ドイツ のニーダーザクセン州 しゅう にある油井 ゆせい 。写真 しゃしん に写 うつ っている採掘 さいくつ 装置 そうち はポンプジャックと呼 よ ばれ上下 じょうげ に動 うご き原油 げんゆ を汲 く み出 だ す。
メキシコ湾 わん にある海上 かいじょう 油田 ゆでん 掘削 くっさく プラットフォーム 。
油井 ゆせい (ゆせい)とは、油田 ゆでん において原油 げんゆ を採掘 さいくつ するために使 つか う井戸 いど のこと。地上 ちじょう もしくは海上 かいじょう から油層 ゆそう (原油 げんゆ を含有 がんゆう する地層 ちそう )にボーリング 穴 あな を穿 うが ち、パイプが入 い れられる。原油 げんゆ は、このパイプを通 つう じて取 と り出 だ される。
21世紀 せいき 初頭 しょとう 現在 げんざい 、一般 いっぱん 的 てき な油井 ゆせい 掘削 くっさく に使 つか われているロータリー式 しき 掘削 くっさく 法 ほう は当初 とうしょ 、水井 みずい 戸 と 掘 ほ りとして1841年 ねん (または1845年 ねん )にフランス人 じん のフォーベルによって発明 はつめい され、フランス人 じん の土木 どぼく 技師 ぎし レショットが実用 じつよう 化 か した。19世紀 せいき から20世紀 せいき にかけてそれまでの衝撃 しょうげき 式 しき 掘削 くっさく 方式 ほうしき がロータリー式 しき に取 と って代 か わられた。1901年 ねん にアメリカ人 じん キャプテン・ルーカスがテキサスのスピンドルトップで初 はじ めて油田 ゆでん の掘削 くっさく に使用 しよう し、大量 たいりょう の原油 げんゆ を得 え た後 のち にアメリカを始 はじ め世界 せかい 各国 かっこく で使用 しよう されるようになった。
最新 さいしん 科学 かがく 的 てき 知見 ちけん とデータ分析 ぶんせき 、電気 でんき 検 けん 層 そう 、人工 じんこう 衛星 えいせい による地質 ちしつ 写真 しゃしん 、人工 じんこう 地震 じしん 探査 たんさ 、地上 ちじょう の目視 もくし 探査 たんさ 、海上 かいじょう からの音響 おんきょう 探査 たんさ などで油田 ゆでん の存在 そんざい の可能 かのう 性 せい が高 たか いと思 おも われるサイトを特定 とくてい する。全 すべ ては地質 ちしつ 学者 がくしゃ の仕事 しごと である。
三 さん 次元 じげん 地震 じしん 探鉱 たんこう 技術 ぎじゅつ では人工 じんこう 地震 じしん 探査 たんさ や音響 おんきょう 探査 たんさ のデータをコンピュータの高速 こうそく 演算 えんざん によって解析 かいせき することで、地下 ちか の立体 りったい 的 てき な内部 ないぶ 構造 こうぞう が手 て に取 と るように判 わか るようになったためにこれまで見逃 みのが されていた油田 ゆでん が見 み つかるようになっている。
また、油 あぶら の汲 く み出 だ しをはじめてからも三 さん 次元 じげん 地震 じしん 探鉱 たんこう を行 おこな い続 つづ けることで地下 ちか での原油 げんゆ の移動 いどう 状 じょう 況 きょう が判 わか るため、地下 ちか に残 のこ る原油 げんゆ を減 へ らすことが可能 かのう となっている。これは三 さん 次元 じげん 地震 じしん 探鉱 たんこう に時間 じかん 軸 じく が加 くわ わるために四 よん 次元 じげん 地震 じしん 探鉱 たんこう 技術 ぎじゅつ と呼 よ ばれる[ 1] 。
探索 たんさく によって油田 ゆでん の存在 そんざい の可能 かのう 性 せい が高 たか いと思 おも われるサイトにおいて試 ため し掘 ほ りを行 おこ なう。試 ため し掘 ほ りによって油層 ゆそう が発見 はっけん できれば次 つぎ の段階 だんかい へと進 すす むが、発見 はっけん できなければ探索 たんさく を続行 ぞっこう する。また、試 ため し掘 ほ りでは随時 ずいじ 「(ボーリング)コア」と呼 よ ばれる地下 ちか のサンプルが掘 ほ り出 だ されるので、それによっても油層 ゆそう が付近 ふきん に存在 そんざい するかといった情報 じょうほう が得 え られる。
試掘 しくつ 井 い の近 ちか くにさらに井戸 いど を複数 ふくすう 掘 ほ る場合 ばあい があり、それらは最初 さいしょ の試掘 しくつ 井 い と区別 くべつ する場合 ばあい には探鉱 たんこう 井 い と呼 よ ばれる[ 2] 。
幸 さいわ い油層 ゆそう に当 あた り、内部 ないぶ の圧力 あつりょく が高 たか い状態 じょうたい では原油 げんゆ や天然 てんねん ガス は自 みずか ら噴出 ふんしゅつ する(自噴 じふん する)。可燃 かねん 性 せい や高 たか い毒性 どくせい を持 も つ高圧 こうあつ の噴出 ふんしゅつ 物 ぶつ を受 う け入 い れる準備 じゅんび が出来 でき ていないうちでの噴出 ふんしゅつ は暴噴(Blowout)と呼 よ ばれ、作業 さぎょう 者 しゃ は直 ただ ちに遮断 しゃだん スイッチを押 お して避難 ひなん する。遮断 しゃだん スイッチは深 ふか さ数 すう 百 ひゃく フィート、又 また は地表 ちひょう 面 めん に[ 3] あらかじめ固定 こてい されているサーフェース・ケーシング(Surface casing)と呼 よ ばれる装置 そうち の頭部 とうぶ のブローアウト・プリベンター(Blowout preventer、BOP 、防 ぼう 噴装置 そうち )を作動 さどう させてBOPのバルブを閉鎖 へいさ する[ 4] 。
この段階 だんかい で採算 さいさん が取 と れるだけの原油 げんゆ または原油 げんゆ とガスが採 と れる油田 ゆでん (ガス油田 ゆでん )と、天然 てんねん ガスしか出 で ないガス田 た に分 わ かれる。
普通 ふつう は試掘 しくつ 井 い とは別 べつ に、原油 げんゆ 汲 く み出 だ し用 よう の生産 せいさん 井 い をいくつか掘 ほ る。これは試掘 しくつ 井 い が石油 せきゆ の無 な い深 ふか さに穴 あな をあけていたりするためでもある。この生産 せいさん 井 い の建設 けんせつ ・掘削 くっさく と同時 どうじ 平行 へいこう で、生産 せいさん 井 い の周囲 しゅうい 地上 ちじょう に集 しゅう 油 ゆ ・送 おく 油 あぶら ・貯油施設 しせつ の建設 けんせつ が行 おこ なわれる。
一 いち 次 じ 回収 かいしゅう
油層 ゆそう の圧力 あつりょく が高 たか い状態 じょうたい では原油 げんゆ は自 みずか ら噴出 ふんしゅつ する(自噴 じふん する)が、油層 ゆそう の圧力 あつりょく が低 ひく い状態 じょうたい では自噴 じふん せずポンプ によって原油 げんゆ を汲 く み上 あ げる。これらの方法 ほうほう を一 いち 次 じ 回収 かいしゅう (Primary recovery)という。
天然 てんねん ガスが油層 ゆそう の上部 じょうぶ に溜 た まっている場合 ばあい は、原油 げんゆ の汲 く み上 あ げによってこのガスキャップが膨張 ぼうちょう し原油 げんゆ を押 お し出 だ すので、一 いち 次 じ 回収 かいしゅう によって回収 かいしゅう できる原油 げんゆ は総量 そうりょう の概算 がいさん 40%になる。ガスキャップがない場合 ばあい は、原油 げんゆ の中 なか に溶 と け込 こ んだ天然 てんねん ガスが泡 あわ となって膨張 ぼうちょう するだけであり、一 いち 次 じ 回収 かいしゅう によって回収 かいしゅう できる原油 げんゆ は総量 そうりょう の概算 がいさん 20%になる[ 4] 。
二 に 次 じ 回収 かいしゅう
一 いち 次 じ 回収 かいしゅう で回収 かいしゅう できるのは油層 ゆそう に含 ふく まれる原油 げんゆ の一部 いちぶ でしかなく、一 いち 次 じ 回収 かいしゅう では生産 せいさん ができなくなった油井 ゆせい では、原油 げんゆ を分離 ぶんり して後 ご の水 みず や天然 てんねん ガスを油層 ゆそう に注入 ちゅうにゅう し残 のこ った原油 げんゆ を加圧 かあつ して回収 かいしゅう する。これを二 に 次 じ 回収 かいしゅう (Secondary recovery)という。
水 みず を注入 ちゅうにゅう する方法 ほうほう は「水 みず 攻 おさむ 法 ほう 」(Water flooding)、ガスを注入 ちゅうにゅう する方法 ほうほう は「ガス圧入 あつにゅう 法 ほう 」(Gas injection)と呼 よ ばれ、総称 そうしょう して回復 かいふく 法 ほう (Improved Oil Recovery)と呼 よ ぶこともある。21世紀 せいき 初頭 しょとう 現在 げんざい では、それによって総合 そうごう 的 てき に回収 かいしゅう 量 りょう が増 ふ えると見込 みこ まれる場合 ばあい には、一 いち 次 じ 回収 かいしゅう の最初 さいしょ から水 みず やガスを注入 ちゅうにゅう するようになっている。
水 みず 攻 おさむ 法 ほう の「水 みず 押 お し効果 こうか 」で回収 かいしゅう できる原油 げんゆ は、内部 ないぶ で水 みず が既 すで に自然 しぜん に接 せっ している場合 ばあい で、一 いち 次 じ 回収 かいしゅう 分 ぶん を含 ふく めて総量 そうりょう の概算 がいさん 60%になる。ガス圧入 あつにゅう 法 ほう は水 みず 押 お しほど有効 ゆうこう ではないが、圧入 あつにゅう する天然 てんねん ガスは原油 げんゆ の回収 かいしゅう に伴 ともな って産出 さんしゅつ されるガスであり、従来 じゅうらい はガスフレア によって焼却 しょうきゃく 処分 しょぶん されていた程 ほど である。
21世紀 せいき 初頭 しょとう 現在 げんざい では天然 てんねん ガスはLPG として有効 ゆうこう に利用 りよう されるため焼却 しょうきゃく 処分 しょぶん はあまり行 おこ なわれないが、いずれにしても油井 ゆせい の現場 げんば にふんだんにあって原油 げんゆ を十分 じゅうぶん 汲 く み出 だ した後 のち でも再 ふたた び取 と り出 だ せるため、ガス圧入 あつにゅう 法 ほう として利用 りよう される事 こと が多 おお い[ 4] 。
三 さん 次 じ 回収 かいしゅう
二 に 次 じ 回収 かいしゅう でも残 のこ った原油 げんゆ を回収 かいしゅう するために三 さん 次 じ 回収 かいしゅう (Enhanced Oil Recovery,EOR )または強制 きょうせい 回収 かいしゅう 法 ほう と呼 よ ばれる技術 ぎじゅつ の開発 かいはつ 、実用 じつよう 化 か が進 すす んでいる。これは水蒸気 すいじょうき 、炭酸 たんさん ガス 、界面 かいめん 活性 かっせい 剤 ざい (洗剤 せんざい )などを注入 ちゅうにゅう して原油 げんゆ の流動 りゅうどう 性 せい を改善 かいぜん する方法 ほうほう である。
水蒸気 すいじょうき を圧入 あつにゅう する方法 ほうほう は「水蒸気 すいじょうき 攻 おさむ 法 ほう 」(Steam floods)と呼 よ ばれ、水蒸気 すいじょうき によって沈積 ちんせき した粘 ねば 度 たび の高 たか い石油 せきゆ を温 あたた めてパラフィン とアスファルト を温 あたた め溶 と かして、凝結 ぎょうけつ した水 みず と共 とも に流動 りゅうどう 化 か させる方法 ほうほう である。水蒸気 すいじょうき を回収 かいしゅう 井 い とは別 べつ の井戸 いど から圧入 あつにゅう する場合 ばあい と、「ハフ・アンド・パフ法 ほう 」(Huff and puff)と呼 よ ばれる水蒸気 すいじょうき の注入 ちゅうにゅう と石油 せきゆ の回収 かいしゅう を1つの回収 かいしゅう 井戸 いど で交互 こうご に行 おこ なう方法 ほうほう がある。
二酸化炭素 にさんかたんそ を圧入 あつにゅう する方法 ほうほう は「炭素 たんそ ガス攻 おさむ 法 ほう 」(Carbon dioxiside floods)と呼 よ ばれ気体 きたい 又 また は水 みず に溶 と かした二酸化炭素 にさんかたんそ を圧入 あつにゅう する方法 ほうほう である。二酸化炭素 にさんかたんそ は水 みず にも溶 と けるが、石油 せきゆ にはさらによく溶 と けるために、二酸化炭素 にさんかたんそ を圧入 あつにゅう すれば石油 せきゆ に溶 と け込 こ み石油 せきゆ が膨張 ぼうちょう するために回収 かいしゅう が容易 ようい となる。回収 かいしゅう した石油 せきゆ からは二酸化炭素 にさんかたんそ を分離 ぶんり させて再 ふたた び圧入 あつにゅう に使用 しよう する。
界面 かいめん 活性 かっせい 剤 ざい (洗剤 せんざい )を圧入 あつにゅう する方法 ほうほう は「洗剤 せんざい 攻 おさむ 法 ほう 」(Detargent floods)と呼 よ ばれ、水 みず に少量 しょうりょう の洗剤 せんざい を溶 と かして圧入 あつにゅう する。洗剤 せんざい が油 あぶら を細 こま かな粒 つぶ に包 つつ み込 こ むため岩石 がんせき や砂 すな との接着 せっちゃく がはずれて流動 りゅうどう 性 せい が増 ま す。浅 あさ い油層 ゆそう に対 たい して効果 こうか が高 たか く、深 ふか い層 そう では高温 こうおん のために洗剤 せんざい が分解 ぶんかい されてしまうため使用 しよう されない。
「ミシブル攻 おさむ 法 ほう 」(Miscible floods)と呼 よ ばれる方法 ほうほう を使 つか えば回収 かいしゅう 率 りつ が100%近 ちか くになる。これはブタン 、プロパン といった液化 えきか ガスを注入 ちゅうにゅう する事 こと で油層 ゆそう から原油 げんゆ を洗 あら い流 なが す方法 ほうほう である。ただブタン、プロパンといったガスは比較的 ひかくてき 高価 こうか であるため、油層 ゆそう に漏 も れがなく水 みず も含 ふく まれていない場合 ばあい に限 かぎ り、原油 げんゆ の回収 かいしゅう 後 ご にこれらのガスも回収 かいしゅう できる見込 みこ みがあれば実施 じっし される。
空気 くうき を吹 ふ き込 こ んで火 ひ を付 つ ける「火 ひ 攻 おさむ 法 ほう 」(Fire floods)と呼 よ ばれる方法 ほうほう もある(空気 くうき の量 りょう を調整 ちょうせい するので、油層 ゆそう 内 ない の石油 せきゆ が全 すべ て燃 も えたりすることはない)。熱 ねつ を加 くわ えて石油 せきゆ の流動 りゅうどう 性 せい を高 たか める方法 ほうほう である。
原油 げんゆ とガスともに汲 く み出 だ された後 のち は穴 あな は閉鎖 へいさ され、装置 そうち 類 るい は全 すべ ては取 と り除 のぞ かれて地上 ちじょう の場合 ばあい は更地 さらち にされる。
油井 ゆせい の概略 がいりゃく 図 ず 1.泥水 どろみず ピット 2.シェールシェーカー.泥水 どろみず ポンプ 5.駆動 くどう エンジン 7.ドローウォーク 8.スタンドパイプ 13.滑車 かっしゃ 14.やぐら 18.スイベル 19.ケリーパイプ 20.ロータリーテーブル 23.暴噴防止 ぼうし 装置 そうち (BOP)26.ドリル・ビット 28.泥水 どろみず ライン[ 3] [ 5]
地上 ちじょう での石油 せきゆ 掘削 くっさく の基本 きほん 的 てき なロータリー方式 ほうしき での構成 こうせい について記述 きじゅつ する。基本 きほん 的 てき な構成 こうせい は「やぐら」「掘削 くっさく 管 かん 」「泥水 どろみず 」の大 おお きく3つに分 わ けられる。
油井 ゆい やぐら
ロータリー装置 そうち 、クレーン類 るい 、エンジン類 るい (電動 でんどう 、蒸気 じょうき 、ディーゼル)
掘削 くっさく 管 かん
泥水 どろみず
泥水 どろみず 調整 ちょうせい 剤 ざい (水 みず 、油 あぶら 、ベントナイト 、バライト、クロム、化学 かがく 薬品 やくひん )、ポンプやフィルター、泥水 どろみず ピット、ホースと配管 はいかん 類 るい
ドリルビット、泥水 どろみず 調整 ちょうせい 剤 ざい は消耗 しょうもう 品 ひん である[ 4] [ 5] [ 3] 。
エンジンで作 つく られた力 ちから はドローウォークと呼 よ ばれる回転 かいてん 輪 わ を介 かい してやぐらの基部 きぶ 中央 ちゅうおう にあるロータリー・テーブルの回転 かいてん ギヤを回 まわ す。ギヤによってロータリー・テーブルは50-300回 かい /分 ぶん で回 まわ され、四角形 しかっけい の中央 ちゅうおう の穴 あな に通 とお されたケリーパイプを回 まわ す。ケリーパイプの回転 かいてん は掘削 くっさく パイプを経由 けいゆ して先端 せんたん のドリルカラー、ドリルビットに伝 つた えられる。
クレーンで吊 つ り下 さ げられたパイプ類 るい の全体 ぜんたい は、地下 ちか 深 ふか くに長 なが く連 つら なるために、まとめて「ドリル・ストリング」と呼 よ ばれる。クレーンで吊 つ り下 さ げられた部分 ぶぶん は上 うえ から、トラベリング・ブロック、フック、ロータリー・スイベルと続 つづ き、ロータリー・スイベルは自由 じゆう に回転 かいてん することでこの上部 じょうぶ につながれたホースに回転 かいてん が伝 つた わらないようになっている。スイベルの下 した に断面 だんめん が四角 よつかど のケリーパイプがぶら下 さ がり、ケリーパイプの下 した に多数 たすう のドリルパイプが接続 せつぞく されている。先端 せんたん 部 ぶ にはドリルカラーと呼 よ ばれるパイプがあり、その最 もっと も端 はし にドリルビットがある。
掘削 くっさく パイプの先端 せんたん 部 ぶ に付 つ けられたドリルビットが地層 ちそう を削 けず ってゆく。地層 ちそう には柔 やわ らかいものや硬 かた いものがあり、柔 やわ らかい地層 ちそう では刃先 はさき が鋼鉄 こうてつ でも問題 もんだい 無 な いが、硬 かた い地層 ちそう では刃先 はさき にタングステン・カーバイドやダイヤモンドが使 つか われる。以下 いか に柔 やわ らかいものから硬 かた いものに対応 たいおう したドリルビットを示 しめ す。
ドラグ・ビット
ローリング・スリーコーン・カッター・ビット
タングステン・カーバイト・ボタン・ビット
ダイヤモンド・ビット
[ 3]
泥水 どろみず は油井 ゆせい 脇 わき のプール(泥水 どろみず ピット)で泥水 どろみず 調整 ちょうせい 剤 ざい によって調合 ちょうごう され、ポンプで油井 ゆせい 上部 じょうぶ から掘削 くっさく 管内 かんない 部 ぶ へと送 おく られる。掘削 くっさく 管 かん を通 とお った泥水 どろみず は先端 せんたん のドリルビットから噴出 ふんしゅつ して掘削 くっさく の為 ため の回転 かいてん に伴 ともな う摩擦 まさつ 熱 ねつ を奪 うば う。泥水 どろみず は、ドリルビットによって地下 ちか 岩石 がんせき などが粉砕 ふんさい された掘 ほ りクズと一緒 いっしょ に掘削 くっさく 管 かん の外側 そとがわ を上昇 じょうしょう して地上 ちじょう に到達 とうたつ する。地上 ちじょう に戻 もど ってきた泥水 どろみず は、フィルターによって大 おお きな掘 ほ りクズが取 と り除 のぞ かれ元 もと のプールに返 かえ される。泥水 どろみず は掘削 くっさく 孔 あな の内部 ないぶ に横 よこ の壁 かべ が崩 くず れる事 こと や、地層 ちそう 中 ちゅう に水 みず が浸入 しんにゅう するのを防 ふせ いでいる[ 3] 。
油田 ゆでん のクリスマスツリー
生産 せいさん 井 い の掘削 くっさく では油層 ゆそう 直上 ちょくじょう の不 ふ 透 とおる 層 そう まで通常 つうじょう 通 どお り掘 ほ り、掘削 くっさく 管 かん を抜 ぬ いて先端 せんたん が開 ひら いた、「水 みず 止 とめ 管 かん 」や「ケーシング」と呼 よ ばれる鉄管 てっかん を入 い れなおして管 かん の周囲 しゅうい をコンクリートで固 かた める。この管 かん の内部 ないぶ に細 ほそ めの「チュービング」と呼 よ ばれる掘削 くっさく 管 かん を通 とお して不 ふ 透 とおる 層 そう を掘 ほ りぬき目的 もくてき の油層 ゆそう で再 ふたた び掘削 くっさく 管 かん を抜 ぬ いて、その先端 せんたん 部 ぶ に小 ちい さな穴 あな がたくさん開 ひら いた採油 さいゆ 管 かん を入 い れて生産 せいさん 井 い は完成 かんせい する[ 2] 。
生産 せいさん 井 い ・圧入 あつにゅう 井 い の地上 ちじょう 部 ぶ には「クリスマスツリー」と呼 よ ばれる坑口 こうこう 装置 そうち が取 と り付 つ けられる。クリスマスツリーはバルブ、圧力 あつりょく 計 けい 、温度 おんど 計 けい 、流量 りゅうりょう 計 けい 、流量 りゅうりょう 制御 せいぎょ チョーク等 とう により構成 こうせい されている。油層 ゆそう 上部 じょうぶ 付近 ふきん のケーシングとチュービングの間 あいだ には「パッカー」と呼 よ ばれる閉鎖 へいさ 部 ぶ が設 もう けられる[ 3] 。
自噴 じふん しない油層 ゆそう からオイルを汲 く み上 あ げる方法 ほうほう の1つはポンプを使用 しよう する事 こと である。
採油 さいゆ するためのポンプには、いくつかの種類 しゅるい がある。
サッカーロッド・ポンプ の概略 がいりゃく 図 ず 1.エンジン 2.減速 げんそく ギヤ 3.クランクアーム 4.ヒットマンアーム 5.ビームウェイト 6.ワーキングビーム 7.ホースヘッド 8.サッカーロッド 9.チュービング 10.ポンプ 11.送 おく 油 あぶら 管 かん [ 5] [ 3]
サッカーロッド・ポンプ
地上 ちじょう に往復 おうふく 運動 うんどう をする装置 そうち を設置 せっち して、サッカーロッドを経由 けいゆ してパイプの底 そこ のピストンを駆動 くどう し、原油 げんゆ を汲 く み上 あ げる。ポンプジャック、ビームポンプとも呼 よ ばれる。1800年 ねん 頃 ごろ から登場 とうじょう し、2008年 ねん の現在 げんざい でも使用 しよう されているが、徐々 じょじょ に他 た のより効率 こうりつ の良 よ い方法 ほうほう に変 か わってきている。
サブマーシブル・ポンプ
水 みず 用 よう の井戸 いど と同様 どうよう にパイプの底 そこ にポンプを沈 しず め、原油 げんゆ を汲 く み上 あ げる。
ガスリフト・ポンプ
二 に 重 じゅう になった内部 ないぶ のパイプからパイプ先端 せんたん へガスを吹 ふ き込 こ み、ガスの圧力 あつりょく と上昇 じょうしょう 力 りょく を利用 りよう して、外側 そとがわ のパイプで底 そこ から原油 げんゆ を押 お し上 あ げる。ガスは再 さい 利用 りよう される。日本 にっぽん では一般 いっぱん 的 てき な方法 ほうほう 。
ハイドローリック・ポンプ
地上 ちじょう から原油 げんゆ を二 に 重 じゅう になった内部 ないぶ のパイプに圧力 あつりょく をかけて送 おく り込 こ み、この力 ちから で先端 せんたん 部 ぶ のピストン・ポンプを上下 じょうげ に駆動 くどう して外側 そとがわ のパイプで底 そこ から原油 げんゆ を押 お し上 あ げる[ 3] 。
蒸気 じょうき 注入 ちゅうにゅう (英語 えいご 版 ばん )
ロータリー・テーブルとケリーパイプを使 つか わずロータリースイベルの下 した に減速 げんそく 機 き 付 つ き電動 でんどう モーターを備 そな えたトップドライブ方式 ほうしき が使用 しよう されている。このトップドライブ方式 ほうしき によって従来 じゅうらい 、1本 ほん の掘削 くっさく パイプの継 つ ぎ足 た しごとに掘削 くっさく が停止 ていし されていたが、掘削 くっさく パイプが3本 ほん 程度 ていど が1つにつなげられているため作業 さぎょう の手間 てま と時間 じかん が3分 ぶん の1に削減 さくげん できる。
「傾斜 けいしゃ 掘 ほ り」と「水平 すいへい 掘 ほ り」は、21世紀 せいき 初頭 しょとう の現在 げんざい では当然 とうぜん のように使用 しよう されている掘削 くっさく 技術 ぎじゅつ である。
従来 じゅうらい 方式 ほうしき では曲 ま げたい箇所 かしょ にくると、掘削 くっさく 先 さき 端 はし に鋼鉄 こうてつ のクサビ型 がた ブロックを置 お いてドリルの方向 ほうこう を変 か えたが、21世紀 せいき の現在 げんざい では元々 もともと 10度 ど ほど屈曲 くっきょく したドリル先端 せんたん 部 ぶ を使 つか って屈曲 くっきょく 部 ぶ を掘 ほ り進 すす む。このドリルは加圧 かあつ された泥水 どろみず の流 なが れによって回転 かいてん 力 りょく が作 つく られるダウンホール・タービンのため、直線 ちょくせん 掘 ほ りにしたい場合 ばあい は地上 ちじょう から先端 せんたん を含 ふく むパイプ全体 ぜんたい をゆっくり回転 かいてん させることで屈曲 くっきょく 掘 ほ りを避 さ けることが出来 でき る。掘削 くっさく 中 ちゅう に屈曲 くっきょく 部 ぶ を作 つく ることで傾斜 けいしゃ 掘 ほ りとなり、更 さら に屈曲 くっきょく を行 おこ なえばドリルの掘 ほ り進 すす む方向 ほうこう が水平 すいへい 方向 ほうこう となって水平 すいへい 掘 ほ りになる。
傾斜 けいしゃ 掘 ほ りと水平 すいへい 掘 ほ りによって、目的 もくてき の油層 ゆそう の直上 ちょくじょう に住宅 じゅうたく 地 ち があろうと、場合 ばあい によっては他国 たこく の領土 りょうど であっても、近 ちか くの地上 ちじょう から掘 ほ り始 はじ めて地下 ちか で横 よこ 方向 ほうこう に掘 ほ る進 すす めることが出来 でき る。一本 いっぽん の垂直 すいちょく 孔 あな に対 たい して複数 ふくすう の穴 あな をあける「マルチラテラル」と呼 よ ばれる方法 ほうほう にも使用 しよう されている[ 4] 。
新 あら たな「ダイヤモンド・コンパクト・ビット」(Diamond compact bit)が登場 とうじょう している。従来 じゅうらい のドリル・ビットは分割 ぶんかつ された円錐 えんすい ギヤが回転 かいてん していたが、新型 しんがた ビットでは耐 たい 摩擦 まさつ 性 せい の高 たか い16分 ぶん の1インチ厚 あつし の合成 ごうせい ダイヤモンド でコートされた先端 せんたん 部 ぶ は固定 こてい されている。従来 じゅうらい ビットが約 やく 1万 まん ドルで新型 しんがた ビットが約 やく 10万 まん ドルであっても、1つのビットで6000フィートを一気 いっき に掘 ほ れるため、従来 じゅうらい のビット交換 こうかん のための時間 じかん と人件 じんけん 費 ひ が節約 せつやく 出来 でき るので経済 けいざい 的 てき となっている[ 4] 。
「コイル・チュービング・リグ」(Coil-tubing rig)も比較的 ひかくてき 新 あたら しい技術 ぎじゅつ である。これまでのようにまっすぐな鉄管 てっかん を何 なん 度 ど も継 つ ぎ足 た しながら地下 ちか へと伸 の ばしてゆく手間 てま を一気 いっき になくし、掘削 くっさく 管 かん は大 おお きなリールに巻 ま き取 と られた長 なが い屈曲 くっきょく したものとなっている。従来 じゅうらい の「ロータリー式 しき 」では地上 ちじょう から続 つづ く長大 ちょうだい なパイプ全体 ぜんたい が強力 きょうりょく なモーターによって回 まわ されていたが、本 ほん 方式 ほうしき ではチューブ自身 じしん は回転 かいてん せず、地上 ちじょう から圧 あつ 送 おく された泥水 どろみず の流 なが れによってダウンホール・タービンを回 まわ し、これによって先端 せんたん にあるビットだけが回転 かいてん する。21世紀 せいき 初頭 しょとう 現在 げんざい のところ、全 すべ ての掘削 くっさく に使 つか えるほど改良 かいりょう が進 すす んでいるわけではないが、すでに一部 いちぶ の油井 ゆせい での利用 りよう においてよい結果 けっか が出 で ているとされる[ 4] 。
1本 ほん の生産 せいさん 井 い で採 と れる原油 げんゆ の量 りょう は、3,000 - 4,000バレル /日 にち 程度 ていど が産油 さんゆ 国 こく では普通 ふつう である。その生産 せいさん 量 りょう は油田 ゆでん ごと異 こと なるが、地域 ちいき での差異 さい もはっきりとあり、もっとも少 すく ない日本 にっぽん では10バレル/日 にち 程度 ていど であり、アルジェリアやナイジェリアでは1,000 - 2,000バレル/日 にち 、サウジアラビアでは10,000バレル/日 にち 以上 いじょう となる[ 2] 。
日本 にっぽん では、新潟 にいがた 県 けん 新潟 にいがた 市 し 、新津 にいつ 油田 ゆでん を紹介 しょうかい する博物館 はくぶつかん 「石油 せきゆ の世界 せかい 館 かん 」にポンプ式 しき の油井 ゆせい の遺構 いこう が残 のこ っている。
油田 ゆでん の一覧 いちらん #日本 にっぽん も参照 さんしょう のこと
^ 藤 ふじ 和彦 かずひこ 著 ちょ 『石油 せきゆ を読 よ む』 日本経済新聞社 にほんけいざいしんぶんしゃ 2005年 ねん 2月 がつ 15日 にち 1版 はん 1刷 さつ 発行 はっこう ISBN 4-532-11056-4
^ a b c 著者 ちょしゃ 表記 ひょうき なし 『知 し っていますか石油 せきゆ の話 はなし 』 化学 かがく 工業 こうぎょう 日報 にっぽう 社 しゃ 1997年 ねん 2月 がつ 14日 にち 改訂 かいてい 第 だい 5版 はん 発行 はっこう ISBN 4-87326-235-6
^ a b c d e f g h 山崎 やまざき 豊彦 とよひこ 著 ちょ 『オイルフィールド・エンジニアリング入門 にゅうもん 』 海文堂 かいぶんどう 初版 しょはん ISBN 4-303-73420-9
^ a b c d e f g ケネス・S・ディフェス著 ちょ 秋山 あきやま 淑子 としこ 訳 やく 「石油 せきゆ が消 き える日 ひ 」 パンローリング株式会社 かぶしきがいしゃ 2007年 ねん 8月 がつ 5日 にち 初版 しょはん 第 だい 一 いち 刷 さつ 発行 はっこう ISBN 978-4-7759-7088-1
^ a b c 小西 こにし 誠一 せいいち 著 ちょ 『石油 せきゆ のおはなし』 日本 にっぽん 規格 きかく 協会 きょうかい 第 だい 1版 はん 第 だい 1刷 さつ ISBN 4-542-90229-3
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