皿回さらまわし

皿回さらまわし

皿回さらまわし（さらまわし、英語えいご: Plate spinning）とは、指ゆびや棒ぼう、あるいは棒状ぼうじょうの物もの（箸はしやキセルなど）の先端せんたんで皿さらや茶碗ちゃわんを回転かいてんさせる技術ぎじゅつや芸げい（曲芸きょくげい）、そのための道具どうぐ、あるいはその演者えんじゃを指さす。英語えいご圏けんでは、プレート・スピニング（Plate spinning）で、ジャグリングの一種いっしゅとされ、使用しようされる皿さらをスピニングプレートと称しょうする。

皿さらを回まわしたまま手てのひらや指ゆび、肩かた、腰こし、あごの上うえなどでバランスをとる曲芸きょくげいで、しばしば複数ふくすうの皿さらを同時どうじに操あやつる。

概要がいよう

『人倫じんりん訓蒙くんもう図ず彙』（元禄げんろく3年ねん（1690年ねん）頃ごろ刊行かんこう）の挿図そうずより「放下ほうか」（右みぎ）「住吉すみよし踊おどり」（左ひだり）

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放下ほうか師しは路上ろじょうで皿回さらまわしをしている。

日本にっぽんの中世ちゅうせいから近世きんせいにかけて大道芸だいどうげいをおこなっていた放下ほうか（ほうか）は烏帽子えぼし姿すがたや僧そう形かたちをなしていたが、江戸えど時代じだいには俗人ぞくじんの手てにうつり、従来じゅうらいの曲芸きょくげいばかりではなく、大おおがかりな曲芸きょくげいや手品てじなを手てがけるようになり、籠かご抜ぬけや皿回さらまわしも演えんじるようになった。一方いっぽうで寄席よせ演芸えんげいとしてもおこなわれるようになり、現在げんざいにいたっている。

こんにちでは大道芸だいどうげいとして演えんじられることも多おおいが、中国ちゅうごくの雑技ざつぎに由来ゆらいする多数たすうの皿さらを回まわすもの、一本いっぽんの棒ぼうで一いち枚まいの皿さらを回まわすもの、正座せいざして技術ぎじゅつを競きそう競技きょうぎなどさまざまなスタイルがある。最近さいきんではトスジャグリングを取とりいれたスタイルも登場とうじょうしている。

皿回さらまわしの科学かがく

皿回さらまわしの成なりたせているのは遠心えんしん力りょくとジャイロ効果こうかである。

皿さらなどを高速こうそくで回転かいてんさせることによって遠心えんしん力りょくがはたらき、皿さらと棒ぼうが垂直すいちょく（皿さらと地面じめん・床ゆかが水平すいへい）の状態じょうたいを保たもとうとする。さらに、皿さらが充分じゅうぶんな速度そくどで回転かいてんするようになると、皿さらの中心ちゅうしんを棒ぼうなどで支ささえても回転かいてん状態じょうたいを保たもち、回転かいてん軸じくの方向ほうこうを一定いっていに保たもとうとする力ちからがはたらく。これをジャイロ効果こうかという。この現象げんしょうは、転ころがりつづけようとする独楽こま、ヨーヨー、硬貨こうか（コイン）などで確認かくにんでき、また、自転車じてんしゃやオートバイなど二輪車にりんしゃの走行そうこう、円盤えんばん式しき（回転かいてん式しき）ののこぎりなどでは、この力ちからが利用りようされる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 郡司ぐんじ正勝まさかつ 著ちょ「放下ほうか」、坪内つぼうち博士はかせ記念きねん演劇えんげき博物館はくぶつかん 編へん『藝能げいのう辞典じてん』東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、1953年ねん3月がつ。ASIN B000JBAYH4。 
• 山路やまじ興きょう造づくり 著ちょ「放下ほうか」、平凡社へいぼんしゃ 編へん『世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん26 ホ - マキ』平凡社へいぼんしゃ、1988年ねん3月がつ。ISBN 4-582-02200-6。 

関連かんれん項目こうもく

• 大道芸だいどうげい
• ジャグリング