(Translated by https://www.hiragana.jp/)
正弦波 - Wikipedia コンテンツにスキップ

正弦せいげん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
正弦せいげん赤色あかいろ)と余弦よげん青色あおいろ)の関数かんすうグラフ

正弦せいげん(せいげんは、sine wavesinusoidal wave)は、正弦せいげん関数かんすうとして観測かんそく可能かのう周期しゅうきてき変化へんかしめ波動はどうのことである。その波形はけい正弦せいげん曲線きょくせん(せいげんきょくせん、sine curve)もしくはシヌソイド (Sinusoid) とばれ、数学すうがく信号しんごう処理しょり電気でんき工学こうがくおよびその分野ぶんやにおいて重要じゅうようはたらきをする。

基本形きほんけい一般いっぱんがた

[編集へんしゅう]

基本形きほんけい

[編集へんしゅう]
ばねによってげられたおもりの振動しんどうは、平衡へいこうてんまわりでは正弦せいげんとして近似きんじできる。

固定こてい位置いち における正弦せいげん時刻じこく t関数かんすうとしてつぎ記述きじゅつされる(基本形きほんけい):

この関数かんすう以下いかの3パラメータで記述きじゅつされる。

ひょう. 基本形きほんけいのパラメータ
名称めいしょう 意味いみ
振幅しんぷく えい: amplitude なみ中心ちゅうしんからの最大さいだい偏差へんさ
すみ周波数しゅうはすう えい: angular frequency 単位たんい時間じかんあたりの位相いそう変化へんかりょう
初期しょき位相いそう えい: initial phase における位相いそう

φふぁい位相いそうシフトとも関係かんけいがある。たとえば −φふぁいまけであれば波形はけい全体ぜんたい未来みらい時間じかんへシフトされる、すなわちなみ到達とうたつおくれる。シフトされる時間じかんは、φふぁい / ωおめが である。

一般いっぱんがた

[編集へんしゅう]

基本形きほんけいに、波動はどう発生はっせいげんからの距離きょり x波数はすう k直流ちょくりゅう成分せいぶん振幅しんぷく中心ちゅうしんとなるD などをふくめて

という関数かんすうかたち波形はけい記述きじゅつできるものを正弦せいげん総称そうしょうする(一般いっぱんがた)。波数はすうかく周波数しゅうはすう以下いかのような関係かんけいにある。

ここで、λらむだ波長はちょうf周波数しゅうはすうc位相いそう速度そくどである。

この方程式ほうていしきは1次元じげん正弦せいげんとなるため、上記じょうき一般いっぱんされた方程式ほうていしきでは、時刻じこく t における位置いち x でのなみ振幅しんぷくみちびかれる。これはたとえば、ワイヤーに沿ったなみかんがえることが出来でき[1]

コサイン波形はけい余弦よげん)もシヌソイドとわれる。これは、正弦せいげん後方こうほうにシフトされたもので波形はけい同一どういつだからである。

なお、正弦せいげん関数かんすう波動はどう方程式ほうていしきヘルムホルツ方程式ほうていしきたすもっと基本きほんてき関数かんすうである。

自然しぜん現象げんしょうにおける正弦せいげん

[編集へんしゅう]

上記じょうきとおり、正弦せいげん単一たんいつ周波数しゅうはすう成分せいぶんのみを波動はどうであり、厳密げんみつ意味いみでは自然しぜんかいには存在そんざいしない。しかし、一般いっぱん物理ぶつりがく電磁気でんじきがく音響おんきょうがくなどでは、観測かんそくされるべき波動はどう(すなわち上記じょうき基本形きほんけい一般いっぱんがたあらわされる波動はどう)の振幅しんぷくが、付随ふずいされる雑音ざつおんくらべて十分じゅうぶんおおきい場合ばあい、これを正弦せいげんなすことがおおい。 この広義こうぎ意味いみでの正弦せいげん自然しぜんかいでもうみなみ音波おんぱ光波こうはなどで発生はっせいする。また、日々ひび平均へいきん気温きおん年間ねんかんとおしてプロットしたさいなどにもあらいシヌソイドパターンがあらわれる。

商用しょうよう電源でんげんなど発電はつでんからられる交流こうりゅう電圧でんあつ波形はけい一般いっぱん正弦せいげん波形はけいをとる。

フーリエ級数きゅうすう・フーリエ解析かいせき

[編集へんしゅう]

1822ねん、フランス人数にんずう学者がくしゃジョゼフ・フーリエは、周期しゅうきてき波動はどうをさまざまな(基本きほん周波数しゅうはすう整数せいすうばいの)周波数しゅうはすう正弦せいげんかさわせとしてあらわ方法ほうほう発見はっけんした。この方法ほうほうフーリエ級数きゅうすうまたはフーリエ級数きゅうすう展開てんかいばれ、信号しんごう処理しょりにおけるもっとも基礎きそてき手法しゅほうひとつである。

また、単一たんいつのパルスひとこえによる不規則ふきそく音波おんぱといった周期しゅうきてきでない波形はけいも、連続れんぞくてき変化へんかすることなった周波数しゅうはすうなみかさわせてあらわすことができる。このような一般いっぱんてき複雑ふくざつなみ様々さまざま周波数しゅうはすう正弦せいげん分解ぶんかいして解析かいせきする手法しゅほうフーリエ変換へんかんばれている。

応用おうよう

[編集へんしゅう]

音波おんぱとしての正弦せいげん

[編集へんしゅう]

ひとみみ単一たんいつ正弦せいげん認識にんしきすることが出来できる。なぜなら、そのような波形はけいおとひとには純粋じゅんすいおとだかおととしてはっきりとこえるからである。純粋じゅんすい正弦せいげんちかおとには、口笛くちぶえや、ぬれた指先ゆびさきクリスタルグラスえんをなぞって振動しんどうさせるさい発生はっせいするおと、そして音叉おんさおとがある。このように正弦せいげんとしてこえるおとじゅんおとばれる。

音波おんぱが2つ以上いじょう正弦せいげんによって構成こうせいされる場合ばあい、そのなかもっと周波数しゅうはすうひく正弦せいげん基準きじゅんとして、その正弦せいげん周波数しゅうはすう基準きじゅんとなる正弦せいげん周波数しゅうはすう整数せいすうばい構成こうせいされるときは、その音波おんぱ波形はけい周期しゅうきてき交流こうりゅう波形はけいとなる。このおとは、ひとみみには楽音がくおんまたは単音たんおんとして認識にんしきされる。 それ以外いがいの2つ以上いじょう正弦せいげんによって構成こうせいされるおとはノイズか和音わおん、ないしはうなりとしてこえる。

音楽おんがくへの応用おうよう

[編集へんしゅう]

1950年代ねんだい正弦せいげんなみおんオルガンおとているということも好都合こうつごうであり、電子でんし音楽おんがく黎明れいめい愛用あいようされた。この時流じりゅう沿かたちで、フランス作曲さっきょくアンリ・プッスールは「正弦せいげん曲線きょくせんが、楽曲がっきょく理想りそうてき形式けいしき」と定義ていぎして話題わだいとなった[よう出典しゅってん]。この理論りろん杓子定規しゃくしじょうぎ応用おうようした作品さくひんに、篠原しのはらしんの「タンダンス」がある。

また、1980年代ねんだいには、正弦せいげんたい変調へんちょうけることによって波形はけい生成せいせいするFM音源おんげん方式ほうしき楽器がっき発売はつばいされ、すくないパラメータから算出さんしゅつされる多彩たさい波形はけいによって、いち時代じだいきずいた。一部いちぶ製品せいひんでは、正弦せいげん単体たんたいあつか機能きのうや、あらかじ変換へんかんされた波形はけい再生さいせいすることを支援しえんする機能きのう実装じっそうされた。

工学こうがくへの応用おうよう

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ 厳密げんみつには信号しんごうげんまたは震動しんどうげんからの距離きょりおおきくなるにしたがって振幅しんぷくAちいさくなる

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • 実吉さねよし純一じゅんいち電気でんき音響おんきょう工学こうがく』(33はん)コロナしゃ標準ひょうじゅん電気でんき工学こうがく講座こうざ だい12〉、1993ねんISBN 4-339-00171-6 
  • 辻井つじい重男しげお鎌田かまた一雄かずお『ディジタル信号しんごう処理しょり』(初版しょはん11さつあきらあきらどう〈ディジタル信号しんごう処理しょりシリーズ だい1かん〉、1996ねんISBN 4-7856-2006-4 

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]