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気候きこう変動へんどうかんする政府せいふあいだパネル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
気候きこう変動へんどうかんする政府せいふあいだパネル
Intergovernmental Panel on Climate Change
略称りゃくしょう IPCC[1]
設立せつりつ 1988ねん
種類しゅるい 政府せいふあいだ機構きこう[2]
研究けんきゅう組織そしき[3]
目的もくてき 気候きこう変動へんどう危機ききかんする最新さいしん情報じょうほう集約しゅうやくとその評価ひょうか提供ていきょう[3]
地球ちきゅう温暖おんだん機構きこう予測よそく[4]
環境かんきょう社会しゃかい経済けいざいへの影響えいきょうおよ対応たいおうさくについての知見ちけん整理せいり[4]
本部ほんぶ スイスの旗 スイスジュネーヴ
座標ざひょう 北緯ほくい4613ふん48びょう 東経とうけい67ふん43びょう / 北緯ほくい46.23000 東経とうけい6.12861 / 46.23000; 6.12861座標ざひょう: 北緯ほくい4613ふん48びょう 東経とうけい67ふん43びょう / 北緯ほくい46.23000 東経とうけい6.12861 / 46.23000; 6.12861
関連かんれん組織そしき 国際こくさい連合れんごう環境かんきょう計画けいかく
世界せかい気象きしょう機関きかん
ウェブサイト www.ipcc.ch
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ノーベルしょう受賞じゅしょうしゃノーベル賞
受賞じゅしょうねん2007ねん
受賞じゅしょう部門ぶもんノーベル平和へいわしょう
受賞じゅしょう理由りゆう気候きこう変動へんどう問題もんだいかんする活動かつどう

気候きこう変動へんどうかんする政府せいふあいだパネル(きこうへんどうにかんするせいふかんパネル、英語えいご:Intergovernmental Panel on Climate Change、略称りゃくしょうIPCC[5])は、国際こくさいてき専門せんもんでつくる、地球ちきゅう温暖おんだんについての科学かがくてき研究けんきゅう収集しゅうしゅう整理せいりのための政府せいふあいだ機構きこうである。学術がくじゅつてき機関きかんであり、地球ちきゅう温暖おんだんかんする最新さいしん知見ちけん評価ひょうかおこない、対策たいさく技術ぎじゅつ政策せいさく実現じつげんせいやその効果こうか、それが場合ばあい被害ひがい想定そうてい結果けっかなどにかんする科学かがくてき知見ちけん評価ひょうか提供ていきょうしている。すうねんおきに発行はっこうされる「評価ひょうか報告ほうこくしょ」(Assessment Report)は地球ちきゅう温暖おんだんかんする世界中せかいじゅうすうせんにん専門せんもん科学かがくてき知見ちけん集約しゅうやくした報告ほうこくしょであり、国際こくさい政治せいじおよび各国かっこく政策せいさくつよ影響えいきょうあたえつつある。

国際こくさい連合れんごう環境かんきょう計画けいかく(United Nations Environmental Programme; UNEP)と国際こくさい連合れんごう専門せんもん機関きかんにあたる世界せかい気象きしょう機関きかん(World Meteorological Organization; WMO)が1988ねん共同きょうどう設立せつりつした[6]

気候きこう変化へんかかんする科学かがくてき判断はんだん基準きじゅん提供ていきょう目的もくてきとしており、地球ちきゅう温暖おんだんかんする科学かがくてき知見ちけん集約しゅうやく評価ひょうか主要しゅよう業務ぎょうむである[7]すうねんおきに地球ちきゅう温暖おんだんかんする「評価ひょうか報告ほうこくしょ」(Assessment Report)を発行はっこうするほか、特定とくていのテーマについて特別とくべつ報告ほうこく(Special Report)、技術ぎじゅつ報告ほうこくしょ(Technical Paper)、方法ほうほうろん報告ほうこくしょ(Methodology Report)などを発行はっこうしている[8][9]

本来ほんらいは、世界せかい気象きしょう機関きかん(WMO)のいち機関きかんであり、国際こくさい連合れんごう気候きこう変動へんどうわくぐみ条約じょうやくとは直接ちょくせつ関係かんけいのない組織そしきであったが、条約じょうやく交渉こうしょうどう組織そしきがまとめた報告ほうこくしょ活用かつようされたこと、また、条約じょうやく実施じっしにあたり科学かがくてき調査ちょうさおこな専門せんもん機関きかん設立せつりつおくれたことから、IPCCが当面とうめん作業さぎょう代行だいこうすることとなり現在げんざいいたっている。IPCC自体じたい各国かっこくへの政策せいさく提言ていげんとうおこなうことはないが、国際こくさいてき地球ちきゅう温暖おんだん問題もんだいへの対応たいおうさく科学かがくてき裏付うらづける組織そしきとして、間接かんせつてきおおきな影響えいきょうりょくつ。アル・ゴアとともに2007ねんノーベル平和へいわしょう受賞じゅしょう

参加さんかしゃ

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代表だいひょうしゃ会員かいいん氏名しめい非公開ひこうかいである。 名称めいしょうは「政府せいふあいだパネル」であるが、参加さんかしゃ政府せいふ関係かんけいしゃだけにかぎられず、かく関連かんれん分野ぶんや科学かがくしゃなど専門せんもん参加さんかしている。 2007ねんだい4評価ひょうか報告ほうこくしょ場合ばあい、130ヵ国かこく以上いじょうからの450めいちょう代表だいひょう執筆しっぴつしゃ・800めいちょう執筆しっぴつ協力きょうりょくしゃによる寄稿きこう、および2500めい以上いじょう専門せんもんによる査読さどく作成さくせいされている[10]

作業さぎょう部会ぶかい

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評価ひょうか報告ほうこくしょ作成さくせいは、下記かきのような3つの作業さぎょう部会ぶかい(Working Group; WG)にかれておこなわれている。

知見ちけん評価ひょうか

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IPCCがおこな知見ちけん評価ひょうかとは、あたらしい調査ちょうさ研究けんきゅうおこなうのではなく、すでに発表はっぴょうされている論文ろんぶん調査ちょうさ評価ひょうかおこなうことである[7]。これには現在げんざいまでにられている科学かがくてき知見ちけん信頼しんらいせい予測よそく内容ないよう発生はっせい可能かのうせい根拠こんきょとなる証拠しょうこしちりょう専門せんもんあいだでの意見いけん一致いっちなどもふくまれる。また、政策せいさく決定けっていしゃけの要約ようやく(Summary for Policymakers; SPM)も同時どうじ提供ていきょうしている。

評価ひょうか報告ほうこくしょ

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すうねんおきに発行はっこうされ、地球ちきゅう温暖おんだんかんしてもっとおおくの専門せんもん科学かがくてき知見ちけん集約しゅうやくし、かつ国際こくさいてきひろみとめられた報告ほうこくしょとなっている。気候きこう変動へんどうわくぐみ条約じょうやく(UNFCCC)の実行じっこうかんする内容ないようおおふくみ、国際こくさい政治せいじつよ影響えいきょうあたえつつある。

IPCCだい1評価ひょうか報告ほうこくしょ英語えいごばん(FAR)が1990ねんIPCCだい2評価ひょうか報告ほうこくしょ英語えいごばん(SAR)が1995ねんIPCCだい3評価ひょうか報告ほうこくしょ英語えいごばん(TAR)が2001ねん発表はっぴょうされている。だい4評価ひょうか報告ほうこくしょ(AR4)は2007ねんのIPCCだい27かい総会そうかい承認しょうにんされた。また2014ねんだい5評価ひょうか報告ほうこくしょ(AR5)の全体ぜんたい発表はっぴょうされた。だい6評価ひょうか報告ほうこくしょは2022ねん発表はっぴょうけて準備じゅんびすすめられている。

だい4評価ひょうか報告ほうこくしょ

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内容ないようには下記かきのような科学かがくてき知見ちけん集約しゅうやく結果けっか記述きじゅつされており[11][12]結果けっかてき地球ちきゅう温暖おんだん早急そうきゅうかつだい規模きぼ緩和かんわさく必要ひつようせいつよ認識にんしきさせる内容ないようとなっている。

これらは、下記かきのようなスケジュールで承認しょうにん公開こうかいされている。

  • 2007ねん1がつ29にち〜2がつ1にち - だい1作業さぎょう部会ぶかい報告ほうこくしょ(AR4 WG I : 自然しぜん科学かがくてき根拠こんきょ審議しんぎ承認しょうにん
  • 2007ねん4がつ2にち〜6にち - だい2作業さぎょう部会ぶかい報告ほうこくしょ(AR4 WG II : 影響えいきょう適応てきおう脆弱ぜいじゃくせい審議しんぎ承認しょうにん
  • 2007ねん4がつ30にち〜5月3にち - だい3作業さぎょう部会ぶかい報告ほうこくしょ(AR4 WG III : 気候きこう変動へんどう緩和かんわさく審議しんぎ承認しょうにん
  • 2007ねん5がつ4にち - IPCCだい26かい総会そうかいだい4評価ひょうか報告ほうこくしょだい1〜だい3作業さぎょう部会ぶかい報告ほうこくしょ最終さいしゅうてき承認しょうにん
  • 2007ねん11月12にち〜16にち - IPCCだい27かい総会そうかい統合とうごう報告ほうこくしょ(AR4 SYN)を承認しょうにん

いずれも審議しんぎ最終さいしゅうもしくは翌日よくじつ報告ほうこくしょ内容ないよう公表こうひょうされ、IPCCのサイトなどから自由じゆう入手にゅうしゅ可能かのうとなっている。また日本語にほんごやく気象庁きしょうちょう環境省かんきょうしょう地球ちきゅう産業さんぎょう文化ぶんか研究所けんきゅうじょによって提供ていきょうされている([13]IPCCだい4評価ひょうか報告ほうこくしょ#原典げんてんおよび翻訳ほんやくふし参照さんしょう)。

だい5評価ひょうか報告ほうこくしょ

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  • 2013ねん9がつ26にち - だい1作業さぎょう部会ぶかい報告ほうこくしょ(AR5 WG I : 自然しぜん科学かがくてき根拠こんきょ
  • 2014ねん3がつ29にち - だい2作業さぎょう部会ぶかい報告ほうこくしょ(AR5 WG II : 影響えいきょう適応てきおう脆弱ぜいじゃくせい
  • 2014ねん4がつ11にち - だい3作業さぎょう部会ぶかい報告ほうこくしょ(AR5 WG III : 気候きこう変動へんどう緩和かんわさく

表現ひょうげん

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評価ひょうか報告ほうこくしょの"政策せいさく決定けっていしゃけの要約ようやく(SPM)"と"専門せんもんけの要約ようやく(TS)"では、予測よそく内容ないようごとの発生はっせいかくりつを「可能かのうせい(likelihood)」として下記かきのように表記ひょうきしている。[14]

  • ほぼ確実かくじつ(virtually certain、99-100%)
  • 可能かのうせいきわめてたかい(extremely likely、95-100%)
  • 可能かのうせい非常ひじょうたかい(very likely、90-100%)
  • 可能かのうせいたかい(likely、66-100%)
  • どちらかといえば(more likely than not、50-100%)
  • どちらもどう程度ていど(about as likely as not、33-66%)
  • 可能かのうせいひくい(unlikely、0-33%)
  • 可能かのうせい非常ひじょうひくい(very unlikely、0-10%)
  • 可能かのうせいきわめてひくい(extremely unlikely、0-5%)
  • ほぼありない(exceptionally unlikely、0-1%)

(なお一般いっぱんに、危険きけんりつは5%(仮説かせつ検定けんてい#危険きけんいき設定せってい)、信頼しんらい限界げんかいは95%である。)

確信かくしん(confidence; 基礎きそとなる科学かがくてき知見ちけん信頼しんらいせい)をあらわすの場合ばあい下記かきのように表記ひょうきしている[15]

  • 確信かくしん非常ひじょうたかい(Very high confidence、正確せいかくりつ 90%)」
  • 確信かくしんたかい(High confidence、正確せいかくりつ 80%)」
  • 中位ちゅうい確信かくしん (Medium confidence、正確せいかくりつ 50%)」
  • 確信かくしんひくい (Low confidence、正確せいかくりつ 20%)
  • 確信かくしんがかなりひくい (Very low confidence、正確せいかくりつ 10%未満みまん)

その確実かくじつせい(uncertainty; 専門せんもん意見いけん一致いっち水準すいじゅんあつまっている証拠しょうこしちりょう)についても判断はんだん尺度しゃくど提供ていきょうしている。

訂正ていせい議論ぎろんとう

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IPCCだい4評価ひょうか報告ほうこくしょ(AR4)にかんするもの:

  • 2007ねんにAR4が発表はっぴょうされて以降いこう、いくつかのミスがつかり、訂正ていせいされている。報告ほうこくしょ結論けつろんには影響えいきょうしていないが、IPCCはより信頼しんらいせいたかめる努力どりょく表明ひょうめいしている(IPCCだい4評価ひょうか報告ほうこくしょ#訂正ていせい参照さんしょう)。
  • 2009ねん一部いちぶ研究けんきゅうしゃ私的してきなメールがぬすされ、その表現ひょうげん不正ふせい証拠しょうこだとして批判ひはんされる事件じけん発生はっせいした。実際じっさいにはそのような不正ふせいつからなかったが、研究けんきゅうしゃ対応たいおうとうかんする批判ひはんられ、IPCCは改善かいぜんむことを表明ひょうめいしている。詳細しょうさい気候きこう研究けんきゅうユニット・メール流出りゅうしゅつ事件じけん(クライメートゲート事件じけん)を参照さんしょう

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 百科ひゃっか事典じてんマイペディア - IPCC【アイピーシーシー】. コトバンク. 2019ねん3がつ13にち閲覧えつらん
  2. ^ ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん. コトバンク. 2019ねん3がつ13にち閲覧えつらん
  3. ^ a b 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ). コトバンク. 2019ねん3がつ13にち閲覧えつらん
  4. ^ a b 大辞林だいじりん だいさんはん. コトバンク. 2019ねん3がつ13にち閲覧えつらん
  5. ^ 世界せかいに15おくとううしのげっぷは地球ちきゅう温暖おんだん促進そくしん要因よういん世界せかいおこな対策たいさくとは”. 日刊にっかんスポーツ (2021ねん11月8にち). 2021ねん11月8にち閲覧えつらん
  6. ^ IPCC(気候きこう変動へんどうかんする政府せいふあいだパネル),気象庁きしょうちょう
  7. ^ a b About IPCC(IPCC)
  8. ^ IPCC Reports (IPCC)
  9. ^ 特別とくべつ報告ほうこくしょ/技術ぎじゅつ報告ほうこくしょ/方法ほうほうろん報告ほうこくしょについて(財)ざいだんほうじん地球ちきゅう人間にんげん環境かんきょうフォーラム)
  10. ^ AR4 WGI SPMの要約ようやく環境省かんきょうしょう
  11. ^ AR4 SYR SPM
  12. ^ IPCC総会そうかい(Spain, Valencia, 2007.11.17)にけるPress Presentationのスライド
  13. ^ IPCC だい4評価ひょうか報告ほうこくしょ日本語にほんごやくかんするページ(気象庁きしょうちょう
  14. ^ AR5 WGI TSの要約ようやく気象庁きしょうちょう
  15. ^ 気候きこう変化へんか 2007:影響えいきょう適応てきおうおよ脆弱ぜいじゃくせい”. 環境省かんきょうしょう. 2021ねん8がつ11にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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