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油井ゆせい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドイツニーダーザクセンしゅうにある油井ゆせい写真しゃしんうつっている採掘さいくつ装置そうちはポンプジャックとばれ上下じょうげうご原油げんゆす。
メキシコわんにある海上かいじょう油田ゆでん掘削くっさくプラットフォーム

油井ゆせい(ゆせい)とは、油田ゆでんにおいて原油げんゆ採掘さいくつするために使つか井戸いどのこと。地上ちじょうもしくは海上かいじょうから油層ゆそう原油げんゆ含有がんゆうする地層ちそう)にボーリングあな穿うがち、パイプがれられる。原油げんゆは、このパイプをつうじてされる。

歴史れきし

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21世紀せいき初頭しょとう現在げんざい一般いっぱんてき油井ゆせい掘削くっさく使つかわれているロータリーしき掘削くっさくほう当初とうしょ水井みずいりとして1841ねん(または1845ねん)にフランスじんのフォーベルによって発明はつめいされ、フランスじん土木どぼく技師ぎしレショットが実用じつようした。19世紀せいきから20世紀せいきにかけてそれまでの衝撃しょうげきしき掘削くっさく方式ほうしきがロータリーしきってわられた。1901ねんにアメリカじんキャプテン・ルーカスがテキサスのスピンドルトップではじめて油田ゆでん掘削くっさく使用しようし、大量たいりょう原油げんゆのちにアメリカをはじ世界せかい各国かっこく使用しようされるようになった。

油井ゆせいのプロセス

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探索たんさく

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最新さいしん科学かがくてき知見ちけんとデータ分析ぶんせき電気でんきけんそう人工じんこう衛星えいせいによる地質ちしつ写真しゃしん人工じんこう地震じしん探査たんさ地上ちじょう目視もくし探査たんさ海上かいじょうからの音響おんきょう探査たんさなどで油田ゆでん存在そんざい可能かのうせいたかいとおもわれるサイトを特定とくていする。すべては地質ちしつ学者がくしゃ仕事しごとである。

さん次元じげん地震じしん探鉱たんこう技術ぎじゅつでは人工じんこう地震じしん探査たんさ音響おんきょう探査たんさのデータをコンピュータの高速こうそく演算えんざんによって解析かいせきすることで、地下ちか立体りったいてき内部ないぶ構造こうぞうるようにわかるようになったためにこれまで見逃みのがされていた油田ゆでんつかるようになっている。

また、あぶらしをはじめてからもさん次元じげん地震じしん探鉱たんこうおこなつづけることで地下ちかでの原油げんゆ移動いどうじょうきょうわかるため、地下ちかのこ原油げんゆらすことが可能かのうとなっている。これはさん次元じげん地震じしん探鉱たんこう時間じかんじくくわわるためによん次元じげん地震じしん探鉱たんこう技術ぎじゅつばれる[1]

試掘しくつ

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探索たんさくによって油田ゆでん存在そんざい可能かのうせいたかいとおもわれるサイトにおいてためりをおこなう。ためりによって油層ゆそう発見はっけんできればつぎ段階だんかいへとすすむが、発見はっけんできなければ探索たんさく続行ぞっこうする。また、ためりでは随時ずいじ「(ボーリング)コア」とばれる地下ちかのサンプルがされるので、それによっても油層ゆそう付近ふきん存在そんざいするかといった情報じょうほうられる。

試掘しくつちかくにさらに井戸いど複数ふくすう場合ばあいがあり、それらは最初さいしょ試掘しくつ区別くべつする場合ばあいには探鉱たんこうばれる[2]

さいわ油層ゆそうあたり、内部ないぶ圧力あつりょくたか状態じょうたいでは原油げんゆ天然てんねんガスみずか噴出ふんしゅつする(自噴じふんする)。可燃かねんせいたか毒性どくせい高圧こうあつ噴出ふんしゅつぶつれる準備じゅんび出来できていないうちでの噴出ふんしゅつは暴噴(Blowout)とばれ、作業さぎょうしゃただちに遮断しゃだんスイッチをして避難ひなんする。遮断しゃだんスイッチはふかすうひゃくフィート、また地表ちひょうめん[3]あらかじめ固定こていされているサーフェース・ケーシング(Surface casing)とばれる装置そうち頭部とうぶのブローアウト・プリベンター(Blowout preventer、BOPぼう装置そうち)を作動さどうさせてBOPのバルブを閉鎖へいさする[4]

この段階だんかい採算さいさんれるだけの原油げんゆまたは原油げんゆとガスがれる油田ゆでん(ガス油田ゆでん)と、天然てんねんガスしかないガスかれる。

生産せいさん掘削くっさく

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普通ふつう試掘しくつとはべつに、原油げんゆよう生産せいさんをいくつかる。これは試掘しくつ石油せきゆふかさにあなをあけていたりするためでもある。この生産せいさん建設けんせつ掘削くっさく同時どうじ平行へいこうで、生産せいさん周囲しゅうい地上ちじょうしゅうおくあぶら貯油施設しせつ建設けんせつおこなわれる。

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いち回収かいしゅう
油層ゆそう圧力あつりょくたか状態じょうたいでは原油げんゆみずか噴出ふんしゅつする(自噴じふんする)が、油層ゆそう圧力あつりょくひく状態じょうたいでは自噴じふんせずポンプによって原油げんゆげる。これらの方法ほうほういち回収かいしゅう(Primary recovery)という。
天然てんねんガスが油層ゆそう上部じょうぶまっている場合ばあいは、原油げんゆげによってこのガスキャップが膨張ぼうちょう原油げんゆすので、いち回収かいしゅうによって回収かいしゅうできる原油げんゆ総量そうりょう概算がいさん40%になる。ガスキャップがない場合ばあいは、原油げんゆなかんだ天然てんねんガスがあわとなって膨張ぼうちょうするだけであり、いち回収かいしゅうによって回収かいしゅうできる原油げんゆ総量そうりょう概算がいさん20%になる[4]
回収かいしゅう
いち回収かいしゅう回収かいしゅうできるのは油層ゆそうふくまれる原油げんゆ一部いちぶでしかなく、いち回収かいしゅうでは生産せいさんができなくなった油井ゆせいでは、原油げんゆ分離ぶんりしてみず天然てんねんガスを油層ゆそう注入ちゅうにゅうのこった原油げんゆ加圧かあつして回収かいしゅうする。これを回収かいしゅう(Secondary recovery)という。
みず注入ちゅうにゅうする方法ほうほうは「みずおさむほう」(Water flooding)、ガスを注入ちゅうにゅうする方法ほうほうは「ガス圧入あつにゅうほう」(Gas injection)とばれ、総称そうしょうして回復かいふくほう(Improved Oil Recovery)とぶこともある。21世紀せいき初頭しょとう現在げんざいでは、それによって総合そうごうてき回収かいしゅうりょうえると見込みこまれる場合ばあいには、いち回収かいしゅう最初さいしょからみずやガスを注入ちゅうにゅうするようになっている。
みずおさむほうの「みず効果こうか」で回収かいしゅうできる原油げんゆは、内部ないぶみずすで自然しぜんせっしている場合ばあいで、いち回収かいしゅうぶんふくめて総量そうりょう概算がいさん60%になる。ガス圧入あつにゅうほうみずしほど有効ゆうこうではないが、圧入あつにゅうする天然てんねんガスは原油げんゆ回収かいしゅうともなって産出さんしゅつされるガスであり、従来じゅうらいガスフレアによって焼却しょうきゃく処分しょぶんされていたほどである。
21世紀せいき初頭しょとう現在げんざいでは天然てんねんガスはLPGとして有効ゆうこう利用りようされるため焼却しょうきゃく処分しょぶんはあまりおこなわれないが、いずれにしても油井ゆせい現場げんばにふんだんにあって原油げんゆ十分じゅうぶんしたのちでもふたたせるため、ガス圧入あつにゅうほうとして利用りようされることおお[4]
さん回収かいしゅう
回収かいしゅうでものこった原油げんゆ回収かいしゅうするためにさん回収かいしゅう(Enhanced Oil Recovery,EOR)または強制きょうせい回収かいしゅうほうばれる技術ぎじゅつ開発かいはつ実用じつようすすんでいる。これは水蒸気すいじょうき炭酸たんさんガス界面かいめん活性かっせいざい洗剤せんざい)などを注入ちゅうにゅうして原油げんゆ流動りゅうどうせい改善かいぜんする方法ほうほうである。
水蒸気すいじょうき圧入あつにゅうする方法ほうほうは「水蒸気すいじょうきおさむほう」(Steam floods)とばれ、水蒸気すいじょうきによって沈積ちんせきしたねばたびたか石油せきゆあたためてパラフィンアスファルトあたたかして、凝結ぎょうけつしたみずとも流動りゅうどうさせる方法ほうほうである。水蒸気すいじょうき回収かいしゅうとはべつ井戸いどから圧入あつにゅうする場合ばあいと、「ハフ・アンド・パフほう」(Huff and puff)とばれる水蒸気すいじょうき注入ちゅうにゅう石油せきゆ回収かいしゅうを1つの回収かいしゅう井戸いど交互こうごおこなう方法ほうほうがある。
二酸化炭素にさんかたんそ圧入あつにゅうする方法ほうほうは「炭素たんそガスおさむほう」(Carbon dioxiside floods)とばれ気体きたいまたみずかした二酸化炭素にさんかたんそ圧入あつにゅうする方法ほうほうである。二酸化炭素にさんかたんそみずにもけるが、石油せきゆにはさらによくけるために、二酸化炭素にさんかたんそ圧入あつにゅうすれば石油せきゆ石油せきゆ膨張ぼうちょうするために回収かいしゅう容易よういとなる。回収かいしゅうした石油せきゆからは二酸化炭素にさんかたんそ分離ぶんりさせてふたた圧入あつにゅう使用しようする。
界面かいめん活性かっせいざい洗剤せんざい)を圧入あつにゅうする方法ほうほうは「洗剤せんざいおさむほう」(Detargent floods)とばれ、みず少量しょうりょう洗剤せんざいかして圧入あつにゅうする。洗剤せんざいあぶらこまかなつぶつつむため岩石がんせきすなとの接着せっちゃくがはずれて流動りゅうどうせいす。あさ油層ゆそうたいして効果こうかたかく、ふかそうでは高温こうおんのために洗剤せんざい分解ぶんかいされてしまうため使用しようされない。
「ミシブルおさむほう」(Miscible floods)とばれる方法ほうほう使つかえば回収かいしゅうりつが100%ちかくになる。これはブタンプロパンといった液化えきかガスを注入ちゅうにゅうすること油層ゆそうから原油げんゆあらなが方法ほうほうである。ただブタン、プロパンといったガスは比較的ひかくてき高価こうかであるため、油層ゆそうれがなくみずふくまれていない場合ばあいかぎり、原油げんゆ回収かいしゅうにこれらのガスも回収かいしゅうできる見込みこみがあれば実施じっしされる。
空気くうきんでける「おさむほう」(Fire floods)とばれる方法ほうほうもある(空気くうきりょう調整ちょうせいするので、油層ゆそうない石油せきゆすべえたりすることはない)。ねつくわえて石油せきゆ流動りゅうどうせいたかめる方法ほうほうである。

閉鎖へいさ

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原油げんゆとガスともにされたのちあな閉鎖へいさされ、装置そうちるいすべてはのぞかれて地上ちじょう場合ばあい更地さらちにされる。

基本きほんてき掘削くっさく

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油井ゆせい概略がいりゃく
1.泥水どろみずピット 2.シェールシェーカー.泥水どろみずポンプ 5.駆動くどうエンジン 7.ドローウォーク 8.スタンドパイプ 13.滑車かっしゃ 14.やぐら 18.スイベル 19.ケリーパイプ 20.ロータリーテーブル 23.暴噴防止ぼうし装置そうち(BOP)26.ドリル・ビット 28.泥水どろみずライン[3][5]

地上ちじょうでの石油せきゆ掘削くっさく基本きほんてきなロータリー方式ほうしきでの構成こうせいについて記述きじゅつする。基本きほんてき構成こうせいは「やぐら」「掘削くっさくかん」「泥水どろみず」のおおきく3つにけられる。

  • 油井ゆいやぐら
    • ロータリー装置そうち、クレーンるい、エンジンるい電動でんどう蒸気じょうき、ディーゼル)
  • 掘削くっさくかん
    • ドリルビット
  • 泥水どろみず
    • 泥水どろみず調整ちょうせいざいみずあぶらベントナイト、バライト、クロム、化学かがく薬品やくひん)、ポンプやフィルター、泥水どろみずピット、ホースと配管はいかんるい

ドリルビット、泥水どろみず調整ちょうせいざい消耗しょうもうひんである[4][5][3]


回転かいてんりょく

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エンジンでつくられたちからはドローウォークとばれる回転かいてんかいしてやぐらの基部きぶ中央ちゅうおうにあるロータリー・テーブルの回転かいてんギヤをまわす。ギヤによってロータリー・テーブルは50-300かいぶんまわされ、四角形しかっけい中央ちゅうおうあなとおされたケリーパイプをまわす。ケリーパイプの回転かいてん掘削くっさくパイプを経由けいゆして先端せんたんのドリルカラー、ドリルビットにつたえられる。

ドリル・ストリング

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クレーンでげられたパイプるい全体ぜんたいは、地下ちかふかくにながつらなるために、まとめて「ドリル・ストリング」とばれる。クレーンでげられた部分ぶぶんうえから、トラベリング・ブロック、フック、ロータリー・スイベルとつづき、ロータリー・スイベルは自由じゆう回転かいてんすることでこの上部じょうぶにつながれたホースに回転かいてんつたわらないようになっている。スイベルのした断面だんめん四角よつかどのケリーパイプがぶらがり、ケリーパイプのした多数たすうのドリルパイプが接続せつぞくされている。先端せんたんにはドリルカラーとばれるパイプがあり、そのもっとはしにドリルビットがある。

ドリルビット

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掘削くっさくパイプの先端せんたんけられたドリルビットが地層ちそうけずってゆく。地層ちそうにはやわらかいものやかたいものがあり、やわらかい地層ちそうでは刃先はさき鋼鉄こうてつでも問題もんだいいが、かた地層ちそうでは刃先はさきにタングステン・カーバイドやダイヤモンドが使つかわれる。以下いかやわらかいものからかたいものに対応たいおうしたドリルビットをしめす。

  • ドラグ・ビット
  • ローリング・スリーコーン・カッター・ビット
  • タングステン・カーバイト・ボタン・ビット
  • ダイヤモンド・ビット

[3]

泥水どろみず

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泥水どろみず油井ゆせいわきのプール(泥水どろみずピット)で泥水どろみず調整ちょうせいざいによって調合ちょうごうされ、ポンプで油井ゆせい上部じょうぶから掘削くっさく管内かんないへとおくられる。掘削くっさくかんとおった泥水どろみず先端せんたんのドリルビットから噴出ふんしゅつして掘削くっさくため回転かいてんともな摩擦まさつねつうばう。泥水どろみずは、ドリルビットによって地下ちか岩石がんせきなどが粉砕ふんさいされたりクズと一緒いっしょ掘削くっさくかん外側そとがわ上昇じょうしょうして地上ちじょう到達とうたつする。地上ちじょうもどってきた泥水どろみずは、フィルターによっておおきなりクズがのぞかれもとのプールにかえされる。泥水どろみず掘削くっさくあな内部ないぶよこかべくずれることや、地層ちそうちゅうみず浸入しんにゅうするのをふせいでいる[3]

生産せいさん

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油田ゆでんのクリスマスツリー

生産せいさん掘削くっさくでは油層ゆそう直上ちょくじょうとおるそうまで通常つうじょうどおり、掘削くっさくかんいて先端せんたんひらいた、「みずとめかん」や「ケーシング」とばれる鉄管てっかんれなおしてかん周囲しゅういをコンクリートでかためる。このかん内部ないぶほそめの「チュービング」とばれる掘削くっさくかんとおしてとおるそうりぬき目的もくてき油層ゆそうふたた掘削くっさくかんいて、その先端せんたんちいさなあながたくさんひらいた採油さいゆかんれて生産せいさん完成かんせいする[2]

生産せいさん圧入あつにゅう地上ちじょうには「クリスマスツリー」とばれる坑口こうこう装置そうちけられる。クリスマスツリーはバルブ、圧力あつりょくけい温度おんどけい流量りゅうりょうけい流量りゅうりょう制御せいぎょチョークとうにより構成こうせいされている。油層ゆそう上部じょうぶ付近ふきんのケーシングとチュービングのあいだには「パッカー」とばれる閉鎖へいさもうけられる[3]

ポンプ採油さいゆ

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自噴じふんしない油層ゆそうからオイルをげる方法ほうほうの1つはポンプを使用しようすることである。 採油さいゆするためのポンプには、いくつかの種類しゅるいがある。

サッカーロッド・ポンプ概略がいりゃく
1.エンジン 2.減速げんそくギヤ 3.クランクアーム 4.ヒットマンアーム 5.ビームウェイト 6.ワーキングビーム 7.ホースヘッド 8.サッカーロッド 9.チュービング 10.ポンプ 11.おくあぶらかん[5][3]
サッカーロッド・ポンプ

地上ちじょう往復おうふく運動うんどうをする装置そうち設置せっちして、サッカーロッドを経由けいゆしてパイプのそこのピストンを駆動くどうし、原油げんゆげる。ポンプジャック、ビームポンプともばれる。1800ねんごろから登場とうじょうし、2008ねん現在げんざいでも使用しようされているが、徐々じょじょのより効率こうりつ方法ほうほうわってきている。

サブマーシブル・ポンプ

みずよう井戸いど同様どうようにパイプのそこにポンプをしずめ、原油げんゆげる。

ガスリフト・ポンプ

じゅうになった内部ないぶのパイプからパイプ先端せんたんへガスをみ、ガスの圧力あつりょく上昇じょうしょうりょく利用りようして、外側そとがわのパイプでそこから原油げんゆげる。ガスはさい利用りようされる。日本にっぽんでは一般いっぱんてき方法ほうほう

ハイドローリック・ポンプ

地上ちじょうから原油げんゆじゅうになった内部ないぶのパイプに圧力あつりょくをかけておくみ、このちから先端せんたんのピストン・ポンプを上下じょうげ駆動くどうして外側そとがわのパイプでそこから原油げんゆげる[3]

蒸気じょうき注入ちゅうにゅう英語えいごばん

掘削くっさく技術ぎじゅつ

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トップドライブ方式ほうしき

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ロータリー・テーブルとケリーパイプを使つかわずロータリースイベルのした減速げんそく電動でんどうモーターをそなえたトップドライブ方式ほうしき使用しようされている。このトップドライブ方式ほうしきによって従来じゅうらい、1ほん掘削くっさくパイプのしごとに掘削くっさく停止ていしされていたが、掘削くっさくパイプが3ほん程度ていどが1つにつなげられているため作業さぎょう手間てま時間じかんが3ぶんの1に削減さくげんできる。

傾斜けいしゃり、水平すいへい

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傾斜けいしゃり」と「水平すいへいり」は、21世紀せいき初頭しょとう現在げんざいでは当然とうぜんのように使用しようされている掘削くっさく技術ぎじゅつである。

従来じゅうらい方式ほうしきではげたい箇所かしょにくると、掘削くっさくさきはし鋼鉄こうてつのクサビがたブロックをいてドリルの方向ほうこうえたが、21世紀せいき現在げんざいでは元々もともと10ほど屈曲くっきょくしたドリル先端せんたん使つかって屈曲くっきょくすすむ。このドリルは加圧かあつされた泥水どろみずながれによって回転かいてんりょくつくられるダウンホール・タービンのため、直線ちょくせんりにしたい場合ばあい地上ちじょうから先端せんたんふくむパイプ全体ぜんたいをゆっくり回転かいてんさせることで屈曲くっきょくりをけることが出来できる。掘削くっさくちゅう屈曲くっきょくつくることで傾斜けいしゃりとなり、さら屈曲くっきょくおこなえばドリルのすす方向ほうこう水平すいへい方向ほうこうとなって水平すいへいりになる。

傾斜けいしゃりと水平すいへいりによって、目的もくてき油層ゆそう直上ちょくじょう住宅じゅうたくがあろうと、場合ばあいによっては他国たこく領土りょうどであっても、ちかくの地上ちじょうからはじめて地下ちかよこ方向ほうこうすすめることが出来できる。一本いっぽん垂直すいちょくあなたいして複数ふくすうあなをあける「マルチラテラル」とばれる方法ほうほうにも使用しようされている[4]

特殊とくしゅ掘削くっさく

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ダイヤモンド・コンパクト・ビット

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あらたな「ダイヤモンド・コンパクト・ビット」(Diamond compact bit)が登場とうじょうしている。従来じゅうらいのドリル・ビットは分割ぶんかつされた円錐えんすいギヤが回転かいてんしていたが、新型しんがたビットではたい摩擦まさつせいたかい16ぶんの1インチあつし合成ごうせいダイヤモンドでコートされた先端せんたん固定こていされている。従来じゅうらいビットがやく1まんドルで新型しんがたビットがやく10まんドルであっても、1つのビットで6000フィートを一気いっきれるため、従来じゅうらいのビット交換こうかんのための時間じかん人件じんけん節約せつやく出来できるので経済けいざいてきとなっている[4]

コイル・チュービング・リグ

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「コイル・チュービング・リグ」(Coil-tubing rig)も比較的ひかくてきあたらしい技術ぎじゅつである。これまでのようにまっすぐな鉄管てっかんなんしながら地下ちかへとばしてゆく手間てま一気いっきになくし、掘削くっさくかんおおきなリールにられたなが屈曲くっきょくしたものとなっている。従来じゅうらいの「ロータリーしき」では地上ちじょうからつづ長大ちょうだいなパイプ全体ぜんたい強力きょうりょくなモーターによってまわされていたが、ほん方式ほうしきではチューブ自身じしん回転かいてんせず、地上ちじょうからあつおくされた泥水どろみずながれによってダウンホール・タービンをまわし、これによって先端せんたんにあるビットだけが回転かいてんする。21世紀せいき初頭しょとう現在げんざいのところ、すべての掘削くっさく使つかえるほど改良かいりょうすすんでいるわけではないが、すでに一部いちぶ油井ゆせいでの利用りようにおいてよい結果けっかているとされる[4]

油井ゆせいごとの生産せいさんりょう

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1ほん生産せいさんれる原油げんゆりょうは、3,000 - 4,000バレル/にち程度ていど産油さんゆこくでは普通ふつうである。その生産せいさんりょう油田ゆでんごとことなるが、地域ちいきでの差異さいもはっきりとあり、もっともすくない日本にっぽんでは10バレル/にち程度ていどであり、アルジェリアやナイジェリアでは1,000 - 2,000バレル/にち、サウジアラビアでは10,000バレル/にち以上いじょうとなる[2]

その

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日本にっぽん油井ゆせい

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日本にっぽんでは、新潟にいがたけん新潟にいがた新津にいつ油田ゆでん紹介しょうかいする博物館はくぶつかん石油せきゆ世界せかいかん」にポンプしき油井ゆせい遺構いこうのこっている。

油田ゆでん一覧いちらん#日本にっぽん参照さんしょうのこと

出典しゅってん

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  1. ^ ふじ和彦かずひこちょ 『石油せきゆむ』 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ 2005ねん2がつ15にち1はん1さつ発行はっこう ISBN 4-532-11056-4
  2. ^ a b c 著者ちょしゃ表記ひょうきなし 『っていますか石油せきゆはなし』 化学かがく工業こうぎょう日報にっぽうしゃ 1997ねん2がつ14にち改訂かいていだい5はん発行はっこう ISBN 4-87326-235-6
  3. ^ a b c d e f g h 山崎やまざき豊彦とよひこちょ 『オイルフィールド・エンジニアリング入門にゅうもん』 海文堂かいぶんどう 初版しょはん ISBN 4-303-73420-9
  4. ^ a b c d e f g ケネス・S・ディフェスちょ 秋山あきやま淑子としこやく石油せきゆえる」 パンローリング株式会社かぶしきがいしゃ 2007ねん8がつ5にち初版しょはんだいいちさつ発行はっこう ISBN 978-4-7759-7088-1
  5. ^ a b c 小西こにし誠一せいいちちょ 『石油せきゆのおはなし』 日本にっぽん規格きかく協会きょうかい だい1はんだい1さつ ISBN 4-542-90229-3

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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  • Schlumberger glossary - 石油せきゆ掘削くっさく会社かいしゃ辞書じしょページ(英語えいご