粟津あわづ正蔵しょうぞう

あわづ しょうぞう 粟津あわづ 正蔵しょうぞう
生誕せいたん	(1923-04-18) 1923年ねん4月がつ18日にち 京都きょうと府ふ京都きょうと市し山科やましな区く
死没しぼつ	(2016-03-17) 2016年ねん3月17日にち（92歳さい没ぼつ） パリ
死因しいん	老衰ろうすい
国籍こくせき	日本にっぽん
出身しゅっしん校こう	立命館大学りつめいかんだいがく
職業しょくぎょう	柔道じゅうどう家か
著名ちょめいな実績じっせき	明治めいじ神宮じんぐう競技きょうぎ大会たいかい柔道じゅうどう競技きょうぎ優勝ゆうしょう 全日本ぜんにほん柔道じゅうどう選手権せんしゅけん大会たいかい出場しゅつじょう
流派りゅうは	講道館こうどうかん（9段だん）
身長しんちょう	167 cm (5 ft 6 in)
体重たいじゅう	80 kg (176 lb)
肩書かたがき	フランス柔道じゅうどう連盟れんめい技術ぎじゅつ顧問こもん　ほか
受賞じゅしょう	勲くん五ご等とう双そう光こう旭日きょくじつ章あきら（1993年ねん） レジオンドヌール勲章くんしょう（1999年ねん）

粟津あわづ 正蔵しょうぞう（あわづ しょうぞう、1923年ねん4月がつ18日にち - 2016年ねん3月17日にち）は、日本にっぽんの柔道じゅうどう家か（講道館こうどうかん九きゅう段だん）。

戦前せんぜんから戦後せんごにかけての現役げんえき選手せんしゅ時代じだいは明治めいじ神宮じんぐう競技きょうぎ大会たいかいや全日本ぜんにほん選手権せんしゅけん大会たいかい等とうで活躍かつやく。1950年代ねんだい以降いこうはフランスにおいて半はん世紀せいき以上いじょうに渡わたり柔道じゅうどうを指導しどうし、その礎いしずえを築きずいた。その功績こうせきから1999年ねんにはフランス政府せいふよりレジオンドヌール勲章くんしょうを受賞じゅしょうし、“フランス柔道じゅうどう育そだての父ちち”として知しられている。

経歴けいれき

現在げんざいの京都きょうと府ふ京都きょうと市し山科やましな区く安朱東海道あんしゅひがしかいどう町まちに生うまれる。5歳さいで柔道じゅうどうを始はじめ、小学生しょうがくせいの頃ころから全国ぜんこく有数ゆうすうの強豪きょうごう校こうである市立しりつ第だい一いち商業しょうぎょう学校がっこう（現げん：市立しりつ西京にしぎょう高校こうこう）に出入でいりして稽古けいこに汗あせを流ながし、そのまま同校どうこうへ進学しんがく。 市立しりつ第だい一いち商業しょうぎょう学校がっこう時代じだいには1年生ねんせいの頃ころから活躍かつやくしその黄金おうごん期きの立役者たてやくしゃとなったほか、平野ひらの時男ときおや大館おおだて三郎さぶろうらと共ともに京都きょうと府ふ代表だいひょうとして出場しゅつじょうした1939年ねんと1949年ねんの明治めいじ神宮じんぐう競技きょうぎ大会たいかい柔道じゅうどう競技きょうぎ（中等ちゅうとう学校がっこうの部ぶ・団体だんたい戦せん）では連覇れんぱを果はたしている。

太平洋戦争たいへいようせんそうによる1年ねん半はんの徴兵ちょうへい生活せいかつを経へて、復員ふくいん後ごは京都きょうと簡易かんい保険ほけん局きょくに勤つとめる傍かたわら立命館大学りつめいかんだいがく夜間やかん学部がくぶに入学にゅうがくし、念願ねんがんだった勉学べんがくに勤いそしんだ。一方いっぽうで再ふたたび斯道しどうを志こころざし、京都きょうと府ふ代表だいひょうとして出場しゅつじょうした1948年ねんの第だい1回かい全日本ぜんにほん選手権せんしゅけん大会たいかいでは2回戦かいせんを勝かち抜ぬいて3回戦かいせんで伊藤いとう徳治とくじ6段だんに屈くっするもベスト8に残のこる活躍かつやくを見みせ、雪辱せつじょくを誓ちかう翌よく49年ねんの第だい2回かい大会たいかいでは初戦しょせんで山口やまぐち利雄としお6段だんに敗やぶれたものの、京都きょうとの粟津あわづとしてその名なを全国ぜんこくに知しらしめた。また、この頃ころには“フランス柔道じゅうどう生うみの親おや”と知しられる川かわ石せき酒造しゅぞう之の助すけと偶然ぐうぜん知しり合あい、その後ご、栗原くりはら民雄たみおの知遇ちぐうを得えてフランスに渡わたり川かわ石せきの助手じょしゅとして柔道じゅうどうの普及ふきゅう・振興しんこうに尽力じんりょくすることとなった。

1950年ねんに神戸こうべ港こうを出港しゅっこうし約やく1月がつの航海こうかいを経へてマルセイユに到着とうちゃく、川かわ石せき酒造しゅぞう之の助すけや当時とうじのフランス柔道じゅうどう連盟れんめい会長かいちょうであるポール・ボネモリらの歓迎かんげいを受うけた。到着とうちゃく2日にち後ごには早速さっそく12人にん掛かけの荒業あらわざを行おこなうなどしてフランス人じん柔道じゅうどう家か達たちを驚嘆きょうたんせしめ、川かわ石せきの経営けいえいする柔道じゅうどう場じょうやスポーツクラブの名門めいもん・ラシン・クラブ・ド・フランスにて指導しどうを行おこなった。フォントネー＝オー＝ローズに居きょを構かまえ、ナショナルチームのコーチにも就任しゅうにんしてアンリ・クルティーヌやベルナール・パリゼ等ひとしを欧州おうしゅう王者おうじゃに育そだて上あげたほか、1964年ねんの東京とうきょう五輪ごりんではフランスチームのコーチとしてこれに参加さんかしている。一方いっぽうで、1951年ねんに国際こくさい柔道じゅうどう連盟れんめいが設立せつりつされたのを機きに日本人にっぽんじん柔道じゅうどう家か達たちがフランスを訪おとずれる機会きかいが増ふえてくると、粟津あわづは妻つまと共ともにこの受うけ皿ざらとして手腕しゅわんを発揮はっきした。すなわち、空港くうこうへの送迎そうげいは勿論もちろんの事こと、宿舎しゅくしゃの手配てはいや道場どうじょうへの移動いどう、食事しょくじの提供ていきょう、試合しあい会場かいじょうへのおにぎり差さし入いれ等とう、その献身けんしん的てきな面倒めんどう見みの良よさには枚挙まいきょに暇ひま（いとま）が無なかったという。

講道館こうどうかんでの昇段しょうだん歴れき

段位だんい	年月日ねんがっぴ	年齢ねんれい
入門にゅうもん	1949年ねん5月14日にち	26歳さい
6段だん	1949年ねん5月27日にち	26歳さい
7段だん	1961年ねん5月5日にち	38歳さい
8段だん	1976年ねん1月がつ11日にち	52歳さい
9段だん	2002年ねん4月がつ28日にち	79歳さい

1967年ねんのミュンヘン五輪ごりんではフランス代表だいひょうのジャン＝ジャック・ムニエル、ジャン＝ポール・コシュ、ジャン＝クロード・ブロンダニの3人にんが銅どうメダルを獲得かくとくし、後のちに世界せかい有数ゆうすうの柔道じゅうどう強豪きょうごう国こくに数かぞえられることとなるフランスの躍進やくしんを印象いんしょう付つける大会たいかいとなった。また天理大学てんりだいがくの参与さんよも務つとめており、自身じしんも寝技ねわざ（特とくに固かた技わざ）に長ながじていた関係かんけいで細川ほそかわ伸二しんじには「寝技ねわざをやれば世界せかいを獲えれる」と進言しんげんしており、細川ほそかわ自身じしんも、1984年ねんのロサンゼルス五輪ごりんの決勝けっしょう戦せんで相手あいて選手せんしゅを横よこ四方しほう固かたで抑おさえている間あいだ、粟津あわづの微笑ほほえんでいる顔かおが脳裏のうりを横切よこぎったと語かたっている。これらの功績こうせきから、1976年ねん1月がつに8段位だんいを、2002年ねん4月がつに9段位だんいを拝受はいじゅ。9段だんへの昇段しょうだんに試合しあいし粟津あわづは、柔道じゅうどう界かいやそれまで携たずさわった人々ひとびとへの謝意しゃいを述のべつつ、「柔道じゅうどうは東洋とうようより世界せかいを照てらす」と記しるしている。

粟津あわづはその後ごもフランス柔道じゅうどう連盟れんめいの技術ぎじゅつ顧問こもんとして“フランス柔道じゅうどう育そだての父ちち”と称しょうされる程ほどその発展はってんに尽力じんりょく・貢献こうけんし、周囲しゅういからは敬意けいいを込こめて“Maitre AWAZU（粟津あわづ師範しはん）”と呼よばれた。当初とうしょ1年間ねんかんの柔道じゅうどう指導しどうという約束やくそくで渡わたり仏ぼとけした粟津あわづは、いつしか60年ねん以上いじょうの歳月さいげつをフランスで過すごしていた。このように日本にっぽんとフランスとの懸かけ橋はしとして活躍かつやくした実績じっせきが認みとめられ1993年ねんに日本国にっぽんこく政府せいふより勲くん五ご等とう双そう光こう旭日きょくじつ章あきらを、1999年ねんにフランス政府せいふより同国どうこく最高さいこうの栄誉えいよであるレジオンドヌール勲章くんしょう（シュヴァリエ）を、それぞれ受章じゅしょうしている。生涯しょうがい現役げんえきを貫つらぬき90歳さいを越こえてなおフランス柔道じゅうどう界かいの重鎮じゅうちんとして活躍かつやくした粟津あわづだったが、2016年ねん3月がつに老衰ろうすいのためパリにある自宅じたくで死去しきょ。3月25日にちにパリ南部なんぶのクラマール火葬かそう場じょうで執とり行おこなわれた葬儀そうぎには元もと世界せかい王者おうじゃでフランス柔道じゅうどう連盟れんめい会長かいちょうのジャン＝リュック・ルージェや同おなじく元もと世界せかい王者おうじゃで国会こっかい議員ぎいんを務つとめるダビド・ドゥイエら関係かんけい者しゃ約やく300名めいが駆かけ付つけ、粟津あわづの功績こうせきに想おもいを寄よせると共ともに、その死しを悼いたんだ。パリにあるフランス柔道じゅうどう連盟れんめいの道場どうじょうは存命ぞんめい中ちゅうより「Dojo Shozo Awazu」と名付なづけられており、多おおくの後進こうしんが粟津あわづ亡なき今いまもここで稽古けいこに励はげんでいる。

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