桓雄

桓雄
各種かくしゅ表記ひょうき
ハングル：	환웅
漢字かんじ：	桓雄
発音はつおん：	ファヌン （ファンウン）
日本語にほんご読よみ：	かんゆう
RR式しき：	Hwanung
MR式しき：	Hwanung

桓雄（かんゆう、ファヌン）は、朝鮮ちょうせんの檀だん君くん神話しんわに登場とうじょうする神かみ（または人物じんぶつ）。桓因（帝釈天たいしゃくてん、インドラ）の子こであり、檀だん君くんの父ちちである。

概要がいよう

天てん符ふの三さん物ぶつ

『三さん国こく遺のこ事こと』によると、天帝てんてい桓因（インドラ）の子こで、人間にんげんを広ひろめ増ふやそうとして、桓因（インドラ）から天てん符ふ印しるしを3個こ授さずかり、3千せん人にんを率ひきいて今いまの妙香みょうこう山さん（原文げんぶんは太白山たいはくさん。白頭山はくとうさんとする説せつは誤あやまり）の神かみ壇だん樹いつき（신단수、シンダンス）に降おり立たった。そのところを「神かみ市し」といい、桓雄を「桓雄天王てんのう」といった。風伯ふうはく（풍백、プンベ）・雨あめ師し（우사、ウサ）・雲くも師し（운사、ウンサ）といった、風かぜの神かみ・雨あめの神かみ・雲くもの神かみが臣下しんかとして仕つかえ、穀物こくもつ・命いのち・病気びょうき・刑罰けいばつ・善悪ぜんあくなど人間にんげんの360余あまりの事ことをつかさどり、世よを治おさめた。洞窟どうくつにいた熊くまと虎とらが人間にんげんになりたいと訴うったえ、ヨモギとニンニクを食たべて、一定いっていのあいだ蟄居ちっきょ（ちっきょ）しているように教おしえると、熊くまだけが女性じょせいの人間にんげんになることができた。そして人間にんげんとなった熊くま女おんなとの間あいだに檀だん君くんとなる王おう倹を生うんだ、という。

典型てんけい的てきな北方ほっぽう系けいの王権おうけん起源きげん神話しんわであり、元来がんらいは高句麗こうくりを経由けいゆして入はいってきた夫おっと余あまり系けいの神話しんわだったとみられている。日本にっぽんの天孫てんそん降臨こうりん神話しんわとも同類どうるい型がたである。虎とらと熊くまは所謂いわゆるバナナ型がた神話しんわであるが、インド・ヨーロッパ語族ごぞくの神話しんわの三さん機能きのう体系たいけいがみられ、大林おおばやし太良たらは、桓雄が第だい一いち機能きのう（主権しゅけん）、熊くまと虎とらが第だい二に機能きのう（戦闘せんとう）、熊くまが第だい三さん機能きのう（豊穣ほうじょう）をあらわしているとした。また天てん符ふ印しるしも高句麗こうくり神話しんわや日本にっぽん神話しんわ等とうと共通きょうつうする3つのレガリアであるが、これもスキタイ神話しんわやケルト神話しんわにおける三さん機能きのうを象徴しょうちょうする王位おういの宝たから器きと同様どうようである。韓国かんこくの歴史れきし学者がくしゃである李り栄さかえ薫かおるは、「檀だん君くん神話しんわは創作そうさくする過程かていにおいて日本にっぽん神話しんわを借用しゃくようしており、一いち面めんでは対決たいけつした点てんとともに、多面ためんでは模倣もほうした点てんがみられる」と指摘してきしている。

その他た

• 金かね思おもえ燁によると、桓雄は古ふるい発音はつおんでは夫おっと余あまりの建国けんこく神話しんわに登場とうじょうする天神てんじん「解かい慕漱」（ヘモス）と同名どうめいで、同一どういつの太陽たいよう神しんだったとみられる。なお、井上いのうえ秀雄ひでおは、夫おっと余あまり王おう・解かい夫おっと婁の「解かいは太陽たいよう」を意味いみするとするが、伊藤いとう英人ひでとは、「解かい」の中期ちゅうき朝鮮ちょうせん語ごの字音じおんは「hʌiR」、「太陽たいよう」は中期ちゅうき朝鮮ちょうせん語ごでは「hʌiH」であり、両者りょうしゃの音おと相しょうは類似るいじするが、「解かい」の音韻おんいん地位ちいは「蟹かに摂と蟹かに韻いん二等開口上声見母 佳よ買切かいき」であるため、中期ちゅうき朝鮮ちょうせん語ごに引ひき寄よせて「太陽たいよう」と解かいしてよいかは慎重しんちょうを期きすべきである、と指摘してきしている。