楊懐

楊懐
後こう漢かん 白水しろみず軍ぐん督とく
出生しゅっしょう	不ふ詳しょう
死去しきょ	建たて安やすし17年ねん（212年ねん）
拼音	Yáng Huái
主君しゅくん	劉りゅう璋あきら

楊懐（よう かい、? - 212年ねん）は、中国ちゅうごく後こう漢かん末期まっきの武将ぶしょう。

事跡じせき

劉りゅう璋あきら配下はいか。楊懐は高こう沛と共ともに名将めいしょうであり、白水しろみず軍ぐん督とくとして強力きょうりょくな軍勢ぐんぜいを擁ようし、白水しろみず関せきを守備しゅびしていたという（蜀しょく書しょ龐統伝つて）。また劉りゅう璋あきらに文書ぶんしょを送おくり、劉りゅう備を荊州に撤退てったいさせるよう諌いさめていた。その一方いっぽうで、劉りゅう備の英名えいめいには服ふくしていたという。

建たて安やすし17年ねん（212年ねん）、劉りゅう璋あきらの要請ようせいによる張ちょう魯討伐とうばつのため、既すでに招聘しょうへいされていた劉りゅう備は葭かや萌もえに駐屯ちゅうとんした。劉りゅう備は張ちょう魯を討伐とうばつするよりも住民じゅうみんたちの人心じんしん収攬しゅうらんに勤つとめ、益えき州しゅう平定へいていに向むけて準備じゅんびを整ととのえた。まもなく劉りゅう備つぶさに通つうじていた張ちょう松まつが劉りゅう璋あきらに誅殺ちゅうさつされる事件じけんが起おき、劉りゅう璋あきらは益えき州しゅうの関所せきしょを守まもる武将ぶしょうたちに文書ぶんしょを発はっして、二度にどと劉りゅう備と関かかわりを持もってはならないと通達つうたつした。これに激怒げきどした劉りゅう備は楊懐を召めし寄よせ、その無礼ぶれいを糾弾きゅうだんした上うえで斬きった（蜀しょく書しょ先さき主おも伝でん）。

ただし龐統は「（劉りゅう備が）荊州へ戻もどるとの知しらせを受うけた楊懐は、高こう沛と共ともに喜よろこんで自分じぶんから会あいに来くるに違ちがいないから、そこで2人ふたりを捕とらえればよい」との趣旨しゅしの策さくを進言しんげんしており、劉りゅう備もそれを容いれていることから（蜀しょく書しょ龐統伝でん）、その誅殺ちゅうさつの過程かていは記述きじゅつ間あいだで若干じゃっかん整合せいごう性せいに欠かけるように思おもわれる。いずれにしても劉りゅう備は楊懐・高こう沛の軍勢ぐんぜいを奪うばい、成都せいとへ向むけて進軍しんぐんしたとなっている。

『零れい陵りょう先賢せんけん伝でん』によれば、劉りゅう備は酒宴しゅえんで楊懐に対たいし帯おびていた匕首ひしゅを見みせてほしいと頼たのんだが、楊懐に匕首ひしゅを渡わたされると顔色かおいろを変かえ「楊懐はこの匕首ひしゅで私わたしを暗殺あんさつするつもりだった。」と呼よばわり、周まわりに伏ふせていた手勢てぜいに楊懐らを縛しばり上あげさせた。楊懐は死しぬ寸前すんぜんまで劉りゅう備を罵ののしり続つづけたという。

演義えんぎにおける楊懐

小説しょうせつ『三国志さんごくし演義えんぎ』でも白水しらみ都と督とくとして登場とうじょうし、高こう沛と共ともに涪水関せきを守備しゅびしている。『演義えんぎ』では劉りゅう備暗殺あんさつまでも謀たばかる役回やくまわりにされ、荊州へ帰かえるという劉りゅう備を見送みおくる際さいに決行けっこうしようとする。しかし、機先きせんを制せいした劉りゅう封ふう・関せき平たいらに取とり押おさえられ、龐統の命令めいれいにより高こう沛共々斬首ざんしゅされている。ただし史実しじつでは、楊懐らが劉りゅう備暗殺あんさつまでをも謀はかっていたとの記述きじゅつは見当みあたらない。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『三国志さんごくし』蜀しょく書しょ2先さき主おも伝でん 蜀しょく書しょ龐統伝でん
• 『三さん国こく演義えんぎ』