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ふくあい材料ざいりょう

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ふくあい素材そざいから転送てんそう
ふくあい材料ざいりょう
CFRP成形せいけいよう炭素たんそ繊維せんい
くろ炭素たんそ繊維せんい毛髪もうはつとの比較ひかく
合板ごうはん構造こうぞう

ふくあい材料ざいりょう(ふくごうざいりょう、えい: Composite material)は、2つ以上いじょうことなる材料ざいりょう一体いったいてきわせた材料ざいりょうのこと。強化きょうかのための強化きょうか材料ざいりょうとそれを支持しじするためのははざい(マトリクス)から構成こうせいされたものを[1]材料ざいりょうふくごうという概念がいねんとしては合金ごうきんセラミックスなどをふく非常ひじょう広範こうはん概念がいねんであるため、通常つうじょう繊維せんいさまのものを構造こうぞうざいとして配列はいれつ形成けいせいするものをし、合金ごうきんやセラミックスとは区別くべつしてあつかうことがおおい。

単一たんいつ素材そざいからなる材料ざいりょうよりもすぐれたてんをもち、各種かくしゅふくあい材料ざいりょう製造せいぞう使用しようされている。ふくごうざい(ふくごうざい)、ふくあい素材そざいともばれる。

概要がいよう

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樹脂じゅし繊維せんいわせることによって強度きょうど確保かくほする技法ぎほうは7世紀せいきすでうるし麻布まふわせる乾漆かんしつづくり(かんしつぞう)でもちいられていた。わらくずをれたかべなどもふくあい材料ざいりょう範疇はんちゅうはいる。身近みぢかふくあい材料ざいりょうとして、合板ごうはん鉄筋てっきんコンクリートげられる。前者ぜんしゃ強度きょうどあやかたせいのあるふくすうまいいたわせて強化きょうかしたいわゆるサンドイッチ構造こうぞうであり、後者こうしゃはコンクリートを鉄筋てっきん補強ほきょう引張ひっぱ応力おうりょく対処たいしょしたものである。鉄鋼てっこう製品せいひんはがね(はがね)ステンレスなど身近みぢか素材そざい厳密げんみつにはしゅ材料ざいりょう(じゅんてつ:Fe)にさまざまな元素げんそ添加てんか(ドーピング)したふくあい材料ざいりょうである。セラミックスなどの陶器とうきガラスなど現在げんざい日常にちじょうてき利用りようされているあらゆる素材そざいに、材料ざいりょうふくごう技術ぎじゅつ利用りようされている。

繊維せんい強化きょうかプラスチックは、金属きんぞく材料ざいりょう合金ごうきん)よりも丈夫じょうぶ軽量けいりょうなことがおおく、重量じゅうりょう燃費ねんぴ関係かんけいするものでの利用りようおおい。とくに軽量けいりょう非常ひじょう重視じゅうしされる航空機こうくうき宇宙うちゅうでは多用たようされる。ヘリコプター回転かいてんつばさにも使用しようされ、関節かんせついヒンジレスローターが実用じつようされている。また、繊維せんい方向ほうこう工夫くふうすることにより、亀裂きれつ拡大かくだいしにくい構造こうぞうにすること可能かのう戦闘せんとうヘリコプターは銃弾じゅうだんけてもすう分間ふんかん飛行ひこう可能かのうである。 ボーイング787では重量じゅうりょうの50%ちかくがふくあい材料ざいりょうめられるほどになっている。これまで幅広はばひろ使用しようされてきたアルミニウム合金ごうきんであるジュラルミンなどは、より性能せいのうたか新型しんがたふくあい材料ざいりょうえられ使用しようりょう減少げんしょう傾向けいこうにある。ほかに自動車じどうしゃなどでの利用りようもある。

繊維せんい強化きょうかプラスチックとはぎゃくに、重量じゅうりょう増加ぞうかのために使つかわれるふくあい材料ざいりょうもある。モデルガンひとし遊戯ゆうぎじゅう使用しようされるヘビーウェイト樹脂じゅしは、プラスチックに重金属じゅうきんぞく粒子りゅうし配合はいごうしたもので、強度きょうど低下ていかするもののプラスチックでありながら金属きんぞくのような質感しつかん重量じゅうりょうかんっている。

鉄筋てっきん鉄骨てっこつ)コンクリートや繊維せんい強化きょうかプラスチックのような強化きょうかほう場合ばあい、コンクリートやプラスチックに相当そうとうする素材そざいはマトリックス(ははざい)とばれる。

樹脂じゅしははざいによるふくごうざい金属きんぞく材料ざいりょうよりもこう強度きょうど軽量けいりょうびないなどメリットがある一方いっぽうで、たい衝撃しょうげきせいにおいては金属きんぞく材料ざいりょうおとる。ターボファンエンジンのファンブレードには最近さいきんではふくあい材料ざいりょう使用しようされるれいえているが、ふくあい材料ざいりょう金属きんぞく材料ざいりょうくらべてたい衝撃しょうげきせいおとるため、ぜんえんはチタンでおおわれている。かつてロールス・ロイス・ホールディングスRB211エンジンの開発かいはつ当初とうしょふくごうざいせいのファンブレードを採用さいようしたが、バードストライク試験しけん合格ごうかくすることができず、大幅おおはば改良かいりょう手間取てまどっていたために資金繰しきんぐりが悪化あっかして倒産とうさんして国営こくえいされた。Mitsubishi SpaceJetでは当初とうしょ主翼しゅよくふくごうざい製造せいぞうする予定よていだったが、100せき未満みまん旅客機りょかくきではそれほど利点りてんがないので従来じゅうらいのアルミ合金ごうきん変更へんこうした。

開発かいはつ背景はいけい

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ふるメソポタミアではわらどろぜた煉瓦れんが利用りようされていたことが発見はっけんされており、これは亀裂きれつふせぐために混入こんにゅうされたものとされている[2]だい世界せかい大戦たいせんときには金属きんぞく供給きょうきゅう制限せいげんされ、そのさいに木材もくざいペーパーハニカムフェノール樹脂じゅし含浸がんしんさせた材料ざいりょう代用だいよう資材しざいとして使用しようされた。その素材そざい採用さいようされたモスキート戦闘せんとう金属きんぞくせい機体きたいくらべて性能せいのう遜色そんしょくなかった。また、フェノール樹脂じゅしのおかげでくさ心配しんぱいもなく、軽量けいりょうこう強度きょうど維持いじすることができた。また、副次的ふくじてき効果こうかとしてレーダー反射はんしゃだん面積めんせきちいさく、てきレーダー捕捉ほそくされにくいという効果こうかもあった(にはこちらの機能きのう重視じゅうしされるようになる)。戦後せんご、そのすぐれた特性とくせいかした用途ようととして徐々じょじょ航空機こうくうきやプレジャーボート、掃海そうかいてい、ラケット、つりざお、風力ふうりょく発電はつでんのブレードとう使用しようされるようになる。構造こうぞうじょう応力おうりょく局所きょくしょてき集中しゅうちゅうするような用途ようとにはてきさず、H-IIAロケット固体こたいロケットブースタ装着そうちゃく方法ほうほうのように応力おうりょく分散ぶんさんさせるための工夫くふう必要ひつようになる。

ふくあい材料ざいりょう成型せいけい

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ふくあい材料ざいりょう成型せいけい工程こうていには複数ふくすう方式ほうしきがある。一体化いったいかして成型せいけいすること出来できるため、その利点りてん活用かつようした成型せいけいほう採用さいようされる場合ばあいおおい。一般いっぱんてきなのはねつ硬化こうかせい樹脂じゅし含浸がんしんした炭素たんそ繊維せんいアラミド繊維せんいのプリプレグを積層せきそうオートクレーブ加熱かねつすること硬化こうかする手法しゅほうである。一方いっぽう量産りょうさんせい強度きょうど両立りょうりつ考慮こうりょして液晶えきしょうポリマー分散ぶんさんさせた樹脂じゅし射出しゃしゅつ成型せいけいによってかねがたうち射出しゃしゅつして成型せいけいする方法ほうほうもある。ただし、オートクレーブを使用しようした成型せいけい生産せいさんせいおとり、オートクレーブのおおきさによって製造せいぞう可能かのう成形せいけいひんおおきさが制限せいげんされるため、近年きんねんでは、前述ぜんじゅつ積層せきそうしき成型せいけいにおいてはだつオートクレーブ成形せいけいほう徐々じょじょ普及ふきゅうしつつある[3]

一般いっぱんてきねつ可塑かそせい樹脂じゅしふくあい材料ざいりょうねつ硬化こうかせい樹脂じゅしふくあい材料ざいりょうくらべて、だい1にうつぼせいがあり(衝撃しょうげき圧縮あっしゅく強度きょうど(CAI 強度きょうど)がたかい)、だい2に成形せいけい温度おんどたかいが短時間たんじかん成形せいけいできるとう利点りてんゆうする。短時間たんじかん成形せいけいできるので生産せいさんせいたかコストダウン貢献こうけんする[4]

セラミックスもとふくあい材料ざいりょう

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高温こうおん条件下じょうけんか使用しようする用途ようとにおいては無機むき化合かごうぶつによるセラミックスもとふくあい材料ざいりょう(Ceramic Matrix Composites: CMC)が使用しようされる[5][6]酸化さんかアルミニウム炭化たんか珪素けいそムライトひとし使用しようされ、とく有機ゆうきケイ素けいそポリマーを前駆ぜんくたい とするあきらしつ炭化たんかケイ素けいそけいちょう繊維せんい金属きんぞくもとおよびセラミックスもとふくあい材料ざいりょう強化きょうか繊維せんいとして注目ちゅうもくされていてSi-COけい 繊維せんい (日本にっぽんカーボンせい, 商品しょうひんめい:ニカロン) およびSi-Ti-GOけい 繊維せんい (UBEせい, 商品しょうひんめい:チラノ繊維せんい)とうがある[7]

金属きんぞくもとふくあい材料ざいりょう

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金属きんぞくもとふくあい材料ざいりょう繊維せんいウィスカーによって金属きんぞくははざい強化きょうかする[8]

ふくあい材料ざいりょうれい

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など

ふくあい材料ざいりょうとしてもちいられる素材そざいれい

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 三木みき et al. 1997.
  2. ^ 平凡社へいぼんしゃ世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんだい2はん日乾ひぼし煉瓦れんが[1]
  3. ^ “CFRP業界ぎょうかい成形せいけいコスト低減ていげんへ「だつオートクレーブ」”. 化学かがく工業こうぎょう日報にっぽう. (2013ねん12月26にち). オリジナルの2015ねん5がつ25にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150525110139/http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2013/12/26-14111.html 
  4. ^ 平成へいせい25年度ねんど地域ちいきしん成長せいちょう産業さんぎょう創出そうしゅつ促進そくしん事業じぎょう補助ほじょきん (PDF)
  5. ^ 伊藤いとう義康よしやす, 亀田かめだ常治つねじ, 西田にしだ勝利しょうり ほか、「SiCちょう繊維せんい機械きかいてき特性とくせいおよぼすBNコーティングの影響えいきょう」『Journal of the Ceramic Society of Japan (日本にっぽんセラミックス協会きょうかい学術がくじゅつ論文ろんぶん)』 1998ねん 106かん 1236ごう p.830-834, doi:10.2109/jcersj.106.830
  6. ^ 香川かがわゆたか, 八田はった博志ひろし. "セラミックスもとふくあい材料ざいりょう." アグネうけたまわふうしゃ (1990): 164-96.
  7. ^ 下尾しもおさとしおっと, 早津はやつ俊秀としひで, 成澤なりさわ雅紀まさのり, 武田たけだ道夫みちお, 市川いちかわひろし, 瀬口せぐち忠男ただお, 岡村おかむら清人きよひと電子でんしせん照射しょうしゃほうによってとおるされたポリカルボシラン繊維せんいのセラミックス機構きこう」『日本にっぽんセラミックス協会きょうかい学術がくじゅつ論文ろんぶんだい101かんだい1175ごう日本にっぽんセラミックス協会きょうかい、1993ねん、809-813ぺーじdoi:10.2109/jcersj.101.809 
  8. ^ 西田にしだ義則よしのり. "金属きんぞくもとふくあい材料ざいりょう入門にゅうもん." コロナしゃ (2001).

参考さんこう文献ぶんけん

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  • すええき博志ひろしふくあい材料ざいりょう力学りきがく破壊はかいについて」(PDF)『強化きょうかプラスチックス』だい53かんだい12ごう強化きょうかプラスチック協会きょうかい、2007ねん12月、NAID 40015769265 
  • 三木みき, 光範みつのり福田ふくだ, 武人ぶじん元木もとき, 信弥しんや北條ほうじょう, 正樹まさきふくあい材料ざいりょう共立きょうりつ出版しゅっぱん機械きかいシステム入門にゅうもんシリーズ〉、1997ねん5がつISBN 4320080823 

関連かんれん項目こうもく

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