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ほこ

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ほこどうほこ)の各部かくぶ名称めいしょう

ほこ(ほこ、異体いたいほこ)はやり薙刀なぎなた前身ぜんしんとなった長柄ながら武器ぶきで、やや幅広はばひろ両刃りょうばけんじょう穂先ほさきをもつ。 日本にっぽん中国ちゅうごくにおいてほこやり区別くべつられ、地域ちいきではやりいち形態けいたいとしてあつかわれる。日本にっぽんではほこや桙の使用しようされるが、ここではほこ統一とういつして記述きじゅつする。

概略がいりゃく

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ほこ中国ちゅうごくにおいて、戦車せんしゃへいかせない武器ぶきとしてもちいられただけでなく、歩兵ほへい騎兵きへいにとっても有効ゆうこう武器ぶきとしてひろ使用しようされた。その冶金やきん技術ぎじゅつ進歩しんぽ戦術せんじゅつ変化へんかにより、とげ突力がすぐ集団しゅうだんせんやりへと進化しんかした。

前述ぜんじゅつとおほこやり区分くぶん一部いちぶ地域ちいきのみでられるのだが、ほこやり区別くべつする基準きじゅんほこ定義ていぎかならずしも明確めいかくさだまっておらず曖昧あいまいである。中国ちゅうごくではやりほこちがいはまったいとする一説いっせつもある。

以下いか一般いっぱんてきほこ特徴とくちょうやりとの区別くべつ基準きじゅんをあげる。

  • とげ突」と「る」の両方りょうほう目的もくてきとしたをもつが、やりほこくらべより先細さきぼそりでとげ突力にすぐれた形状けいじょうをもつ。
  • との接合せつごうふくろみのるとよばれるソケットじょうになっている。やりくき(なかご)をんで固定こていする方式ほうしきをとる。

さらに抽象ちゅうしょうてき区別くべつ基準きじゅんとして以下いかふたつをあげる。

  • やり武器ぶきとして完成かんせいするぜん段階だんかいのもの。
  • 魚類ぎょるいいてらえる長柄ながえ穂先ほさきをもつ漁具ぎょぐ。ただし漁具ぎょぐとしてはとの区別くべつ曖昧あいまい

石器せっき時代じだいもちいられたいしやりほねやりやり)にかんして、やりぜん段階だんかいとしていしほこんだり、りょうもちいたものをとくいしほこしょうする場合ばあいもある。

ふくろみのるはその形状けいじょう成形せいけい成型せいけい手間てまがかかるためくき方式ほうしきくら生産せいさんせいおとっている。ただし、初期しょき冶金やきん技術ぎじゅつでは実戦じっせんえうるほそながくき形状けいじょうつくることがむずかしかったためにふくろによって接合せつごうされた。そして、冶金やきん技術ぎじゅつ発達はったつすると威力いりょく生産せいさんせいすぐれるやり変化へんかしていったとかんがえられている。

なお、中国ちゅうごくではあきら時代じだいに、へびをおもわせるくねった刀身とうしんをもつ改良かいりょうがたへびほこ(だぼう)が登場とうじょうしている。

日本にっぽんにおけるほこ

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日本にっぽんにおいてはほこやりちがいについて、さらに以下いかのようなせつがある。

  • 穂先ほさき形状けいじょう一定いってい傾向けいこうがあり、ほこ先端せんたんまるみを鈍角どんかくものおおいのにたいし、やり直線ちょくせんてき先端せんたん鋭角えいかくである。
  • ほこ片手かたてでの使用しよう基本きほんぎゃくたてかまえて使用しようした。これにたいやり両手りょうてでの使用しよう前提ぜんていとしていた。
  • 時代じだい区分くぶんとして、鎌倉かまくら時代ときよ後半こうはんとく菊池きくちやりから発展はってん南北なんぼくあさ時代じだいひろひろまったものをやりとした。後世こうせいもちいられた弭槍(はずやり)やふくろやりふくろみのる形式けいしきではあるが、やりから進化しんかしたやり一種いっしゅ分類ぶんるいされる。

くに神話しんわ大地だいちをかきぜるのに天沼あまぬまほこ(あめのぬぼこ)がもちいられたことからもかるように、ふる歴史れきしをもつ武器ぶきである。

ほこ金属きんぞく伝来でんらいとも中国ちゅうごくからつたわってきたとかんがえられている。材質ざいしつ青銅せいどうせいどうほこのちてつ生産せいさんされるようになると、どうほこ大型おおがた祭器さいきとしてもちいられるようになった。 日本にっぽん訓読くんよみで「ほこ」や「ほこ」、「桙」だけでなくほこほこさき、戟いずれも「ほこ」のみがあることから、この時代じだいの「ほこ」は長柄ながえ武器ぶき総称そうしょうであった可能かのうせいがある。

鎌倉かまくら時代ときよでは従来じゅうらいほこぼこ(てぼこ)がもちいられていたものの、戦闘せんとう馬上もうえ合戦かっせんいちおもで、かたな作成さくせい技術ぎじゅつ発達はったつ流行りゅうこうから、太刀たちちょうまき薙刀なぎなた主力しゅりょくであった。 しかし鎌倉かまくら時代じだい後期こうきもとにおいてもとぐんもちいた集団しゅうだんせんへの対応たいおうや、足軽あしがる台頭たいとうにより、日本にっぽんでも戦闘せんとう形態けいたい徒歩とほ集団しゅうだんせんへと変化へんかした。それにてきした武器ぶきとして長柄ながえとげ突武見直みなおされた結果けっかやり誕生たんじょうへとつながった。

ちなみに新井あらい白石はくせきは、「“やり”というのはいにしえの“ほこ”の制度せいどつくされたものだろう。元弘もとひろたてたけし年間ねんかんからひろまったらしい。」と著書ちょしょべている。そして文中ぶんちゅう記述きじゅつにおいて、“やり”には“也利”、“ほこ”には“やり”のてている。

祭具さいぐ

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祭礼さいれいもちいる祭具さいぐとしてまつりほこがある。 なお、祭具さいぐようほこは「ほこ」ともばれ、神宝しんぽう神宝しんぽう威儀いぎぶつなどとして使用しようされる。それらはほこであり、つば円形えんけいきむくろうるしつばひれをつけるが、赤地あかじにしきさきさんやまり、金色きんいろともえもんまたはかみもんけることになっている[1]

備考びこう

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  • 沖縄おきなわ武術ぶじゅつにあるローチンはたて(ティンベー)ととももちいられるたんがらさき穂先ほさき武器ぶきで、ほこやり分類ぶんるいにあてはめるとほこ一種いっしゅといえる。これは日本にっぽんからではなく中国ちゅうごくから伝来でんらいしたものとされている。
  • ギリシャ神話しんわポセイドンやローマ神話しんわネプチューンらの海神わたつみトライデントまたほこ)を武器ぶきとしている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 神社じんじゃ有職故実ゆうそくこじつ』 85ぺーじ、1951ねん昭和しょうわ26ねん)7がつ15にち神社じんじゃ本庁ほんちょう発行はっこう

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 戸田とだふじしげる ちょ武器ぶき防具ぼうぐ 日本にっぽんへんしん紀元きげんしゃ、1994ねん、58-69ぺーじ
  • 篠田しのだ耕一こういち ちょ武器ぶき防具ぼうぐ 中国ちゅうごくへんしん紀元きげんしゃ、1992ねん、81-89ぺーじ

関連かんれん項目こうもく

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