆうせいよりあいをこめて(『ウルトラセブン』)など)。

漢字かんじけんにちなかあさこし)では「惑星わくせい」という漢語かんご日本にっぽんのみが使用しようし、なかあさこしは「くだりぼし」という。「恒星こうせい」と「くだりぼし」という漢語かんごはいずれもあかり末清すえきよはつ西欧せいおうてん文書ぶんしょかんやくされるさい参照さんしょうされた古代こだい中国ちゅうごく宇宙うちゅうろん由来ゆらいするもので、「惑星わくせい」も同様どうよう木本もくほん造語ぞうごではなく古代こだい中国ちゅうごく宇宙うちゅうろん由来ゆらいするとかんがえられるが、初出しょしゅつ不明ふめいである。上海しゃんはい博物館はくぶつかんぞう戦国せんごくすわえちくしょに「つねさき」と仮称かしょうされる文献ぶんけんがあり、その宇宙うちゅうろんが「つね」と「惑」(ある)および「つね」と「くだり」によって構成こうせいされていることが浅野あさの裕一ひろいち古代こだい中国ちゅうごく宇宙うちゅうろん』(2006, 94-96ぺーじ)に紹介しょうかいされている。

惑星わくせい形成けいせい[編集へんしゅう]

惑星わくせいがどのように形成けいせいされたか。このテーマについての研究けんきゅう惑星わくせい形成けいせいろんである。1990年代ねんだいまで、りえた惑星わくせいけいのモデルは太陽系たいようけいだけであったが、21世紀せいきにはおおくのけいがい惑星わくせい発見はっけんされるようになり、おもに2つのシナリオが提案ていあんされた。1つは原始げんし惑星わくせいけい円盤えんばんなかちりやガスが徐々じょじょあつまるものであり、形成けいせい長大ちょうだい時間じかんがかかる。2つ円盤えんばんなか重力じゅうりょく不安定ふあんてい状態じょうたいしょうじ、巨大きょだいガス惑星わくせい急速きゅうそく成長せいちょうするもので、この不安定ふあんていこす要因よういんなにかなど議論ぎろん余地よちがある。おおくの支持しじあつめる理論りろん前者ぜんしゃであり、以下いかではこれを解説かいせつする[1]

原始げんし惑星わくせいけい円盤えんばん原始げんし惑星わくせい形成けいせい[編集へんしゅう]

超新星ちょうしんせい爆発ばくはつおおくの元素げんそらばったほしあいだガスがふたたあつまって恒星こうせい形成けいせいされるさい星団せいだんつくほどにはくないと、恒星こうせい周囲しゅういにはあまった物質ぶっしつ円盤えんばんじょうあつまって原始げんし惑星わくせいけい円盤えんばん形成けいせいするれい発見はっけんされている。円盤えんばん成分せいぶんはほとんどが水素すいそヘリウムのガスだが、ちりふくまれている[1]

円盤えんばんなかちり重力じゅうりょくのバランスからはや周回しゅうかいし、ガスに邪魔じゃまされてみだされ衝突しょうとつかえしながら減速げんそくし、恒星こうせいほう螺旋らせんじょうみながら衝突しょうとつかえす。そして段々だんだんおおきくなりおおきさすうkm単位たんいほろ惑星わくせいて、原始げんし惑星わくせいへと成長せいちょうする。この原始げんし惑星わくせいおおきさはそれぞれの軌道きどうじょうあつまった材料ざいりょうりょうまり、これは軌道きどう距離きょり依存いぞんする。原始げんし惑星わくせい質量しつりょうは、恒星こうせいから1天文てんもん単位たんいあたりでは地球ちきゅう質量しつりょうの1/10程度ていど、5天文てんもん単位たんいあたりでは地球ちきゅうの4ばい程度ていどになる[1]

ゆき境界きょうかいせん巨大きょだいガス惑星わくせい[編集へんしゅう]

恒星こうせい形成けいせいされて活動かつどうはじまると、惑星わくせいけい円盤えんばんゆき境界きょうかいせん部分ぶぶんのガスがうすくなる現象げんしょうこる。ゆき境界きょうかいせんとはこおりなどてい沸点ふってん揮発きはつせい物質ぶっしつ昇華しょうかする温度おんどになる領域りょういきで、太陽系たいようけいでは2-4天文てんもん単位たんいあたりが相当そうとうする。この境界きょうかいでは揮発きはつせい物質ぶっしつ昇華しょうか凝固ぎょうこ双方そうほうあい転移てんいかえし、この現象げんしょう作用さようして周囲しゅういにあるガスのうごきを不安定ふあんていにさせ、結果けっかてき領域りょういきからはじきばしてしまう。すると希薄きはくになったガスは速度そくどたかめ、ここにんできた原始げんし惑星わくせい加速かそくされ、領域りょういき外側そとがわめるようになる。これらはやがて集積しゅうせきし、おおきな天体てんたい形成けいせいするようになる[1]

ゆき境界きょうかいせんあつめた物質ぶっしつ木星もくせいになったとかんがえられるが、このようなきょだいガス惑星わくせい惑星わくせいけい円盤えんばんかならしょうじるとはかぎらない。木星もくせいちりあつまった天体てんたいがさらにガスを集積しゅうせきして形成けいせいされたとかんがえられるが、それにはガスがエネルギーをうしなって圧力あつりょくひくい「えた」状態じょうたいでなければ安定あんていしない。あまりに時間じかんがかかりぎると、ガスがえるまえ恒星こうせい活動かつどうかくになるべき岩石がんせきけい天体てんたい影響えいきょううしなわれてしまい、結果けっかとして巨大きょだいガス惑星わくせい形成けいせいされないことになる。この、ガスのエネルギーがうばわれる「ねつ移送いそう」がどのようにこったかについては、あきらかにされていない部分ぶぶんおお[1]

形作かたちづくられる惑星わくせい[編集へんしゅう]

太陽系たいようけい場合ばあい原始げんし惑星わくせい最初さいしょ巨大きょだいガス惑星わくせい形成けいせいは、恒星こうせいかく融合ゆうごう開始かいしから200まんねんにはおこなわれたとかんがえられる[1]ゆき境界きょうかいせん内側うちがわでは、多数たすうしょうじた原始げんし惑星わくせいがおたがいの軌道きどう交差こうささせながらぶれがしょうじ、やがて衝突しょうとつかえ岩石がんせき惑星わくせい地球ちきゅうがた惑星わくせい)へ集約しゅうやくしたとかんがえられる。この衝突しょうとつ合体がったいには、外側そとがわしょうじた巨大きょだいガス惑星わくせい影響えいきょうしたというかんがえもあるが、あまり賛同さんどうられていない[1]地球ちきゅうがた惑星わくせい惑星わくせいけい円盤えんばんのガスを集積しゅうせきしたとはおもわれず、衝突しょうとつ火山かざん活動かつどう内部ないぶから噴出ふんしゅつさせた物質ぶっしつから形成けいせいされたとかんがえられている[1]

ゆき境界きょうかいせん外側そとがわでは、最初さいしょ巨大きょだいガス惑星わくせいおよぼす重力じゅうりょくによって、つぎ惑星わくせい形成けいせいされる。惑星わくせい強大きょうだい重力じゅうりょく周囲しゅういにある物質ぶっしつ軌道きどうみだし、はじす。そうして軌道きどう外側そとがわに、物質ぶっしつまるようになり、おなじプロセスでつぎ天体てんたいつくす。これが連鎖れんさ次々つぎつぎ惑星わくせい形成けいせいされるが、それぞれのさいにどれだけ物質ぶっしつのこされているかによって様相ようそうわる。太陽系たいようけいでは天王星てんのうせい海王星かいおうせい集積しゅうせきしたときには惑星わくせいけい円盤えんばんないのガスがとぼしくなってしまい、巨大きょだいごおり惑星わくせいとしてまとまらざるをなかった[1]

巨大きょだいガス惑星わくせいかず軌道きどう変化へんか[編集へんしゅう]

太陽系たいようけい惑星わくせいもとかんがえられた惑星わくせい形成けいせいモデルは、宇宙うちゅうにおいて普遍ふへんてきなものとおもわれていた。しかし、初期しょき発見はっけんされた太陽系たいようけいがい惑星わくせいは、水星すいせいよりもちか軌道きどう周回しゅうかいしたり極端きょくたん楕円だえん軌道きどう巨大きょだいガス惑星わくせいなどだった[8]。これは天文学てんもんがくしゃらを当惑とうわくさせ、惑星わくせい形成けいせいモデルにたいするうたがいもあたまをもたげた[9]

しかし、惑星わくせい軌道きどう誕生たんじょう変化へんかする可能かのうせい指摘してきされた[10]。これを検証けんしょうしたコンピュータシミュレーションの結果けっかから、太陽系たいようけい惑星わくせい配置はいちでは長期間ちょうきかん安定あんていするが、質量しつりょうおおきさとくら距離きょりちか巨大きょだいガス惑星わくせいが3つ以上いじょうあるとそれぞれ惑星わくせい軌道きどう突然とつぜん不安定ふあんていになり、たがいを反発はんぱつらせることがかった[11]。また、巨大きょだいガス惑星わくせい形成けいせいされてからも惑星わくせいけい円盤えんばん以前いぜんガスがおおのこっている状態じょうたいでは、惑星わくせい中心ちゅうしん方向ほうこう移動いどうするメカニズムもかんがえられた[10]

このような過程かていて、特異とくい太陽系たいようけいがい惑星わくせい形成けいせい段階だんかい惑星わくせいけい円盤えんばん太陽系たいようけいよりもおおくのガス成分せいぶんがあった可能かのうせい指摘してきされており、太陽系たいようけい形成けいせい特殊とくしゅというかんがえは見直みなおされた[12]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 古代こだいギリシャ発音はつおん:[planɛ̌ːtɛːs]現代げんだいギリシャ発音はつおん:[plaˈnitis]
  2. ^ この発見はっけん主張しゅちょうクワオアーセドナなどを発見はっけんして冥王星めいおうせい惑星わくせいでない端緒たんしょひらいたマイケル・ブラウン自身じしんによるもので、現在げんざいのところしんぴょうせいたかいとほうじられている[4]
  3. ^ えい: trans-Neptunian object
  4. ^ えい: asteroid
  5. ^ えい: small solar system bodies

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h i j 別冊べっさつ日経にっけいサイエンス167、p.106-117、けいがい惑星わくせいかた惑星わくせいけい起源きげん、Douglas N. C.Lin
  2. ^ a b c d e f g h i 別冊べっさつ日経にっけいサイエンス167、p.118-125、惑星わくせいってなにだ?冥王星めいおうせい騒動そうどう顛末てんまつ、Steven Soter
  3. ^ a b c d e 井田いだ小久保こくぼ(1999)、p.10-13、1.太陽系たいようけい姿すがた太陽系たいようけい特徴とくちょう
  4. ^ Emily Calandrelli (2016ねん1がつ21にち). “Astronomers Find Evidence Of A Ninth Planet”. Tech Crunch. 2016ねん1がつ22にち閲覧えつらん
  5. ^ [平成へいせい19ねん6がつ21にち だい39かい幹事かんじかい]
  6. ^ IAUけいがい惑星わくせいワーキンググループによる惑星わくせい(の上限じょうげん)の定義ていぎ Archived 2012ねん7がつ4にち, at WebCite
  7. ^ Christoph Mordasini, Yann Alibert, Willy Benz, Dominique Naef (2007). "Giant Planet Formation by Core Accretion". arXiv:0710.5667 [astro-ph]。
  8. ^ 井田いだ小久保こくぼ(1999)、p.51-54、4.けいがい惑星わくせい異形いぎょう惑星わくせいあらわれる
  9. ^ 井田いだ小久保こくぼ(1999)、p.59-61、5..惑星わくせいけい形成けいせいろん、セントラル・ドグマの崩壊ほうかい
  10. ^ a b 井田いだ小久保こくぼ(1999)、p.61-62、5.惑星わくせいけい形成けいせいろんうごきょだい惑星わくせい
  11. ^ 井田いだ小久保こくぼ(1999)、p.62-65、5.惑星わくせいけい形成けいせいろん惑星わくせいけい
  12. ^ 井田いだ小久保こくぼ(1999)、p.65-70、5.惑星わくせいけい形成けいせいろん、「ひろし惑星わくせい形成けいせいろんけて

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]