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海洋 かいよう 考古学 こうこがく (かいようこうこがく、英語 えいご :nautical archaeology)は、考古学 こうこがく の一 いち 分野 ぶんや である。国際 こくさい 連合 れんごう 教育 きょういく 科学 かがく 文化 ぶんか 機関 きかん (ユネスコ)の水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん 保護 ほご 条約 じょうやく が定義 ていぎ する水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん (すいちゅうぶんかいさん、英語 えいご :underwater cultural heritage)を研究 けんきゅう 対象 たいしょう とする学問 がくもん である。一般 いっぱん には、水中 すいちゅう 考古学 こうこがく (すいちゅうこうこがく、英語 えいご :underwater archaeology、en )と呼 よ ばれている。近年 きんねん では、水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん 研究 けんきゅう という表現 ひょうげん が使用 しよう される場合 ばあい もある。
考古学 こうこがく とは、時間 じかん とともに変化 へんか し、発展 はってん してきた過去 かこ の文化 ぶんか 形態 けいたい の再 さい 構成 こうせい あるいは明確 めいかく 化 か を遺物 いぶつ または遺構 いこう の分析 ぶんせき に基 もと づいて行 おこな う学問 がくもん である。この遺物 いぶつ または遺構 いこう が、海洋 かいよう 考古学 こうこがく の場合 ばあい 、水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん と呼 よ ばれるものになる。海洋 かいよう 考古学 こうこがく の目的 もくてき は、水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん を研究 けんきゅう することによって、人類 じんるい が海洋 かいよう 環境 かんきょう に生態 せいたい 学 がく 的 てき に適応 てきおう する中 なか から生 う まれてきた海洋 かいよう 文化 ぶんか を世界 せかい 的 てき かつ世界 せかい 史 し 的 てき な脈絡 みゃくらく から、解釈 かいしゃく 説明 せつめい していこうというものである。
関連 かんれん 分野 ぶんや として、海事 かいじ 考古学 こうこがく (かいじこうこがく、英語 えいご :maritime archaeology)というものがある。主 しゅ としてイギリス圏 けん で使用 しよう され、その研究 けんきゅう 対象 たいしょう は必 かなら ずしも水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん ばかりではなく、陸上 りくじょう の遺跡 いせき から出土 しゅつど した丸木舟 まるきぶね や造船 ぞうせん 所 しょ 跡 あと 、海 うみ 景 けい のような海事 かいじ 文化 ぶんか 遺産 いさん とも呼 よ ばれる遺物 いぶつ や遺構 いこう を広 ひろ くその考察 こうさつ の対象 たいしょう としている。一方 いっぽう 、海洋 かいよう 考古学 こうこがく や海事 かいじ 考古学 こうこがく は、一般 いっぱん 的 てき には、水中 すいちゅう 考古学 こうこがく という名称 めいしょう で知 し られている。海洋 かいよう 考古学 こうこがく が水中 すいちゅう 考古学 こうこがく の理論 りろん 的 てき な側面 そくめん であり、後者 こうしゃ は実践 じっせん 的 てき な側面 そくめん であるという意見 いけん もある[ 1] 。
日本 にっぽん では水中 すいちゅう 遺跡 いせき あるいは海底 かいてい 遺跡 いせき と命名 めいめい されている場合 ばあい もあるが、国際 こくさい 的 てき には水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん という表現 ひょうげん に統一 とういつ されつつある[ 2] 。水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん 保護 ほご 条約 じょうやく によれば、水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん とは、文化 ぶんか 的 てき 、歴史 れきし 的 てき 、または考古学 こうこがく 的 てき な性格 せいかく を有 ゆう する人類 じんるい の存在 そんざい のすべての痕跡 こんせき であり、その一部 いちぶ または全部 ぜんぶ が定期 ていき 的 てき あるいは恒常 こうじょう 的 てき に、少 すく なくとも100年間 ねんかん 水中 すいちゅう にあった次 つぎ の三 みっ つのものである。第 だい 一 いち は、遺跡 いせき 、構築 こうちく 物 ぶつ 、建造 けんぞう 物 ぶつ 、人工 じんこう 物 ぶつ および人間 にんげん の遺骸 いがい で、考古学 こうこがく 的 てき および自然 しぜん 的 てき な背景 はいけい を有 ゆう するもの、第 だい 二 に は、船舶 せんぱく 、航空機 こうくうき 、その他 た の乗物 のりもの もしくはその一部 いちぶ 、その貨物 かもつ あるいはその他 た の積載 せきさい 物 ぶつ で、考古学 こうこがく 的 てき および自然 しぜん 的 てき な背景 はいけい を有 ゆう するもの、第 だい 三 さん は、先史 せんし 学 がく 的 てき な性格 せいかく を有 ゆう するものである[ 3] 。
第 だい 一 いち の範疇 はんちゅう に入 はい る水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん には、地震 じしん により海 うみ に沈降 ちんこう してしまったジャマイカ島 とう のポート・ロイヤル やエジプトにあるヘラクレイオン などが含 ふく まれる。石 いし 干 ひ 見 み や海 うみ 没 ぼつ 遺骨 いこつ なども、この範疇 はんちゅう の水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん である。第 だい 二 に の範疇 はんちゅう に入 はい る水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん は、沈没 ちんぼつ 船 せん やその積荷 つみに などであり、以前 いぜん からトレジャーハンター による略奪 りゃくだつ の対象 たいしょう となってきた。国際 こくさい 連合 れんごう 教育 きょういく 科学 かがく 文化 ぶんか 機関 きかん の世界 せかい 遺産 いさん に登録 とうろく されたレッド・ベイのバスク人 じん 捕鯨 ほげい 基地 きち (レッド・ベイ国定 こくてい 史跡 しせき )周辺 しゅうへん から発見 はっけん された沈没 ちんぼつ 船 せん 遺構 いこう がその代表 だいひょう 例 れい である。第 だい 三 さん の範疇 はんちゅう に入 はい る水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん としては、世界 せかい で初 はじ めて水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん として世界 せかい 遺産 いさん に登録 とうろく されたアルプス山脈 あるぷすさんみゃく 周辺 しゅうへん の先史 せんし 時代 じだい の杭 くい 上 じょう 住居 じゅうきょ 群 ぐん などがある[ 1] 。
海洋 かいよう 考古学 こうこがく という学問 がくもん に独自 どくじ の研究 けんきゅう 方法 ほうほう がある訳 わけ ではない。通常 つうじょう の陸上 りくじょう にある文化 ぶんか 遺産 いさん を調査 ちょうさ 研究 けんきゅう するのとほとんど同 おな じ手法 しゅほう が、水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん の調査 ちょうさ 研究 けんきゅう に適用 てきよう されるだけのことである。水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん 保護 ほご 条約 じょうやく は、水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん の原 げん 位置 いち 保存 ほぞん を第 だい 一 いち の選択肢 せんたくし として推奨 すいしょう している。すなわち、水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん を渚 なぎさ から移動 いどう したり海底 かいてい から引 ひ き揚 あ げたりしてはならず、その現場 げんば において考古学 こうこがく 者 もの が保存 ほぞん された水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん の研究 けんきゅう を実施 じっし していかなければならないというものである。しかしながら、盗掘 とうくつ や港湾 こうわん 工事 こうじ などによる破壊 はかい によって危険 きけん にさらされている場合 ばあい には、適切 てきせつ な保存 ほぞん 処理 しょり が行 おこな われるという前提 ぜんてい で、遺物 いぶつ の引 ひ き揚 あ げも例外 れいがい 的 てき に認 みと められている。なお、完全 かんぜん に水没 すいぼつ している水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん にアプローチするためには、スクーバダイビング の技術 ぎじゅつ が必須 ひっす である。水中 すいちゅう 考古学 こうこがく のそれについては、ユネスコ水中 すいちゅう 考古学 こうこがく 大学 だいがく 連携 れんけい ネットワークが安全 あんぜん な水中 すいちゅう 作業 さぎょう のためのコードを公 おおやけ にしている[ 4] 。
何 なん 百 ひゃく 年 ねん 、何 なん 千 せん 年 ねん もの長 なが きにわたって、水中 すいちゅう や水中 すいちゅう の砂 すな 泥 どろ 下 か で何 なん ら問題 もんだい なく保存 ほぞん されてきた水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん も、引 ひ き揚 あ げられて、大気 たいき に触 ふ れるやいなや崩壊 ほうかい が始 はじ まる。水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん 保護 ほご 条約 じょうやく が、水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん の原 げん 位置 いち 保存 ほぞん を強 つよ く推奨 すいしょう しているゆえんである。引 ひ き揚 あ げられた直後 ちょくご の水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん は、まず真水 まみず に浸水 しんすい させる必要 ひつよう があり、その後 ご 、木材 もくざい 、金属 きんぞく 、ガラス、皮革 ひかく ごと、それぞれに独自 どくじ の物理 ぶつり 的 てき 、化学 かがく 的 てき な保存 ほぞん 処理 しょり を数 すう 年間 ねんかん 、時 とき として数 すう 十 じゅう 年間 ねんかん にわたり施 ほどこ していく必要 ひつよう がある[ 5] 。
17世紀 せいき には潜水 せんすい 鐘 がね によって、19世紀 せいき になるとヘルメット潜水 せんすい の技術 ぎじゅつ によって水中 すいちゅう の遺物 いぶつ の引 ひ き揚 あ げが行 おこな われた。19世紀 せいき 中頃 なかごろ からは、アルプス山脈 あるぷすさんみゃく 周辺 しゅうへん の先史 せんし 時代 じだい の杭 くい 上 じょう 住居 じゅうきょ 群 ぐん の調査 ちょうさ が開始 かいし される。しかし、本格 ほんかく 的 てき に海洋 かいよう 考古学 こうこがく が始 はじ まったのは、1943年 ねん にジャック=イヴ・クストー によって スクーバダイビング の技術 ぎじゅつ が発明 はつめい されて以降 いこう のことである。「水中 すいちゅう 考古学 こうこがく の父 ちち 」と呼 よ ばれるジョージ・バス(考古 こうこ 学者 がくしゃ ) (英語 えいご 版 ばん ) は[ 6] 、1960年 ねん から地中海 ちちゅうかい のゲリドニア岬 みさき (英語 えいご 版 ばん ) 沖 おき の沈没 ちんぼつ 船 せん 遺構 いこう やウル・ブルン岬 みさき 沖 おき 沈没 ちんぼつ 船 せん (英語 えいご 版 ばん ) の調査 ちょうさ を開始 かいし した[ 7] 。スウェーデンでは1950年代 ねんだい から、ヴァーサ (戦列 せんれつ 艦 かん ) 号 ごう の引 ひ き揚 あ げ調査 ちょうさ が、イギリスでは1970年代 ねんだい から、メアリー・ローズ 号 ごう の引 ひ き揚 あ げ調査 ちょうさ が行 おこな われている。韓国 かんこく でも1970年代 ねんだい から、新 しん 安 やす 沈船 の調査 ちょうさ が、中国 ちゅうごく では1980年代 ねんだい から、南海 なんかい 一 いち 号 ごう (英語 えいご 版 ばん ) の調査 ちょうさ が継続 けいぞく 実施 じっし されてきている。2013年 ねん に国際 こくさい 連合 れんごう 教育 きょういく 科学 かがく 文化 ぶんか 機関 きかん は、同 どう 機関 きかん 内 ない にユネスコ水中 すいちゅう 考古学 こうこがく 大学 だいがく 連携 れんけい ネットワークを結成 けっせい 、日本 にっぽん からは東京 とうきょう 海洋 かいよう 大学 だいがく がそのメンバー校 こう に選出 せんしゅつ された[ 8] 。
日本 にっぽん の考古学 こうこがく の歴史 れきし には、1877年 ねん のエドワード・S・モース による大森 おおもり 貝塚 かいづか の発掘 はっくつ や、1908年 ねん の諏訪湖 すわこ 底 そこ 曽根 そね 遺跡 いせき の発見 はっけん など、その創成 そうせい 期 き から海洋 かいよう 考古学 こうこがく との密接 みっせつ な関係 かんけい が認 みと められている。「日本 にっぽん の水中 すいちゅう 考古学 こうこがく の父 ちち 」である小 しょう 江 こう 慶雄 よしお は、1959年 ねん から琵琶湖 びわこ 湖底 こてい 遺跡 いせき の調査 ちょうさ を開始 かいし した[ 9] 。1970年代 ねんだい からは、日本 にっぽん 初 はつ の沈没 ちんぼつ 船 せん 遺構 いこう の海洋 かいよう 考古学 こうこがく 調査 ちょうさ である開陽 かいよう 丸 まる 調査 ちょうさ が北海道 ほっかいどう の江差 えさし 港 こう で始 はじ まり、1980年代 ねんだい から、元 もと 寇の古戦場 こせんじょう である鷹島 たかしま 神崎 かんざき 遺跡 いせき の調査 ちょうさ が九州 きゅうしゅう の伊万里湾 いまりわん で始 はじ まった。鷹島 たかしま 神崎 かんざき 遺跡 いせき は、2012年 ねん に国 くに の史跡 しせき となったが、水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん として国 くに の史跡 しせき に初 はじ めて指定 してい されたのは鎌倉 かまくら 沖 おき の和賀 わが 江島 えじま である。日本 にっぽん ではこの他 ほか 、瀬戸内海 せとないかい のいろは丸 まる 、和歌山 わかやま 県 けん 串本 くしもと 町 まち 沖 おき のエルトゥールル号 ごう (エルトゥールル号 ごう 遭難 そうなん 事件 じけん )、沖縄 おきなわ のエモンズ (駆逐 くちく 艦 かん ) などの沈没 ちんぼつ 船 せん 遺構 いこう や、東京 とうきょう 湾 わん にある海 うみ 堡 の調査 ちょうさ が継続 けいぞく 実施 じっし されてきている。NPO法人 ほうじん アジア水中 すいちゅう 考古学 こうこがく 研究所 けんきゅうじょ は、網羅 もうら 的 てき な水中 すいちゅう 文化 ぶんか 遺産 いさん の全国 ぜんこく 分布 ぶんぷ 調査 ちょうさ を2009年 ねん から2011年 ねん にかけて実施 じっし 、その成果 せいか は『海 うみ の文化 ぶんか 遺産 いさん 総合 そうごう 調査 ちょうさ 報告 ほうこく 書 しょ 』としてまとめられている[ 10] 。
分野 ぶんや
関連 かんれん 分野 ぶんや 研究 けんきゅう 方法 ほうほう 考古 こうこ 資料 しりょう 遺跡 いせき の保護 ほご と活用 かつよう
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