景気けいき

景気けいき（けいき）とは、売買ばいばいや取引とりひきなどの経済けいざい活動かつどう全般ぜんぱんの動向どうこうのこと。

日本語にほんごにおける「景気けいき」という言葉ことばは、中世ちゅうせいに和歌わかの批評ひひょうにおける余情よじょう意識いしきを表現ひょうげんする用語ようごとして用もちいられており、景色けしき・雰囲気ふんいきなどの意味合いみあいを込こめて使つかわれてきた。（『方丈ほうじょう記き』など）転てんじて評判ひょうばんや人気にんきなどの意味いみにも用もちいられる場合ばあいがあった。

経済けいざい用語ようごとしての「景気けいき」にも実体じったい経済けいざいの動向どうこうのみならず、これに伴ともなった世間せけん一般いっぱんの社会しゃかい的てき心理しんりをも含ふくめて捉とらえるケースも多おおく、英語えいごなどの他た言語げんごには正確せいかくに合致がっちする単語たんごはないと考かんがえられている。

景気けいき動向どうこう

景気けいきは常つねに上昇じょうしょうし続つづける事ことも、逆ぎゃくに下降かこうし続つづける事こともなく、長期ちょうき的てきには上昇じょうしょうと下降かこうを繰くり返かえしている。こうした変動へんどうを景気けいき循環じゅんかんと呼よんでいる。その中なかにおいて景気けいきが上昇じょうしょうしている状態じょうたいを「好景気こうけいき」（好こう況きょう、景気けいきの回復かいふくなどとも）と呼よび、逆ぎゃくに景気けいきが下降かこうしている状態じょうたいを「不景気ふけいき」（不ふ況きょう、景気けいきの後退こうたいとも）と呼よんでいる。

景気けいきの変動へんどうは、以下いかの4つの要因よういんを持もつとされている。

• 傾向けいこう変動へんどう（すう勢ぜい変動へんどう）…T (Trend)
• 循環じゅんかん変動へんどう…………………C (Cycle)
• 季き節ぶし変動へんどう…………………S (Seasonal)
• 不規則ふきそく変動へんどう（偶発ぐうはつ変動へんどう）…I (Irregular)

統計とうけいを用もちいて景気けいきをみる際さいには季き節ぶし変動へんどうは除のぞくことが多おおい。季き節ぶし調整ちょうせいも参照さんしょう。

景気けいき判断はんだん

景気けいきを判断はんだんする際さいには、政府せいふ（内閣ないかく府ふ）においては景気動向指数けいきどうこうしすうなどで、民間みんかんにおいては景気けいきウォッチャー調査ちょうさやGDPギャップなどが利用りようされる。特とくに景気けいき動向どうこう調査ちょうさについては、景気けいきの山谷さんや判断はんだんの材料ざいりょうにもなるなど重要じゅうような役割やくわりを担になっている。毎月まいつきの景気けいきに対たいする認識にんしきは、政府せいふが発表はっぴょうする月例げつれい経済けいざい報告ほうこくなどで確認かくにんすることができる。地域ちいき経済けいざいの動向どうこうについては、日本銀行にっぽんぎんこうの地域ちいき経済けいざい報告ほうこくなどもある。

ここで注意ちゅういすべきなのは、政府せいふによる景気けいきの良よし悪あしの判断はんだんは、経済けいざい活動かつどう全般ぜんぱんの動向どうこうを見みるために、個々ここの企業きぎょう・個人こじんが置おかれた状況じょうきょうが異ことなる場合ばあい、判断はんだん材料ざいりょうが異ことなるため、景気けいき判断はんだんが異ことなる場合ばあいが往々おうおうにして存在そんざいするということである。企業きぎょうの場合ばあいは売上うりあげ高だか、個人こじんの場合ばあいは賃金ちんぎんなどの収入しゅうにゅうや求人きゅうじん件数けんすうなどの雇用こよう状じょう況きょうが判断はんだん材料ざいりょうとなる場合ばあいが多おおい。そのため、例たとえば景気けいきが上昇じょうしょうしていても、賃金ちんぎんが上昇じょうしょうしない場合ばあいには「実感じっかん無なき景気けいき回復かいふく」と呼よばれることもある。

また、実感じっかんにあった景気けいき判断はんだんをするためには、景気けいきの拡大かくだいや縮小しゅくしょうといった方向ほうこう感かんで見みるのではなく、NAIRUに対応たいおうするGDP水準すいじゅんといったような、あるGDP水準すいじゅんの上じょうか下したかで好景気こうけいき・不景気ふけいきを判断はんだんするべきである。

関連かんれん項目こうもく

• 景気けいき循環じゅんかん
• 景気けいき・不ふ況きょうの名称めいしょう（通称つうしょうまたは俗称ぞくしょう）
• 経済けいざい学がく
• 計量けいりょう経済けいざい学がく