李り漁りょう

李り 漁りょう（り ぎょ、万まん暦れき39年ねん8月がつ7日にち（1611年ねん9月13日にち） - 康かん熙19年ねん1月がつ13日にち（1680年ねん2月がつ12日にち））は、明あかり末まつ清しん初はつの劇げき作家さっか・小説しょうせつ家か・出版しゅっぱん者しゃ。幼名ようみょうは仙せん侶。字じは謫凡、笠りゅう翁おう・覚さとし世よ裨官と号ごうした。揚あげ州しゅう府ふ泰たい州しゅう如皋県けんの出身しゅっしん。

生涯しょうがい

少年しょうねんの頃ころから四方しほうに遊歴ゆうれきし名士めいしたちと交遊こうゆうし、晩年ばんねんは南京なんきんから杭州こうしゅうに移住いじゅうし西湖さいこのほとりに家いえを構かまえる。周囲しゅういの景色けしきが美うつくしく意いにかなったので「湖上こじょう笠かさ翁おきな」とも号ごうす。才子さいしをもって任にんじ女おんな、子供こどもにまで知しられ、李り十郎じゅうろうと呼よばれていた。男女だんじょの性せいに関かかわる話題わだいを好このんで談だんじたので、いわゆる正人まさと君くん子この排斥はいせきするところとなる。例たとえば袁于令れいは「李り漁りょうは齷齪あくせく（あくせく）として相手あいてに迎合げいごうするのを得意とくいとし、名士めいしと交流こうりゅうし詞し曲きょく小説しょうせつを作つくるのを好このみ、その内容ないようは淫いん褻けを極きわめる。「四よん大だい奇書きしょ」の名なを冠かんして『三国志さんごくし演義えんぎ』『水みず滸伝』『西遊せいゆう記き』『金瓶かなかめ梅うめ』の四よん大だい長編ちょうへんを、自身じしん経営けいえいする芥子からし園えんから叢書そうしょとして刊行かんこうしたり、少女しょうじょたちを買かってきて芝居しばいを仕込しこみ、少女しょうじょ劇団げきだんを組織そしきして全国ぜんこくを巡演じゅんえんし、自作じさくの戯曲ぎきょくを上映じょうえいしている。また、彼かれの劇げき『風ふう箏そう誤あやま』は現在げんざいでも崑こん曲きょくで人気にんきのある演目えんもくである。これらの利益りえきによって暮くらしをたて、女優じょゆう兼けん妾わらわを大勢おおぜいかかえて趣味しゅみ生活せいかつを送おくった。一生いっしょうのうち40年ねんは旅たびのうちに過すごし、名山めいざん大河たいがの10中ちゅう6・7は訪おとずれたと自負じふした。

また李りは精巧せいこうな喜劇きげきで中国ちゅうごくの性愛せいあい文学ぶんがくの古典こてんである『肉にく蒲団ぶとん』の作者さくしゃであるとも推測すいそくされている。『十じゅう二に楼ろう』という短たん編集へんしゅうも書かいている。当時とうじ、彼かれの作品さくひんは広ひろく読よまれ、大胆だいたんな着想ちゃくそうが高たかく評価ひょうかされていた。『萃雅楼ろう』や『無声むせい戯おどけ』では、同性愛どうせいあい（中国ちゅうごくでは「後こう庭にわ花はな」という）を主題しゅだいに扱あつかった。井原いはら西鶴さいかくに影響えいきょうを与あたえる。

自身じしんの別荘べっそうの伊い園えん・芥子からし園えん・層そう園えんなど自みずから指揮しきをして庭園ていえん作さく庭にわを行おこなっており、有名ゆうめいな絵え手本てほんである『芥子からし園えん画が伝でん』の序文じょぶんを書かき、南京なんきんで出版しゅっぱんした。

著作ちょさく

• 『覚さとし世よ名言めいげん』
• 『金きむ錦にしき廻文かいぶん伝でん』
• 『笠りゅう翁おう一家言いっかげん』
• 『閑情偶寄』

参考さんこう文献ぶんけん

• Chen, Duo, "Li Yu". Encyclopedia of China, 1st ed.
• 駒田こまだ信二しんじ『好色こうしょくの戒いましめ―「肉にく蒲団ぶとん」の話はなし』 ISBN 978-4-167-26103-0

外部がいぶリンク

• Brief review of The Carnal Prayer Mat