発明はつめい

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発明はつめい(はつめい、えい: invention)は、従来じゅうらいみられなかった新規しんきもの方法ほうほうかんがすことである。つくられた新規しんきなもの自体じたいすこともあり、新規しんきなものをつく行為こうい自体じたいをさすこともある。既存きそんのモデルや観念かんねんから派生はせいする発明はつめいもあれば、まったく独自どくじ考案こうあんされる発明はつめいもあり、後者こうしゃおおきな飛躍ひやくむ。社会しゃかい風習ふうしゅう慣習かんしゅう革新かくしん一種いっしゅ発明はつめいである[1]とう業者ぎょうしゃにとって新規しんきせい進歩しんぽせいみとめられる発明はつめいは、特許とっきょ取得しゅとくすることで法的ほうてきまもることができる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

人類じんるいはその歴史れきしじょう様々さまざま道具どうぐつくり、自然しぜん法則ほうそく発見はっけんし、またそれらをわせてさらに有用ゆうよう機械きかい器具きぐ材料ざいりょう素材そざいなどをつくすことで、総体そうたいとして生活せいかつゆたかにしてきた。そうしたあたらしい発明はつめいひん工夫くふうはしばしば発明はつめい考案こうあんしゃ発明はつめいひん製造せいぞうしゃ供給きょうきゅうしゃとみをもたらした。発明はつめい内容ないようあきらかになった場合ばあい、その模倣もほうによって利益りえきるものがあらわれる場合ばあいもある。模倣もほうおそれて有益ゆうえき発明はつめい一部いちぶものだけの秘密ひみつにすることにより、社会しゃかいてきには損失そんしつまねくおそれもあった。

そのため、近代きんだいでは社会しゃかい有用ゆうよう発明はつめいをなした場合ばあい、それを公開こうかいすることとえに、発明はつめい使用しようあるいはもの使用しようさせたりする独占どくせんてき権利けんり発明はつめいしゃあたえることによって、発明はつめいしゃ個人こじん(あるいは法人ほうじん)と社会しゃかい利益りえきとのバランスをとるような制度せいどが、あるとき[いつ?]さかいに、次第しだいひろまってきた。

発明はつめい歴史れきしは「ひと裁判さいばんかね歴史れきし」といわれる。発明はつめいしゃだれなのかをめぐりあらそいがあり、開発かいはつ特許とっきょりょう莫大ばくだいなおかねうごくからである。また、発明はつめいいたるまでには先人せんじんによる「技術ぎじゅつ連続れんぞくせい」と他者たしゃによる「同時どうじ進行しんこう開発かいはつ」がけられない。結果けっかとして、発明はつめいしゃといえるひと複数ふくすう存在そんざいする場合ばあいもある[2]

なお、「発明はつめい」のかたり史記しき漢書かんしょこう漢書かんしょにもられるものの、漢語かんごとしては発見はっけん同旨どうしであったとされている[3]きん現代げんだい発明はつめい意味いみもちいられるようになった初期しょきれいオランダ風説ふうせつしょ添付てんぷ文書ぶんしょである別段べつだん風説ふうせつしょ(Apart Nieuws)などにみられる(ひろし4(1847)ねん6がつ26にちづけ風説ふうせつしょ[3]

発明はつめいのプロセス[編集へんしゅう]

発明はつめい創造そうぞう過程かていである。ひらかれた、好奇心こうきしんあふれるしん既知きちのもののこうを見通みとおすことを可能かのうにする。あらたな可能かのうせいあらたなつながり、あらたな関係かんけい見出みいだすことで発明はつめいへのひらめきがまれる。創意そういんだ思考しこうは、普通ふつうならわせようとはかんがえないことなる分野ぶんや要素ようそ概念がいねん結合けつごうすることがよくある。発明はつめい明確めいかく区別くべつされている分野ぶんや境界きょうかいせんをまたぐことがある。ある分野ぶんやでのかんがかた手法しゅほう道具立どうぐだてを、想像そうぞうもしていなかったことなる分野ぶんや適用てきようする。

あそび・好奇心こうきしん

あそから発明はつめいまれることもある。砂場すなば実験じっけん想像そうぞうあそぶといった幼年ようねん好奇心こうきしんは、ひとあそびの才能さいのう発達はったつさせる。発明はつめい興味きょうみある対象たいしょうあそ探究たんきゅうする必要ひつようせいかんじ、その内的ないてき衝動しょうどう斬新ざんしん創造そうぞうをもたらすことになる[4]。「わたしは1にちたりとも労働ろうどうしたことがなかった。すべてがたのしかったからだ」とはトーマス・エジソン言葉ことばである。発明はつめいはまた、執念しゅうねんともいえる。

想像そうぞうゆめ

発明はつめいとは、あらためて見直みなおすことである。発明はつめいあらたなアイデアを想像そうぞうし、しんなかでそれをる。意識いしき主題しゅだい課題かだいからそれたとき、なにべつのことにをそらされたとき、あるいはくつろいだりねむったりしているときにあらたなアイデアがしょうじることがある。独創どくそうてきアイデアは一瞬いっしゅんにしてしょうじることがある。いわゆる「Eureka!」の瞬間しゅんかんである。たとえば、アルベルト・アインシュタイン一般いっぱん相対性理論そうたいせいりろん完成かんせいさせようとなんねんはたらいたのち突然とつぜん奇妙きみょうゆめ結論けつろんいたったという[5]偶然ぐうぜん発明はつめいというものもあり、たとえばポリテトラフルオロエチレン(テフロン)の場合ばあい偶然ぐうぜんだった(とうよりもそれまで見過みすごされてていた事実じじつしん発見はっけんでもあった。)。

洞察どうさつ直観ちょっかん

発明はつめいには洞察どうさつという要素ようそ必須ひっすである。そのはじまりは疑問ぎもん直観ちょっかんということもある。あるいは、なんらかの異常いじょう偶然ぐうぜん結果けっか有益ゆうえきであるとかあらたなみちひらくものだと認識にんしきすることがはじまりとなることもある。たとえば、通常つうじょうすうせんばい触媒しょくばい偶然ぐうぜんくわえたことから奇妙きみょう金属きんぞくしょくプラスチックができ、その金属きんぞくてき特性とくせい研究けんきゅうはじめたことから、電気でんき伝導でんどうせいのあるプラスチックやひかりはっするプラスチックを発明はつめいすることになった。この発明はつめいにより2000ねんノーベル化学かがくしょう授与じゅよされ、照明しょうめい表示ひょうじ装置そうちなど様々さまざま分野ぶんや利用りようされている(導電性どうでんせい高分子こうぶんし有機ゆうきエレクトロルミネッセンス参照さんしょう[6]

インスピレーション、忍耐にんたい情熱じょうねつ

発明はつめいとは、結果けっかがわからないままおこな調査ちょうさ探究たんきゅうでもある。成功せいこうすることもあれば失敗しっぱいわることもある。インスピレーションからはじまった発明はつめいという行為こういは、たとえ最初さいしょのアイデアが完璧かんぺきであっても、発展はってんさせる必要ひつようがあるということがおおい。おおくの発明はつめい自分じぶんのアイデアをしんじ、なん失敗しっぱいしてもあきらめない忍耐にんたいちから自信じしん情熱じょうねつっていた。エジソンは期待きたいどおりの結果けっかをうまなかった実験じっけんをするたびに「よかった、成功せいこうするのはこのわせではない、という知識ちしきがひとつえた」とポジティブにとらえ、実験じっけん忍耐にんたいづよくつづけた。

予想よそうがい出来事できごと失敗しっぱいからのまな

期待きたいがい予想よそうがいのことがきたときおおくのひとが"失敗しっぱい"ととらえるようなことがきたときに)に、ただ落胆らくたんするだけでなく、そこからあたらしいこと(自分じぶんがまだらなかった法則ほうそく例外れいがいてき法則ほうそくうらわざ 等々とうとう)をまなぶことができるひとはそれを発明はつめい使つかうことができる(セレンディピティ)。

定番ていばんてき改良かいりょうほうによる発明はつめい vs しん分野ぶんや

なにかをより「効果こうかてきにする」「効率こうりつてきにする」「使つかいやすくする」「機能きのうくわえる」「長持ながもちするように改良かいりょうする」「安価あんかにする」「エコなものにする」「軽量けいりょうする」「人間にんげん工学こうがくてき設計せっけいにする」「構造こうぞう改良かいりょうする」などといった発明はつめいもある[7]。それらとは対照たいしょうてきインターネット電子でんしメール電話機でんわき電灯でんとうといった従来じゅうらい存在そんざいしなかったまったあたらしい発明はつめいもある。「必要ひつよう発明はつめいはは」といわれるが、ぎゃく発明はつめいによってあらたな需要じゅようまれることもある。エジソンが蓄音機ちくおんき発明はつめいする以前いぜんだれもそれを「必要ひつよう」とはおもっていなかった。需要じゅようからまれたのである。同様どうよう電話でんわ航空機こうくうき発明はつめいされるまえにそれらを想像そうぞうできたひとはほとんどいないが、いまではそれらなしでは社会しゃかいりたなくなっている[8]

発明はつめいのアイデアはかみコンピュータうえられ、試行錯誤しこうさくごしながらモデル構築こうちく実験じっけんかえし、改良かいりょうかさねてく。パブロ・ピカソジョルジュ・ブラック対話たいわキュビスムんだように、複数ふくすう人間にんげん協力きょうりょくによってまれた発明はつめいおおい。ブレインストーミングあらたなアイデアがまれることもある。このような協調きょうちょうてき創造そうぞうプロセスは設計せっけいしゃ建築けんちくしゃ科学かがくしゃがよく利用りようする。特許とっきょには複数ふくすう発明はつめいしゃしるされていることもめずらしくない。現代げんだいはなれた場所ばしょ人々ひとびと協調きょうちょうすることがかつてないほど容易よういになっている。発明はつめいおおくはその発明はつめいプロセスをノートや写真しゃしん記録きろくしていることがおおく、レオナルド・ダ・ヴィンチトーマス・ジェファーソン、アルベルト・アインシュタインの稿こう有名ゆうめいである[9]発明はつめいのプロセスにおいて、初期しょきのアイデアから変化へんかすることもある。より単純たんじゅんしてより実用じつようてきにする場合ばあいもあるし、まったことなるべつなにかに変貌へんぼうすることもある。1つの発明はつめいからべつ発明はつめい派生はせいすることもある。これに関連かんれんしてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、継続けいぞくてき出願しゅつがんという独特どくとく制度せいど採用さいようしている[10]

発明はつめいとその利用りようは、実用じつようじょう重要じゅうようせい影響えいきょうされることもある。なかにはその発明はつめいもっと有効ゆうこうはたら順序じゅんじょ発明はつめいされなかったものもある。たとえば、パラシュート航空機こうくうきよりまえ発明はつめいされた[11]発明はつめいされた当時とうじには製造せいぞうコストがたかすぎた発明はつめい実用じつようにはなんらかの技術ぎじゅつ革新かくしん必要ひつようとした発明はつめいもある[12]。そういった障害しょうがい経済けいざい発展はってん科学かがく技術ぎじゅつ進歩しんぽによって解消かいしょうされてきた。しかしたとえばレオナルド・ダ・ヴィンチ数々かずかず発明はつめいのように、たんなるアイデアだけの発明はつめい実用じつようされるのになに世紀せいきもかかる場合ばあいもあった[13]たんなるアイデアだけで実装じっそうされたことがない発明はつめいでも特許とっきょ保護ほごけることができる[14]

1つの発明はつめい様々さまざま用途ようと利用りようされることもあり、まったことなる用途ようと使用しようされる場合ばあい時代じだいとも用途ようと変化へんかする場合ばあいもある。ある発明はつめい発展はってんさせたバージョンはオリジナルの発明はつめいしゃ想像そうぞうもしていなかった用途ようと使つかわれることもある[15][16][17][18]たとえば合成ごうせい樹脂じゅし用途ようと種類しゅるいいま急激きゅうげき拡大かくだいしている[19][20][21]

法律ほうりつじょう発明はつめい[編集へんしゅう]

各国かっこくにおいて、発明はつめい特許とっきょによる保護ほご対象たいしょうである。しかしながら、発明はつめい定義ていぎ法律ほうりつ条文じょうぶんあきらかにしているくにすくない。おおくのくににおいて、発明はつめい定義ていぎは、法律ほうりつ条文じょうぶんではなく判例はんれい学説がくせつによってあたえられている。

以下いかのものが特許とっきょほうじょう発明はつめいとして特許とっきょけることができるかか、が法律ほうりつじょう問題もんだいとなる。

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽん発明はつめい定義ていぎ法律ほうりつ条文じょうぶんあたえる数少かずすくないくにひとつである。日本にっぽん特許とっきょほうでは、発明はつめいは「自然しぜん法則ほうそく利用りようした技術ぎじゅつてき思想しそう創作そうさくのうち高度こうどのもの」と定義ていぎされている(特許とっきょほう2じょう1こう)。

しかし、この定義ていぎは,たん一般いっぱん用語ようごの「技術ぎじゅつてき思想しそう)」を特許とっきょほうで「発明はつめい」という、といいかえたにぎない。肝心かんじんの「技術ぎじゅつ」の定義ていぎちている。そのため、特許とっきょほう2じょう1こう発明はつめい定義ていぎしているにもかかわらず、法律ほうりつじょう発明はつめいこうべたような,特許とっきょけられる発明はつめいかが問題もんだいとして未解決みかいけつである。

日本にっぽん特許とっきょほうにおける発明はつめい定義ていぎは、1959ねん特許とっきょほう全面ぜんめん改正かいせいときもうけられた。ドイツ法学ほうがくものヨセフ・コーラー定義ていぎ参考さんこうにしたものとわれている。

発明はつめいは、前記ぜんきしたように,もの発明はつめい方法ほうほう発明はつめいふたつに大別たいべつされ、方法ほうほう発明はつめいは、もの生産せいさんする方法ほうほう発明はつめいとそれ以外いがい方法ほうほう発明はつめい(いわゆる単純たんじゅん方法ほうほう発明はつめい)とに分類ぶんるいされる(特許とっきょほう2じょう3こう各号かくごう、4こう)。

発明はつめい同様どうよう概念がいねんとして、考案こうあんがある。実用じつよう新案しんあんほうだい2じょう1こうにおいて、考案こうあんは「自然しぜん法則ほうそく利用りようした技術ぎじゅつてき思想しそう創作そうさく」と定義ていぎされている。実用じつよう新案しんあんほうにおいては、特許とっきょほど、高度こうど発明はつめいである必要ひつようがなく、たんライフサイクルであるしょう発明はつめい保護ほごしたものである。実用じつよう新案しんあんほう場合ばあい特許とっきょほうことなり、方法ほうほう考案こうあん物質ぶっしつ医薬品いやくひんなど)の考案こうあんは、保護ほご対象たいしょうとならない。

発明はつめいについて、要式ようしき行為こういたる特許とっきょ出願しゅつがん特許とっきょほう36じょう)にもとづき、特許庁とっきょちょう登録とうろく要件ようけんたすかかを審査しんさして特許とっきょ査定さてい特許とっきょほう51じょう、164じょう)をなすと、設定せってい登録とうろく特許とっきょほう66じょう)により独占どくせん排他はいたけんたる特許とっきょけん発生はっせいする(特許とっきょほう68じょう)。

韓国かんこく[編集へんしゅう]

韓国かんこくもまた、発明はつめい定義ていぎ法律ほうりつ条文じょうぶんあたえる数少かずすくないくにひとつである。韓国かんこく特許とっきょほうでは、発明はつめいとは「自然しぜん法則ほうそく利用りようした技術ぎじゅつてき思想しそう創作そうさくとして高度こうどであるもの」(自然しぜん法則ほうそく을 이용한 技術ぎじゅつてき 思想しそう創作そうさく으로서 高度こうど한 것)と定義ていぎされている(特許とっきょほうだい2じょう)。

台湾たいわん[編集へんしゅう]

台湾たいわん中華民国ちゅうかみんこく)の特許とっきょほうでも、発明はつめい定義ていぎ条文じょうぶん規定きていされている。台湾たいわん特許とっきょほうにおいて発明はつめいとは、「自然しぜん法則ほうそく利用りようする技術ぎじゅつ思想しそう創作そうさく」(利用りよう自然しぜん法則ほうそく技術ぎじゅつ思想しそう創作そうさく)を意味いみする(せんほうだい21じょう)。

芸術げいじゅつにおける発明はつめい[編集へんしゅう]

芸術げいじゅつ歴史れきしなが発明はつめい歴史れきしでもある。発明はつめいてき思考しこう芸術げいじゅつてき創造そうぞうりょく重要じゅうよう部分ぶぶんになってきた。芸術げいじゅつにおける発明はつめい特許とっきょ取得しゅとくできるものもあるが、おおくの場合ばあい特許とっきょほうにおける「発明はつめい」の要件ようけんたさないため、特許とっきょ取得しゅとくできない。

美術びじゅつ・デザイン・建築けんちく[編集へんしゅう]

のうえがくものであって、えがくものではない

ミケランジェロ[22]

美術びじゅつなんさい発明はつめいされてきた。発明はつめいでもあった芸術げいじゅつ建築けんちく数多あまたくいる。かれらは、未知みち探究たんきゅうし、かべえ、旧来きゅうらい慣習かんしゅうて、あらたな領域りょういきへと到達とうたつするような創造そうぞうおこなってきた。20世紀せいきになると従来じゅうらいのルールをやぶることがもっと価値かちのあることとされるようになり、概念的がいねんてき革新かくしん賞賛しょうさんされ、あらたなジャンルをすようになった。20世紀せいきになってはじめて、有形ゆうけい個々ここ美術びじゅつひんよりも美術びじゅつひんなかのアイデアが重視じゅうしされるようになった。芸術げいじゅつ歴史れきしじょうつね発明はつめいおこなってきたとなすことができ、発明はつめい美術びじゅつ分野ぶんや重要じゅうよう貢献こうけんをしてきた。

ピカソのような芸術げいじゅつ作品さくひん制作せいさくする過程かてい発明はつめいとなる。発明はつめい芸術げいじゅつ作品さくひん別物べつものという芸術げいじゅつとしてレオナルド・ダ・ヴィンチがいる[13]美術びじゅつにおける発明はつめいには、それに先立さきだ科学かがく技術ぎじゅつ発展はってん利用りようしたものもある。たとえばピカソとフリオ・ゴンザレス溶接ようせつ技術ぎじゅつ使つかったあらたな彫刻ちょうこく発明はつめいし、コンピュータによってコンピュータアートなどのあらたな芸術げいじゅつ形態けいたいまれ、写真しゃしん映画えいが発明はつめいあらたな芸術げいじゅつ形態けいたいした。溶接ようせつによる彫刻ちょうこくのように、芸術げいじゅつにおける発明はつめいあらたな媒体ばいたいあるいはあらたな芸術げいじゅつ形態けいたい、あるいはその両方りょうほうという場合ばあいもある。たとえば、ピカソの発明はつめいしたコラージュマルセル・デュシャン発明はつめいしたレディ・メイドアレクサンダー・カルダー発明はつめいしたモビールロバート・ラウシェンバーグ発明はつめいしたコンバイン・ペインティング、フランク・ステラ発明はつめいした立体りったいてき絵画かいがエドワード・マイブリッジ[23]発明はつめいしたとされる映画えいがなどがある。作品さくひんあらたな制作せいさくほう開発かいはつするというかたち芸術げいじゅつさい発明はつめいすることもおこなわれてきた。たとえばジャクソン・ポロックまったあたらしい絵画かいが制作せいさく技法ぎほう発明はつめいし、キャンバスをゆかいてそこにをたらしたり、ちゅういだり、はねらしたりするあらたな抽象ちゅうしょう発明はつめいした。ピカソとブラック発明はつめいしたキュビスムのように[24]あらたな芸術げいじゅつ運動うんどう複数ふくすうひと協力きょうりょくしてした発明はつめいひんといえる。芸術げいじゅつやデザインや建築けんちくにおけるかなりの発明はつめいは、道具どうぐ発明はつめい改良かいりょうによって可能かのうになった。たとえば、印象派いんしょうは絵画かいがまれるには、屋外おくがい気軽きがるえがける金属きんぞくチューブへの封入ふうにゅうという発明はつめい必要ひつようだった。芸術げいじゅつにおける発明はつめい用途ようと発展はってんすることもあり、たとえばアレクサンダー・カルダーのモビールはベビーベッドのうえるして使つかわれるようになっている。芸術げいじゅつ・デザイン・建築けんちくにおける発明はつめい特許とっきょからられた資金しきんで、発明はつめい創造そうぞうてき仕事しごと実現じつげんをサポートすることもある。フレデリク・バルトルディ自由じゆう女神めがみぞう特許とっきょを1879ねん取得しゅとくし、その小型こがたのレプリカの製造せいぞう販売はんばいからライセンスりょう徴収ちょうしゅうしてニューヨークの自由じゆう女神めがみぞうてる資金しきん一部いちぶとした[25]

芸術げいじゅつ、デザイナー、建築けんちく発明はつめいでもある人物じんぶつとしては、フィリッポ・ブルネッレスキル・コルビュジエナウム・ガボルイス・カムフォート・ティファニーバックミンスター・フラーウォルト・ディズニーマン・レイイヴ・クラインイオ・ミン・ペイヘレン・フランケンサーラーらがいる。なかには特許とっきょされた発明はつめいもある。特許とっきょ要件ようけんたさない発明はつめいもあり、とくにデュシャンのレディ・メイドのように従来じゅうらい技法ぎほうとの明確めいかくちがいをしめせない場合ばあいがそれにあたる。抽象ちゅうしょう絵画かいが油彩ゆさいインスタレーションといった発明はつめい発明はつめいしゃ不明ふめいであり、当然とうぜんながら特許とっきょされなかった。また、ピカソはコラージュの発明はつめいしゃだとされているが、西洋せいよう以外いがい文化ぶんかにはもっと以前いぜんから同様どうよう技法ぎほう存在そんざいした。

特許とっきょ取得しゅとく可能かのう美術びじゅつ関連かんれん発明はつめいは、あらたな素材そざい媒体ばいたい・イメージ・制作せいさくほう使つかったものや斬新ざんしんなデザインのもの、あるいはそれらのわせである。フィリッポ・ブルネッレスキ、ルイス・カムフォート・ティファニー、ウォルト・ディズニーといった人々ひとびと芸術げいじゅつ関連かんれん特許とっきょ取得しゅとくした。イヴ・クラインは International Klein Blue といういろ発明はつめいして1960ねん特許とっきょ取得しゅとくし、2ねん自身じしん彫刻ちょうこく作品さくひん使用しようした。ケネス・スネルソン自身じしん作品さくひん必須ひっす発明はつめい特許とっきょ取得しゅとくした。バックミンスター・フラーの有名ゆうめいジオデシック・ドームかれの28の特許とっきょの1つでカバーされている。照明しょうめいデザイナーのインゴ・マウラー作品さくひんかんする発明はつめいについて一連いちれん特許とっきょ取得しゅとくしている。IDEOしゃではデザイナーの作品さくひんについておおくの特許とっきょ取得しゅとくしている。デザインじょう発明はつめいは、アメリカではデザイン特許とっきょという特許とっきょ一種いっしゅとして保護ほごする(日本にっぽんでは意匠いしょうけんとして意匠いしょうほう保護ほごする)。

音楽おんがく[編集へんしゅう]

文学ぶんがく[編集へんしゅう]

演劇えんげき芸能げいのう[編集へんしゅう]

記憶きおくりょくおとろえ、自信じしんがなくなり、創造そうぞうりょく (invention) がなくなってきた。わたしにとってはほとんどおしまいといってよい。

ポール・ニューマン俳優はいゆう引退いんたいさいげん[30]

マーサ・グレアムなどおおくのアーティストの作品さくひん発明はつめいてきとされている[31]

  • 紀元前きげんぜん450ねん - ソプロンがミモス(パントマイム原型げんけい)を発明はつめい
  • 1597ねん - ヤコポ・ペーリ(イタリアの音楽家おんがくか)がオペラ発明はつめい(『ダフネ』)
  • 1780ねん - セバスティアーノ・カレッソ(スペインの舞踏ぶとう)がボレロ舞踏ぶとう発明はつめい
  • 1833ねん - トーマス・ダートマス・ライスがミンストレル・ショー発明はつめい
  • 1880ねんごろ - アルゼンチンでアフリカ/インド/スペインの舞踏ぶとう音楽おんがくからタンゴ発明はつめいされる。
  • 1922ねん - ニューヨークしゅうスケネクタディのラジオきょくWGYでラジオドラマ形式けいしき確立かくりつ[26]
  • 1993ねん - マイケル・ジャクソンらが、重心じゅうしん以上いじょう身体しんたいかたむけることができる特殊とくしゅくつのシステムを発明はつめい特許とっきょ取得しゅとく米国べいこく特許とっきょ番号ばんごう 5,255,452)

発明はつめい実施じっし[編集へんしゅう]

発明はつめい様々さまざまかたちる。製品せいひんやサービスとして販売はんばいされるものやライセンス供与きょうよされるものもある。芸術げいじゅつてき発明はつめいは、美術びじゅつ作品さくひん展示てんじしたり、音楽おんがく演奏えんそうしたり、なんらかの興行こうぎょうというかたちる。発明はつめい成功せいこうするかどうかはリスクがあり、支援しえん出資しゅっしるには困難こんなんともなう。発明はつめい支援しえんする補助ほじょきん制度せいど支援しえん制度せいど、あるいはインキュベーターばれる支援しえんしゃがいて、必要ひつよう技能ぎのうやリソースを提供ていきょうすることもある。発明はつめいして成功せいこうするには、一種いっしゅ情熱じょうねつ企業きぎょうとしての才能さいのう必要ひつようである[32][33][34][35][36]

経済けいざいがくにおいて、発明はつめいは「せい外部がいぶせい」のよいれいであり、直接ちょくせつ利害りがい関係かんけいしゃ以外いがいにも有益ゆうえき副作用ふくさようをもたらす。経済けいざいがく中心ちゅうしんてき概念がいねんとして「せい外部がいぶせい内部ないぶすべし」というものがある。発明はつめいしゃせい外部がいぶせいのせいで十分じゅうぶんむくいられない場合ばあい、すなわち発明はつめいしゃ権利けんり保護ほごされない場合ばあい社会しゃかい全体ぜんたい発明はつめい投資とうししにくい方向ほうこうへとかう。特許とっきょ制度せいど発明はつめいせい外部がいぶせい内部ないぶするもので、経済けいざい全体ぜんたいとして発明はつめいへの投資とうしやす効果こうかがある。

発明はつめいとイノベーション[編集へんしゅう]

社会しゃかい科学かがくにおいて「イノベーション」とは、その文化ぶんかにおけるなんらかのあたらしいことを意味いみし、それが定着ていちゃくするかどうかは無関係むかんけいである。イノベーションの定着ていちゃく普及ふきゅうかんする理論りろんイノベーション普及ふきゅう過程かていろんび、イノベーションが定着ていちゃくする可能かのうせいや、普及ふきゅう定着ていちゃくかんして人々ひとびとがどう関与かんよするかで分類ぶんるいするといったことをふくむ。エヴェレット・ロジャーズがこの理論りろん最初さいしょ提唱ていしょうした[37]ガブリエル・タルドの「模倣もほう法則ほうそく」もイノベーション定着ていちゃく関係かんけいがある[38]

脚注きゃくちゅう出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Artificial Mythologies: A Guide to Cultural Invention by Craig J. Saper (1997); Review of Artificial Mythologies. A Guide to Cultural Invention, Kirsten Ostherr (1998)
  2. ^ 参考さんこう文献ぶんけん:志村しむら幸雄ゆきおだれ本当ほんとう発明はつめいしゃか』講談社こうだんしゃ
  3. ^ a b 小林こばやし さとし江戸えど時代じだいにおける発明はつめい創作そうさく権利けんり保護ほご パテント2008 Vol.61 No.5、2020ねん6がつ10日とおか閲覧えつらん
  4. ^ The Lemelson Center's website, Invention at Play: Inventors' Stories, http://www.inventionatplay.org/inventors_main.html ; and Juice: The Creative Fuel That Drives World-Class Inventors (2004), p.14-15 by Evan I. Schwartz.
  5. ^ Einstein: A Life by Denis Brian p.159 (1996)
  6. ^ Nobelprize.org, The Nobel Prize in Chemistry 2000
  7. ^ 特許とっきょ検索けんさくすれば無数むすう実例じつれい容易よういつかる。たとえば http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/search-bool.html
  8. ^ Forks, Phonographs, and Hot Air Balloons: A Field Guide to Inventive Thinking p. 8 (1992), by Robert J. Weber, also from Juice: The Creative Fuel That Drives World-Class Inventors, p. 13 (2004) by Evan I. Schwartz
  9. ^ The Inventor's Notebook by Fred Grissom and David Pressman (2005); Leonardo da Vinci: Artist, Scientist, Inventor by Simona Cremante (2005), http://memory.loc.gov/ammem/collections/jefferson_papers/; http://www.alberteinstein.info/about/
  10. ^ http://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/documents/0200_201_08.htm
  11. ^ White, Lynn: The Invention of the Parachute, Technology and Culture, Vol. 9, No. 3, (Jul., 1968), pp. 462-467
  12. ^ See US Patent #5,461,114 and D11,023 as well as Leonardo da Vinci: Artist, Scientist, Inventor by Simona Cremante (2005)
  13. ^ a b Leonardo da Vinci: Artist, Scientist, Inventor by Simona Cremante (2005)
  14. ^ Patent It Yourself by David Pressman (2000), particularly section 9/2, as a specific example refer to 1879, F. Auguste Bartholdi U.S. Patent D11,023
  15. ^ Invention at Play: Inventors' Stories at the Smithsonian Institution's Lemelson Center for Invention and Innovation
  16. ^ Juice: The Creative Fuel That Drives World-Class Inventors (2004) by Evan I. Schwartz (download an interview with this author about his book at http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=4244179)
  17. ^ Notebooks of the Mind: Explorations of Thinking (1985) by Vera John-Steiner
  18. ^ American Heritage.com article "How Did the Heroic Inventors Do It?" by Thomas P. Hughes
  19. ^ History of Plastics and Plastic Packaging Products — Polyethylene, Polypropylene, and More
  20. ^ Detailed Guide To All Plastics Processes, British Plastics Federation
  21. ^ Plastics Historical Society
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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

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  • Gowlett, John. Ascent to Civilization, McGraw-Hill, Inc., 1992. ISBN 0-07-544312-0
  • Platt, Richard, "Eureka!: Great Inventions and How They Happened", 2003.
  • Patenting Art and Entertainment by Gregory Aharonian and Richard Stim (2004)

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]