気体 きたい (きたい、英 えい : gas )とは、物質 ぶっしつ の状態 じょうたい のひとつであり[1] 、一定 いってい の形 かたち と体積 たいせき を持 も たず、自由 じゆう に流動 りゅうどう し圧力 あつりょく の増減 ぞうげん で体積 たいせき が容易 ようい に変化 へんか する状態 じょうたい のこと[1] 。
「ガス体 たい 」とも言 い う[1] 。
気体 きたい というのは、物質 ぶっしつ の集合 しゅうごう 状態 じょうたい のひとつであり[2] 、圧縮 あっしゅく やズレに対 たい する抵抗 ていこう が小 ちい さく、膨張 ぼうちょう に対 たい してはまったく抵抗 ていこう を示 しめ すことなく無限 むげん に体積 たいせき を大 おお きくしようとし、体積 たいせき も形 かたち も一定 いってい でない状態 じょうたい をこう呼 よ んでいる[2] 。
気体 きたい は、物質 ぶっしつ の三 さん 態 たい のひとつである[3] 。
純粋 じゅんすい な気体 きたい を構成 こうせい する粒子 りゅうし は、原子 げんし の場合 ばあい (ネオン などの希 まれ ガス )、同 どう 一 いち 種類 しゅるい の原子 げんし から構成 こうせい される元素 げんそ 分子 ぶんし の場合 ばあい (酸素 さんそ など)、複数 ふくすう 種類 しゅるい の原子 げんし から成 な る化合 かごう 物 ぶつ 分子 ぶんし の場合 ばあい (二酸化炭素 にさんかたんそ など)がある[要 よう 出典 しゅってん ] 。混合 こんごう 気体 きたい は複数 ふくすう の純粋 じゅんすい な気体 きたい が混 ま じりあったものである。空気 くうき もそれ(混合 こんごう 気体 きたい )にあたる。
液体 えきたい や固体 こたい との大 おお きな違 ちが いは、気体 きたい を構成 こうせい する粒子 りゅうし 間 あいだ の距離 きょり が大 おお きい点 てん である。気体 きたい 粒子 りゅうし の相互 そうご 作用 さよう は電場 でんじょう や重力 じゅうりょく 場 じょう のある状態 じょうたい では無視 むし できる程度 ていど であり、右 みぎ 図 ず のようにそれぞれの粒子 りゅうし が一定 いってい の速度 そくど ベクトル を持 も つ。
気 き 相 しょう は液 えき 相 しょう とプラズマ相 しょう の中間 ちゅうかん にあり[4] 、プラズマへと転移 てんい する温度 おんど が気体 きたい の存在 そんざい する上限 じょうげん 温度 おんど となる。極 ごく 低温 ていおん で存在 そんざい する量子 りょうし 縮退 しゅくたい 気体 きたい [5] が近年 きんねん 注目 ちゅうもく を集 あつ めている[6] 。高密度 こうみつど の原子 げんし 気体 きたい を極 ごく 低温 ていおん に冷却 れいきゃく したものは、ボース気体 きたい またはフェルミ気体 きたい と呼 よ ばれる統計 とうけい 的 てき 振 ふ る舞 ま いを示 しめ す。詳 くわ しくはボース=アインシュタイン凝縮 ぎょうしゅく を参照 さんしょう 。
気 き 相 しょう の粒子 りゅうし (原子 げんし 、分子 ぶんし 、イオン )は、電場 でんじょう などがない限 かぎ り自由 じゆう に運動 うんどう する。
気体 きたい は液体 えきたい とともに流体 りゅうたい であるが、分子 ぶんし の熱 ねつ 運動 うんどう が分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく を上回 うわまわ っており、液体 えきたい の状態 じょうたい と比 くら べ、原子 げんし または分子 ぶんし がより自由 じゆう に動 うご ける。通常 つうじょう では固体 こたい や液体 えきたい より粒子 りゅうし 間 あいだ の距離 きょり がはるかに大 おお きく、そのため密度 みつど は最 もっと も小 ちい さくなる。また、圧力 あつりょく や温度 おんど による体積 たいせき の変化 へんか が激 はげ しい。構成 こうせい 粒子 りゅうし 間 あいだ でのやりとりが少 すく ないので、熱 ねつ の伝導 でんどう は低 ひく い。
気体 きたい 状態 じょうたい では、粒子 りゅうし は自由 じゆう かつランダム に動 うご く熱 ねつ 運動 うんどう をしている。また、それを構成 こうせい する粒子 りゅうし 間 あいだ の引力 いんりょく (分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく )は働 はたら かない。さらにその粒子 りゅうし の大 おお きさ、質量 しつりょう 共 ども に気体 きたい の体積 たいせき に比 くら べてはるかに小 ちい さい。このために気体 きたい の状態 じょうたい では物質 ぶっしつ の種類 しゅるい を問 と わずに共通 きょうつう の性質 せいしつ が表 あらわ れやすい。たとえば同 どう 一 いち 温度 おんど 、同 どう 一 いち 気圧 きあつ の下 した では、気体 きたい の種類 しゅるい を問 と わず同 どう 一 いち 体積 たいせき 中 ちゅう に含 ふく まれる分子 ぶんし 数 すう は一定 いってい である。これをアボガドロの法則 ほうそく という。気体 きたい 分子 ぶんし の大 おお きさと質量 しつりょう を存在 そんざい しないものとした仮想 かそう の気体 きたい のモデル を理想 りそう 気体 きたい といい、気体 きたい の基本 きほん 的 てき 性質 せいしつ を示 しめ すために扱 あつか われる。
臨界 りんかい 温度 おんど 以下 いか の気 き 相 しょう のことを蒸気 じょうき と呼 よ ぶ。臨界 りんかい 温度 おんど 以下 いか で気体 きたい を圧縮 あっしゅく していくと液体 えきたい へ相 あい 転移 てんい (一 いち 次 じ 転移 てんい )する。また、ある臨界 りんかい 圧力 あつりょく 以下 いか の圧力 あつりょく が物質 ぶっしつ の飽和 ほうわ 蒸気 じょうき 圧 あつ と等 ひと しくなる点 てん が沸点 ふってん である。
気体 きたい の単 たん 離 はなれ [ 編集 へんしゅう ]
我々 われわれ は空気 くうき 中 なか で生活 せいかつ しているため、化学 かがく の分野 ぶんや など、気体 きたい を成分 せいぶん に分 わ けて扱 あつか おうとすると、周囲 しゅうい の空気 くうき と混 ま じってしまいやすいため、特別 とくべつ な工夫 くふう を必要 ひつよう とする。
流体 りゅうたい なので形 かたち を定 さだ めることが出来 でき ない。しかし、固体 こたい の容器 ようき に監禁 かんきん することで利用 りよう する例 れい もある。柔 やわ らかな素材 そざい に閉 と じこめれば、体積 たいせき が弾性 だんせい 的 てき に変形 へんけい するので、衝撃 しょうげき 吸収 きゅうしゅう の可能 かのう な素材 そざい となる。また熱 ねつ 伝導 でんどう 度 ど が低 ひく いため、断熱 だんねつ の効果 こうか もある。発泡 はっぽう スチロール では多数 たすう の細 こま かい泡 あわ のような形 かたち で気体 きたい を含 ふく んでおり、これらの性質 せいしつ を強 つよ く示 しめ す。
物理 ぶつり 的 てき 性質 せいしつ [ 編集 へんしゅう ]
煙 けむり が漂 ただよ う様子 ようす から、周囲 しゅうい の気体 きたい の動 うご きがある程度 ていど わかる。
ほとんどの気体 きたい は人間 にんげん の知覚 ちかく では観察 かんさつ が難 むずか しいため、圧力 あつりょく ・体積 たいせき ・温度 おんど といった物理 ぶつり 的 てき 性質 せいしつ と粒子 りゅうし 数 すう (物質 ぶっしつ 量 りょう )といった性質 せいしつ で表 あらわ す。これら4つの特性 とくせい を様々 さまざま な気体 きたい の様々 さまざま な条件下 じょうけんか で計測 けいそく したのが、ロバート・ボイル 、ジャック・シャルル 、ジョン・ドルトン 、ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサック 、アメデオ・アヴォガドロ といった人々 ひとびと である。彼 かれ らの研究 けんきゅう によって最終 さいしゅう 的 てき にそれらの特性 とくせい 間 あいだ の数学 すうがく 的 てき 関係 かんけい が明 あき らかとなり、理想 りそう 気体 きたい の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき となって結実 けつじつ した。
気体 きたい 粒子 りゅうし は互 たが いに十分 じゅうぶん 離 はな れているため、液体 えきたい や固体 こたい ほど隣接 りんせつ する粒子 りゅうし に影響 えいきょう を及 およ ぼしあうことはない。そのような相互 そうご 作用 さよう (分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく )は気体 きたい 粒子 りゅうし の持 も つ電荷 でんか に由来 ゆらい する。同 おな じ電荷 でんか は反発 はんぱつ しあい、逆 ぎゃく の電荷 でんか は引 ひ き付 つ け合 あ う。イオン でできた気体 きたい には恒久 こうきゅう 的 てき な電荷 でんか があり、化合 かごう 物 ぶつ の気体 きたい には極性 きょくせい 共有 きょうゆう 結合 けつごう がある。極性 きょくせい 共有 きょうゆう 結合 けつごう の場合 ばあい 、化合 かごう 物 ぶつ 全体 ぜんたい としては中性 ちゅうせい であっても、分子 ぶんし 内 ない に電荷 でんか の集中 しゅうちゅう する部分 ぶぶん が生 しょう じる。分子 ぶんし 間 あいだ の共有 きょうゆう 結合 けつごう には一時 いちじ 的 てき な電荷 でんか もあり、それをファンデルワールス力 りょく と呼 よ ぶ。このような分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく の相互 そうご 作用 さよう はそれぞれの気体 きたい を構成 こうせい する物質 ぶっしつ の物理 ぶつり 特性 とくせい によって異 こと なる[注釈 ちゅうしゃく 1] [7] 。例 たと えば、イオン結合 けつごう の化合 かごう 物 ぶつ と共有 きょうゆう 結合 けつごう の化合 かごう 物 ぶつ の「沸点 ふってん 」を比 くら べるとその違 ちが いが明 あき らかとなる[8] 。右 みぎ の写真 しゃしん のようにただよう煙 けむり は、低圧 ていあつ の気体 きたい がどのように振 ふ る舞 ま っているかという洞察 どうさつ を与 あた えてくれる。
気体 きたい は他 た の状態 じょうたい の物質 ぶっしつ と比較 ひかく すると、密度 みつど と粘 ねば 度 たび が極 きわ めて低 ひく い。気体 きたい の粒子 りゅうし の運動 うんどう は圧力 あつりょく と温度 おんど に影響 えいきょう される。粒子 りゅうし 間 あいだ の距離 きょり と速度 そくど の変化 へんか は圧縮 あっしゅく 率 りつ で表 あらわ される。その粒子 りゅうし の距離 きょり と速度 そくど は屈折 くっせつ 率 りつ で表 あらわ される気体 きたい の光学 こうがく 特性 とくせい にも影響 えいきょう する。気体 きたい は容器 ようき 全体 ぜんたい に一様 いちよう に分布 ぶんぷ するように拡散 かくさん する。
巨視的 きょしてき 性質 せいしつ [ 編集 へんしゅう ]
スペースシャトルの大気圏 たいきけん 突入 とつにゅう のシミュレーション画像 がぞう
気体 きたい を観察 かんさつ する場合 ばあい 、基準 きじゅん となる範囲 はんい や長 なが さを指定 してい するのが一般 いっぱん 的 てき である。基準 きじゅん となる代表 だいひょう 長 なが さが気体 きたい 粒子 りゅうし の平均 へいきん 自由 じゆう 行程 こうてい より十分 じゅうぶん に大 おお きい場合 ばあい (クヌーセン数 すう が十分 じゅうぶん に小 ちい さい場合 ばあい )、気体 きたい は連続 れんぞく 体 たい とみなされ巨視的 きょしてき 観点 かんてん から把握 はあく される。その場合 ばあい 、体積 たいせき の面 めん でも十分 じゅうぶん な量 りょう の気体 きたい 粒子 りゅうし を標本 ひょうほん 化 か できる大 おお きさでなければならない。このような大 おお きさで統計 とうけい 的 てき 分析 ぶんせき を行 おこな うことで、その範囲 はんい 内 ない のあらゆる気体 きたい 粒子 りゅうし の平均 へいきん 的 てき 動 うご き(すなわち、速度 そくど 、温度 おんど 、圧力 あつりょく )を観測 かんそく できる。対照 たいしょう 的 てき に微視的 びしてき 、つまり粒子 りゅうし 単位 たんい の観察 かんさつ を行 おこな う方法 ほうほう もある。
巨視的 きょしてき 観点 かんてん で観測 かんそく される気体 きたい の性質 せいしつ には、気体 きたい 粒子 りゅうし そのものに由来 ゆらい するもの(速度 そくど 、圧力 あつりょく 、温度 おんど )とそれらの環境 かんきょう によるもの(体積 たいせき )がある。例 たと えばロバート・ボイル は一時期 いちじき 、気体 きたい 化学 かがく を研究 けんきゅう していた。彼 かれ は気体 きたい の圧力 あつりょく と体積 たいせき の関係 かんけい について巨視的 きょしてき 観点 かんてん で実験 じっけん を行 おこな った。その実験 じっけん でJの字形 じけい の試験管 しけんかん のようなマノメーター を使 つか い、その管 かん の一端 いったん に一定 いってい 粒子 りゅうし 数 すう で一定 いってい 温度 おんど の不 ふ 活性 かっせい 気体 きたい を入 い れ、さらに水銀 すいぎん を入 い れて密封 みっぷう した。そして、水銀 すいぎん の量 りょう を増 ふ やして気体 きたい にかかる圧力 あつりょく を増 ま すと気体 きたい の体積 たいせき が小 ちい さくなることを見出 みいだ し、数学 すうがく 的 てき には反比例 はんぴれい の関係 かんけい にあることを発見 はっけん した。つまり、体積 たいせき と圧力 あつりょく の積 せき が常 つね に一定 いってい になることをつきとめた。ボイルは様々 さまざま な気体 きたい でこれが成 な り立 た つことを確 たし かめ、ボイルの法則 ほうそく (PV = 定数 ていすう ) が生 う まれた。
気体 きたい 物性 ぶっせい の分析 ぶんせき に使用 しよう する様々 さまざま な数学 すうがく 的 てき ツールがある。理想 りそう 流体 りゅうたい についてはオイラー方程式 ほうていしき があるが、極限 きょくげん 条件 じょうけん の気体 きたい では数学 すうがく 的 てき ツールもやや複雑 ふくざつ 化 か し、粘性 ねんせい の効果 こうか を完全 かんぜん に考慮 こうりょ したナビエ-ストークス方程式 ほうていしき などが使 つか われる[9] 。このような方程式 ほうていしき は対象 たいしょう とする気体 きたい の特定 とくてい の条件 じょうけん を満 み たすよう理想 りそう 化 か されている。ボイルの実験 じっけん 装置 そうち は代数 だいすう 学 がく を使 つか って分析 ぶんせき 結果 けっか を得 え ることを可能 かのう にした。ボイルが結果 けっか を得 え られたのは、彼 かれ が扱 あつか っていた気体 きたい が比較的 ひかくてき 低圧 ていあつ で「理想 りそう 」的 てき な振 ふ る舞 ま いをする状況 じょうきょう だったからである。そういった理想 りそう 的 てき 関係 かんけい は、一般 いっぱん 的 てき な条件 じょうけん の計算 けいさん には十分 じゅうぶん である。今日 きょう の最先端 さいせんたん テクノロジーにおいては、気体 きたい が「理想 りそう 」的 てき な振 ふ る舞 ま いをしない条件下 じょうけんか での実験 じっけん を可能 かのう とする各種 かくしゅ 装置 そうち も設計 せっけい されている。統計 とうけい 学 がく や多 た 変量 へんりょう 解析 かいせき といった数学 すうがく が、宇宙船 うちゅうせん の大気圏 たいきけん 再 さい 突入 とつにゅう のような複雑 ふくざつ な状況 じょうきょう の解 かい を求 もと めることを可能 かのう にしている。例 たと えば、図 ず にあるようにスペースシャトル の大気圏 たいきけん 再 さい 突入 とつにゅう の際 さい の負荷 ふか が材料 ざいりょう や構造 こうぞう の限界 げんかい を超 こ えていないことを確認 かくにん する分析 ぶんせき などがある。そのような状況 じょうきょう では、気体 きたい は理想 りそう 的 てき には振 ふ る舞 ま わない。
圧力 あつりょく を表 あらわ す記号 きごう は "p " または "P " を使 つか い、SI単位 たんい はパスカル (Pa=N/m2 ) である。
気体 きたい が何 なん らかの容器 ようき に入 はい っているとき、気体 きたい の圧力 あつりょく は気体 きたい が容器 ようき 表面 ひょうめん に及 およ ぼす単位 たんい 面積 めんせき 当 あ たりの平均 へいきん 的 てき な力 ちから に等 ひと しい。その容積 ようせき の中 なか で気体 きたい 粒子 りゅうし は直線 ちょくせん 的 てき に運動 うんどう していて、容器 ようき に衝突 しょうとつ して力 ちから を及 およ ぼしていると考 かんが えれば理解 りかい しやすい。その衝突 しょうとつ の際 さい に気体 きたい 粒子 りゅうし から容器 ようき に与 あた えられた力 ちから の分 ぶん だけ粒子 りゅうし の運動 うんどう 量 りょう が変化 へんか する。古典 こてん 力学 りきがく では、運動 うんどう 量 りょう は質量 しつりょう と速度 そくど の積 せき と定義 ていぎ されている[10] 。衝突 しょうとつ に際 さい して、粒子 りゅうし の速度 そくど の壁 かべ と垂直 すいちょく な成分 せいぶん だけが変化 へんか する。壁 かべ に平行 へいこう な方向 ほうこう に進 すす む粒子 りゅうし の運動 うんどう 量 りょう は変化 へんか しない。したがって、粒子 りゅうし の衝突 しょうとつ によって容器 ようき 表面 ひょうめん にかかる力 ちから の平均 へいきん は、気体 きたい 粒子 りゅうし の衝突 しょうとつ による線 せん 運動 うんどう 量 りょう の変化 へんか の平均 へいきん に他 た ならない。より正確 せいかく には、粒子 りゅうし が容器 ようき 表面 ひょうめん に衝突 しょうとつ した際 さい の力 ちから の垂直 すいちょく 成分 せいぶん の合計 ごうけい を表面積 ひょうめんせき で割 わ った値 ね が圧力 あつりょく となる。
液体 えきたい 窒素 ちっそ に触 ふ れると風船 ふうせん がしぼむ様子 ようす (動画 どうが )
温度 おんど を表 あらわ す記号 きごう は "T " を使 つか い、SI単位 たんい はケルビン (K)である。
気体 きたい 粒子 りゅうし の速度 そくど は、その熱 ねつ 力学 りきがく 温度 おんど に比例 ひれい する。右 みぎ の動画 どうが は、風船 ふうせん 内 ない に捕 と らわれた気体 きたい 粒子 りゅうし が極 ごく 低温 ていおん の窒素 ちっそ に触 ふ れることでその速度 そくど が遅 おそ くなり、風船 ふうせん が縮 ちぢ む様子 ようす を示 しめ している。任意 にんい の物理 ぶつり 系 けい の温度 おんど はその系 けい (気体 きたい )を構成 こうせい する粒子 りゅうし (原子 げんし 、分子 ぶんし )の運動 うんどう と関連 かんれん している[11] 。統計 とうけい 力学 りきがく では、温度 おんど とは粒子 りゅうし 内 ない に蓄 たくわ えられた運動 うんどう エネルギーの平均 へいきん を示 しめ す測度 そくど である。このエネルギーを蓄 たくわ える方法 ほうほう は、粒子 りゅうし 自身 じしん の自由 じゆう 度 ど (エネルギーモード )で表 あらわ される。気体 きたい 粒子 りゅうし が運動 うんどう エネルギーを蓄 たくわ えるのは、衝突 しょうとつ によって直線 ちょくせん 運動 うんどう 、回転 かいてん 運動 うんどう 、振動 しんどう といった運動 うんどう エネルギーを得 え たときである(吸熱 過程 かてい )。対照 たいしょう 的 てき に固体 こたい 内 ない の分子 ぶんし に熱 ねつ を加 くわ えても振動 しんどう モードでしかエネルギーを蓄 たくわ えられず、直線 ちょくせん 運動 うんどう や回転 かいてん 運動 うんどう は結晶 けっしょう 構造 こうぞう によって妨 さまた げられる。熱 ねっ せられた気体 きたい 粒子 りゅうし は粒子 りゅうし 同士 どうし が一定 いってい の割合 わりあい で衝突 しょうとつ することで速度 そくど が広範囲 こうはんい に変化 へんか しうる。速度 そくど の範囲 はんい はマクスウェル分布 ぶんぷ で表 あらわ される。なお、この分布 ぶんぷ を想定 そうてい するということは、その系 けい が熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき 平衡 へいこう 付近 ふきん の理想 りそう 気体 きたい だと仮定 かてい していることを暗 あん に示 しめ している。
膨張 ぼうちょう ガスは比 ひ 体積 たいせき の変化 へんか に関係 かんけい する。
比 ひ 体積 たいせき を表 あらわ す記号 きごう は "v " を使 つか い、SI単位 たんい はm3 /kg である。体積 たいせき は記号 きごう "V " で表 あらわ され、SI単位 たんい はm3 である。
熱 ねつ 力学 りきがく 解析 かいせき においては、示 しめせ 強 きょう 属性 ぞくせい と示 しめせ 量 りょう 属性 ぞくせい を扱 あつか うのが一般 いっぱん 的 てき である。気体 きたい の量 りょう に依存 いぞん する属性 ぞくせい (質量 しつりょう や体積 たいせき )を示 しめせ 量 りょう 属性 ぞくせい 、気体 きたい の量 りょう に依存 いぞん しない属性 ぞくせい を示 しめせ 強 きょう 属性 ぞくせい と呼 よ ぶ。比 ひ 体積 たいせき は単位 たんい 質量 しつりょう の気体 きたい が占 し める体積 たいせき の比 ひ であり、あらゆる平衡 へいこう 系 けい の気体 きたい にわたって同一 どういつ であるため示 しめせ 強 きょう 属性 ぞくせい の例 れい である[12] 。プロトアクチニウム の原子 げんし 1000個 こ がある温度 おんど と圧力 あつりょく で占 し める体積 たいせき は、他 た の任意 にんい の原子 げんし 1000個 こ が同 おな じ温度 おんど と圧力 あつりょく で占 し める体積 たいせき と同 おな じである。気体 きたい に比 くら べて圧縮 あっしゅく 性 せい のない固体 こたい の鉄 てつ を思 おも い浮 う かべればわかりやすい。右 みぎ の写真 しゃしん にあるような射出 しゃしゅつ 座席 ざせき はロケットで推進 すいしん するが、ロケットは質量 しつりょう を保持 ほじ しつつ膨張 ぼうちょう するガスを噴射 ふんしゃ しており、この際 さい に比 ひ 体積 たいせき が増加 ぞうか する。気体 きたい はそれを取 と り囲 かこ むどのような容器 ようき であっても全体 ぜんたい を満 み たす性質 せいしつ があり、体積 たいせき は示 しめせ 量 りょう 属性 ぞくせい である。
密度 みつど は記号 きごう "ρ ろー " (ロー)で表 あらわ され、SI単位 たんい はkg/m3 である。これは、比 ひ 体積 たいせき の逆数 ぎゃくすう である。
気体 きたい 粒子 りゅうし は容器 ようき 内 ない を自由 じゆう に動 うご けるため、その質量 しつりょう は一般 いっぱん に密度 みつど によって特徴付 とくちょうづ けられる。密度 みつど は質量 しつりょう を体積 たいせき で割 わ った値 ね である。気体 きたい の圧力 あつりょく または体積 たいせき の一方 いっぽう を一定 いってい としたとき、密度 みつど は広範囲 こうはんい にわたって変化 へんか する。この密度 みつど の変化 へんか の度合 どあ いを圧縮 あっしゅく 率 りつ と呼 よ ぶ。圧力 あつりょく や温度 おんど と同様 どうよう 、密度 みつど は気体 きたい の状態 じょうたい 変数 へんすう の1つであり、任意 にんい の過程 かてい における密度 みつど の変化 へんか は熱 ねつ 力学 りきがく の法則 ほうそく に従 したが う。静止 せいし 気体 きたい においては、密度 みつど は容器 ようき 全体 ぜんたい で均一 きんいつ である。つまり密度 みつど はスカラー 量 りょう であり、大 おお きさはあるが方向 ほうこう のない単純 たんじゅん な物理 ぶつり 量 りょう である。気体 きたい 分子 ぶんし 運動 うんどう 論 ろん によれば、気体 きたい の質量 しつりょう が一定 いってい のとき密度 みつど は容器 ようき の大 おお きさすなわち体積 たいせき に反比例 はんぴれい する。すなわち、質量 しつりょう が一定 いってい であれば密度 みつど の減少 げんしょう とともに体積 たいせき が増大 ぞうだい する。
微視的 びしてき 性質 せいしつ [ 編集 へんしゅう ]
極 きわ めて高 こう 倍率 ばいりつ の顕微鏡 けんびきょう で気体 きたい を観察 かんさつ できるとすれば、様々 さまざま な粒子 りゅうし (分子 ぶんし 、原子 げんし 、イオン、電子 でんし など)が決 き まった形 かたち や塊 かたまり を形成 けいせい せずに無 む 作為 さくい に動 うご いている様子 ようす が観察 かんさつ できるだろう。そういった中性 ちゅうせい の気体 きたい 粒子 りゅうし が運動 うんどう の向 む きを変 か えるのは、別 べつ の粒子 りゅうし と衝突 しょうとつ したときか容器 ようき の壁 かべ と衝突 しょうとつ したときだけである。そういった衝突 しょうとつ が完全 かんぜん に弾性 だんせい 的 てき だと仮定 かてい すると、その気体 きたい は理想 りそう 気体 きたい だということになる。このような粒子 りゅうし レベルの微視的 びしてき 観点 かんてん は気体 きたい 分子 ぶんし 運動 うんどう 論 ろん で扱 あつか われる。
気体 きたい 分子 ぶんし 運動 うんどう 論 ろん [ 編集 へんしゅう ]
気体 きたい 分子 ぶんし 運動 うんどう 論 ろん は、気体 きたい の巨視的 きょしてき 性質 せいしつ を分子 ぶんし 構成 こうせい と分子 ぶんし 運動 うんどう によって説明 せつめい する。運動 うんどう 量 りょう と運動 うんどう エネルギー の定義 ていぎ を出発 しゅっぱつ 点 てん として[13] 、運動 うんどう 量 りょう 保存 ほぞん の法則 ほうそく と立方体 りっぽうたい の幾何 きか 学 がく 的 てき 関係 かんけい を使 つか い、系 けい の巨視的 きょしてき 性質 せいしつ である温度 おんど と圧力 あつりょく を分子 ぶんし ごとの運動 うんどう エネルギーという微視的 びしてき 属性 ぞくせい に対応付 たいおうづ ける。この理論 りろん によって温度 おんど と圧力 あつりょく という2つの属性 ぞくせい の平均 へいきん 値 ち が得 え られる。
この理論 りろん はまた、気体 きたい 系 けい が変化 へんか に対 たい してどう反応 はんのう するかを説明 せつめい している。例 たと えば、理論 りろん 上 じょう 完全 かんぜん に静止 せいし した気体 きたい が絶対 ぜったい 零 れい 度 ど から熱 ねっ せられるとき、その内部 ないぶ エネルギー (温度 おんど )が増大 ぞうだい する。気体 きたい を熱 ねっ すると、その粒子 りゅうし が速度 そくど を増 ま し、温度 おんど が上昇 じょうしょう する。高温 こうおん になると粒子 りゅうし 速度 そくど が上 あ がって単位 たんい 時間 じかん あたりに容器 ようき 内 ない で発生 はっせい する粒子 りゅうし の衝突 しょうとつ が増 ふ える。単位 たんい 時間 じかん あたりの容器 ようき 表面 ひょうめん での粒子 りゅうし 衝突 しょうとつ 回数 かいすう が増 ふ えると、それに比例 ひれい して圧力 あつりょく も上昇 じょうしょう する。
ブラウン運動 うんどう は、流体 りゅうたい 内 ない に浮遊 ふゆう する粒子 りゅうし の無 む 作為 さくい 運動 うんどう を説明 せつめい する数理 すうり モデルである。気体 きたい の拡散 かくさん は気体 きたい 分子 ぶんし 運動 うんどう 論 ろん で説明 せつめい することもできるし、素粒子 そりゅうし 物理 ぶつり 学 がく でも説明 せつめい できる。
気体 きたい の個々 ここ の粒子 りゅうし (原子 げんし や分子 ぶんし )を観察 かんさつ するテクノロジーには今 いま のところ限界 げんかい があり、それらが実際 じっさい にどのように動 うご いているのかについて理論 りろん 的 てき 計算 けいさん でしか示 しめ せないが、その動 うご きはブラウン運動 うんどう とは異 こと なる。ブラウン運動 うんどう では気体 きたい 分子 ぶんし が問題 もんだい の粒子 りゅうし と何 なん 度 ど も衝突 しょうとつ することで頻繁 ひんぱん に粒子 りゅうし の向 む きが変 か わる。この粒子 りゅうし は一般 いっぱん に原子 げんし 数 すう 百 ひゃく 万 まん 個 こ から数 すう 十 じゅう 億 おく 個 こ の大 おお きさであるために衝突 しょうとつ しやすく頻繁 ひんぱん に向 む きを変 か えるのであって、気体 きたい 分子 ぶんし そのものはそれほど頻繁 ひんぱん に衝突 しょうとつ しないと考 かんが えられる。
分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく [ 編集 へんしゅう ]
気体 きたい が圧縮 あっしゅく されると、このような分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく がより強 つよ く働 はたら くようになる。
粒子 りゅうし 間 あいだ には引力 いんりょく と斥力 せきりょく が働 はたら いており、それが気体 きたい の力学 りきがく に影響 えいきょう を及 およ ぼす。物理 ぶつり 化学 かがく ではこの力 ちから をファンデルワールス力 りょく と呼 よ ぶ。この力 ちから は粘 ねば 度 たび や流量 りゅうりょう といった気体 きたい の物性 ぶっせい を決定 けってい する重要 じゅうよう な因子 いんし となる。ある条件下 じょうけんか ではそれらの力 ちから を無視 むし することで、実在 じつざい 気体 きたい を理想 りそう 気体 きたい のように扱 あつか うことができる。そのような仮定 かてい の下 した では理想 りそう 気体 きたい の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき を使 つか い、解 かい に至 いた る経路 けいろ を大幅 おおはば に単純 たんじゅん 化 か できる。
そういった気体 きたい の関係 かんけい を正 ただ しく把握 はあく するには、気体 きたい 分子 ぶんし 運動 うんどう 論 ろん を再度 さいど 考慮 こうりょ する必要 ひつよう がある。気体 きたい 粒子 りゅうし が電荷 でんか や分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく を持 も つとき、粒子 りゅうし 同士 どうし の距離 きょり が近 ちか いほど互 たが いに影響 えいきょう を及 およ ぼしやすくなる(図 ず のような水素 すいそ 結合 けつごう もその一 いち 例 れい である)。電荷 でんか がない場合 ばあい 、気体 きたい 粒子 りゅうし 間 あいだ の距離 きょり が極 きわ めて近 ちか くなれば、粒子 りゅうし 同士 どうし の衝突 しょうとつ が避 さ けられなくなる。気体 きたい 粒子 りゅうし 間 あいだ の衝突 しょうとつ が増大 ぞうだい する別 べつ の場合 ばあい として、体積 たいせき が一定 いってい の気体 きたい を熱 ねっ した場合 ばあい があり、粒子 りゅうし の速度 そくど が高速 こうそく になる。つまり理想 りそう 気体 きたい の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき は、圧縮 あっしゅく によって極 きわ めて高 こう 圧 あつ になった状態 じょうたい や高温 こうおん によってイオン化 いおんか した状態 じょうたい では適切 てきせつ な結果 けっか を示 しめ せない。このとき除外 じょがい された条件 じょうけん では、気体 きたい 系 けい 内 ない でのエネルギー伝達 でんたつ が発生 はっせい することに注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。系 けい 内部 ないぶ におけるエネルギー伝達 でんたつ がないことは理想 りそう 条件 じょうけん などと呼 よ ばれ、その場合 ばあい エネルギー伝達 でんたつ は系 けい の境界 きょうかい でしか発生 はっせい しない。実在 じつざい 気体 きたい は粒子 りゅうし 間 あいだ の衝突 しょうとつ や分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく を一部 いちぶ 考慮 こうりょ する。粒子 りゅうし 間 あいだ の衝突 しょうとつ が統計 とうけい 的 てき に無視 むし できる程度 ていど なら、理想 りそう 気体 きたい の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき の結果 けっか は妥当 だとう といえる。一方 いっぽう 、気体 きたい を極限 きょくげん まで圧縮 あっしゅく すると液体 えきたい のように振 ふ る舞 ま い、流体 りゅうたい 力学 りきがく で扱 あつか うのが妥当 だとう となる。
気体 きたい の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき は、気体 きたい の状態 じょうたい 特性 とくせい を大 おお まかに表 あらわ し予測 よそく するための数理 すうり モデル である。あらゆる気体 きたい のあらゆる条件下 じょうけんか の振 ふ る舞 ま いを正確 せいかく に予測 よそく できる単一 たんいつ の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき は今 いま のところ存在 そんざい しない。従 したが って、特定 とくてい の温度 おんど や圧力 あつりょく の範囲 はんい での気体 きたい のために多数 たすう の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき が生 う み出 だ されてきた。最 もっと もよく論 ろん じられている気体 きたい のモデルは「完全 かんぜん 気体 きたい 」、「理想 りそう 気体 きたい 」、「実在 じつざい 気体 きたい 」である。これらのモデルは、与 あた えられた熱 ねつ 力学 りきがく 系 けい の分析 ぶんせき を容易 ようい にするために、それぞれ固有 こゆう の仮定 かてい 群 ぐん を有 ゆう している[14] 。なお、完全 かんぜん 気体 きたい よりも理想 りそう 気体 きたい 、理想 りそう 気体 きたい よりも実在 じつざい 気体 きたい の方 ほう が対応 たいおう 可能 かのう な温度 おんど の範囲 はんい が広 ひろ い。右 みぎ の写真 しゃしん にあるライト兄弟 きょうだい の1903年 ねん の初 はつ 飛行 ひこう において、気体 きたい の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき が設計 せっけい に重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たした。最近 さいきん では、2009年 ねん に初 はつ 飛行 ひこう した太陽光 たいようこう 発電 はつでん 飛行機 ひこうき ソーラー・インパルス や、商用 しょうよう 機 き としては初 はじ めて複 ふく 合 あい 材料 ざいりょう を使 つか ったボーイング787 も設計 せっけい に気体 きたい の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき を活用 かつよう している。
ライト兄弟 きょうだい の初 はつ 飛行 ひこう
完全 かんぜん 気体 きたい は、分子 ぶんし 同士 どうし の距離 きょり が十分 じゅうぶん 大 おお きいため分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく が無視 むし でき、かつ分子 ぶんし 同士 どうし の衝突 しょうとつ は弾性 だんせい 的 てき だと仮定 かてい したものである。完全 かんぜん 気体 きたい の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき では、記号 きごう n はモル あたりの物質 ぶっしつ を構成 こうせい する粒子 りゅうし 数 すう 、すなわち物理 ぶつり 量 りょう である。それ以外 いがい の記号 きごう は全 すべ て上述 じょうじゅつ してきたものが使 つか われる。この関係 かんけい 式 しき は絶対温度 ぜったいおんど と絶対 ぜったい 圧力 あつりょく を使 つか ったときのみ成 な り立 た つ。
化学 かがく の場合 ばあい : PV = nRT
気体 きたい 力学 りきがく の場合 ばあい : P = ρ ろー RT
気体 きたい 定数 ていすう R は、単位 たんい が両者 りょうしゃ で異 こと なる。化学 かがく の場合 ばあい は n に対応 たいおう した単位 たんい になっており、気体 きたい 力学 りきがく では密度 みつど ρ ろー に対応 たいおう した単位 たんい になっている。
完全 かんぜん 気体 きたい はさらに2種類 しゅるい に分類 ぶんるい されるが、両者 りょうしゃ を区別 くべつ しない教科書 きょうかしょ も多 おお い。以下 いか 、その2つを簡単 かんたん に説明 せつめい する。
熱量 ねつりょう 的 てき 完全 かんぜん [ 編集 へんしゅう ]
熱量 ねつりょう 的 てき (calorically) 完全 かんぜん 気体 きたい は、温度 おんど の観点 かんてん からは最 もっと も制限 せいげん がきついモデルであり[15] 、比 ひ 熱容量 ねつようりょう が一定 いってい という条件 じょうけん が加 くわ えられている(1000 K未満 みまん では多 おお くの気体 きたい でほぼ成 な り立 た つ)。
u = Cv T , h = Cp T
ここで u は内部 ないぶ エネルギー 、h はエンタルピー である。C は比 ひ 熱容量 ねつようりょう であり、Cv は定 てい 積 せき 比熱 ひねつ 、Cp は定圧 ていあつ 比熱 ひねつ である。
温度 おんど の観点 かんてん からは最 もっと も制限 せいげん がきついが、制限 せいげん 内 ない では十分 じゅうぶん 正確 せいかく な予測 よそく が可能 かのう である。軸 じく 流 りゅう 式 しき 圧縮 あっしゅく 機 き の挙動 きょどう を Cp を可変 かへん として計算 けいさん した場合 ばあい と Cp を一定 いってい として計算 けいさん した場合 ばあい では、その差 さ は非常 ひじょう に小 ちい さい。実際 じっさい 、軸 じく 流 りゅう 式 しき 圧縮 あっしゅく 機 き の動作 どうさ では他 た の要因 よういん が支配 しはい 的 てき に働 はたら き、Cp が可変 かへん かどうかよりも最終 さいしゅう 的 てき な計算 けいさん 結果 けっか に与 あた える影響 えいきょう が大 おお きい。それは例 たと えば、圧縮 あっしゅく 機 き の先端 せんたん の隙間 すきま の大 おお きさ、境界 きょうかい 層 そう 、磨耗 まもう による損失 そんしつ などである。
熱 ねつ 的 てき (thermally) 完全 かんぜん 気体 きたい は、熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき 平衡 へいこう 状態 じょうたい にあり、化学 かがく 反応 はんのう を起 お こしておらず(化学 かがく 平衡 へいこう )、次 つぎ の式 しき が成 な り立 た つと仮定 かてい したモデルである。
Cp – Cv = R
この式 しき は比熱 ひねつ 容量 ようりょう が温度 おんど によって変化 へんか したとしても成 な り立 た ちうる。さらにもう1つの条件 じょうけん として、内部 ないぶ エネルギー 、エンタルピー 、比 ひ 熱容量 ねつようりょう は温度 おんど によってのみ変化 へんか する(温度 おんど の関数 かんすう )と仮定 かてい する。
u = u (T ), h = h (T ), du = Cv dT , dh = Cp dT
例 たと えばタービン では温度 おんど はそれほど急激 きゅうげき に変動 へんどう しないため、熱 ねつ 的 てき 完全 かんぜん 気体 きたい モデルが十分 じゅうぶん 活用 かつよう 可能 かのう である。比 ひ 熱容量 ねつようりょう は変動 へんどう するが温度 おんど に対応 たいおう して変化 へんか するだけであり、分子 ぶんし 同士 どうし の相互 そうご 作用 さよう は考慮 こうりょ しない[注釈 ちゅうしゃく 2] 。
理想 りそう 気体 きたい は完全 かんぜん 気体 きたい を単純 たんじゅん 化 か したもので、圧縮 あっしゅく 率 りつ 因子 いんし Z が常 つね に1であると仮定 かてい する。圧縮 あっしゅく 率 りつ 因子 いんし を1と仮定 かてい することで理想 りそう 気体 きたい の状態 じょうたい 方程式 ほうていしき が成 な り立 た つ。
この近似 きんじ モデルは工学 こうがく 分野 ぶんや に適 てき しているが、さらに大 おお まかな解 かい の範囲 はんい を知 し るためにもっと単純 たんじゅん 化 か したモデルを使 つか うこともある。理想 りそう 気体 きたい の近似 きんじ モデルが有効 ゆうこう な例 れい として、ジェットエンジン の燃焼 ねんしょう 室 しつ の内部 ないぶ 状態 じょうたい の計算 けいさん がある[16] 。分子 ぶんし の解離 かいり や素 す 反応 はんのう による排出 はいしゅつ ガス の計算 けいさん にも適用 てきよう 可能 かのう である。
1990年 ねん 4月 がつ 21日 にち 、アラスカ のリダウト山 さん の噴火 ふんか 。実在 じつざい 気体 きたい が熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき 平衡 へいこう にないことを示 しめ す例 れい 。
実在 じつざい 気体 きたい は、以下 いか のようなことを考慮 こうりょ することで気体 きたい の振 ふ る舞 ま いをさらに広範囲 こうはんい にわたって説明 せつめい するモデルである。
これらを考慮 こうりょ すると問題 もんだい の解法 かいほう が複雑 ふくざつ 化 か する。気体 きたい の密度 みつど が圧力 あつりょく に比例 ひれい して大 おお きくなると分子 ぶんし 間 あいだ 力 りょく も気体 きたい の挙動 きょどう に影響 えいきょう を与 あた えるようになり、理想 りそう 気体 きたい モデルでは妥当 だとう な結果 けっか が得 え られなくなる。内燃 ないねん 機関 きかん の温度 おんど の上限 じょうげん あたり(1300 K)では、複雑 ふくざつ な燃料 ねんりょう の分子 ぶんし が振動 しんどう や回転 かいてん の形 かたち で内部 ないぶ エネルギーを蓄 たくわ え、その比熱 ひねつ 容量 ようりょう は単純 たんじゅん な二 に 原子 げんし 分子 ぶんし や希 まれ ガスのそれとは大 おお きく異 こと なる値 ね になる。さらにその2倍 ばい の温度 おんど になると、電子 でんし の励起 れいき と気体 きたい 粒子 りゅうし の解離 かいり が起 お きはじめ、粒子 りゅうし 数 すう が増 ふ えることで圧力 あつりょく にも影響 えいきょう が出 で る(気体 きたい からプラズマ への相 あい 転移 てんい )[17] 。最終 さいしゅう 的 てき にあらゆる熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき 過程 かてい は、ある確 かく 率 りつ 分布 ぶんぷ に従 したが った速度 そくど をもつ一様 いちよう な気体 きたい として解釈 かいしゃく される。非 ひ 平衡 へいこう 状態 じょうたい を扱 あつか うということは、解 かい を求 もと められるような形 かたち で流 なが れの場 ば を扱 あつか うことを意味 いみ している。理想 りそう 気体 きたい の法則 ほうそく を拡張 かくちょう しようとする最初 さいしょ の試 こころ みの1つは、状態 じょうたい 方程式 ほうていしき を pV n = 定数 ていすう と変形 へんけい し、n を比熱 ひねつ 比 ひ γ がんま などに依存 いぞん した変数 へんすう としたことである。
多 おお くの場合 ばあい 、実在 じつざい 気体 きたい モデルを使 つか った分析 ぶんせき は過大 かだい である。実在 じつざい 気体 きたい モデルが分析 ぶんせき に役立 やくだ った例 れい としては、極 きわ めて高温 こうおん 高 だか 圧 あつ になるスペースシャトル の大気圏 たいきけん 再 さい 突入 とつにゅう や、1990年 ねん に噴火 ふんか したリダウト山 さん でのガス発生 はっせい のシミュレーションなどがある。
ボイルの実験 じっけん 装置 そうち
ボイルの法則 ほうそく は気体 きたい の状態 じょうたい を表 あらわ した最初 さいしょ の公式 こうしき である。1662年 ねん 、ロバート・ボイル は一 いち 端 はし が閉 と じてあるJの字形 じけい の試験 しけん 官 かん を使 つか った一連 いちれん の実験 じっけん を行 おこな った。一定 いってい 量 りょう の空気 くうき を閉 と じてある短 みじか いほうの端 はし に詰 つ め、水銀 すいぎん で蓋 ぶた をする。閉 と じ込 こ めた気体 きたい の体積 たいせき を注意深 ちゅういぶか く計測 けいそく し、さらに水銀 すいぎん を追加 ついか する。気体 きたい の圧力 あつりょく は水銀 すいぎん の両 りょう 端 はし の水位 すいい の差 さ から計測 けいそく できる。このような実験 じっけん からボイルは「気体 きたい の体積 たいせき は圧力 あつりょく と反比例 はんぴれい する」と結論 けつろん 付 つ けた[18] 。ボイルの実験 じっけん 装置 そうち の図 ず には、ボイルが気体 きたい の研究 けんきゅう に使 つか った珍 めずら しい器具 きぐ が描 えが かれている。
1787年 ねん 、フランスの物理 ぶつり 学者 がくしゃ で気球 ききゅう で知 し られるジャック・シャルル は、酸素 さんそ 、窒素 ちっそ 、水素 すいそ 、二酸化炭素 にさんかたんそ 、空気 くうき といった気体 きたい が80ケルビンの温度 おんど 差 さ で体積 たいせき が等 ひと しく膨張 ぼうちょう することを発見 はっけん した。
1802年 ねん 、ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサック はより広範囲 こうはんい の実験 じっけん を行 おこな って同様 どうよう の結果 けっか を得 え 、気体 きたい の体積 たいせき と温度 おんど に正比例 せいひれい の関係 かんけい があることを発表 はっぴょう した。ゲイ=リュサックはシャルルの業績 ぎょうせき を引用 いんよう し、その法則 ほうそく にシャルルの名 な を付 つ けた[19] 。なお、その前年 ぜんねん にジョン・ドルトン が分 ぶん 圧 あつ に関 かん するドルトンの法則 ほうそく を発表 はっぴょう している。
1811年 ねん 、アメデオ・アボガドロ は体積 たいせき の等 ひと しい純粋 じゅんすい な気体 きたい は同 おな じ個数 こすう の粒子 りゅうし を含 ふく んでいることを発見 はっけん した。その理論 りろん はしばらく受 う け入 い れられなかったが、1858年 ねん にイタリアの化学 かがく 者 しゃ スタニズラオ・カニッツァーロ がアボガドロの理論 りろん を使 つか って理想 りそう 的 てき でない例外 れいがい 状態 じょうたい を説明 せつめい したことから受 う け入 い れられるようになっていった。アボガドロの法則 ほうそく の発見 はっけん から約 やく 1世紀 せいき 後 ご 、12グラムの 12 C を構成 こうせい する原子 げんし 数 すう (6.022×1023 mol−1 ) をアボガドロ定数 ていすう と呼 よ ぶようになった。この量 りょう の気体 きたい はある温度 おんど と圧力 あつりょく の下 した で22.40リットルの体積 たいせき を占 し め、これをモル体積 たいせき と呼 よ ぶ。
ドルトン の記法 きほう
1801年 ねん 、ジョン・ドルトン は理想 りそう 気体 きたい の分 ぶん 圧 あつ に関 かん するドルトンの法則 ほうそく を発表 はっぴょう した。すなわち、混合 こんごう 気体 きたい の圧力 あつりょく はそれを構成 こうせい する個々 ここ の気体 きたい の圧力 あつりょく の総和 そうわ だという法則 ほうそく である。n 種 たね の気体 きたい があるとしたとき、この法則 ほうそく は次 つぎ の式 しき で表 あらわ される。
P total = P 1 + P 2 + ... + Pn
右 みぎ の図 ず はドルトンが実験 じっけん を記録 きろく する際 さい に使 つか った記号 きごう 群 ぐん を示 しめ している。ドルトンの論文 ろんぶん には不 ふ 活性 かっせい の「弾性 だんせい 流体 りゅうたい 」(気体 きたい )の混合 こんごう について次 つぎ のような記述 きじゅつ がある[20] 。
液体 えきたい とは異 こと なり、重 おも い気体 きたい であっても混合 こんごう の際 さい に下 した に溜 た まるということがない。
気体 きたい の粒子 りゅうし の違 ちが いは最終 さいしゅう 的 てき な圧 あつ 力 りょく に対 たい して全 まった く影響 えいきょう しない(個々 ここ の粒子 りゅうし の大 おお きさや質量 しつりょう は無視 むし できるかのように振 ふ る舞 ま う)。
空気 くうき の圧縮 あっしゅく 率 りつ 因子 いんし
熱 ねつ 力学 りきがく ではこの因子 いんし (Z ) を使 つか って理想 りそう 気体 きたい の方程式 ほうていしき を圧縮 あっしゅく 率 りつ を考慮 こうりょ した実在 じつざい 気体 きたい のそれに変換 へんかん する。この因子 いんし は現実 げんじつ の比 ひ 体積 たいせき と理想 りそう 気体 きたい の比 ひ 体積 たいせき の比 ひ で表 あらわ される。「ファッジ係数 けいすう 」の一種 いっしゅ ともされ、理想 りそう 気体 きたい の法則 ほうそく を実際 じっさい の設計 せっけい などに応用 おうよう できる範囲 はんい を広 ひろ げる役目 やくめ を持 も つ。通常 つうじょう (常温 じょうおん 、常 つね 圧 あつ )、Z の値 ね はほぼ1である。Z 線 せん 図 ず は、極 ごく 低温 ていおん の範囲 はんい でのZ の変化 へんか を示 しめ したグラフである。
流体 りゅうたい 力学 りきがく では、レイノルズ数 すう は慣性 かんせい 力 りょく (vs ρ ろー ) と粘性 ねんせい 力 りょく (μ みゅー /L ) の比 ひ である。流体 りゅうたい 力学 りきがく における重要 じゅうよう な無 む 次元 じげん 数 すう の1つであり、他 た の無 む 次元 じげん 数 すう と組 く み合 あ わせて使 つか い、力学 りきがく 的 てき 類似 るいじ 性 せい を決定 けってい する基準 きじゅん を提供 ていきょう する。そのため、設計 せっけい の際 さい の模型 もけい での結果 けっか と実物 じつぶつ 大 だい の実際 じっさい の条件 じょうけん との関係 かんけい をレイノルズ数 すう だけで表 あらわ すことができる。また、流 なが れの特性 とくせい 値 ち としても使 つか うことができる。
風洞 ふうどう でのデルタ翼 つばさ の実験 じっけん 。翼 つばさ の先端 せんたん で気体 きたい が圧縮 あっしゅく されることで屈折 くっせつ 率 りつ が変化 へんか するため、このような影 かげ の形 かたち になる。
粘 ねば 度 たび は流 なが れにくさを示 しめ す流体 りゅうたい の物性 ぶっせい の一 ひと つであり、せん断 だん 変形 へんけい 速度 そくど に依存 いぞん する。液体 えきたい はせん断 だん 力 りょく を加 くわ えられたとき常 つね に流動 りゅうどう するが、その速度 そくど に応 おう じて抗力 こうりょく が生 しょう じる。気体 きたい は液体 えきたい に比 くら べて粘性 ねんせい が低 ひく く、粘性 ねんせい なしとして扱 あつか われることも少 すく なくない。気体 きたい が全 まった く粘 ねば 度 たび も持 も たないとすると翼 つばさ の表面 ひょうめん に固着 こちゃく することはなく、境界 きょうかい 層 そう は形成 けいせい されない。デルタ翼 つばさ の研究 けんきゅう においてシュリーレン写真 しゃしん を使 つか い、気体 きたい 粒子 りゅうし が互 たが いにくっつきあう現象 げんしょう があることが確認 かくにん された。
流体 りゅうたい 力学 りきがく において乱 らん 流 りゅう とは、無秩序 むちつじょ かつ確 かく 率 りつ 的 てき に変化 へんか する特性 とくせい を持 も つ流 なが れの状態 じょうたい である。乱 らん 流 りゅう は運動 うんどう 量 りょう の拡散 かくさん が小 ちい さく伝達 でんたつ 量 りょう が大 おお きく、流 なが れの圧力 あつりょく や速度 そくど が時間 じかん や空間 くうかん と共 とも に急激 きゅうげき に変化 へんか する。
気体 きたい 粒子 りゅうし は気体 きたい 中 ちゅう を移動 いどう する物体 ぶったい の表面 ひょうめん にくっつく性質 せいしつ を持 も つ。そのような粒子 りゅうし の層 そう を境界 きょうかい 層 そう と呼 よ ぶ。物体 ぶったい 表面 ひょうめん に粒子 りゅうし がくっつくのは基本 きほん 的 てき には摩擦 まさつ が原因 げんいん である。すると、物体 ぶったい と境界 きょうかい 層 そう を合 あ わせた部分 ぶぶん が一緒 いっしょ に気体 きたい 内 ない を移動 いどう する形状 けいじょう を形成 けいせい する。境界 きょうかい 層 そう を物体 ぶったい 表面 ひょうめん からはがすには、形状 けいじょう を変化 へんか させ流 なが れの経路 けいろ を完全 かんぜん に変 か えればよい。古典 こてん 的 てき 例 れい として、航空機 こうくうき の失速 しっそく は境界 きょうかい 層 そう の剥離 はくり が原因 げんいん である。右 みぎ 上 じょう のデルタ翼 つばさ の写真 しゃしん では、右 みぎ から左 ひだり に気体 きたい が流 なが れるのに伴 ともな って境界 きょうかい 層 そう が翼 つばさ の先端 せんたん に沿 そ って厚 あつ くなっていく様子 ようす が見 み られる。
最大 さいだい エントロピー原理 げんり [ 編集 へんしゅう ]
自由 じゆう 度 ど が無限 むげん 大 だい に近 ちか づくにつれて、系 けい は極 きわ めて多様 たよう 性 せい が高 たか い「巨視的 きょしてき 状態 じょうたい (macrostate)」となる。例 たと えば、冷凍 れいとう した金属 きんぞく 棒 ぼう の表面 ひょうめん の温度 おんど を観測 かんそく し、サーモグラフィ映像 えいぞう で表面 ひょうめん の温度 おんど 分布 ぶんぷ を見 み てみればよい。ある時点 じてん の温度 おんど 分布 ぶんぷ 観測 かんそく によって「微視的 びしてき 状態 じょうたい (microstate)」が得 え られ、時間 じかん をおいて何 なん 度 ど も温度 おんど 分布 ぶんぷ を観測 かんそく することで一連 いちれん の微視的 びしてき 状態 じょうたい が得 え られる。この微視的 びしてき 状態 じょうたい の履歴 りれき から、それらを全 すべ て1つの分類 ぶんるい に属 ぞく する巨視的 きょしてき 状態 じょうたい を選 えら ぶことが可能 かのう である。
熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき 平衡 へいこう [ 編集 へんしゅう ]
ある系 けい でエネルギー伝達 でんたつ がなくなるとき、その状態 じょうたい を熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき 平衡 へいこう と呼 よ ぶ。通常 つうじょう 、この状態 じょうたい では系 けい とその周辺 しゅうへん は同 おな じ温度 おんど となっていることを前提 ぜんてい としており、熱 ねつ の移動 いどう が起 お きない。さらに外部 がいぶ からの力 ちから も釣 つ り合 あ いがとれており(体積 たいせき が変化 へんか しない)、系 けい 内 ない の全 すべ ての化学 かがく 反応 はんのう も完了 かんりょう している。温度 おんど 、外力 がいりょく 、化学 かがく 反応 はんのう というこれらの条件 じょうけん がどういう順番 じゅんばん で成立 せいりつ するかは系 けい によって様々 さまざま である。氷 こおり を入 い れた容器 ようき を室温 しつおん の中 なか に置 お くと氷 こおり が融 と けきるのに数時間 すうじかん かかるが、半導体 はんどうたい においてデバイスにかかる電源 でんげん をON/OFFすることで発生 はっせい する熱 ねつ 伝達 でんたつ は数 すう ナノ秒 びょう のオーダーで変化 へんか するかもしれない。
ガス (gas) という言葉 ことば はヤン・ファン・ヘルモント が考案 こうあん したもので、"chaos"(カオス ) のオランダ語 ご 読 よ みを改 あらた めて文字 もじ にしたものと見 み られている[21] 。
当初 とうしょ は凝縮 ぎょうしゅく しないものをガス、するものを蒸気 じょうき と区別 くべつ していて、『ロウソクの科学 かがく 』(1861年 ねん 発行 はっこう )の第 だい 二 に 講 こう 冒頭 ぼうとう 部 ぶ には蝋 ろう の蒸気 じょうき の説明 せつめい の際 さい に註釈 ちゅうしゃく で「あなたは蒸気 じょうき とガスの違 ちが いについて学 まな ぶ必要 ひつよう があります、ガスは永久 えいきゅう 的 てき (に気体 きたい )ですが蒸気 じょうき は凝縮 ぎょうしゅく します。(原文 げんぶん :You must learn the difference between a gas and a vapour: a gas remains permanent, a vapour is something that will condense.)」という文 ぶん が書 か かれている[22] 。ただし現在 げんざい は臨界 りんかい 点 てん を下回 したまわ ればすべての気体 きたい に凝縮 ぎょうしゅく が起 お きることが分 わ かっているので、この定義 ていぎ は無意味 むいみ になっている。
^ このような物理 ぶつり 特性 とくせい の例外 れいがい として、マイケル・ファラデー は1833年 ねん 、氷 こおり に電気 でんき 伝導 でんどう 性 せい がないことを発見 はっけん した。詳 くわ しくは、John Tyndall's Faraday as a Discoverer (1868), p.45
^ このときの温度 おんど の上限 じょうげん は 1500 K とされている。詳 くわ しくは(John 1984 , p. 256)
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