出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
目的 もくてき 語 ご (もくてきご、ラテン語 らてんご : objectum )は、文 ぶん の構成 こうせい 素 もと 、文 ぶん の成分 せいぶん の一 ひと つ。客語 かくご (きゃくご、かくご)、賓 まろうど 語 ご (ひんご)、対象 たいしょう 語 ご と呼 よ ぶ場合 ばあい もあるが、注意 ちゅうい を要 よう する。
ロマンス諸語 しょご では目的 もくてき 補語 ほご と呼 よ ぶことが多 おお い。日本語 にほんご ではおもに助詞 じょし 「を」や「に」で示 しめ される。目的 もくてき 語 ご を示 しめ す格 かく を目的 もくてき 格 かく と呼 よ ぶ。
行為 こうい の直接的 ちょくせつてき な対象 たいしょう を表 あらわ す直接 ちょくせつ 目的 もくてき 語 ご (主 しゅ として対格 たいかく 、日本語 にほんご では「を」等 とう で示 しめ される)と、その行為 こうい によって間接 かんせつ 的 てき に影響 えいきょう を受 う ける対象 たいしょう を表 あらわ す間接 かんせつ 目的 もくてき 語 ご (主 しゅ として与格 よかく 、日本語 にほんご では「に」等 とう で示 しめ される)に分類 ぶんるい される。
英語 えいご においても、日本語 にほんご に直訳 ちょくやく した場合 ばあい に「……を」・「……に」の「……」に相当 そうとう する語 かたり 、句 く または節 ふし と理解 りかい して大 おお きな間違 まちが いはないが、動詞 どうし の語法 ごほう や文型 ぶんけい との兼 か ね合 あ いから若干 じゃっかん の注意 ちゅうい が必要 ひつよう となる。というのは、英語 えいご には助詞 じょし がなく、それに相当 そうとう する役割 やくわり を動詞 どうし の語法 ごほう (文型 ぶんけい )と前置詞 ぜんちし の組合 くみあわ せが担 にな っており、それとの兼 か ね合 あ いが問題 もんだい となるからである。
ここでは、目的 もくてき 語 ご を「動詞 どうし の目的 もくてき 語 ご 」と「前置詞 ぜんちし の目的 もくてき 語 ご 」に分類 ぶんるい して説明 せつめい する。目的 もくてき 語 ご になれるのは、名詞 めいし ・動 どう 名詞 めいし ・不定 ふてい 詞 し ・代名詞 だいめいし (名詞 めいし 句 く ・名詞 めいし 節 ぶし を含 ふく む)である(動詞 どうし の目的 もくてき 語 ご か前置詞 ぜんちし の目的 もくてき 語 ご かによらない)。代名詞 だいめいし のうち、人称 にんしょう 代名詞 だいめいし ・疑問 ぎもん 詞 し ・関係 かんけい 詞 し は目的 もくてき 格 かく をとる。
以下 いか では基本 きほん 5文型 ぶんけい に従 したが い、次 つぎ の例文 れいぶん を用 もち いて説明 せつめい する。
I go to school. (S+V: 第 だい 1文型 ぶんけい ) 私 わたし は学校 がっこう に 通 かよ う。
I love you. (S+V+O: 第 だい 3文型 ぶんけい ) 私 わたし はあなた を 愛 あい する。
He gave you a lot of money. (S+V+IO+DO: 第 だい 4文型 ぶんけい ) 彼 かれ はあなた に たくさんのお金 かね を あげた。
This news made me sad. (S+V+O+C: 第 だい 5文型 ぶんけい ) そのニュースは私 わたし を 悲 かな しませた。
上記 じょうき の例文 れいぶん において S は主語 しゅご 、V は動詞 どうし 、C は補語 ほご 、O・IO・DOは(動詞 どうし の)目的 もくてき 語 ご ・間接 かんせつ 目的 もくてき 語 ご ・直接 ちょくせつ 目的 もくてき 語 ご の略称 りゃくしょう である。ここでは第 だい 2文型 ぶんけい (S+V+C) は挙 あ げていない。
まず、上記 じょうき の例文 れいぶん 1. の直訳 ちょくやく は、「私 わたし は学校 がっこう に通 かよ う」である。この場合 ばあい 、 “to school”は「学校 がっこう に」と直訳 ちょくやく されるが、これを「動詞 どうし go の目的 もくてき 語 ご 」とは考 かんが えない。このように、「……を」・「……に」に相当 そうとう する語句 ごく であっても、to, in などの前置詞 ぜんちし を伴 ともな ってはじめて「……を」・「……に」という意味 いみ を成 な す場合 ばあい には[ 注釈 ちゅうしゃく 1] 、「動詞 どうし の目的 もくてき 語 ご 」とは考 かんが えない。この例文 れいぶん における“to school”の“school”は「前置詞 ぜんちし to の目的 もくてき 語 ご 」である。一般 いっぱん に、前置詞 ぜんちし に続 つづ く名詞 めいし ・動 どう 名詞 めいし ・代名詞 だいめいし (名詞 めいし 句 く ・名詞 めいし 節 ぶし を含 ふく む)が前置詞 ぜんちし の目的 もくてき 語 ご である。
第 だい 2文型 ぶんけい 以外 いがい で、動詞 どうし の直後 ちょくご に、前置詞 ぜんちし を置 お かずに現 あらわ れる名詞 めいし または代名詞 だいめいし は、動詞 どうし の目的 もくてき 語 ご である。ただし、動詞 どうし とその名詞 めいし または代名詞 だいめいし との間 あいだ に、それを修飾 しゅうしょく する形容詞 けいようし や、形容詞 けいようし をさらに修飾 しゅうしょく する副詞 ふくし 、および限定 げんてい 詞 し (冠詞 かんし など)を伴 ともな うことがある。それらの場合 ばあい でも、前置詞 ぜんちし は挟 はさ まない。
例文 れいぶん 2. において、 “you”は動詞 どうし love の目的 もくてき 語 ご である。
例文 れいぶん 3. において、 “you”は動詞 どうし give の間接 かんせつ 目的 もくてき 語 ご (IO)、 “a lot of money”は動詞 どうし give の直接 ちょくせつ 目的 もくてき 語 ご (DO)である。
例文 れいぶん 4. において、 “me”は動詞 どうし make の目的 もくてき 語 ご である( “sad”は目的 もくてき 格 かく 補語 ほご である)。
ドイツ語 ご では、与格 よかく (Dativ、3格 かく )の目的 もくてき 語 ご を間接 かんせつ 目的 もくてき 語 ご (Dativobjekt、3格 かく 目的 もくてき 語 ご )、対格 たいかく (Akkusativ、4格 かく )の目的 もくてき 語 ご を直接 ちょくせつ 目的 もくてき 語 ご (Akkusativobjekt、4格 かく 目的 もくてき 語 ご )と呼 よ ぶ。冠詞 かんし 、形容詞 けいようし 、代名詞 だいめいし などの格 かく 変化 へんか において、与格 よかく と対格 たいかく を区別 くべつ する。
他動詞 たどうし とは直接 ちょくせつ 目的 もくてき 語 ご をとる動詞 どうし のことをいい、それ以外 いがい の動詞 どうし は自動詞 じどうし と呼 よ ぶ。例 たと えば、 “Ich liebe dich.” (英語 えいご : “I love you.”) における dich は対格 たいかく であり、したがって liebe (不定 ふてい 形 がた : lieben)は他動詞 たどうし である。一方 いっぽう 、 “Er half dir.” (英語 えいご : “He helped you.” )における dir は与格 よかく であり、したがって half (不定 ふてい 形 がた : helfen)は自動詞 じどうし である。
また、目的 もくてき 語 ご を文頭 ぶんとう に置 お いた場合 ばあい 、主語 しゅご は動詞 どうし の次 つぎ に置 お かれる(V2語順 ごじゅん )。
Ich liebe dich. → Dich liebe ich.
Er half dir. → Dir half er.
通常 つうじょう 、目的 もくてき 語 ご と副詞 ふくし が動詞 どうし の後 うし ろに並 なら ぶときは、副詞 ふくし 、目的 もくてき 語 ご の順 じゅん に並 なら ぶ。
Ich lese nachts das Buch. (英語 えいご : I read the book at night. )
^ to 不定 ふてい 詞 し (to に続 つづ くのが動詞 どうし )はこれに含 ふく まない。ただし、不定 ふてい 詞 し には副詞 ふくし 的 てき 用法 ようほう もあり、この場合 ばあい は動詞 どうし の目的 もくてき 語 ご ではない。